JP5368766B2 - アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パワーモジュール用ベース板として好適なアルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法に関する。
今日、半導体素子の高集積化、小型化に伴い、発熱量は増加の一途をたどっており、いかに効率よく放熱させるかが課題となっている。そして、高絶縁性・高熱伝導性を有する例えば窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板等のセラミックス基板の表面に、銅製又はアルミニウム製の金属回路を、また裏面に銅製又はアルミニウム製の金属放熱板が形成されてなる回路基板が、パワーモジュール用回路基板として使用されている。
従来の回路基板の典型的な放熱構造は、回路基板の裏面(放熱面)の金属板、例えば銅板を介してベース板が半田付けされてなるものであり、ベース板としては銅が一般的であった。しかしながら、この構造においては、半導体装置に熱負荷がかかった場合、ベース板と回路基板の熱膨張係数差に起因するクラックが半田層に発生し、その結果放熱が不十分となって半導体素子を誤作動させたり、破損させたりするという課題があった。
そこで、熱膨張係数を回路基板のそれに近づけたベース板として、アルミニウム−炭化珪素質複合体が提案されている。このベース板用のアルミニウム−炭化珪素質複合体の製法としては、炭化珪素の多孔体にアルミニウム合金の溶湯を加圧含浸する溶湯鍛造法(特許文献1)、炭化珪素の多孔体にアルミニウム合金の溶湯を非加圧で浸透させる非加圧含浸法(特許文献2)が実用化されている。一方、コスト面からは、アルミニウム粉末と炭化珪素粉末を混合して、加熱成形する粉末冶金法が有利であり、同製法によるアルミニウム−炭化珪素質複合体の検討も行われている(特許文献3,4)。しかし、粉末冶金法によるアルミニウム−炭化珪素質複合体は、溶湯鍛造法のものに比べ、熱伝導率等が低いという課題がある。
特許第3468358号 特表平5−507030号公報。 特開平9−157773号公報 特開平10−335538号公報
パワーモジュールは、ベース板を介して放熱フィンと接合して用いることが多く、その接合部分の形状や反りもまた重要な特性として挙げられる。例えば、ベース板を介してパワーモジュールを放熱フィンに接合する場合、一般に高熱伝導性の放熱グリースを塗布し、ベース板の周縁部に設けられた穴を利用して放熱フィンや放熱ユニット等にねじ固定する。ベース板に微少な凹凸が多く存在すると、ベース板と放熱フィンとの間に隙間が生じ、高熱伝導性の放熱グリースを塗布しても、熱伝達性が著しく低下し、その結果セラミックス回路基板、ベース板、放熱フィン等で構成されるモジュール全体の放熱性が著しく低下してしまうという課題があった。
そこで、ベース板と放熱フィンとの間に出来るだけ隙間が出来ないように、予めベース板に凸型の反りを付けたものを用いることが行われている。この反りは通常、所定の形状を有する治具を用い、加熱下、ベース板に圧力を掛けることで反りを付与する技術が提案されている(特許文献5)。この方法によって得られた反りは、ベース板表面にうねりがある場合、形状が一定でなく品質が安定しないという課題があった。また、反り形状のバラツキや表面の凹凸により、放熱フィンとの間に大きな隙間が生じるといった課題があった。
特許3792180号
ベース板表面を機械加工により切削することで反りを付ける方法もあるが、アルミニウム−炭化珪素質複合体は非常に硬いため、ダイヤモンド等の工具を用い多くの研削が必要となり、コストが高くなるという課題があった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、パワーモジュール用ベース板として好適なアルミニウム−炭化珪素質複合体を提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、原料となる炭化珪素粉末、黒鉛粉末、及び窒化硼素粉末の粒度、含有量を適正化し、溶湯鍛造法により20MPa以上の圧力でアルミニウムを複合化して得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体に加工性を付与すると共に、熱伝導率、熱膨張係数、強度等の特性を制御し得るとの知見を得て本発明を完成した。更に、この板状のアルミニウム−炭化珪素質複合体の表面を加工又は加熱プレスによるクリープ変形を活用することにより、反り形状を制御できるとの知見を得て本発明を完成した。
即ち、本発明は、平均粒子径0.5〜30μmの炭化珪素粉末10〜50体積%、並びに、コークス系炭素を黒鉛化した平均粒子径1〜1000μmの黒鉛粉末5〜35体積%、平均粒子径1〜30μmで結晶化度(GI値)が3以下の窒化硼素粉末5〜35体積%を混合し、成形体の充填率が60〜85体積%になるように5MPa以上の圧力でプレス成形を施した後、温度600〜750℃に加熱して、溶湯鍛造法により20MPa以上の圧力でアルミニウム又はアルミニウム合金を加圧含浸し、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体に対して、アルミニウム又はアルミニウム合金の含有量が15〜40体積%であるアルミニウム又はアルミニウム合金をさらに切断及び/又は面加工を行って板厚を2〜6mmにすることを特徴とする、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法である。
また、本発明は、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の一主面を機械加工し、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することを特徴とする板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法である。
更に、本発明は、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体に、一定曲率に撓む様に10kPa以上の応力を掛けた状態で、温度400〜550℃で30秒以上加熱処理することによりクリープ変形させて、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法である。
加えて、本発明は、主面方向の熱伝導率(λp)と板厚方向の熱伝導率(λt)が、150W/mK≦(2×λp+λt)/3≦250W/mK、且つ、0.6×λp≦λt≦λpであり、主面方向の熱膨張係数(αp)と板厚方向の熱膨張係数(αt)が、5×10−6/K≦(2×αp+αt)/3≦9×10−6/K、且つ、0.7×αt≦αp≦αtであり、気孔率が5体積%以下であり、3点曲げ強度が100〜350MPaであることを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体である。
更にまた、本発明は、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体に、取り付け穴を加工した後、めっき処理を行うことを特徴とする、一主面がセラミックス回路基板に半田付け又はロウ付け接合され、他の一主面が放熱面として用いられるパワーモジュール用ベース板である。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、炭化珪素粉末と黒鉛粉末、及び窒化硼素粉末の混合粉末を治具に充填しプレス成形したものに、溶湯鍛造法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金を含浸して得られ、該アルミニウム−炭化珪素質複合体は、炭化珪素粉末、黒鉛粉末、及び窒化硼素粉末の粒度、含有量を適性化することにより、得られる複合体の特性を著しく改善することができ、低熱膨張、並びに高熱伝導という特性を有する。更に、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、加工性を有するため、加工により反り形状を制御することができ、高信頼性を要求される半導体素子を搭載するパワーモジュールのベース板として好適である。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、主成分がアルミニウムであるアルミニウム合金からなる第一の成分と、主成分が炭化珪素、黒鉛、及び窒化硼素からなる第二の成分からなる。本発明のような異種の材料を複合化した複合体では、異種の材料の界面が強固に結びつくことでお互いに熱のやり取りが可能となる。このため、界面の密着性が悪い場合は、複合体の熱伝導率はマトリックス材(本発明ではアルミニウム合金)に支配され、強化材(本発明では、炭化珪素及び黒鉛)自体の熱伝導率が如何に高くても、複合体全体の熱伝導特性はマトリックス材以下となる。本発明の基本的な考え方は、複合体において如何に金属成分と強化材を強固に密着させるかであり、その手法として、溶湯鍛造法により金属成分を溶融状態で成形体中に加圧含浸することで両者の界面を強固なものとし、目的とする特性を達成するものである。
金属とセラミックスの複合体の製造方法は、大別すると粉末冶金法と含浸法の2種類がある。粉末冶金法は熱伝導率等の特性に十分なものを得ることが難しい場合があることから、実際には含浸法を用いるものが多い。含浸法には非加圧含浸法と、溶湯鍛造法やダイキャスト法等の加圧鍛造法などがある。本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、生産性や品質安定化の点から溶融したアルミニウム又はアルミニウム合金を用いる溶湯鍛造法により製造するのが好ましい。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の特に重要な特性は、熱伝導率と熱膨張係数である。このため、用いる強化材としては、素材自体の熱伝導率が高く且つ熱膨張係数が小さいことが必要であり、炭化珪素、黒鉛及び窒化硼素が好適である。
本発明に用いる金属成分は、アルミニウム77〜94.5質量%、珪素5〜20質量%及びマグネシウム0.5〜3質量%を含有するアルミニウム合金である。珪素成分が5質量%未満又は20質量%を超えると、融点が高くなり未含浸部分が発生する場合があり好ましくない。また、珪素成分が5質量%未満では合金の熱膨張係数が大きくなり、その結果、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体の熱膨張係数が大きくなり好ましくない。一方、珪素成分が20質量%を超えると合金の熱伝導率が低下し、その結果、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率が低下し好ましくない。マグネシウム成分は、合金と炭化珪素の濡れ性を向上させる効果があり、0.5質量%未満ではその効果が不足し、熱伝導率、強度等の特性が低下して好ましくない。一方、マグネシウム成分が3質量%を超えると、複合化時に炭化アルミニウム(Al)を生成し易くなり、熱伝導率、強度の面で好ましくない。
アルミニウム−炭化珪素質複合体中のアルミニウム合金の含有量は、15〜40体積%が好ましい。15体積%未満では、成形体の充填量が高くなりすぎるために未含浸部分ができてしまい、物性が均一になりにくく好ましくない。一方、40体積%を超えると、緻密なアルミニウム−炭化珪素質複合体を得ることはできるが、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱膨張係数が大きくなり過ぎて好ましくない。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体に用いる強化材は、平均粒子径0.5〜30μmの炭化珪素粉末10〜50体積%、並びに、コークス系炭素を黒鉛化した平均粒子径1〜1000μmの黒鉛粉末5〜35体積%、平均粒子径1〜30μmで結晶化度(GI値)が3以下の窒化硼素粉末5〜35体積%である。炭化珪素粉末の粒度に関しては、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率の点から、平均粒子径が0.5μm以上が好ましい。一方、平均粒子径が30μmを超えると、アルミニウム−炭化珪素質複合体の加工性が低下して好ましくない。炭化珪素粉末の含有量が10体積%未満では、アルミニウム−炭化珪素質複合体の強度が低下すると共に、熱膨張係数が大きくなり好ましくない。一方、炭化珪素粉末の含有量が50体積%を超えると、アルミニウム−炭化珪素質複合体の加工性が低下すると共に熱伝導率が低下して好ましくない。
コークス系炭素を黒鉛化した黒鉛粉末は、熱伝導率が高く、本発明が目指す高熱伝導率のアルミニウム−炭化珪素質複合体を作製するのに好ましい。特に、ニードルコークス系炭素を原料とし、2500℃以上の高温で黒鉛化した人造黒鉛粉末が好適である。本発明では、黒鉛粉末及び窒化硼素粉末を含有させることでアルミニウム−炭化珪素質複合体の加工性を改善している。黒鉛粉末の粒度に関しては、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率の点から、平均粒子径が1μm以上である。一方、平均粒子径が1000μmを超えると、アルミニウム−炭化珪素質複合体中に粗大な黒鉛粒子が残留し、その結果、放熱部品として用いる場合に、局所的に強度が低下することがあり好ましくない。黒鉛粉末の含有量が5体積%未満では、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率が低下すると共に、加工性が低下するため好ましくない。一方、黒鉛粉末の含有量が35体積%を超えると、黒鉛粉末の配向に由来するアルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率、熱膨張係数等の特性の異方性が大きくなり、加えて、アルミニウム−炭化珪素質複合体の強度が低下して好ましくない。
窒化硼素粉末は、熱伝導率が高く、且つ、低熱膨張係数を有するため、発明が目指す高熱伝導率のアルミニウム−炭化珪素質複合体を作製するのに好ましい。特に、結晶化度が高い、具体的には、GI値(黒鉛化指数とも云い/Graphitization Indexの略称で、結晶性を表す指数である。粉末X線回折で(100)、(101)及び(102)面の回折線の積分強度をI100,I101、I102としたときに、GI=(I100+I101)/I102で表され、GI値が小さくなる程、結晶性が高い。)が3以下の窒化硼素粉末が好適である。GI値が3を超えると、窒化硼素粉末の結晶性が低く、その結果、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率が低下して好ましくない。更に、本発明では、黒鉛粉末及び窒化硼素粉末を含有させることでアルミニウム−炭化珪素質複合体の加工性を改善している。窒化硼素粉末の粒度に関しては、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率の点から、均粒子径が1μm以上である。一方、平均粒子径が30μmを超えると、窒化硼素粉末の配向に由来するアルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率、熱膨張係数等の特性の異方性が大きくなり好ましくない。窒化硼素粉末の含有量が5体積%未満では、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱膨張係数が増加すると共に、加工性が低下するため好ましくない。一方、窒化硼素粉末の含有量が35体積%を超えると、黒鉛粉末及び窒化硼素粉末の配向に由来するアルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率、熱膨張係数等の特性の異方性が大きくなり、好ましくない。
本発明の原料粉末の混合方法に関しては、個々の原料が均一に混合される方法であれば特に制約はない。ボールミル混合、ミキサーによる混合等が可能である。混合時間に関しては、原料粉末の酸化及び粉砕が進まない程度の時間が好ましい。混合方法及び充填量にもよるが、15分〜5時間程度が一般的である。混合時間が短いと、炭化珪素と黒鉛の混合状態が不均一になり、複合体組織に悪影響を及ぼすため好ましくない。一方、混合時間が長すぎると原料粉末の酸化及び粉砕による微粉化が起こり、その結果、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率が低下する問題があり好ましくない。また、加熱プレス成形時の加熱段階で除去可能なものであれば、必要に応じて保形用バインダーの使用が可能である。
本発明では、混合粉末を成形体にする手段としてプレス成形を用いる。プレス成形の圧力は、成形体の充填率を60〜85体積%とするため、5MPa以上が好ましい。圧力の上限は特に制限はなく、目的とする成形体の充填率により適宜決定される。通常、治具が変形しない程度の200MPa以下である。
本発明のプレス成形で用いる治具は、強度の点から、鋳鉄、ステンレス等の鉄製の材料が適しており、高価ではあるが窒化珪素等のセラミックスも用いることができる。更に、黒鉛製の治具もプレス成形圧が低くなるが用いることができる。治具は、円筒状の形状のものや、板を組み合わせて四角形状のものに、湯口用に穴をあけた上下の鉄板をボルト止め、または溶接したものを用いることができる。治具は、アルミニウムを含浸して得られる複合体との離型性の面より、表面に離型剤を塗布して用いることが多い。この離型剤としては、黒鉛、アルミナ、窒化硼素等の離型剤が適している。また、治具にアルミナ等の薄膜を形成した後、離型剤を塗布することにより、優れた離型性を得ることが出来る。
本発明では、混合粉末を離型処理した治具に充填し、温度600〜750℃に加熱する。この加熱温度は、用いる金属粉末の融点以上であることが好ましい。温度600℃未満では、用いる合金組成によっては、未含浸部分ができてしまい、アルミニウム−炭化珪素質複合体の組成が不均一になり好ましくない。一方、加熱温度が、750℃を超えると、アルミニウムと黒鉛が反応して、炭化アルミニウム(Al)を生成し易くなり、熱伝導率、強度の面で好ましくない。
含浸時の圧力は、20MPa以上が好ましい。加熱プレス成型時の圧力が、20MPa未満では、成形体の空隙中へのアルミニウムの充填が不足して、熱伝導率、強度等の特性が低下する場合があり好ましくない。また、プレス圧の上限については、特性面からの制約はないが、金型の強度、装置の力量より、200MPa以下が一般的である。アルミニウム−炭化珪素質複合体は、融点以下の温度で減圧した後、室温まで冷却する。なお、複合化時の歪み除去の目的で、アルミニウム−炭化珪素質複合体のアニール処理を行うこともある。
複合化時の歪み除去の目的で行うアニール処理は、400℃〜550℃の温度で10分以上行うことが好ましい。アニール温度が400℃未満であると、複合体内部の歪みが十分に開放されずに機械加工後の熱処理で形状が変化してしまう場合がある。一方、アニール温度が550℃を越えると、複合体中のアルミニウム合金が溶融する場合がある。アニール時間が10分未満であると、アニール温度が400℃〜550℃であっても複合体内部の歪みが十分に開放されず、機械加工後の熱処理で形状が変化してしまう場合がある。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、炭化珪素粉末と黒鉛粉末及び窒化硼素粉末の混合粉末を治具に充填しプレス成形したものに、アルミニウム又はアルミニウム合金を含浸して得られるため、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体には、原料粉末、特に黒鉛粉末及び窒化硼素粉末の配向により不可避的に異方性が発生する。本発明では、5MPa以上の成形圧力でプレス成形することで、均一な粒子の配向を達成させ、且つ、強化材である炭化珪素粉末、黒鉛粉末及び窒化硼素粉末の粒度及び配合量を規定することで、複合体の異方性を制御している。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の主面方向の熱伝導率(λp)と板厚方向の熱伝導率(λt)は、150W/mK≦(2×λp+λt)/3≦250W/mK、且つ、0.6×λp≦λt≦λpである。本発明の複合体は、主面方向の熱伝導率(λp)が板厚方向の熱伝導率(λt)より大きく、素材自体の平均熱伝導率は、(2×λp+λt)/3で近似することができる。(2×λp+λt)/3が150W/mK未満では、パワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合に十分な放熱特性が得られず好ましくない。(2×λp+λt)/3の上限に関しては、特性面からの制約はないが、高熱伝導の黒鉛成分の比率が増加し、特性の異方性が顕著となるため、250W/mK以下であることが好ましい。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の特性の異方性に相当する主面方向の熱伝導率(λp)と板厚方向の熱伝導率(λt)の関係については、0.6×λp≦λtである。λtが0.6×λp未満では、熱伝導率の異方性が顕著に成り過ぎて、板厚方向の熱伝導率が低下し、パワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合に十分な放熱特性が得られず好ましくない。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の主面方向の熱膨張係数(αp)と板厚方向の熱膨張係数(αt)が、5×10-6/K≦(2×αp+αt)/3≦9×10-6/K、且つ、0.7×αt≦αp≦αtである。本発明の複合体は、主面方向の熱膨張係数(αp)が、板厚方向の熱膨張係数(αt)より小さく、素材自体の平均熱膨張係数は(2×αp+αt)/3で近似することができる。本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体をパワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合、接合されるセラミックス回路基板との熱膨張係数のマッチングが非常に重要である。平均熱膨張係数(2×αp+αt)/3が5×10-6/K未満又は9×10-6/Kを超えると、半導体素子作動時の熱負荷により接合層(半田層等)やセラミックスの破壊が起こり、放熱特性が低下する場合があり好ましくない。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の特性である異方性に係る主面方向の熱膨張係数(αp)と板厚方向の熱膨張係数(αt)の関係は、0.7×αp≦αtである。αpが0.7×αt未満では、熱膨張係数の異方性が顕著に成り過ぎて、パワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合に、半導体素子作動時の熱負荷により、接合層(半田層等)やセラミックスの破壊が起こり、放熱特性が低下する場合があり好ましくない。
更に、本発明では、充填特性に優れる黒鉛粉末及び窒化硼素粉末の添加量を規定し、5MPa以上の成形圧力でプレス成形することで、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体の気孔率を制御している。また、強化材として微粉の炭化珪素粉末及び窒化硼素粉末を用いることにより、強度特性を改善せしめている。
このため、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体の気孔率は5体積%以下であり、3点曲げ強度は100〜350MPaが好ましい。気孔率が、5体積%を超えると熱伝導率等の特性が低下すると共に、パワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合に、使用環境からの水分の透過等によるモジュール自体の耐食性に問題が発生し好ましくない。また、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体を、パワーモジュール用のベース板等の放熱部品として用いる場合、3点曲げ強度が100MPa未満では、ネジ止めする際の割れや、使用時の振動等の影響による欠けの問題があり好ましくない。3点曲げ強度の上限に関しては、特性状の制約はないが、3点曲げ強度を極端に向上させるためには、炭化珪素の添加量の増加及び微粉化が必要となり、その結果、アルミニウム−炭化珪素質複合体の熱伝導率が低下するため、350MPa以下であることが好ましい。
本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、加工性に優れるため容易に切断加工、面加工、穴加工等を施すことが出来る。このため、得られたアルミニウム−炭化珪素質複合体は、板状の複合体の場合、表面を必要に応じて研磨機や研削盤で面加工して板厚を2〜6mmとする。また、ブロック状の複合体の場合、バンドソー等により切断加工して板厚を2〜6mmとし、必要に応じて面加工を行う。更に、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、外周部及び穴部等をNC旋盤、マシニングセンター等の装置を用いて容易に機械加工することができる。
本発明の板状アルミニウム−炭化珪素質複合体は加工性に優れるため、一主面を旋盤等の機械加工により、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することができる。旋盤等への被加工品の固定は、非加工品の周辺部をチャッキングするか、周縁部に設けられた穴等を利用してネジ止めする方法を採用できる。本発明の板状アルミニウム−炭化珪素質複合体は、表面を機械加工することにより理想的な球面形状の放熱面を得ることが可能であり、良好な放熱特性を得ることができる。本発明の板状アルミニウム−炭化珪素質複合体を、パワーモジュール用ベース板として用いる場合、その反り量が、長さ200mmあたり50μm未満では、その後のモジュール組み立て工程でベース板と放熱フィンとの間に隙間が生じ、たとえ高熱伝導性の放熱グリースを塗布しても、熱伝達性が著しく低下し、その結果セラミックス回路基板、ベース板、放熱フィン等で構成されるモジュールの放熱性が著しく低下してしまう場合がある。又、反り量が500μmを超えると、放熱フィンとの接合の際のネジ止め時に、ベース板、又はセラミックス回路基板にクラックが発生してしまう場合があり好ましくない。
本発明の板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の反りを形成する方法として、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体を、200mmあたり100〜1000μmの反りとなる曲率に撓む様に10kPa以上の応力を掛けた状態で、温度400〜550℃で30秒以上加熱処理することによりクリープ変形させて、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することもできる。加熱処理時に印加する応力が10kPa未満では、撓み量が不足し、目的とする反り量を得ることができない。また、処理温度が400℃未満又は処理温度が400〜550℃でも処理時間が30秒未満では、十分なクリープ変形を起こすことが出来ず、目的とする反り量を得ることができない。処理温度が550℃を超えると、複合体中の金属成分の移動に伴う密度低下等の問題が発生して好ましくない。
本発明に係るアルミニウム−炭化珪素質複合体は、パワーモジュール用ベース板として用いる場合、取り付け穴等を加工した後、セラミックス回路基板と半田付けにより接合して用いられるのが一般的である。このため、アルミニウム−炭化珪素質複合体表面には、Niめっきを施すことが必要である。めっき処理方法は特に限定されず、無電解めっき処理、電気めっき処理法のいずれでもよい。Niめっきの厚みは1〜20μmであることが好ましい。めっき厚みが1μm未満では、部分的にめっきピンホールが発生し、半田付け時に半田ボイド(空隙)が発生し、回路基板からの放熱特性が低下する場合がある。一方、Niめっきの厚みが20μmを超えると、Niめっき膜と表面アルミニウム合金との熱膨張差によりめっき剥離が発生する場合がある。Niめっき膜の純度に関しては、半田濡れ性に支障をきたさないものであれば特に制約はなく、リン、硼素等を含有することができる。更に、Niめっき表面に金めっきを施すことも可能である。
本発明に係わるアルミニウム−炭化珪素質複合体とセラミックス回路基板との接合は、活性金属ロウ材を介してロウ付けすることができる。活性金属ロウ材は、ペースト状のものも使用可能であるが、取り扱い上合金箔が好ましい。この場合、活性金属ロウ材は、アルミニウム−炭化珪素質複合体の金属成分としての合金よりも融点の低いものが好ましい。例示すればCu1〜6質量%のAl−Cu合金箔、Cu4質量%とMg0.5%質量を含む2018合金箔、0.5質量%のMnを含む2017合金箔、更にはJIS合金の2001、2003、2005、2007、2011、2014、2024、2025、2030、2034、2036、2048、2090、2117、2124、2218、2224、2324、7050、7075等の合金箔が使用可能である。また、Mg、Zn、In、Mn、Cr、Ti、Bi等の第三成分を、合計で5質量%まで含むものの使用も可能である。
(実施例1)
炭化珪素粉末(屋久島電工製/平均粒子径:12μm、密度:3.2g/cm)5396g(30体積%)とニードルコークスを原料とする市販の人造黒鉛粉末(東海カーボン社製/平均粒子径:100μm、密度:2.2g/cm)2465g(20体積%)、GI値が0.9の窒化硼素粉末(電気化学工業社製/平均粒子径:8μm、密度2.3g/cm)2543g(20体積%)を30分間ボールミルで混合した後、内側寸法:200×200×140mmtの鉄製容器内に充填し、湯口用の穴があいた鉄板で上下を挟み込んだ状態でVfが70体積%になるように、圧力150MPaでプレス成形し200×200×140mmtの成形体とした。成形後に鉄製容器と上下の鉄板を溶接した。
得られた成形体を鉄製容器内に保持した状態で、窒素雰囲気下で700℃、2時間予熱した。次にそれをあらかじめ加熱しておいた内径Φ400mm×400mmtのプレス型内に収め、AC3Aのアルミニウム合金(融点580℃)の溶湯を注ぎ、100MPaの圧力で10分間加圧して成形体にアルミニウム合金を含浸させた。室温まで冷却した後、湿式バンドソーにて鉄製容器を切断し、含浸時のひずみ除去の為に450℃で3時間アニール処理を行い200×200×140mmtのアルミニウム-炭化珪素質複合体を得た。
得られたアルミニウム−炭化珪素質複合体は、湿式バンドソーにて板厚6mmtに切断加工した後、平面研削盤にて両面を研削加工して板厚5.3mmtとした。更に、マシニングセンターにて、縁周部6カ所に直径7mmの貫通穴、4カ所にφ10−4mmの皿穴を加工した後、外周部分を加工して、127mm×137mm×5.3mmの形状とした。次に、旋盤治具に皿穴を利用してネジ固定を行い、片面を曲率半径20mの球面形状になるよう、旋盤にて反り加工を行った。得られたアルミニウム−炭化珪素質複合体の放熱面の形状を、接触型二次元輪郭形状測定機(東京精密社製;コンターレコード1600D−22)にて測定し、200mmあたりの反り量を測定した結果、200mmあたりの反り量は、225μmであった。
次いで、圧力0.2MPa、搬送速度1.0m/minの条件でアルミナ砥粒にてブラスト処理を行い清浄化した後、無電解Ni―P及びNi−Bめっきを行い、複合体表面に8μm厚(Ni−P:6μm+Ni−B:2μm)のめっき層を形成した。
得られたアルミニウム−炭化珪素質複合体を、研削加工により主面方向と板厚方向の熱膨張係数測定用試験体(4×4×20mm)及び熱伝導率測定用試験体(直径Φ10mm×3mmt)を作製した。それぞれの試験片を用いて、温度25℃〜150℃の熱膨張係数を熱膨張計(セイコー電子工業社製;TMA300)で、25℃での熱伝導率をレーザーフラッシュ法(理学電機社製;LF/TCM−8510B)で測定した。その結果、温度25℃の主面方向の熱伝導率:λpは214W/mK、板厚方向の熱伝導率:λtは153W/mK、(2×λp+λt)/3=194W/mKであり、温度25℃〜150℃の主面方向の熱膨張係数:αpは7.1×10−6/K、板厚方向の熱膨張係数:αtは8.3×10−6/K、(2×αp+αt)/3=7.5×10−6/Kであった。
また、研削加工により3点曲げ強度測定用試験体(3×4×40mm)を作製し、曲げ強度試験機にて3点曲げ強度を測定した結果204MPaであった。更に、アルミニウム−炭化珪素質複合体の密度をアルキメデス法で測定し、気孔率を算出した結果、気孔率は、1.1体積%であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、200×200×140mmtのアルミニウム−炭化珪素質複合体を作製した後、湿式バンドソーにて板厚8mmtに切断加工し、平面研削盤にて両面を研削加工して板厚5.0mmtとした。更に、マシニングセンターにて、縁周部6カ所に直径7mmの貫通穴、4カ所にφ10−4mmの皿穴を加工した後、外周部分を加工して、127mm×137mm×5.0mmの形状とした。
次に、このアルミニウム−炭化珪素質複合体に反りを付与するため、カーボン製で曲率半径が15mの球面を設けた凹凸型を準備した。この凹凸型を熱プレス機に装着し、加熱して型の表面温度を510℃とした。この凹凸型の間に前記複合体を配置し40KPaでプレスした。この際、当該複合体の側面に熱電対を接触させ測温した。複合体の温度が500℃になった時点から3分間保持後、加圧を解除し、50℃まで自然冷却した。得られた複合体を、反り付け時の残留歪み除去のために電気炉で350℃の温度で30分間アニール処理を行った。アルミニウム−炭化珪素質複合体の放熱面の形状を、接触型二次元輪郭形状測定機(東京精密社製;コンターレコード1600D−22)にて測定した。200mmあたりの反り量を測定した結果、215μmであった。
(実施例3〜13比較例1〜6)
表1に示す粒度の炭化珪素粉末及び黒鉛粉末を表1に示す配合比で、ボールミルにて30分間混合した。次に、実施例1と同様の手法にて、内径Φ400mm×400mmtのプレス型内に収め、AC3Aのアルミニウム合金(融点580℃)の溶湯を注ぎ、100MPaの圧力で10分間加圧して成形体にアルミニウム合金を含浸させた。室温まで冷却した後、湿式バンドソーにて鉄製容器を切断し、含浸時のひずみ除去の為に450℃で3時間アニール処理を行い200*200*140mmtのアルミニウム合金-黒鉛-炭化珪素質複合体を得た。得られたアルミニウム合金-黒鉛-炭化珪素質複合体から、研削加工により主面方向と板厚方向の熱膨張係数測定用試験体(4×4×20mm)及び熱伝導率測定用試験体(直径Φ10mm×3mmt)を作製した。それぞれの試験片を用いて、温度25℃〜150℃の熱膨張係数を熱膨張計(セイコー電子工業社製;TMA300)で、25℃での熱伝導率をレーザーフラッシュ法(理学電機社製;LF/TCM−8510B)で測定した。また、3点曲げ強度測定用試験体(3×4×40mm)を作製し、曲げ強度試験機にて3点曲げ強度を測定した。更に、アルミニウム−炭化珪素質複合体の密度をアルキメデス法で測定し、気孔率を算出した。結果を表2に示す。
実施例3〜13及び比較例1〜6の加熱プレス成形で得られたアルミニウム−炭化珪素質複合体を、湿式バンドソーにて板厚8mmtに切断加工した後、平面研削盤にて両面を研削加工して板厚5.3mmtとした。更に、マシニングセンターにて、縁周部6カ所に直径7mmの貫通穴、4カ所にφ10−4mmの皿穴を加工した後、外周部分を加工して、127mm×137mm×5.3mmの形状とした。次に、旋盤治具に皿穴を利用してネジ固定を行い、片面を曲率半径20mの球面形状になるよう、旋盤にて研削加工を行った。ここで、比較例3のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、難加工性であり、通常の加工工具では極端に摩耗が激しく加工出来なかった。また、比較例5のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、加工性自体は問題無かったが、加工時に欠けが発生し、所定形状に加工することが出来なかった。次いで、比較例3及び5以外のアルミニウム−炭化珪素質複合体の放熱面の形状を接触型二次元輪郭形状測定機(東京精密社製;コンターレコード1600D−22)にて測定し、200mmあたりの反り量を測定した結果、200mmあたりの反り量は、215〜260μmであった。
Figure 0005368766
Figure 0005368766

Claims (5)

  1. 平均粒子径0.5〜30μmの炭化珪素粉末10〜50体積%、並びに、コークス系炭素を黒鉛化した平均粒子径1〜1000μmの黒鉛粉末5〜35体積%、平均粒子径1〜30μmで結晶化度(GI値)が3以下の窒化硼素粉末5〜35体積%を混合し、成形体の充填率が60〜85体積%になるように5MPa以上の圧力でプレス成形を施した後、温度600〜750℃に加熱して、溶湯鍛造法により20MPa以上の圧力でアルミニウム又はアルミニウム合金を加圧含浸し、得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体に対して、アルミニウム又はアルミニウム合金の含有量が15〜40体積%であるアルミニウム又はアルミニウム合金をさらに切断及び/又は面加工を行って板厚を2〜6mmにすることを特徴とする、板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法。
  2. 板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の一主面を機械加工し、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することを特徴とする請求項1記載の板状アルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法。
  3. 板状アルミニウム−炭化珪素質複合体に、一定曲率に撓む様に10kPa以上の応力を掛けた状態で、温度400〜550℃で30秒以上加熱処理することによりクリープ変形させて、200mmあたり50〜500μmの凸型の反りを付与することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法。
  4. 主面方向の熱伝導率(λp)と板厚方向の熱伝導率(λt)が、150W/mK≦(2×λp+λt)/3≦250W/mK、且つ、0.6×λp≦λt≦λpであり、主面方向の熱膨張係数(αp)と板厚方向の熱膨張係数(αt)が、5×10−6/K≦(2×αp+αt)/3≦9×10−6/K、且つ、0.7×αt≦αp≦αtであり、気孔率が5体積%以下であり、3点曲げ強度が100〜350MPaであることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項記載の製造方法により得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体。
  5. 請求項1〜3のうちいずれか一項記載の製造方法により得られる板状アルミニウム−炭化珪素質複合体に、取り付け穴を加工した後、めっき処理を行うことを特徴とする、一主面がセラミックス回路基板に半田付け又はロウ付け接合され、他の一主面が放熱面として用いられるパワーモジュール用ベース板。
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