JP5367880B1 - コネクタ及びコネクタ接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】被覆電線及びコネクタ接続用補機に対する止水部材の密着性が向上し、優れた止水性を確保することができるコネクタ及びコネクタ接続構造を提供する。
【解決手段】コネクタ30をコネクタ接続用補機43に接続する際、被覆電線35の先端側をコネクタ接続用補機43の孔部44に挿入し、シール部材31の大径部31A外周に形成したハウジングシール部31cを孔部44内周に密着させてシールする。また、シール部材31の挿通孔31a内周に形成した大径部31Aに対応する位置のワイヤシール部31dを被覆電線35の外周に密着させてシールする。ハウジングシール部31cの弾性変形による反発力がワイヤシール部31dの止水性を高める方向に作用し、ワイヤシール部31dの弾性変形による反発力がハウジングシール部31cの止水性を高める方向に作用するため、双方の止水性を高めることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば電気自動車やハイブリッド車両に搭載されたモータやインバータ、一般電子機器等のコネクタ接続用補機に対して接続されるコネクタ及びコネクタ接続構造に関する。
従来、上述のような電気自動車に搭載されたモータを、バッテリから供給される電力で駆動する場合、複数本の被覆電線が接続されたコネクタを、モータ等のコネクタ接続用補機に接続して、モータとバッテリとを電気的に接続するが、例えば水分や油分、塵埃等の異物がコネクタの接続部分からコネクタ接続用補機内に侵入すると、接続不良が起きる原因となるため、そのコネクタとコネクタ接続用補機との接続部分を水密状態にシールする必要がある。
上述のシール機能を備えたコネクタとしては、例えばシールリングを備えた機器用シールドコネクタが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の機器用シールドコネクタは、電線側端子の電線接続部と電線の端末部とを覆うように外装されるハウジングを樹脂モールドしている。また、ハウジングの外周に形成したシール溝にシールリングを装着し、そのシールリングにより、ハウジングの外周と取付け孔の内周との間を水密状態にシールする構成が開示されている。
しかし、上述のハウジングは硬質の樹脂にて形成されているので、例えばゴム等の弾性部材と比較して電線側端子及び電線に対する密着性に乏しく、電線の周面が径内方向に向けて変形しても、これに追従して弾性変形することがない。このため、ハウジングと電線との間に隙間が生じやすく、ハウジングと電線との間に形成される隙間から例えば水分等の異物が浸入するおそれがある。また、ハウジングとシールリングとを構成する材質が異なり、それぞれ別々に形成されているため、一体性が得られない。したがって、ハウジングと取付け孔との間の十分な止水性を確保することができないという問題があった。
上述した課題に対して、電線に対して樹脂モールドせず、単一の部材からなる止水部材を備えたコネクタの他の従来例としては、例えば図8、図9に示すような構造を有するコネクタ70がある。このコネクタ70は、その内周部に止水部材72を固定する金属カバー71と、3本の被覆電線73を挿通する挿通孔74…、ハウジングシール部75、ワイヤシール部76を一体形成したゴム製の止水部材72と、被覆電線73を電磁ノイズからシールドするシールド編組77と、このシールド編組77を金属カバー71の外周部に締付けて固定する2分割構造のクランプ78,78と、2分割構造のクランプ78,78を締付け固定するボルト及びナット(図示せず)と、上記各要素71,72,73,77,78を外周側から一体的に覆う保護カバーとしてのゴム製のブーツ81と、このブーツ81を金属カバー71にその外周側から固定するバンド82と、ブーツ81の基端部に挿入配置され被覆電線73及びシールド編組77を保護するコルゲート管83と、を備えている。
上述した構造のコネクタ70は、端子84が接続された被覆電線73の先端側を、コネクタ接続用補機85の孔部86に挿入するとともに、止水部材72の先端側端面に形成したハウジングシール部75を、コネクタ接続用補機85の孔部86を中心とする該孔部86周囲の端面に押し付けて水密状態にシールする。また、止水部材72の挿通孔74の内周に形成したワイヤシール部76を、挿通孔74に挿通した被覆電線73の外周に押し付けて水密状態にシールする。
しかし、ハウジングシール部75とワイヤシール部76は、止水部材72の先端部分と中間部分とに独立して配置されているので、その先端部分及び中間部分の弾性変形による反発力は、ハウジングシール部75とワイヤシール部76とを押し付ける方向に対して個々に作用するだけで、十分な止水性が得られない。
また、ハウジングシール部75を配置した先端部分と、ワイヤシール部76を配置した中間部分とを、止水部材72の水密状態を維持できる塑性変形量に抑えるために必要な厚みに形成する必要があるが、シール部75,76を形成した部材の肉厚が厚くなるのに伴って、止水部材72を構成するゴム材の使用量が増加することになり、一つの止水部材72を製造する際の単価と、その止水部材72を用いたコネクタの製作費が高くなる。また、止水部材72を固定する金属カバー71も大きくなるため、コネクタ70全体が大型化するという問題があった。
特開2002−373730号公報
この発明は、被覆電線及びコネクタ接続用補機に対する止水部材の密着性が向上し、優れた止水性を確保することができるコネクタ及びコネクタ接続構造を提供することを目的とする。
この発明は、コネクタ接続用補機に形成した孔部に挿入される被覆電線に外嵌した弾性を有する止水部材と、該止水部材を保持して、前記コネクタ接続用補機に組み付けられる金属カバーとを備えたコネクタであって、前記止水部材を、前記金属カバーの内部に保持される被保持部と、前記金属カバーの内部に保持される前記被保持部の先端側において、前記孔部に対して挿入される方向に向けて、前記金属カバーから突出する突出部とで構成するとともに、該突出部を、前記金属カバーと前記コネクタ接続用補機との組付状態において、前記孔部に対して挿入可能に構成し、前記止水部材に、前記突出部に相当する部分に亘って、前記被覆電線の挿通が許容される長さに形成した挿通孔と、前記挿通孔と前記被覆電線との対向面間をシールするワイヤシール部と、前記コネクタ接続用補機と前記コネクタとの対向面間をシールするハウジングシール部とを備え、前記ワイヤシール部及び前記ハウジングシール部のうちいずれか一方のシール部の弾性変形による反発力が他方のシール部の止水性を高める方向に作用する位置関係となるように、前記ワイヤシール部を、前記突出部における前記挿通孔の内周に配置するとともに、前記ハウジングシール部を、前記突出部の外周に配置したことを特徴とする。
この発明によれば、被覆電線及びコネクタ接続用補機に対する止水部材の密着性が向上し、優れた止水性を確保することができる。
詳述すると、金属カバーに止水部材の被保持部を保持した状態で、被覆電線の先端側をコネクタ接続用補機の孔部に挿入するとともに、金属カバーから突出した止水部材の突出部を、例えばコネクタ接続用補機に形成した孔部の内周に押し付けながら挿入することで突出部のハウジングシール部を弾性変形させて、コネクタ接続用補機の孔部内周に対して水密状態に密着させてシールすることができる。また、被覆電線を止水部材の挿通孔に挿通した際、止水部材のワイヤシール部を、被覆電線の外周に押し付けて弾性変位させることで、被覆電線の外周に対して水密状態に密着させてシールすることができる
すなわち、ワイヤシール部及びハウジングシール部とのうちいずれか一方のシール部の弾性変形による反発力が他方のシール部の止水性を高める方向に作用する位置関係になるように、突出部の内周にワイヤシール部を、外周にハウジングシール部を配置しているので、ワイヤシール部の弾性変形による反発力がハウジングシール部の止水性を高める方向に作用し、ハウジングシール部の弾性変形による反発力がワイヤシール部の止水性を高める方向に作用するため、両シール部が協働して、双方のシール部の止水性を高めることができる。
つまり、ワイヤシール部とハウジングシール部とを互いの弾性力が作用するように形成しているので、突出部に蓄積される復元力が、ワイヤシール部とハウジングシール部との止水性を高める方向に相互作用することになる。このため、被覆電線及びコネクタ接続用補機に対する止水部材の密着性が向上することとなり、優れた止水性を確保することができる。
また、ワイヤシール部とハウジングシール部とを形成した突出部以外の弾性力が低くても、止水部材自体の密着性が損なわれることはなく、止水部材全体として優れた止水性を確保することができる。
さらに、ワイヤシール部とハウジングシール部と形成突出部以外の肉厚を、水密状態を維持できる塑性変形量に抑えられるような厚みに形成する必要がなく、所定の厚みに形成することができる。すなわち、先端側以外の部分の肉厚を薄くしたり、止水部材の基端側を短くする等して、止水部材全体を構成する材料の使用量を大幅に削減することができる。
この結果、密着性及び止水性に優れた止水部材を安価に製造することができるとともに、コネクタ全体の小型化を図ることができる。
た、この発明の態様として、前記ワイヤシール部を、前記被覆電線の外周に向けて突出する凸部で構成することができる。
この発明によれば、被覆電線と止水部材との間の止水性をさらに高めることができる。
詳述すると、凸部の突出量に応じて突出部に蓄積される復元力が大きくなるので、前記ハウジングシール部に作用する反発力が大きく、ハウジングシール部が、例えばコネクタ接続用補機に形成した孔部の内周、あるいは、コネクタ接続用補機の孔部を形成した端面に対して強く押し付けられる。
この結果、被覆電線に対する止水部材の密着性がさらに向上し、止水性を一段と高めることができる。
また、この発明の態様として、前記ハウジングシール部を、前記コネクタを前記コネクタ接続用補機に接続した接続状態において、該コネクタ接続用補機と対向する方向に向けて突出する凸部で構成することができる。
この発明によれば、ハウジングシール部による止水性が一段と向上し、より確実にシールすることができる。
詳述すると、凸部の突出量に応じて突出部に蓄積される復元力が大きくなるので、前記ワイヤシール部に作用する反発力が大きく、ワイヤシール部が被覆電線の周面に対して強く押し付けられる。
この結果、被覆電線に対する止水部材の密着性がさらに向上し、止水性を一段と高めることができる。
なお、コネクタ接続用補機と対向する方向とは、例えばコネクタ接続用補機に形成した孔部の内周、あるいは、コネクタ接続用補機の孔部を形成した端面と対向する方向を含むものである。
また、この発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の前記コネクタと前記コネクタ接続用補機とを接続するコネクタ接続構造であって、上記コネクタ接続用補機の前記コネクタが接続される接続側端面に、上記突出部の挿入が許容される孔部を形成したことを特徴とする。
上記構成によれば、コネクタ接続用補機の孔部に挿入許容されるシール部材の広い面積のハウジングシール部により、コネクタ接続用補機内に、例えば水分や油等の異物が浸入することを防止できる。
この発明によれば、被覆電線及びコネクタ接続用補機に対する止水部材の密着性が向上し、優れた止水性を確保することができる。
第1実施形態のコネクタ及びコネクタ接続構造を示す断面図。 図1のシール部材と金属カバーの組合せ構造を示す断面図。 図2のA−A線矢視に相当するコネクタの正面図。 図1のコネクタを斜め上方から見た外観斜視図。 図1のコネクタの分解斜視図。 第2実施形態のコネクタ及びコネクタ接続構造を示す断面図。 図6のシール部材と金属カバーの他の組合せ構造を示す断面図。 従来のコネクタ及びコネクタ接続構造を示す断面図。 図8のシール部材と金属カバーの組合せ構造を示す断面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
(第1実施形態)
図面はコネクタ30及びコネクタ接続構造を示し、図1は第1実施形態のコネクタ30とコネクタ接続用補機とを接続した状態の断面図(但し、図3のB−B線矢視に相当する図)、図2は図1のシール部材31及び金属カバー32の組合せ構造を示す断面図で、特に、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dのノーマル状態を示す図、図3は図2のA−A線矢視に相当するコネクタ30の正面図である。
また、図4は図1のコネクタ30を斜め上方から見た外観斜視図、図5は図1のコネクタ30の分解斜視図である。
なお、図中、矢印Xはコネクタ30の先端側を示し、矢印Yはコネクタ30の基端側を示す。
図1〜図5において、コネクタ30は、正面視長円形状のシール部材31と、内周部で該シール部材31を保持する正面視長円筒形状の環状の金属カバー32(いわゆるシールドカバー)と、先端に端子34がそれぞれ圧着固定された複数本、例えば3本の被覆電線35…を電磁ノイズ(以下単にノイズと略記する)からシールドするシールド編組36と、3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から一括して一体的に覆う保護カバーとしてのゴム製のブーツ37と、このブーツ37の基端部37cに挿入配置されて3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から保護するコルゲート管38(いわゆるコルゲートチューブ)と、を備えている。
さらに、シールド編組36を金属カバー32の外周部に締付けて固定する2分割構造のクランプ39,39と、2分割構造のクランプ39,39を締付け固定するボルト40及びナット41と、ブーツ37を金属カバー32にその外周側から固定するバンド42と、を備えている。
上述の被覆電線35は複数本の電線35aを、絶縁被覆部材35bで覆ったもので、この実施例では、3本の被覆電線35…を横方向に所定等間隔を隔てて配置している(図3参照)。
上述のシール部材31は、3本の被覆電線35を外嵌したもので、該シール部材部材31は、図2に示すように、先端側の大径部31Aと、基端側の小径部31Bと、これら両部31A,31Bの中間に位置する中間径部31Cとを、正面視長円形状に一体形成した合成ゴム製のものである。
また、シール部材31には、3本の被覆電線35を挿通する挿通孔31a…を該シール部材31の基端側から先端側に向けて矢印X,Yの方向に貫通形成するとともに、中間径部31Cと小径部31Bとの間には環状の凹溝31bを凹設形成している。
なお、挿通孔31aは、大径部31Aに相当する部分に亘って、被覆電線35の挿通が許容される長さに貫通形成している。
ここで、上述の大径部31Aは金属カバー32の先端側から図1に示すコネクタ接続用補機43側に突出する突出部であって、この大径部31A(つまり突出部)の外周には、該コネクタ接続用補機43に形成した孔部44の内周に向けて径外方向に突出するハウジングシール部31cが一体形成されている。
上述のコネクタ接続用補機43には、ハウジングシール部31cが挿入許容される孔部44を形成している。
上述のハウジングシール部31cは、断面が三角形状となる凸部に形成されており、シール部材31の正面視長円形状部の外形全周に沿って一体形成したもので、この実施例では環状かつ2条のハウジングシール部31cを備えているが、2条よりも多い複数条のハウジングシール部31cを設ける構造を採用してもよい(図2参照)。
また、シール部材31の各挿通孔31aの先端側で大径部31Aの内周には、ハウジングシール部31cと対応するように、該挿通孔31aに挿通された被覆電線35の外周に向けて径内方向に突出するワイヤシール部31dが一体形成されている。このワイヤシール部31dは被覆電線35の外周をシールするもので、該ワイヤシール部31dは、断面が三角形状となる凸部に形成されており、挿通孔31aの内周に一体形成されている(図2参照)。
この実施例では、環状かつ2条のワイヤシール部31d,31dを備えているが、2条よりも多い複数条のワイヤシール部31dを設ける構造を採用してもよい。
上述の金属カバー32は、図1、図2に示すように構成されている。
すなわち、該金属カバー32は、シール部材31の段付き形状を有する中間径部31Cに対応する正面視長円筒形状の段付き筒部32aと、この段付き筒部32aの基端側から径方向内方に向けて一体に屈曲形成された折曲げ部32bと、段付き筒部32aの先端側上部における一方側コーナ部と、他方側コーナ部と、段付き筒部32aの先端側下部中央とからそれぞれ外方に向けて延びる取付け片32c…と、各取付け片32cに開口形成した取付け孔32d…と、を備えている。
そして、金属カバー32の折曲げ部32bをシール部材31の凹溝31bに係合させることにより、金属カバー32の内周部でシール部材31を保持すべく構成したものである。
上述の金属カバー32としては、実施例1と同様に、深絞り用冷間圧延鋼板SPCEにスズメッキを施したものや、鉄部材に亜鉛メッキを施したものを用いることができる。
上述のシールド編組36(braided wire、編組線)は小幅偏平な金属部材(導電性を有する部材)を編んで形成した筒状体であり、被覆電線35を包んでノイズの遮蔽(つまり磁気シールド)に用いられるもので、この実施例においても先の実施例1と同様に、3本の被覆電線35…をシールド編組36で一括してシールドするように構成している。
上述のブーツ37は、図1に示すように、その外周部にバンド42を装着する環状の凹溝37aが形成された先端部37bと、その内周部にコルゲート管38を配置する基端部37cと、先端部37bと基端部37cとを連結する前側連結部37dとを、ゴム部材にて一体形成したものである。
また、ブーツ37の先端部37bは、金属カバー32における段付き筒部32aの外周形状に対応すべく正面視長円形状に形成されており、ブーツ37の基端部37cは、コルゲート管38の外周形状に対応すべく円筒状に形成されており、このブーツ37により3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から一括して一体的に覆い、特に、シールド編組36を防水保護するように構成している。
上述のコルゲート管38は、その先端部がブーツ37の基端部37c内周に内嵌され、このコルゲート管38で3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から保護するように構成している。
次に、シールド編組36の固定方法について説明する。
金属カバー32の折曲げ部32bをシール部材31の環状の凹溝31bに係合させて、金属カバー32内周にシール部材31を係合保持させた状態下において、予め金属カバー32における段付き筒部32aの外周面にシールド編組36を配設する。
次に、金属カバー32の段付き筒部32aの基端側外周側にその基端側から先端側に向けてシールド編組36の先端部36aを被せ、クランプ39,39を段付き筒部32aの上下周面に装着した後、ボルト40及びナット41により締付け固定すると、金属カバー32の段付き筒部32a外周と、クランプ39,39内周との間に、シールド編組36を挟持固定することができる。
次に、金属カバー32の段付き筒部32aの先端側外周側にその基端側から先端側に向けてブーツ37の先端部37bを被せ、バンド42を先端部37bの凹溝37aに装着して締付け固定すると、金属カバー32の段付き筒部32a外周と、バンド42内周との間に、ブーツ37の先端部37bを挟持固定することができる。
次に、コネクタ30をコネクタ接続用補機43に接続する場合、図1に示すように、金属カバー32の各取付け片32c…における取付け孔32dに挿入するボルトやビスなどの取付け部材(図示せず)を用いて、該金属カバー32をコネクタ接続用補機43に接続する。
この場合、端子34が接続された被覆電線35の先端側を、図1に示すように、コネクタ接続用補機43の孔部44に挿入するとともに、シール部材31の大径部31Aの外周に一体形成したハウジングシール部31cを、コネクタ接続用補機43の孔部44の内周に押し付けて弾性変形させ、孔部44の内周に対して水密状態に密着させてシールする。
また、被覆電線35をシール部材31の挿通孔31aに挿通した場合、該挿通孔31aの内周に一体形成した大径部31Aに対応する位置のワイヤシール部31dを、被覆電線35の外周に押し付けて弾性変形させ、被覆電線35の外周に対して水密状態に密着させてシールする。
これにより、例えば水分や油分、塵埃等の異物が、シール部材31と被覆電線35との対向面間、該シール部材31と孔部44との対向面間からコネクタ接続用補機43の内部へ侵入することを防止できる。
ここで、シール部材31の大径部31Aに一体形成されたハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとは、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを互いの弾性力が作用するように、大径部31Aの外周と内周とにそれぞれ配置いている。
すなわち、シール部材31の大径部31Aにおいて、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを、これらシール部31c,31dのうち一方のシール部の弾性変形による反発力が他方のシール部の止水性を高める方向に作用する位置関係に配置している。
これにより、ハウジングシール部31cが孔部44の内周に押し付けられることで、ハウジングシール部31cは径内方向に向けて弾性変形し、ハウジングシール部31cの弾性変形による復元力(反発力)が大径部31Aに蓄積される。
その大径部31Aに蓄積される復元力がワイヤシール部31dの止水性を高める方向に作用し、ワイヤシール部31dが被覆電線35の外周に対して強く押し付けられるため、被覆電線35の外周に対して食い込むことになり、ワイヤシール部31dと被覆電線35との密着性が向上する。
また、ワイヤシール部31dが被覆電線35の外周に押し付けられることで、ワイヤシール部31dは径外方向に向けて弾性変形し、ワイヤシール部31dの弾性変形による復元力(反発力)が大径部31Aに蓄積される。
その大径部31Aに蓄積される復元力がハウジングシール部31cの止水性を高める方向に作用し、ハウジングシール部31cが孔部44の内周に対して強く押し付けられるため、ハウジングシール部31cと孔部44との密着性が向上する。
つまり、止水部材31の大径部31Aに、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを互いの弾性力が相互作用するように形成しているので、大径部31Aに蓄積される復元力が、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとの止水性を高める方向に相互作用することになる。
この結果、両シール部31c,31dが協働して、双方のシール部31c,31dの止水性が高められるため、被覆電線35及びコネクタ接続用補機43に対する止水部材31の密着性が向上することとなり、優れた止水性を確保することができる。
また、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを形成した大径部31A以外の弾性力が低くても、止水部材31自体の密着性が損なわれることはなく、止水部材31全体として優れた止水性を確保することができる。
さらに、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとが形成された大径部31A以外の肉厚を、水密状態を維持できる塑性変形量に抑えられるような厚みに形成する必要がなく、所定の厚みに形成することができる。
このため、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを、例えば大径部31A以外の部分(基端側)の肉厚を薄くしたり、シール部材31の基端側を短くする等して、シール部材31を構成する材料の使用量を大幅に削減することができる。
この結果、密着性及び止水性に優れた止水部材31を安価に製造することができるとともに、コネクタ30全体の小型化を図ることができる。
さらに、シールド編組36を設けたことにより、3本の被覆電線35をノイズから一括してシールドすることができ、また、ブーツ37を設けたことによりシールド編組36の防水性を確保することができる。
さらにまた、シール部材31は、金属カバー32の先端側からコネクタ接続用補機43側に向けて突出する突出部(大径部31A参照)を有し、該突出部(大径部31A参照)の外周にハウジングシール部31cを一体形成したものである(図2参照)。
この構成によれば、シール部材31の突出部(大径部31A)外周に設けたハウジングシール部31cと、内周に設けたワイヤシール部31dとで、コネクタ接続用補機43内に上述の異物が浸入することを防止できる。
また、上述のハウジングシール部31cは突出部(大径部31A)の外周に設けられているので、広い面積で効率的に防水シールを行なうことができる。
加えて、コネクタ30とコネクタ接続用補機43とを接続するコネクタ接続構造において、コネクタ接続用補機43のコネクタ30が接続される接続側端面に、シール部材31における突出部(大径部31A)の挿入が許容される孔部44を形成したものである(図1参照)。
この構成によれば、コネクタ接続用補機43の孔部44に挿入許容されるシール部材31の広い面積のハウジングシール部31cにより、コネクタ接続用補機43内に、例えば水分や油等の異物が浸入することを防止できる。
(第2実施形態)
図6、図7はコネクタ30及びコネクタ接続構造の他の実施例を示し、図6は第2実施形態のコネクタ30及びコネクタ接続構造を示す断面図、図7は図6のシール部材51と金属カバー32の他の組合せ構造を示す断面図で、特に、ハウジングシール部51cとワイヤシール部51dのノーマル状態を示す図である。
また、図6、図7においても、コネクタ30の先端側を矢印Xで、コネクタ30の基端側を矢印Yで示す。
なお、第2実施形態に於いて、前述の第1実施形態と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
図6、図7において、コネクタ30は、正面視長円形状のシール部材51と、内周部で該シール部材51を保持する正面視長円筒形状の環状の金属カバー32(いわゆるシールドカバー)と、先端に端子34がそれぞれ圧着固定された複数本、例えば3本の被覆電線35…をノイズからシールドするシールド編組36と、3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から一括して一体的に覆う保護カバーとしてのゴム製のブーツ37と、このブーツ37の基端部37cに挿入配置されて3本の被覆電線35及びシールド編組36をその外周側から保護するコルゲート管38(いわゆるコルゲートチューブ)と、を備えている。
さらに、シールド編組36を金属カバー32の外周部に締付けて固定する2分割構造のクランプ39,39と、2分割構造のクランプ39,39を締付け固定するボルト40及びナット41と、ブーツ37を金属カバー32にその外周側から固定するバンド42と、を備えている。
上述の被覆電線35は複数本の電線35aを、絶縁被覆部材35bで覆ったもので、この実施例では、3本の被覆電線35…を横方向に所定等間隔を隔てて配置している(図3参照)。
上述のシール部材51は、3本の被覆電線35を外嵌したもので、該シール部材部材51は、図7に示すように、先端側の大径部51Aと、基端側の小径部51Bと、これら両部51A,51Bの中間に位置する中間径部51Cとを、正面視長円形状に一体形成した合成ゴム製のものである。
また、シール部材51には3本の被覆電線35を挿通する挿通孔51a…を矢印X,Yに向けて貫通形成するとともに、中間径部51Cと小径部51Bとの間には環状の凹溝51bを凹設形成している。
ここで、上述の大径部51Aは金属カバー32の先端側から図6に示すコネクタ接続用補機43側に突出する突出部であって、この大径部51A(つまり突出部)の先端面には、該コネクタ接続用補機43に形成した孔部44を中心とする該孔部44周囲の端面に向けて突出するハウジングシール部51cが一体形成されている。
上述のコネクタ接続用補機43には、ハウジングシール部51cが挿入許容される孔部44を形成している。
上述のハウジングシール部51cは、断面が三角形状となる凸部に形成されており、シール部材51の正面視長円形状部を有する大径部51Aの先端側周縁部に沿って一体形成したもので、この実施例では環状かつ2条のハウジングシール部51cを備えているが、2条よりも多い複数条のハウジングシール部51cを設ける構造を採用してもよい(図7参照)。
また、シール部材51の各挿通孔51aの先端側で大径部51Aの内周には、ハウジングシール部51cと対応するように、挿通孔31aを中心とする同心円上に、該挿通孔51aに挿通された被覆電線35の外周に向けて突出するワイヤシール部51dが一体形成されている。
このワイヤシール部51dは被覆電線35の外周をシールするもので、該ワイヤシール部51dは、断面が三角形状となる凸部に形成されており、挿通孔51aの内周に一体形成されている(図7参照)。
この実施例では、環状かつ2条のワイヤシール部51d,51dを備えているが、2条よりも多い複数条のワイヤシール部51dを設ける構造を採用してもよい。
金属カバー32は、シール部材51の中間径部51Cの形状に対応する正面視長円筒形状の筒部32aと、この筒部32aの基端側から径方向内方に向けて一体に屈曲形成された折曲げ部32bと、筒部32aの先端側上部における一方側コーナ部と、他方側コーナ部と、段付き筒部32aの先端側下部中央とからそれぞれ外方に向けて延びる取付け片32c…と、各取付け片32cに開口形成した取付け孔32d…と、を備えている。
そして、金属カバー32の折曲げ部32bをシール部材51の凹溝51bに係合させることにより、金属カバー32の内周部でシール部材51を保持すべく構成したものである。
次に、コネクタ30をコネクタ接続用補機43に接続する場合、図6に示すように、金属カバー32の各取付け片32c…における取付け孔32dに挿入するボルトやビスなどの取付け部材(図示せず)を用いて、該金属カバー32をコネクタ接続用補機43に接続する。
この場合、端子34が接続された被覆電線35の先端側を、図6に示すように、コネクタ接続用補機43の孔部44に挿入するとともに、シール部材51の大径部51Aの先端面に一体形成したハウジングシール部51cを、コネクタ接続用補機43の孔部44を中心とする該孔部44周囲の端面に押し付けて弾性変形させ、孔部44周囲の端面に対して水密状態に密着させてシールする。
また、被覆電線35をシール部材51の挿通孔51aに挿通した場合、該挿通孔51aの内周に一体形成した大径部51Aに対応する位置のワイヤシール部51dを、被覆電線35の外周に押し付けて弾性変形させ、被覆電線35の外周に対して水密状態に密着させてシールする。
これにより、例えば水分や油分、塵埃等の異物が、シール部材51と被覆電線35との対向面間、該シール部材51とコネクタ接続用補機43との対向面間からコネクタ接続用補機43の内部に侵入することを防止できる。
ここで、シール部材51の大径部51Aに一体形成されたハウジングシール部51cとワイヤシール部51dとは、シール部材51の先端側端面(大径部51Aの先端側端面)と先端側内周(大径部51Aに対応する挿通孔51aの先端側内周)とにそれぞれ配置している。
すなわち、シール部材51の大径部51Aにおいて、ハウジングシール部51cとワイヤシール部51dとを、これらシール部51c,51dのうち一方のシール部の弾性変形による反発力が他方のシール部の止水性を高める方向に作用する位置関係に配置している。
これにより、ハウジングシール部51cが孔部44周囲の端面に押し付けられることで、ハウジングシール部51cは基端側(矢印Y)に向けて弾性変位し、ハウジングシール部51cの弾性変形による復元力(反発力)が大径部51Aに蓄積される。
その大径部51Aに蓄積される復元力がワイヤシール部51dの止水性を高める方向に作用し、ワイヤシール部51dは被覆電線35の外周に対して強く押し付けられ、被覆電線35の外周に対して食い込むことになるので、ワイヤシール部51dと被覆電線35との密着性が向上する。
また、ワイヤシール部51dを被覆電線35の外周に押し付けた際、ワイヤシール部51dは径外方向へ弾性変形し、ワイヤシール部51dの弾性変形による復元力(反発力)が大径部51Aに蓄積される。
その大径部51Aに蓄積される復元力がハウジングシール部51cの止水性を高める方向に作用し、ハウジングシール部51cが孔部44周囲の端面に対して強く押し付けられるため、ハウジングシール部51cと孔部44周囲の端面との密着性が向上する。
つまり、止水部材51の大径部51Aに、ハウジングシール部51cとワイヤシール部51dとを互いの弾性力が相互作用するように形成しているので、大径部51Aに蓄積される復元力がハウジングシール部51cとワイヤシール部51dとの止水性を高める方向に相互作用することになる。
この結果、両シール部51c,51dが協働して、双方のシール部51c,51dの止水性が高められるため、被覆電線35及びコネクタ接続用補機43に対する止水部材51の密着性が向上することとなり、優れた止水性を確保することができるので、第1実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
また、ハウジングシール部51c及びワイヤシール部51dが形成された大径部51Aを、該大径部51Aが拘束される断面形状に形成した金属カバー32にて拘束しているため、被覆電線35の周面やコネクタ接続用補機43の端面に押し付けた際に付与される反発力でもって、ハウジングシール部51c及びワイヤシール部51dが押し付け方向と逆の方向に向けて変形しようとするのを阻止される。
これにより、被覆電線35の周面やコネクタ接続用補機43の端面に対してハウジングシール部51c及びワイヤシール部51dが押し付けられる方向に大径部51Aに蓄積された復元力(反発力)が積極的に作用することになるので、密着性及びシール性をさらに高めることができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の止水部材は、実施形態のシール部材31,51に対応し、
以下同様に、
突出部は、大径部31A,51Aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
実施形態における凸部を、例えば円弧形状、半円形状、四角形状、矩形状、波形状等の所定方向に向けて突出する形状に形成してもよく、図2、図7に示す三角形状のみに限定されるものではない。
なお、ハウジングシール部31cとワイヤシール部31dとを、大径部31Aにおいて、矢印X,Yの方向に多少位置をずらして配置してもよい。
また、ハウジングシール部31c,51cとワイヤシール部31d,51dとを、例えば一つの挿通孔31aを中心として同心円上に形成してもよい。
30…コネクタ
31,51…シール部材
31A,51A…大径部(突出部)
31a…挿通孔
31c,51c…ハウジングシール部
31d,51d…ワイヤシール部
32…金属カバー
35…被覆電線
36…シールド編組
37…ブーツ
38…コルゲート管
43…コネクタ接続用補機
44…孔部

Claims (4)

  1. コネクタ接続用補機に形成した孔部に挿入される被覆電線に外嵌した弾性を有する止水部材と、該止水部材を保持して、前記コネクタ接続用補機に組み付けられる金属カバーとを備えたコネクタであって、
    前記止水部材を、
    前記金属カバーの内部に保持される被保持部と、
    前記金属カバーの内部に保持される前記被保持部の先端側において、前記孔部に対して挿入される方向に向けて、前記金属カバーから突出する突出部とで構成するとともに、
    該突出部を、前記金属カバーと前記コネクタ接続用補機との組付状態において、前記孔部に対して挿入可能に構成し、
    前記止水部材に、
    前記突出部に相当する部分に亘って、前記被覆電線の挿通が許容される長さに形成した挿通孔と、
    前記挿通孔と前記被覆電線との対向面間をシールするワイヤシール部と、
    前記コネクタ接続用補機と前記コネクタとの対向面間をシールするハウジングシール部とを備え、
    前記ワイヤシール部及び前記ハウジングシール部のうちいずれか一方のシール部の弾性変形による反発力が他方のシール部の止水性を高める方向に作用する位置関係となるように、
    前記ワイヤシール部を、前記突出部における前記挿通孔の内周に配置するとともに、
    前記ハウジングシール部を、前記突出部の外周に配置した
    コネクタ。
  2. 前記ワイヤシール部を、
    前記被覆電線の外周に向けて突出する凸部で構成した
    請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記ハウジングシール部を、
    前記コネクタを前記コネクタ接続用補機に接続した接続状態において、
    該コネクタ接続用補機と対向する方向に向けて突出する凸部で構成した
    請求項1又は2に記載のコネクタ。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の前記コネクタと前記コネクタ接続用補機とを接続するコネクタ接続構造であって、
    上記コネクタ接続用補機の前記コネクタが接続される接続側端面に、上記突出部の挿入が許容される孔部を形成した
    コネクタ接続構造。
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