以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、この事業活動分析評価システムについての第1の実施の形態を説明するシステム構成図である。ここでは、共通の事業活動を複数のグループが実施するものとして、全国的に実施されている介護保険制度を例示している。
この介護保険制度は、管理監督を行う厚生労働省の下、各市区町村が保険者(グループ)となり共通の事業活動である介護保険制度を運営している。この介護保険制度では、その事業活動の遂行にあたり各種の処理が実施され、その各種処理結果の中の予め特定されたパターンの発生件数が得られる。例えば、上述した要介護度の認定作業における二次判定なども処理の一つであり、その処理結果の中のパターンとして、要支援1・要支援2及び要介護1〜要介護5までの要介護度別の認定件数が、パターンの発生件数(認定件数)として得られる。そこで、このパターンの発生件数に基づいて処理である認定作業の二次判定に対する評価を行い、これら評価結果により保険者毎のランキングを行うようにする。以下、図1を用いて、介護保険制度に関する事業活動分析評価システムについて、先ずその概要を説明する。
図1は、介護保険制度の認定作業を対象としたものであり、管理監督部門の所管する認定支援センター11には、全国の保険者(市区町村)の認定データ12が蓄積保管されている。分析データ元取込装置13は、認定支援センター11から全国の保険者の認定データを取得し、変換データ作成手段131により、認定データ(1認定結果/1レコード)の複数の項目の値を参照して、後述する一次分析に使用できるデータ項目132の生成を行う。このデータ項目132としては、認定データの値をそのまま用いるもの(認定データと呼ぶ)と、実データを分析機能で参照する値に変換が必要なもの(変換データと呼ぶ)とがあり、この認定データ+変換データから成るデータ項目132は、データベースの形で保持される。
すなわち、上記データ項目132は、ある共通の事業活動(介護保険)を実施する複数のグループ(保険者)の、前記事業活動に伴う各種処理結果の分析可能なデータ(認定データ+変換データ)であり、データベースとして保管されている。
分析サーバ群14は、各保険者の情報、すなわち、上記データ項目(認定データ+変換データ)132を、保険者マスター15の情報を用いて、各保険者別に取り込んで分析処理を行う。この分析サーバ群14は、全国千数百に上る保険者からの大規模なデータを処理するために複数のサーバを組み合わせ、各サーバにより、全国各地域の保険者の情報を分担して処理する。この分析サーバ群14の処理機能として、一次分析手段141と二次分析手段142とが設けられている。
一次分析手段141は、上記データベース132のデータ項目を用いて、処理結果の種類毎に、予め特定されたパターンの発生件数をグループ(保険者)別に、かつ特定された期間毎に集計する。集計結果は一次分析結果143として保持される。例えば、上述した要介護度の認定作業における二次判定結果なども分析対象の一つであり、二次判定の処理結果の中の一つのパターンである、要支援1・要支援2及び要介護1〜要介護5の各段階の認定件数が、パターンの発生データとして得られる。一次分析手段141は、これらの認定データを用いて、パターンの発生件数を集計し、一次分析結果143のデータとして保存する。
もちろん、分析対象は二次判定に限るものではなく、認定作業においては、審査会による一次判定から二次判定への重度変更および軽度変更のなどがパターンに該当し、この場合、一次分析結果143のデータとしては、重度変更及び軽度変更に関する発生件数が得られる。
二次分析手段142は、一次分析結果(各要介護度の各発生件数)143に基づく評価係数を各グループ(保険者)について算出する。算出された評価係数は、二次分析結果144として保持される。なお、この評価係数の算出の詳細は後述する。
情報公開サーバ16は情報出力手段として機能するものであり、データ通信手段を構成するインターネット17などの通信網を介して、情報要求元である外部コンピュータ18(例えば、各保険者のコンピュータや、厚生労働省の保険者管理監督部門のコンピュータ等)と接続しており、Webによる情報公開手段161を有する。この情報公開手段161は、外部コンピュータ18から出力条件を受けると、この出力条件に指定された範囲に属する各グループ(保険者)に対して、保険者マスター15の情報を用いて、2次分析結果である評価係数に基づく順位付けを行い、この順位付けされた情報を出力する。
上記構成において、この事業活動分析評価システムは、各保険者により過去に実施された認定データを分析対象として、保険者別の事業活動の効果を測定するための分析結果を作成するものである。そして、管理監督部門である厚生労働省に対しては、分析された各保険者のランキング情報を提供でき、各保険者に対しては、分析された自己の評価がどの位置にランキングされているかの検索機能を提供できるように構成されている。その際のランキングの対象は、複数の集計範囲、例えば全国規模、同一都道府県内、同一人口規模、等々、任意の集計範囲を指定することができる。さらに、保険者自身について、自己の分析結果の履歴(経年変化)を検索することもできるようにした。以下、上記システムの詳細を説明する。
まず、分析結果元取込装置13についてさらに詳細に説明する。認定支援センター11には、前述したように、全国の保険者(市区町村)が、介護保険制度発足からこれまでの間に実施した過去の認定データ12が蓄積保管されている。分析データ元取込装置13は、認定支援センター11から取得した認定データ(1認定結果/1レコード)の、複数の項目の値を参照して、変換データ作成手段131により、一次分析に使用できるデータ項目(認定データ+変換データ)132を生成する。
このデータ項目132のうち、認定データの値をそのまま用いるものとしては、保険者番号、被保険者番号、被保険者の生年月日、認定日、一次判定結果、二次判定結果、・・・、自立度、中間評価点、類似状態像、・・・等がある。これに対し、実データを分析機能で参照する値に変換が必要な変換データとしては、被保険者の認定時年齢(生年月日と認定日とから年齢算出)、参考指標による二次判定候補等がある。この二次判定候補は本件出願人により特願2007−81677号で提案されたもので、例えば、以下の4つの参考指標について、認定対象者に対する認定調査結果と過去の要介護認定結果の統計データを用いて認定対象者毎にそれぞれ求める。
1.自立度組み合わせによる要介護度別分布
2.要介護度変更の指標
3.類似状態像例
4.要介護度別に見た中間表価項目の平均得点
そして、これら参考指標毎に得られた二次判定候補のうち、二次判定候補として最も多く出力された要介護度を最終的な二次判定候補とする。例えば、上記各参考指標の二次判定候補として「要介護4」が3つ出力され、「要介護5」がひとつ出力されている場合は、最終的な二次判定候補は「要介護4」とするもので、このように、実データを基に所定の演算により、各認定対象者についての二次判定候補が変換データとして得られる。
分析サーバ群14は、各保険者の情報である上記データ項目(認定データ+変換データ)を、保険者マスター15の情報を用いて、各保険者別に取り込んで分析処理を行う。この場合、分析サーバ群14を構成する複数のサーバの負荷が均等化されるように、保険者マスター15の情報の一つである各保険者の認定者数とサーバスペックとを用いて各サーバが扱う保険者を決定して割り振る。なお、保険者マスター15の情報としては、保険者コード、保険者名称、都道府県コード、人口、認定者数・・・等が保持されている。
この分析サーバ群14の処理機能である一次分析手段141では、データ項目132を用いて、各保険者の事業活動に関する効果を測定するために必要となる分析(パターン発生件数の集計)を、保険者毎に実行する。この分析の結果は一次分析結果143として保存する。分析実行のタイミングは、年次/半期/四半期/月別等、分析の種類により異なる。例えば、上述した要介護度の認定作業における二次判定結果なども保険者の事業活動に関する効果を測定するために必要となる処理結果(分析対象)の一つであり、要支援1・要支援2及び要介護1〜要介護5までの各段階の認定件数が、パターンの発生件数として得られる。この一次分析の具体例を以下説明する。
図1には図示されていないが、分析サーバ群14及び情報公開サーバ16が共有する分析コードマスタが設けられており、分析用コードとして、分析名称(分析のタイトル)、分析期間、すなわち、分析のサイクル(年次/半期/四半期/月別、等)、パターン数(一次分析結果のパターン数)、がそれぞれ設定されている。
分析サンプルは、上記分析用コードマスタに設定された内容に従い、次の通りとする。分析名称は、新規申請者の一次判定結果であり、対象データ条件は申請区分新規の一次判定結果とする。分析パターン項目は、分析対象が一次判定結果であるので、要介護1:パターン1、要介護2:パターン2、要介護3:パターン3とする(なお、この例では、これ以外の要介護4,5などは比較的少数であるから分析対象外としている)。分析対象期間は四半期とし、分析対象開始年月は2007年4月とする。
図2はこの一次分析を説明するもので、図示左側の分析用取込データ(データ項目132のデータ:以下、分析用取込データ132として説明する)を、一次分析手段141で分析したことにより、図示右側の分析結果143が得られたことを示している。分析用取込データ132は、保険者AAAAAAとBBBBBBとのデータで、認定日が2007年3月、4月、5月のデータが混在し、申請区分は新規と更新の双方が混在し、一次判定結果は要介護1,2,3のデータが混在している。
一次分析手段141は、分析用取込データ132から、認定日が『2007年4月』で申請区分が『新規』のデータを抽出し、保険者別で、一次判定結果別(パターン別)の件数を集計している。一次判定結果に対するパターン番号の対応関係は次のとおりである。
要介護1:パターン番号1
要介護2:パターン番号2
要介護3:パターン番号3
この結果、分析結果143は、保険者AAAAAAの認定日が『2007年4月』で申請区分が『新規』のデータは、要介護1:パターン番号1が4件、要介護2:パターン番号2が2件、要介護3:パターン番号3が1件となる。また、保険者BBBBBBでは、要介護1:パターン番号1が3件、要介護2:パターン番号2が1件、要介護3:パターン番号3が1件となる。
二次分析手段142は、一次分析結果143に基づいて評価係数を各保険者について算出する。算出された評価係数は、二次分析結果144として保持される。この評価係数は、次式(1)で示すように、一次判定の各パターン別の件数に対し、全体に対する比率とパターン毎の、予め設定した評価点を掛けあわせた値(加重平均値)を評価係数とし、これを二次分析結果として算出する。
すなわち、図3で示すように、一次分析結果143では、保険者AAAAAAにおける各パターン別の件数はパターン1(要介護1):4件、パターン2(要介護2):2件、パターン3(要介護3):1件で、総件数は7件となる。同様に、保険者BBBBBBにおける各パターン別の件数はパターン1(要介護1):3件、パターン2(要介護2):1件、パターン3(要介護3):1件で、総件数は5件となる。また、パターン毎の評価点は、二次分析手段142の評価点マスター142mに設定されているように、パターン1(要介護1):1点、パターン2(要介護2):2点、パターン3(要介護3):3点である。これらを上記式(1)に代入すると、図3の計算式で示すように、保険者AAAAAAの評価係数は1.57、保険者BBBBBBの評価係数1.60となる。これらの数値は、二次分析結果144のデータ、すなわち、図示のように、保険者AAAAAA,BBBBBB別の、対象年月日:2007年4月(対象期間の開始月)における評価係数として保持される。二次分析結果144のデータとしては、このほか、分析の種類(上記例では一次判定の分析)別に割り当てられた番号が分析コードとして付加される。
なお、評価係数は加重平均値に限らず、分析する内容によっては加重平均値以外の分析パターンも使用する。例えば、一次分析結果のパターンが、一次判定から二次判定への重度変更の割合(重度変更率)とした場合、その発生件数から割合(%)算出し、この割合そのものを評価係数とする。いずれにしても、最終的に1保険者に対し1評価係数を算出し、その値により保険者の順位が決定する。この二次分析結果は後続する情報公開サーバ16のデータベース162へも出力される。
なお、評価係数の評価パターンとして値の昇順とするか降順とするかは分析内容に応じて適宜設定する。
情報公開サーバ16の情報公開手段161は、外部コンピュータ18から出力条件を受けると、この出力条件に基づいて検索を行い、指定された範囲に属する各保険者に対して、2次分析結果である評価係数に基づく順位付けを行い、この順位付けされた情報を出力する。
すなわち、各保険者は自身が保有するコンピュータ18により、保険者コードとパスワードを入力し、通信網17を介して情報公開サーバ16にログインすることにより検索可能となる。検索メニューは大きく分けてランキング検索と履歴検索に分かれる。
ランキング検索では、図4で示すように、出力条件を指定するための検索画面41により、分析種類/対象(分析)期間/分析集計範囲の各条件指定を行う。これら条件指定が行われると、情報公開手段161によりデータベース162に対する検索が行われ、出力画面42で示すように、自分のランキング及び評価係数とランキング一覧の参照が可能となる。
ここで、上記検索には、図1で示した保険者マスター15、及び図5で示す集計範囲マスター51、集計範囲クラスマスター52が用いられる。
保険者マスター15には、保険者コード及び保険者名称の他、集計範囲判定項目として、保険者の属する都道府県コード、人口、認定者数、エリア、地形タイプ、・・・が格納されている。集計範囲マスター51は、図5で示すように、集計範囲の種類(エリア/環境の種別)、集計範囲の識別コード、集計範囲タイプ(後述する集計範囲判定項目をそのまま集計範囲として使用するかクラス情報へ変換するかを指定)、変換コード(クラス情報変換が必要な場合のクラスマスター52のコード)、集計範囲判定項目(保険者マスターのどの集計範囲判定項目を使用するか指定)、が設定されている。集計範囲クラスマスター52には、同じく図5で示すように、集計範囲コード、変換後の判定値コード(集計範囲クラスマスター51の変換コード欄の値)、閾値(開始):変換時の集計範囲項目の値範囲の開始値、閾値(終了):変換時の集計範囲項目の値範囲の終了値、が設定されている。
図4の画面例では、検索条件として、分析種類を指定し(例えば、介護保険制度の認定処理等)、対象期間(開始月)を指定し、分析集計範囲を指定する。集計範囲はエリア別及び環境別のいずれか、又は双方を指定する。エリア別では、選択肢の中から「同一都道府県」を選択している。また、環境別では「同地形」を選択している。したがって、集計範囲マスター51のコード「01」と「05」のいずれか、又は双方が指定される。上記いずれかが指定された場合、検索者(保険者)自身と同じ都道府県の中の保険者、或いは検索者と同じ地形(例えば、山間地とする)の地域に存在する他の全ての保険者を対象としてランキング検索が行われる。
また、集計範囲選択において、例えば、エリア別では同一広域エリアが指定され、環境別では人口規模が指定された場合、検索者(保険者)自身の地域の人口が20万未満であれば、集計範囲マスター51のコード「02」と「03」が指定され、同じ条件の他のすべての保険者を対象としてランキング検索が行われる。
検索結果は、図4の出力画面42で示すように、検索条件と共に自分のランキング及び評価係数とランキング一覧が表示される。ランキング一覧には順位/評価係数などが表示される。さらに、偏差値を加えてもよい。また、ランキングは評価係数に対し、昇順/降順のどちらかで表示を行う。図の例では、順位が上昇するに連れて評価係数の値が低くなる、いわゆる降順で表示されている。
このようなランキング検索が可能になることで、同種の業界における自己の位置付けを明確に把握することができ、問題点を明確化して事業活動の向上につなげることができる。
履歴検索では、図6で示す検索画面61により分析種類と分析期間の条件指定を行うことにより、情報公開手段161により履歴検索が実行され、出力画面62によって、検索者(保険者)自身の指定された期間内での分析の推移が、図示のように表及びグラフで表示される。表示する各コンテンツの詳細は分析の内容により異なるものでもよい。例えば、内容によりカテゴリ内での偏差値等も同時に算出し表示するようにしてもよい。
このように履歴検索を行うことにより、自己の事業に対する評価の推移が明確となるので、例えば、ある時点で事業改善のための施策を実施した場合、その施策実施時点の前後における推移から、施策実施による効果を明確に把握することができる。
次に、図7以降により本発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態は、各グループを管理監督する部門が、各グループの活動についての順位付けを定期的に行い、その結果を帳票の形で出力し、これを自部門や、管理監督対象の各グループに配布(配信)するようにしたものである。以下、詳細に説明する。
この実施の形態も、図1で示した実施の形態と同様に、介護保険制度の認定作業を対象とした例により説明する。すなわち、認定支援センター11に蓄積保管されている、全国の保険者(市区町村)の認定データ12を取得し、分析評価を行うのであるが、このデータ取得から分析評価、及びその結果出力を含め、この実施の形態では分析サーバ21により実行する。
分析サーバ21は、認定支援センター11から認定データ(1認定結果/1レコード)22をCSVにより取得する。このCSVによる認定データ22は、月別の全市区町村毎のデータで、例えば四半期毎に取得する。変換データ作成手段23は、認定データの複数の項目の値を参照して、前述した一次分析に使用できる分析用データ24の生成を行う。この分析用データ24としては、認定データの値をそのまま用いた認定データと、実データを分析機能で参照する値に変換した変換データとからなり、この分析用データ(認定データ+変換データ)24はデータベースの形で保持される。この分析用の認定データとしては前述のように、保険者番号、被保険者番号、被保険者の生年月日、認定日、一次判定結果、二次判定結果、・・・、自立度、中間評価点、類似状態像、・・・等がある。また、変換データとしては、同じく前述したように、被保険者の認定時年齢(生年月日と認定日とから年齢算出)、参考指標による二次判定候補等がある。この参考指標による二次判定候補は、認定対象者に対する認定調査結果と過去の要介護認定結果の統計データを用いて所定の演算を行う二次判定候補演算手段25から取得する。
分析処理実行処理手段27は、前述の図1で示した実施の形態における一次分析機能と二次分析機能とをあわせもっており、後述する分析帳票作成手段30と共有する分析マスター28のデータを参照しながら分析を行う。すなわち、この分析マスター28には分析用コードとして、分析名称(分析のタイトル)、期間パターン、すなわち、分析のサイクル(年次/半期/四半期/月別、等)、パターン数(一次分析結果のパターン数)等がそれぞれ設定されており、これらを参照して所定の分析を行う。
一次分析機能では、分析用データ24を用いて、予め特定されたパターンの発生件数をグループ(保険者)別に、かつ特定された期間毎に集計する。ここで、分析対象となるパターンは、例えば、認定作業における、審査会での一次判定から二次判定への重度変更とし、その発生件数を保険者別に集計する。勿論、分析対象はこれに限らず、審査会での一次判定から二次判定への軽度変更割合としてもよく、さらには、前述した第1の実施の形態と同様に、一次判定結果である、要支援1・要介護1相当及び要介護2〜要介護5の各段階の認定データを、パターンの発生データとして集計してもよい。一次分析機能では、これらの認定データを用いて、パターンの発生件数を集計し、保存する。
ここで、CSVとして取り込まれた認定データ22は、前述のように、月別の全市区町村毎のデータで、例えば四半期毎に取得されたものであるから、これに基づく一次分析結果は、保険者別の、四半期毎の分析データとなる。
二次分析機能では、一次分析結果に基づく評価係数を保険者別に求める。すなわち、重度変更の発生件数から、認定件数に対する発生割合(重度変更率)がその保険者の評価係数として求める。算出された評価係数は、分析結果29として保持される。
分析帳票作成手段30は情報出力手段として機能するもので、分析マスター28のデータ及び保険者マスター31に保持された各保険者に関するデータを用いて、分析結果29に基づく各保険者の順位付けを、予め設定された範囲毎に行い、この順位付けされた結果を帳票32として定期的(例えば四半期毎)に出力する。
この出力された帳票32は、紙に印刷されて、各保険者に配送してもよく、或いは、電子データとしファイル転送手段34により、情報通信手段として機能する既設の情報公開サーバ35に転送され、通信網36により予め設定された情報機器、例えば、各保険者や、厚生労働省の保険者管理監督部門のコンピュータ(情報機器)37に送信してもよい。
なお、各保険者のコンピュータ37による情報検索の場合は、各保険者が自身の集計分析結果のみを閲覧できる(他の保険者には閲覧できない)アクセス権制御等のセキュリティの仕組みが用意されているものとする。
次に、図7で示したシステムの詳細な動作を、先ず、各保険者が情報提供を受ける場合について、図8を用いて説明する。図8において、集計対象データ81は、平成21年度第1期分(4〜6月)のものとする。この集計対象データ81は、図7における認定支援センター11から取り込まれた認定データ22に基づく分析対象データ24に相当するものであり、例えば、第3行目についてみると、「市区町村」東芝市(保険者)の、「被保険者」東芝01に関する、「認定日(二次判定日)」がH21.4.7のデータで、「一次判定」は要支援1、「二次判定」は要支援2であり、したがって「判定変化(一次−二次)」は1段階アップとなり、「重度軽度変更」は重度変更ありを表している。
一次集計結果82は、この集計対象データ81を、図7の分析処理手段27で分析し、保険者(市区町村)別に集計したものである。例えば、第2行目の「市区町村」東芝市(保険者)の集計結果(一次分析結果)は、「認定者数」が10000人であり、このうち「重度変更件数」は1200件、「変更なし件数」は8000件、「軽度変更件数」は800件であり、これらから二次分析結果である「重度変更率」は12.0%が求められており、これらは、図7の分析結果データ29として保持されている。他の保険者である東北市、中部市についても、集計結果(一次分析結果)から、二次分析結果である「重度変更率」がそれぞれ求められ、分析結果データ29として保持されている。
市区町村マスタデータ83及び集計範囲の各クラス内訳データ84は、図7における保険者マスター31に保持されている。
市区町村マスタデータ83は、保険者である各市区町村に関する属性が設定されており、例えば「市区町村」東芝市についてみると、所属する「都道府県」は東芝県であり、「人口」は23000人で、「人口クラス」は集計範囲の各クラス内訳データ84からCクラスであり、「高齢者率」は19.3%で、「高齢者クラス」は集計範囲の各クラス内訳データ84からEクラスであり、「年間認定者数」は10000人で、「認定者数クラス」は集計範囲の各クラス内訳データ84からCクラスである。
集計範囲の各クラス内訳データ84は、保険者のランキングを集計するグループを、「人口」「高齢者率」「年間認定者数」の各集計範囲についてクラス分けするための基準(内訳)を設定したものである。例えば、「クラス」Aは、「人口」の集計範囲では80万人以上、「高齢者率」の集計範囲では35%以上、「年間認定数」の集計範囲では30,000人以上にそれぞれ設定されている。
図7で示した分析帳票作成手段30は、前述のように分析結果データ29として保持されている各保険者(東北市、東芝市、中部市、・・・)の重度変更率と、保険者マスター31に保持されている市区町村マスタデータ83及び集計範囲の各クラス内訳データ84とを用い、分析マスター28に設定されているランク集計範囲に従って演算を行い、この集計範囲ごとのランキングデータを生成する。この分析マスター28に設定された集計範囲は、図8で示すように、全国、都道府県内、同一人口、同一高齢者、同一認定者数とする。分析帳票作成手段30は、各保険者について、その保険者(図8の例では東芝市とする)の、各集計範囲におけるランキングデータ、すなわち、全国ランキングのデータ84a、都道府県(東芝市が属する東芝県)内ランキングデータ84b、同一人口規模ランキングデータ84c、同一高齢者率ランキングデータ84d、同一認定者数ランキングデータ84eをそれぞれ生成する。
これらのランキングデータ84a,84b,84c,84d,84eには、データ項目として「順位」「市区町村」「重度変更率」「偏差値」がそれぞれ設定されている。これらのデータにおいて、ランキング対象の保険者である東芝市は、重度変更率が12%、偏差値は67.0であり、全国規模の順位が85位、東芝市が属する東芝県内の順位が12位、東芝市の人口230000人と同一規模のクラスC(15〜30万人)における順位が7位、東芝市の高齢者率19.3%と同一規模のクラスE(15〜20%)における順位が15位、東芝市の認定者数10000人と同一規模のクラスc(6000〜12000人)における順位が20位であることが、他の保険者との比較において示されている。
分析帳票作成手段30は、これらのランキングデータ84a,84b,84c,84d,84eに基づき、分析結果帳票32として、図8で示すように、個別集計帳票85、集計範囲別一覧帳票86、履歴推移帳票87、詳細情報帳票88をそれぞれ各保険者について作成し出力する。
個別集計帳票85は、保険者である各市区町村へ情報提供する集計結果の要約となる。図8の例は、東芝市の重度変更率に関する平成21年度第1期分の集計結果(重度変更率=12%)を表している。この帳票では、集計範囲として、1.全国、2.都道府県、3.人口規模、4.高齢者率、5.年間認定者数が提示され、これらの集計範囲において東芝市が所属するクラス、各集計範囲での重度変更率の平均値、各集計範囲における順位、各集計範囲における偏差値、各集計範囲における前回集計結果との比較(閾値以上に向上していればΔ印)がそれぞれ示されている。
この帳票から、東芝市の重度変更率が、全ての集計範囲の平均値よりも有意に高いことがわかる。このような帳票を作成することにより、保険者である各市区町村の集計結果に対する関心を高め、認定平準化等の事業推進の動機付けを高めることができる。
なお上記の個別集計帳票の集計結果の要約情報は、第1の実施事例であるWeb画面等にて同様の形式で閲覧できるようにしてもよい。
集計範囲別一覧帳票86は、図9で示すように、各集計範囲(1.全国、2.都道府県、3.人口規模、4.高齢者率、5.年間認定者数)の東芝市が所属する各クラスでの集計結果を一覧形式で提供するものである。図の例では、全国規模の順位一覧と共に、東芝市が所属する各集計範囲の全市区町村(東芝県内:62市区町村、人口クラスC(15万人〜30万人):120市区町村、高齢者率クラスE(17.5%〜20.0%):240市区町村、年間認定者数クラスC(6000人〜12000人):300市区町村の中での重度変更率の集計値や属性情報である人口、高齢者率、年間認定者数が、順位でソートされ一覧形式で表示されている。なお、図中の左から2列目「自庁」列の「★」マーク分は、それぞれ東芝市の位置を表している。また、図中の効果計測の部分については後述する。
この集計範囲別一覧帳票86は、図8で説明した個別集計帳票85の詳細参考資料として運用される。この帳票86では、集計範囲ごとに自己の位置づけが他保険者(市区町村)との関係性とともに具体的に確認でき、より密度の濃い情報提供と動機付けの促進が期待される。
上述した個別集計帳票85と集計範囲別一覧帳票86は、あくまでもある時点でのランキング情報であったが、履歴推移帳票87は、各値の履歴推移を表している。すなわち、図10で示すように、評価対象保険者(市区町村)である東芝市の、重度変更率に関する集計値及び各平均値・順位・偏差値等の、各種の履歴変化分を定量化して示している。
図10において、先ず、基本情報として、各集計範囲について、その所属クラス、市区町村情報及び対象市区町村数がそれぞれ表形式で示されている。また、その下方には、全ての集計範囲の平均値・順位・相対順位・偏差値の履歴推移が、表形式とグラフ形式により、もれなく表示されている。すなわち、表のエリア871には過去4期分の各値の履歴推移が表示され、また、エリア872には最新集計結果(平成21年度第1期分)が表示され、さらに、エリア873には効果計測改善率の値とマークが表示されている。この効果計測改善率は、4期前に対する最新集計値の比率%と100%との差分に相当し、+%が改善、−%が悪化とみなす。△マークは、同改善率が閾値より大きい場合に付される。
また効果計測改善率の定義としては、4期前に対する最新集計結果の比率そのものを採用する方法も考えられ、同改善率+300%ならば3倍向上とみなす。
また、相対順位は、基準母数を100とした(規格化した)場合の相対的な順位を示す。これにより全ての集計範囲内の順位を単一のグラフで比較表示することが可能になる。
各グラフ874,875,876は、過去4期分から最新集計結果までの各値の履歴推移を示している。すなわち、グラフ874は東芝市の重度変更率の集計値の推移を、各集計範囲の所属クラスの平均値の推移と比較して示している。また、グラフ875は東芝市の各集計範囲の所属クラスにおける相対順位の推移を示しており、さらに、グラフ876は東芝市の各集計範囲の所属クラスにおける偏差値の推移を示している。
これらのグラフからわかる通り、この例では、東芝市の重度変更率は、4期前における各集計範囲の平均値と比べて突出して高かったが、4期経過する間に劇的に改善していることがわかる。ただし、東芝市が属する東芝県の平均値との関係だけが他の集計範囲の推移と異なる。これは、東芝県も東芝市と同様に大幅な改善が図られているためで、東芝市の東芝県内での順位や偏差値の変化率がその他と比べて相対的に小さくなっている。
この履歴推移帳票87では、グラフの確認により自己と各集計範囲の履歴推移の比較検討を行うことができる。特に自己の取組みによる重度変更率等の履歴推移が、各集計範囲の所属クラスの平均的な推移と比べてどうなのか、改善傾向や悪化傾向が勝るのか否か等を、定量的比較することができる。また、エリア873で示した効果計測改善率等に注目することで、市区町村が展開している各種認定平準化及び適正化施策の実施効果を定量的に把握できる。
このように、さまざまな定量的評価が可能になり、この帳票87を各保険者に提供することにより、認定平準化及び適正化の推進事業の効率や質の継続的ブラッシュアップが期待される。
また、この履歴推移帳票87の一種として、図11で示す効果計測改善率の履歴推移帳票87Aも作成する。図10で説明した効果計測の改善率は、あくまでも最新の集計値等と4期前の集計値等との比率から算出された最新状況に関する改善率のみを扱っていた。それに対し、この帳票87Aでは、改善率の履歴推移を追跡している。これにより、どの時期から効果が具体的に現れてきているかの把握が容易となる。
この帳票87Aにおいても、全ての集計範囲の平均値・順位・偏差値の履歴推移が、表形式とグラフ形式にてもれなく表示される。上記それぞれについて改善率を追跡するのは、例として、平均値は改善しているが順位や偏差値は改善していないといった推移を明らかにできるためである。
図11中のエリア871Aには過去4期分の履歴推移、エリア872Aには最新集計結果が表示される。各グラフ874A,875A,876Aから明らかなように、この例では、4期前の効果計測改善率はいずれもゼロであり、さらにその4期前から(すなわち最新から8期前から同4期前までは)何の改善もしていない状況であったことがわかる。東芝市の改善率は3期前からプラスに転じ、最新にいたるまで一貫して増加していることがわかる。つまり重度変更率が継続的に低下し続けていることが反映されている。この傾向が下げ止まりになると、効果計測改善率も減少を開始することになる。
なお、東芝県との関係だけが他の集計範囲と異なっている。これは、東芝県も東芝市と同様に大幅な改善が図られているため、東芝市の東芝県内での順位や偏差値の改善率がその他と比べて相対的に小さくなっているためで、この点は図10の場合と同じである。
図10の帳票87では、効果計測の改善率は最新の4期前に対するものと限定されており、実際に認定平準化や適正化の施策が4期前からでないケースの場合に、施策後4期後の効果として正しい意味を持たなくなるという問題がある。これに対し、図11で示した帳票87Aでは、各期で改善率が計算されるため、どの期の改善率を効果計測の定量的評価に採用すべきか等の解釈の柔軟性が増すことになる。これらのことから帳票87Aでは、各種施策の実施効果の開始時期によらず定量的な効果計測が柔軟に行えるようになる。
詳細情報帳票88には、関連項目条件チェック帳票88A(図12)と、該当条件対象者リスト88B(図13)とがある。
まず、関連項目条件チェック帳票88Aを説明する。前述した個別集計帳票85と集計範囲別一覧帳票86は、ある時点でのランキング情報であり、また、履歴推移帳票87も、情報の内容としてはランキング情報である。すなわち、どちらも認定平準化や適正化の取組みの結果情報のみを扱っており、そこに至った原因追求や対応策検討などに役立つ情報提供はなされていない。
そこで、この関連項目条件チェック帳票88Aでは、重度変更率等に影響を与える可能性がある関連項目に注目し、それらの項目条件ごとの重度変更率等と各集計範囲の重度変更率等とを比較し突出チェックを行う。そして、その結果を、各市区町村の自己分析や対策を行うにあたってのヒント情報として提供することを目的とする。
この帳票88Aは、図12で示すように、まず基本情報として、東芝市が属する各集計範囲(全国、都道府県、人口、高齢者率、認定者数)におけるクラス、東芝市の各集計範囲での値、東芝市が属するクラス、各集計範囲における保険者(市区町村)数が示されている。
次に、重度変更率の発生状況について、(1)〜(6)の各項目について、分析対象である東芝市の値が「市区町村集計値」の欄に示され、前記各集計範囲の平均値が「各種平均値」の欄にそれぞれ示されている。
すなわち(1)の全区分では、東芝市における重度変更率の件数が2400件、比率は全区分であるから100%、重度変更率の値は12%である。これに対し各集計範囲の重度変更率の平均値は、全国クラスで17.8%、都道府県内のクラスで13%、同一人口のクラスで16.0%、同一高齢者率のクラスでは17.0%、同一認定者数のクラスでは17.5%である。図中の「市区町村集計値」の「重度変更率」の列にある☆や★のマークは、市区町村集計値と全国平均との比率が閾値以上か以下かで表示される突出チェックマークである。図の例では、重度変更率の全国平均値に対する比率が1.3以上なら★マーク、0.7以下なら☆マークが付与される例で、(1)全区分での重度変更率は全国平均よりも閾値より低いこと(☆マーク)がわかる。
また、(2)から(6)までの各項目においても、各項目内における各区分別の重度変更の件数、各区分別の比率、各区分別の重度変更率と、各集計範囲における各区分別の重度変更率の平均値が示されている。これらから、関連項目それぞれの重度変更率で、全国平均よりも有意に低い項目条件としては、「一次判定:非該当」と 「変更時検証事項:状態像の例」の2条件であることがわかる。また逆に、全国平均よりも有意に高い項目条件としては、「一次判定:要介護1相当」「変更時検証事項:要介護度変更の指標」「申請区分:新規」「認定有効期間:6ヶ月以下」「在宅施設区分:施設」の5条件が該当することがわかる。
このように、まず全区分の重度変更率等の突出チェックを行い、突出がある場合は、上記関連項目条件で重度変更率等が同一傾向の突出がある条件の有無をチェックする。該当項目条件が存在する場合は、引き続きその条件の発生件数比率の大小を確認する。もし発生件数比率が所定値よりも大きい場合は、その関連項目条件を満たす審査対象者に対する審査方法について詳細調査を行うことになる。
このような運用の徹底により、認定平準化や適正化の更なる深耕に向けて、各市区町村が自己分析及び対策を行うための有用なヒント情報を提供できる。
次に、該当条件対象者リスト88Bを説明する。関連項目条件チェック帳票88Aにおける関係項目条件チェックはあくまでも集計の一つであり、重度変更率の各関係項目条件ごとの集計結果の全国平均との突出チェック等を行うものであった。この該当条件対象者リスト88Bでは、各種該当条件の集計結果を構成する個々の対象者リストを出力するものである。
すなわち、現実問題として、関連項目条件チェック帳票88Aによって突出状況が判明しても、集計結果だけからでは、次のステップとしてどの対象者の審査結果を調べたらいいか等の具体的なアクションがとれない。そこで、この該当条件対象者リスト88Bにより、具体的なアクションへのアプローチが可能になる。
この該当条件対象者リスト88Bは、図13で示すように、図12における(2)の一次判定区分と、同(3)変更時検証事項について、エリア88B1,88B2で示すように、各条件ごとの集計結果を構成する対象者(被保険者)リストを示している。図13の例では、一次判定区分については、エリア88B1で示すように、一次判定区分が非該当から要介護4までソートされて重度変更された対象者リストが出力されている。一方、変更時検証事項については、エリア88B2で示すように、状態像の例から行為区分別基準時間までソートされて重度変更された対象者リストが出力されている。
この該当条件対象者リスト88Bは次のように運用される。図12において確認された重度変更率が全国平均と比べて突出して高いか低い集計結果に対して、それらの条件の集計結果を構成する対象者をまずピックアップする。それらの対象者に対して、具体的に審査会資料や議事録等を参照し重度変更の妥当性等を検証したり、さらに該当条件に含まれる対象者全体の傾向分析などをおこなう。この運用の徹底により、保険者である市区町村に対して、単なる集計だけからなる情報提供にとどまらず、個別の対象者リストによるさらに具体的かつ実践的な現場レベルの情報提供が可能になる、したがって、認定平準化や適正化に向けての事業展開の密度が濃くなることになり、より大きな成果の達成が期待される。
すなわち、図13の例では保険者である東芝市(グル−プ)において、突出した項目(図示上の例では「一次判定区分」、下の例では「変更時検証事項」)について、これらの項目の集計対象者を、その集計対象要因(例えば、一次判定が重度変更に関係している事実)と共に網羅した対象者(被保険者)リストとして出力したものである。しかし、リストの対象は被保険者に限るものではなく、この保険者に属する個別の下位グループの情報を、該当する関連項目の集計対象要因と共に網羅した情報を出力したものでもよい。図13の例では、保険者の階層に対して、詳細情報出力内容として認定審査対象者(被保険者)である場合を示したが、さらにより一般的な考え方として、詳細情報出力内容の対象としては、下記の各階層に対するそれぞれ下位の階層の個別組織や個別対象者の情報全般へ拡大できることがわかる。具体的な各階層として、介護保険事業の例として以下に示す。
第1階層: 厚生労働省
第2階層: 都道府県
第3階層: 保険者(市区町村)
第4階層: 認定調査機関、合議体、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、サービス提供事業者
第5階層: 認定調査員、認定審査員、ケアマネージャ、サービス事業者スタッフ
第6階層: 個別対象者(認定申請者、認定審査対象者、サービス利用者=受給者等)
上記では認定審査関係以外の多くの対象が記載されているが、それらについては以下で詳細に説明する。
このように、各保険者について他の保険者との比較に基づくランキング表示や、各保険者の、自己の履歴表示を行った帳票等を定期的に作成し、各保険者に提供するようにしたので、各保険者は同種の業界における自己の位置付けを明確に把握することができ、問題点を明確化して事業活動の向上につなげることができる。また、自己の事業に対する評価の推移が明確となるので、例えば、ある時点で事業改善のための施策を実施した場合、その施策実施時点の前後における推移から、施策実施による効果を明確に把握することができる。
上述した図8でのデータ処理、及びその処理により出力される各種データ(図9乃至図13)を用いた説明は、グループである各保険者が、それぞれ自己の活動に対する評価資料を提供してもらう場合として行った。次に、図15を用いて、各グループを管理監督する、例えば、厚生労働省が、各グループである各保険者の活動状況に関する情報提供を受ける場合の処理を説明する。
図15において、集計対象データ151は、図8における集計対象データ81に相当する。一次集計結果152は、図8における一次集計結果82に相当する。市区町村マスタデータ153は、図8における市区町村マスタデータ83に相当する。さらに、集計範囲の各クラス内訳データ154は、図8における集計範囲の各クラス内訳データ84に相当する。
図7で示した分析帳票作成手段30は、これら各データ151,152,153,154を用いて、管理監督部門である厚生労働省が必要とする集計範囲毎の一覧のデータ155、例えば、全国市区町村集計155a、都道府県集計155b、人口規模別集計155c、高齢者率別集計155dを提供する。これらのデータ155a、155b、155c、155dには、データ項目として、「順位」「市区町村」(または「都道府県」)「偏差値」「効果計測改善率」「人口」「高齢者率」「年間認定者数」が設定されている。
すなわち、全国市区町村集計155aは、全市区町村の認定結果の重度変更率をソート順とした一覧であり、これを提供された管理監督部門は、全市区町村の上述した各データ項目を確認することができる。都道府県集計155bは、全国市区町村集計155aで集計された市区町村のデータを、都道府県毎に集約した一覧であり、これを提供された管理監督部門は、全都道府県のデータ項目を確認することができる。人口規模別集計155cは、全国市区町村集計155aで集計された市区町村のデータを人口規模別に集計したもので、これを提供された管理監督部門は、人口規模別の各市区町村についてのデータ項目を確認することができる。なお、この人口規模別集計155cは、人口規模のクラス毎にわけて提供される。高齢者率別集計155dは、全国市区町村集計155aで集計された市区町村を高齢者率別に集計したもので、これを提供された管理監督部門は、高齢者率別の各市区町村についてのデータ項目を確認することができる。この高齢者率別集計155dも高齢者率のクラス毎にわけて提供される。
上記の説明では、全体の管理監督部門である厚生労働省を例に説明を記載したが、市区町村を管理する、都道府県、政令指定都市、広域連合等が、管轄する市区町村について、管轄範囲内の全体順位集計、管理単位毎の順位集計(例:東京都の場合23区順位等)、人口規模別集計、高齢者率別集計を参照可能にする構成でもよい。
このような、各集計データ155の他に、図9乃至図13で説明した保険者毎のデータも、権限を有する管理監督部門が,提供を受けたい保険者を指定することにより、当該管理監督部門は指定された保険者のデータを入手することができる。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、事業活動に伴う各種処理結果の中の予め特定されたパターンの発生件数から求められる評価係数として要介護認定業務における一次判定結果の加重平均や、一次判定結果に対する重度変更率を用いていたが、もちろん、これ以外のものを用いてもよい。
表1は、図7で示した分析結果帳票32のデータ(例:PDFファイル)を情報公開サーバ35にアクセスして閲覧できる範囲を適切に制御するための、アクセス権制御を示している。
表1において、縦はログインするユーザ名、横は集計対象別の分析結果帳票32を示し、「○」はユーザが対応する帳票を閲覧可能(ダウンロード可能)な場合を示し、「×」は閲覧不可能であることを示している。また、ユーザが厚生労働省以外の場合は、「○」であっても、自己自身のデータまたは自己配下のグループのデータのみが閲覧可能とする。
例として、ログインユーザが「厚生労働省」の場合は、 「全種類」の分析集計報告書が閲覧(ダウンロード)可能であることを示している。またログインユーザが「政令指定都市」の場合は、「自市」と「自市配下の全行政区」の分析集計報告書が閲覧(ダウンロード)可能であることを示している。
表2は、集計対象別の分析集計報告書の内容を示しており、一覧表と個別表の2種類からなる。具体的な集計項目としては、例えば、表2に示すとおり5種類の集計表を用意し、厚生労働省および都道府県・市区町村等へ情報提供する。
以下にそれぞれの概要を示す。
「一次判定から二次判定への軽度変更率/重度変更率」として、一次判定結果から二次判定結果への軽度変更率および重度変更率を、各属性グループ(全国、所属都道府県、所属同一人口規模グループ、所属同一高齢者率グループ)内の平均値と比較し、各保険者の各属性グループ内での位置づけを表示する。
「一次判定非該当からの重度変更率/二次判定非該当率」として、一次判定非該当者が二次判定で重度判定された重度変更率、及び二次判定での非該当と判定された比率を、各属性グループ内での平均値と比較し、各保険者の同グループ内での位置づけを表示する。
「平均一次判定/平均二次判定」として、一次判定および二次判定の平均値を、各属性グループ内での平均値と比較し、各保険者の同グループ内での位置づけを表示する。
「要支援2/要介護1の振分け率」として、一次判定での要支援2/要介護1の振分け率を、各属性グループ内での平均値と比較し、各保険者の同グループ内での位置づけを表示する。
「前回二次判定から今回二次判定が軽度化率/重度化率(更新申請のみ)」として、前回二次判定結果に対する今回二次判定結果の軽度化率および重度化率を、各属性グループ内での平均値と比較し、各保険者の同グループ内での位置づけを表示する。
また、集計表様式としては、「個別表」様式と「一覧表」様式の2種類を用意し、厚生労働省および都道府県・市区町村等へ情報提供する。以下にそれぞれの概要を示す。
「個別表」としては、対象の市町村等の軽度・重度変更率等が、4種類の属性グループ「全国」・「都道府県別」・「人口規模別」・「高齢者率別」内においてどこに位置づけられるかを、数値、グラフ、4象限表等でビジュアルに表示する。
「一覧表」としては、4種類の属性グループ等に属する対象保険者の軽度・重度変更率等を、一覧形式で表示する。
この表2の集計項目については、表3の分析集計報告書として情報提供する。
表3において、例えば、全国分析の「全国市区町村一覧表」の場合は、表2の項目1〜5で示した「一次判定から二次判定への軽度変更率/重度変更率」、「一次判定非該当からの重度変更率/二次判定非該当率」、「平均一次判定/平均二次判定」、「要支援2/要介護1の振分け率」、「前回二次判定から今回二次判定が軽度化率/重度化率」といった種類の一覧表を提供する。
表4は、共通の事業活動を介護保険事業とした場合の管理監督者である厚生労働省を指導元、この指導を受ける保険者を指導先とした場合の例を示しており、上述した評価係数を得るための集計対象の他の例などを含めた、本発明が展開可能な範囲を表している。すなわち、介護保険事業を例に採り、その「業務分野」別に、「指導先(情報の提供先)」、「集計評価項目(評価係数を得るための集計対象項目)」、「詳細情報関係項目条件チェック項目」、「集計範囲」の具体例をまとめている。
表4において、「業務分野」については、要介護認定業務に関しては、認定審査と認定調査がある。要介護認定業務以外では、ケアマネジメント、サービス提供、事業評価、事業計画がある。
「指導先(情報の提供先)」については、基本的にすべて保険者(市区町村)であるが、ケアマネジメント、事業評価には全国規模ケアマネ事業者が加わり、さらに、サービス提供、事業評価には全国規模サービス事業者が加わる。
「集計評価項目」については、認定審査では、前述したように、一次判定結果に対し二次判定結果の要介護度が高くなる重度変更及び低くなる軽度変更の件数を集計し重度変更率・軽度変更率を評価係数として算出する。また、参考指標の一つとしての類似状態像例検索による二次判定候補に対する重度変更件数及び軽度変更件数を計数し、これらの重度変更率及び軽度変更率を評価係数とする。さらに、要支援2及び要介護1の認定者数を計数し、その認定率を評価係数とする。
ここで、類似状態像例検索による二次判定候補は、前述したように、本件出願人により特願2007−81677号で提案された方法で認定対象者ごとに求めたものを用いたり、或いは図14で示すように、類似状態像例検索に基づいて推計される二次判定候補を用いてもよい。図14の類似状態像例検索による二次判定候補の推計の考え方は、厚生労働省が提示する60種類の状態像例(67個の基本調査項目データセットによる)と各対象者の基本調査項目データなどとを、最小二乗方式等により類似比較し、ある特定のロジックにより類似する状態像例を抽出して、その抽出結果から二次判定候補の要介護度を推計する。
具体的には、図14で示すように、1の中間評価項目得点、2の全項目素点、3の行為区分別基準時間の3つの視点から3種類の類似状態像例検索による二次判定候補を抽出し、さらに、それらをまとめることで最終的な二次判定候補を推計する。すなわち、図示左端の「今回」欄に出力された認定対象者の状態像(認定調査結果に基づく)とその右側に配列された状態像例とを比較し、類似状態像例を抽出する。図14の例では、1の中間評価項目得点では、左端の「今回」欄における認定対象者の調査結果に対し、類似状態像例5-7,5-10,5-8,5-4,5-2,5-3が最も多い要介護区分として抽出されているので、1の中間評価項目得点では要介護5と判定される。2の全項目素点では、左端の「今回」欄における認定対象者の調査結果に対し、類似状態像例4-9,4-6,4-8,4-7が最も多い要介護区分として抽出されているので、2の全項目素点では要介護4と判定される。3の行為区分別基準時間では、左端の「今回」欄における認定対象者の調査結果に対し、類似状態像例4-9,4-6,4-8,4-7,4−3,4−5,4−1が最も多い要介護区分として抽出されているので、3の行為区分別基準時間では要介護4と判定される。この結果、上記3つの視点において要介護度5が1つ、要介護度4が2つであったため、最終的な状態像例比較による二次判定候補は要介護4と判定される。
このようにして判定された二次判定候補を用い、この二次判定候補に対する重度変更件数及び軽度変更係数を計数し、それらから重度変更率、軽度変更率を評価係数として求める。
ここで重要な点は、類似状態像例検索による二次判定候補に対する重度変更率・軽度変更率を求めることにより、通常の重度変更のケースにおいて、二次判定候補よりもさらに重度・軽度の二次判定を行っているケース等に初めて焦点があたることである。同ケースに関するランキングや効果計測を行うことで、認定審査の平準化及び適正化において更に踏み込んだ取組みが期待される。
表4に戻って、認定調査の「集計評価項目」については、申請区分:新規・更新・継続のそれぞれにおける一次判定結果(各介護度別の件数)の加重平均値を集計評価対象とする。
ケアマネジメントの「集計評価項目」については、心身状態を考慮した過剰不要サービスの見込み平均費用、及び同過剰不要サービスの警告発生数平均を用いる。すなわち、ケアマネジメントにおいては、要介護者に対する過剰不要サービスを排除することが重要である。その手段として、認定データ(心身情報)と給付実績データ(サービス情報)とを組み合わせることで、過剰不要サービスの抽出が可能になる。例えば、重度の寝たきりの人に福祉用具の杖を貸与している過剰不要サービスのケースが想定される。このような過剰不要サービスのケースは、上記両データの組み合わせにより抽出されるので、これらの過剰不要サービスの警告レベル等を指標としての保険者ランキングや効果計測等を行うことができる。
サービス提供の「集計評価項目」については、在宅・施設別の費用占有率、介護給付・予防給付別の費用占有率、サービス種類別の費用占有率、サービス種類別・構成サービス小分類別の費用占有率が集計される。すなわち、サービス提供としては、要介護者に対する給付実績データから各サービス種類の構成比率等を集計し評価項目とする。このようにして評価を行うことにより、サービス種類毎に給付費レベルが同様でも、提供サービスの構成の違いが見えてくることになる。
介護保険の事業評価の「集計評価項目」については、予防給付/介護給付の費用効果係数、及び予防給付/介護給付の状態変化率について、制度改正前後比較を行うと共に制度改正以降について注目する。すなわち、事業評価とは、予防給付サービスや介護給付サービスの投入費用と獲得効果を特定の方式にて算出し、それらを集計評価項目とすることで、保険者のランキング等を行うものである。平成18年度の法改正で予防サービスが導入されて以来、介護予防効果の定量的評価に関する議論が高まっており、それらに対するソリューションとすることができる。
介護保険の事業計画の「集計評価項目」については、対給付費計画値の給付費実績比率、対在宅・施設別計画値の給付費実績比率、対介護給付・予防給付計画値の給付費実績比率、対サービス種類別計画値の給付費実績比率、対サービス種類別計画値のサービス量実績値比率を用いる。すなわち、集計評価項目(評価係数)として事業計画のサービス種類別の対計画値の給付費・サービス量実績比率を進捗率として注目することで、各保険者のサービスインフラの整備状況をランキングすることができる。このことで、当初の事業計画に対する達成度を高めることを狙ったソリューションとすることができる。
「詳細情報関係項目条件チェック項目」は、図12で示した関連項目条件チェック帳票や、図13で示した該当条件対象者リストに用いる各項目を、前記業務分野ごとに示している。また、「集計範囲」は、ランキングを行う際の集計範囲を、前記業務分野ごとに示している。
上記各実施の形態では、共通の事業活動を行う複数のグループとして介護保険制度における保険者を対象とし、この保険者(市区町村)を管理監督するもの(厚生労働省)が、指導先である各保険者を分析評価し、ランキングなどを行っていた。介護保険においては、その事業の実施形態を展開してみると、各保険者(市区町村)が管理監督する立場となって、複数の業務分野(認定、ケアマネ、サービス提供等)において展開を行っている複数のグループがそれぞれ指導先となっている。
表5は、保険者が管理監督者となって、各指導先に情報を提供する場合について、前記表1と同様に、「業務分野」別に、「指導先(情報の提供先)」、「集計評価項目(評価係数を得るための集計対象項目)」、「詳細情報関係項目チェック条件項目」、「集計範囲」の具体例をまとめている。
表5において、「業務分野」については、要介護認定業務に関しては、認定審査と認定調査の他に主治医意見書作成が加わっている。要介護認定業務以外では、ケアマネジメント、サービス提供、事業評価、事業計画があることは表1と同じである。
「指導先(情報の提供先)」については、認定審査では、合議体と審査員が対象となる。すなわち、認定審査は、審査員により構成される合議体で実施される。保険者には、これら合議体が複数存在し、複数の合議体によりそれぞれ認定審査が行われる。したがって、保険者は複数の合議体の処理結果を分析評価し、合議体別および審査員別のランキングなどを行う。また、認定調査業務は、調査員を擁する調査機関および調査員が実施する。さらに、主治医意見書は主治医を擁する医療機関および主治医が作成する。したがって、これらがそれぞれ「指導先(情報の提供先)」となる。保険者には、これら調査機関や医療機関も複数の機関が事業参加しており、したがって、保険者は複数の調査機関や医療機関の処理結果を分析評価し、調査機関別・調査員別や医療機関別・主治医別のランキングなどを行う。
ケアマネジメント業務には、保険者に対して、それぞれ複数の居宅介護支援事業所、居宅ケアマネージャ、地域包括支援センター、包括ケアマネージャが参加しているので、これらがそれぞれ「指導先(情報の提供先)」となる。
サービス提供業務では、サービス種類別のサービス事業者が「指導先(情報の提供先)」となる。
事業評価では、居宅介護支援事業所、居宅ケアマネージャ、地域包括支援センター、包括ケアマネージャ、サービス事業者が「指導先(情報の提供先)」となる。
事業評価では、生活圏域、政令指定都市及び大規模自治体の構成区(地域)等が「指導先(情報の提供先)」となる。
「集計評価項目」及び「詳細情報関係項目条件チェック項目」については、基本的に表1と同じであるが、表2で示すように、何点か保険者固有の情報に基づくソリューションが想定される。
「集計範囲」については、表1とは大きく異なる。集計の最大範囲が、各業務分野について保険者となる。その他、各業務分野や指導先に応じて表2で示すように設定されている。
表4及び表5の展開を実装するための、評価システムの構成例を図16及び図17に示す。
図16では、介護給付適正化のための認定系事業活動分析ソリューション及び、給付系事業活動分析ソリューションの構成の概要を記載したものである。図の楕円はシステムを、ピラミッド構造は対象ユーザの階層とユーザ数をイメージしたものである。また、図のG1は、認定支援センター等に蓄積される全保険者の介護保険データを集計分析するシステムを示している。さらに、図のG2は、厚生労働省のデータを元に、厚生労働省の介護保険部門、都道府県の介護保険部門等に向けた情報提供と、保険者向けの事業分析情報の提供を行うネットワークシステムを示している。
一方、図のL1は、各保険者に蓄積されるデータ(認定・給付実績・介護事務)を集計分析し、保険者の介護保険部門及び現場スタッフ向け事業分析資料を作成、結果計測を実施するシステムを示している。また、図のL2は、保険者のデータを元に、現場スタッフ(要介護認定、ケアマネジメント業者、サービス提供業者)向けの事業分析情報の提供を行うネットワークシステムを示している。
図17は、図16のインフラソリューションの構成を詳細化したものである。図17で示すインフラソリューションは、厚生労働省ソリューションと保険者ソリューションとに大別される。
厚生労働省ソリューションは、図6におけるG1、すなわち、認定支援センター等に蓄積される全保険者の介護保険データを集計分析するシステムとして、認定系事業活動分析システムG11と給付系事業活動分析システムG12とがある。また、図6におけるG2、すなわち、ネットワークシステムとして、認定系事業活動情報提供ネットワークシステムG21と給付系事業活動情報提供ネットワークシステムG22とがある。
上記各分析システムG11、G12で生成された分析データは、対応するネットワークシステムG21、G22により、都道府県の介護保険部門171、及び図6におけるL1に相当する保険者向け事業分析システム(以下、L1として説明する)へダウンロードする。すなわち、前述の表4で示したように、指導元の厚生労働省が、指導先の各保険者(図では保険者A,B,・・・)172を指導するために、事業分野に関するデータ、すなわち、「認定審査情報」「認定調査情報」「ケアマネジメント情報」「サービス情報」「事業評価情報」「事業計画情報」を各分析システムG11、G12からネットワークシステムG21、G22により、都道府県の介護保険部門171、及び保険者向け事業分析システムL1へ、それぞれダウンロードする。
この保険者向け事業分析システムL1へは、各保険者(図ではA)から給付実績データがダウンロードされる。また、各保険者(図ではA)は、介護事務システム及び認定事務システムを持っており、これらの間で介護事務データと認定データとを相互に連携させている。さらに、この認定事務システムからは認定データが、前記認定系事業活動分析システムG11に送られ、実績データとして蓄積される。
保険者向け事業分析システムL1は、厚生労働省からダウンロードされた「認定審査情報」「認定調査情報」「ケアマネジメント情報」「サービス情報」「事業評価情報」「事業計画情報」をさらに分析して、表5で示したように、指導元の保険者が指導先のサービス事業者やケアマネ事業者へ提供する分析データを生成し、保険者向け事業活動情報提供をネットワークシステムL2により、各保険者(図ではA,B,・・・)172に提供する。
各保険者A,B,・・・に提供されるデータは、「認定審査情報」「認定調査情報」「ケアマネジメント情報」「サービス情報」「事業評価情報」「事業計画情報」であり、さらに、図示していないが「主治医意見書」を含んでもよい。これらの情報は表5で示すように、指導先に応じて取捨選択され、各保険者の介護保険部門172aから、その指導先172bへ伝えられ、その指導結果が介護サービスの利用者172cに反映されることとなる。
このように介護保険事業を例にとった場合、本発明を広く展開して適用することができる。
さらに、本発明は、介護保険に限定されるものではなく、他のいかなる業種についても同様に適用することができる。例えば、介護保険に類似するものとして医療保険がある。介護保険も医療保険もどちらも公的保険制度であり、介護保険が医療保険を参考にして創設されたことからかなりの部分で類似した対応関係を有する。もちろん相違点もいくつかあり、例えば、介護保険は単一種類であるのに対し医療保険は主なものでも4種類(国保、健保、政管健保、共済組合など)ある。しかし、このような違いを踏まえて、共通事項については本発明を同様に適用することができる。すなわち、同じ種類の医療保険における保険者間のランク付けなどに適用することが可能であるなど、本発明の適用範囲をさらに拡大することができる。表6に介護保険と医療保険の業務等の比較表を参考までに示す。