以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
この実施の形態による介護保険業務分析システムは、介護保険分野のニーズとして図25で説明した以下の10種類を想定した場合の、各業務におけるバラツキの大きさ及びその発生要因の抽出を行うものである。
1.認知症対策の評価
2.認定調査の平準化
3.認定審査の平準化
4.ケアプランの平準化
5.ケアプランの質の評価
6.サービスの質の評価
7.サービス利用状況の評価
8.介護報酬改定の評価
9.介護保険事業計画の評価
10.介護給付適正化の評価
ここで、各業務におけるバラツキ(分布)を構成する分布特性要因としては、各業務を実施する複数の実施者が該当する。すなわち、都道府県、保険者(自治体)、認定調査機関、認定調査員、認定審査会の合議体、ケアマネ機関、ケアマネージャ、サービス事業者などの実施者や、保険者の事業計画を立てる単位としての生活圏域などがあげられる。なお各業務に、対象となる分布特性要因は異なる。
上記介護保険業務分析システムは、分布特性要因(各業務の実施者)によって実施された業務の実施結果に対して、複数種類の評価項目と評価軸に関する集計を行い、各分布特性要因間で比較することにより、各業務における分布リスト(バラツキが大きい評価項目の一覧)やN分位リスト(バラツキが大きい評価項目の該当数が多い分布特性要因の一覧)を出力することができる。これにより、バラツキが大きい評価項目や分布特性要因に対する是正施策を効率的かつ効果的に策定・実施することが可能になる。
以下、この介護保険業務分析システムの概略を図1により説明する。なお、この介護保険業務分析システムは、図示しないコンピュータ、及び記憶装置などの周辺機器により実現されるものであり、図1では、各テーブルや、コンピュータプログラムにより実行される機能実現手段、出力データなどにより表現している。
まず、本発明を図25で示した分野名No.1の認知症対策における、ニーズ件名No.1の認知症対策の評価に適用した実施の形態を説明する。
認知症対策の評価としては、保険者やケアマネ機関等の分布特性要因別に、認知症の傾向を有する受給者のグループホーム利用率を集計し各評価項目別のバラツキの大きさを抽出する。また、この結果に基づき、認知症対策の結果であるグループホーム利用率が低位、または高位に偏った分布特性要因の抽出を行うものである。
図1において、データテーブルを構成する認定結果テーブル11及びレセプト等情報テーブル12は、介護保険制度を実現する複数の業務を、複数の実施者によりそれぞれ実施した結果のデータを保持しており、デ−タベースを構成する。
このうち認定結果テーブル11は、保険者で実施されている要介護認定業務において発生した認定結果データを保管するテーブルで、認定調査項目データ、一次判定結果、及び二次判定結果などから構成される。同データは受給者(サービス利用者)や認定者(要介護認定を受けた者で受給者よりも人数が多い)の心身状態を表すデータであるとも言える。
また、レセプト等情報テーブル12は、介護サービス事業者が毎月、国民健康保険連合会(以下国保連と記載)へ支払い請求を電子的に行う際に発生したデータを保管するテーブルで、サービス種類やサービス項目、サービス回数や総単位数(金額に相当するもの)などから構成される。同データは受給者の利用するサービス内容を表すデータであるとも言える。
汎用データマート作成手段13は、データベースである認定結果テーブル11とレセプト等情報テーブル12とのデータを被保険者で結合して汎用データマート14を作成するもので、介護保険の各業務分析に用いるためのデータを抽出する目的グループ別抽出処理を行う。すなわち、年月単位のデータを基として(集計の目的グループ毎に時間単位を決定できる)分布特性要因(実施者)の種類の組合せで、評価項目の値に対する評価軸(の素)を管理できる形で図2に示す汎用データマート14を生成する。
この汎用データマート14は、「時間単位」、「分布特性要因(業務の実施者)」、「バイアス」、「評価項目」、「評価軸(の素)」「分布特性の詳細分析に有用な項目」からなるデータ構成である。なお、前述した目的グループ別とは、目的が認知症対策の評価、グループが複数種類の分布特性要因のグループという意味である。
続いて、目的別データマート作成手段15は、目的別抽出処理と図3で説明するバイアスアジャスト処理とを行い、図4で示す目的別データマート16を作成する。目的別抽出処理は、汎用データマート14のデータを用い、目的とする認知症対策の評価を行うためのデータを作成する。すなわち、認知症対策についてのバラツキの大きさを算出するための分布特性要因(認知症対策業務の実施者)を絞込みむと共に、評価項目を、認知症を有する値の情報に集約し、その情報に対する評価軸(ここではグループホーム利用率)を算出している。
また、このような算出結果を得る上で影響を与えるバイアスをアジャストするバイアスアジャスト処理を施す。ここではバイアスとして、図2で示した汎用データマートに、被保険者の年齢層が設定されている。ここで、65歳−74歳の第1の年齢層と、75歳以上の第2の年齢層についてみた場合、第1の年齢層より第2の年齢層のほうがグループホームの利用率は必然的に高くなる。このため、第1の年齢層の被保険者が多い自治体(保険者)と少ない自治体(保険者)とでは、得られた算出結果であるグループホーム利用率に、年齢層による偏りが生じる。このような偏りを調整し、同じ条件で利用率を比較できるようにすることがバイアスアジャスト処理である。このバイアスアジャスト処理の詳細は後述する。
これらの処理が施された段階で、バラツキの大きさの算出処理に適したデータ、すなわち、バラツキの発生要因間での比較が可能となるデータが整備されることになる。なお認知症の傾向を有する値は、後述するように認定調査項目のあるレベル以上を特定しているが、これは固定でなくともよく調整可能としてもよい。また全ての認定調査項目を評価項目として抽出の対象とするのでなく、一部の項目に限定してもよい。
図1に戻って、分布特性算出手段17は、目的別データマート16のデータを用いて、図5で示す分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において複数の分布特性要因(実施者)別にまとめられたグループホーム利用率について、その最小値及び最大値を、評価項目である認定調査項目別に規定する。そして、これら最小値及び最大値から、評価項目(認定調査項目)別に認知症対策業務のバラツキの大きさを表す分布特性(格差、値域幅)をそれぞれ求めて分布特性集計テーブル18に出力する。
また、この分布特性算出手段17は、目的別データマート16において、複数の分布特性要因(実施者)別にまとめられたグループホーム利用率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目(認定調査項目)別に設定する。そして、これら認定調査項目別に第1N分位数と第(N−1)N分位数とを決定してそれぞれ分布特性集計テーブル18に出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18の認定調査項目別の分布特性(格差、値域幅)を取り出して分布特性リスト20として出力する。この分布特性リスト20は、評価項目である認定調査項目を、格差の大きい順に格差リストとして出力している。同リスト20により、図6で示すようにグループホーム利用率の格差が大きい認定調査項目(認知症自立度や認定調査項目の第3〜第5群の項目などの各値)が判明するため、保険者に関する認知症対策の評価とフィードバックを具体的な形で実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、図7で示すN分位集計テーブル22を作成する。このN分位集計テーブル22は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた評価項目である認定調査項目別の評価軸(グループホーム利用率)の値が、後述する第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断する。そして、分布構成要因毎に、第1N分位の範囲に含まれる認定調査項目、第NN分位の範囲に含まれる認定調査項目をそれぞれ図7で示すように抽出する。さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数、及び第NN分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ例えば大きい順に出力させる。同リストにより、グループホームの利用率が最も小さいグループに属する認定調査項目の数が多い保険者が可視化され指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、グループホームの利用率が最も大きいグループに属する認定調査項目の数が多い保険者も可視化されベストプラクティスになる可能性を有する事例として参考にすることができる。
上述した認知症対策の評価の詳細について、図2乃至図7を用いて以下に説明する。
図2に示す汎用データマート14において、「時間単位」は認知症対策業務を実施した年月単位データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、ケアマネ機関、ケアマネージャが順次規定されている。図の例では、同じケアマネ機関に属する白星印と黒星印のケアマネージャと、異なるケアマネ機関に属する黒四角印のケアマネージャが示されている。
また、実施結果に対するアジャストを要する「バイアス」として、前述のように被保険者の年齢層が用いられている。
「評価項目」としては、被保険者に対する認定調査結果である認定調査項目と、その値に相当する選択肢が用いられている。図の例では、白星印のケアマネージャが扱ったデータは、認定調査項目が、「認知症自立度」及びその値(選択肢:自立、段階I,IIa,IIb,・・・)と、認定調査項目が、「3群−1意思の伝達」及びその値(選択肢:1.できる、2.ときどきできる、・・・)である。
「評価軸(の素)」としては、上述した選択肢毎に、各選択肢に該当する被保険者の全人数と同選択肢でのグループホーム利用人数を用いている。図の例では、「認知症自立度」の選択肢が段階IIaの保険者では、全体が55名であるのに対しグループホーム利用者は3名である。
なお「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、被保険者の性別及び要介護度を設定している。すなわち、性別や要介護度により、グループホーム利用人数に差が生じる傾向がある。したがって、これらについても明確化し、後述する格差リストやN分位リスト確認後に、ドリルダウンでデータを参照できるように保持しておく。
次に、目的別データマート作成手段15により、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16が作成される。目的別データマート16は、図4で示すように、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間での認知症対策のバラツキを見るためである。「評価項目」は、本業務が認知症対策であることから、認知症と見られる値に集約している。図の例では、認定調査項目が「認知症自立度」の場合、選択肢:IIa以上を認知症と見なすものとして、選択肢:IIa以上の情報に集約している。「評価軸」としては、上述した評価項目毎にグループホーム利用率(グループホーム利用人数/全人数)を算出している。図の例では、評価項目(認定調査項目)が「認知症自立度」の場合、認知症と見られる選択肢:IIa以上のグループホーム利用率を、図2で示した汎用データベース14に保持された選択肢:IIa以上のグループホーム利用者数と選択肢:IIa以上の全人数とから算出する。ここでは白丸印保険者の評価項目「認知症自立度」の評価軸であるグループホーム利用率は8%となっている。
なお、上記演算結果は、バイアスアジャスト処理を施した結果である。図4の目的別データマート16の「バイアス」は、アジャスト処理後であるためブランクとなっている。
このバイアスアジャスト処理を、図3を用いて説明する。図3において、Siは分布特性要因(実施者)であり、aiは上記実施者Siが担当する第1の年齢層(65歳−74歳)の人数、biは実施者Siが担当する第2の年齢層(75歳以上)の人数、ciは実施者Siが担当する65歳以上の人数、a,b,cはそれぞれai,bi,ciの各合計値である。αiは実施者Siが担当する第1の年齢層(65歳−74歳)の評価軸該当率(ここではグループホーム利用率)、βiは実施者Siが担当する第2の年齢層(75歳以上)の評価軸該当率(同じくグループホーム利用率)、そして、γiは(1)式で算出される実施者Siが担当する65歳以上のバイアスアジャスト前の評価軸該当率(同じくグループホーム利用率)、さらに、γiaは(2)式で算出される実施者Siが担当する65歳以上のバイアスアジャスト後の評価軸該当率(同じくグループホーム利用率)である。したがって、目的別データマート16の「評価軸」であるグループホーム利用率は、(2)式により算出されたバイアスアジャスト後の値γiaである。
次に、図1の分布特性算出手段17は、目的別データマート16のデータを用いて、図5の分布特性集計テーブル18で示すように、複数の分布特性要因(実施者)別にまとめられたグループホーム利用率の最大値、中央値及び最小値を「参考値」とし、評価項目である認定調査項目別に規定する。そして、これら最小値及び最大値から、評価項目(認定調査項目)別に認知症対策業務のバラツキの大きさを表す分布特性(格差、値域幅)を求めて、分布特性集計テーブル18に、「分布特性値」として出力する。ここで、分布特性の例である格差は、最大値/最小値で算出し、値域幅は、最大値−最小値で算出する。分布特性である格差及び値域幅は、いずれにしてもバラツキの大きさを表している。
また、この分布特性算出手段17は、複数の分布特性要因(実施者)別にまとめられたグループホーム利用率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目(認定調査項目)別に算出する。そして、このN分位におけるもっとも低い値の範囲:第1N分位(最小値から第1N分位数までの範囲)を定める第1N分位数と、最も高い値の範囲:第NN分位(第(N−1)分位数から最大値である第NN分位数までの範囲)を定める第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
ここで、全国の自治体数(保険者数)は約2000である。また、図5の分布特性テーブル18に示された評価項目「認知症自立度」についてみると、保険者(実施者)別のグループホーム利用率の最大値が35%、最小値%が5%である。そこで、この5%(最小値)から35%(最大値)までの分布をN等分して図23のN分位を設定する。この場合、全国2000の保険者を、例えば、200ずつ10等分して、図23におけるNを十とした十分位とする。そして、これら認定調査項目別に第1N分位数(第1十分位数)と第(N−1)N分位数(第9十分位数)とを決定する。
すなわち、全国2000の保険者の「認知症自立度」のグループホーム利用率が目的別データマート16から明らかであるので、全国2000のうち、下から200番目の保険者の利用率が10%であれば、この場合の第1N分位数(第1十分位数)は図5で示すように10%となる。また、全国2000のうち、上から200番目の保険者の利用率が30%であれば、この場合の第(N−1)N分位数(第9十分位数)は図5で示すように30%となる。
図1の分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された認定調査項目別の分布特性(格差、値域幅)を格差の大きい順に取り出して分布特性リスト20として出力する。この分布特性リスト20には、値域幅の値も出力される。この分布特性リスト20により、図6で示すようにグループホーム利用率の格差が大きい認定調査項目が判明するため、保険者に関する認知症対策の評価とフィードバックを具体的な形で実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、図7で示すN分位集計テーブル22を作成して、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた認定調査項目別の評価軸(グループホーム利用率)の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断する。そして、第1N分位に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数、第NN分位に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。図の例では、N分位リスト24には、白丸印の保険者が第1N分位(グループホームの利用率が最も小さいグループ)に属する評価項目が7つあることを表している。すなわち、同リストにより、グループホームの利用率が最も小さいグループに属する認定調査項目及び選択肢の該当数が多い保険者が可視化され、指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、グループホームの利用率が最も大きいグループに属する認定調査項目及び選択肢の該当数が多い保険者も可視化されベストプラクティスになる可能性を有する事例として参考にすることができる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.2の要介護認定における、ニーズ件名No.2の認定調査の平準化に適用した実施の形態を図1、図8乃至図12を用いて説明する。
ここで、認定調査は、前述のように、調査員が要介護認定申請者を訪問し、予め設定された複数の認定調査項目(認定2009では第1群から第5群までの55項目)について調査し、各項目に設定された選択肢を選択することにより行う。同一の心身状態(障害や認知症の状態等)を有する認定申請者に対しては、どの調査員が調査を行っても同一の調査結果が得られること(認定調査の平準化)が求められる。このため、厚労省発行の認定調査員テキストの充実を図ると共に自治体(保険者)職員及び認定調査機関の代表者等は、各調査機関や各調査員の認定調査結果の状況や傾向等を定量的に把握した上で、調査方法の理解度向上と認定調査結果の平準化等に向けて、教育・指導を行っていく必要がある。
そこで、この実施の形態では認定調査業務の平準化を図るべく、まず、図1で示したデータベースを構成する主として認定結果テーブル11から、汎用データマート作成手段13により汎用データマート14を作成する。この汎用データマート14は、図8で示すように、「時間単位」は認定調査を実施した年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、ケアマネ機関、ケアマネージャが順次規定されている。「バイアス」として、前述のように被保険者の年齢層が用いられている。「評価項目」としては、被保険者に対する認定調査項目の選択肢、または認定調査項目の各群の中間評価項目得点の合計値を用いている。「評価軸(の素)」としては、選択肢毎の調査票の枚数(選択数)、または中間評価項目得点の調査数(合計値)を、実施者である調査員別に集計している。「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、認定調査の申請区分及び被保険者の現在の状況を設定している。すなわち、申請区分が「新規」か「更新」かにより、調査結果に差が生じる傾向がある。また、被保険者が「居宅」それ以外の状況下で矢はり調査結果に差が生じる傾向がある。したがって、これらについても明確化し、後述する格差リストやN分位リスト確認後に、ドリルダウンでデータを参照できるように保持しておく。
図8の例では、「評価項目」として、認定調査項目の「3群−1意思の伝達」が例示され、その値として選択肢:1.できる、2.ときどきできる、3.ほとんど不可、4.できない、が示されている。また、これらについて「新規」「居宅」と「更新」「居宅」とについてそれぞれ集計されている。さらに、認定調査項目として「3群中間評価項目得点の合計」を用いた場合は、この認定調査項目の合計得点(この場合3000.00)が示されている。
「評価軸」であると調査表枚数(選択数)は、上述した認定調査項目の選択肢別に集計されている。例えば、認定調査項目の「3群−1意思の伝達」については、選択肢:1.できる、の選択数が5であり、2.ときどきできる、の選択数が10であり、3.ほとんど不可、の選択数が8であり、4.できない、の選択数が3であることが示されている。また、認定調査項目として「3群中間評価項目得点の合計」を用いた場合の評価軸は、前述した合計得点の素となる調査表枚数であり、図8の例では100が示されている。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16が作成される。認定調査業務としての目的別データマート16は、所定期間における認定調査業務の評価項目として認定調査項目毎にそれらの選択肢、または各群中間評価項目得点を設定し、これら選択肢の選択比率、または各群中間評価項目得点の平均値を評価軸として保険者別に集計している。
図9の例では、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」である実施者は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間での認定調査結果のバラツキを見るためである。「評価項目」の認定調査項目としては「3群−1意思の伝達」が、また、その値として選択肢:2.ときどきできる、が例示されている。さらに、「評価軸」の選択肢の選択比率としては、選択肢:2.ときどきできる、の選択比率(認定調査項目「3群−1意思の伝達」の全調査枚数に対する該当選択肢の調査枚数の割合)38%が示されている。
また、「評価項目」を「3群中間評価項目得点」とした場合は、図8で示した「3群中間評価項目得点の合計」:3000.00の一人当たりの平均値30.00が示されている。
なお、上記演算結果は、保険者の年齢層に対するバイアスアジャスト処理を施した結果であり、図9の目的別データマート16の「バイアス」は、アジャスト処理後であるためブランクとなっている。このバイアスアジャスト処理は図3を用いて説明したとおりである。
次に、図1の分布特性算出手段17により、図9の目的別データマート16のデータを用いて、図10の分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として実施者別にまとめられた選択比率、または中間評価項目得点の平均値の最小値、中央値及び最大値を規定し、これら最小値、中央値及び最大値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これらの値から、認定調査項目の選択肢別、または中間評価項目得点別に、認定調査業務の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて分布特性集計テーブル18に、「分布特性値」として出力する。図10の例では、「3群−1意思の伝達」の選択肢:2.ときどきできる、の選択比率の最大値が45%、最小値が15%であるため、格差(最大値/最小値)は3.0であり、値域幅(最大値−最小値)は30%となる。
なお、評価項目が「3群中間評価項目得点」の場合も、最小値、中央値及び最大値と分布特性(格差、値域幅)との値を同様にして求める。
また、この分布特性算出手段17は、評価項目(認定調査項目)別にまとめられた選択比率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者:保険者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
ここで、図10の分布特性テーブル18に示された評価項目「3群−1意思の伝達」の選択肢:2.ときどきできる、の選択比率の最小値%が15%、最大値が45%である。そこで、この15%(最小値)から45%(最大値)までの分布をN等分して図23のN分位を設定する。この場合、例えば、前述した全国2000の保険者数により10等分した十分位として、これら認定調査項目別に第1N分位数(第1十分位数)と第(N−1)N分位数(第9十分位数)とを決定する。
そして、全国2000の各保険者の「3群−1意思の伝達」の選択肢:2.ときどきできる、の選択比率が目的別データマート16から明らかであるので、この目的別データマート16をソートすることにより、図10の例では、第1N分位数(第1十分位数)が20%となり、(N−1)N分位数(第9十分位数)は40%となっている。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された認定調査項目の選択肢別、または中間評価項目得点別の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して図11で示す分布特性リスト20として出力する。この分布特性リスト20には「3群−1意思の伝達」の選択肢:2.ときどきできる、について、その格差が3.0、値域幅が20%であることを示している。このため、分布特性リスト20により、格差の大きな認定調査項目の選択肢や中間評価項目得点が判明するので、認定調査員テキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、図9の目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた認定調査項目別の評価軸(選択肢別の選択比率又は中間評価項目得点)の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断し、その結果を図12で示すN分位集計テーブル22にする。そして、第1N分位の範囲に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数、第NN分位の範囲に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位数の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数、及びに第NN分位数の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。図12の例では、N分位リスト24には、白丸印の保険者が第1N分位(選択肢別の選択比率又は中間評価項目得点が最も小さいグループ)に属する評価項目が7つあることを表している。すなわち、選択比率又は中間評価項目得点が最も小さいグループに属する評価項目の数が多い保険者が可視化されるので、認定調査に対する指導対象として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(選択肢別の選択比率又は中間評価項目得点が最も大きいグループ)に属する評価項目の数が多い保険者も可視化されるので、同じく認定調査に対する指導対象として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示したニーズ件名No.3の認定審査の平準化に適用した実施の形態を説明する。
認定審査では、認定調査結果に基づく前述した一次判定結果を審査して二次判定を行う。この審査は、保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会(合議体)で行う。この介護認定審査会の判定に基づき、保険者である自治体により要介護(要支援)認定が行われる。認定審査業務によって生じる結果としては、要介護度の一次判定結果がそのまま二次判定結果となる「変更なし」と、一次判定結果より二次判定結果の要介護度のほうが軽くなる「軽度変更」と、一次判定結果より二次判定結果の要介護度のほうが重くなる「重度変更」とがあり、これらの結果の件数が、合議体毎にばらつくことは好ましくない。すなわち、合議体毎に審査結果がばらついたりすることのないように平準化することが重要であり、管理監督する立場の自治体から指導・助言を行うことも必要となる。
本発明を認定審査の平準化に適用した場合も、図1で示したデータベースを構成する主として認定結果テーブル11から汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。この場合の汎用データマートは特に図示していないが、「時間単位」は認定審査を実施した年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、及び合議体が規定されている。「バイアス」としては被保険者の年齢層が用いられている。「評価項目」としては、被保険者に対する一次判定結果(要介護度:非該当、要支援1、2、要介護1〜要介護5までの各段階を用いている。「評価軸」としては、一次判定別の「変更なし」「重度変更」「軽度変更」の件数を合議体別に集計している。
ここで、これら「変更なし」、「軽度変更」、「重度変更」の判定結果は、一次判定結果の要介護度毎に生じる。そこで、一次判定結果である、非該当、要支援1、2、要介護1〜要介護5までの各段階及びこれらを合計した全区分のそれぞれについて、「変更なし」、「軽度変更」、「重度変更」の判定結果を合議体毎に集計する
「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、認定審査の申請区分及び被保険者の現在の状況を設定している。すなわち、申請区分が「新規」か「更新」かにより、審査結果に差が生じる傾向がある。また、被保険者が「居宅」それ以外の「施設」では、やはり審査結果に差が生じる傾向がある。したがって、これらについても明確化し、後述する格差リストやN分位リスト確認後に、ドリルダウンでデータを参照できるように保持しておく。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16が作成される。目的別データマート16は、図示しないが、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」である実施者は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間での認定審査結果のバラツキを見るためである。「評価項目」としては前述した一次判定結果の要介護度を設定し、「評価軸」としては、これら要介護度別の重度/軽度変更率を保険者別に集計する。
次に、図1の分布特性算出手段17により、上述した目的別データマート16のデータを用いて、分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として、実施者である合議体別にまとめられた一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率が集計されているので、これらの最小値、中央値及び最大値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これら参考値の値から、一次判定結果の要介護度別に、認定審査に関する分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求め、分布特性集計テーブル18に「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、一次判定結果の要介護度別にまとめられた重度/軽度変更率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(保険者)の数とから、図23で示すN分位分布を、評価項目である一次判定結果の要介護度別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された評価項目である一次判定結果の要介護度別にまとめられた重度/軽度変更率の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して分布特性リスト20として出力する。このため、分布特性リスト20により、格差の大きな認定調査項目の一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率が判明するので、認定審査テキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断し、その結果をN分位集計テーブル22に出力する。そして、第1N分位の範囲に含まれる一次判定結果の要介護度及びその選択の該当数、第NN分位の範囲に含まれる一次判定結果の要介護度及びその選択の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率の数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。
すなわち、同リスト24により、一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率が最も小さいグループに属する評価項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、認定審査に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(一次判定結果の要介護度別の重度/軽度変更率が最も大きいグループ)に属する評価項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じく認定審査に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.3のケアマネジメントにおける、ニーズ件名No.4のケアプランの平準化に適用した実施の形態を説明する。
ケアマネジメントでは、認定された要介護度に基づいて居宅介護支援事業所や地域包括支援センター(以下、ケアマネ機関と呼ぶ)がケアプランを作成する。すなわち、要介護申請者の心身状態や介護力経済力の組合わせからなる状態像別に、「訪問介護」、「訪問入浴介護」、「訪問看護」、・・・などのサービスの要否及びその一人当たりのサービス利用費(給付費)を含むプランを作成する。居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネージャは、厚労省発行のケアプラン作成テキスト等の理解・修得に基づきケアプランを作成する必要がある。同一の状態像(要介護度や心身状態(障害や認知症の状態等)、介護力、および経済力等の組み合わせ)を有するサービス利用希望者に対しては、どのケアマネージャがケアプランを作成しても同一のケアプランが作成されること(ケアマネジメントの平準化)が求められる。また自治体(保険者)職員及び居宅介護支援事業所・地域包括支援センターの代表者等は、各ケアマネ機関や各ケアマネージャのケアプランの作成状況や傾向等を定量的に把握した上で、上記ケアプラン作成方法の理解度向上とケアプランの平準化等に向けて、的確かつ効果的な教育・指導を行っていく必要がある。
ここで、ケアプランの平準化というニーズは、平準化という観点から、上述した認定調査の平準化及び認定審査の平準化と、基本的な考え方は共通する。
本発明をケアプランの平準化に適用した場合も、図1で示したデータベースを構成する認定結果テーブル11及びレセプト等情報テーブル12のデータを用いて、汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。この場合の汎用データマートは特に図示していないが、「時間単位」はケアプラン作成を実施した年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、ケアマネ機関及びケアマネージャが抽出される。
なお、「バイアス」として、これまでは被保険者の年齢層が用いられていたが、ケアプランの平準化には、後述する「評価項目」「評価軸」との関係から、被保険者の年齢層は直接的に影響を与えないので、「バイアス」は無とする。
「評価項目」としては、被保険者に対するサービス状態像(訪問介護、通所介護、ショートステイ等)と受給者状態像(要介護度、認知症自立度障害自立度、介護力、経済力)との組合せ利用状態を用いる。「評価軸」としては、上述した受給者状態像別のサービス状態像の利用件数を集計している。
「分布特性の詳細分析に有用な項目」は無とする。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理が行われ、目的別データマート16が作成される。目的別データマート16は、図示しないが、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間でのケアプランのバラツキを見るためである。「評価項目」は、上述したサービス状態像(訪問介護、通所介護、ショートステイ等)と受給者状態像(要介護度、認知症自立度障害自立度、介護力、経済力)との組合せ利用状態を用い、「評価軸」としては、上述した受給者状態像別のサービス状態像の利用率を保険者別に集計している。
次に、図1の分布特性算出手段17により、上述した目的別データマート16のデータを用いて、分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として、実施者である保険者別にまとめられた受給者状態像別のサービス状態像の利用率が集計されているので、これらの最大値、中央値及び最小値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これら参考値の値から、受給者状態像別のサービス状態像の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて分布特性集計テーブル18に「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、受給者状態像別のサービス状態像の利用率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(保険者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目である受給者状態像別のサービス状態像毎に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された評価項目である受給者状態像別のサービス状態像毎にまとめられた利用率の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して分布特性リスト20として出力する。このため、分布特性リスト20により、格差の大きな受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率が判明するので、ケアプラン作成テキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、N分位算出手段21は、N分位集計テーブル22を作成して、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断する。そして、第1N分位の範囲に含まれる受給者状態像別のサービス状態像及びその選択の該当数、第NN分位の範囲に含まれる受給者状態像別のサービス状態像及びその選択の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、N分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率の数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。すなわち、第1N分位(受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率が最も小さいグループ)に属する評価項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、ケアプラン平準化に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(受給者状態像別のサービス状態像毎の利用率が最も大きいグループ)に属する評価項目の数が多い保険者も可視化されるので、同じくケアプラン平準化に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.3のケアマネジメントにおける、ニーズ件名No.5のケアプランの質の評価に適用した実施の形態を説明する。
このケアプランの質の評価は、ケアマネージャにより作成されたケアプラン自体の質の評価を行うものであり、具体的にはケアプランにより被保険者の状態が改善されたか、現状のままか、或いは悪化したかを、そのケアプランにかかった費用との関係で評価する。以下、図13乃至図17を用いて説明する。
まず、図1で示したデータベースを構成する認定結果テーブル11、及びレセプト等情報テーブル12から、汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。汎用データマート作成手段13は、データベースの各テーブル11,12のデータを用い、各実施者(後述するケアマネージャ)が被保険者に対して、認定調査結果に応じて認定調査項目毎にケアマネプランを実施した結果を評価項目とし、また、各ケアマネプランに要した金額を評価軸として、実施者別に集計した汎用データマート14を作成する。
この汎用データマート14は、図13で示すように、「時間単位」として、質の評価に要する期間(改善または悪化の状態を判別可能な期間)として年度を用いている。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、ケアマネ機関、ケアマネージャが抽出されている。「バイアス」としては、被保険者の年齢層を用いている。また、被保険者個人のデータが用いられるため「被保険者」のデータも抽出されている。「評価項目」としては、被保険者の心身の状態に関する認定調査項目が抽出され、その値として状態が維持・改善されたか、或いは悪化したかが用いられている。「評価軸(の素)」としては、作成されたケアプランの総単位数/日数・回数とそれに要した金額が用いられている。
図13の例では、認定調査項目:第3群−1意思の伝達、の被保険者YYYYYYに対するケアプランが100,000円かかり、その結果状態が維持・改善されたことを示すと共に、同じ認定調査項目の被保険者ZZZZZZに対するケアプランには50,000円かかったが、状態が悪化したことを示している。これらのデータがケアマネージャ別に集計されている。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16が作成される。
但し、上述した目的別抽出処理に先立って、汎用データマートのデータの絞込みを行う。すなわち、年度にわたってケアマネを実施した結果、状態が維持・改善されたか、或いは悪化したか、を評価項目としていることから、年度の途中でケアマネ機関が変わった場合などは、そのデータは対象外とする。パターン1からパターン6までの具体的なデータ選定基準を図24により説明する。
パターン1:ある被保険者が、当該年度の前年以前に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度の翌年以降に認定期間が満了または変更申請を行う場合であり、この場合はデータ抽出の対象外とする。
パターン2:ある被保険者が、当該年度の前年以前に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度に認定期間が満了し、満了日以降に認定審査を受けていない場合、データ抽出の対象外とする。
パターン3:ある被保険者が、当該年度の前年以前に認定審査を受けておらず、当該年度に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度の翌年以降に認定期間が満了または変更申請を行う場合は、データ抽出の対象外とする。
パターン4:ある被保険者が、当該年に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度に認定期間が満了または変更申請を行う場合は、データ抽出の対象外とする。
パターン5:ある被保険者が、当該年度の前年以前に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度に認定期間の満了による更新申請または変更申請を行い、認定審査を受け、ケアマネ機関B(≠A)が被保険者のケアプランを立てる場合は、データ抽出の対象外とする。
パターン6:ある被保険者が、当該年度の前年以前に認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度に認定期間の満了による更新申請または変更申請を行い、認定審査を受け、ケアマネ機関Aが被保険者のケアプランを立て、当該年度の翌年以降に認定期間が満了または変更申請を行う場合は、データ抽出の対象とする。
目的別データマート作成手段15は、上記パターン6に該当するデータのみを抽出対象とする。そして、ケアプラン業務を所定期間実施した結果、被保険者の状態が悪化した認定調査項目を、実施者(保険者)別に集計し、集計された認定調査項目別の1人当たりの受給額を評価軸として算出し、目的別データマート16を作成する
この目的別データマート16は、図14で示すように、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間でのケアプランの質のバラツキを見るためである。「評価項目」としては、認定調査項目の選択肢別に状態が悪化したものを抽出する。図14の例では、認定調査項目:3群−1意思の伝達について、その状態が悪化したものを対象としている。「評価軸」としては、1人当たりの受給額が200,000円であることが示されている。
なお、上記結果は、保険者の年齢層に対するバイアスアジャスト処理を施した結果であり、図14の目的別データマート16の「バイアス」は、アジャスト処理後であるためブランクとなっている。
次に、図1の分布特性算出手段17により、図14の目的別データマート16のデータを用いて、図15の分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として実施者別にまとめられた、状態が悪化した認定調査項目別の一人当りの受給額の最小値、中央値及び最大値を規定し、これらを分布特性集計テーブル18に「参考値」として出力する。そして、これらの値から、認定調査項目別の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて、分布特性集計テーブル18に、「分布特性値」として出力する。図15の例では、認定評価項目:3群−1意思の伝達(悪化)の、一人当りの受給額の最小値が40,000円、最大値が200,000円であるため、格差(最大値/最小値)は5.0であり、値域幅(最大値−最小値)は160,000円となる。
また、この分布特性算出手段17は、評価項目(認定調査項目)別にまとめられた悪化項目の、一人当りの受給額の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
ここで、図15の分布特性テーブル18に示された認定評価項目:3群−1意思の伝達(悪化)の、一人当りの受給額の最小値40,000円から、最大値200,000円までの分布をN等分して図23のN分位を設定する。この場合、全国2000の保険者数を10等分した十分位として、これら認定調査項目別に第1N分位数(第1十分位数)と第(N−1)N分位数(第9十分位数)とを決定する。
そして、全国2000の各保険者の、悪化した認定評価項目(例えば、3群−1意思の伝達とする)別の、一人当りの受給額が目的別データマート16から明らかであるので、この目的別データマート16をソートして、第1N分位数(第1十分位数:図15の例では50,000円)、(N−1)N分位数(第9十分位数:図15の例では180,000円)が抽出される。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された認定調査項目(悪化項目)別の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して図16で示す分布特性リスト20として出力する。この分布特性リスト20には認定評価項目:3群−1意思の伝達(悪化)の、一人当りの受給額について、その格差が5.0、値域幅が160,000円であることを示している。このように分布特性リスト20により、格差の大きな認定調査項目の悪化項目が判明するため、ケアプラン作成テキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、図14の目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた認定調査項目別の一人当りの受給額が、図23で示した第1N分位の範囲または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判定し、図17で示すN分位集計テーブル22に出力する。そして、第1N分位の範囲に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数、第NN分位の範囲に含まれる認定調査項目及びその選択の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。図17の例では、N分位リスト24には、白丸印の保険者が第1N分位(認定調査項目別の一人当りの受給額が最も小さいグループ)に属する評価項目の該当数が7つあることを表している。すなわち、認定調査項目別の一人当りの受給額が最も小さいグループに属する評価項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、ケアプラン作成に対する指導対象とすべき可能性のある事例としてとして具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(認定調査項目別の一人当りの受給額が最も大きいグループ)に属する評価項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じくケアプラン作成に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.4のサービス提供における、ニーズ件名No.6のサービスの質の評価に適用した実施の形態を説明する。このサービスの質は、ケアマネージャにより作成されたケアプランに従って実施されるサービス(例えば、リハビリサービスや施設サービスなど)に絞った場合の評価を行うものである。具体的にはリハビリサービスや施設サービスなどを実施したことにより、被保険者の状態が改善されたか、現状のままか、或いは悪化したかを、そのサービスにかかった費用との関係で評価する。
したがって、図13乃至図17を用いて説明したケアプランの質の評価と、ほとんどの内容が共通する。このため、ケアプランの質の評価との相違部分を示し重複する説明は省略する。
このサービスの質の評価においても、まず、図1で示したデータベースを構成する認定結果テーブル11、及びレセプト等情報テーブル12から、汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。汎用データマート作成手段13は、データベースの各テーブル11,12のデータを用い、各実施者(サービス事業者)が被保険者に対して、認定調査結果に応じて認定調査項目毎にサービスを実施した結果を評価項目とし、また、このサービスに要した金額(被保険者が受ける受給金額でもある)を評価軸として、実施者別に集計する。
したがって、この汎用データマート14は、図13で説明したものと略同等のデータ構成であるが、「分布特性要因」である業務の実施者としては、ケアマネ機関及びケアマネージャに代わってサービス事業者が用いられる。この他は、図13で説明したケアプランをサービスと置き換えればよい。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16が作成される。
このサービスの質の評価においても、上述した目的別抽出処理に先立って、前述したケアプランの質の評価と同様に、図24で示したパターン1からパターン6までのデータ選定基準に従って汎用データマートのデータの絞込みを行う。ただし、図24における「ケアマネ機関」を「サービス事業者」と置き換え、また、「ケアプランを立て」を「サービスを提供」と置き換える。
目的別データマート作成手段15は、サービス提供を所定期間実施した結果、被保険者の状態が悪化した認定調査項目を、実施者(サービス事業者を擁する保険者)別に集計し、集計された認定調査項目(悪化項目)別の1人当たりの受給額を評価軸として算出し、目的別データマート16を作成する
この目的別データマート16も、図14で示したように、「時間単位」は年度であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間でのサービス提供の質のバラツキを見るためである。「評価項目」としては、上述のように、悪化した認定調査項目を対象とし、「評価軸」としては、1人当たりの受給額が示されている。
次に、前述したケアプランの質の評価と同様に、図1の分布特性算出手段17により、図14の目的別データマート16のデータを用いて、図15の分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として実施者別にまとめられた、状態が悪化した認定調査項目別の一人当りの受給額の最小値、中央値及び最大値を規定し、これらを分布特性集計テーブル18に「参考値」として出力する。そして、これらの値から、認定調査項目別の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて、分布特性集計テーブル18に、「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、評価項目(認定調査項目)別にまとめられた悪化項目の、一人当りの受給額の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された認定調査項目(悪化項目)別の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して図16で示す分布特性リスト20として出力する。このように分布特性リスト20により、格差の大きな認定調査項目の悪化項目が判明するため、サービス提供に関するテキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた認定調査項目別の一人当りの受給額が、図23で示した第1N分位の範囲または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断し、図17で示すN分位集計テーブル22に出力する。そして、第1N分位の範囲に含まれる認定調査項目の該当数、第NN分位の範囲に含まれる認定調査項目の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の該当数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の認定調査項目の該当数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。すなわち、認定調査項目別の一人当りの受給額が最も小さいグループに属する評価項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、サービス提供に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(認定調査項目別の一人当りの受給額が最も大きいグループ)に属する評価項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じくサービス提供に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.4のサービス提供における、ニーズ件名No.7のサービス利用状況の評価に適用した実施の形態を説明する。
このサービス利用状況の評価では、サービスの利用状況に関する現在の基礎数値を、都道府県/保険者/サービス事業者毎に把握しようとする。具体的には、サービス毎の給付費比率の分布特性を集計する。
この場合、図1で示したデータベースを構成する主としてレセプト等情報テーブル12から汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。汎用データマート14は図示していないが、「時間単位」は年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、及びサービス利用のケアプランを立てるケアマネ機関、ケアマネージャとする。「バイアス」としては被保険者の年齢層が用いられる。「評価項目」としては、各種のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)を用い、「評価軸」としては、これらサービス種類(サービス項目、サービスモデル)毎の被保険者への受給額を用いる。
「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、この業務については無とする。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、目的別データマート16を作成する。目的別データマート16は、図示しないが、「時間単位」は年月であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間でのサービス利用状況のバラツキを見るためである。「評価項目」としては前述したサービス種類(サービス項目、サービスモデル)を設定し、「評価軸」としては、これらサービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める対象項目の受給額の割合を保険者別に集計する。
次に、図1の分布特性算出手段17により、上述した目的別データマート16のデータを用いて、分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として、実施者である保険者別にサービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める対象項目の受給額の割合が集計されているので、これらの最小値、中央値及び最大値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これら参考値の値から、サービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に、サービス利用状況の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて分布特性集計テーブル18に「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、保険者別にまとめられたサービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める対象項目の受給額の割合の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(保険者)の数とから、図23で示すN分位分布を、評価項目であるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された評価項目であるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に纏められたサービス利用状況の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して分布特性リスト20として出力する。このように分布特性リスト20により、格差の大きなサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目が判明するため、認定審査テキストの内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められたサービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める対象項目の受給額の割合の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断してN分位集計テーブル22を作成する。すなわち、第1N分位の範囲に含まれるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目の該当数、第NN分位の範囲に含まれるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目の該当数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別の該当数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。すなわち、サービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める受給額の割合が最も小さいグループに属する対象項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、サービス利用に対する指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(サービス種類(サービス項目、サービスモデル)総受給額に占める受給額の割合が最も大きいグループ)に属する対象項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じくサービス利用に対する指導対象とすべき可能性のある事例としてとして具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.5の介護報酬改定における、ニーズ件名No.8の介護報酬改定の評価に適用した実施の形態を説明する。
この介護報酬改定の評価は、報酬改定により各サービスにどのような変化(利用回数、加算、金額)が生じたかを把握し、効果を評価するものであり、また、報酬改定により各サービスの利用状況の変化を都道府県/保険者毎に把握するものでもある。具体的には、一人当たり総単位数(または回数)の変化の分布特性を集計する。以下、図18乃至図22を用いて説明する。
まず、図1で示したデータベースを構成する主としてレセプト等情報テーブル12から、汎用データマート作成手段13により図18で示す汎用データマート14が作成される。
この汎用データマート14は、図18で示すように、「時間単位」として、改定が行われた年度(2011年とする)とその次年度(2012年とする)が抽出されている。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者が抽出されている。「バイアス」としては、被保険者の年齢層が用いられている。「評価項目」としては、サービス種類(サービス項目、サービスモデル)が抽出され、「評価軸(の素)」としては、サービス種類毎に総単位数/日数・回数及び総人数が抽出されている。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理とバイアスアジャスト処理とが行われ、図19で示す目的別データマート16が作成される。
この目的別データマート16は、介護報酬改定に伴い各サービスの利用状況にどのような変化が生じたかを実施者別に把握するものであり、図19で示すように、実施者である「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間で変化のバラツキを見るためである。「評価項目」としては、サービス種類に絞っている。「評価軸」としては、1人当たりの総単位数/日数・回数の、改定に伴う変化率が算出されている。図19の例では、白丸印の保険者は、サービス種類:32認知症サービスの変化率が−20%であり、改定により、改定前に比べ1人当たりの総単位数/日数・回数が20%減少したことを意味している。
次に、図1の分布特性算出手段17により、図19の目的別データマート16のデータを用いて、図20の分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として実施者(保険者)別にまとめられた、サービス種類別の変化率の値を抽出し、これらの最小値、中央値及び最大値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これらの値からサービス種類別の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて、図20で示す分布特性集計テーブル18に、サービス種類別の分布特性(格差、値域幅)として出力する。
図20の例では、サービス種類:32認知症サービスの変化率の最小値が−70%、最大値が70%であるため、格差(最大値/最小値)は−1.0であり、値域幅(最大値−最小値)は140%となる。同様に、サービス種類:65介護予防通所介護の変化率の最小値は−70%、最大値が91%であるため、格差(最大値/最小値)は−1.3であり、値域幅(最大値−最小値)は161%となる。
また、この分布特性算出手段17は、評価項目(サービス種類)別にまとめられた変化率、一人当りの受給額の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(実施者)の数とから図23で示すN分位分布を評価項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図20の分布特性テーブル18に示された評価項目であるサービス種類:32認知症サービスについてみると、変化率の最小値が−70%、最大値%が70%であるから、この−70%から70%までの分布をN等分して図23のN分位を設定する。全国の自治体数(保険者数)は約2000であるから、全国2000の保険者を例えば10等分した十分位として、これら認定調査項目別に第1N分位数(第1十分位数)と第(N−1)N分位数(第9十分位数)とを決定する。
全国2000の各保険者のサービス種類:32認知症サービスの変化率が目的別データマート16から明らかであるので、この目的別データマート16をソートすることにより、例えば、図20で示すように、第1N分位数(第1十分位数)が−50%、(N−1)N分位数(第9十分位数)が50%と抽出される。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持されたサービス種類別の変化率の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出し、図21で示す分布特性リスト20として出力する。図21の分布特性リスト20には、分布特性(格差、値域幅)の値の大きな、サービス種類:65介護予防通所介護の場合の分布特性(格差、値域幅)値が例示されている。なお、分布特性のうち、格差の値がマイナスの場合は出力せず、値域幅のみ出力する。このように分布特性リスト20により、分布特性(格差、値域幅)の値の大きなサービス種類が判明するため、介護報酬の改定に当たっての内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められたサービス種類別の変化率の値が、図23で示した第1N分位の範囲または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断して、図22で示すN分位集計テーブル22を作成する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、変化率が第1N分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類の数、及び変化率が第NN分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。図22の例では、N分位リスト24には、白丸印の保険者が第1N分位(サービス種類別の変化率が最も小さい範囲)に属する評価項目(サービス種類)の該当数が7つあることを表している。すなわち、サービス種類別の変化率が最も小さい範囲に属する評価項目(サービス種類)の該当数が多い保険者が可視化されるので、介護報酬改定の際、指導対象とすべき可能性のある事例としてとして具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、図25のN分位リスト25には、変化率が第NN分位(サービス種類別の変化率が最も大きい範囲)に属する評価項目(サービス種類)の該当数が多い保険者(白四角印)が可視化されており、同じく介護報酬改定の際、指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.6の介護保険事業計画における、ニーズ件名No.9の介護保険事業計画の評価に適用した実施の形態を説明する。
ここで事業計画とは、自治体全体や生活圏域毎に、認定者/受給者の年齢層・性別・要介護度・障害自立度・認知症自立度・介護力・経済力などに関して、タイムリーかつ定量的に把握した上で、介護保険サービスをサービスインフラとしてとらえ、サービス提供量とその事業費用等の具体的な計画を立てることである。そして、この事業計画と最終的な実績とを比較して計画を評価することが要望されており、また、その進捗が予定通りかを把握することも要望されている。そこで、この介護保険事業計画の評価では、事業計画と最終的な実績を比較することで、事業計画の評価を行うと共に、事業計画について、進捗が予定通りかサービス種類別に把握する。具体的には介護保険事業計画と実績との差異の分布特性を集計する。
この場合は、図1で示したデータベースを構成する主としてレセプト等情報テーブル12から汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。この汎用データマートは図示していないが、「時間単位」は年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、及び生活圏域が抽出される。「バイアス」要因は無いものとする。「評価項目」としては、各種のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)が用いられ、「評価軸」としては、これらサービス種類(サービス項目、サービスモデル)毎の年度提供回数や年度給付比が抽出される。
「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、この業務については無とする。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理が行われ、目的別データマート16を作成する。目的別データマート16は、図示しないが、「時間単位」は年月であり、「分布特性要因」は生活圏域を擁する保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間でのサービス提供状況や進捗状況のバラツキを見るためである。「評価項目」としては前述したサービス種類(サービス項目、サービスモデル)を設定し、「評価軸」としては、これらサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の提供回数や進捗についての実績率(実績/計画)を保険者別に集計している。
次に、図1の分布特性算出手段17により、上述した目的別データマート16のデータを用いて、分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として、実施者である保険者別にまとめられたサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の実績率が集計されているので、これらの最小値、中央値及び最大値を、分布特性集計テーブル18に対して「参考値」として出力する。そして、これら参考値の値から、サービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に、実績率の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて、分布特性集計テーブル18に「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、保険者別にまとめられたサービス種類(サービス項目、サービスモデル)別の実績率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(保険者)の数とから、図23で示すN分位分布を、評価項目であるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された評価項目であるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別に纏められた実績率の値を取り出して分布特性リスト20として出力する。こため、分布特性リスト20により、格差の大きなサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目が判明するので、介護保険事業計画に当たっての内容の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められたサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別実績率の値が、分布特性集計テーブル18の第1N分位または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断してN分位集計テーブル22を作成する。すなわち、第1N分位の範囲に含まれるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目の該当数、第NN分位の範囲に含まれるサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目及の該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目の該当数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別のサービス種類(サービス項目、サービスモデル)の対象項目別の該当数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。すなわち、サービス種類(サービス項目、サービスモデル)の実績率が最も小さいグループに属する対象項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、介護保険事業計画作成について、指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(サービス種類(サービス項目、サービスモデル)の実績率の割合が最も大きいグループ)に属する対象項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じく介護保険事業計画作成について、指導対象とすべき可能性のある事例としてとして具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
次に、本発明を図25で示した分野名No.7の介護給付費管理における、ニーズ件名No.10介護給付費適正化の評価に適用した実施の形態を説明する。
この介護給付費適正化の評価とは、国保連介護給付適正化システム(不適切な給付をチェックするシステム)で扱っている集計のうち、給付費の高いものや、不適切な条件によりアラームが多発しているようなものを確認し現況を把握するものである。ここで、不適切な給付とは、認定調査状況と利用サービスとが不一致の場合、例えば、認定調査では歩行できることになっているにも係わらず、訪問介護の通院等乗降介助加算が有になっている場合であり、国保連給付適正化システムの整合性チェック項目に該当する。このように、国保連介護給付適正化システムで扱っている集計のうち、効果のあるもの(給付費高/アラーム多)を確認するもので、具体的には、国保連給付適正化システムの整合性チェック項目該当件数の分布特性を集計している。
この介護給付費適正化の評価においても、まず、図1で示したデータベースを構成する認定結果テーブル11、及びレセプト等情報テーブル12から、汎用データマート作成手段13により汎用データマート14が作成される。この汎用データマート14は、図示しないが、「時間単位」は年月データを用いる。「分布特性要因」である業務の実施者としては都道府県、保険者、ケアマネ機関、ケアマネージャ、サービス事業者が抽出される。「バイアス」要因は無いものとする。「評価項目」としては、国保連給付適正化システムの整合性チェック項目が抽出され、「評価軸」としては、整合性チェック項目毎のチェック該当件数が抽出される。
「分布特性の詳細分析に有用な項目」については、この業務については無とする。
次に、目的別データマート作成手段15により、汎用データマート14のデータを用い、目的別抽出処理が行われ、目的別データマート16が作成される。目的別データマート16は図示しないが、「時間単位」は年月であり、「分布特性要因」は保険者に絞り込んでいる。これは、複数の保険者間での介護給付費適正化についての評価のバラツキを見るためである。「評価項目」としては、上述のように、国保連給付適正化システムの整合性チェック項目が抽出され、「評価軸」としては、チェック該当件数から整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率が算出され、保持される。
次に、図1の分布特性算出手段17により、図14の目的別データマート16のデータを用いて、分布特性集計テーブル18を作成する。すなわち、目的別データマート16において、「評価軸」として実施者である保険者別にまとめられた整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率の最小値、中央値及び最大値を抽出し、これらを分布特性集計テーブル18に「参考値」として出力する。そして、これらの値から、整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率の分布特性(格差、値域幅)の値をそれぞれ求めて、分布特性集計テーブル18に、「分布特性値」として出力する。
また、この分布特性算出手段17は、評価項目である整合性チェック項目別にまとめられたチェック該当事例発生率の最小値及び最大値と、複数の分布特性要因(保険者)の数とから、図23で示すN分位分布を評価項目別に算出する。そして、このN分位における第1N分位数と第(N−1)分位数とを規定し、これらを分布特性集計テーブル18に、前述した「分布特性値」として出力する。
図1で示す分布特性リスト出力手段19は、分布特性集計テーブル18に保持された整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率の分布特性(格差、値域幅)の値を取り出して図16で示す分布特性リスト20として出力する。このように分布特性リスト20により、格差の大きな整合性チェック項目が判明するため、介護給付費適正化の評価の見直しや改善など、具体的な形でフィードバックを実施することができる。
また、図1で示すN分位算出手段21は、図17で示すN分位集計テーブル22を作成して、目的別データマート16上において複数の実施者(ここでは保険者)別に求められた整合性チェック項目別にまとめられたチェック該当事例発生率が、図23で示した第1N分位の範囲または第NN分位の範囲に含まれるか否かを判断する。そして、第1N分位の範囲に含まれる整合性チェック項目及びその該当数、第NN分位の範囲に含まれる整合性チェック項目及びその該当数をそれぞれ集計する。
さらに、図1のN分位出力手段23により、第1N分位の範囲に含まれる保険者別の整合性チェック項目の数、及びに第NN分位の範囲に含まれる保険者別の整合性チェック項目の数を、N分位リスト24,25にそれぞれ出力させる。すなわち、評価項目である整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率が最も小さいグループに属する評価項目の該当数が多い保険者が可視化されるので、介護給付費適正化に関して指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。また、N分位リスト25には、第NN分位(整合性チェック項目別のチェック該当事例発生率が最も大きいグループ)に属する評価項目の該当数が多い保険者も可視化されるので、同じく介護給付費適正化に関して指導対象とすべき可能性のある事例として具体的な施策をとるための情報として有効活用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。