JP5365426B2 - 光または放射線検出器の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る光または放射線検出器の製造方法は、光または放射線を検出する検出素子が基板上に2次元マトリックス状に配列された光または放射線検出器の製造方法であって、検出器を構成する各層のうちの少なくとも1つは、版の表面に膜を生成する成膜工程と、版の表面に生成された膜を転写部材の表面に写し取る巻き取り工程と、転写部材に巻き取られた膜を基板の表面に写し取る転写工程とにより製造されることを特徴とするものである。
また、上述の構成によれば、インクジェットによる印刷で膜を成膜するよりも正確なパターンを生成することができる。インクジェットの印刷によって基板上に膜を生成すると、膜の輪郭が蛇行したり、滲んだりしてしまう。インクジェット方式においては、液状のインクの粒を基板に飛ばして成膜するからである。しかし、上述の構成によれば、凸版を用いて成膜するので、膜のパターンは、正確なものとなる。
FPD4の構成について説明する。FPD4は、図1に示すように、アモルファスセレンで構成される変換層40と、この変換層40に積層されたアクティブマトリックス基板41と、変換層40を所定の電場に置くための平面電極42とを備えている。アクティブマトリックス基板41には、キャリア収集用の収集電極6が変換層40に接するように設けられている。この収集電極6は、アクティブマトリックス基板41の広がる平面に沿ってマトリックス状に配列されている。収集電極6の各々には、電荷を蓄積するコンデンサ41cが設けられている。コンデンサ41cの各々には電荷の取り出しを制御するトランジスタ41tが設けられている。したがって、コンデンサ41c,トランジスタ41tは、図2に示すように2次元的に配列されていることになる。なお、平面電極42は、絶縁層39に被覆されている。
次に、FPD4の動作について説明する。図5は、変換層40に光または放射線が入射した状態を示している。変換層40に放射線等が入射すると、放射線等は、図5の黒い点で表した電荷に変換される。電荷は、平面電極42に反発して最寄の収集電極6に向かい、収集電極6,電荷誘導層5bを通じてグランド対向導電層4bに蓄積される(図6参照)。図6の状態においては、トランジスタ41tがOFF状態となっている。
次に、FPD4の製造方法について説明する。本発明に係るFPD4は、その製造方法に特徴がある。具体的には、FPD4の製造方法は、図8に示すようにゲート配線2a等の第1層を生成する第1層生成工程S1と、各パターンを電気的に接続する接続工程S2と、チャンネル層4a等の第2層を生成する第2層生成工程S3と、ソース配線を配線するソース配線工程S4と、収集電極6を生成する収集電極生成工程S5とを備えている。
<成膜工程S1a>
まず、配線2a,2bを生成する。図10は、配線2a,2bを生成するための第1凸版11である。第1凸版11の表面には、配線2a,2bの形状をした凸部が設けられている。そして、第1凸版11の表面には、4×4に縦横に並んだ検出素子を構成するパターンが現れている。したがって、ゲート配線2aの形状をした図10の紙面貫通方向に伸びる凸部と、グランド配線2bの形状をした図10の紙面貫通方向に伸びる凸部とが第1凸版11の表面に交互に配列されている。第1凸版11は、本発明の版に相当する。
第1凸版11を大気中に戻して、図12に示すように、円筒形状のローラ12を第1凸版11の表面に押し当てながら回転させる。ローラ12は、第1凸版11よりも強く配線2a,2bに吸着するので、第1凸版11の表面に存していた配線2a,2bは、第1凸版11の表面から剥離して、ローラ12の表面側に巻き取られることになる。ローラ12は、本発明の転写部材に相当する。
次に、図13に示すように、ローラ12を絶縁性の絶縁基板1の上面上に押し当てながら回転させる。絶縁基板1は、ローラ12よりも強く配線2a,2bに吸着するので、ローラ12の表面に存していた配線2a,2bは、ローラ12の表面から剥離して、絶縁基板1の上面上に転写されることになる。
図14は、絶縁基板1を変換層40側から見たときの平面図である。縦方向に伸びた配線2a,2bが交互に配列している。図14は、単位パターンのつなぎ目を現している。すなわち、図14の上半分は単位パターンRaであり、下半分は単位パターンRbとなっている。接続工程S2では、単位パターン同士の導電性を確保する目的で、単位パターンのつなぎ目に導電性のインクを印刷する。実際の印刷方法としてはインクジェット方式の印刷機を使用することができる。こうして、単位パターンを跨いで縦方向(ゲート配線2aの伸びる方向)に連接するゲート配線2aの各々が、本工程で単一の配線となるのである。同様に、単位パターンを跨いで縦方向(グランド配線2bの伸びる方向)に連接するグランド配線2bの伸びる方向の各々が、本工程で単一の配線となるのである。
第2層生成工程S3を行う前に、図15に示すように、ポリイミド等の液体の非導電性インクを絶縁基板1に塗布しておく。この非導電性インクは、将来的に絶縁層7aとなる。非導電性インクは、配線2a,2bが設けられている部分において、盛り上がる特性がある。
<成膜工程S3a>
次に、各層3a,3b,4a,4bを生成する。図16は、各層3a,3b,4a,4bを生成するための第2凸版13である。第2凸版13には、各層3a,3b,4a,4bの形状をした凸部が設けられている。第2凸版13には、4×4に縦横に並んだ検出素子を構成する単位パターンが現れている。したがって、第2凸版13には、各層3b,4bとなる大きな矩形が2次元的に配列されており、各層3a,4aとなる小さな矩形が各層3b,4bの隙間に1つずつ配置されて、第2凸版13を全体として眺めれば、各凸部が2次元的に配列されている構成となっている。
第2凸版13を大気中に戻して、図20に示すように、円筒形状のローラ12を第2凸版13の表面に押し当てながら回転させる。ローラ12は第2凸版13よりも強く各層3a,3b,4a,4bに吸着するので、第2凸版13の表面に存していた各層3a,3b,4a,4bは、第2凸版13の表面から剥離して、ローラ12の表面側に巻き取られることになる。
次に、図21に示すように、ローラ12を絶縁基板1の上面上に押し当てながら回転させる。絶縁基板1は、ローラ12よりも強く各層3a,3b,4a,4bに吸着するので、ローラ12の表面に存していた各層3a,3b,4a,4bは、ローラ12の表面から剥離して、絶縁基板1の上面上に転写されることになる。
転写が終了すると、図23に示すように、絶縁基板1の上面上に、ソース配線5a,電荷誘導層5bがインクジェット方式により印刷される。ソース配線5aは、チャンネル層4aの一端を覆う様に構成され、電荷誘導層5bは、チャンネル層4aの他端からグランド対向導電層4bの全域にかけて各層4a,4bに跨るように構成される。図24は、本工程まで終了した状態において、絶縁基板1を変換層40側から見たときの平面図である。図24が示すように、矩形状の電荷誘導層5bがマトリックス状に配置し、各電荷誘導層5bの間には、横方向に伸びるソース配線5aが配線されている。グランド対向導電層4bは電荷誘導層5bにより全て隠され、チャンネル層4aの一部は、ソース配線5aと電荷誘導層5bとによって隠されている。
収集電極生成工程S5を行う前に、図25に示すように、液体の非導電性インクをインクジェット方式により絶縁基板1に塗布しておく。この非導電性インクは、将来的に絶縁層7bとなる。絶縁基板1の上面上に露出していたソース配線5aとチャンネル層4aは絶縁層7bによって完全に覆われ、電荷誘導層5bの輪郭も絶縁層7bによって覆われる。図26は、本工程まで終了した状態において、絶縁基板1を変換層40側から見たときの平面図である。図26が示すように、矩形の電荷誘導層5bがマトリックス状に配列している構成となっている。
次に、図27に示すように、絶縁基板1の上面上に露出した電荷誘導層5bを覆い隠すように、導電性の収集電極6を配置する。収集電極6は、絶縁基板1の上面上において、マトリックス状に配列することになる。この時点で、収集電極6は、絶縁基板1上から盛り上がっている。
図30は、配線2a,2bを生成するための第1凹版11aである。第1凹版11aには、配線2a,2bの形状をした凹部が設けられている。第1凹版11aには、4×4に縦横に並んだ検出素子を構成する単位パターンが刻まれている。したがって、第1凹版11aには、ゲート配線2aの形状をした図10の紙面貫通方向に伸びる凹部と、グランド配線2bの形状をした図10の紙面貫通方向に伸びる凹部とが交互に配列されている。第1凹版11aは、本発明の版に相当する。
次に、図34に示すように、円筒形状のローラ12を第1凹版11aの表面に押し当てながら回転させる。ローラ12は第1凹版11aよりも強く配線2a,2bに吸着するので、第1凹版11aの表面に存していた配線2a,2bは、第1凹版11aの表面から脱離して、ローラ12の表面側に巻き取られることになる。このとき、インク15の乾燥を待つ必要は必ずしもない。
次に、図13に示すように、ローラ12を絶縁基板1の上面上に押し当てながら回転させる。絶縁基板1は、ローラ12よりも強く配線2a,2bに吸着するので、ローラ12の表面に存していた配線2a,2bは、ローラ12の表面から剥離して、絶縁基板1の上面上に転写されることになる。
Sb 巻き取り工程
Sc 転写工程
1 絶縁基板(基板)
11 凸版(版)
12 ローラ(転写部材)
13 凹版(版)
41c コンデンサ
Claims (5)
- 光または放射線を検出する検出素子が基板上に2次元マトリックス状に配列された光または放射線検出器の製造方法であって、
前記検出器を構成する各層のうちの少なくとも1つは、
版の表面に膜を生成する成膜工程と、
前記版の表面に生成された前記膜を転写部材の表面に写し取る巻き取り工程と、
前記転写部材に巻き取られた前記膜を基板の表面に写し取る転写工程とにより製造され、
前記版は、前記基板に形成される前記膜の形状が凸部となった凸版であり、
前記成膜工程は、真空中において前記凸版に前記膜を蒸着させることで行われることを特徴とする光または放射線検出器の製造方法。 - 請求項1に記載の光または放射線検出器の製造方法において、
前記転写部材は、円筒形のローラであり、
前記巻き取り工程、および前記転写工程は、前記ローラが前記版または前記基板の表面に押し当てられながら回転されることで行われることを特徴とする光または放射線検出器の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の光または放射線検出器の製造方法において、
前記膜を表面に吸着させる吸着性は、前記版、前記転写部材、前記基板の順に強いものとなっていることを特徴とする光または放射線検出器の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光または放射線検出器の製造方法において、
前記転写工程を前記基板の位置を変えながら繰り返し行うことにより、前記版で形成された前記膜のパターンが前記基板の表面に縦横に繰返されることを特徴とする光または放射線検出器の製造方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光または放射線検出器の製造方法において、
前記検出素子は、電荷を蓄積するコンデンサを有し、
前記コンデンサを構成する2つの電極は、前記成膜工程、巻き前記取り工程、前記転写工程により形成されたものであることを特徴とする光または放射線検出器の製造方法。
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