JP5364256B2 - 化合物、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、一般的に(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が用いられている。ポジ型の場合、かかる樹脂としては、脂肪族多環式基を含有する第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、例えば2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等から誘導される構成単位を有する樹脂が主に用いられている(たとえば特許文献1参照)。
例えば、レジストパターンを形成した際のパターン形状やマスク再現性は、パターンが微細化するほどその改善が重要となる。マスクエラーファクター(MEF)は、そのような特性を示す指標の一つであり、同じ露光量で、ピッチを固定した状態でマスクサイズ(ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅や、コンタクトホールパターンにおけるホール直径)を変化させた際に、サイズの異なるマスクパターンをどれだけ忠実に再現できるか(マスク再現性)を示すパラメーターである。リソグラフィー特性の向上には、このようなパターン形状やMEFの改善は重要であり、新規な酸発生剤を用いることにより、この目的を達成することができると考えられている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用酸発生剤として好適な新規化合物、該化合物からなる酸発生剤、該酸発生剤を含有するレジスト組成物、及び該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
「露光」とは、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」とは、炭素原子数1〜5のアルキル基を意味する。
「酸解離性基」は、酸の作用により解離しうる有機基である。
≪化合物≫
本発明の第一の態様の化合物は、前記一般式(b1−14)で表される。
前記一般式(b1−14)中、R7”〜R9”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表す。ただし、R7”〜R9”のうち少なくとも1つは、水素原子の一部または全部がアルコキシアルキルオキシ基またはアルコキシカルボニルアルキルオキシ基で置換された置換アリール基である。
R7”〜R9”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部が、アルコキシアルキルオキシ基およびアルコキシカルボニルアルキルオキシ基以外の置換基、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。このようなアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R7”〜R9”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
R47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
そして、R47およびR48は、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることが好ましく、R47およびR48がいずれも水素原子であることが特に好ましい。
R49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R51における酸解離性基としては、酸の作用により解離しうる有機基であれば特に限定されないが、環状または鎖状の第3級アルキルエステル型酸解離性基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが挙げられ、これらの中でも、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。具体的には、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
前記R14としての直鎖状、若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R14としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記R14としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることが更に好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(フッ素化前のアルキル基中の全水素原子数に対する、フッ素化により置換したフッ素原子の数の割合、以下同様。)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
前記R14としてのアリール基は、置換基を有していてもよい、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基などが挙げられる。置換基は複数有していても良い。
前記R14としてのアルケニル基は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基などが挙げられる。置換基は複数有していても良い。
これらの中でも、前記R14としてはハロゲン化アルキル基が好ましい。
分岐鎖状の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状の1価の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
R1の1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。
R1の1価のヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が特に好ましく、1〜3が最も好ましい。
これらの中でも、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2CF2−が特に好ましい。
前記一般式(b−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
本発明の第一の態様の化合物(b1−14)は、例えば、以下のようにして製造できる。すなわち、有機酸H+B−(B−は、例えば、メタンスルホン酸イオン等、有機酸のアニオン部を表わす。)の溶液中に、下記一般式(b1−14−01)および(b1−14−02)で表される化合物を加えて反応させた後、純水および有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)を加えて、有機層を回収し、この有機層中から下記一般式(b1−14−03)で表される化合物を得る。
次いで、一般式(b1−14−03)で表される化合物を、有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)と水との混合溶剤中に溶解させ、そこへ所望のアニオンX−のアルカリ金属塩L+X−(L+は、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを表わす。)を加えて反応させ、分液および水洗した後、有機層中から下記一般式(b1−14−04)で表される化合物を得る。
次いで、一般式(b1−14−04)で表される化合物を有機溶剤(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等)に溶解させ、氷冷した後、塩基(例えば、水素化ナトリウム等)を加え、所望のアルコキシアルキル基またはアルコキシカルボニルアルキル基のハロゲン化物(例えば、一般式「Cl−C(R47)(R48)−O−R49」、「Cl−R50−C(=O)−O−R51」、「Br−R50−C(=O)−O−R51」等。ここでR47〜R51は前記と同様である。)を加えて、−R10” −OHの−OH基の水素原子を前記アルコキシアルキル基またはアルコキシカルボニルアルキル基と置換することで、化合物(b1−14)が得られる。
また、化合物(b1−14−03)のアニオン交換について、L+X−と反応させる前に化合物(b1−14−03)の−R10” −OHの−OH基の水素原子を前記アルコキシアルキル基またはアルコキシカルボニルアルキル基と置換してから、アニオン交換を行うことによっても、化合物(b1−14)を得ることができる。
本発明の第二の態様の酸発生剤(以下、酸発生剤(B1)ということがある)は、前記一般式(b1−14)で表される化合物からなる。式中、R7”〜R9”、X−は、上記本発明の第一の態様の化合物において挙げたものと同様である。
本発明の第三の態様のレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有し、前記(B)成分は、前記一般式(b1−14)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含むものである。
また、本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物であってもよい。
本発明のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、例えば、(A)成分はアルカリ可溶性樹脂であり、さらに当該ネガ型レジスト組成物に架橋剤(C)が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物は、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が発生すると、露光部は、当該酸が作用してアルカリ可溶性樹脂と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ不溶性へ変化する。
アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤(C)としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤(C)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
かかるポジ型レジスト組成物において好適に用いられる(A1)成分としては、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、前記(A1)成分は、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、前記(A1)成分は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。
置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状の低級アルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。ここでハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
Y2は好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。Y2が炭素数1〜10のアルキレン基である場合、炭素数1〜6であることが更に好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。Y2が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
その中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−6)および(a1−1−35)〜(a1−1−41)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a3)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
本発明において、(A1)成分としては、特に下記一般式(A1−1)〜(A1−3)で表される様な構成単位の組み合わせを含む共重合体(A1−1)〜(A1−3)が好ましい。
式中、R20は低級アルキル基であり、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
そして、共重合体(A1−1)〜(A1−3)のうち2種以上を組み合わせて用いる場合には、好ましい共重合体の組み合わせとして、共重合体(A1−2)と共重合体(A1−3)の組み合わせが例示できる。
(A)成分中の共重合体(A1−1)〜(A1−3)の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。なかでも、100質量%であることが最も好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、ポジ型レジスト組成物とした際、リソグラフィー特性がより向上する。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
また、(A1)成分は、共重合体(A1−1)〜(A1−3)以外のアルカリ可溶性樹脂成分、たとえば従来のポジ型レジスト組成物に用いられている他の高分子化合物等を用いることもできる。
本発明のポジ型レジスト組成物中、(A1)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて適宜調整すればよい。
本発明のレジスト組成物において、(B)成分は、上記一般式(b1−14)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分という。)を含むものである。
式中、R7”〜R9”、X−は、上記本発明の第一の態様の化合物において挙げたものと同様である。
(B)成分が、該(B1)成分を含むことにより、レジストパターンを形成した際のマスク再現性、例えば、コンタクトホール(C/H)パターンを形成した際の該ホールの真円性、直径(CD)の均一性(CDU)が向上し、マスクエラーファクター(MEF)が改善され、C/Hパターンの抜け性に優れるなど、リソグラフィー特性が向上する。また、ラインアンドスペースのレジストパターン(L/Sパターン)を形成した際もMEFが改善されるなど、リソグラフィー特性が向上する。
そして、本発明のレジスト組成物は、液浸露光工程を含むレジストパターン形成方法において、液浸露光用レジスト組成物として好適に用いることができ、良好なリソグラフィー特性が得られ、また、3層レジスト積層体を形成する工程を含むレジストパターン形成方法において、上層レジスト膜形成用ポジ型レジスト組成物として好適に用いることができ、良好なリソグラフィー特性が得られる。
(B1)成分としては、アニオン部として前記一般式「R14SO3 −」または「R1−O−Y1−SO3 −」で表されるアニオンや、前記一般式(b−3)または(b−4)で表されるアニオンを用いるのが好ましい。そして、一般式「R14SO3 −」または「R1−O−Y1−SO3 −」で表されるアニオンであるとさらに好ましい。
本発明のレジスト組成物において、(B)成分全体における(B1)成分の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、100質量%でもよい。該範囲の下限値以上であることにより、レジストパターン形状が良好である。特に液浸露光用レジスト組成物や、上層レジスト膜形成用レジスト組成物に用いてレジストパターンを形成した場合、リソグラフィー特性が向上する。3層レジスト積層体を形成する際には、レジストの下層膜とのマッチングが良好となり、レジストパターンの裾引き等を抑制することができるため好ましい。
また、本発明のレジスト組成物において、(B1)成分の含有量は、前記(A)成分の100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、3〜18質量部であることが特に好ましく、5〜16質量部であることが最も好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、特に液浸露光用レジスト組成物や、上層レジスト膜形成用レジスト組成物に用いてレジストパターンを形成した場合、リソグラフィー特性が向上する。一方、上限値以下であることにより、保存安定性が良好なものとなる。
(B2)成分としては、前記(B1)成分以外であれば特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
そして、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖状若しくは環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明のレジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミンが特に好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
[(E)成分]
本発明のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、γ−ブチロラクトンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
さらに、(S)成分としては、上述のPGMEAとPGMEとの混合溶剤と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が99.9:0.1〜80:20であることが好ましく、99.9:0.1〜90:10であることがさらに好ましく、99.9:0.1〜95:5であることが最も好ましい。前記範囲とすることで、レジストパターンの矩形性が向上する。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
一方、露光部においては、発生した酸により露光後加熱(PEB)時において、前記酸解離性基が、前記水酸基を構成する酸素原子から解離して、アリール基に水酸基が結合した化合物を生じ、(A1)成分に対して、アルカリ現像液に対する溶解促進効果を発揮すると考えられる。
したがって、露光部/非露光部の高コントラスト化が可能になると考えられる。
そして、本発明のレジスト組成物は、液浸露光工程を含むレジストパターン形成方法において、液浸露光用レジスト組成物として好適に用いることができ、良好なリソグラフィー特性が得られ、また、3層レジスト積層体を形成する工程を含むレジストパターン形成方法において、上層レジスト膜形成用ポジ型レジスト組成物として好適に用いることができ、良好なリソグラフィー特性が得られると考えられる。
次に、本発明の第四の態様のレジストパターン形成方法について説明する。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明の第三の態様のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む方法である。
すなわち、まず支持体上に、上記本発明の第三の態様のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB)処理)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
<化合物(1)の合成>
得られた化合物について、1H−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.61−7.72(m,10H,phenyl),7.14(S,2H,Hc),3.12(S,3H,Hb),2.22(s,6H,Ha)。
上記の結果から、得られた化合物が下記に示す構造を有することが確認できた。
<化合物(2)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.97(s,1H,Hc),7.94−7.91(m,3H,phenyl+naphthyl),7.83−7.81(m,2H,phenyl+naphthyl),7.76−7.75(m,8H,phenyl+naphthyl),7.55−7.52(m,3H,phenyl+naphthyl),7.496(s,2H,Hd),5.21(s,2H,Hb),2.24(s,6H,Ha)。
19F−NMR(Acetone−d6、376MHz):δ(ppm)=−82.8,−115.8。
上記の結果から、化合物が下記に示す構造を有することが確認できた。
<化合物(b1−14−101)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.76−7.88(m,10H,Ha−He),7.60(s,2H,Hf),5.24(s,2H,Hg),3.88(s,1H,Hh),2.33(s,6H,Hi),1.46−1.99(m,14H,Adamantane)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−80.4,−114.6,−121.1,−125.3。
上記の結果から、化合物が下記に示す構造を有することが確認できた。
<化合物(b1−14−201)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.89(s,1H,He),7.87−7.59(m,13H,phenyl+naphthyl),7.561(s,2H,He),7.54−7.52(m,3H,phenyl+naphthyl),5.23−5.21(d,4H,Hd),3.87(s,1H ,Hf),2.33(s,6H,Ha),1.99−1.45(m,14H,Adamantane)。
19F−NMR(Acetone−d6、376MHz):δ(ppm)=−82.9,−115.9。
上記の結果から、化合物が下記に示す構造を有することが確認できた。
<化合物(b1−14−301)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ(ppm)=7.84(s,1H,Hf),7.71−7.77(m,3H,Phenyl+Naphthyl),7.57−7.67(m,10H,Phenyl+Naphthyl),7.39−7.51(m,3H,Phenyl+Naphthyl),7.36(s,2H,Hd),5.19(s,2H,Hc),4.38(s,2H,Hb),2.32(s,6H,Ha),1.69−1.97(m,11H,Adamantan),1.66(s,3H,He),1.55−1.58(d,3H,Adamantan)。
19F−NMR(CDCl3、400MHz):δ(ppm)=−76.87,−109.14。
上記の結果から、化合物が下記に示す構造を有することが確認できた。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される重合体。
(B)−1:前記化学式(b1−14−101)で表される酸発生剤(実施例1の化合物)。
(B)−2:前記化学式(b1−14−201)で表される酸発生剤(実施例2の化合物)。
(B)−3:前記化学式(b1−14−301)で表される酸発生剤(実施例3の化合物)。
(B)−4:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
なお、(B)−1〜(B)−4の配合量は等モル量である。
得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いてレジストパターンを形成し、以下のリソグラフィー特性を評価した。
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物溶液を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,2/3輪帯照明)により、ホール直径(CD)75nmのホールが等間隔(ピッチ131nm)に配置されたホールパターンのマスク(バイアス0nm)を介して、トップコートが形成された前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
保護膜除去液「TS−Rememover−S」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用いてトップコートを取り除き、その後、95℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−W」(東京応化工業株式会社製)で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、前記レジスト膜に、ホール直径(CD)70nmのホールが等間隔(ピッチ131nm)に配置されたコンタクトホールパターン(C/Hパターン)が形成された。
また、その際の最適露光量(感度:Eop,mJ/cm2)を求めた。その結果、実施例4は61mJ/cm2であり、実施例5は85mJ/cm2であり、実施例6は57mJ/cm2であり、比較例1は34mJ/cm2であった。
走査型電子顕微鏡(商品名:S−9220、日立製作所社製)により、上記ホールの直径70nm、ピッチ131nmのC/Hパターンを観察したところ、実施例4〜6のC/Hパターンの抜け性が比較例1よりも明らかに優れていることが確認された。比較例1のC/Hパターンは、パターンの一部が抜けきっていなかった。
上記EOPで、口径70nm、ピッチ131nmをターゲットとするマスクパターンと、口径75nm、ピッチ131nmをターゲットとするマスクパターンとを用いてC/Hパターンを形成し、以下の式からMEFの値を求めた。
MEF=|CD75−CD70|/|MD75−MD70|
上記式中、CD75、CD70は、それぞれ、口径75nm、70nmをターゲットとするマスクパターンを用いて形成されたC/Hパターンの実際の口径(nm)である。また、MD75、MD70は、それぞれ、当該マスクパターンがターゲットとする口径(nm)であり、MD75=75、MD70=70である。
MEFは、同じ露光量で、ピッチを固定した状態でマスクサイズ(C/Hパターンにおけるホール直径や、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅)を変化させた際に、サイズの異なるマスクパターンをどれだけ忠実に再現できるかを示すパラメーターであり、MEFの値が1に近いほど、マスク再現性が良好であることを示す。評価の結果、実施例4〜6は、比較例1よりもマスク再現性が良好であることが確認された。
上記EOPで得られたC/Hパターンについて、各C/Hパターン中の25個のホールのCDを測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。このようにして求められる3σは、その値が小さいほど当該レジスト膜に形成された各ホールのCD均一性(CDU)が高いことを意味する。
評価の結果、実施例4は13.65であり、実施例5は14.51であり、実施例6は11.99であり、比較例1は16.60であった。
上記EOPで得られたC/Hパターンを上から観察し、測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)により、各C/Hパターン中の25個のホールについて、該ホールの中心から外縁までの距離を24方向測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。このようにして求められる3σは、その値が小さいほど当該ホールの真円性が高いことを意味する。
評価の結果、実施例4は5.5であり、実施例5は4.7であり、実施例6は4.1であり、比較例1は5.2であった。実施例4は比較例1と同等の真円性であり、実施例5〜6は比較例1よりも真円性が優れていた。
<化合物(b1−14−501)〜(b1−14−503)の合成>
該化合物について、1H−NMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3、600MHz):δ(ppm)=7.83−7.86(m,4H,phenyl),7.69−7.78(m,6H,phenyl),7.51(s,2H,Hd),4.46(s,2H,Hc),2.39(s,6H,Ha),2.33(s,2H,Adamantane),2.17(s,2H,Adamantane),1.71−1.976(m,11H,Adamantane),1.68(s,3H,Hb),1.57−1.61(m,2H,Adamantane)。
上記の結果から、得られた化合物には下記に示す構造を有する化合物(b1−14−501)が含まれることが確認された。さらに、得られた化合物には、カチオン部のNMRデータが上記と同じである化合物(b1−14−502)および(b1−14−503)が含まれることが、イオンクロマトグラフィーの測定結果から確認された。これら化合物の比率は、化合物(b1−14−501)21.4mol%、化合物(b1−14−502)11.4mol%、(b1−14−503)67.2mol%であった。
<化合物(b1−14−401)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.75−7.86(m,10H,ArH),7.61(s,2H,ArH),4.62(s,2H,CH2),2.31(s,6H,CH3),1.49−1.97(m,17H,Adamantane)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−77.8,−112.2,−118.7,−123.0。
上記の結果から、化合物が上記構造を有することが確認できた。
<化合物(b1−14−402)の合成>
得られた化合物について、1H−NMR、19F−NMRによる分析を行った。
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.74−7.86(m,10H,ArH),7.60(s,2H,ArH),4.62(s,2H,CH2),2.31(s,6H,CH3),1.49−1.97(m,17H,Adamantane)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−75.2。
上記の結果から、化合物が上記構造を有することが確認できた。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
表2に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)−2:下記化学式(A)−2で表される重合体(Mw=7000、Mw/Mn=1.8)。
(A)−3:下記化学式(A)−2で表される重合体(Mw=10000、Mw/Mn=2.0)。
(A)−4:下記化学式(A)−4で表される重合体(Mw=5000、Mw/Mn=1.5)。
(B)−5:前記化学式(b1−14−401)で表される酸発生剤(実施例8の化合物)。
(B)−6:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
(B)−7:ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(B)−8:4−メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いてレジストパターンを形成し、以下のリソグラフィー特性を評価した。
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚75nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物溶液を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
その結果、いずれのポジ型レジスト組成物を用いた例においても、ライン幅65nm、ピッチ130nmのラインアンドスペースのレジストパターン(L/Sパターン)が形成された。
また、その際の最適露光量(感度:Eop,mJ/cm2)を求めた。結果を表3に示す。
上記Eopにて、ライン幅のターゲットサイズを61nm、63nm、65nm、67nm、69nmとするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ130nmのL/Sパターンを形成した。このとき、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きをMEFとして算出した。MEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。得られた結果を表3に示す。
Claims (9)
- 下記一般式(b1−14)で表される化合物。
- 請求項1記載の化合物からなる酸発生剤。
- 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
前記酸発生剤成分(B)は、下記一般式(b1−14)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物。
- 前記基材成分(A)は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分である請求項3記載のレジスト組成物。
- 前記基材成分(A)は樹脂成分(A1)であって、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項4記載のレジスト組成物。
- 前記基材成分(A)は、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項5記載のレジスト組成物。
- 前記基材成分(A)は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項5または6記載のレジスト組成物。
- 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項3〜7のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 請求項3〜8のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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