本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係る建設機械について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械の一例としての油圧ショベルの概略構成図である。図2は、本発明の一実施形態に係る建設機械の要部斜視図である。
建設機械Sの一例としての油圧ショベルは、図1に示すように、下部走行体1と、下部走行体1の上部に旋回機構2を介して旋回可能に装着される上部旋回体3と、上部旋回体3に連設されている作業機4とを備える。作業機4は、その基部が上部旋回体3に揺動可能に連結されているブーム5と、ブーム5の先端に揺動可能に連結されているアーム6と、アーム6の先端に揺動可能に連結されているバケット7とを備える。上部旋回体3は、油圧ショベルを運転するオペレータが乗り込む運転室11を備える。
上部旋回体3の運転室11は、図2に示すように、その中央部に運転席13が設けられ、運転席13の前方に走行操作手段14が設けられている。走行操作手段14は、走行レバー15、16と、各走行レバー15、16と一体に揺動する走行ペダル17、18とを備える。本実施形態の油圧ショベルにおいては、走行レバー15、16を前方に押すと下部走行体1が前進し、走行レバー15、16を後方に引くと下部走行体1が後進するようになっている。走行操作手段14の近傍には、アタッチメント用ペダル8が設けられている。また、一方の側方窓9側には、計器盤10が設けられている。
運転席13の側部側には、作業機操作レバー19、20がそれぞれ設置されている。作業機操作レバー19、20は、ブーム5の上下動、アーム6及びバケット7の回動、及び上部旋回体3の旋回操作等を行うものである。一方の作業機操作レバー19の近傍にはロックレバー21が設けられている。ここで、ロックレバー21とは、作業機4の操作、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等の機能を停止させるためのものである。すなわち、ロックレバー21の引き上げ操作を行うことによって、作業機4等の動きをロックすることができ、この状態では、作業機操作レバー19、20等を操作しても、作業機4等が動作しないようになっている。
また、運転室11には、建設機械Sの種々の状態(エンジン水温、作動油温、燃料量等)を表示するモニタ装置22が設けられている。本実施形態では、モニタ装置22は、運転室11の前方窓23と一方の側方窓9とを仕切る縦枠25の下部に配設されている。モニタ装置22の外装ケース24の前面には、モニタ画面26と操作用押しボタン27が設けられている。モニタ画面26は、例えば、液晶パネルによって構成されている。
図3は、本発明の一実施形態に係る建設機械の制御システムを示す簡略図である。
建設機械Sの制御システムは、エンジン40と、油圧ポンプ31aと、油圧ポンプ31bと、エンジン40を制御するエンジンコントローラ32と、油圧ポンプ31a、31bを制御するポンプコントローラ33と、ガバナモータ34と、斜板駆動装置35と、エンジン40の回転数を検知する回転センサ39と、圧力センサ43と、作動油油温センサ44と、エンジン水温センサ45と、旋回ロックスイッチ47と、圧力センサ48と、作業機レバー19(20)と、ロックレバー21とを有している。
エンジンコントローラ32は、燃料ダイアル38に設定された回転数にしたがってガバナモータ34を制御して、エンジン40の回転数を制御する。斜板駆動装置35は、ポンプコントローラ33の制御にしたがって駆動して、油圧ポンプ31aの斜板の傾斜角度を変更する。ポンプコントローラ33は、回転センサ39によって検知されたエンジン40の実際の回転数に基づいて、エンジン40の各出力点でのベストマッチングのトルクを油圧ポンプ31aが吸収するように斜板駆動装置35を制御する。
油圧ポンプ31aには、コントロールバルブ36を介してアクチュエータ(油圧アクチュエータ)37が接続されている。アクチュエータ37としては、図示しないブーム用シリンダ、アーム用シリンダ、バケット用シリンダ、旋回用油圧モータ、走行用油圧モータ等がある。油圧ポンプ31bには、作業機レバー19(20)と、ロックレバー21とが接続される。
ロックレバー21には、PPCロックスイッチ41が接続され、ロックレバー21がロック側へ操作されたときに、スイッチ41にてその操作が検出され、スイッチ41からバルブ(ソレノイド)42に信号が送られる。バルブ42は、スイッチ41から信号を受け取ると、作業機4の操作、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等の機能を停止する。
作業レバー19の上部には、掘削力を増加させる指示を行うためのノブスイッチ46が設けられている。ノブスイッチ46は、ポンプコントローラ33に接続されている。ポンプコントローラ33は、ノブスイッチ46がON(押された)された場合に、油圧アクチュエータ37へ供給される力が増加するように油圧ポンプ31aを制御する。
圧力センサ43は、作業機レバー19、20が操作されたか否かを検出するセンサであり、アナログ式のセンサであってもよく、また、オン−オフセンサであってもよい。なお、圧力センサ43に換えて、操作レバーにポテンショメータを組み込み、このポテンショメータにより操作されたか否かを判定するようにしてもよい。作動油油温センサ44は、作動油(油圧回路を流れる油)の温度を検出するセンサであり、例えば、作動油タンクに設置されている。作動油油温センサ44による検出結果は、ポンプコントローラ33に出力される。エンジン水温センサ45は、エンジン40を冷却する冷却水の温度(エンジン水温)を検出するセンサである。エンジン水温センサ45の検出結果は、エンジンコントローラ32に出力される。旋回ロックスイッチ47は、例えば、運転室11内の右側の計器板10に設けられるメカニカルスイッチであり、上部旋回体3を旋回できないようにするためのスイッチである。すなわち、旋回ロックスイッチ47がロック側に切り替えられると、ポンプコントローラ33により、上部旋回体3の旋回が行われないように制御される。圧力センサ48は、油圧ポンプ31aが吐出する作動油の圧力(ポンプ圧)を検出し、検出結果をポンプコントローラ33に出力する。
エンジンコントローラ32及びポンプコントローラ33は、圧力センサ43、作動油油温センサ44、エンジン水温センサ45、ノブスイッチ46、旋回ロックスイッチ47、圧力センサ48等のセンサによる検出結果や、スイッチの状態を示す情報等をモニタ装置22に出力する。
図4は、本発明の一実施形態に係るモニタ装置及び管理センタ装置の概略構成図である。
建設機械Sのモニタ装置(ガイダンス出力装置の一例)22は、エンジン稼動検出部51と、キー操作検出部52と、ポンプ圧取得手段及び暖機状態判定手段の一例としてのエコガイダンス判定部53と、優先項目判定部54と、ガイダンス表示制御部55と、モニタ画面26と、通信処理部57とを有する。ここで、出力制御手段は、エコガイダンス判定部53及びガイダンス表示制御部55によって構成される。
エンジン稼動検出部51は、エンジンコントローラ32からの情報に基づいて、エンジン40が稼動しているか否かを検出し、稼働時間を優先項目判定部54に通知する。キー操作検出部52は、例えば、ポンプコントローラ33からの情報に基づいて、オペレータによるキー操作(キーオン又はキーオフ)を検出する。キー操作検出部52は、他に、バッテリと、各種コンポーネント(モニタ装置22、各ポンプコントローラ33等)との間に設けられているキースイッチの下流側の電圧値を監視することでキー操作を検出することもできる。キースイッチがONになれば、下流側の電圧値がバッテリの電圧値となるので、そのことで、キー操作を検出することができる。また、モニタ装置22等の各種コントローラが起動されれば、そこに電源が供給されるので、その電源が供給されたという事実で、キー操作を検出することができる。また、キー操作検出部52は、検出したキー操作を示す情報をエコガイダンス判定部53及びガイダンス表示制御部55に通知する。モニタ画面26は、例えば、液晶表示画面を有し、各種情報を表示する。
エコガイダンス判定部53は、エンジンコントローラ32及びポンプコントローラ33から出力される各種センサやスイッチの状態を示す情報に基づいて、複数の燃費悪化運転動作(エネルギー浪費運転動作の一例)の発生を検出し、発生した燃費悪化運転動作をガイダンス表示制御部55に通知するとともに、燃費悪化運転動作の発生回数をカウントし、各燃費悪化運転動作の発生回数を優先項目判定部54に通知する。本実施形態では、エコガイダンス判定部53は、1日毎(例えば、毎日0時から24時間)の燃費悪化運転動作の回数を記憶するための1日毎回数記憶部と、直前のキーオン時から発生した燃費悪化運転動作の回数を記憶するためのキーオン毎回数記憶部とを有し、複数の燃費悪化運転動作の発生を検出し、発生回数をそれぞれにカウントし、各燃費悪化運転動作の発生回数を優先項目判定部54に通知する。
燃費悪化運転動作としては、例えば、図6に示すように、長時間のアイドリングを行う運転動作(動作を示す項目名:長時間アイドリング)と、油圧リリーフを継続する運転動作(動作を示す項目名:油圧リリーフ)と、省エネルギーモード(Eモード)で実行できる運転を別の高エネルギーモードで実行している運転動作(動作を示す項目名:Eモード奨励)と、スロットルが高い状態で走行をしている運転動作(動作を示す項目名:走行パーシャル奨励)とがある。
以下、建設機械Sの一例として油圧ショベルについて説明する。一般に油圧ショベルには、作業の負荷がそれぞれ異なる基本作業の種類を示す複数の作業モードが設けられている。例えば、「Pモード」、「Eモード」などの作業モードがある。作業を行う際に、作業者自らがこれから行う作業の内容に応じて、いずれかの作業モードを選択することができる。そして、油圧ショベルは、選択された作業モードに応じて、それぞれ異なる制御を行う。各作業モードの概要は以下の通りである。
「Pモード」は、負荷が大きな掘削作業を行うための作業モード(作業量を重視)であり、その動作特性を、エンジン・トルクカーブ、およびポンプ・出力カーブを用いて表すと、図10(a)のようになる。すなわち、エンジン回転数はNAでほぼ一定となるように動作し、ポンプの出力(馬力)もPSAで一定となるように動作する。
上述の「Eモード」は、Pモードより負荷の小さい掘削作業を行うための作業モード(燃費を重視)であり、その動作特性を、エンジン・トルクカーブ、およびポンプ・出力カーブを用いて表すと、図10(b)のようになる。破線で示したものは、それぞれ、Pモードにおけるカーブである。すなわち、エンジン回転数はNBでほぼ一定となるように動作し、ポンプの出力もPSBで一定となるように動作する。
再び図6を参照する。長時間アイドリングは、オペレータによる運転操作(走行レバー15、16、操作レバー19、20等に対する操作)がなく、その状態が所定時間継続しているという条件を満たす運転動作であり、油圧リリーフは、オペレータによる運転操作(作業機レバー19、20の操作)があり、暖機運転以外であって、ポンプ圧(ポンプから出力される側の作動油の圧力)が油圧リリーフ圧(油圧リリーフが行なわれるように設定されている圧力)以上である状態が所定時間継続しているという条件を満たす運転動作であり、Eモード推奨は、発生馬力がEモード範囲内である条件を満たす運転動作であり、走行パーシャル推奨は、走行操作があり、スロットル指定が所定量以上であるといった状態が所定時間継続しているという条件を満たす運転動作である。なお、暖機運転であるか、それ以外であるかについては、例えば、エンジン40の始動から所定時間(例えば、5分)を経過しているか否か、エンジン水温が所定温度以下であるか否か、作動油の油温が所定温度以下であるか否か等の少なくともいずれか1つに基づいて判定することができる。
エコガイダンス判定部53は、上記した燃費悪化運転動作の条件を満たすか否かを判定することにより、それぞれの燃費悪化運転動作の発生を検出している。本実施形態では、エコガイダンス判定部53は、燃費悪化運転動作の1つの油圧リリーフの条件として、暖機運転以外の状態であることとしているので、暖機運転時には、燃費悪化運転動作とされないので、ガイダンス表示制御部55に燃費悪化運転動作の発生が通知されないので、油圧リリーフに対するガイダンスが表示されることがない。このため、建設機械Sにおいて必要な暖機運転時に、暖機運転をやめさせるようなガイダンスが表示されることはない。
優先項目判定部54は、エコガイダンス判定部53から通知されるそれぞれの燃費悪化運転動作の回数に基づいて、優先的に省エネルギー用のガイダンスを出力すべき、燃費悪化運転動作を決定して、ガイダンス表示制御部55に通知する。例えば、優先項目判定部54は、発生回数の多い燃費悪化運転動作を、優先的に省エネルギー用のガイダンスを出力すべきと決定する。ここで、比較に使用する回数としては、1日毎の回数又は、キーオンからの回数のいずれかが設定に基づいて利用される。例えば、キーオンからの回数を基準にすると、例えば、オペレータを変更する毎にキーオンをするような運用がされている場合においては、運転しているオペレータに対して適切なガイダンスを決定することができる。
なお、優先項目判定部54は、エコガイダンス判定部53から通知されるそれぞれの燃費悪化運転動作の回数と、通信処理部57から通知される平均情報とに基づいて、優先的に省エネルギー用のガイダンスを出力すべき燃費悪化運転動作を決定するようにしてもよい。ここで、平均情報は、同種の建設機械S(同種の建設機械Sとは、掘削機械である油圧ショベル(同じバケット容量を有するものでも良い)、又は、積み込み機械であるホイールローダ等、同じ種類の建設機械を示す)におけるそれぞれの燃費悪化運転動作の平均の回数に関する情報であり、例えば、同種の建設機械において発生したそれぞれの燃費悪化運転動作の回数のそれぞれの平均値の逆数としてもよい。平均情報が同種の建設機械に発生したそれぞれの燃費悪化運転動作の発生回数の平均値の逆数である場合には、優先項目判定部54は、エコガイダンス判定部53から通知されるそれぞれの燃費悪化運転動作の回数と、それぞれの燃費悪化運転動作に対応する平均値の逆数とを乗算し、乗算した結果の中で最も大きい値となる燃費悪化運転動作を優先的に省エネルギー用のガイダンスを出力すべきものと決定する。この場合には、複数の燃費悪化運転動作を単純に回数で比較して優先して出力するガイダンスを決定するのではなく、他の建設機械における運転状況を加味して、優先して出力するガイダンスを決定することができるので、他の建設機械に比較して悪い(発生回数が多い)燃費悪化運転動作に対するガイダンスを優先して出力すべきものと判定できる。
なお、本実施形態では、優先項目判定部54は、比較値が同一の場合には、予め決められた優先順位に従って、ガイダンスを出力すべき燃費悪化運転動作を決定するようにしている。具体的には、例えば、比較値が同一の場合には、長時間アイドリング、Eモード推奨、走行パーシャル推奨、油圧リリーフの順で優先してメッセージを出力するものとして決定するようになっている。
また、優先項目判定部54は、各燃費悪化動作運転の発生回数が0回である場合には、優良運転である旨をガイダンス表示制御部55に通知する。なお、本実施形態では、優先項目判定部54は、稼働時間が所定時間(例えば、1時間)以上であって、各燃費悪化動作運転の発生回数が0回である場合に、優良運転である旨をガイダンス表示制御部55に通知する。このように稼働時間が所定時間以上を条件とすることにより、燃費悪化動作運転が発生することがほとんどないような、きわめて短時間での運転時に、優良運転である旨の通知がなされないようにしている。
また、優先項目判定部54は、それぞれの燃費悪化運転動作の発生回数を含む運転情報を通信処理部57に通知する。
ガイダンス表示制御部55は、それぞれの燃費悪化運転動作に対応するガイダンスを記憶する。ガイダンス表示制御部55は、図6に示すように、1つの燃費悪化運転動作に対するガイダンスとして、例えば、燃費悪化運転動作が検出された際に即時的に出力するためのガイダンスであるエコガイダンスと、燃費悪化運転動作が検出された以降の所定のタイミング(本実施形態では、キーオン時及びキーオフ時)において出力するためのガイダンスであるワンポイントガイダンスとを記憶している。ガイダンス表示制御部55は、例えば、油圧リリーフ抑止に対するエコガイダンスとしては、「油圧リリーフを抑えましょう」を記憶し、ワンポイントガイダンスとしては、「作業中の油圧リリーフを抑えることをお勧めします」を記憶している。
また、ガイダンス表示制御部55は、エコガイダンス判定部53から燃費悪化運転動作の発生の通知を受けた場合には、図5Aに示すように、エンジン水温、油温、及び燃料量を示す画面70に、この燃費悪化運転動作に対応するガイダンス71を併せて、モニタ画面26に表示させる。なお、本実施形態では、ガイダンス表示制御部55は、エコガイダンス判定部53から燃費悪化運転動作の発生の通知を受けた場合であっても、モニタ画面26に建設機械の異常表示(例えば、エンジン水温のオーバーヒートなど)を行っているときには、燃費悪化運転動作に対応するガイダンスの表示の優先度を異常表示の優先度よりも低くすることで、燃費悪化運転動作に対応するガイダンスをモニタ画面26に表示させない。なお、予め、異常表示の優先度は、燃費悪化運転動作に対応するいずれのガイダンスの表示の優先度よりも高く設定されていても良い。
また、ガイダンス表示制御部55は、キー操作検出部52からキーオン又はキーオフ操作があった情報を受信した場合に、図5Bに示すように、優先項目判定部54により通知された燃費悪化運転動作に対応するガイダンス81(本実施形態では、ワンポイントガイダンス)を含む画面80をモニタ画面26に表示させる。なお、本実施形態では、ガイダンス表示制御部55は、直前のキーオフ時において表示させたガイダンスを記憶しておき、直後のキーオン時には、その記憶されたガイダンス81を含む画面80をモニタ画面26に表示させる。なお、ガイダンス表示制御部55は、キーオン時又はキーオフ時のいずれかのみにガイダンスを表示させるようにしてもよい。
また、ガイダンス表示制御部55は、優先項目判定部54より優良運転である旨の通知を受けた場合には、キーオフ時に、優良運転である旨をモニタ画面26に表示させる。このように、優良運転である旨を表示させるので、オペレータの運転に対するモチベーションを向上することができる。また、ガイダンス表示制御部55は、通信処理部57から変更メッセージを受信した場合には、ガイダンスに換えて変更メッセージをモニタ画面26に表示させる。また、ガイダンス表示制御部55は、変更メッセージとともに、絵、色、音声等のデータを受け取った場合には、それに基づいて画像表示、音声出力を行う。
また、ガイダンス表示制御部55は、オペレータからのエコガイダンス記録画面の表示指示を受け付けた場合に、図5Cに示すエコガイダンス記録画面90をモニタ画面26に表示させる。エコガイダンス記録画面90には、図5Cに示すように、それぞれの燃費悪化運転動作の発生回数が表示される回数表示領域92と、ガイダンス(本実施形態では、ワンポイントガイダンス)が表示されるワンポイントガイダンス表示領域93とが含まれる。なお、図5Cは、1日毎の回数に従ってガイダンスを決定するように設定されている場合の画面の例を示しているが、例えば、キーオンからの回数によりガイダンスを決定するように設定されている場合には、キーオンからの回数が表示されるとともに、キーオンからの回数に基づいて、ガイダンスが決定されて、表示されることとなる。
通信処理部57は、優先項目判定部54から運転情報を受け取り、当該運転情報に、自身の建設機械S或いは、オペレータ(例えば運転者)の識別情報等を含めて管理センタ装置60に送信する。また、通信処理部57は、管理センタ装置60から平均情報を受信し、優先項目判定部54に渡す。また、通信処理部57は、管理センタ装置60から変更メッセージを受信し、ガイダンス表示制御部55に渡す。また、通信処理部57は、管理センタ装置60から絵、色、音声等のデータを受信し、ガイダンス表示制御部55に渡す。
複数の建設機械Sを管理する管理センタに設置される管理センタ装置60は、通信処理部61と、集計処理部62と、集計データベース63と、公開処理部64とを有する。
通信処理部61は、複数の建設機械Sとの間で通信を行う。通信処理部61は、複数の建設機械Sから運転情報を受信し、受信した運転情報を集計処理部62に渡す。また、通信処理部61は、集計処理部62から平均情報を受け取り、各建設機械Sに平均情報を送信する。また、通信処理部61は、集計処理部62から変更メッセージを受け取り、建設機械Sに変更メッセージを送信する。また、通信処理部61は、変更メッセージとともに、絵、色、音声等のデータを受け取った場合には、それらを建設機械Sに送信する。
集計処理部62は、通信処理部61から受け取った運転情報を集計データベース63に格納する。また、集計処理部62は、集計データベース63の情報に基づいて、同種の建設機械Sにおける各燃費悪化運転動作の平均回数に関する情報(例えば、平均回数の逆数)を算出し、通信処理部61により建設機械Sに送信させる。集計処理部62は、運転情報に基づいて、所定の条件を満たす場合に、建設機械Sで表示させる変更メッセージを、通信処理部61を介して送信させる。例えば、集計処理部62は、運転情報が示す燃費悪化運転動作の回数が、同種の建設機械Sに対して少ない場合、すなわち、優れている場合には、当該建設機械Sに対して、運転が優れている旨のメッセージを送信させる。また、集計処理部62は、建設機械Sで表示させる変更メッセージのほかに、絵、色、音声等のデータを、通信処理部61を介して送信させることができる。
集計データベース63は、複数の建設機械から受け取った運転情報を記憶する。公開処理部64は、集計データベース63の情報に基づいて、種々のWEBページ65を生成し、閲覧可能に公開する。公開処理部64は、例えば、同種の建設機械Sにおけるそれぞれの燃費悪化運転動作の平均回数や、各建設機械Sの燃費悪化運転動作の回数についての順位等を含むWEBページ65を生成する。
次に、本発明の一実施形態に係る状態表示処理の動作について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る状態表示処理のフローチャートである。図7の処理は、建設機械Sにおいて、オペレータによりキーオンされた際に開始される。
建設機械Sにおいて、オペレータによりキーオンされると、キー操作検出部52は、キーオンが発生したことをエコガイダンス判定部53及びガイダンス表示制御部55に通知し(ステップS1)、ガイダンス表示制御部55は、図5Bに示すように、前回の運転時に記憶しているガイダンス81(前回の運転時に優先項目判定部54により通知された燃費悪化運転動作に対応するガイダンス)を含む画面80をモニタ画面26に表示させる(ステップS2)。このように、キーオン直後に、前回の運転時に発生した燃費悪化運転動作に対応するガイダンスが表示されるので、オペレータは、今回の運転において、そのガイダンスを念頭に作業をすることができ、結果として、燃費の向上に繋がることとなる。
次いで、エコガイダンス判定部53は、複数の燃費悪化運転動作の条件を満たすか否かを判定し(ステップS3)、条件を満たさない場合には、ステップS6に進む。
一方、条件を満たす場合(ステップS3:YES)には、発生した燃費悪化運転動作をガイダンス表示制御部55に通知するとともに、対応する燃費悪化運転動作の発生回数をカウントし(ステップS4)、各燃費悪化運転動作の発生回数を優先項目判定部54に通知する。本実施形態では、一日ごとの回数と、キーオンからの回数とのそれぞれをカウントする。
ガイダンス表示制御部55は、エコガイダンス判定部53から燃費悪化運転動作の発生の通知を受けた場合には、図5Aに示すように、例えば、エンジン水温、作動油温、及び燃料量などの建設機械の状態を示す画面70に、この燃費悪化運転動作に対応するガイダンス71(エコガイダンス)を併せて、モニタ画面26に表示させる(ステップS5)。これにより、オペレータに適切に現在発生している燃費悪化運転動作を抑制するように促すことができる。
次いで、キー操作検出部52は、キーオフが発生したか否かを判定し(ステップS6)、キーオフが発生していない場合(ステップS6:NO)には、ステップS3に進む。一方、キーオフが発生した場合には、キー操作検出部52は、キーオフが発生した旨の情報を、エコガイダンス判定部53及びガイダンス表示制御部55に通知し、エコガイダンス判定部53は、各燃費悪化運転動作の発生回数を優先項目判定部54に通知する。優先項目判定部54は、通知された発生回数に基づいて、優先してガイダンスを出力させる燃費悪化運転動作(優先項目)を決定し(ステップS7)、ガイダンス表示制御部55に通知する。ガイダンス表示制御部55は、図5Bに示すように、優先項目判定部54により通知された燃費悪化運転動作に対応するガイダンス81(本実施形態では、ワンポイントガイダンス)を含む画面80をモニタ画面26に表示させ(ステップS8)、処理を終了する。このように、キーオフ時に、運転において発生した燃費悪化運転動作に対応するガイダンスが表示されるので、オペレータは、今回の運転において、発生した燃費悪化運転動作について、振り返ることができ、以降の運転に役立たせることができる。
なお、本実施形態においては、キーオフの操作が行なわれた場合(ステップS6:YES)において、ステップS8が終了するまでの間、動作をする部位(例えば、ガイダンス表示制御部55、モニタ画面26等)に電力の供給が維持されるようになっている。このように電力の供給を維持する構成として、例えば、ステップS8が終了するまで、バッテリからの電源供給を遮断しないようにリレーを制御する制御部を有するようにしてもよく、或いは、キーオフによりメインのバッテリからの電力供給がストップした後からステップS8の処理が終了するまでに必要な電力を供給するための別のバッテリを有するようにしてもよい。
電力の供給を維持するためには、例えば、図12に示すように、電源供給ラインを、電源110、キースイッチ111、CPU112、OR回路113、内部電源スイッチ114から構成することもできる。電源110は、キースイッチ111を介してCPU112及びOR回路113と接続されている。また、キースイッチ111及びCPU112はOR回路113を介して内部電源スイッチ114と接続されている。なお、CPU112には、内部電源スイッチ114を介して電源110から電源が供給される。
OR回路113、及び、内部電源スイッチ114は、トランジスタ等のディスクリート部品で実現される。また、CPU112、OR回路113、及び、内部電源スイッチ114は、モニタ装置22内に存在しているものとする。
キースイッチ111がオンされると、電源110からOR回路113に電源が供給される。また、そのオン信号はCPU112に供給される。OR回路113によって内部電源スイッチ114がオンとなり、内部電源スイッチ114を経由してCPU112に電源が供給される。なお、CPU112は、オン信号を受信すると、内部電源スイッチ114をオンとする信号をOR回路113に出力する。
他方、キースイッチ113がオフにされると、そのオフ信号はOR回路113に供給される。しかし、OR回路113の論理機能によりキースイッチ113からのオフ信号だけでは内部電源スイッチ114をオフすることはできない。図11に示す例では、OR回路113は、キースイッチ111からのオフ信号と、CPU112からのオフ信号(CPU112がオフに信号受信後に、所定時間経過後にOR回路113に対して送信するオフ信号)とによって、内部電源スイッチ114をオフにすることができる。
すなわち、キースイッチ111がオフされても、内部電源スイッチ114がオン状態なので、CPU112には内部電源スイッチ114経由の電源供給が維持されている。しかし、CPU112は、電源110からのオン信号(電源)が供給されていないことを認識している。CPU112は、オン信号(電源)が供給されていないことを認識した時点から必要な時間分だけ、OR回路113にオフ信号を送信する時間を調節することができる。したがって、図11に示す構成により、キースイッチ111がオフにされても、その後、所定時間、電力の供給を維持することができ動作することが可能となる。
図8は、本発明の一実施形態に係る管理センタ装置との間での情報通信処理のフローチャートである。図8の情報通信処理は、例えば、各日の0時を越えた後に実行される。
通信処理部57は、予め優先項目判定部54から運転情報を受信しており、当該運転情報に、自身の建設機械Sの識別情報等を含めて管理センタ装置60に送信する(ステップS11)。
これに対して、管理センタ装置60においては、通信処理部61が、建設機械Sから運転情報を受信し、受信した運転情報を集計処理部62に渡す。集計処理部62が、通信処理部61から受け取った運転情報を集計データベース63に格納し、集計データベース63の情報に基づいて、同種の建設機械Sにおける各燃費悪化運転動作の平均回数に関する情報を算出し、通信処理部61に渡す。次いで、通信処理部61が、集計処理部62から受け取った平均情報を建設機械Sに送信する。
この後、建設機械Sの通信処理部57は、管理センタ装置60から平均情報を受信し、優先項目判定部54で利用可能なように、所定の記憶部に記憶する(ステップS13)。これにより、以降において、優先項目判定部54は、平均情報を利用可能となり、他の建設機械Sでの発生回数を考慮して、優先して出力するガイダンスを選択することができるようになる。
図9は、本発明の一実施形態に係るガイダンス記録表示処理のフローチャートである。
優先項目判定部54は、オペレータからガイダンス表示要求があったか否かを判定し、ガイダンス表示要求がない場合(ステップS21:NO)には、ガイダンス表示要求があるまで待つ。
一方、ガイダンス表示要求があった場合(ステップS21:YES)には、優先項目判定部54は、エコガイダンス判定部53から通知されるそれぞれの燃費悪化運転動作の回数に基づいて、優先的に省エネルギー用のガイダンスを出力すべき、燃費悪化運転動作を決定して(ステップS22)、ガイダンス表示制御部55に通知する。ガイダンス表示制御部55は、通知を受けた燃費悪化運転動作に基づいて、図5Cに示すそれぞれの燃費悪化運転動作の回数が表示される回数表示領域92と、ガイダンス(本実施形態では、ワンポイントガイダンス)が表示されるワンポイントガイダンス表示領域93とが含まれるエコガイダンス記録画面90をモニタ画面26に表示させる(ステップS23)。これにより、オペレータは、所望のタイミングで、省エネルギー用のガイダンスを把握することができる。
図11は、図7のステップS3の詳細の一例を示すフローチャートである。
エコガイダンス判定部53は、圧力センサ48からポンプ圧の値を取得する(ステップS31)。
次に、エコガイダンス判定部53は、取得されたポンプ圧の値が、油圧リリーフさせる圧力値以上であり、且つ、そのような値が、所定時間以上継続して取得されたか否かを判定する(ステップS32)。
ステップS32の判定の結果が肯定的の場合(ステップS32:YES)、エコガイダンス判定部53は、建設機械Sが暖機運転中であるか否かを判定する(ステップS33)。
ステップS33の判定の結果が否定的の場合(ステップS33:NO)、図7のステップS4以降が行われる。その流れにおいて、ガイダンス表示部55は、優先項目判定部54からガイダンス(例えば、「油圧リリーフを抑えましょう」或いは「作業中の油圧リリーフを抑えることをお勧めします」)を受信し、そのガイダンスをモニタ画面26に表示する。
ステップS33の判定の結果が肯定的の場合(ステップS33:YES)、図7のステップS4及びS5がスキップされ、図7のステップS6が行われる。このため、この場合、油圧リリーフを抑止させるためのガイダンスはモニタ画面26に表示されない。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
例えば、上記実施形態において、オペレータを識別するための識別情報を用いるようにし、エコガイダンス判定部53は、当該識別情報と、当該オペレータの運転時に発生した燃費悪化運転動作の回数とを対応付けて記憶するようにし、優先項目判定部54は、キーオンしているオペレータの識別情報と対応付けられた回数に基づいて、ガイダンスを優先して出力する燃費悪化運転動作を決定するようにしてもよい。このようにすると、オペレータ毎に適切にガイダンスを出力するようにすることができる。ここで、建設機械Sがオペレータの識別情報を受け付ける方法としては、例えば、オペレータに識別情報を直接入力させるようにしてもよく、或いは、オペレータの識別情報を格納した記憶媒体(例えば、ICカード、IDキー(メモリ機能を有するキー))を用意し、建設機械において当該記憶媒体から読み取るための機能部を備えるようにしてもよい。
また、ガイダンス表示制御部55が、オペレータの識別情報と、優先して出力させるとして決定された燃費悪化運転動作のガイダンスとを対応付けて記憶しておき、キーオン時に、キーオンしているオペレータの識別情報を受け取り、当該識別情報に対応するガイダンスを表示するようにしてもよい。このようにすると、オペレータ毎に適切なガイダンスをキーオン時に出力することができる。
また、上記実施形態では、毎日0時以降に1度通信を行うようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、キーオン毎に行うようにしてもよく、また、キーオフ時毎に行うようにしてもよく、所定の時間毎(例えば、1時間毎)に行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、キーオン、キーオフを基準に燃費悪化運転動作のガイダンスの表示を行うようにしていたが、本発明はこれに限られず、キーオン、キーオフに代えて、エンジンオン、エンジンオフ、モニタ装置22に対するバッテリ電圧の供給或いは供給停止、モニタ画面表示オン或いはオフ等を基準としてもよく、要は、作業開始、作業終了と実質的に同じような時点を基準とすればよい。また、1以上の所定のデバイス(例えばモニタ画面26)への電圧が供給されたことにより、キーオンがされたと判断され、それら1以上の所定のデバイスへの電圧の供給が無くなったことにより、キーオフがされたと判断されて良い。キーオンにより、バッテリ電圧が1以上の所定のデバイス(例えば、モニタ画面26、ポンプコントローラ33)に供給され、キーオフにより、その供給が止まるからである。
また、上記実施形態においては、通信処理部57は、モニタ装置22の外部に存在してもよい。この場合、送受信される情報は、車両内ネットワーク(CAN(Controller Area Network))を経由してモニタ装置22とやり取りされることになる。
また、上記実施形態においては、エネルギー浪費運転動作として、燃料浪費運転動作を例に示していたが、例えば、電力を用いて動くモータを備えた建設機械においては、エネルギー浪費運転動作として、電力浪費運転動作としてもよい。
また、上記実施形態においては、エネルギー浪費運転動作の回数に基づいて、優先して出力するガイダンスを決定するようにしていたが、エネルギー浪費運転動作の頻度に基づいて優先して出力するガイダンスを決定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ガイダンスを表示画面に表示させるようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、ガイダンスを音声出力するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、出力される各エネルギー浪費運転動作の回数等に基づいて、各エネルギー浪費運転動作に対応する省エネルギー用のガイダンスのうち、優先して出力させる省エネルギー用のガイダンスが決定される。異なる種類の建設機械であっても、同じ原理で、省エネルギー用のガイダンスを表示することができる。これにより、異なる種類の建設機械間において、表示やオペレータの省エネルギー運転へのモチベーションの比較が行える。