以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、図1を用いて、本実施形態のラベル作成装置1の前方側上方からの外観を説明する。なお、以下の説明において前後左右方向は、図1等の各図中に適宜示す矢印方向を表すものとする。
図1において、ラベル作成装置1は、フロントパネル6を備えた筐体2と、上カバー5とを有している。これら筐体2及び上カバー5は樹脂製である。上カバー5は、上カバー本体5Aと、略円形状の左右側カバー部材5Bとから構成されている。左右側カバー部材5Bは、上カバー本体5Aの左右にネジ止め等によって固着されている。上カバー本体5Aは、後方端部において筐体2に回動可能に接続されており、これにより上カバー5は筐体2に対し開閉可能な構造となっている。筐体2の左右の両側壁には、上方に押し上げることによって筐体2への上カバー5の係止を解除して、上カバー5を開放可能な状態にする解除つまみ17が設けられている。また筐体2の左右一方の側壁、本例では右側の側壁の前方寄りの上面位置には、ラベル作成装置1の電源ボタン7Aと、所定の長さ分だけロール3より繰り出された被印字テープ3Aを排出するフィードボタン7Cと、カッターユニット8(後述の図4を参照)による被印字テープ3Aの切断を行わせるカッターボタン7Bとが配置されている。
フロントパネル6には、排出口6Aが設けられている。この排出口6Aは、印字済の被印字テープ3Aを筐体2の内部から外部へと排出するためのものである。また上カバー5には、筐体2の内部に収納されたロール3を確認できる透明樹脂製の透明窓5Cが設けられている。
次に図2及び図3を用いて、ラベル作成装置1の上カバー5を開放し、ロール3を装着した状態及び外した状態の前方側上方からの外観を説明する。なお、これら図2及び図3では煩雑を避けるために上カバー5の図示を省略している。
これら図2及び図3に示すように、ラベル作成装置1は、筐体2の内部空間の後方に、凹状のロール収納部4を有している。このロール収納部4は、所定幅の被印字テープ3Aをロール状に巻回したロール3を、被印字テープ3Aがロール下側より繰り出されるように収納する。図2に示すように、ロール3を構成する被印字テープ3Aには、作成される印字ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙10(いわゆるダイカットラベル)が、被印字テープ3Aの幅方向中央部の位置において長手方向に沿って連続配置されている。
ロール収納部4は、幅方向右側に固定壁部4Aを有し、ロール3の幅方向一方側(この例では幅方向右側)の端面3Rを固定壁部4Aに接触させた状態でロール3を回転可能に収納する。またロール収納部4には、ロール3の幅方向他方側(この例では幅方向左側)の端面3Lに接触することにより、ロール3から繰り出される被印字テープ3Aの幅方向をガイドするガイド部材20が設けられている。このガイド部材20は、固定壁部4Aに対し、ロール3の幅方向に沿って進退可能に設けられている。これにより、収納したロール3の幅に応じてガイド部材20を進退させ位置を調整することで、任意な幅のロール3に対し、固定壁部4Aとガイド部材20とでロール3を挟み込み、被印字テープ3Aの幅方向をガイドすることができる。またガイド部材20には、ユーザの操作により、ガイド部材20の進退動作を禁止するロック状態と、ガイド部材20の進退動作を許容するアンロック状態とを切り替え可能な操作部材30が設けられている。この操作部材30を用いたガイド部材20の進退構造の詳細については後述する。
図3に示すように、ロール収納部4の底面部には、図示しないプラテンローラ用モータ(搬送手段)で後述するプラテンローラ66(搬送ローラ)を回転駆動してロール3より被印字テープ3Aを引き出す際に、少なくとも2つのローラがロール3の外周面に接触することにより、従動的に回転してロール3を回転可能に支持する3つのローラ51〜53が設けられている。これら3つのローラは、ロール3に対する周方向位置がそれぞれ異なっており、前方から後方に向かってロール3の周方向に沿って第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の順に配置されている。これら第1乃至第3ローラ51〜53は、ロール幅方向に複数(この例では4つ)に分割されており、ロール幅に応じてロール3が搭載された部分だけが回転するようになっている。
また、ロール収納部4の前方側には、平坦面40(載置面)が設けられている。この平坦面40には、ロールの幅方向に沿って複数の溝部41(第2溝部。後述の図7等参照)が形成されている。ここで、上述のガイド部材20は、ロール3の幅方向左側の端面3Lに接触する本体部21と、被印字テープ3Aの繰り出し方向下流側(すなわち前方側)に向かって延びた延設部22を有している。ガイド部材20は、上記延設部22が上記平坦面40に載置されるように設けられている。そして、延設部22の先端部下端には、上記平坦面40に設けられた複数の溝部41のうちの1つに対し係合する爪部23(第2突部。後述の図8及び図9参照)が設けられている。これら爪部23と溝部41とは、ガイド部材20がロック状態の際には係合し、アンロック状態の際には係合が解除される。
次に図4を用いて、ラベル作成装置1の全体構造を説明する。なお、この図4ではロール3より繰り出され搬送される被印字テープ3Aの搬送経路を一点鎖線で示している。
図4に示すように、上カバー本体5Aの前端部下側には、ロール収納部4に収納されたロール3より被印字テープ3Aを繰り出し搬送するプラテンローラ66のローラ軸66Aが、軸方向両端に設けたブラケット65により回転自在に軸支されている。またローラ軸66Aの一方の軸端には、プラテンローラ66を駆動するギア(図示省略)が固定されている。上カバー5におけるプラテンローラ66の取付位置は、筐体2の印字ヘッド61と対応しており、上カバー5を閉じることによって、上カバー5側に設けられたプラテンローラ66と、筐体2側に設けられた印字ヘッド61とで被印字テープ3Aが挟持され、印字ヘッド61による印字が可能な状態になる。また上カバー5を閉じることによって、プラテンローラ66の上記ギアが筐体2側の図示しないギア列に噛合し、ステッピングモータ等で構成される上記プラテンローラ用モータ(図示省略)によりプラテンローラ66を回転駆動して、被印字テープ3Aの搬送が可能になる。
印字ヘッド61は、その中間部を軸支されると共に、バネ部材64により上方に付勢された支持部材62の一端に固定されている。一方、プラテンローラ66は上カバー5に取り付けられている。よって、解除つまみ17によって上カバー5を開放状態にすると印字ヘッド61はプラテンローラ66から離間した状態となり、上カバー5を閉じることによって、バネ部材64の付勢力により印字ヘッド61は被印字テープ3Aをプラテンローラ66に押圧付勢し印字可能な状態となる。
さらに、印字ヘッド61のテープ搬送方向下流側には、上記カッターユニット8が設けられている。カッターユニット8は、被印字テープ3Aの長手方向と略直交する切断方向(図4中下から上方向)に切断用モータ(図示省略)によって移動可能に配置された正面視V字形の可動刃47と、この可動刃47に対向配置された固定刃46とを備えている。
被印字テープ3Aには、前述したように、ラベル台紙10が長手方向に沿って連続配置されている。図4中部分拡大図に示すように、ラベル台紙10は、この例では2層構造となっており、図4中下側から上側へ向かって、自己発色性を有する感熱層3a及び粘着層3bの順で積層されている。そして、ラベル台紙10は、上記粘着層3bの粘着力により所定間隔おきに剥離紙3cの一方側の面に接着されている。すなわち、被印字テープ3Aは、ラベル台紙10が接着された部分では感熱層3a、粘着層3b、及び剥離紙3cの3層構造となっており、ラベル台紙10が接着されていない部分(すなわちラベル台紙10同士の間の部分)では、剥離紙3cのみの1層構造となっている。印字が完了したラベル台紙10は、最終的に剥離紙3cより剥がされることで印字ラベルとして所定の商品等に貼り付けられる。
なお、ロール3は、上記ラベル台紙10が径方向外側となるように、被印字テープ3Aがロール状に巻回されて構成されている。その結果、図4に示すように、被印字テープ3Aはラベル台紙10側の面を下方とした状態でロール3の下側から繰り出され、被印字テープ3Aの下側に配置された印字ヘッド61によって印字されるようになっている。
上記構成のラベル作成装置1では、上カバー5を閉じ、その後、プラテン用モータによりプラテンローラ66が回転駆動されると、被印字テープ3Aが引っ張られる。これにより、ロール3の幅方向左側の端面3Lに接触するガイド部材20の本体部21により幅方向をガイドされつつ、被印字テープ3Aがロール3から繰り出される。ロール3より繰り出された被印字テープ3Aは、ロール収納部4と前述の平坦面40との間に形成された、曲面状の壁面である曲壁面42と接触することにより、搬送経路を水平側に屈曲される。そして、平坦面40上に載置されたガイド部材20の延設部22により幅方向をガイドされつつ搬送され、その下流側に設けられた支持ローラ43によって、搬送経路を下向きに屈曲される。この支持ローラ43は、被印字テープ3Aの搬送経路が最も高位置となる部分に設けられており、従動的に回転することにより被印字テープ3Aを支持するローラである。
その後、被印字テープ3Aは、支持ローラ43と、プラテンローラ66及び印字ヘッド61との間に形成された、壁面が屈曲した部分である屈曲部44と接触することにより、搬送経路をさらに下向きに屈曲され、プラテンローラ66と印字ヘッド61との接触位置まで搬送される。このとき、印字ヘッド61が駆動制御されることによって、被印字テープ3A上のラベル台紙10を構成する上記感熱層3cの印刷面に所定の印字が行われる。その後、被印字テープ3Aが排出口6Aからフロントパネル6上に排出される。そして、被印字テープ3Aがカッターユニット8から所定長延出された時点で、ユーザがカッターボタン7Bを操作することによって、被印字テープ3Aがカッターユニット8により切断される。切断された被印字テープ3A上には、1又は複数の印字済のラベル台紙10が配置されており、ユーザはこれを剥離紙3cより剥がすことにより、印字ラベルとして使用する。
<ガイド部材の進退構造>
次に図5乃至図13を用いて、操作部材30を用いたガイド部材20の進退構造の詳細について説明する。
図8及び図9に示すように、ガイド部材20は、ロール3の幅方向左側の端面3Lに接触する前述の本体部21と、被印字テープ3Aの繰り出し方向下流側に向かって延びた前述の延設部22と、これら本体部21及び延設部22を支持する支持部24とを有している。本体部21及び延設部22のロール3側の面は、ロール3と接触する接触面25を構成している。本体部21は、この接触面25をロール3の幅方向左側の端面3Lに接触させて被印字テープ3Aの幅方向をガイドし、延設部22は接触面25を繰り出された被印字テープ3Aの端部に接触させて当該被印字テープ3Aの幅方向をガイドする。
本体部21の上記接触面25と反対側の面には、ユーザの操作により、ガイド部材20の進退動作を禁止するロック状態と、ガイド部材20の進退動作を許容するアンロック状態とを切り替え可能な前述の操作部材30が設けられる。操作部材30は、図6及び図10に示すように、ユーザが指で操作する本体部31と、この本体部31の下部に設けられた支持部32とを有している。また操作部材30は、図6に示すように、支持部32の幅方向両側にガイド部材20側に向かって突出した回動支持腕33を有している。この回動支持腕33は、その先端部に操作部材30の幅方向外側に向かって突出したピン(図示省略)を有しており、このピンが、ガイド部材20の支持部24に形成された軸孔26(図8及び図9参照)に嵌合されている。このとき、回動支持腕33は、ガイド部材20の支持部24に当該回動支持腕33よりも上下方向に大きく形成された凹部27(図9参照)に係合される。これにより、操作部材30は、軸孔26に嵌合されたピンを回動中心として、回動支持腕33が凹部27に係合される回動範囲内において回動可能に構成されている。
また操作部材30は、図示しないバネ部材により下方向(図6中矢印X方向)に回動するように付勢されている。これにより、ユーザが操作部材30を操作していない状態では、上記回動範囲における下端位置(回動支持腕33が凹部27の下端部に当たった状態)に位置している。このとき、図6に示すように、支持部32の下端部に設けた爪部34(第1突部)が、ロール収納部4の底面にロール3の幅方向に沿って設けられた複数の溝部13(第1溝部)のうちの1つに対し係合する。
一方、図6及び図10に示すように、操作部材30の本体部31は、その上部にガイド部材20と反対側に向かって湾曲されたグリップ部35を有している。このグリップ部35には、直線状の突条部36が上下方向に複数並列するように形成されている。この突条部36により、ユーザはグリップ部35に指を引っかけ易くなっている。また、図8及び図9に示すように、ガイド部材20の本体部21には、上記操作部材30のグリップ部35と対向する位置に、操作部材30側に向かって凹状である掛止部21Aが設けられている。これにより、ユーザは操作部材30のグリップ部35を一方側の指(例えば親指)で操作する際に、他方側の指(例えば人差し指や中指)をガイド部材20の掛止部21Aに掛止させて、一方側の指と他方側の指でつまむようにして操作部材30を操作することができる。
操作部材30は、上記ユーザの操作により、上述したバネ部材の付勢力に抗して上方向(図6中矢印Y方向)に回動する。これにより、上記操作部材30の下端部に設けた爪部34が上昇し、当該爪部34と溝部13との係合が解除される。すなわち、ユーザが操作部材30を操作すると、操作部材30の爪部34とロール収納部4の底面に設けられた溝部13との係合が解除され、ユーザが操作部材30の操作を停止すると、爪部34と溝部13とが係合される。
さらに、ユーザは操作部材30を用いて、ガイド部材20の延設部22の先端部下端に設けた前述の爪部23と、平坦面40に設けられた前述の溝部41との係合及び解除についても、操作することが可能である。この詳細について次に説明する。
図9に示すように、ガイド部材20は、本体部21における接触面25と反対となる側に、操作部材30の操作状態に応じてロール幅方向と直角な方向(すなわち前後方向)に摺動する軸部材60(図10及び図11参照)を収納する軸収納部28を有している。この軸収納部28は、軸部材60を所定の摺動範囲内において摺動可能に支持する支持部28Aを複数(この例では4つ)有しており、その軸方向両端部は開放されている。軸部材60は、図示しないバネ部材により軸方向一方側(この例では後方側)に向かって付勢されている。これにより、ユーザが操作部材30を操作していない状態では、軸部材60は上記摺動範囲における最も後端位置に位置している。この状態では、図10及び図11に示すように、軸部材60は、ガイド部材20より被印字テープ3Aの繰り出し方向上流側(この例では後方側)に向かって突出し、繰り出し方向下流側(この例では前方側)が引き込まれた状態となる。これにより、ガイド部材20の延設部22の先端部下端に設けた爪部23と、平坦面40に設けられた溝部41とが係合し、ガイド部材20のロック状態が保持される。
ここで、操作部材30の本体部31のガイド部材20側には、図11に示すようにカム部材37が設けられている。一方、軸部材60の上記カム部材37に対向する位置には、操作部材30側に突出した突部61が設けられている。これにより、ユーザの操作により操作部材30が上方向(図6中矢印Y方向)に回動すると、上記カム部材37が軸部材60の突部61に接触し、図12及び図13に示すように、軸部材60がガイド部材20より被印字テープ3Aの繰り出し方向下流側(この例では前方側)に向かって突出する。これにより、軸部材60の先端がロール収納部4の斜面4Bに接触し、ガイド部材20はそのテープ繰り出し方向下流側(この例では前方側)が持ち上がる。この結果、図12に示すように、ガイド部材20の延設部22の先端部下端に設けた爪部23が上昇し、平坦面40に設けられた溝部41との係合が解除される。すなわち、ユーザが操作部材30を操作すると、ガイド部材20の延設部22の爪部23と平坦面40に設けられた溝部41との係合が解除され、ユーザが操作部材30の操作を停止すると、図7に示すように爪部23と溝部41とが係合される。
次に、ガイド部材20の支持構造について説明する。図5及び図6等に示すように、ロール収納部4の底面には、ロール3の幅方向に沿って、ガイド部材20が備えた前述の支持部24と嵌合してガイド部材20の進退方向を案内するレール部材11が設けられている。すなわち、前述したガイド部材20の支持部24は、図8に示すようにその下端部に凹状の嵌合部24Aを有しており、この嵌合部24Aに上記レール部材11が摺動可能に嵌合することにより、ガイド部材20の進退方向が案内される。なお、上述した溝部13は、レール部材11上に設けられている。
また、図5及び図11に示すように、レール部材11の幅方向両側には庇部材12が設けられている。なお、これら図5及び図11においては、前方側の庇部材12が第1ローラ51により隠れているため、前方側については庇部材12と上下方向においてほぼ同位置に設けられた穴部14のみ図示している。庇部材12は、上記支持部24がレール部材11に嵌合した際に、支持部24の嵌合部24Aの幅方向両側に形成された鍔部29の上方に位置するように設けられており、鍔部29を上方から押さえることで、支持部24のレール部材11からの離脱を防止するものである。これらの庇部材12は、図5及び図11に示すように、レール部材11の幅方向両側において、ロール3の幅方向に沿って千鳥状に配置されている。詳細には、支持部24の進退位置に関わらず、常に3つ以上の庇部材12が支持部24の鍔部29と上下方向において重複するような千鳥状配置となっており、支持部24のレール部材11からの離脱を確実に防止できるようになっている。
また、上記支持部24の幅方向両側に形成された鍔部29は、図8及び図9に示すように、幅方向両側のうち、被印字テープ3Aの繰り出し方向上流側(この例では後方側)に位置する鍔部29Rの厚みT1が、下流側(この例では前方側)に位置する鍔部29Fの厚みT2よりも厚くなるように、構成されている。これにより、前方側に位置する鍔部29Fと庇部12との隙間を、後方側に位置する鍔部29Rと庇部12との隙間よりも大きく形成することができる。その結果、前述した軸部材60の突出によるガイド部材20の繰り出し方向下流側の持ち上がりを許容することができるようになっている。
以上のような構成により、ユーザが操作部材30を操作すると、操作部材30の爪部34とロール収納部4の底面に設けられた溝部13との係合が解除されると共に、ガイド部材20の延設部22の爪部23と平坦面40に設けられた溝部41との係合が解除され、ガイド部材20がアンロック状態となる。これにより、ガイド部材20の固定壁4Aに対する進退動作が許容され、ユーザは操作部材30を操作した状態で、ロール幅に応じてガイド部材20の位置を調整することができる。そして、位置調整の完了後には、ユーザが操作部材30の操作を停止すると、操作部材30の爪部34とロール収納部4の溝部13とが係合すると共に、ガイド部材20の延設部22の爪部23と平坦面40の溝部41とが係合し、ガイド部材20がロック状態となる。これにより、ガイド部材20の進退動作が禁止され、ガイド部材20を調整後の位置に固定することができる。
<ロール収納部内のローラ構造>
次に、ロール収納部4内に設けた前述の3つのローラ51〜53の詳細について説明する。
前述したように、3つのローラ51〜53は、ロール3に対する周方向位置がそれぞれ異なっており、前方から後方に向かってロール3の周方向に沿って第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の順に配置されている。これら3つのローラ51〜53の回転中心軸Xr1〜Xr3(図5参照)は、それぞれロール3の巻回中心軸XR(図2参照)と平行である。これら3つのローラ51〜53の位置関係は、前述の図4に示すように、第3ローラ53は、第1及び第2ローラ51,52に対し、被印字テープ3Aの繰り出し方向反対側(この例では後方側)に配置されている。また、第1ローラ51及び第2ローラ52が互いに水平位置となり、第3ローラ53が第1及び第2ローラ51,52よりも高位置となるように、配置されている。そして、第1ローラ51と第2ローラ52との間のローラ間距離d1(第1ローラ間距離)が、第2ローラ52と第3ローラ53との間のローラ間距離d2(第2ローラ間距離)よりも大きくなるように、配置されている。
ここで、ラベル作成装置1は、ロール収納部4に収納されたロール3から繰り出した被印字テープ3Aに対し所望の印字を行うことにより印字ラベルを作成する。このとき、ロール収納部4に収納されたロール3の外周径は、被印字テープ3Aの繰り出しに伴い、最大値Dmaxから中間値Dmid、そして最小値Dminへと徐々に小さくなる。なお、最大値Dmaxとは使用開始時のロール外周径であり、最小値Dminとは使用終了時のロール外周径である。本実施形態では、例えばDmax=4インチ(101.6mm)、Dmin=1インチ(25.4mm)+紙管3B(後述)の厚み(2mm×2)=29.4mmであるロール3を使用する。また中間値Dmidは、詳細は後述するが、3つのローラ51〜53の全てがロール3を支持するときのロール外周径であり、本実施形態では例えば上記ロールを使用する場合にはDmid=63.5mm程度となるように設定されている。そして、上述のようにローラ51〜53を配置することにより、ロール3の外周径に応じてロール3を支持するローラ構成を異ならせる。このロール外周径に応じてローラ構成を異ならせる内容について、図14を用いて説明する。
図14(a)に示すように、ロール3の外周径が最大値Dmaxである場合には、第2ローラ52とロール3の外周面とは離間し、第1ローラ51及び第3ローラ53によりロール3を支持する。この2つのローラ51,53による支持状態は、ロール外周径が当該最大値Dmaxである時から、後述の図14(b)に示す中間値Dmidとなる前まで継続する。すなわち、ロール外周径が比較的大きな範囲である、最大値Dmaxから中間値Dmidとなる前までの範囲では、第1ローラ51及び第3ローラ53によりロール3を支持することになる。これにより、ロール3を支持するローラ間距離を大きくとることができるので、ロール3を安定して支持することができるようになっている。また、以下のような効果も奏する。
すなわち、本実施形態のようにロール3の下側より被印字テープ3Aを繰り出す場合、ロール3をテープ繰り出し方向と反対側(この例では後方側)の向きに転がそうとする力が作用する。このとき、図14(a)に示すようにロール外周径が比較的大きな範囲である、最大値Dmaxから中間値Dmidとなる前までの範囲では、ロール3の重心位置が比較的高いため、上記ロール3を後方側に転がそうとする力の影響が大きくなり、ロール3が後方側の向きに転がるおそれがある。一方、図14(c)に示すようにロール外周径が比較的小さな範囲である、中間値Dmidより小さくなった後最小値Dminとなるまでの範囲では、ロール3の重心位置が比較的低いため、上記ロール3を転がそうとする力の影響は小さくなり、ロール3が転がるおそれは低くくなる。
本実施形態においては、ロール外周径が最大値Dmaxから中間値Dmidとなる前までの範囲、すなわちロール3の重心位置が比較的高い範囲では、上述のように第1ローラ51と、第1及び第2ローラ51,52に対し後方側における高位置に配置された第3ローラ53とによりロール3を支持する。その結果、上述したロール3を後方側の向きに転がそうとする力に効果的に抗することができ、ロール外周径が最大値Dmaxから中間値Dmidとなる前までの範囲においてもロール3を安定して支持することができる。
また図14(b)に示すように、ロール3の外周径が中間値Dmidとなった場合には、第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の全てのローラがロール3の外周面と接触し、これら3つのローラ51〜53によりロール3を支持する。このように、ロール外周径が中間値Dmidである場合には第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の全てのローラを用いてロール3を支持するので、ロール3を安定して支持することができるようになっている。また、以下のような効果も奏する。
すなわち、一般にプラテンローラ66を回転駆動させてロール3より被印字テープ3Aを繰り出す際には、ロール外周径が大きく、且つ、ロール3を支持するローラの数が多いほど、ロール3の自重による慣性及びローラの摩擦等によるテープ繰り出しに対する負荷が増大する。この負荷が所定の値より大きくなると、被印字テープ3Aのロール3からの繰り出しが円滑に行われず、印字ヘッド61による印字にムラが生じるおそれがある。
本実施形態では、上述のようにロール外周径が中間値Dmidとなった時に、第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の3つのローラでロール3を支持する。すなわち、ロール3を支持するローラの数が最大の3つとなるときのロール外周径を中間値Dmidとすることができ、最大値Dmaxである場合に比べて大幅に小さくすることができる。その結果、被印字テープ3Aをロール3より繰り出す際の負荷を低減することができ、上述のような印字ムラの発生を抑制することができる。
また、図14(c)に示すように、ロール3の外周径が最小値Dminである場合には、第3ローラ53とロール3の外周面とは離間し、第1ローラ51及び第2ローラ52によりロール3を支持する。なお、このときのロール3は被印字テープ3Aが全て繰り出されて紙管3Bが露出した状態となっており、ロール外周径の最小値Dminは紙管3Bの外周径に相当する。この2つのローラ51,52による支持状態は、ロール3の外周径が上述の図14(b)に示す中間値Dmidより小さくなった後、当該最小値Dminとなるまで継続する。すなわち、ロール外周径が比較的小さな範囲である、中間値Dmidより小さくなった後から最小値Dminとなるまでの範囲では、第1ローラ51及び第2ローラ52の2つのローラによりロール3を支持することになる。本実施形態では、第1ローラ51と第2ローラ52とのローラ間距離d1(図4参照)をロール外周径の最小値Dminより小さく設定しているので、ロール外周径が最小値Dminとなってもロール3の脱落を防止することができるようになっている。
次に図15を用いて、以上のようなローラ支持を行う場合における、ロール外周径に応じたロール重心位置の動きを説明する。なお、この図15では説明を容易とするために、ロール外周径がDmax,Dmid,Dminの場合のロール3の重心をそれぞれGmax,Gmid,Gminで表している。
図15に示すように、ロール外周径が最大値Dmaxから中間値Dmidとなるまでの範囲においては、ロール3の重心は、ロール3とローラ51,53との接触点P1,P3を結ぶ線分の垂直二等分線L1上を、GmaxからGmidに向けて移動する。この範囲においては、ロール3の重心位置が高めであるため、ロール3の重量に対し前述したロール3を後方側(図15中右側)に転がそうとする力が支配的となる。したがって、図に示すように垂直二等分線L1を前方側(図15中左側)に傾斜させて、ロール3を後方側に転がそうとする力に効果的に抗することができるようになっている。
一方、ロール外周径が中間値Dmidから最小値Dminとなるまでの範囲においては、ロール3の重心は、ロール3とローラ51,52との接触点P1,P2を結ぶ線分の垂直二等分線L2上を、GmidからGminに向けて移動する。この範囲においては、ロール3の重心位置が低めであるため、ロール3を後方側に転がそうとする力に対しロール3の重量の方が支配的となる。したがって、ロール3を後方側に転がそうとする力の影響は小さく、水平位置に配置されたローラ51,52のみによる支持でもロール3を安定的に支持することができるようになっている。
<延設部によるガイド機能>
次に、ガイド部材20の延設部22のガイド機能の詳細について説明する。
前述したように、ガイド部材20は、ロール3の幅方向左側の端面3Lに接触する本体部21と、被印字テープ3Aの繰り出し方向下流側(すなわち前方側)に向かって延びた延設部22とを有している。本体部21(繰り出しガイド部材)は、ロール3の幅方向左側の端面3Lに接触することによりロール3から繰り出される被印字テープ3Aの幅方向をガイドする。そして、延設部22の先端部下端には、平坦面40に設けられた複数の溝部41のうちの1つに対し係合する爪部23(突部)が設けられている。前述の図8に示すように、延設部22は、この爪部23の上方に、被印字テープ3Aの幅方向一方側に立設されたガイド面22A(搬送ガイド部材)を有しており、当該ガイド面22Aをロール3より繰り出された被印字テープ3Aの幅方向一方側の端部に接触させることにより、被印字テープ3Aの幅方向をガイドする。なお、このガイド面22Aは、前述した接触面25の前端側の一部を構成しており、すなわちガイド面22Aを含む接触面25と、延設部22と、本体部21とは、一体的にガイド部材20を構成している。
図16を用いて、上記延設部22のガイド面22Aが被印字テープ3Aの幅方向をガイドする状態を説明する。なお、この図16に示すロール3の外周径は、前述の図14及び図15に示した最大値Dmax、中間値Dmid、最小値Dminに対応している。
図16に示すように、延設部22が平坦面40に載置され、爪部23が溝部41と係合した状態においては、延設部22のガイド面22Aは、被印字テープ3Aの搬送経路上における、ロール3からの繰り出し後最初に搬送経路が屈曲される前述の曲壁面42との接触位置P4(以下「第1屈曲位置P4」という)と、プラテンローラ66と被印字テープ3Aとが接触する位置P6(搬送ローラ位置。以下「プラテンローラ位置P6」という)との間に設けられる。より詳細には、ガイド面22Aは、被印字テープ3Aの搬送経路上における、上記第1屈曲位置P4と、当該第1屈曲位置P4の次に搬送経路が屈曲される位置である、搬送経路において被印字テープ3Aを支持する前述の支持ローラ43と被印字テープ3Aとが接触する位置P5(以下「第2屈曲位置P5」という)との間に設けられる。
ガイド面22Aが上記位置に設けられる結果、ガイド面22Aはロール3の外周径の影響を受けずに被印字テープ3Aの幅方向をガイドすることができる。この内容について図16を参照しつつ説明する。すなわち、ロール収納部4に収納されたロール3の外周径は、被印字テープ3Aの繰り出しに伴って徐々に小さくなる。その結果、図16に示すように、被印字テープ3Aの繰り出し位置がロール外周径の縮小にしたがって徐々に移動するため、ロール繰り出し直後の被印字テープ3Aの搬送経路もロール外周径に応じて変動する。図16に示す例では、ロール外周径が最大値Dmaxの時の被印字テープの搬送経路を3Amax、ロール外周径が中間値Dmidの時の搬送経路を3Amid、ロール外周径が最小値Dminの時の搬送経路を3Aminで示している。
このとき、上述した第1屈曲位置P4は、ロール3から繰り出された被印字テープ3Aの搬送経路が曲壁面42の接触により最初に屈曲される位置であるため、当該第1屈曲位置P4においては被印字テープ3Aの搬送経路の位置は一定となる。したがって、上述したようにロール外周径の変化によりロール繰り出し直後の被印字テープ3Aの搬送経路が変動したとしても、図16に示すように繰り出し位置から第1屈曲位置P4までの搬送経路に限られ、第1屈曲位置P4より下流側の搬送経路については変動しない。その結果、上述のように延設部22のガイド面22Aを被印字テープ3Aの搬送経路上における第1屈曲位置P4と第2屈曲位置P5との間に設けることにより、ロール外周径によらず一定経路となる部分において幅方向をガイドすることができるようになっている。
<接触部材によるラベル台紙の剥がれ防止機能>
次に、被印字テープ3Aの搬送経路に設けた接触部材によるラベル台紙10の剥がれ防止機能について説明する。
上述した図16に示すように、被印字テープ3Aの搬送経路上には、被印字テープ3Aのラベル台紙側の面である下側の面に接触する複数の接触部材が設けられている。すなわち、まず第1屈曲位置P4において、曲壁面42が被印字テープ3Aのラベル台紙10側の面である下側の面に接触する。次に第2屈曲位置P5において、支持ローラ43が被印字テープ3Aの下側の面に接触する。その後、支持ローラ43とプラテンローラ位置P6との間において、前述した屈曲部44が被印字テープ3Aの下側の面に接触する。これら曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44は、被印字テープ3Aのラベル台紙側の面に接触することにより、当該ラベル台紙側の面がテープ長手方向に凹状となるように搬送経路を屈曲させる接触部材として機能する。すなわち、曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44が、被印字テープ3Aに対しラベル台紙10を剥離紙3cに押さえ付けるように接触し、被印字テープ3Aはこのような接触を行いつつ搬送されるので、搬送経路においてラベル台紙10が剥離紙3cから剥がれることを防止できるようになっている。
<上カバー本体と窓部材との合わせ部に設けたリブ構造>
次に、図1、図17乃至図23を用いて、上カバー本体5Aと窓部材5Cとの合わせ部Mに設けたリブ部材72の構造について説明する。
前述の図1に示すように、上カバー5の上カバー本体5Aには、筐体2の内部に収納されたロール3を確認できる透明樹脂製の透明窓5C(窓部材)が設けられている。この透明窓5Cは、上カバー本体5Aに形成された開口部70(図18及び図19参照)に嵌め込まれることにより、固定される。この透明窓5Cの嵌め込みにより、窓部材5Cと開口部70との間に形成される合わせ部Mは、前方に位置する前合わせ部Ma、後方に位置する後合わせ部Mb、左方に位置する左合わせ部Mc、及び右方に位置する右合わせ部Mdから構成されている。この合わせ部Mには、窓部材5Cや開口部70の製造誤差等により隙間が生じる場合がある。
ここで、本実施形態のように、ロール3の下側より被印字テープ3Aを繰り出す構成の場合、ロール3での巻回の向きの影響により、図17に示すように、排出口6Aより排出された被印字テープ3Aが上向きにカール(湾曲)する場合がある。また、印字ヘッド61としてサーマルヘッドを用いる場合、その熱による影響によってもそのようなカールが生じる場合がある。このようなカールが生じた場合、開口部70と窓部材5Cとの合わせ部M、特に排出口6Aより排出される被印字テープ3Aのテープ幅方向と平行となる前合わせ部Ma及び後合わせ部Mbに上記隙間がある場合には、当該隙間に被印字テープ3Aの先端が入り込み、被印字テープ3Aの排出口6Aからの排出を円滑に行えなくなるおそれがある。よって、本実施形態では、上記合わせ部Ma,Mbにリブ部材72を設け、上述のような被印字テープ3Aの入り込みを防止する。この詳細について、以下に説明する。
図18及び図19に示すように、開口部70は略長方形形状に形成されており、その内側面71は、前方に位置する前内側面71a、後方に位置する後内側面71b、左方に位置する左内側面71c、及び右方に位置する右内側面71dから構成されている。これらの内側面のうち、排出口6Aより排出される被印字テープ3Aのテープ幅方向と平行となる内側面、すなわち装置幅方向に沿った内側面である前内側面71a及び後内側面71bには、透明窓5Cを開口部70に嵌め込んだ際に、透明窓5Cに形成されたリブ溝82(図20乃至図22参照)に係合する複数(この例では8つ)のリブ部材72が突設されている。なお、本実施形態では8つのリブ部材72を設けているが、これ以外の数としてもよい。
各リブ部材72は、透明窓5Cの開口部70への嵌合方向に沿って延設されており、そのカバー表面側の端部位置が、上カバー本体5Aの表面位置より所定距離d3(図22参照)だけ開口70の奥側に位置するように、前内側面71a及び後内側面71bに設けられている。本実施形態では、この所定距離d3を例えば1mm程度に設定している。このように、リブ部材72を奥まった位置に設けることにより、透明窓5Cを開口部70に嵌め込んだ際に、透明窓5Cによってリブ部材72のカバー表面側端部72aを覆い、当該端部72aがカバー表面に露出するのを防止できるようになっている。
開口70の内側面71のうち、後内側面71b、左内側面71c、及び右内側面71dの上部には、それぞれ所定幅を有する段部73がひと続きに設けられている。この段部73は、透明窓5Cを開口部70に嵌め込んだ際に、合わせ部Mのうち、後合わせ部Mb、左合わせ部Mc、及び右合わせ部Mdの上端部に隙間Se(図22参照)を形成する。この隙間Seは、透明窓5Cを開口70から取り外す際に例えば所定の治具を挿入するために用いられる。なお、段部73は、カバー本体5Aの表面位置より所定距離d3だけ開口70の奥側に位置しており、後内側面71bではリブ部材72のカバー表面側端部72aと段部73との高さが一致している。
リブ部材72は、前内側面71a及び後内側面71bのそれぞれにおいて、ラベル作成装置1の幅方向に複数(この例では4つ)並列して設けられている。これらのうち、前内側面71a及び後内側面71bのそれぞれにおいて最も装置幅方向右側に位置するリブ部材72,72は、排出口6Aより排出される、テープ幅が最小となる被印字テープ3Aのテープ幅方向中央位置に対応する位置となるように設けられている。この詳細について説明する。すなわち、前述したように、ロール収納部4はガイド部材20を進退させることで任意な幅のロール3を収納することができるが、ロール(被印字テープ)の規格により収納される最小のロール幅、すなわち排出口6Aより排出される被印字テープ3Aの最小のテープ幅Wminが定まる。
ここで、ラベル作成装置1は、ロール収納部4に収納された任意の幅のロール3を用いて幅の異なる複数の印字ラベルを作成することができる。したがって、排出口6Aからはテープ幅の異なる複数の被印字テープ3Aが排出される。このとき、排出口6Aは、テープ幅の異なる複数の被印字テープ3Aについて、それらのテープ端部位置を当該排出口6Aにおける装置幅方向右端側の排出口側壁67(図1参照)の位置に一致させつつ排出する。当該排出口側壁67と、開口70の右内側面71dとは、装置幅方向位置が一致している。そして、図18に示すように、前内側面71a及び後内側面71bのそれぞれにおいて最も右側のリブ部材72,72は、右内側面71dよりWmin/2の距離となる幅方向位置に設けられている。その結果、上記リブ部材72,72は、排出口6Aより排出されたテープ幅が最小となる被印字テープ3Aのテープ幅方向中央位置に対応する位置となる。また、最も右側である上記リブ部材72以外のリブ部材72についても、ロール収納部4に収納されるロール3のその他の規格サイズに応じて適宜の間隔で配置されている。
なお、本実施形態では、排出口側壁67と、開口70の右内側面71dとの装置幅方向位置が一致した構成としたため、複数のリブ部材72のうち最も右側のものを最小テープ幅の被印字テープ3Aの中央位置に対応させたが、必ずしも右端のリブ部材72を対応づける必要はない。例えば開口部70が排出口6Aよりも幅方向に大きいような場合には、複数のリブ部材72のうち中間位置のものを最小テープ幅の被印字テープ3Aの中央位置に対応させてもよい。すなわち、複数のリブ部材72のうちの少なくとも1つが対応していればよい。
図20及び図21に示すように、透明窓5Cは、開口部70の形状に対応して略長方形形状に形成されており、その側面81は、開口部70に嵌め込んだ際に前方に位置する前側面81a、後方に位置する後側面81b、左方に位置する左側面81c、及び右方に位置する右側面81dから構成されている。これらの側面のうち、開口部70の前内側面71a及び後内側面71bと合わせられる前側面81a及び後側面81bには、リブ部材72が係合されるリブ溝82が複数(この例では8つ)設けられている。
各リブ溝82は、上端部に被覆部82aをそれぞれ有しており、この被覆部82aが透明窓5Cを開口部70に嵌め込んだ際にリブ部材72のカバー表面側端部72aを覆うようになっている。また、左側面81c及び右側面81dには、係止爪83がそれぞれ2つずつ設けられている。これらの係止爪83が、開口部70の内側面71の対応する位置に設けられた被係止部74に係止することにより、透明窓5Cは開口部70に固定される。
図22に示すように、透明窓5Cを開口部70に嵌め込むと、前合わせ部Ma及び後合わせ部Mbにおいて、開口部70のリブ部材72が透明窓5Cのリブ溝82に係合する。これにより、当該合わせ部Ma,Mbに隙間が生じている場合でも、リブ部材72の形成部分では当該リブ部材72と透明窓5Cのリブ溝82との係合により上記隙間を埋め、被印字テープ3Aの入り込みを防止できるようになっている。
なお、リブ部材72を設ける方法以外にも、例えば合わせ部Mの一部又は全部を曲線状とすることにより被印字テープ3Aの先端の侵入を防止してもよい。例えば図23に示す例では、合わせ部M′のうち、後合わせ部Mb′(曲線部)が後向きに膨らんだ円弧状となるように、開口70と透明窓5Cとが構成されている。その他の前合わせ部Ma(直線部)、左合わせ部Mc(直線部)、及び右合わせ部Md(直線部)については図1と同様に直線状となっている。そして、前合わせ部Maにのみリブ部材72を設けており、後合わせ部Mb′についてはリブ部材72を設けていない。
このような構成とすることにより、合わせ部M′のうち前合わせ部Maにおいてはリブ部材72により被印字テープ3Aの先端の侵入を防止することができる。また、後合わせ部Mb′においては、合わせ部が曲線状であるので、リブ部材72を設けなくとも直線状である被印字テープ3Aの先端の侵入を防止することができる。これにより、被印字テープ3Aの先端の侵入を確実に防止することができる。また後合わせ部Mb′を設けることで、リブ部材72の数を少なくすることができるので、構造の簡素化を図ることができる。
なお、後合わせ部Mb′のみでなく、前合わせ部Maについても曲線状としてもよい。この場合には、リブ部材72が不要となり、さらに構造の簡素化を図ることができる。
<テープ片上昇許容空間の機能>
次に、筐体2の内部空間における排出口6A近傍に形成したテープ片上昇許容空間Spについて説明する。
図24を用いて、ラベル作成装置1の排出口6A近傍の内部構造を説明する。前述したように、被印字テープ3Aの搬送経路における印字ヘッド61及びプラテンローラ66の下流側には、可動刃47及び固定刃46を備えたカッターユニット8(切断手段)が設けられている。また、このカッターユニット8のさらに下流側には、支持部材68が設けられている。この支持部材68は、装置幅方向一方側から見た側面視において尖った形状を有し、被印字テープ3Aのテープ幅方向に平行な支持部68aを備えており、後述の図25に示すように、被印字テープ3Aが所定長さに切断されて形成されたテープ片3Apを、側面視において支持部68aを支点として回転可能に支持する。この支持部68aを支点として回転するテープ片3Apは、排出口6Aから筐体2の外部に排出される。ユーザは、このテープ片3Apの剥離紙3cから印字済のラベル台紙10を剥がし、印字ラベルとして使用する。
このとき、筐体2内において、被印字テープ3Aの搬送経路における、カッターユニット8による切断位置P7と支持部材68による支持位置P8との間の区間の上方に、テープ片3Apが支持部68aを支点としてその搬送方向下流側を下降させる向きに回転することによる、テープ片3Apの支点より搬送方向上流側の上昇を許容するテープ片上昇許容空間Spが形成されている。このテープ片上昇許容空間Spの上下方向の領域は、被印字テープ3Aの搬送経路より上方、且つ、フロントパネル6の内側に設けた構造部材6Bより下方の空間であり、具体的には、構造部材6Bにおいて被印字テープ3A側に突出して設けられた構造部材(例えばリブ等)を切除することにより形成されている。
また、支持部材68は、搬送経路における上記切断位置P7と支持位置P8との間の距離L3が、テープ片3Apの最小長さ寸法Lminの半分以下となるように設けられている。ここで最小長さ寸法Lminとは、切断により形成されたテープ片3Ap上にラベル台紙10が1枚だけ配置されている場合の長さである。これにより、テープ片3Apは必ず、支持部材68に支持された状態において、その支点より搬送方向下流側の長さが、支点より搬送方向上流側の長さより長くなるようになっている。
図25を用いて、テープ片3Apの排出時に、テープ片上昇許容空間Spがテープ片3Apの支点より搬送方向上流側の上昇を許容する様子を説明する。
図25(a)に示すように、印字ヘッド61により印字された被印字テープ3Aは、プラテンローラ66により搬送されて、排出口6Aより筐体2の外部に排出される。このとき、カッターユニット8は、可動刃47が固定刃46に対し下降した状態となっている。また、本実施形態ではロール3の下側より被印字テープ3Aを繰り出すため、ロール3での巻回の向きの影響により、排出口6Aより排出された被印字テープ3Aは、搬送方向下流側端部(図中左側端部)が上向きとなる円弧状にカール(湾曲)している。なお、この例では、ロール3が使用終了時に近い状態、すなわちロール外周径がほぼ最小値Dmin(図14(c)参照)である場合を示しており、このため被印字テープ3Aは、ロール外周径が最小値Dminであるときのロール3での被印字テープ3Aの巻回曲率と等しい曲率で円弧状にカールしている。これにより、被印字テープ3Aのカール部分の曲率半径はDmin/2となっている。なお、このときの被印字テープ3Aのカール部分の支点における接線Taは、水平よりテープ搬送方向上流側(図中右側)が下方となる向きに傾斜している。
次に、図25(b)に示すように、被印字テープ3Aが所定量排出された時点で、カッターユニット8の可動刃47が上昇し、固定刃46と協働して被印字テープ3Aを切断する。この例では、切断により形成されたテープ片3Apの長さ寸法が上述した最小長さ寸法Lminである場合を示している。したがって、上述したようにテープ片3Apは、支持部材68に支持された状態において、その支点より搬送方向下流側(図中左側)の長さが搬送方向上流側(図中右側)の長さより長くなっており、テープ片3Apの幅方向及び搬送方向中心に位置する重心gは、支持位置P8よりも外側(図中左側)に位置している。その結果、図25(b)に示すように、テープ片3Apは、支持部68aを支点として、その搬送方向下流側を下降させると共に、支点より搬送方向上流側を上昇させる向きに回転する。このとき、テープ片上昇許容空間Spは、テープ片3Apの支点より搬送方向上流側の上昇を許容している。なお、このときのテープ片3Apの支点における接線Taは、上述の図25(a)に示す状態からテープ片3Apの回転に伴って略水平となっている。また、切断により形成されたテープ片3Apの曲率は、図25(a)に示す被印字テープ3Aのカール部分の曲率と同等である。
そして、図25(c)に示すように、テープ片3Apの搬送方向上流側端部が構造部材6Bの下端に接触するまで、テープ片3Apは支持部68aを支点として回転する。このテープ片3Apの搬送方向上流側端部が構造部材6Bの下端に接触した状態が、テープ片上昇許容空間Spがテープ片3Apの搬送方向上流側の上昇を最大限に許容した状態である。このとき、テープ片3Apの重心gは、支持位置P8よりも外側、且つ、支点よりも低位置に位置している。また、このときのテープ片3Apの支点における接線Taは、上述の図25(b)に示す水平状態からテープ片3Apの回転に伴ってテープ搬送方向下流側が下方となる向きに傾斜している。
その後、テープ片3Apは、上述したようにその重心gが支持位置P8よりも外側、且つ、支点よりも低位置に位置していることにより、支持部68aに対して下面を滑らせつつ、図25(d)に示すように排出口6Aより筐体2の外部に排出される。
なお、テープ片上昇許容空間Spの上下方向の寸法は、必ずしも上述したほど必要とは限らない。すなわち、テープ片3Apが少なくとも上述した図25(b)に示す状態、すなわちテープ片3Apの支点における接線Taが略水平となるまで、テープ片上昇許容空間Spがテープ片3Apの搬送方向上流側の上昇を許容できればよい。この場合、重心gが支点より高位置であるためテープ片3Apが排出口6Aより滑り落ちることはなくても、重心gが支持位置P8よりも外側に位置しているため、少なくともテープ片3Apの筐体2内への入り込みを防止できるからである。
<ガイド部材の掛止部の構造>
次に、ガイド部材20に設けた掛止部21Aの構造について説明する。
前述の図8及び図9に示すように、ガイド部材20の本体部21には、ガイド部材20のロール3と接触する接触面25がロール3より離れる方向に向かって凹状である掛止部21Aが設けられている。掛止部21Aは、この凹状形状によって、前述の図2に示すようにロール3の幅方向他方側(この例では幅方向左側)の端面3Lとの間に、ユーザがガイド部材20を進退操作する際に指を掛止可能な掛止空間Sfを形成する。なお、上記凹状形状は、ガイド部材20の下端からの高さがH(後述の図26参照)となる位置からガイド部材20の上端にかけて形成されている。
また図8及び図9に示すように、掛止部21Aは、上記凹状形状の中に、ロール3より離れる方向に向けて湾曲したグリップ面GFを有している。そして、操作部材30は、前述の図6に示すように、掛止部21Aの上記グリップ面GFと同方向に向けて湾曲したグリップ部35を上端部に備えている。これにより、ユーザは操作部材30のグリップ部35を一方側の指(例えば親指)で操作する際に、他方側の指(例えば人差し指や中指)をガイド部材20の掛止部21Aのグリップ面GFに掛止させて、一方側の指と他方側の指でつまむようにして容易に操作部材30を操作することができる。
次に図26を用いて、掛止部21Aが形成されている高さについて説明する。この例では、ロール収納部4にロール外周径が最大値Dmaxであるロール3が収納されている。このとき、図26に示すように、掛止部21Aは、ロール外周径が最大値Dmaxであるときの紙管3B(ロール芯)の下端3BLより高い位置となる、上述した高さHの位置からガイド部材20の上端にかけて設けられている。なお、高さHはガイド部材20の下端、すなわち支持部24の底部からの高さである。これにより、紙管3Bの高さが最も高位置となるときであっても、ガイド部材20の接触面25を紙管3Bの下端3BLに接触させることができる。そして、被印字テープ3Aの繰り出しに伴いロール外周径が小さくなり、紙管3Bの高さが低くなると、接触面25と紙管3Bとの接触面積をさらに増大させることができる。すなわち、ロール外周径の大小に関わらず、接触面25を紙管3Bの少なくとも一部に確実に接触させることができるようになっている。
<センサホルダの構造>
次に、被印字テープ3Aの搬送経路に設けたセンサホルダ90の構造について説明する。
本実施形態のラベル作成装置1においては、前述したように、プラテンローラ66でロール収納部4に収納されたロール3より被印字テープ3Aを繰り出して搬送し、印字ヘッド61で被印字テープ3Aに対し所望の印字を行うことにより印字ラベルを作成する。このとき、被印字テープ3Aの搬送経路に設けられた光学センサ100(センサ手段。後述の図27参照)により被印字テープ3Aの所定の基準位置が検出され、当該基準位置を用いて印字ヘッド61による印字開始位置の決定等の印字制御が行われる。前述の図2、図3、及び図5に示すように、この光学センサ100は、印字ヘッド61の搬送方向上流側に設けたセンサホルダ90によって、被印字テープ3Aのテープ面近傍に保持される。
図27を用いて、センサホルダ90の詳細構造を説明する。なお、図27(a)には、センサホルダ90の位置関係を示すために、周辺部材を簡略化して示している。
図27(a)に示すように、光学センサ100は、被印字テープ3Aの搬送経路における支持ローラ43と印字ヘッド61との間に設けられており、発光部101と受光部102とで構成されている。発光部101より発光された光は、被印字テープ3Aを透過して受光部102により受光される。このとき、被印字テープ3Aは、前述したようにラベル台紙10が接着された部分では感熱層3a、粘着層3b、及び剥離紙3cの3層構造となっており、ラベル台紙10が接着されていない部分(ラベル台紙10同士の間の部分)では剥離紙3cのみの1層構造となっているため、この厚みの相違による受光部102での受光量の差に基づき、ラベル台紙10の搬送方向における端部位置が基準位置として検出される。
発光部101は、被印字テープ3Aの搬送面を構成する水平面45に設けられ、受光部102は、センサホルダ90によって発光部101の上部に保持されている。このとき、発光部101の光軸と受光部102の光軸が一致するように位置決めされている。またセンサホルダ90は、受光部102を覆うカバーの役目も果たしている。このように発光部101を下方、受光部102を上方に配置し、受光部102全体をセンサホルダ90で覆うことにより、外乱光による誤検出を抑制できるようになっている。なお、本実施形態では発光部101と受光部102を被印字テープ3Aの両側に配置する構成としたが、両部を備えた反射型センサを被印字テープ3Aの上側においてセンサホルダ90で保持する構成としてもよい。
センサホルダ90は、被印字テープ3Aの搬送経路が下方に傾斜する傾斜区間に設けられており、支持部90Aと、被印字テープ3Aの上面の一部を覆うようにテープ幅方向に所定幅延出された延出部90Bとを有している。延出部90Bは、被印字テープ3Aの搬送面を構成する上記水平面45及び下方に傾斜する傾斜面48との間にスリットSLを形成する。このスリットSLは、テープ搬送方向両側(図27中左右両側)及びテープ幅方向左側(図27(a)中紙面手前側)を開口させている。なお、スリットSLのテープ幅方向右側(図27(a)中紙面奥側)については、搬送経路に設けられた図示しない案内部材により閉塞されている。このような構成により、光学センサ100を構成する受光部102は、センサホルダ90によって、スリットSLに挿通された被印字テープ3Aのテープ面近傍に保持されるようになっている。
なお、スリットSLへの被印字テープ3Aの挿通は、テープ搬送方向上流側(図27(a)中左側)の開口91及びテープ幅方向左側(図27(a)中紙面手前側)の開口92のいずれかを介して被印字テープ3Aの端部を挿入することにより行う。すなわち、開口91から挿入する場合には被印字テープ3Aの先端部を挿入し、開口92から挿入する場合には被印字テープ3Aのテープ幅方向右側端部を挿入する。このような被印字テープ3AのスリットSLへの挿入は、次のような手順で行われる印字ラベル作成開始時の準備中に、ユーザが手動にて行う。
すなわち、ユーザは、上カバー5を開いた状態において、筐体2内のロール収納部4にロール3を収納する。次に、被印字テープ3Aをロール3から少なくとも印字ヘッド61に届く位置まで繰り出す。この際に、被印字テープ3Aをセンサホルダ90のスリットSLへ挿入する。その後、上カバー5を閉じる。これにより、上カバー5側に設けられたプラテンローラ66と、筐体2側に設けられた印字ヘッド61とで被印字テープ3Aが挟持され、印字ヘッド61による印字及びプラテンローラ66による被印字テープ3Aの搬送が可能な状態となる。この後、ユーザのフィードボタン7Cの操作等により被印字テープ3Aが所定距離搬送され、印字ラベルの作成が開始される。
また図27(a)乃至図27(c)に示すように、センサホルダ90の延出部90Bにおける、テープ搬送方向上流側の側面93と、テープ幅方向左側の側面94との間の角部には、面取り部95が設けられている。この面取り部95は、曲面状となるように形成されている。また図27(a)に示すように、センサホルダ90の延出部90Bにおける、テープ搬送方向上流側の側面93のスリットSL側の角部には、面取り部96が設けられている。この面取り部96により、スリットSLのテープ搬送方向上流側の開口91は、その入口が拡張されている。
さらに、図27(b)及び図27(c)に示すように、センサホルダ90は全体として略L字型形状に形成されている。これにより、そのL字型の凹部部分に、ユーザが被印字テープ3AをスリットSLに挿通させる際に指の先端を挿入可能な指挿入空間Siを形成している。この指挿入空間Siにより、ユーザは指をL字型の凹部部分に挿入することが可能となり、被印字テープ3Aの端部を指でつまんでスリットSLに容易に挿通させることができるようになっている。
また、図27(a)及び図27(b)に示すように、上記テープ幅方向左側の側面94は、被印字テープ3Aの搬送経路の下方への傾斜に沿った傾斜部94aを下端に備えている。このような側面94の形状により、センサホルダ90の延出部90Bと水平面45及び傾斜面48との間に形成されるスリットSLを、傾斜した搬送経路に沿った形状とすることができる。
以上説明した実施形態においては、被印字テープ3Aの搬送経路上に、被印字テープ3Aのラベル台紙側の面に接触する曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44を設ける。これら曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44が、被印字テープ3Aに対しラベル台紙10を剥離紙3cに押さえ付けるように接触し、被印字テープ3Aはこのような接触を行いつつ搬送されるので、搬送経路においてラベル台紙10が剥離紙3cから剥がれることを防止できる。また、このような接触が行われる結果、ラベル台紙10の剥離紙3cに対する粘着力が低い被印字テープ3Aを使用することが可能となり、被印字テープ3Aの用途拡張を図ることができる。
また、本実施形態では特に、被印字テープ3Aの搬送経路上における、ロール3からの繰り出し位置とプラテンローラ位置P6との間に、曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44を設ける。これにより、当該区間ではプラテンローラ66による引っ張り力により被印字テープ3Aと曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44との接触圧を高く保持できることから、確実にラベル台紙10の剥がれを防止することができる。
また、本実施形態では特に、被印字テープ3Aをラベル台紙10側の面が径方向外側となるように巻回してロール3を構成する。その結果、ロール3の下側よりテープを繰り出す際に、被印字テープ3Aはラベル台紙10側の面が下側となった状態で繰り出される。したがって、被印字テープ3Aの搬送経路の下側に設けた曲壁面42、支持ローラ43、及び屈曲部44により、被印字テープ3Aの搬送経路を屈曲させることにより、被印字テープ3Aはラベル台紙10側の面がテープ長手方向に凹状となるように搬送経路を屈曲されるため、ラベル台紙10が剥離紙3cから剥がれることを確実に防止することができる。
また、本実施形態では特に、被印字テープ3Aの搬送経路が最も高位置となる部分に、接触部材として被印字テープ3Aを支持する支持ローラ43を設ける。これにより、当該支持ローラ43により被印字テープ3Aの搬送経路を大きく屈曲させ、当該支持ローラ43との接触位置を頂上部とする山型形状の搬送経路を実現することができる。また、当該位置では搬送経路を大きく屈曲させるため被印字テープ3Aへの負荷が大きくなるが、ローラを用いることにより、第1屈曲位置P4のように曲壁面42を接触させて搬送経路を屈曲させるに比べ、摩擦による抵抗を大幅に低減し、被印字テープ3Aへの負担を軽減することができる。さらに、壁面を接触させる場合には当該壁面との摩擦によりラベル台紙10が剥がれやすくなるが、ローラを用いることにより摩擦を減少しつつ押さえ付けることができるので、ラベル台紙10が剥離紙3cから剥がれることを確実に防止することができる。
また、本実施形態では特に、搬送経路の屈曲量が比較的小さく被印字テープ3Aへの負担が比較的小さい部分である第1屈曲位置P4においては、接触部材として曲面状の曲壁面42を用いることにより、支持ローラ43を設ける場合に比べて構造を簡素化することができる。また、搬送経路を大きく屈曲させる部分では接触部材を支持ローラ43とし、搬送経路を小さく屈曲させる部分では接触部材を曲壁面42として、接触部材を適宜使い分けることで、被印字テープ3Aへの負担を抑制しつつ、搬送経路をラベル作成装置1を構成する各種機器や部材の形状・配置等に応じた形状とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、以上ではテープ上にラベル台紙10が連続配置された被印字テープ3Aを用いる場合を例にとって説明したが、これに限らず、テープ表面全体に被印字テープ層(感熱層や受像層)が形成された被印字テープに対し印字を行い、所定の長さに切断して印字ラベルを作成してもよく、本発明はこのようなものに対しても適用できる。また、以上では被印字テープ3Aに印字を行う方式(いわゆるノンラミネート方式)であったが、被印字テープ3Aとは別のカバーフィルムに印字を行ってこれらを貼り合わせる方式(いわゆるラミネート方式)に本発明を適用してもよい。
また以上においては、被印字テープ3Aがロール3の下側より繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限らず、ロール3の上側より繰り出される場合にも適用可能である。この場合、ロール3には、ロール3をテープ繰り出し方向側(この例では前方側)の向きに転がそうとする力が作用するため、第3ローラ53を、第1及び第2ローラ51,52に対し、被印字テープ3Aの繰り出し方向側に配置すればよい。
また以上においては、第2屈曲位置P2に支持ローラ43を設けるようにしたが、必ずしもローラを設ける必要はなく、第1屈曲位置P4と同様に壁面との接触等により被印字テープ3Aの搬送経路を屈曲してもよい。
また以上においては、印字ヘッド61に対する受け台(プラテン)が搬送ローラとしてのプラテンローラ66である場合を例にとって説明したが、これに限らず、被印字テープ3Aを繰り出し搬送する搬送ローラをプラテンとは別に設けてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。