JP5360004B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
このような動揺病に対して、視覚情報と乗り物の動きによる前庭情報及び体性感覚情報を一致させることで、視聴者の乗り物酔いの負担を軽減することができる映像表示装置がある。(例えば、特許文献1)
この映像表示装置では、移動体の加速度に基づいて背景映像を生成し、その背景映像とDVD等の映像を合成する。そして、この合成した映像が、助手席や後部座席の視聴者に対して、視覚的に自分の体が動いている感覚(視覚誘導自己運動感覚)を与えることにより、視覚情報と乗り物の動きによる前庭情報及び体性感覚情報を一致させて、乗り物酔いの発生を減少させることができる。
そのため、前方カメラによる画像と、窓から見える実景が不連続に見えてしまい、前庭情報と体性感覚情報が一致せずに酔いの原因になるという課題があった。
図1は、この発明の実施の形態1における画像処理装置1を示すシステム構成図である。
図1において画像処理装置1は、センサー(以下、傾き振動センサー)2で車両の傾き、振動、速度、加速度、回転等の物理的状態が検出され、検出された情報は、センサー情報入力部3によって変位予測部4に入力される。
また、外部システム通信部5によって、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)やカーナビから車両の位置情報や走行予定の道路に関する情報、地図情報等の位置関連情報が変位予測部4に入力される。
一方、車両内(車内)にディスプレイ6が設置され、このディスプレイ6に表示されるDVD等のコンテンツを車両の後部座席の搭乗者が視聴する。そして、コンテンツを視聴する視聴者の視点を車内カメラ7によって撮影し、撮影された画像から、視点検出部8が視聴者の視点位置を検出する。
カメラ画像水平検出部11では、車外の画像が水平面からどれくらい傾いているか(水平面に対する傾き)が検出される。
同期情報算出部13で算出される同期情報は、視聴者が見る車外の実景とディスプレイ6に表示される前方カメラ9で撮影した車外の画像を同期させるため(連続して見えるようにするため)の情報である。
同期情報算出部13で算出される同期情報の算出の詳細については後述する。
又、カメラ画角制御部14は、同期情報算出部13の同期情報に基づいて、前方カメラ9の画角を制御する。
カメラ画像切り出し部12とカメラ画角制御部14の詳細については後述する。
この時、カメラ画像水平検出部11で検出された水平面に対する傾きに基づいて、車外の画像とコンテンツ画像が常に水平面と平行になるように回転移動することもできる。
この様に、回転移動したコンテンツ画像の周辺部に、射影変換した車外の画像を3次元(3D)で奥行きのある画像に合成し、ディスプレイ6に表示する。
また、付加情報生成部18が、外部システム通信部5から現在位置と地図情報を取得し、車外の画像の付加情報(例えば、ビルや山、川の名前等)を文字情報として生成する。
画像処理部15は、その文字情報を車外の画像に合わせてディスプレイ6に表示することもできる。
車両の走行中には、振動や傾き、速度、加速度、回転等の物理的状態の変位が生じている。
まず、傾き振動センサー2によって、これらの車両の物理的状態を検出する(ステップ(以下S)1)。
そして、センサー情報入力部3が、傾き振動センサー2で検出された車両の物理的状態の情報を変位予測部4に入力する。(S2)
1/30秒は、ディスプレイ6のフレームレートが30fps(frame per second)である場合の予測時間である。1秒間に30回描画が行われる場合、即ち1回の描画に要する1/30秒は、車両の外の実景とディスプレイ6に表示される車外を撮影した画像を同期させる(連続して見えるようにする)ための時間である。
そこで、変位の予測として、例えば1/30秒で移動する距離と方向を算出する。
そして、同期情報算出部13が、変位予測部4で予測した変位と視点検出部8で検出された視点位置に基づいて、同期情報を算出する(S4)。
同期情報の算出は、傾き振動センサー2で検出される車両の傾きや振動、速度、加速度、回転等の物理的状態の変位とコンテンツの視聴者の視点位置の変化に基づいて算出されるが、ここでは、速度vが検出された時に予測される1/30秒後の変位の距離hと、カメラ画角制御部14が制御する前方カメラ9の1/2の画角θが同期情報として算出される例について述べる。
図3において、
ディスプレイ6の1/2幅をw、
視点とディスプレイ6の距離をd、
視点と前方カメラ9の距離をl、
撮影画像の同期対象距離(車両の外の実景と撮影した画像の同期を取る範囲の距離)をD、
撮像範囲の横幅の1/2をW、とする。
W=D×w/d (1)
h=v×(1/30) (2)
上記式(2)において、
時速20kmの時は、h=19cm、
時速60kmの時は、h=56cm、
時速100kmの時は、h=93cm、となる。
θ=Arctan(W/(D−l+h) (3)
ここで、Wに上記式(1)を当てはめると以下の式(4)が成り立つ。
θ=Arctan((D×w/d)/(D−l+h)) (4)
このθの値に基づいて、画角を調整することにより、1/30秒後の撮像範囲を前方カメラ9で撮影することができる。
また、撮影画像の同期対象距離Dについては、市街地で5m〜20m、郊外で20m〜50mと考えられる。市街地は視野が狭く、車両の速度が遅いためである。
カメラ画角制御部14は、同期情報算出部13の同期情報に基づいて、車両の変位が大きい(速度が速い)場合や視聴者の視点が前方に移動した場合には望遠側に、車両の変位が小さい(速度が遅い)場合や視聴者の視点が後方に移動した場合には広角側に前方カメラ9の画角を制御する。
この様に、車両の変位や視聴者の視点位置の移動に基づいて、カメラ画角制御部14が前方カメラ9の画角を制御する角度の1/2が、前述した値θである。
そして、カメラ画像水平検出部11では、カメラ画像入力部10によって入力された車外の画像データから道路の水平部、ビルや壁の垂直部のエッジを検出する。そして、前方カメラ9で撮影された車外の画像が、水平面からどれくらい傾いているかを検出する(S7)。
カメラ画像水平検出部11で検出される水平面からの傾きは、同期情報の傾き情報の代わりに利用される情報であり、同期情報だけでも処理を行うことはできる。そのため、カメラ画像入力部10によって入力された車外の画像データは、カメラ画像切り出し部12に直接送ってもよい。
例えば、車両が上方向に変位し、視聴者の視点が右の方に移動した場合には、同期情報の右上方向への変位に基づき、前方カメラの車外の画像から左下の方を切り出す補正を行う。また、車両が前方にある速度で進んでいる時、1/30秒後に移動する距離の分だけ先の画像となる様に、撮影した時の車外の画像から中心に向かって周囲の画像を除いて画像を切り出す。
また、カメラ画像水平検出部11で検出された水平面からの傾きと視点検出部8の視点位置に基づいて、車外の画像を切り出すこともできる。
ここで、カメラ画像切り出し部12が、画角を制御された前方カメラ9で撮影した車外の画像をどのように切り出すかについて、図4〜6を用いて説明する。
コンテンツ画像20を見る視聴者は、コンテンツ画像20を見ながら、前方カメラ9で撮影された車外の画像21を実景と連続してみることにより、車両の変位を感じながらコンテンツを楽しむことができる。
カメラ画像切り出し部12は、このように遠くの景色まで撮影された車外の画像21をコンテンツ画像20の領域だけ除いて切り出し、画像処理部15に送信する。
カメラ画像切り出し部12は、このように近くの景色がより詳細に撮影された車外の画像21をコンテンツ画像20の領域だけ除いて切り出し、画像処理部15に送信する。
ここで述べた望遠側又は広角側に制御する画角の1/2が、前述した同期情報算出手段13で算出される角度θである。
例えば、車両が左カーブで変位が右に移動し、時計回りのロールが生じる場合には、コンテンツ画像を左に移動し、コンテンツ画像が水平面に対して平行に保つように反時計回りに回転させる画像処理を行う。
そして、回転移動されたコンテンツ画像を画面中央部に配置する。
次に、回転移動したコンテンツ画像の周辺に、実景と同期するように切り出して補正した車外の画像を射影変換し、3D効果で奥行きを表現するように画像処理して配置し、ディスプレイ6に表示する(S10)。
まず、コンテンツ画像の画像処理について説明する。
図7は、ディスプレイ6に表示されるコンテンツ画像の表示例を示す図である。
図7において、ディスプレイ6は、図1のディスプレイ6と同じものであり、20は、ディスプレイ6の中央に表示されているコンテンツ映像(コンテンツ画像)である。
この時、カメラ画像水平検出部11によって検出された水平面からの傾きと視点検出部8によって検出された視点位置に基づいて、コンテンツ画像20を回転移動することもできる。
また、コンテンツ画像20を上下左右に移動、又は回転させた画像を表示しても表示内容の欠損が起きないように、コンテンツ画像20をディプレイ7の表示範囲よりも縮小する処理を行っている。
図8は、車両が左カーブ走行中の表示例を示す図である。
図8において、19はコンテンツ画像を視聴している視聴者の頭部、20はディスプレイ6の中央に表示されたコンテンツ画像であり、21は前方カメラ9で撮影された車外の画像である。
左カーブでは、車両が進行方向に向かって時計方向にロールし、ディスプレイ6も時計方向に傾いている。
また、車外の画像21は、水平面に対して平行を保つように、ディスプレイ6の中では、時計方向と逆に回転した画像処理をして表示される。
そして、補正された車外の画像21が、回転などで水平面と平行に保たれたコンテンツ画像20の周辺部に配置され、ディスプレイ6に表示される。
このように、視覚と平衡感覚への刺激のずれを少なくすることで、視覚誘導自己運動感覚の効果が大きくなり、車酔いをより軽減させることができる。
図9は、コンテンツ画像20と前方カメラ9で撮影された車外の画像21をディスプレイ6に表示する画像処理を示した図である。
まず、同期情報算出部13の同期情報から得られる予測された車両の変位から、コンテンツ画像20の表示位置と回転角度を決定する。車両の変位の方向(例えば、図8の様な場合、カーブの出口方向である左側)にコンテンツ画像20の表示位置をシフトし、決定した回転角度にコンテンツ画像20を回転する。
ここでいう射影変換とは、3次元の絵を平面の写真に写す時や、光源を固定して物体の影を対応させる時などに使われる変換のことである。
射影変換して4枚に分割した車外の画像に、それぞれ、奥側(コンテンツ画面20の辺)に向かって暗くするグラデーションを焼きこむ。
このようにして、視聴者が視聴しているコンテンツ画像20が変位に合わせて回転移動し、水平面に対して常に平行を保って表示され、その周囲の車外の画像21が車外の実景と遅延なく、3Dで奥行きを持って表示されることにより、視聴者は、画像に合わせて頭部を自然に傾けやすくなり、視覚と平衡感覚への刺激のずれを少なくすることができる。
まず、カメラ画像切り出し部12で同期情報に基づいて切り出して補正され、画像処理部15で画像処理された車外の画像が、外部システム通信部5から得られる現在位置と変位予測部4で予測される変位と共に、記録部17に記録されている。
そして、画像処理部15は、外部システム通信部5から得た車両の現在位置に基づいて、記録部17から画像処理済みの車外の画像を取り出し、コンテンツ画像の周辺画像としてディスプレイ6に表示する。
記録部17で記録された画像処理済みの画像は、雨天の時など、前方カメラ9で撮影される画像では、車両の動きが体感されにくい時に利用される。
そして、画像処理部15は、付加情報生成部18で生成された文字情報をビルや山、川の位置に重ねてディスプレイ6に表示する。
図10は、直線走行中の移動体の内部を表す概念図である。
図10において、ディスプレイ6は図1のディスプレイ6と同じものである。19は、視聴者の頭部である。ディスプレイ6は、直線走行中の移動体の変位に影響を受けて水平になっている。視聴者の頭部19は、垂直であり、傾いてない。
図11において、ディスプレイ6は、カーブ走行中の車両の変位に影響を受けて、ロール(車両が前後を軸として回転すること)が生じている。この様な状況のディスプレイ6に、図8と同じ構成の画像、即ちコンテンツの周辺部に、同期情報に基づいて補正したことにより車外の実景と連続して見える車外の画像を配置して表示する。
視聴者は、車両に対して垂直に座っているため、遠心力によって頭部をカーブ外側に振られていると車酔いが生じる。
運転手の無意識の行動と同じように、遠心力に対向して頭部を積極的にカーブの内側に傾けることで、視覚誘導自己運動感覚(映像などによる視覚への作用で自己が運動していると錯覚する感覚)が得られ、車酔いになりにくい効果がある。
運転手以外の視聴者は、前方の景色が見えにくい問題がある。そのため、本発明では、車外の実景と連続して見えるように補正した車外の画像21をコンテンツ画像20と共に表示して、視聴者が視聴するので、車酔いを軽減することができる。
Claims (6)
- 移動体の外を撮影した画像を入力する画像入力部と、
前記移動体の物理的状態を検出するセンサーで検出された物理状態に基づいて、前記画像を撮影した時点から所定時間後の前記移動体の変位を予測する変位予測部と、
前記移動体でコンテンツの画像を視聴する視聴者の視点を撮影した画像から、視聴者の視点位置を検出する視点検出部と、
該視点検出部で検出された視点位置と前記変位予測部で予測された変位とに基づいて、前記画像入力部から入力された画像の表示を前記移動体の外の実景と同期させる同期情報を算出する同期情報算出部と、
該同期情報算出部で算出された同期情報に基づいて移動体の外を撮影するカメラの画角が制御され撮影された、前記画像入力部から入力される画像を、前記同期情報に基づいて切り出す画像切り出し部と、
該画像切り出し部で切り出された画像を前記同期情報算出部で算出される同期情報に基づいて画像処理し、前記コンテンツの画像と共に表示画像を生成する画像処理部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像処理部は、前記画像切り出し部で切り出された画像を前記同期情報算出部の同期情報に基づいて射影変換することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像処理部は、前記同期情報に基づいて回転移動されるコンテンツの画像で表示画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
- 前記画像処理部は、前記画像切り出し部で切り出された画像をコンテンツの画像の周囲画像とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 移動体の位置関連情報を入手する外部システム通信部と、
前記外部システム通信部で入手する位置関連情報と、前記変位予測部で予測される変位
と、前記画像処理部から出力される画像とを記録する記録部を更に備え、
前記画像処理部は、前記外部システム通信部から入手した移動体の位置関連情報と一致
する前記記録部に記録された画像をコンテンツの画像と共に表示画像を生成することを特
徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。 - 移動体の外を撮影した画像を画像処理して表示画像を生成する画像処理装置の画像処理方法において、
移動体の外を撮影した画像を入力する画像入力ステップと、
前記移動体の物理的状態を検出するセンサーで検出された物理状態に基づいて、前記画像を撮影した時点から所定時間後の前記移動体の変位を予測する変位予測ステップと、
前記移動体でコンテンツの画像を視聴する視聴者の視点を撮影した画像から、視聴者の視点位置を検出する視点検出ステップと、
該視点検出ステップで検出された視点位置と前記変位予測ステップで予測された変位とに基づいて、前記画像入力ステップで入力された画像の表示を前記移動体の外の実景と同期させる同期情報を算出する同期情報算出ステップと、
該同期情報算出ステップで算出された同期情報に基づいて移動体の外を撮影するカメラの画角が制御され撮影された、前記画像入力ステップで入力される画像を、前記同期情報に基づいて切り出す画像切り出しステップと、
該画像切り出しステップで切り出された画像を前記同期情報算出部で算出される同期情報に基づいて画像処理し、前記コンテンツの画像と共に表示画像を生成する画像処理ステップと
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
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