次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明のトナーの製造方法は、母体粒子を有するトナーを製造する方法であって、結着樹脂及び/又は活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体と、着色剤と、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒中で溶解又は分散させて第一の液を調製する工程と、第一の液を水系媒体中で乳化又は分散させて第二の液を調製する工程を有する。
一般に、第二の液を調製する際に、せん断力を印加する必要があり、せん断力を印加する時間と共に油滴の粒径が変化していき、せん断力を弱めることにより、体積平均粒径がDv1である一次粒子が得られる。その後、一次粒子が凝集して、体積平均粒径がDv2である母体粒子が得られる。この際、第二の液を調製する際のせん断力が大きいと、Dv1が小さくなるため、一次粒子の凝集が進行しすぎて、ΔDv(=Dv2−Dv1)が大きくなり、母体粒子の粒度分布が広くなる。一方、第二の液を調製する際のせん断力が小さいと、Dv1が大きくなるため、一次粒子の凝集が不十分となって、ΔDvが小さくなり、異形の母体粒子が得られず、粒度分布が広くなる。このため、第二の液を調製する際のせん断力を調節してΔDvを制御することにより、母体粒子の形状と粒度分布を制御することができる。
本発明においては、水系媒体のpHをA、第二の液のpHをBとすると、式
0<B−A<1.0(6.5<B<8.0)
を満たすことにより、母体粒子の形状と粒度分布を制御することができる。その結果、微小ドットの再現性及びクリーニング性に優れるトナーを製造することができる。
Bが6.5以下であると、Dv1が大きくなるため、一次粒子の凝集が不十分となって、ΔDvが小さくなり、異形の母体粒子が得られず、粒度分布が広くなる。逆に、Bが8.0以上であると、Dv1が小さくなるため、一次粒子の凝集が進行しすぎて、ΔDvが大きくなり、母体粒子の粒度分布が広くなる。
また、B−Aが0以下であると、Dv1が大きくなるため、一次粒子の凝集が不十分となって、ΔDvが小さくなり、異形の母体粒子が得られず、粒度分布が広くなる。逆に、B−Aが1.0以上であると、Dv1が小さくなるため、一次粒子が凝集しすぎて、ΔDvが大きくなり、母体粒子の粒度分布が広くなる。
本発明において、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体としては、特に限定されないが、イソシアネート基を有するポリエステル(以下、プレポリマー(A)という)等が挙げられる。
また、トナー材料は、活性水素基を有する化合物をさらに含むことが好ましい。活性水素基を有する化合物の活性水素基としては、水酸基(アルコール性水素基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられるが、アルコール性水酸基、アミノ基が好ましい。このとき、第二の液中で、活性水素基を有する化合物と、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体を反応させることが好ましい。
以下、活性水素基と反応することが可能な官能基を有する重合体として、プレポリマー(A)、活性水素基を有する化合物として、アミン類(B)を用いる場合について説明する。なお、プレポリマー(A)と、架橋剤及び/又は伸長剤としての、アミン類(B)を反応させて得られるウレア変性ポリエステルは、高分子量成分の分子量を調節しやすく、乾式トナー、特に、オイルレス低温定着特性(定着用加熱媒体へのオイル塗布機構のない広範な離型性及び定着性)を確保できることから、好ましい。中でも、ポリエステルの定着温度域での高流動性及び透明性を維持したまま、オイルレス低温定着特性を確保することができることから、末端が変性されたウレア変性ポリエステルが特に好ましい。
プレポリマー(A)は、例えば、活性水素基を有するポリエステルをポリイソシアネート(PIC)と反応させることにより得られる。このとき、ポリエステルが有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられるが、アルコール性水酸基が好ましい。
活性水素基として、アルコール性水酸基を有するポリエステルは、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)を重縮合することにより得られる。
ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)及び3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、ジオール(DIO)又はジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)の併用が好ましい。
ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの併用が特に好ましい。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又は9価以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)及び3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、ジカルボン酸(DIC)又はジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)の併用が好ましい。
ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数が4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、ポリカルボン酸(PC)の代わりに、ポリカルボン酸(PC)の無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
アルコール性水酸基を有するポリエステルを合成する際には、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を溜去することが好ましい。このとき、カルボキシル基に対する水酸基の当量比は、通常、1〜2であり、1〜1.5が好ましく、1.02〜1.3がさらに好ましい。
ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アルコール性水酸基を有するポリエステルとポリイソシアネート(PIC)を反応させる際には、40〜140℃で合成することが好ましい。このとき、アルコール性水酸基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であり、1.2〜4が好ましく、1.5〜2.5がさらに好ましい。この当量比が5を超えると、トナーの低温定着性が低下することがあり、1未満であると、ウレア変性ポリエステルを合成する場合に、ウレア基の含有量が小さくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
また、プレポリマー(A)を合成する際に、必要に応じて、溶媒を添加してもよい。溶媒としては、芳香族溶媒(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネートに対して不活性な溶媒が挙げられる。
プレポリマー(A)は、重量平均分子量が3×103〜2×104であることが好ましい。重量平均分子量が3×103未満であると、プレポリマー(A)とアミン類(B)の反応速度の制御が困難となって、ウレア変性ポリエステルを安定に製造できなくなることがあり、2×104を超えると、プレポリマー(A)とアミン類(B)の反応が十分に進行せず、耐オフセット性が低下することがある。
プレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)由来の構成成分の含有量は、通常、0.5〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。この含有量が0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下すると共に、耐熱保存性と低温定着性が両立できなくなることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
プレポリマー(A)1分子当たりのイソシアネート基の含有量(平均値)は、通常、1個以上であり、1.5〜3個が好ましく、1.8〜2.5個がさらに好ましい。この含有量が1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなって、耐ホットオフセット性が低下することがある。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、これらのアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられ、中でも、ジアミン(B1)又はジアミン(B1)と、3価以上のポリアミン(B2)の併用が好ましい。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
これらのアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、アミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミン類(B)のアミノ基に対するプレポリマー(A)のイソシアネート基の当量比は、通常、0.5〜2であり、2/3〜1.5が好ましく、5/6〜1.2である。この当量比が2を超える場合及び0.5未満である場合は、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
本発明において、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際には、反応時間は、例えば、プレポリマー(A)とアミン類(B)の組み合わせに応じて適宜選択されるが、通常、10分〜40時間であり、2〜24時間が好ましい。反応温度は、通常、0〜150℃であり、40〜98℃が好ましい。
本発明において、トナー材料は、プレポリマー(A)とアミン類(B)の反応の触媒として、第3級アミンをさらに含むことが好ましい。第3級アミンとしては、特に限定されないが、トリフェニルアミン、トリアリルアミン等の芳香族アミン;N−メチルピペリジン等の脂環式アミン;トリエチルアミン、トリメチルアミン等の脂肪族アミン;トリエタノールアミン、ジヒドロキシエチルアニリン等のアミノアルコール;トリエタンチオールアミン、トリメタンチオールアミン等のアミノメルカプタン;DBU(1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン−5)等のアミジン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、化学式
また、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際に、必要に応じて、伸長停止剤を用いて、ウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。
伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、これらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
本発明において、結着樹脂は、ポリエステルを含むことが好ましい。これにより、トナーの耐熱保存性及び低温定着性を両立させることができる。
ポリエステルは、前述と同様にして、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)を重縮合することにより得られる。
ポリエステルは、THFに溶解する成分の重量平均分子量が1×103〜3×104であることが好ましい。THFに溶解する成分の重量平均分子量が1×103未満であると、オリゴマー成分が増加するため、耐熱保存性が低下することがある。また、THFに溶解する成分の重量平均分子量が3×104を超えると、トナー材料がプレポリマー(A)とポリエステルを含む場合に、立体障害により、プレポリマー(A)とアミン類(B)との反応が十分に進行せず、耐オフセット性が低下することがある。
本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定されたポリスチレン換算の分子量である。
ポリエステルは、酸価が1〜50KOHmg/gであることが好ましい。酸価が1KOHmg/g未満であると、トナーを製造する際に塩基性化合物を添加することによる分散安定効果が得られないことがある。また、トナー材料がプレポリマー(A)とポリエステルを含む場合に、プレポリマー(A)とアミン類(B)との反応が進行しやすくなって、製造安定性に問題が生じることがある。一方、酸価が50KOHmg/gを超えると、トナー材料がプレポリマー(A)とポリエステルを含む場合に、プレポリマー(A)とアミン類(B)との反応が十分に進行せず、耐オフセット性が低下することがある。
本発明において、酸価は、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して測定することができる。
ポリエステルは、ガラス転移点が35〜65℃であることが好ましい。ガラス転移点が35℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、65℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
結着樹脂中のポリエステルの含有量は、50〜100質量%であることが好ましい。この含有量が50質量%未満であると、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立が困難になることがある。
本発明において、結着樹脂は、ウレア変性ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル等の変性ポリエステルを含んでいてもよい。なお、ウレア変性ポリエステルは、ウレア結合と共にウレタン結合を有していてもよい。ウレア結合に対するウレタン結合のモル比は、通常、0〜9であり、0.25〜4が好ましく、2/3〜7/3がさらに好ましい。このモル比が9を超えると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造することができる。例えば、プレポリマー(A)とアミン類(B)を、必要に応じて、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等の公知の触媒を添加して反応させることにより、ウレア変性ポリエステルが得られる。このとき、反応時間は、例えば、プレポリマー(A)とアミン類(B)の組み合わせに応じて適宜選択されるが、通常、10分〜40時間であり、2〜24時間が好ましい。反応温度は、通常、0〜150℃であり、40〜98℃が好ましい。
なお、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際には、アミノ基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、0.5〜2であり、2/3〜1.5が好ましく、5/6〜1.2である。この当量比が2を超える場合及び0.5未満である場合は、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
また、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際に、必要に応じて、伸長停止剤を用いて、ウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。
伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、これらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
なお、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際には、必要に応じて、溶媒を添加してもよい。溶媒としては、芳香族溶媒(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネートに対して不活性な溶媒が挙げられる。
変性ポリエステルは、重量平均分子量が、通常、1×104以上であり、2×104〜1×107が好ましく、3×104〜1×106がさらに好ましい。重量平均分子量が1×104未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
変性ポリエステルは、第一の液を調製する際に、ポリエステルを添加しない場合、数平均分子量が、通常、2×103〜1.5×104であり、2×103〜1×104が好ましく、2×103〜8×103がさらに好ましい。数平均分子量が2×103未満であると、現像された紙が定着ローラに巻き付くことがあり、1.5×104を超えると、低温定着性及びフルカラー画像の光沢が低下することがある。
なお、ウレア変性ポリエステルと、ポリエステルを併用することにより、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性を向上させることができる。例えば、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させた溶液にポリエステルを溶解させることができる。また、ウレア変性ポリエステルと、ウレタン変性ポリエステルを併用してもよい。
ウレア変性ポリエステルと、ポリエステルを併用する場合は、低温定着性及び耐ホットオフセット性の面で、ウレア変性ポリエステルは、ポリエステルの少なくとも一部と相溶することが好ましい。このため、ウレア変性ポリエステルのポリエステル成分は、ポリエステルと組成が類似していることが好ましい。
ポリエステルに対するウレア変性ポリエステルの質量比は、通常、5/95〜80/20であり、5/95〜30/70が好ましく、5/95〜25/75がさらに好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。この質量比が5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがあり、80/20を超えると、低温定着性が低下することがある。
本発明において、着色剤としては、公知の染料及び顔料を使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
母体粒子中の着色剤の含有量は、通常、1〜15質量%であり、3〜10質量%が好ましい。
着色剤としては、顔料と樹脂が複合化された複合体、即ち、マスターバッチを用いてもよい。マスターバッチは、顔料と樹脂の混合物に高せん断力を印加して、混合混練することにより得られる。この際、顔料と結着樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を用いてもよい。混合混練する際に高せん断力を印加する高せん断分散装置としては、3本ロールミル等を用いることができる。
また、マスターバッチは、フラッシング法を用いて製造してもよい。具体的には、顔料を含む水性ペーストを、樹脂及び有機溶媒と混合混練することにより、顔料を結着樹脂側に移行させた後、水分と有機溶媒を除去する。フラッシング法を用いると、顔料のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がない。
マスターバッチを製造する際に用いられる樹脂としては、前述の変性ポリエステル、ポリエステルの他に、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明において、離型剤としては、特に限定されないが、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これら以外の離型剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、ポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートの単独重合体又は共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等の低分子量の結晶性高分子、側鎖に長鎖アルキル基を有する結晶性高分子等が挙げられる。
離型剤は、融点が50〜120℃であることが好ましい。これにより、定着ローラにオイル等の離型剤を塗布しない場合の耐ホットオフセット性を向上させることができる。なお、離型剤の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大吸熱ピークである。
母体粒子中の離型剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。
本発明において、トナー材料は、粘度調整剤として、無機粒子をさらに含んでいてもよい。無機粒子としては、特に限定されないが、二酸化ケイ素(シリカ)二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム等の酸化物;チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;窒化ケイ素等の窒化物;ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、変性層状無機鉱物が好ましい。
変性層状無機鉱物は、厚さが数nmの無機鉱物の層が積層されている層状無機鉱物の層間に存在する金属カチオンの少なくとも一部が有機イオンで置換されたものである(特表2003−515795号公報、特表2006−500605号公報、特表2006−503313号公報参照)。これにより、層状無機鉱物は、適度な疎水性を有するため、第一の液が非ニュートニアン粘性を有し、トナーを異形化することができる。
層状無機鉱物としては、特に限定されず、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、トナーの特性に影響を与えない少量の添加量で容易に粘度を調整できることから、モンモリロナイト又はベントナイトが好ましい。
金属カチオンの少なくとも一部を置換する有機カチオンとしては、特に限定されず、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム等の第4級アルキルアンモニウム塩;ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられるが、第4級アルキルアンモニウム塩が好ましい。
また、層状無機鉱物の層間に存在する2価の金属カチオンの一部を3価の金属カチオンに置換することにより、有機アニオンを導入することができる。このような有機アニオンとしては、特に限定されないが、直鎖、分岐又は環状アルキル(C1〜C44)、アルケニル(C1〜C22)、アルコキシ(C8〜C32)、ヒドロキシアルキル(C2〜C22)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を有する硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン等が挙げられるが、中でも、エチレンオキサイド骨格を有するカルボン酸イオンが好ましい。
層間に存在する金属カチオンの少なくとも一部が有機カチオンで置換された変性層状無機鉱物の市販品としては、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(United catalyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone 27(レオックス社製)、チクソゲルLG(United catalyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイトが挙げられる。中でも、クレイトンAF、クレイトンAPAが好ましい。
また、層間に存在する金属カチオンの少なくとも一部が有機アニオンで置換された変性層状無機鉱物としては、一般式
R1(OR2)nOSO3 −
(式中、R1は、炭素数が13のアルキル基であり、R2は、炭素数が2〜6のアルキレン基であり、nは、2〜10の整数である。)
で表される有機アニオンで置換されたDHT−4A(協和化学工業社製)が挙げられる。このような有機アニオンを有する化合物の市販品としては、ハイテノール330T(第一工業製薬社製)が挙げられる。
トナー材料中の変性層状無機鉱物の含有量は、0.05〜2質量%であることが好ましい。
第一の液を調製する際に用いられる有機溶媒は、揮発除去することを考慮すると、沸点が100℃未満であることが好ましい。このような有機溶媒としては、特に限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
また、有機溶媒の使用量は、トナー材料100質量部に対して、40〜300質量部であることが好ましく、60〜140質量部がさらに好ましく、80〜120質量部が特に好ましい。
第二の液を調製する際に用いられる水系媒体としては、特に限定されないが、水、水と混和可能な溶媒と水の混合溶媒等が挙げられる。水と混和可能な溶媒としては、特に限定されないが、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等);ジメチルホルムアミド;テトラヒドロフラン;セルソルブ類(メチルセルソルブ等);低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
第一の液を水系媒体中で乳化又は分散させる際には、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等の公知の分散機を用いることができるが、高速せん断式分散機が好ましい。高速せん断式分散機を使用する場合、回転数は、通常、1000〜30000rpmであり、5000〜20000rpmが好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、通常、0.1〜5分である。また、分散時の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)であり、40〜98℃が好ましい。このとき、分散時の温度が高温である方が、第二の液の粘度が低下して、分散が容易となる。
トナー材料100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常、50〜2000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。水系媒体の使用量が50質量部未満であると、分散状態が悪くなって、所定の粒径の母体粒子が得られないことがあり、2000質量部を超えると、経済的でない。
また、水系媒体は、必要に応じて、分散剤を含んでいてもよい。これにより、第二の液の分散安定性を向上させると共に、トナーの粒度分布を狭くすることができる。分散剤としては、界面活性剤、無機微粒子分散剤、樹脂微粒子分散剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等);アミン塩型のカチオン性界面活性剤(アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等);4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等);非イオン性界面活性剤(脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等);両性界面活性剤(アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等)が挙げられる。中でも、添加量を非常に少量とすることができるため、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
無機微粒子分散剤としては、特に限定されないが、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
樹脂微粒子分散剤としては、特に限定されないが、PMMA微粒子、ポリスチレン微粒子、スチレン−アクリロニトリル共重合体微粒子等が挙げられる。
樹脂微粒子分散剤の市販品としては、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製等が挙げられる。
また、無機微粒子分散剤、樹脂微粒子分散剤と、高分子系保護コロイドを併用してもよい。高分子系保護コロイドとしては、特に限定されないが、酸類(アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等);水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体(アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等);ビニルアルコール;ビニルアルコールとのエーテル類(ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等);ビニルアルコールとカルボン酸のエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等);アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、これらのメチロール化物;酸クロライド類(アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等);窒素原子又はその複素環を有するもの(ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等)等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これら以外の高分子系保護コロイドとしては、ポリオキシエチレン系(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等);セルロース類(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
本発明において、第二の液から有機溶媒を揮発除去して母体粒子を形成させた後、洗浄、乾燥することにより、母体粒子を精製することが好ましい。このとき、第二の液中で、プレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させた後、10〜50℃で攪拌することが好ましい。これにより、母体粒子を異形化させることができる。
なお、母体粒子の粒度分布は、例えば、水系媒体の粘度、第一の液の粘度、樹脂微粒子分散剤の特性、添加量等を調整することにより制御することができる。また、母体粒子の体積平均粒径は、例えば、樹脂微粒子分散剤の特性、添加量等を調整することにより制御することができる。
本発明において、母体粒子は、体積平均粒径が3〜7μmであることが好ましい。体積平均粒子径が3μm未満であると、二成分現像剤として用いる場合に、現像装置における長期の攪拌により、キャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、一成分現像剤として用いる場合に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着が発生することがある。一方、体積平均粒径が7μmを超えると、高解像で高画質の画像を形成することが困難になると共に、二成分現像剤として用いる場合に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合に、トナーの粒径の変動が大きくなることがある。
また、母体粒子は、数平均粒径に対する体積平均粒径の比が1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。この比が1.3を超えると、現像時にトナーの挙動にバラツキが発生し、微小ドットの再現性が低下し、高品位な画像が得られないことがある。
なお、母体粒子の体積平均粒径及び数平均粒径は、コールターカウンター法を用いて測定することができる。
本発明において、母体粒子は、粒径が2μm以下である粒子の含有量が20%以下であることが好ましい。粒径が2μm以下である粒子の含有量が20%を超えると、二成分現像剤として用いる場合に、現像装置における長期の攪拌により、キャリアの表面にトナーが融着してキャリアの帯電能力を低下させることがある。
また、母体粒子は、平均円形度が0.92〜0.97であることが好ましい。平均円形度が0.92未満になると、転写時のトナーの移動がスムースでなくなり、更にトナー間で挙動にバラツキが生じ、転写性が低下することがある。また、平均円形度が0.97を超えると、感光体や転写ベルトでクリーニング不良が発生し、画像上に汚れが発生することがある。
なお、母体粒子の粒径が2μm以下である粒子の含有量及び平均円形度は、フロー式粒子像分析装置を用いて測定することができる。
本発明において、母体粒子は、酸価が0.5〜40KOHmg/gであることが好ましい。酸価が0.5KOHmg/g未満であると、製造時に塩基性化合物による分散安定効果が得られず、プレポリマー(A)とアミン類(B)の反応が進行しやすくなって、製造安定性が低下することがある。また、酸価が40KOHmg/gを超えると、プレポリマー(A)とアミン類(B)の反応が進行しにくくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
本発明において、母体粒子は、ガラス転移点が40〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、現像機内でのブロッキングや感光体へのフィルミングが発生しやすくなることがあり、70℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
また、母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するために、母体粒子に無機微粒子を外添したものを、トナーとして用いることが好ましい。無機微粒子としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
無機微粒子は、平均一次粒径が5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmがさらに好ましい。また、無機微粒子は、BET法による比表面積が20〜500m2/gであることが好ましい。
このとき、無機微粒子として、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用することが好ましく、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子の平均粒径が50nm以下であることが特に好ましい。これにより、現像機の内部で攪拌混合する際に、トナーから無機微粒子が脱離することを抑制でき、転写残トナーを低減することができる。
トナー中の無機微粒子の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%がさらに好ましい。
本発明のトナーの製造方法を用いて製造されているトナーは、磁性キャリアと混合し、2成分系現像剤として用いることができる。磁性キャリアとトナーの混合比は、キャリアに対して、トナー1〜10質量%であることが好ましい。
磁性キャリアは、粒径が20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリア等の公知のものを用いることができる。
また、磁性キャリアは、樹脂で被覆されていてもよい。このような樹脂としては、特に限定されないが、アミノ樹脂(尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等)、ポリビニル及びポリビニリデン樹脂(アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン−アクリル共重合体、フッ化ビニリデン−フッ化ビニル共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また、このような樹脂中には、必要に応じて、導電粉等が含まれていてもよい。導電粉としては、特に限定されないが、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。
導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
また、本発明のトナーの製造方法を用いて製造されているトナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系現像剤、即ち、磁性トナー或いは非磁性トナーとしても用いることができる。
このような1成分系現像剤及び2成分系現像剤は、従来公知の画像形成装置を用いて画像を形成する際に用いることができる。
図1に、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置30が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ22及び23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と22の間で接触することができる。また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、画像形成装置100を用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図2に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ20と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置40と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ80と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ51を回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置90により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。以下、部は、質量部を意味する。
(ポリエステルの合成)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、ポリエステル1を得た。得られたポリエステル1は、THFに溶解する成分の数平均分子量が2500、重量平均分子量が6700、ガラス転移点が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
(マスターバッチの作製)
水1200部、DBP吸油量が42ml/100mg、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デクサ社製)540部及び1200部のポリエステル1を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕して、マスターバッチ1を得た。
(分散液の調製)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、378部のポリエステル1、カルナバワックス110部及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃で5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次に、反応容器中に、マスターバッチ500部及び酢酸エチル500部を加え、1時間混合した。得られた混合液1324部を反応容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、粒径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、送液速度が1kg/時、ディスク周速度が6m/秒の条件で3パスした。次に、ポリエステル1の65質量%酢酸エチル溶液1324部を添加し、ウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、上記と同様の条件で1パスした。得られた分散液200部に、変性層状無機鉱物クレイトンAPA(Southern Clay Products社製)5.0部を添加し、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて、7000rpmで60分間攪拌し、分散液1を得た。
(プレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステル1を得た。得られた中間体ポリエステル1は、数平均分子量が2100、重量平均分子量が9500、ガラス転移点が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、410部の中間体ポリエステル1、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃で5時間反応させて、プレポリマー1を得た。得られたプレポリマー1は、遊離イソシアネート含有量が1.53質量%であった。
(ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン1を得た。得られたケチミン1は、アミン価が418mgKOH/gであった。
(樹脂微粒子分散液の調製)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683部、反応性乳化剤のメタクリル酸のエチレンオキシド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、乳濁液を得た。乳濁液を加熱して、75℃まで昇温して5時間反応させた。次に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を添加し、75℃で5時間熟成して、樹脂微粒子分散液1を得た。得られた樹脂微粒子分散液1は、レーザードップラー法を用いた粒径分布測定装置マイクロトラック超微粒子粒度分布計UPA−EX150(日機装社製)を用いて測定される体積平均粒径が105nmであった。また、樹脂微粒子分散液1の一部を乾燥して単離した樹脂は、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量が1.5×105であった。
(実施例1)
反応容器中に、749部の分散液1、115部のプレポリマー1及び2.2部のケチミン1及び化学式(I)で表される第3級アミン2.8部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて、5000rpmで1分間混合して、トナー材料分散液を得た。
水990部、83部の樹脂微粒子分散液1、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部、高分子分散剤カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液セロゲンBS−H−3(第一工業製薬社製)135部及び酢酸エチル90部を混合し、水系媒体を得た。得られた水系媒体は、pHが6.4であった。
得られた水系媒体にトナー材料分散液866.5部を加え、TK式ホモミキサーを用いて、11000rpmで20分間混合して、乳化スラリーを得た。得られた乳化スラリーを、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に仕込み、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成し、分散スラリーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが7.0であった。
分散スラリー100部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキに10質量%リン酸水溶液を加えて、pHを3.5に調整し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
さらに、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、母体粒子を得た。
得られた母体粒子100部に、疎水性シリカ1.0部と、疎水化酸化チタン0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合し、トナーを得た。
(実施例2)
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンの添加量を1.2部とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが6.6であった。
(実施例3)
水990部、83部の樹脂微粒子分散液1、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)50部、高分子分散剤カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液セロゲンBS−H−3(第一工業製薬社製)135部及び酢酸エチル90部を混合し、水系媒体を得た。得られた水系媒体は、pHが7.0であった。
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンの添加量を3.5部とし、乳化スラリーを調製する際に得られた水系媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが7.9であった。
(実施例4)
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンの添加量を1.2部とした以外は、実施例3と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが7.3であった。
(比較例1)
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンの添加量を4.0部とした以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが7.5であった。
(比較例2)
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンを添加しなかった以外は、実施例3と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが7.0であった。
(比較例3)
水990部、83部の樹脂微粒子分散液1、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)50部、高分子分散剤カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液セロゲンBS−H−3(第一工業製薬社製)135部、化学式(I)で表される第3級アミン1.0部及び酢酸エチル90部を混合し、水系媒体を得た。得られた水系媒体は、pHが7.3であった。
トナー材料分散液を調製する際の化学式(I)で表される第3級アミンの添加量を3.5部とし、乳化スラリーを調製する際に得られた水系媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。なお、乳化スラリーは、pHが8.1であった。
実施例1〜4及び比較例1〜3の母体粒子の作製条件を表1に示す。
なお、表中、A及びBは、それぞれ水系媒体及び乳化スラリーのpHである。
(評価方法及び評価結果)
実施例1〜4及び比較例1〜3の母体粒子の特性を表2に示す。
次に、本実施例で用いた樹脂及び母体粒子の特性の測定方法について説明する。
(数平均分子量及び重量平均分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、数平均分子量及び重量平均分子量を測定した。具体的には、40℃のヒートチャンバー中で安定させたカラムに、THFを流速1ml/分で流し、0.05〜0.6質量%に調製した試料(樹脂)のTHF溶液を50〜200μl注入して測定した。なお、試料の分子量は、数種の単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線を作成する際には、例えば、分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106の単分散ポリスチレン標準試料(Pressure Chemical社製あるいは東洋ソーダ工業社製)を用いることができる。このとき、少なくとも10点程度の単分散ポリスチレン標準試料を用いるのが適当である。また、検出器としては、RI(屈折率)検出器を用いた。
(酸価)
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して酸価を測定した。具体的には、試料(樹脂又は母体粒子)0.5g(酢酸エチルに溶解する成分0.3g)をトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解させた。但し、試料が溶解しない場合は、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を用いた。さらに、エタノール30mlを添加した。
次に、試料の酸価を、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)、使用電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)及び解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて、23℃で測定した。なお、装置の校正は、トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用して行った。測定条件を以下に示す。
Stir
Speed[%]25
Time[s]15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration[mol/L]0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL]1.0
Wait time[s]0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV]8.0
dV(min)[mL]0.03
dV(max)[mL]0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV]0.5
dt[s]1.0
t(min)[s]2.0
t(max)[s]20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume[mL]10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb. termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential 1 No
Potential 2 No
Stop for reevaluation No
(ガラス転移点Tg)
Rigaku THRMOFLEX TG8110(理学電機社製)を用いて、昇温速度10℃/分の条件でガラス転移点を測定した。具体的には、まず、アルミ製試料容器に入れた試料(樹脂又は母体粒子)約10mgをホルダユニットに載せ、電気炉中にセットする。次に、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱し、150℃で10分間放置した後、室温まで試料を冷却して10分間放置する。さらに、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で再度150℃まで加熱してDSC測定を行った。ガラス転移点は、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)中の解析システムを用いて、ガラス転移点の近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(数平均粒径Dn及び体積平均粒径Dv)
コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を、個数分布及び体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC社製)と接続して、数平均粒径及び体積平均粒径を測定した。具体的には、まず、電解液ISOTON−II(コールター社製)100〜150ml中に、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC−A(第一工業製薬社製)0.1〜5mlを加えた。次に、試料(母体粒子)2〜20mgを加え、超音波分散器を用いて約1〜3分間分散させた。得られた試料分散液の数平均粒径及び体積平均粒径を、100μmアパーチャーを用いて測定した。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを使用し、粒径が2.00〜40.30μmの粒子を測定対象とした。
(平均円形度及び粒径が2μm以下である粒子の含有量)
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100及び解析ソフトFPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10(シスメックス社製)を用いて、平均円形度及び粒径が2μm以下である粒子の含有量を測定した。具体的には、まず、ガラス製の100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC−A(第一工業製薬社製)0.1〜0.5ml及び試料(母体粒子)0.1〜0.5gを添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜた後、イオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を、超音波分散器(本多電子社製)を用いて3分間分散させた際の濃度が5000〜15000個/μlとなる場合の平均円形度及び粒径が2μm以下である粒子の含有量を測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜3のトナーの評価結果を表3に示す。
(画像濃度)
デジタルフルカラー複写機imagioColor2800(リコー社製)を用い、単色モードで画像面積が50%の画像チャートを150000枚ランニング出力した後、6000ペーパー(リコー社製)にベタ画像を出力し、XRite(X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定した。なお、画像濃度が1.2未満であるものを×、1.2以上1.4未満であるものを△、1.4以上1.8未満であるものを○、1.8以上2.2未満であるものを◎として、判定した。
(粒状性)
デジタルフルカラー複写機imagioColor2800(リコー社製)を用い、単色で写真画像を出力し、粒状性を目視で評価した。なお、粒状性がオフセット印刷並みであるものを◎、オフセット印刷よりわずかに悪い程度であるものを○、オフセット印刷よりかなり悪い程度であるものを△、従来の電子写真画像程度(非常に悪い)であるものを×として、判定した。
(クリーニング性)
Imagio NEO C600PRO(リコー社製)を用い、初期、1000枚及び10万枚印刷した後に、クリーニング工程を通過した感光体上に残存するトナーを、スコッチテープ(住友スリーエム社製)を用いて白紙に移した。次に、トナーを移した白紙と移していない白紙の反射濃度を、マクベス反射濃度計RD514型を用いて測定した。なお、反射濃度の差が0.01未満であるものを◎、0.01以上0.1未満であるものを○、0.1以上であるものを×として、判定した。