JP5357515B2 - 表示装置用Al合金膜、表示装置およびスパッタリングターゲット - Google Patents

表示装置用Al合金膜、表示装置およびスパッタリングターゲット Download PDF

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本発明は、表示装置用Al合金膜、表示装置およびスパッタリングターゲットに関するものである。
小型の携帯電話から、30インチを超す大型のテレビに至るまで様々な分野に用いられる液晶表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「TFT」と呼ぶ。)をスイッチング素子とし、透明画素電極と、ゲート配線およびソース−ドレイン配線等の配線部と、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)などの半導体層を備えたTFT基板と、TFT基板に対して所定の間隔をおいて対抗配置され共通電極を備えた対向基板と、TFT基板と対向基板との間に充填された液晶層から構成されている。
TFT基板において、ゲート配線やソース−ドレイン配線などの配線材料には、電気抵抗が小さく、微細加工が容易であるなどの理由により、純AlまたはAl−NdなどのAl合金(以下、これらをまとめてAl系合金ということがある)が汎用されている。従来のTFT基板においては、Al系合金配線と透明画素電極の間には、Mo、Cr、Ti、W等の高融点金属からなるバリアメタル層が通常設けられていた。この様に、バリアメタル層を介してAl系合金配線を接続する理由は、耐熱性の確保や、Al系合金配線を透明画素電極と直接接続させた場合の電気伝導性確保のためである。
しかし、バリアメタル層を有する積層構造の配線を形成するには、クラスターツール式のスパッタ装置等を用い、複数回に分けて配線を蒸着し積層構造を形成する必要がある。液晶ディスプレイの大量生産に伴い低コスト化が進むにつれて、バリアメタル層の形成に伴う製造コストの上昇や生産性の低下は軽視できなくなっている。さらに異種金属を積層するという構造のため、エッチングレート差や電位差により、配線パターニング時に良好なテーパー形状を形成することが難しいという課題があった。
そこで、バリアメタル層の形成を省略でき、Al系合金配線を透明画素電極に直接接続することが可能な電極材料や製造方法が提案されている。例えば本願出願人は、バリアメタル層の省略を可能にすると共に、工程数を増やすことなく簡略化し、Al系合金配線を透明画素電極に対して直接かつ確実に接続し得るダイレクトコンタクト技術を開示している(特許文献1〜4)。詳しくは、これらの技術において、Al合金膜中に分散された合金元素由来の析出物を介して、ITOやIZOなどの透明導電膜とアルミニウム合金膜界面での電気伝導性を確保することが示されている。
また特許文献5には、炭素を含有したアルミニウム合金薄膜において、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも1種以上の元素を0.5〜7.0at%含有させることによって、ITO膜と同程度の電極電位を有し、シリコンが拡散することなく、比抵抗が低く、耐熱性に優れたアルミニウム合金薄膜を実現できることが示されている。
特開2006−261636号公報 特開2007−142356号公報 特開2007−186779号公報 特開2008−124499号公報 特開2003−89864号公報
上記特許文献1〜4に示される通り、純Alに合金元素を添加することによって、透明導電膜/Al合金膜間の電気伝導特性(ITOダイレクトコンタクト性)等を確保できるなど純Alでは見られなかった種々の機能が付与される。
しかし、上記引用文献1〜4に示される通りバリアメタル層が省略される場合、Al合金膜にはより優れた耐食性の兼備も求められている。特に、TFT基板の製造工程では複数のウェットプロセスを通るが、Alよりも貴な金属を添加すると、ガルバニック腐食の問題が表れ、耐食性が劣化してしまう。例えば、フォトリソグラフィの工程で形成したフォトレジスト(樹脂)を剥離する洗浄工程では、アミン類を含む有機剥離液を用いて連続的に水洗が行なわれている。ところがアミン類と水が混合するとアルカリ性溶液になるため、短時間でAlを腐食させてしまうという問題が生じる。ところでAl合金は、剥離洗浄工程を通るより以前にCVD工程を経ることによって熱履歴を受けている。この熱履歴の過程でAlマトリクス中には合金成分が析出物を形成する。しかるに、この析出物とAlの間には大きな電位差があるので、剥離液に含まれるアミン類が水と接触した瞬間に前記ガルバニック腐食によってアルカリ腐食が進行し、電気化学的に卑であるAlがイオン化して溶出し、ピット状の孔食(黒点、黒い点状のエッチング痕)が形成されてしまうことがある。この黒い点状のエッチング痕はITO膜/Al合金膜界面の伝導特性に悪影響を及ぼすものではないが、TFT基板製造プロセス中の検査工程で不良と判定される恐れがあり、結果的に歩留まりの低下を招くおそれがある。
上記特許文献1〜4では、上記ピット状の孔食に着目してその発生を抑制するような析出物形状の制御までは十分に検討されておらず、結果として、上記検査工程における歩留まりを確実に高めようとする認識を有するものではない。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、従来の通り、バリアメタル層を省略して透明画素電極と直接接続させた場合の低コンタクト抵抗を確保することを前提に、表示装置の製造過程で用いられる剥離液に対して高い耐性を示し、更には優れた耐熱性も兼備することのできる表示装置用Al合金膜を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のAl合金膜は、表示装置の基板上で、透明導電膜(透明画素電極)と直接接続されるAl合金膜であって、該Al合金膜は、Geを0.2〜2.0原子%、および元素群X(Ag、In、Sn、Ni、Co、Cu)より選択される少なくとも1種の元素を含むと共に、希土類元素と高融点金属群(Ti、Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素を0.02〜1原子%含み、かつ、粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり1個以下であるところに特徴を有する。
前記元素群Xのうち、Ni、CoおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種は、0.02〜0.5原子%含有させるようにすることが好ましく、Agは0.1〜0.6原子%含有させることが好ましい。またInおよび/またはSnは、0.02〜0.5原子%含むようにすることが好ましい。
更に、前記元素群Xの元素の含有量が、下記式(1)を満たすようにすることが好ましい。
2Ag+10(In+Sn+Ni+Co+Cu)≦5 …(1)
[式(1)中、Ag、In、Sn、Ni、Co、Cuは、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
本発明は、上記Al合金膜が、薄膜トランジスタに用いられていることを特徴とする表示装置も含むものである。
また本発明には、Geを0.2〜2.0原子%、および元素群X(Ag、In、Sn、Ni、Co、Cu)より選択される少なくとも1種の元素を含むと共に、希土類元素と高融点金属群(Ti、Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素を0.02〜1原子%含み、残部がAlおよび不可避不純物であるところに特徴を有するスパッタリングターゲットも含まれる。前記元素群Xのうち、Ni、CoおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種の元素は0.02〜0.5原子%、Agは0.1〜0.6原子%、また、Inおよび/またはSnは0.02〜0.5原子%含むようにすることが好ましい。
前記ターゲットにおける元素群Xの元素の含有量は、下記式(1)を満たすものであることが好ましい。
2Ag+10(In+Sn+Ni+Co+Cu)≦5 …(1)
[式(1)中、Ag、In、Sn、Ni、Co、Cuは、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
本発明によれば、バリアメタル層を介在させずに、Al合金膜を透明画素電極(透明導電膜、酸化物導電膜)と直接接続することができ、且つ、耐食性(剥離液耐性)に優れた表示装置用Al合金膜を提供できる。更には優れた耐熱性も兼備した表示装置用Al合金膜を提供できる。また、本発明のAl合金膜を表示装置に適用すれば、上記バリアメタル層を省略することができる。従って本発明のAl合金膜を用いれば、生産性に優れ、安価で且つ高性能の表示装置が得られる。
本発明者らは、バリアメタル層を省略して透明画素電極(透明導電膜)と直接接続させた場合にもコンタクト抵抗を十分に低減できることを前提に、表示装置の製造過程で使用される薬液(剥離液)に対する耐性(耐食性)に優れ、TFT基板製造プロセス中の検査工程で不良と判定されない程度に、黒点(黒い点状のエッチング痕)の抑制されたAl合金膜を実現すべく鋭意研究を行った。
その結果、バリアメタル層を省略して透明画素電極と直接接続させた場合に低コンタクト抵抗を実現するには、規定量のGeおよび元素群X(Ag、In、Sn、Ni、Co、Cu)より選択される少なくとも1種の元素(X群元素)を含有させることが有効であり、かつ上記合金元素量を適切に制御したり元素を適切に組み合わせて複合添加すると共に、成膜条件を制御することにより、析出物を微細分散させれば、該析出物周りに生じる黒点を微細化し、視認できないサイズに制御できることを見出した。
具体的には、上記析出物に関して、個々の析出物の粒径[(長径+短径)/2]を観察したときに、粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり1個以下であるようにすれば、TFT基板製造プロセス中の検査工程で不良と判定されないことがわかった。上記析出物のうち最大析出物の粒径は、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは90nm以下、更に好ましくは80nm以下である。
尚、上記粒径が100nmを超える析出物の密度(10−6cmあたりの個数)は、後述する実施例に示す方法で測定した。
低コンタクト抵抗実現を前提に上記の通り析出物を微細化するための成分組成および推奨される製造条件について、以下に詳述する。
まず本発明では、上述の通り、Geを0.2〜2.0原子%含有させると共に、元素群X(Ag、In、Sn、Ni、Co、Cu)より選択される少なくとも1種の元素(X群元素)を含有させる。この様に、Al合金膜中に合金成分としてGeを、X群元素と共に含有させることにより、析出物として従来よりも微細なものが形成され易く、黒点を抑制することができる。また、Al合金膜と透明画素電極(例えばITO膜)との間で、上記Ge含有析出物を通して大部分のコンタクト電流が流れ、コンタクト抵抗を低く抑えることができるものと思われる。
上記効果を十分に発揮させるには、Geを0.2原子%以上(好ましくは0.3原子%以上)含有させる。一方、Ge量が多すぎると、Al合金膜自体の電気抵抗が高まる。また耐食性も却って低下する。よって、Ge量は2.0原子%以下に抑える。好ましくは1.0原子%以下、より好ましくは0.4原子%以下である。
上記X群元素については、元素の種類により効果発現に要する含有量が異なるため、下記の通り、含有させることが好ましい。即ち、前記元素群Xのうち、Ni、CoおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させる場合には0.02〜0.5原子%含むようにすればよい。これらの元素が少なすぎると、コンタクト抵抗の低減を十分図ることが難しくなる。よって、Ni、CoおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種の元素は、0.02原子%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.03原子%以上である。一方、Ni、Co、Cuの含有量が過剰になると電気抵抗が上昇するため、合計量で0.5原子%以下に抑えることが好ましい。より好ましくは0.35原子%以下である。
尚、X群元素としてNiを単独で含有させる場合には、Ni量を0.2原子%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは0.15原子%以下である。また、X群元素としてCoを単独で含有させる場合には、Co量を0.2原子%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは0.15原子%以下である。
前記元素群Xのうち、Agを含有させる場合には、0.1〜0.6原子%含むようにすればよい。コンタクト抵抗の低減を十分図る観点から、Ag量を0.1原子%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.2原子%以上である。一方、Ag量が過剰になると膜自体の電気抵抗が高まりやすくなるため、0.6原子%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.5原子%以下、更に好ましくは0.3原子%以下である。
また前記元素群Xのうち、Inおよび/またはSnを含有させる場合には、0.02〜0.5原子%含むようにすればよい。コンタクト抵抗の低減を十分図る観点から、Inおよび/またはSnを0.02原子%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.05原子%以上である。一方、Inおよび/またはSnが過剰に含まれると膜自体の電気抵抗が高まりやすくなるとともに、Al合金膜と下地の密着性が低下するため、0.5原子%以下に抑えることが好ましい。
尚、X群元素としてInを単独で含有させる場合には、In量を0.2原子%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは0.15原子%以下である。また、X群元素としてSnを単独で含有させる場合には、Sn量を0.2原子%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは0.15原子%以下である。
X群元素同士が相分離するNiとAg、またはCoとAgの組み合わせの場合、各元素がそれぞれ独立に拡散し析出物を形成するため、各添加元素が独立に析出物が粗大化しない範囲(元素1種のみ添加の範囲内と同じ)に抑えることが望ましい。即ち、Ni量は0.2原子%以下とすることが好ましく、0.15原子%以下とすることがより好ましい。Ag量は0.5原子%以下とすることが好ましく、0.3原子%以下とすることがより好ましい。また、Co量は0.2原子%以下とすることが好ましく、0.15原子%以下とすることがより好ましい。
一方、X群元素同士が、全率固溶、または化合物を形成する組み合わせ(上記NiとAgおよびCoとAg以外の組み合わせ)の場合は、X元素の種類により析出物種や形態が変化することから、下記の濃度範囲内で組み合わせることが望ましい。即ち、前記元素群Xにおける元素の含有量が、下記式(1)を満たすようにすることが好ましい。下記式(1)における左辺は、より好ましくは2原子%以下、更に好ましくは1原子%以下である。
2Ag+10(In+Sn+Ni+Co+Cu)≦5 …(1)
[式(1)中、Ag、In、Sn、Ni、Co、Cuは、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
また、上記X群元素に加えて、更に、希土類元素と高融点金属群(Ti、 Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素(Q群元素)を含有させる。上記Q群元素を含有させることによって、製造プロセスで用いられるレジスト剥離液に対する耐性を十分に高めることができる。また、Al合金膜が形成された基板は、その後、CVD法などによって窒化シリコン膜(保護膜)が形成されるが、このとき、Al合金膜に施される高温の熱によって基板との間に熱膨張の差が生じ、ヒロック(コブ状の突起物)が形成されると推察されている。しかし、上記希土類元素や高融点金属を含有させることによって、ヒロックの形成を抑制でき、耐熱性を向上させることもできる。
上記効果を十分に発揮させるには、Q群元素を0.02原子%以上(好ましくは0.03原子%以上含有させることが好ましい。しかし、Q群元素が過剰に含まれると、上記X群元素の場合と同様に、Al合金膜自体の電気抵抗が増加し易くなる。よって、Q群元素の含有量は、1原子%以下(好ましくは0.7原子%以下)とする。
尚、ここでいう希土類元素とは、ランタノイド元素(周期表において、原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの合計15元素)に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素群を意味する。上記Q群元素の中でも、例えばLa、Nd、Y、Gd、Ce、Dy、Ti、Taの使用がより好ましく、特に好ましくは、La、Ndである。これらのうち1種または2種以上を任意の組み合わせで用いることができる。
上記Al合金膜は、スパッタリング法にてスパッタリングターゲット(以下「ターゲット」ということがある)を用いて形成することが望ましい。イオンプレーティング法や電子ビーム蒸着法、真空蒸着法で形成された薄膜よりも、成分や膜厚の膜面内均一性に優れた薄膜を容易に形成できるからである。
また、上記スパッタリング法で、上記Al合金膜を形成するには、上記ターゲットとして、Geを0.2〜2.0原子%、および元素群X(Ag、In、Sn、Ni、Co、Cu)より選択される少なくとも1種の元素を含むと共に、希土類元素と高融点金属群(Ti、Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素を0.02〜1原子%含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるものであって、所望のAl合金膜と同一の組成のAl合金スパッタリングターゲットを用いれば、組成ズレすることなく、所望の成分・組成のAl合金膜を形成することができるのでよい。
上記スパッタリングターゲットにおける前記元素群Xの元素として、
(a)Ni、CoおよびCuよりなる群から選択される少なくとも1種の元素は0.02〜0.5原子%、
(b)Agは0.1〜0.6原子%、
(c)Inおよび/またはSnは0.02〜0.5原子%含むものが好ましい。
前記元素群Xにおける元素の含有量は、必要に応じて下記式(1)を満たすものがよい。
2Ag+10(In+Sn+Ni+Co+Cu)≦5 …(1)
[式(1)中、Ag、In、Sn、Ni、Co、Cuは、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
上記ターゲットの形状は、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状(角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状など)に加工したものが含まれる。
上記ターゲットの製造方法としては、溶解鋳造法や粉末焼結法、スプレイフォーミング法で、Al基合金からなるインゴットを製造して得る方法や、Al基合金からなるプリフォーム(最終的な緻密体を得る前の中間体)を製造した後、該プリフォームを緻密化手段により緻密化して得られる方法が挙げられる。
Al合金膜において、粗大な析出物の析出を抑制して、粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり1個以下となるようにするには、上記成膜時に、真空排気時の到達真空度を制御して、残留酸素分圧を1×10−8Torr以上(より好ましくは2×10−8Torr以上)となるように調整して、Al合金内に析出物核の起点を微細に分散させることが好ましい。
本発明は、上記Al合金膜が、薄膜トランジスタに用いられていることを特徴とする表示装置も含むものであり、その態様として、前記Al合金膜が、薄膜トランジスタのソース電極および/またはドレイン電極並びに信号線に用いられ、ドレイン電極が透明導電膜に直接接続されているものが挙げられる。
本発明の透明導電膜としては、酸化インジウム錫(ITO)膜または酸化インジウム亜鉛(IZO)膜が好ましい。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る表示装置の好ましい実施形態を説明する。以下では、アモルファスシリコンTFT基板またはポリシリコンTFT基板を備えた液晶表示装置(例えば図1、詳細については後述する)を代表的に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施形態1)
図2を参照しながら、アモルファスシリコンTFT基板の実施形態を詳細に説明する。
図2は、上記図1(本発明に係る表示装置の一例)中、Aの要部拡大図であって、本発明に係る表示装置のTFT基板(ボトムゲート型)の好ましい実施形態を説明する概略断面説明図である。
本実施形態では、ソース−ドレイン電極/信号線(34)およびゲート電極/走査線(25、26)として、Al合金膜を使用している。従来のTFT基板では、走査線25の上、ゲート電極26の上、信号線34(ソース電極28およびドレイン電極29)の上または下に、それぞれ、バリアメタル層が形成されているのに対し、本実施形態のTFT基板では、これらのバリアメタル層を省略することができる。
すなわち、本実施形態によれば、上記バリアメタル層を介在させることなく、TFTのドレイン電極29に用いられるAl合金膜を透明画素電極5と直接接続することができ、この様な実施形態においても、従来のTFT基板と同程度以上の良好なTFT特性を実現できる。
次に、図3から図10を参照しながら、図2に示す本発明に係るアモルファスシリコンTFT基板の製造方法の一例を説明する。薄膜トランジスタは、水素化アモルファスシリコンを半導体層として用いたアモルファスシリコンTFTである。図3から図10には、図2と同じ参照符号を付している。
まず、ガラス基板(透明基板)1aに、スパッタリング法を用いて、厚さ200nm程度のAl合金膜を積層する。スパッタリングの成膜温度は、150℃とした。このAl合金膜をパターニングすることにより、ゲート電極26および走査線25を形成する(図3を参照)。このとき、後記する図4において、ゲート絶縁膜27のカバレッジが良くなる様に、ゲート電極26および走査線25を構成するAl合金膜の周縁を約30°〜40°のテーパー状にエッチングしておくのがよい。
次いで、図4に示すように、例えばプラズマCVD法などの方法を用いて、厚さ約300nm程度の酸化シリコン膜(SiOx)でゲート絶縁膜27を形成する。プラズマCVD法の成膜温度は、約350℃とした。続いて、例えばプラズマCVD法などの方法を用いて、ゲート絶縁膜27の上に、厚さ50nm程度の水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)および厚さ300nm程度の窒化シリコン膜(SiNx)を成膜する。
続いて、ゲート電極26をマスクとする裏面露光により、図5に示すように窒化シリコン膜(SiNx)をパターニングし、チャネル保護膜を形成する。更にその上に、リンをドーピングした厚さ50nm程度のn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si−H)56を成膜した後、図6に示すように、ノンドーピング水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)55およびn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si−H)56をパターニングする。
次に、その上に、スパッタリング法を用いて、厚さ50nm程度のバリアメタル層(Mo膜)53と厚さ300nm程度のAl合金膜を順次積層する。スパッタリングの成膜温度は、150℃とした。このAl合金膜の成膜時に、真空排気時の到達真空度を制御して、残留酸素分圧を1×10−8Torr以上となるよう調整することで、Al合金内に析出物核の起点を微細に分散させる。次いで、図7に示す様にパターニングすることにより、信号線と一体のソース電極28と、透明画素電極5に直接接触されるドレイン電極29とが形成される。更に、ソース電極28およびドレイン電極29をマスクとして、チャネル保護膜(SiNx)上のn+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si−H)56をドライエッチングして除去する。
次に、図8に示すように、例えばプラズマCVD装置などを用いて、厚さ300nm程度の窒化シリコン膜30を成膜し、保護膜を形成する。このときの成膜温度は、例えば250℃程度で行なわれる。次いで、窒化シリコン膜30上にフォトレジスト31を形成した後、窒化シリコン膜30をパターニングし、例えばドライエッチング等によって窒化シリコン膜30にコンタクトホール32を形成する。同時に、パネル端部のゲート電極上のTABとの接続に当たる部分にコンタクトホール(図示せず)を形成する。
次に、例えば酸素プラズマによるアッシング工程を経た後、図9に示すように、例えばアミン系等の剥離液を用いてフォトレジスト31を剥離する。最後に、例えば保管時間(8時間程度)の範囲内で、図10に示すように、例えば厚さ40nm程度のITO膜を成膜し、ウェットエッチングによるパターニングを行うことによって透明画素電極5を形成する。同時に、パネル端部のゲート電極のTABとの接続部分に、TABとのボンディングのためITO膜をパターニングすると、TFT基板1が完成する。
このようにして作製されたTFT基板は、ドレイン電極29と透明画素電極5とが直接接続されている。
上記では、透明画素電極5として、ITO膜を用いたが、IZO膜を用いてもよい。また、活性半導体層として、アモルファスシリコンの代わりにポリシリコンを用いてもよい(後記する実施形態2を参照)。
このようにして得られるTFT基板を使用し、例えば、以下に記載の方法によって、前述した図1に示す液晶表示装置を完成させる。
まず、上記のようにして作製したTFT基板1の表面に、例えばポリイミドを塗布し、乾燥してからラビング処理を行って配向膜を形成する。
一方、対向基板2は、ガラス基板上に、例えばクロム(Cr)をマトリックス状にパターニングすることによって遮光膜9を形成する。次に、遮光膜9の間隙に、樹脂製の赤、緑、青のカラーフィルタ8を形成する。遮光膜9とカラーフィルタ8上に、ITO膜のような透明導電性膜を共通電極7として配置することによって対向電極を形成する。そして、対向電極の最上層に例えばポリイミドを塗布し、乾燥した後、ラビング処理を行って配向膜11を形成する。
次いで、TFT基板1と対向基板2の配向膜11が形成されている面とを夫々対向するように配置し、樹脂製などのシール材16により、液晶の封入口を除いてTFT基板1と対向基板22枚とを貼り合わせる。このとき、TFT基板1と対向基板2との間には、スペーサー15を介在させるなどして2枚の基板間のギャップを略一定に保つ。
このようにして得られる空セルを真空中に置き、封入口を液晶に浸した状態で徐々に大気圧に戻していくことにより、空セルに液晶分子を含む液晶材料を注入して液晶層を形成し、封入口を封止する。最後に、空セルの外側の両面に偏光板10を貼り付けて液晶ディスプレイを完成させる。
次に、図1に示したように、液晶表示装置を駆動するドライバ回路13を液晶ディスプレイに電気的に接続し、液晶ディスプレイの側部あるいは裏面部に配置する。そして、液晶ディスプレイの表示面となる開口を含む保持フレーム23と、面光源をなすバックライト22と導光板20と保持フレーム23によって液晶ディスプレイを保持し、液晶表示装置を完成させる。
(実施形態2)
図11を参照しながら、ポリシリコンTFT基板の実施形態を詳細に説明する。
図11は、本発明に係るトップゲート型のTFT基板の好ましい実施形態を説明する概略断面説明図である。
本実施形態は、活性半導体層として、アモルファスシリコンの代わりにポリシリコンを用いた点、ボトムゲート型ではなくトップゲート型のTFT基板を用いた点において、前述した実施形態1と主に相違している。詳細には、図11に示す本実施形態のポリシリコンTFT基板では、活性半導体膜は、リンがドープされていないポリシリコン膜(poly−Si)と、リンもしくはヒ素がイオン注入されたポリシリコン膜(n+poly−Si)とから形成されている点で、前述した図2に示すアモルファスシリコンTFT基板と相違する。また、信号線は、層間絶縁膜(SiOx)を介して走査線と交差するように形成されている。
本実施形態においても、ソース電極28およびドレイン電極29の上に形成されるバリアメタル層を省略することができる。
次に、図12から図18を参照しながら、図11に示す本発明に係るポリシリコンTFT基板の製造方法の一例を説明する。薄膜トランジスタは、ポリシリコン膜(poly−Si)を半導体層として用いたポリシリコンTFTである。図12から図18には、図11と同じ参照符号を付している。
まず、ガラス基板1a上に、例えばプラズマCVD法などにより、基板温度約300℃程度で、厚さ50nm程度の窒化シリコン膜(SiNx)、厚さ100nm程度の酸化シリコン膜(SiOx)、および厚さ約50nm程度の水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)を成膜する。次に、水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)をポリシリコン化するため、熱処理(約470℃で1時間程度)およびレーザーアニールを行う。脱水素処理を行った後、例えばエキシマレーザアニール装置を用いて、エネルギー約230mJ/cm2程度のレーザーを水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)に照射することにより、厚さが約0.3μm程度のポリシリコン膜(poly−Si)を得る(図12)。
次いで、図13に示すように、プラズマエッチング等によってポリシリコン膜(poly−Si)をパターニングする。次に、図14に示すように、厚さが約100nm程度の酸化シリコン膜(SiOx)を成膜し、ゲート絶縁膜27を形成する。ゲート絶縁膜27の上に、スパッタリング等によって、厚さ約200nm程度のAl合金膜および厚さ約50nm程度のバリアメタル層(Mo薄膜)52を積層した後、プラズマエッチング等の方法でパターニングする。これにより、走査線と一体のゲート電極26が形成される。
続いて、図15に示すように、フォトレジスト31でマスクを形成し、例えばイオン注入装置などにより、例えばリンを50keV程度で1×1015個/cm2程度ドーピングし、ポリシリコン膜(poly−Si)の一部にn+型ポリシリコン膜(n+poly−Si)を形成する。次に、フォトレジスト31を剥離し、例えば500℃程度で熱処理することによってリンを拡散させる。
次いで、図16に示すように、例えばプラズマCVD装置などを用いて、厚さ500nm程度の酸化シリコン膜(SiOx)を基板温度約250℃程度で成膜し、層間絶縁膜を形成した後、同様にフォトレジストによってパターニングしたマスクを用いて層間絶縁膜(SiOx)とゲート絶縁膜27の酸化シリコン膜をドライエッチングし、コンタクトホールを形成する。スパッタリングにより、厚さ50nm程度のバリアメタル層(Mo膜)53と厚さ450nm程度のAl合金膜を成膜した後、パターニングすることによって、信号線と一体のソース電極28およびドレイン電極29を形成する。このAl合金膜の成膜時に、真空排気時の到達真空度を制御して、残留酸素分圧を1×10−8Torr以上となるよう調整することで、Al合金内に析出物核の起点を微細に分散させる。尚、ソース電極28とドレイン電極29は、各々コンタクトホールを介してn+型ポリシリコン膜(n+poly−Si)にコンタクトされる。
次いで、図17に示すように、プラズマCVD装置などにより、厚さ500nm程度の窒化シリコン膜(SiNx)を基板温度250℃程度で成膜し、層間絶縁膜を形成する。層間絶縁膜の上にフォトレジスト31を形成した後、窒化シリコン膜(SiNx)をパターニングし、例えばドライエッチングによって窒化シリコン膜(SiNx)にコンタクトホール32を形成する。
次に、図18に示すように、例えば酸素プラズマによるアッシング工程を経た後、前述した実施形態1と同様にしてアミン系の剥離液などを用いてフォトレジストを剥離してから、ITO膜を成膜し、ウェットエッチングによるパターニングを行って透明画素電極5を形成する。
このようにして作製されたポリシリコンTFT基板では、ドレイン電極29は透明画素電極5に直接接続されている。
次に、トランジスタの特性を安定させるため、例えば250℃程度で1時間程度アニールすると、ポリシリコンTFTアレイ基板が完成する。
第2の実施形態に係るTFT基板、および該TFT基板を備えた液晶表示装置によれば、前述した第1の実施形態に係るTFT基板と同様の効果が得られる。
このようにして得られるTFTアレイ基板を用い、前述した実施形態1のTFT基板と同様にして例えば前記図1に示す液晶表示装置を完成させる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1および表2に示す種々の合金組成のAl合金膜(膜厚=300nm)を、アルバック社製のロードロック式スパッタリング装置CS−200を用い、DCマグネトロン・スパッタ法にて下記の条件で成膜した。
・基板:洗浄済みガラス基板(コーニング社製 Eagle2000)
・DCパワー:total 500W
・基板温度:25℃(室温)
・雰囲気ガス:Ar
・Arガス圧:2mTorr
上記成膜時に、真空排気時の到達真空度を制御して、残留酸素分圧を1×10−8Torr以上となるように調整することによって、Al合金内で析出物核の起点を微細に分散させた。尚、上記種々の合金組成のAl合金膜は、合金元素種類の異なる、Alと合金元素からなる種々の2成分系ターゲットを複数用いて形成した。
また実施例で用いた種々のAl合金膜における各合金元素の含有量は、ICP発光分析(誘導結合プラズマ発光分析)法によって求めた。
次に、成膜後の試料に対し、TFT基板作成時に加わる熱履歴を模擬した熱処理(窒素フロー中にて330℃で30分間加熱)を施して析出物を析出させた。
この様にして析出した析出物を、反射SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、後述する写真に示す通り、白くスポット状に確認される個々の析出物(加速電圧1keV(表面近傍)で見えた析出物)の粒径を、(長軸+短軸)/2として算出した。また、最大析出物の粒径と、粒径が100nm超の析出物の密度(10−6cm内に存在する粒径100nm超の析出物の個数)は、次の様にして求めた。即ち、SEMを用い125μm×100μmの視野にて観察された粒径が100nm超の析出物の個数を求め、10−6cmあたりの個数に換算した。
そして、以下の通り評価した。即ち、10μm角のコンタクトホール内に観察される黒点(黒点状のエッチング痕)は1個未満が好ましく、かつ上記黒点(黒点状のエッチング痕)は、粒径が100nmを越える大きな析出物周囲で生じることから、上記粒径が100nmを超える大きな析出物の密度が低いことが望ましい。この様な観点から、上記SEM観察で求めた析出物のサイズについて、下記の通り評価した。
・最大析出物の粒径が100nm未満であるか、または粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり1個以下のものを○とする。
・最大析出物の粒径が100〜120nmでかつ粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり1個超2個以下のものを△とする。
・最大析出物の粒径が120nm超であるか、粒径が100nmを超える析出物が10−6cmあたり2個超である場合を×とする。
次いで、アミン系レジスト剥離液水溶液への浸漬試験を、フォトレジスト剥離液の洗浄工程を模擬し、以下のプロセスで行った。即ち、pH10.5に調整したアミン系剥離液(液温25℃)に1分間浸漬した後に、上記アミン系レジスト剥離液水溶液をpH9.5に調整したもの(液温25℃)に5分間浸漬後、流水洗浄を30秒間実施した。この様にして得られた試料を用い、光学顕微鏡観察(倍率1000倍)を行い、全体を観察して平均的視野と判断された1視野(1視野のサイズは凡そ130μm×100μm)の析出物周囲のエッチング痕(黒点状のエッチング痕)の有無が確認できるかについて観察した。
そして、
・視認される黒点が1個以下のものを○
・視認される黒点が1個超2個以下のものを△
・視認される黒点の密度が2個超のものを×
と評価した。
これらの結果を表1および表2に示す。
表1および表2に示す結果から、次のことが分かる。まず規定量のGe、X群元素およびQ群元素を含み、かつ推奨される方法で形成したAl合金膜は、粗大な析出物が抑制され、結果としてアミン系剥離液水溶液に暴露させても黒点が視認されず、良好なAl合金膜表面を実現できることがわかった。
これに対し、推奨される方法でAl合金膜を形成しなかった(即ち、成膜時の真空排気時の到達真空度を制御して、残留酸素分圧を1×10−8Torr以上としなかった)場合には、Al合金内で析出物核を微細に分散させることができず、粗大な析出物が析出した。そしてその結果、アミン系剥離液水溶液に暴露させたときに黒点が視認される結果となった。
析出物を観察した例として、参考までに、No.20、No.19およびNo.8の反射SEM観察写真を図19〜21にそれぞれ示す。これらの写真において、規定の成分組成を満たさないNo.20(図19)では、白いスポット状に観察される析出物が粗大となっている。これに対し、規定の成分組成を満たし、かつ推奨される条件でAl合金膜を形成したNo.19(図20)では、析出物が微細となっている。また、合金元素としてNiを含むNo.8(図21)では、上記No.19よりも更に析出物が微細となっていることがわかる。
上記No.20、No.19およびNo.8について、剥離液水溶液浸漬を行った後の光学顕微鏡観察も図22〜24にそれぞれ示す。これらの写真から、粗大な析出物が存在していたNo.20(図22)では、黒点状の腐食痕がかなり目立っていることがわかる。これに対し、析出物が微細であるNo.19(図23)では、黒点状の腐食痕がほとんどわからず、No.8(図24)についてはほぼ皆無であることがわかる。
図1は、アモルファスシリコンTFT基板が適用される代表的な液晶ディスプレイの構成を示す概略断面拡大説明図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の構成を示す概略断面説明図である。 図3は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図4は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図5は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図6は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図7は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図8は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図9は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図10は、図2に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図11は、本発明の第2の実施形態に係るTFT基板の構成を示す概略断面説明図である。 図12は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図13は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図14は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図15は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図16は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図17は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図18は、図11に示したTFT基板の製造工程の一例を、順番を追って示す説明図である。 図19は、Al−0.2原子%Ni−0.35原子%La合金膜のSEM観察写真である。 図20は、Al−0.5原子%Ge−0.02原子%Sn−0.2原子%La合金膜のSEM観察写真である。 図21は、Al−0.5原子%Ge−0.1原子%Ni−0.2原子%La合金膜のSEM観察写真である。 図22は、Al−0.2原子%Ni−0.35原子%La合金膜の光学顕微鏡観察写真である。 図23は、Al−0.5原子%Ge−0.02原子%Sn−0.2原子%Laの光学顕微鏡観察写真である。 図24は、Al−0.5原子%Ge−0.1原子%Ni−0.2原子%La合金膜の光学顕微鏡観察写真である。
符号の説明
1 TFT基板
2 対向基板
3 液晶層
4 薄膜トランジスタ(TFT)
5 透明画素電極(透明導電膜)
6 配線部
7 共通電極
8 カラーフィルタ
9 遮光膜
10 偏光板
11 配向膜
12 TABテープ
13 ドライバ回路
14 制御回路
15 スペーサー
16 シール材
17 保護膜
18 拡散板
19 プリズムシート
20 導光板
21 反射板
22 バックライト
23 保持フレーム
24 プリント基板
25 走査線
26 ゲート電極
27 ゲート絶縁膜
28 ソース電極
29 ドレイン電極
30 保護膜(窒化シリコン膜)
31 フォトレジスト
32 コンタクトホール
33 アモルファスシリコンチャネル膜(活性半導体膜)
34 信号線
52、53 バリアメタル層
55 ノンドーピング水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)
56 n+型水素化アモルファスシリコン膜(n+a−Si−H)

Claims (9)

  1. 表示装置の基板上で、透明導電膜と直接接続されるAl合金膜であって、
    該Al合金膜は、
    Geを0.2〜2.0原子%、並びに
    元素群X(Ag:0.1〜0.6原子%、Inおよび/またはSn:0.02〜0.5原子%)より選択される少なくとも一種の元素を含むと共に、
    希土類元素と高融点金属群(Ti、Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素を0.02〜1原子%含み、かつ、
    粒径が100nmを超える析出物が10-6cmあたり1個以下であることを特徴とする表示装置用Al合金膜。
  2. 前記元素群Xのうち、Agを0.1〜0.6原子%含む請求項に記載の表示装置用Al合金膜。
  3. 前記元素群Xのうち、Inおよび/またはSnを0.02〜0.5原子%含む請求項1または2に記載の表示装置用Al合金膜。
  4. 前記元素群Xの元素の含有量が、下記式(1)を満たす請求項1〜のいずれかに記載の表示装置用Al合金膜。
    2Ag+10(In+Sn≦5 …(1)
    [式(1)中、Ag、In、Sn、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の表示装置用Al合金膜が、薄膜トランジスタに用いられていることを特徴とする表示装置。
  6. Geを0.2〜2.0原子%、並びに
    元素群X(Ag:0.1〜0.6原子%、Inおよび/またはSn:0.02〜0.5原子%)より選択される少なくとも一種の元素を含むと共に、
    希土類元素と高融点金属群(Ti、Ta、V、Nb、Mo、W、Cr、Zr、Hf)からなる元素群Qより選択される少なくとも1種の元素を0.02〜1原子%含み、残部がAlおよび不可避不純物であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  7. 前記元素群Xのうち、Agを0.1〜0.6原子%含む請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  8. 前記元素群Xのうち、Inおよび/またはSnを0.02〜0.5原子%含む請求項6または7に記載のスパッタリングターゲット。
  9. 前記元素群Xの元素の含有量が、下記式(1)を満たす請求項のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
    2Ag+10(In+Sn≦5 …(1)
    [式(1)中、Ag、In、Sn、Al合金膜に含まれる各元素の含有量(単位は原子%)を示す]
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