JP5356823B2 - REIC/Dkk−3遺伝子の部分断片及び該断片を含むがん治療薬 - Google Patents
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Description
一方、細胞の不死化に関連した遺伝子として、REIC/Dkk−3遺伝子が知られており、がん細胞ではこの遺伝子の発現が抑制されていることが報告されている(特許文献1および非特許文献1から4を参照)。
REIC/Dkk−3遺伝子はDkkファミリーのメンバーであり、Wnt受容体を介してWntシグナル伝達を阻害することが示唆されている(非特許文献5および6を参照)。Wnt遺伝子は、細胞の成長、分化、がん化などの重要な生物学的状況に多面的な役割を果たすことが報告されている(非特許文献7参照)。従って、Dkkファミリー(ヒトでは現在4つの遺伝子が知られている)は恐らく同様に細胞の成長、分化、がん化において重要な機能を担うと考えられるが、大部分は未解明のままである。
一方、現在、小胞体ストレスに関する研究が進んでいる。生体内で合成された分泌タンパク質は、小胞体に運ばれ、多種多様な分子シャペロンやフォールディング酵素により効率よくフォールディングされる。しかしながら、フォールディングがうまくできないことがあり、このような場合、小胞体内に高次構造の異常なタンパク質が蓄積し、小胞体ストレスが起こる(非特許文献8を参照)。小胞体ストレスが原因でアポトーシスが起こり細胞が死滅する場合があることが報告されている(非特許文献9を参照)。
本発明者らはこれまでに、REIC/Dkk−3をアデノウイルスによって強制発現すると前立腺がん細胞等のがん細胞のアポトーシスが誘導されること、同条件下で正常細胞には大きな影響がないこと、動物移植モデルでも著明ながんの治療効果が認められることを明らかにした(特許第3813872号公報及び国際公開第WO2006/098074号パンフレット)。本発明者らは、さらにREIC/Dkk−3タンパク質のどの領域が最も強いアポトーシス誘導効果を示すかについて、およびアポトーシス誘導効果を示すメカニズムについて鋭意検討を行った。
その結果、本発明者らは、以下のことを見出した。
(1) CHO細胞にREIC/Dkk−3遺伝子を導入しREIC/Dkk−3を強制発現させ、培地中に分泌されたREIC/Dkk−3タンパク質をがん細胞に投与してもアポトーシスが認められない。
(2) REIC/Dkk−3遺伝子の強制発現によるがん細胞のアポトーシスに際してはJNKが活性化され、JNK阻害剤によってアポトーシス誘導は抑制されることを見出した。JNKはいろいろな経路で活性化されるが、小胞体ストレスもの大きな要因の一つであることが知られている。
(3) 小胞体に異常なタンパク質が蓄積して起こるストレスの際に誘導される遺伝子CHOP及びBIPがREIC/Dkk−3遺伝子の強制発現に際して誘導された。
(4) タンパク質の正常な立体構造形成促進に働くHspタンパク質の誘導剤を作用させるとがん細胞でもアポトーシスが起こらなかった。逆に、Hspタンパク質阻害剤を作用させると、通常ではREIC/Dkk−3遺伝子の強制発現によってアポトーシスが起こらない正常細胞でもアポトーシスが誘導された。
(5) REIC/Dkk−3の本来の機能を持たない部分ペプチドの強制発現でも、がん細胞にアポトーシスが誘導された。
この結果より、本発明者らはREIC/Dkk−3ががん細胞にアポトーシスを誘導するメカニズムとして、小胞体ストレスが関与している可能性を見出した。
さらに、本発明者らは、REIC/Dkk−3遺伝子の断片をがん細胞で発現させた場合に、該断片によりアポトーシスが誘導され、がん細胞が死に至ることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明はREIC/Dkk−3遺伝子の断片である。また、本発明は、REIC/Dkk−3遺伝子の断片であり、導入した細胞に小胞体ストレスを起こさせる断片である。さらに、本発明は、REIC/Dkk−3遺伝子の断片であり、導入した細胞にアポトーシスを誘発させる断片である。
また、本発明は上記断片を含む細胞内でREIC/Dkk−3遺伝子の断片を発現することができるベクターである。
さらに、本発明は上記断片または断片を含むベクターを含むアポトーシス誘発剤である。該断片またはベクターにより誘発されるアポトーシスは、小胞体ストレスを介して誘発される。
さらに、本発明は上記断片または断片を含むベクターを含むがん治療薬である。
さらに、本発明はREIC/Dkk−3タンパク質の断片であり、投与した細胞に小胞体ストレスを起こさせる断片ペプチドである。さらに、本発明はREIC/Dkk−3タンパク質の断片であり、投与した細胞にアポトーシスを起こさせるポリペプチド断片である。
さらに、本発明は上記ポリペプチド断片を含むアポトーシス誘発剤である。該ポリペプチド断片により誘発されるアポトーシスは、小胞体ストレスを介して誘発される。
さらに、本発明は上記ポリペプチド断片を含むベクターを含むがん治療薬である。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2006−289040号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図2は、REIC/Dkk−3遺伝子の各断片の細胞死誘導活性を示す図である。
図3は、REIC/Dkk−3遺伝子の各断片により誘導されたPC3の細胞死の状態を示す写真である(その1)。
図4は、REIC/Dkk−3遺伝子の各断片により誘導されたPC3の細胞死の状態を示す写真である(その2)。
図5は、REIC/Dkk−3遺伝子の各断片により誘導されたPC3およびOUMS−24のアポトーシス誘導効果を示す図である。AがPC3の結果であり、BがOUMS−24の結果である。
図6は、REIC/Dkk−3フラグメントによる小胞体ストレスマーカータンパク質の誘導を示す写真である。
図7は、REIC/Dkk−3遺伝子断片による中皮腫細胞株へのアポトーシス誘導を示す図である。
図8は、REIC/Dkk−3遺伝子断片を含むプラスミドを誘導試薬としてFuGENEを用いて中皮腫細胞株に導入した場合の細胞死の状態を示す写真である。
図9は、REIC/Dkk−3遺伝子断片を含むプラスミドを誘導試薬としてCytoPureを用いて中皮腫細胞株に導入した場合の細胞死の状態を示す写真である。
図10は、REIC/Dkk−3遺伝子断片によるin vivoで腫瘍抑制の効果を示す写真である。
本発明のアポトーシス誘発剤又はがん治療薬は、アポトーシスを誘発し、がん治療薬としての効果を有するREIC/Dkk−3遺伝子断片を有効成分として含む。
REIC/Dkk−3遺伝子の全長塩基配列および該遺伝子のコードするタンパク質のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および配列番号2に表される。配列番号2に表すアミノ酸配列中、1番から19番のアミノ酸からなる配列がシグナル配列と予測される。シグナル配列の塩基配列を配列番号7に、アミノ酸配列を配列番号8に示す。REIC/Dkk−3遺伝子は、配列番号1の配列情報に基づいて、ヒト細胞、ヒト組織等から得ることができる。また、国際公開第WO01/038523号パンフレットの記載に従って得ることも可能である。
本発明のアポトーシスを誘発し、がん治療薬としての効果を有するREIC/Dkk−3遺伝子断片は以下の(a)〜(p)のポリヌクレオチドであって、アポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
(a) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列中の第1番目の塩基に始まり第117番目の塩基〜第234番目のいずれかの塩基に終わる塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(d) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列中の第1番目の塩基に始まり第117番目の塩基〜第234番目のいずれかの塩基に終わる塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、アポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(f) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(g) 配列番号3に表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(h) 配列番号3に表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、アポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(i) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(j) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(k) 配列番号5に表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(l) 配列番号5に表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、アポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(m) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1〜19番目のアミノ酸配列からなるシグナルペプチドを含むポリペプチドであって、少なくともアミノ酸39残基を含むが、REIC/Dkk−3タンパク質の全長配列は除かれるポリペプチド断片のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(n) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1〜19番目のアミノ酸配列からなるシグナルペプチドを含むポリペプチドであって、少なくともアミノ酸39残基を含むが、REIC/Dkk−3タンパク質の全長配列は除かれるポリペプチド断片のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(o) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列中の第1番〜57番目の塩基配列からなるシグナル配列をコードする塩基配列を含む塩基配列であって、少なくとも117の塩基を含むが、REIC/Dkk−3の全長塩基配列は除かれる塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(p) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列中の第1番〜57番目の塩基配列からなるシグナル配列をコードする塩基配列を含む塩基配列であって、少なくとも117の塩基を含むが、REIC/Dkk−3の全長塩基配列は除かれる塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、アポトーシス活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
上記(a)および(b)における「配列番号2に表されるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列」とは、アミノ酸配列のN末端が配列番号2で表されるアミノ酸配列の1番目のアミノ酸であり、C末端が配列番号2で表されるアミノ酸配列の39番目のアミノ酸から78番目のアミノ酸のいずれかであり、アミノ酸残基の数は39〜78個のいずれかである。このアミノ酸配列には、配列番号2で表されるアミノ酸配列の1から39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77または78番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列が含まれる。
上記(c)および(d)における「配列番号1に表わされるREIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列中の第1番目の塩基に始まり第117番目の塩基〜第234番目のいずれかの塩基に終わる塩基配列」とは、塩基配列の5’末端が配列番号1で表される塩基配列の1番目の塩基であり、3’末端が配列番号1で表される塩基配列の117番目の塩基から234番目の塩基のいずれかであり、塩基の数は117〜234個のいずれかであり、好ましくは配列番号2で表されるアミノ酸配列の1から39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77または78番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列に対応した数である。
上記(b)、(f)、(j)および(n)における「アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列」における「1もしくは数個」とは、1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個もしくは2個をいう。
また、本発明のアポトーシスを誘発し、がん治療薬としての効果を有するREIC/Dkk−3遺伝子断片は、上記(a)、(e)、(i)および(m)に記載のアミノ酸配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有しているアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドも含まれる。
上記(d)、(h)、(l)および(p)における「ストリンジェントな条件」とは、例えば、「1XSSC、0.1% SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5XSSC、0.1% SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2XSSC、0.1% SDS、65℃」程度の条件である。このようにハイブリダイゼーションの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAを単離を期待しうる。ただし、上記のSSC、SDSおよびに温度の条件の組み合わせは例示であり、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーションの反応時間などを適宜組み合わせることにより、必要なストリンジェンシーを実現することが可能である。
また、本発明のアポトーシスを誘発し、がん治療薬としての効果を有するREIC/Dkk−3遺伝子断片は、上記(c)、(g)、(k)および(o)に記載のポリヌクレオチドの塩基配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有しているDNAであってアポトーシス誘発活性を有しているポリヌクレオチドも含まれる。
上記(m)および(n)はREIC/Dkk−3タンパク質断片であって、シグナルペプチドを含むタンパク質断片を含むものである。「配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1〜19番目のアミノ酸配列からなるシグナルペプチドを含むポリペプチドであって、少なくともアミノ酸39残基を含むが、REIC/Dkk−3タンパク質の全長配列は除かれるポリペプチド断片のアミノ酸配列」のアミノ酸残基の数は、例えば、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、300、305、310、315、320、325、330、335または340個である。
上記(o)および(p)は、REIC/Dkk−3遺伝子断片であって、シグナルペプチドをコードする塩基部分を含むものである。
これらの断片は細胞でポリペプチドを発現し、該ポリペプチドは小胞体に運ばれるが、正常な高次構造をとることができないので、小胞体ストレスを起こさせると考えられる。発現産物が小胞体に運ばれるためには本発明のREIC/Dkk−3遺伝子断片はシグナルペプチドをコードする塩基配列を含んでいることが好ましい。
さらに、本発明は上記のREIC/Dkk−3遺伝子断片を含むベクターをも含む。該ベクターを被験体に導入することにより、被験体体内でREIC/Dkk−3遺伝子断片がコードするポリペプチドが発現しアポトーシス誘発効果を発揮し得る。このような、遺伝子治療における目的の遺伝子の被験体への導入は公知の方法により行うことができる。遺伝子を被験体へ導入する方法として、ウイルスベクターを用いる方法および非ウイルスベクターを用いる方法があり、種々の方法が公知である(別冊実験医学、遺伝子治療の基礎技術、羊土社、1996;別冊実験医学、遺伝子導入&発現解析実験法、羊土社、1997;日本遺伝子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス、1999)。
遺伝子導入のためのウイルスベクターとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス等のウイルスベクターを用いた方法が代表的なものである。無毒化したレトロウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全症ウイルス(HIV)等のDNAウイルスまたはRNAウイルスに目的とする遺伝子を導入し、細胞に組換えウイルスを感染させることによって、細胞内に遺伝子を導入することが可能である。
本発明に係る遺伝子をウイルスを用いた遺伝子治療に使用するとき、アデノウイルスベクターが好ましく用いられる。アデノウイルスベクターの特徴として、(1)多くの種類の細胞に遺伝子導入ができる、(2)増殖停止期の細胞に対しても効率よく遺伝子導入ができる、(3)遠心により濃縮が可能であり、高タイター(10〜11PFU/ml以上)のウイルスが得られる、(4)in vivoの組織細胞への直接の遺伝子導入に適している、といった点が挙げられる。遺伝子治療用のアデノウイルスとしては、E1/E3領域を欠失させた第1世代のアデノウイルスベクター(Miyake,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,93,1320,1996)から、E1/E3領域に加え、E2もしくはE4領域を欠失させた第2世代のアデノウイルスベクター(Lieber,A.,et al.,J.Virol.,70,8944,1996;Mizuguchi,H.&Kay,M.A.,Hum.Gene Ther.,10,2013,1999)、アデノウイルスゲノムをほぼ完全に欠失させた(GUTLESS)第3世代のアデノウイルスベクター(Steinwaerder,D.S.,et al.,J.Virol.,73,9303,1999)が開発されているが、本発明に係る遺伝子を導入するには、特に限定されずいずれのアデノウイルスベクターも使用可能である。さらに、AAVの染色体に組み込み能を付与したアデノ−AAVハイブリッドベクター(Recchia,A.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,96,2615,1999)や、トランスポゾンの遺伝子を用いることにより染色体に組み込む能力を有したアデノウイルスベクターなどを利用すれば、長期的な遺伝子発現にも応用が可能である。また、アデノウイルスファイバーのH1ループに組織特異的な移行性を示すペプチド配列を挿入することにより、アデノウイルスベクターに組織特異性を付与することも可能である(Mizuguchi,H.&Hayakawa,T.,Nippon Rinsho,7,1544,2000)。
また、上記ウイルスを用いることなく、プラスミドベクター等の遺伝子発現ベクターが組み込まれた組換え発現ベクターを用いて、目的遺伝子を細胞や組織に導入することができる。例えば、リポフェクション法、リン酸−カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管を用いたDNAの直接注入法などにより細胞内へ遺伝子を導入することができる。また、内包型リポソーム(internal liposome)による遺伝子導入法、静電気型リポソーム(electorostatic type liposome)による遺伝子導入法、HVJ−リポソーム法、改良型HVJ−リポソーム法(HVJ−AVEリポソーム法)、HVJ−E(エンベロープ)ベクターを用いた方法、レセプター介在性遺伝子導入法、パーティクル銃で担体(金属粒子)とともにDNA分子を細胞に移入する方法、naked−DNAの直接導入法、種々のポリマーによる導入法等によっても、組換え発現ベクターを細胞内に取り込ませることが可能である。この場合に用いる発現ベクターとしては、生体内で目的遺伝子を発現させることのできるベクターであればいずれの発現ベクターも用いることができるが、例えばpCAGGS(Gene 108,193−200(1991))や、pBK−CMV、pcDNA3、1、pZeoSV(インビトロゲン社、ストラタジーン社)、pVAX1などの発現ベクターが挙げられる。
REIC/Dkk−3遺伝子断片を含むベクターは、適宜遺伝子を転写するためのプロモーターやエンハンサー、ポリAシグナル、遺伝子が導入された細胞の標識および/または選別のためのマーカー遺伝子等を含んでいてもよい。この際のプロモーターとしては、公知のプロモーターを用いることができる。
本発明のREIC/Dkk−3遺伝子断片を含む医薬組成物を被験体へ導入するには、遺伝子治療剤を直接体内に導入するin vivo法、及び、ヒトからある種の細胞を取り出して体外で遺伝子治療剤を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法等を用いればよい(日経サイエンス、1994年4月号、20−45頁;月刊薬事、36(1),23−48(1994);実験医学増刊、12(15)、(1994);日本遺伝子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス、1999)。
さらに、本発明のアポトーシス誘発剤又はがん治療薬は、アポトーシスを誘発し、がん治療薬としての効果を有するREIC/Dkk−3タンパク質のポリペプチド断片を有効成分として含む。
該ポリペプチド断片として、以下の(a)、(b)、(e)、(f)、(i)および(j)のREIC/Dkk−3タンパク質のポリペプチド断片であって、アポトーシス活性を有するポリペプチドが含まれる。
(a) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk−3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチド;
(e) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(f) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチド;
(i) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド;ならびに
(j) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するポリペプチド。
(a)、(b)、(e)、(f)、(i)および(j)のREIC/Dkk−3タンパク質のポリペプチド断片の詳細は上記のとおりである。
本発明に係る遺伝子によってコードされる本発明に係るタンパク質は、受容細胞の老化または静止状態を誘発するため、がん細胞の非がん性細胞への分化を媒介することができる。例えば、がん、或いはがん原細胞の急性増殖を抑制するための治療に使用できる。
一般的に腫瘍(tumor)には、良性腫瘍(benign tumor)と悪性腫瘍(malignant tumor)があり、後者を総称してがん(cancer)という。
本発明に係るタンパク質を用いることにより、治療可能な腫瘍は特に限定されず、良性腫瘍、悪性腫瘍のいずれも治療が可能であるが、特に悪性腫瘍に対して有効である。
悪性腫瘍を発生臓器別に分類すると、脳・神経腫瘍、皮膚がん、胃がん、肺がん、肝がん、リンパ腫・白血病、結腸がん、膵がん、肛門・直腸がん、食道がん、子宮がん、乳がん、骨・骨肉腫、平滑筋腫、横紋筋腫、中皮腫その他のがんに分類される。上記のとおり、治療可能な腫瘍は特に限定されず、前記の腫瘍、がん、いずれも治療が可能であるが、特に前立腺がん、肺がん、肝がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、卵巣がん、骨・骨肉腫、に対して有効である。さらに、この中でも前立腺がんおよび中皮腫に対して有効であり、その中でも悪性度の高い前立腺がんに対して特に有効である。ここで、悪性度の高い前立腺がんとは、例えばグリソンスコア8以上の前立腺がんをいう。
さらに各臓器がんを組織学的に分類すると、上皮細胞由来のがん腫(carcinoma)、非上皮細胞由来の肉腫(sarcoma)、およびそれらの混合腫瘍に大別される。本発明に係るタンパク質を用いることにより、治療可能な腫瘍は特に限定されず、上皮細胞由来のがん腫、非上皮細胞由来の肉腫、混合腫瘍のいずれも治療が可能であるが、特に上皮細胞由来のがん腫に対して有効である。
本発明の医薬組成物は、REIC/Dkk−3遺伝子断片もしくは該遺伝子断片を含むベクターならびに薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む。
さらに、本発明の医薬組成物は、REIC/Dkk−3ポリペプチド断片ならびに薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む。
本発明の医薬組成物は、種々の形態で投与することができ、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、あるいは注射剤、点滴剤、座薬、スプレー剤、点眼剤、経鼻投与剤、貼付剤などによる非経口投与を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、局所投与することも可能であり、例えばがん部位に注射により投与することによりその効果を発揮し得る。
本発明の医薬組成物は、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤、賦形剤を含む。たとえば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、ステアリン酸マグネシウムなどが使用される。注射用の水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが使用され、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール、プロピレングリコールなどのポリアルコール、非イオン界面活性剤などと併用しても良い。油性液としては、ゴマ油、大豆油などが使用され、溶解補助剤としては安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用しても良い。
その投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、REIC/Dkk−3遺伝子断片もしくは該遺伝子断片を含むベクターの場合、数日または数週間または数ヶ月おきに1回あたり、REIC/Dkk−3ポリヌクレオチド断片で0.001mg〜100mgを皮下注射、筋肉注射、または静脈注射によって投与すればよい。また、REIC/Dkk−3ポリペプチド断片の場合、経口投与では、1日約0.001mg〜100mgであり、1回または数回に分けて投与すればよい。また、非経口投与では、1回あたり、0.001mg〜100mgを皮下注射、筋肉注射、または静脈注射によって投与すればよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例は以下の材料を用いて以下の方法で実施した。
(1)細胞培養: ヒト前立腺がん由来細胞株(PC3)は、10%牛胎仔血清を添加したHAM’S F−12 K mediumを用いて培養した。
(2)組み換えプラスミドの作製: REIC/Dkk−3全長のcDNA(F:1−350aa)、及びそのフラグメント(1:1−39aa,2:1−78aa)は合成プライマーを用いたPCRにより作製し、これを制限酵素EcoR1とXhoIで処理してプラスミド(pDNR−CMV)に組み込んだ(pDNR−CMV−F,−1,及び−2)。図1に各断片のREIC/Dkk−3タンパク質上の位置を示す。
(3)組み換えプラスミドの細胞への導入: 上記で作製した各plasmidをマグネットフェクション法によりPC3細胞に導入した{各plasmid,トランスフェクション試薬(DreamFect reagent;OZ BIOSCIENCES,Marseille France),マグネットナノパーティクルの三者を混合して細胞培養系に添加した後、マグネットプレート上で細胞を30分間放置した。}。この時のplasmidの細胞内導入効率をGFP発現plasmid(pDNR−CMV−GFP)を用いて評価したところ、導入後24時間で約70%の高効率を示した。
(4)細胞死の判定: 細胞死の評価は、上記plasmidを導入した後、72時間経過してから行った。判定法にはエチジウムホモダイマー1(死細胞染色剤:赤色蛍光)とヘキスト33342(全細胞を染色:青色蛍光)を組み合わせた染色法を適用した。このシステムにおいて細胞100個中(ヘキスト33342陽性細胞)の死細胞数(エチジウムホモダイマー1陽性細胞)を計4回カウントし、死細胞率をパーセンテージとして算出した。
図2は各REIC/Dkk−3フラグメントをPC3細胞に発現させたときの死細胞率を示したものである。Adenovirus−LacZとpDNR−CMV−GFPネガティブコントロールとして、またAdenovirus−REIC(全長)はポジティブコントロールとして使用した。Adenovirusは感染後36時間で評価し、plasmidの場合は72時間で死細胞率を評価した。図2に示すように、フラグメント1及び2が細胞死を誘導する活性が高いことが明らかとなった。また、図3は、この時の細胞の状態を位相差顕微鏡で観察したものである。同様に細胞密度の顕著な低下がフラグメント1と2に観察された。
PC3(1x105cells)を6ウェルプレートにまき、24時間後に各REIC/Dkk−3フラグメントcDNAを挿入したプラスミドpTracer−EF−A−1(#1:1−39aa)、−2(#2:1−78aa)、−6(Full:1−350aa)をTransIT(登録商標)Keratinocyte試薬(トランスフェクション試薬(Mirus Bio Corporation))を用いてPC3に導入した。OUMS−24に対しては、FuGENE(登録商標)−HD試薬(トランスフェクション試薬(ロシュ アプライド サイエンス))を用いて各プラスミドを導入した。48時間後、細胞を生きたままHoechst33342により核染色し、蛍光顕微鏡にて観察した。アポトーシスを起こした細胞(核の凝集した細胞)の%は、GFP陽性細胞(プラスミドの入った細胞)を分母にして計算した。細胞の培養条件は実施例1と同様であった。
PC3への導入に用いたプラスミドは、挿入遺伝子(REIC/Dkk−3フラグメント)とGFPをそれぞれ別々のプロモーターによって同時に発現させることが可能である。したがってGFP(緑)を検出することでREICフラグメントが発現している細胞を間接的に検出することが可能となる。導入後、48時間で細胞のアポトーシス誘導を評価した。染色像を図4に示す。図4に示すようにGFP陽性の細胞に顕著に核(Hoechst染色:青)の凝集(アポトーシス)した細胞が1と2の場合に認められた。図4中、(−)はREICフラグメントを挿入していない空のプラスミドpTracer−EF−Aを示す。
PC3を用いた場合のアポトーシス(核の凝集した細胞)の%を、GFP陽性細胞(プラスミドの入った細胞)を分母にして計算した結果を図5Aに示す。REICフラグメント1(#1:1−39aa)と2(#2:1−78aa)に顕著なアポトーシス誘導効果が認められた。一方、図5BはOUMS−24を用いた場合の結果を示す。PC3で認められたアポトーシス誘導効果は、正常線維芽細胞OUMS−24では認められなかった。
PC3(1x107cells)を10cmディッシュにまき、24時間後に各REICフラグメントcDNAを挿入したプラスミドpTracer−EF−A−1(#1:1−39aa)、−2(#2:1−78aa)、−6(Full:1−350aa)をTrans IT Keratinocyte試薬(トランスフェクション試薬)を用いてPC3に導入した。OUMS−24に対しては、FuGENE−HD試薬(トランスフェクション試薬)を用いて各プラスミドを導入した。48時間後、各細胞を回収し、タンパク質抽出を行ってサンプルを調整した。このサンプルをSDS−PAGEにかけ、目的タンパク質の発現解析に関しては、ウエスタンブロット法を適用した。
図6に結果を示す。図6中、Ad−REICはREIC全長の過剰発現を誘導するアデノウイルスベクターを導入した細胞の結果を示し、対照は、REICフラグメントを挿入していない空のプラスミドpTracer−EF−Aを導入した細胞の結果を示す。PC3では、1(#1:1−39aa)、−2(#2:1−78aa)とも小胞体ストレスマーカーであるCHOPとBIPそしてJNKのリン酸化を顕著に誘導したが、このような現象は、OUMS−24では認められなかった。
ヒト悪性中皮腫細胞株211H(1x105cells)を6ウェルプレートにまき、24時間後に各REICフラグメントcDNAを挿入したプラスミドpTracer−EF−A−1(#1:1−39aa)、−2(#2:1−78aa)、−6(Full:1−350aa)をFuGENE(登録商標)−HD(ロシュ アプライド サイエンス)とCytoPure(商標)試薬(日東電工テクニカルコーポレーション)を用いてそれぞれ導入した。48時間後、細胞を生きたままHoechst33342により核染色し、蛍光顕微鏡にて観察した。アポトーシスを起こした細胞(核の凝集した細胞)の%は、GFP陽性細胞(プラスミドの入った細胞)を分母にして計算した。
導入に用いたプラスミドは、挿入遺伝子(REIC/Dkk−3フラグメント)とGFPをそれぞれ別々のプロモーターによって同時に発現させることが可能である。したがってGFP(緑)を検出することでREICフラグメントが発現している細胞を間接的に検出することが可能となる。導入後、48時間で細胞のアポトーシス誘導を蛍光顕微鏡により観察して評価した。アポトーシスを起こした(核が凝集した)細胞の%は、GFP陽性細胞(プラスミドの入った細胞)を分母にして計算した(図7)。その結果、FuGENE−HD試薬(図8)とCytoPure試薬(図9)の適用において、その両方でGFP陽性細胞に顕著に核(Hoechst染色:青)の凝集(アポトーシス)した細胞が1(1−39aa)と2(1−78aa)の場合に認められた。この時のアポトーシス誘導効果に関して、わずかにCytoPure試薬の適用がFuGENE−HD試薬に勝っていた(図7)。
ヒト悪性中皮腫細胞株211Hにルシフェラーゼ発現遺伝子を組み込んだ株211H clone 4(2x106cells)をマトリゲルと混合しヌードマウスの皮下に異種移植した。3日後に皮下腫瘍形成状態をIVIS(高感度生体内発光イメージングシステム)によりチェックし、その腫瘍形成部位に、プラスミドpTracer−EF−A−2(#2:1−78aa)/CytoPure混合液を注射器により腫瘍形成部位に注入した(毎日一回25μgのプラスミド投与を1週間連続で行った)。その後投与を止め、さらに14日間を経て、再度、腫瘍形成状態をIVIS(高感度生体内発光イメージングシステム)により評価した。比較対照としては、Cytopure単独投与群(CYTOPURE)及びCytopure+コントロールベクター(赤色蛍光タンパク質発現)投与群(CYTOPURE+pDsRed)を設けた。
図10に結果を示す。図10に示すように、REICフラグメントを投与した5匹中2匹に腫瘍のほぼ完全な消失が認められた。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
[配列表]
Claims (24)
- 以下の(a)または(b)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(a) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk-3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk-3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(c)または(d)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(c) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk-3遺伝子の塩基配列中の第1番目の塩基に始まり第117番目の塩基〜第234番目のいずれかの塩基に終わる塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(d) 配列番号1に表わされるREIC/Dkk-3遺伝子の塩基配列中の第1番目の塩基に始まり第117番目の塩基〜第234番目のいずれかの塩基に終わる塩基配列と90%以上の配列同一性を有しているポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(e)または(f)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(e) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(f) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(g)または(h)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(g) 配列番号3に表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(h) 配列番号3に表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有しているポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(i)または(j)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(i) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(j) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(k)または(l)のREIC/Dkk-3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの断片ポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:
(k) 配列番号5に表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(l) 配列番号5に表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有しているポリヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含み、REIC/Dkk-3遺伝子断片である前記ポリヌクレオチドを発現させるベクター。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを有効成分として含むアポトーシス誘発剤。
- 細胞に小胞体ストレスを起こさせてアポトーシスを誘発する請求項8記載のアポトーシス誘発剤。
- 請求項7記載のベクターを含むアポトーシス誘発剤。
- 細胞に小胞体ストレスを起こさせてアポトーシスを誘発する請求項10記載のアポトーシス誘発剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを有効成分として含むがん治療薬。
- 細胞に小胞体ストレスを起こさせてアポトーシスを誘発する請求項12記載のがん治療薬。
- 請求項7記載のベクターを含むがん治療薬。
- 細胞に小胞体ストレスを起こさせてアポトーシスを誘発する請求項14記載のがん治療薬。
- がんが前立腺がんである請求項12〜15のいずれか1項に記載のがん治療薬。
- がんが中皮腫である請求項12〜15のいずれか1項に記載のがん治療薬。
- 以下の(a)または(b)のREIC/Dkk-3タンパク質のポリペプチド断片であって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチド:
(a) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk-3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b) 配列番号2に表わされるREIC/Dkk-3タンパク質のアミノ酸配列中の第1番目のアミノ酸に始まり第39番目のアミノ酸〜第78番目のいずれかのアミノ酸に終わるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチド。 - 以下の(e)または(f)のREIC/Dkk-3タンパク質の断片ポリペプチドであって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチド:
(e) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(f) 配列番号4に表わされるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチド。 - 以下の(i)または(j)のREIC/Dkk-3タンパク質のポリペプチド断片であって、アポトーシス誘発活性を有するポリペプチド:
(i) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(j) 配列番号6に表わされるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス誘発活性を有するポリペプチド。 - 請求項18〜20のいずれか1項に記載のポリペプチドを有効成分として含むアポトーシス誘発剤。
- 請求項18〜20のいずれか1項に記載のポリペプチドを有効成分として含むがん治療薬。
- がんが前立腺癌である、請求項22記載のがん治療薬。
- がんが中皮腫である、請求項22記載のがん治療薬。
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