JP5356192B2 - 往復圧縮機 - Google Patents
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Description
以下、特許文献1の往復圧縮機の構造について説明する。この構造は、1回のピストン往復動により各バルブ部から1回ずつ圧縮ガスが吐出されるため、ダブルアクティング方式の往復圧縮機と言われている。
図5は圧縮機の軸方向に沿った断面を示している。図6はバルブアッセンブリを示している。図7は図5の圧縮機からバルブアッセンブリを取り外したときの圧縮機を軸方向から視た図である。これらの図に示すように、往復圧縮機のガス導入部はガスを圧縮機内に導入するバルブヘッド部103と、同バルブヘッド部103のチャンバ101に開口された開口部に嵌入され締結部材にてバルブヘッド部103に固定されるバルブアッセンブリ100とで構成されている。ガスを圧縮機内に導入するためのフランジ付き導入管104A,104Bの通気口は、チャンバ101と連通している。
図5中、右側のパッキンアッセンブリ105は シリンダ部材106のピストンロッド挿入口側に形成される空部に取り付けられる。このパッキンアッセンブリ105には往復動するピストンロッド107が内嵌される。軸封機能を有するパッキンアッセンブリ105の存在によりシリンダ部材106内の空部S10、S20、S30のガスが外部に漏れないようにされている。
一方、ピストンロッド107が圧縮機から引き抜かれる方向に移動すると(図5の状態)、空部S30のガスが圧縮され、ガスは可動バルブ108Bを通過して空部S20に流れ込む。そして、空部S20に流れ込んだガスはガス流出口106aから外部に流出する。このとき、空部S10は体積が大きくなり減圧されるため、フランジ付き導入管104Aを介して空部S10にガスが流入する。
また、可動バルブ108A又は108Bには、空部S20のガスによる吐出圧力が加わるため、シリンダ部材106内を可動バルブ108A,108Bが摺動する時に、摺動面上を微量のガスが流れ、ガス漏れが生じ易かった。
また、斜めに取り付けられたバルブアッセンブリ100の存在により空部S10の端部がテーパ状になり、ピストンロッド107が押し込まれると、摺動してきた可動バルブ108Aはテーパ部で行き止まりになるため、デッドスペースが生じ、体積効率が低下する要因となっていた。また、ロッドパッキン105は圧縮膨張室S30と連通しているため圧縮された高い圧力がかかり、パッキンからのガス漏れが生じ易かった。
本発明は、一側と他側とに流体が流入する流入口が形成され、中央部に流体が流出する流出口が形成されたシリンダ部材と、
該シリンダ部材内の前記流出口より一側に設けられた一側可動バルブと、前記シリンダ部材内の前記流出口より他側に設けられた他側可動バルブと、前記一側可動バルブと前記他側可動バルブとを連結するピストンロッドと、を有する吸入側可動バルブユニットと、
前記一側可動バルブの下流側で且つ、前記流出口の上流側に位置して前記一側可動バルブと対向して設けられ、前記一側可動バルブとの間に一側圧縮膨張室を形成する一側固定バルブと、前記他側可動バルブの下流側で且つ、前記流出口の上流側に位置して前記他側可動バルブと対向して設けられ、前記他側可動バルブとの間に他側圧縮膨張室を形成する他側固定バルブと、を有する吐出側固定バルブユニットと、を備え、
前記一側可動バルブ、前記他側可動バルブ、前記一側固定バルブ及び前記他側固定バルブは、流路下流側のみへ流体を通過させる逆止弁構造からなり、一側および他側の両可動バルブが連動して上記シリンダ部材内を往復摺動すると、前記一側圧縮膨張室と前記他側圧縮膨張室とが交互に圧縮および膨張を繰返して、圧縮時、前記流体は前記一側固定バルブ又は、前記他側固定バルブを通過して前記流出口から流出するように構成したことを特徴とする。
また、可動バルブの上流側への流体の供給は、バルブアッセンブリがなくなることにより高まる。また、バルブアッセンブリがなくなることにより圧縮機の小型軽量化を図ることができる。
また、バルブアッセンブリを設置することによる圧縮部のデッドスペースをなくすことができ、体積効率を高める事ができる。
また、従来技術では、シリンダ部材内壁を摺動して往復動するバルブ部とシリンダ部材内壁との僅かな隙間からガス漏れが発生したが、本発明では、吐出側固定バルブユニットが固定して設けられているので、シリンダ部材内壁とのシール性を十分に確保することができ、ガス漏れが発生しない。シール性の確保は、シリンダ部材に吐出側固定バルブユニットを圧入して締まり嵌め構造にして行ってもよいし、シリコン配合のシール材を用いて耐熱性を向上させるようにしてもよい。
また、吐出側固定バルブユニットは摺動しないため、摩擦熱による吐出ガスの加熱がない。そのため、圧縮効率が高まる。
すなわち、一側固定バルブと他側固定バルブとを連結するパイプ部材の内周壁面とピストンロッドの外周壁面との間には両圧縮膨張室のガスが漏れることを防止するため、ラビリンスと呼ばれる小さい隙間と複数の溝を有する軸封機能が付与されるか、またはロッドパッキンが取り付けられる。
また、シリンダ部材の外周壁には、可動バルブユニットの摺動熱による温度上昇を防ぐ冷却装置を設けることが好ましい。これにより、シリンダ部材外壁の温度上昇を防ぐことができ、ガスの温度が意図せずに上昇することを防ぐことができ、冷凍サイクルシステムなどのシステム管理精度を向上できる。また、シリンダ部材の熱膨張を抑止することで、可動バルブおよび固定バルブとシリンダ部材内壁とのシール性の悪化やシリンダ部材の熱変形と劣化を防止できる。
更に、冷却装置は冷却流体部が形成されていることが好ましく、冷却流体部としては、冷却液が収容された冷却液収容部とすることができるし、冷却流体が流通する冷却流路とすることにより冷却効果を増大できる。
図1は、本発明の往復圧縮機の第1実施形態を示している。この往復圧縮機は、オイルフリー圧縮機であり、無潤滑でピストンが往復動する。このため、低速運転に適している。また、この往復圧縮機には、2箇所に圧縮部が形成されており、ピストンが1往復する度に2回圧縮ガスが吐出される。また、図5の圧縮機をシリンダ流路両側圧縮型と称呼すると、本実施形態の圧縮機はシリンダ流路中央側圧縮型と称呼できる。本実施形態の圧縮機を複数段設けると、ガスの圧縮力を所望の大きさまで増加させることができる。この場合、例えば、所望とするガス温度を決めてから圧縮機の圧縮比を決め、何段の圧縮構成にするかを決定する。
また、シリンダ部材2内には、シリンダ部材2の軸方向においてガス流出口2bが形成された位置に、ピストンロッド32が挿通される吐出側固定バルブユニット4が設けられている。
スプリング316の近傍には、スプリング317が設けられる。このスプリング317は、ダンパプレート314の貫通穴314bを挿通するように、バルブプレート313と保護プレート315との間に設けられる。このスプリング317は6個用いられるが、他の5個については図示省略している。
また、バルブプレート313とダンパプレート314との周方向に角度を規制するためにピン319が設けられている。
上記部材の組付けは、2本のボルト318をバルブシート311側からピストンリング312,バルブプレート313、ダンパプレート314、及び保護プレート315に挿通し、保護プレート315より他側に設けられる不図示のスペーサに螺合することにより行うことができる。以上が、可動バルブ31R,31Lの構造例の説明である。
また、吐出側固定バルブユニット4の一側固定バルブ41Lと他側固定バルブ41Rも一側可動バルブ31L及び他側可動バルブ31Rと同様の構成にされ、1方向のみにガスが流れる。
そして、吸入側可動バルブユニット3が上記動作を繰り返すことにより、1回のピストンの往復動により一側固定バルブ41Lと他側固定バルブ41Rとから1回ずつガスが吐出され、ダブルアクティング機能が発揮される。
また、可動バルブの上流側への流体の供給は、バルブアッセンブリがなくなることにより高まる。また、バルブアッセンブリがなくなることにより圧縮機の小型、軽量化を図ることができる。
また、従来技術では、シリンダ部材内壁を摺動して往復動するバルブ部とシリンダ部材内壁との僅かな隙間からガス漏れが発生したが、本実施形態では、吐出側固定バルブユニット4が固定して設けられているので、シリンダ部材内壁とのシール性を十分に確保することができ、ガス漏れが発生しない。シール性の確保は、シリンダ部材2に吐出側固定バルブユニット4を圧入して締まり嵌め構造にして行ってもよいし、シリコン配合のシール材を用いて耐熱性を向上させるようにしてもよい。
また、吐出側固定バルブユニット4は摺動しないため、摩擦熱を発生せず、吐出ガスを加熱することがない。そのため、圧縮効率が高まる。
図4は、本発明の往復圧縮機の第2実施形態を示している。この第2実施形態の往復圧縮機は、第1実施形態の往復圧縮機と比べて、シリンダ部材の外周壁に水冷ジャケットが設けられている点で異なる。そのため、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この往復圧縮機1のシリンダ部材2の外周壁には、冷却流体部である水冷ジャケット2cが形成されている。この水冷ジャケット2cは、吸入側可動バルブユニット3の可動バルブ31R,31Lの摺動熱及び、ガス圧縮に伴う熱によるシリンダ部材2の外壁の温度上昇を防ぐために形成されている。そのため、第1実施形態と比べてシリンダ部材2の外径が大きい。シリンダ部材2を冷却して吸熱を行うと、摺動部の焼付きの問題がなくなるし、ガスの温度が低くなるから圧縮効率が高まる。本実施形態のように可動バルブ31R,31Lの摺動に潤滑剤を用いない場合は、特に有効である。
更に、シリンダ外周部に冷却フィンを設けて空冷効果を大きくすることも可能である。
上述した実施形態では、流体としてガスを用いた例について説明したが、本発明は、ガスでなくエアや液体を用いることもできる。液体としては、塩化カルシウム溶液、食塩水、塩化マグネシウム溶液及び食塩水などの無機質ブラインや、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどの有機質ブラインが挙げられる。
また、上述した実施形態では、シリンダ部材2の流路中央部にガス流出口2bを形成した例について説明したが、流路中央部とは、一側固定バルブ41Lと他側固定バルブ41Rとの間にあれば、流路中央部に含まれる。
2 シリンダ部材
2aR,2aL ガス流入口(流入口)
2b ガス流出口(流出口)
2c 水冷ジャケット(冷却液収容部、冷却流路)
3 可動バルブユニット(吸入側可動バルブユニット)
31R 他側可動バルブ
31L 一側可動バルブ
311 バルブシート
312 ピストンリング
313 バルブプレート
314 ダンパプレート
315 保護プレート
32 ピストンロッド
321 第1ロッド部
322 第2ロッド部
4 固定バルブユニット(吐出側固定バルブユニット)
41R 他側固定バルブ
41L 一側固定バルブ
42 パイプ部材
43 軸封部材
5 ロッドパッキン
6 ピストンリング
7 ライダーリング
S1 一側圧縮膨張室
S2 他側圧縮膨張室
S3 空部
Claims (6)
- 一側と他側とに流体が流入する流入口が形成され、中央部に流体が流出する流出口が形成されたシリンダ部材と、
該シリンダ部材内の前記流出口より一側に設けられた一側可動バルブと、前記シリンダ部材内の前記流出口より他側に設けられた他側可動バルブと、前記一側可動バルブと前記他側可動バルブとを連結するピストンロッドと、を有する吸入側可動バルブユニットと、
前記一側可動バルブの下流側で且つ、前記流出口の上流側に位置して前記一側可動バルブと対向して設けられ、前記一側可動バルブとの間に一側圧縮膨張室を形成する一側固定バルブと、前記他側可動バルブの下流側で且つ、前記流出口の上流側に位置して前記他側可動バルブと対向して設けられ、前記他側可動バルブとの間に他側圧縮膨張室を形成する他側固定バルブと、を有する吐出側固定バルブユニットと、を備え、
前記一側可動バルブ、前記他側可動バルブ、前記一側固定バルブ及び前記他側固定バルブは、流路下流側のみへ流体を通過させる逆止弁構造からなり、一側および他側の両可動バルブが連動して上記シリンダ部材内を往復摺動すると、前記一側圧縮膨張室と前記他側圧縮膨張室とが交互に圧縮および膨張を繰返して、圧縮時、前記流体は前記一側固定バルブ又は、前記他側固定バルブを通過して前記流出口から流出するように構成したことを特徴とする往復圧縮機。 - 前記一側固定バルブと前記他側固定バルブとを連結し、内部を前記ピストンロッドが軸線方向に摺動するパイプ部材が設けられ、パイプ部材の内周壁面とピストンロッドの外周壁面との間には両圧縮膨張室のガス漏れを防ぐ軸封部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の往復圧縮機。
- 前記シリンダ部材の外周壁には、可動バルブユニットの摺動熱による温度上昇を防ぐ冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の往復圧縮機。
- 前記冷却装置は、前記シリンダ部材の外周壁に冷却流体部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の往復圧縮機。
- 前記冷却流体部は、冷却液が収容された冷却液収容部であることを特徴とする請求項4に記載の往復圧縮機。
- 前記冷却流体部は、冷却流体が流通する冷却流路であることを特徴とする請求項4に記載の往復圧縮機。
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