JP5354631B1 - 転動体の製造方法および研磨装置 - Google Patents

転動体の製造方法および研磨装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5354631B1
JP5354631B1 JP2012181709A JP2012181709A JP5354631B1 JP 5354631 B1 JP5354631 B1 JP 5354631B1 JP 2012181709 A JP2012181709 A JP 2012181709A JP 2012181709 A JP2012181709 A JP 2012181709A JP 5354631 B1 JP5354631 B1 JP 5354631B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
workpiece
polishing liquid
cylindrical roller
photocatalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012181709A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014037046A (ja
Inventor
武司 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ritsumeikan Trust
Original Assignee
Ritsumeikan Trust
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ritsumeikan Trust filed Critical Ritsumeikan Trust
Priority to JP2012181709A priority Critical patent/JP5354631B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5354631B1 publication Critical patent/JP5354631B1/ja
Publication of JP2014037046A publication Critical patent/JP2014037046A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

【課題】表面の呈色および表面における光沢のムラを抑制し、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、表面粗さの低い部材を効率よく得ることができる、転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置を提供する。
【解決手段】ワークの研磨に際し、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを併用する。また、転動体用ワークの研磨装置1において、ワークWを揺動可能に支持するための円盤状のワーク支持部20と、ワーク支持部20に支持されたワークWの表面と摺接可能に配置され、ワーク支持部20に対して中心軸回りに相対的に回転することによってワークWを回転させながら、研磨液を介してワークWの表面を研磨する円盤状の研磨パッド30とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、産業機械、自動車、飛行機、船舶、電気電子製品などに用いられる部材の製造に有用な転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置に関する。
産業機械、自動車、飛行機、船舶、電気電子製品などには、転動体などのように相手部材との間で転がり接触および/または滑り接触をする金属部材が用いられている。これらの産業機械、自動車などでは、寿命の向上および稼働時における騒音ならびに発熱量の低減が求められている。そこで、バレル研磨法、超仕上げ研磨法などによる研磨によって前記金属部材の表面粗さを低減させることが提案されている。しかしながら、バレル研磨法には、金属部材の表面に砥粒痕が残りやすく、かつ十分な表面粗さを確保することが困難であるという欠点がある。また、超仕上げ研磨法には、研磨に用いられる装置が高価であり、かつ十分な表面粗さを確保することが困難であるという欠点がある。
一方、金属部材を研磨する方法として、例えば、紫外光によって励起されるカチロンと紫外光によって励起される酸化チタンまたは酸化アルミニウムと水とを含む研磨液を用いて紫外光の照射下に金属部材を研磨する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、非特許文献1には、前記研磨液に紫外光を照射する図示しない光源と、研磨パッド121を有する研磨槽102と、この研磨槽102内に設けられ、太陽歯車131と2つの遊星歯車132とを有する遊星歯車機構103と、この遊星歯車機構103を回転させるモータと、遊星歯車機構103の回転速度を調節する減速機105とを備えた研磨装置101が開示されている(図31参照)。
千巖吉彦および田中武司、「紫外線により励起された蛍光材料と光触媒による銅の研磨現象について−紫外線励起加工の研究−」、砥粒加工学会誌、第51号、第4巻、pp.232−237
しかしながら、非特許文献1に記載の研磨液を、転動体用ワークなどのように硬いワークの研磨に用いた場合には、ワークの表面が酸化して黒色化してしまったり、ワーク表面に光沢のムラが生じたりすることがある。また、この場合、ワークを所望の表面粗さに研磨したり、ワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除いたりすることができないことがある。
また、非特許文献1に記載の研磨装置では、ワークの平面部分の研磨を行なうことができても、曲面部分を効率よく研磨することが困難であり、所望の表面粗さに研磨したり、ワーク製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除いたりすることが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表面の呈色および表面における光沢のムラを抑制し、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、表面粗さの低い部材を効率よく得ることができる、転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
(1)転動体用ワークに研磨加工を施す研磨加工工程を含む転動体の製造方法であって、
前記研磨加工工程が、光触媒からなる粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液に前記ワークを接触させるとともに当該研磨液に前記光を照射しながら、前記ワークに研磨加工を施す工程であり、
前記光触媒の粒子径が140〜550nmであることを特徴とする転動体の製造方法、
(2)前記砥粒が、光触媒からなる粒子よりも大きい粒子径を有する粒子である前記(1)に記載の方法、
(3)前記砥粒の粒子径が、1000〜30000nmである前記(1)または(2)に記載の方法、
(4)前記蛍光材料が、一般式(I):
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)
で表わされる化合物である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法、
(5)ワークに研磨加工を施す方法であって、
光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液に前記ワークを接触させるとともに当該研磨液に前記光を照射しながら、前記ワークの研磨加工を行なうことを特徴とするワークの研磨方法、
(6)前記砥粒が、光触媒からなる粒子よりも大きい粒子径を有する粒子である前記(5)に記載の方法、
(7)ワークを研磨するための研磨液であって、
光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と、蛍光材料と、当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と、溶媒とを含有することを特徴とする研磨液、
(8)前記砥粒が、光触媒からなる粒子よりも大きい粒子径を有する粒子である前記(7)に記載の研磨液、
(9)研磨液を用いて転動体用ワークの表面を研磨するための研磨装置であって、
前記ワークを揺動可能に支持するための円盤状のワーク支持部と、
前記ワーク支持部に支持された前記ワークの表面と摺接可能に配置され、当該ワーク支持部に対して中心軸回りに相対的に回転することによって前記ワークを回転させながら、前記研磨液を介して当該ワークの表面を研磨する円盤状の研磨パッドと、
前記研磨液を前記ワーク支持部と前記研磨パッドとの間に供給する研磨液供給部と、
を備えていることを特徴とする研磨装置、
(10)前記研磨液が、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料を励起させる光を透過する砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液であり、
前記研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料を励起させる光を照射する光源をさらに備えている前記(9)に記載の研磨装置、
(11)前記容器の少なくとも内壁面が光触媒および蛍光材料を励起させる光を反射する性質を有する前記(10)に記載の研磨装置、
(12)前記ワーク支持部が、ワークを揺動可能に収容可能なワーク支持孔を有する前記(9)〜(11)のいずれかに記載の研磨装置、
(13)前記ワーク支持孔において、ワーク支持部に対して前記研磨パッドを中心軸回りに相対的に回転させたときにワークと接触する側壁部に研磨パッドがさらに設けられている前記(12)に記載の研磨装置、
(14)前記研磨液供給部が前記研磨パッドの回転中心部に前記研磨液を供給するように配置されている前記(9)〜(13)のいずれかに記載の研磨装置、ならびに
(15)前記研磨パッドのワークとの摺接面側の表面に複数の起毛した繊維からなる研磨パッド本体を有しており、当該研磨パッド本体には、放射状のパターンを有する溝が形成されている前記(9)〜(14)のいずれかに記載の研磨装置
に関する。
本発明は、本発明の転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置によれば、表面の呈色および表面における光沢のムラを抑制し、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、表面粗さの低い部材を効率よく得ることができる。
本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成を示す概略説明図である。 (A)は本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成を示す平面説明図、(B)はAA線での断面説明図である。 本発明の一実施形態に係る研磨装置のワーク支持部の構成を示す概略説明図である。 (A)は本発明の一実施形態に係る研磨装置のワーク支持部のワーク支持孔の形状を示す平面説明図、(B)は本発明の一実施形態に係る研磨装置のワーク支持部のワーク支持孔の形状を示す側面説明図である。 (A)は本発明の一実施形態に係る研磨装置の研磨パッドの構成を示す概略説明図、(B)は(A)のBB線での断面説明図、(C)は(B)の一部拡大説明図である。 本発明の一実施形態に係る研磨装置の研磨部の一例を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る研磨装置の研磨部の一例を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る転動体の製造方法の手順の一例を示す工程図である。 (A)は実施例2において、研磨前の銅製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例2において、研磨後の銅製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例7において、研磨前の一般構造用鋼SS41製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例7において、研磨後の一般構造用鋼SS41の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例9において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例9において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例12において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例12において、粒子径11500nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を示す図面代用写真、(C)は実施例12において、粒子径1000nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例14において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例14において、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を示す図面代用写真、(C)は実施例14において、半球状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を示す図面代用写真である。 実施例16において、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)比較例3において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例3において、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)比較例6において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例6において、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例8において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例8において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例17において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例17において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例18において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例18において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例19において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例19において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例20において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例20において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例9において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例9において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例10において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例10において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例21において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例21において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例22において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例22において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例23において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例23において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は実施例24において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は実施例24において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例11において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例11において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例12において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例12において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 (A)は比較例13において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を示す図面代用写真、(B)は比較例13において、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を示す図面代用写真である。 従来の研磨装置の構成を示す概略説明図である。
1.転動体の製造方法
本発明の転動体の製造方法は、転動体用ワークに研磨加工を施す研磨加工工程を含む転動体の製造方法であって、前記研磨加工工程は、光触媒からなる粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光(以下、「励起光」ともいう)を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有している研磨液に前記ワークを接触させるとともに当該研磨液に前記光(励起光)を照射しながら、前記ワークに研磨加工を施す工程であり、前記光触媒の粒子径が140〜550nmであることを特徴とする。
本発明の転動体の製造方法では、転動体用ワークに研磨加工を施す際に、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを励起光照射下に併用している点に1つの特徴がある。したがって、本発明の転動体の製造方法によれば、ワークの表面の呈色およびワーク表面における光沢のムラを抑制し、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、表面粗さの低い転動体を、短時間に高い効率で、しかも低コストで製造することができる。
本発明の転動体の製造方法によって製造された転動体は、低い表面粗さを有するので、使用時における騒音および発熱量の低減が期待される。また、かかる転動体を、例えば、軸受の転動体として用いた場合には、当該軸受の長寿命化することが期待される。
従来、金属製のワークに研磨加工を施す際に、研磨液として、光触媒からなる粒子と蛍光材料と溶媒とからなる研磨液を用いる場合、光触媒からなる粒子は、光触媒作用を十分に発揮させて化学研磨を効率よく行なう観点から、粒子径が小さく表面積が大きい粒子であることが望ましいと考えられていた。しかしながら、本発明者らは、かかる研磨液を用い、転動体用ワークなどのように硬さが高い金属製のワークの研磨加工を試みたところ、ワークが呈色してしまううえに、ワーク表面における光沢のムラが生じ、ワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができず、十分な表面粗さにまで研磨することが困難であることが判明した。そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねたところ、光触媒からなる粒子と蛍光材料と溶媒とに加え、当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒を用いるとともに、光触媒からなる粒子として、粒子径140〜550nmの粒子を用いたところ、転動体用ワークなどのように硬さが高い金属製のワークが、呈色せず、ワーク表面における光沢のムラを抑制することができ、ワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、しかも、従来の超仕上げ研磨加工およびバレル研磨加工では到達し得ない低い表面粗さにまで短時間に効率よく研磨されていることが見出された。本発明は、本発明者らによって見出されたかかる知見に基づくものである。
本発明の転動体の製造方法は、図8に示されるように、例えば、前加工工程S1−1、表面硬化処理工程S1−2および研磨加工工程S1−3を含む。前記転動体としては、例えば、円筒ころ、円錐ころ、玉、球面ころなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前加工工程S1−1では、転動体用材料を所定の形状に加工して、相手部材との間で転がり接触および/または滑り接触をする転がり摺動面を形成する部分に研磨取代を少なくとも有する素形材を得る。
前記原材料は、転動体の製造に適したものであればよい。かかる転動体用材料としては、例えば、単金属;非鉄合金;一般構造用鋼、機械構造用鋼、軸受鋼などの鉄系合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の転動体の製造方法では、これらの転動体用材料のなかでも、軸受鋼を好適に用いることができる。前記軸受鋼としては、例えば、SUJ2、SUJ3、SUJ4、SUJ5などの高炭素クロム軸受鋼;Z鋼(日本精工(株)製)、EP鋼(日本精工(株)製)、SHX鋼(日本精工(株)製)などの高速用耐熱鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、本発明においては、転動体用材料として、一般構造用鋼または機械構造用鋼に焼入れ処理を施すことによって得られる焼入れ鋼も好適に用いることができる。
つぎに、表面硬化処理工程S1−2では、前加工工程S1−1で得られた素形材に対して表面硬化処理を施し、転動体用ワークを得る。
前記転動体用ワークとしては、例えば、転動体に対応する形状に加工され、かつ研磨取代を有する転動体用ワークなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記表面硬化処理としては、例えば、浸炭処理、浸炭窒化処理、焼入れ処理、高周波焼入れ処理、焼きもどし処理などの熱処理、ショットピーニングなどのピーニング加工などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの表面硬化処理は、製造対象の転動体の種類に応じて、2種類以上を適宜組み合わせて行なうことができる。本工程で得られる転動体用ワークの硬さ(ロックウェル硬さ)は、本工程において採用された表面硬化処理の種類、転動体用材料の種類などによって異なるが、通常、転動体用原材料として高炭素クロム軸受鋼を用いる場合、好ましくは60〜67、より好ましくは61〜65である。
その後、研磨加工工程S1−3では、転動体用ワークを研磨液に接触させるとともに当該研磨液に前記光を照射しながら、当該転動体用ワークの前記転がり摺動面を形成する部分に研磨加工を施すことにより、所望の表面粗さを有する転がり摺動面を形成して転動体を得る。転動体用ワークの研磨には、例えば、転動体用ワークが転動体用ワークである場合、後述の研磨装置を用いることができる。なお、本発明の転動体の製造方法に用いられる研磨液については、後述する。
転動体用ワークの研磨時間は、転動体用ワークの大きさ、種類などによって異なることから、転動体用ワークの大きさ、種類などに応じて適宜設定することが好ましい。
研磨液に照射する光の種類は、研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料それぞれの種類などによって異なることから、研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料の種類などに応じて適宜選択することが好ましい。光の照射時間は、研磨時間と同じである。
転動体用ワークを研磨するときの研磨液の温度は、より低い表面粗さを有する転動体を得る観点から、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上であり、過度の酸化による呈色およびエッチピットの発生を防止する観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは35℃以下である。
なお、本発明においては、研磨加工工程S1−3以外の工程は、前加工工程S1−1および表面硬化処理工程S1−2のみに限定されるものではなく、必要により、他の工程を行なうことができる。また、本発明においては、表面硬化処理工程S1−2を行なわなくてもよい。
[ワークの研磨方法]
本発明のワークの研磨方法は、ワークに研磨加工を施す方法であって、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液に前記ワークを接触させるとともに当該研磨液に前記光を照射しながら、前記ワークの研磨加工を行なうことを特徴とする。
本発明のワークの研磨方法では、ワークの表面の研磨加工を行なうに際して、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有している研磨液を用いる点に1つの特徴がある。したがって、本発明のワークの研磨方法によれば、ワークとして、例えば、軸受鋼からなるワーク、表面硬化処理が施されたワークなどをはじめ、硬いワークを用いた場合であっても、ワークの表面の呈色およびワーク表面における光沢のムラを抑制し、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができる。しかも、本発明のワークの研磨方法によれば、短時間で高い研磨効率で所望の表面粗さまで研磨することができ、所望の表面粗さの部材を高い製造効率で得ることができる。なお、本発明のワークの研磨方法に用いられる研磨液については、後述する。
前記ワークを構成する材料としては、例えば、金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。金属としては、例えば、銅、ニッケル、チタンなどの単金属;ベリリウム銅、アルミニウム合金、超硬合金、などの非鉄合金;一般構造用鋼、機械構造用鋼(例えば、機械構造用高炭素鋼など)、軸受鋼、工具鋼などの鉄系合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明のワークの研磨方法によれば、これらの金属のなかでも、軸受鋼などのように硬い金属を呈色させることなく、好適に研磨することができる。
前記ワークは、表面硬化処理を施されたワークであってもよい。
本発明のワークの研磨方法によって研磨するのに好適なワークの硬さ(ロックウェル硬さ)は、好ましくは60〜67、より好ましくは61〜65である。
前記ワークの研磨加工は、前記研磨液を用いる代わりに前記研磨液から砥粒のみを取り除いた研磨液を用いる以外は前記ワークの研磨加工と同様に前記金属製のワークの研磨加工を行なったときに当該ワークの表面が酸化して呈色する場合と同様の条件(例えば、光触媒、蛍光材料および溶媒それぞれの種類、研磨液における光触媒からなる粒子および蛍光材料それぞれの含有率、研磨液のpH、研磨時間、研磨温度など)下で行なうことができる。
ワークの研磨は、研磨液を保持しうるパッド上で行なうことができる。ワークが、転動体用ワークである場合には、例えば、後述の研磨装置を用いることができる。
ワークの研磨時間は、ワークの大きさおよび種類、ワークに用いられている金属の種類などによって異なることから、ワークの大きさおよび種類、ワークに用いられている材料の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。ワークの研磨時間は、ワークが、例えば、軸受鋼からなるワークである場合、通常、好ましくは15〜120分間、より好ましくは30〜60分間である。
研磨液に照射する光の種類および波長は、研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料それぞれの種類などによって異なることから、研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料の種類などに応じて適宜選択することが好ましい。光の照射時間は、研磨時間と同じである。
ワークを研磨するときの研磨液の温度は、より低い表面粗さを有する部材を得る観点から、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上であり、過度の酸化による呈色ならびにエッチピットの発生を防止する観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは35℃以下である。
[研磨液]
本発明の研磨液は、ワークを研磨するための研磨液であって、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と、蛍光材料と、当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と、溶媒とを含有することを特徴とする。本発明の研磨液は、前記光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料を励起させる光を透過する砥粒と溶媒とが併用されているため、ワークとして、例えば、軸受鋼などのような高い硬さ、高い疲れ強さおよび高い耐磨耗性を有する金属製のワークなどを用いた場合であっても、ワークの表面の呈色およびワーク表面における光沢のムラを抑制しつつ、ワークの製造時における前加工の際に生じた傷を十分に取り除くことができ、高い研磨効率で研磨することができ、表面粗さの低い部材を効率よく得ることができる。
前記ワークに用いられる金属は、前述のワークの研磨方法におけるワークに用いられる金属と同様である。本発明の研磨液は、例えば、転動体用ワークなどのように硬いワークなどの研磨に好適に用いることができる。
前記ワークは、前述のワークの研磨方法におけるワークと同様である。
前記光触媒は、紫外光応答型光触媒であってもよく、可視光応答型光触媒であってもよい。前記光触媒としては、例えば、チタン酸化物、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化銀、二酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄(III)、五酸化バナジウム、二酸化スズなどの金属酸化物;硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウム、硫化銅、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化ビスマスなどの金属硫化物;セレン化インジウム(III)、セレン化タングステン、テルル化カドミウムなどの金属カルコゲナイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記光触媒は、単独で用いてもよく、本発明の目的を阻害しない範囲で、2種類以上を混合して用いてもよい。前記光触媒は、白金原子、銀原子などをさらに担持させたものであってもよく、窒素原子、硫黄原子などをさらにドープしたものであってもよい。
前記光触媒のなかでは、化学的安定性が極めて優れ、長時間の使用に耐えることができ、ワークに対して高い密着性を示して研磨効率を高めることができる観点から、チタン酸化物が好ましい。前記チタン酸化物としては、例えば、アナターゼ型二酸化チタン、プルカイト型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタンなどの二酸化チタンが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのチタン酸化物のなかでは、化学的安定性が極めて優れ、長時間の使用に耐えることができ、ワークに対して高い密着性を示して研磨効率を高めることができる観点から、二酸化チタンが好ましく、アナターゼ型酸化チタンがより好ましい。
前記光触媒からなる粒子の粒子径は、ワークの呈色を抑制し、かつワークの加工精度を高める観点から、140nm以上であり、好ましくは150nm以上、より好ましくは180nm以上、さらに好ましくは200nm以上である。前記光触媒からなる粒子の粒子径の上限は、十分な光触媒作用を有する範囲で適宜選択することができ、通常、入手および取り扱いが容易であり、しかも十分な光触媒作用が得られることから、好ましくは550nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは450nm以下である。かかる粒子径は、研磨対象のワークに用いられる材料の種類などによって好適な光触媒作用の大きさが異なることから、研磨対象のワークに用いられる材料の種類などに応じて前記範囲から適宜設定することが望ましい。
なお、本明細書において、「粒子径」とは、透過型電子顕微鏡による観察に基づく数平均粒子径をいう。なお、粒子が凝集している場合は、前記「粒子径」は、透過型電子顕微鏡による観察に基づく凝集粒子の数平均粒子径を意味する。
研磨液中における光触媒からなる粒子の含有量は、ワークの呈色を抑制するとともに研磨効率を高める観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、過度の光触媒作用を抑制して研磨対象の金属製のワークの加工精度を高める観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
前記蛍光材料は、光が照射されることによって励起状態となり、蛍光を発する物質である。かかる蛍光材料を励起させる光は、使用時における操作容易性を確保する観点から、前記光触媒を励起させる光と同じであることが好ましい。
前記蛍光材料としては、例えば、一般式(I):
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)
で表わされる化合物(カチロン染料など)、スピロン染料、塩基性染料、酸性染料(ブリリアントブルー)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記蛍光材料は、単独で用いてもよく、本発明の目的を阻害しない範囲で、2種類以上を混合して用いてもよい。かかる蛍光材料の中では、ワークに用いられる金属との反応性に優れることから、一般式(I)で表わされる化合物が好ましい。
一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R1およびR2は、研磨効率を高める観点から、メチル基であることが好ましい。また、一般式(I)において、R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、R1およびR2における炭素数1〜4のアルキル基と同様のものが例示されるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R3およびR4は、研磨効率を高める観点から、エチル基であることが好ましい。一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。一般式(I)で表わされる化合物のなかでは、研磨効率を高める観点から、一般式(I)において、R1およびR2がメチル基であり、R3およびR4がエチル基であり、かつXが塩素原子である化合物〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド〕が好ましい。
前記研磨液中における光触媒からなる粒子の含有量は、ワークの呈色を抑制するとともに研磨効率を高める観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、過度の光触媒作用を抑制して研磨対象のワークの加工精度を高める観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、研磨効率を高めるとともに、研磨対象の金属製のワークの加工精度を高める観点から、光触媒1モルあたりの蛍光材料の量は、0.02〜1.0モルであることが好ましい。
前記砥粒は、前記光触媒および前記蛍光材料それぞれを励起させる光を透過させる物質からなる。前記砥粒に用いられる物質としては、例えば、酸化アルミニウムなどの紫外光を透過させる化合物;ダイヤモンドなどの炭素材料、水晶、ルチル、アメジスト、透明ジルコニアなどの可視光を透過させる化合物などが挙げられる。前記砥粒は、単独で用いてもよく、本発明の目的を阻害しない範囲で、2種類以上を混合して用いてもよい。前記砥粒は、光触媒の種類、蛍光材料の種類などによって透過させるべき光の種類が異なることから、光触媒の種類、蛍光材料の種類などに応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、光触媒が二酸化チタンであり、かつ蛍光材料が一般式(I)において、R1およびR2がメチル基であり、R3およびR4がエチル基であり、かつXが塩素原子である化合物〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド〕である場合、砥粒は、研磨液中において、当該砥粒の近傍に存在する二酸化チタンおよび蛍光材料に対して紫外光を効率よく照射して励起させることによって研磨効率をより一層高めることができることから、紫外光を透過させる化合物、好ましくは酸化アルミニウムからなる粒子である。前記酸化アルミニウムのなかでは、靱性に富み、一般的に過度の鋭利な切れ刃を有さず低い表面粗さを得るのに適した形状であり、化学的に安定であることから、α型酸化アルミニウムが好ましい。
前記砥粒の粒子径は、ワークの呈色を抑制するとともに研磨効率を高くする観点から、好ましくは1000nm以上、より好ましくは2000nm以上であり、ワークの表面の加工精度を高くし、表面粗さを小さくする観点から、好ましくは30000nm以下、より好ましくは11500nm以下、さらに好ましくは4000nm以下である。
なお、研磨液を用いて研磨する対象となるワークが、表面硬化処理が施された金属製のワークである場合、高い研磨効率で研磨し、表面粗さの低い金属部材を得る観点から、前記砥粒は、光触媒からなる粒子よりも大きい粒子径を有する粒子であることが好ましい。この場合、前記砥粒の粒子径と光触媒からなる粒子の粒子径との比(砥粒/光触媒)は、好ましくは20/11以上であり、ワークの呈色を抑制するとともにワークの表面の加工精度を高める観点から、好ましくは1500/7以下である。
前記研磨液中における前記砥粒の含有量は、ワークの呈色を抑制するとともに研磨効率を高める観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、研磨対象の金属製のワークの加工精度を高める観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、研磨効率を高めるとともに研磨対象の金属製のワークの加工精度を高める観点から、光触媒1モルあたりの砥粒の量は、0.07〜3.7モルであることが好ましい。
なお、研磨液を用いて研磨する対象となるワークが、表面硬化処理が施された金属製のワークである場合、高い研磨効率で研磨し、表面粗さの低い金属部材を得る観点から、前記研磨液中における前記砥粒の含有量は、前記研磨液中における前記光触媒の含有量よりも多いことが好ましい。
前記溶媒は、前記光触媒、蛍光材料および砥粒を懸濁させるのに適した溶媒であればよい。かかる溶媒としては、例えば、水などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
研磨液に用いられる溶媒が水または水を含む溶媒である場合、研磨液のpHは、過度の酸化による呈色ならびにエッチピットの発生を防止する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、より低い表面粗さを有する部材を得る観点から、好ましくは7以下、より好ましくは6以下である。
なお、本発明の研磨液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の助剤をさらに含有していてもよい。
2.研磨装置
つぎに、本発明の一実施形態に係る金属製の転動体用ワークの表面を研磨するための研磨装置について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成を示す概略説明図である。図2(A)は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成を示す平面説明図であり、図2(B)はAA線での断面説明図である。本実施形態においては、前述した研磨液を用いて円筒ころ用ワークを研磨する場合を例として挙げて説明する。なお、図1および図2(A)において、簡略化の観点から、研磨液の記載を省略している。
研磨装置1は、研磨部2と、この研磨部2を駆動および/または制御するため駆動部や制御部を収容している台座3と、光源4とを備えている(図1参照)。
研磨部2は、容器10と、円筒ころ用ワークWを支持する円盤状のワーク支持部20と、研磨液を介して円筒ころ用ワークWの表面を研磨する円盤状の研磨パッド30と、ワーク支持部20および研磨パッド30の間に前述した研磨液を供給する研磨液供給部40とを備えている〔図1、図2(A)および(B)参照〕。
容器10は、有底円筒状の形状を有する容器である。かかる容器10は、光源4から照射される光を反射する性質を有する材料より構成される。容器10を構成する材料としては、光源4から照射される光によって異なるが、例えば、ポリプロピレン樹脂などの紫外光を反射する材料;ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルミニウムなどの可視光を反射する材料などが挙げられる。なお、本発明においては、光源4から照射される光を容器10の内壁で反射させることによって研磨液中の光触媒および蛍光材料の励起をさらに効率よく行なうことができる。したがって、本発明においては、容器10の内壁のみが、光源4から照射される光を反射する性質を有する材料によって構成されていてもよい。
ワーク支持部20は、容器10内に収納されている。ワーク支持部20の中心軸上には、研磨液供給部40の一端部がワーク支持部20を貫通するように一体的に設けられている。これにより、研磨液供給部40によって研磨液を研磨パッド30の回転中心部に供給することが可能となっている。また、本実施形態においては、研磨液供給部40は、図示しない天板部に固定されており、かかる研磨液供給部40によって、ワーク支持部20が中心軸回りに回転できないように固定されている。
ワーク支持部20は、軸方向に貫通したワーク支持孔21を有している〔図2(A)および(B)参照〕。かかるワーク支持孔21内に円筒ころ用ワークWが収容されることにより、円筒ころ用ワークWは、ワーク支持部20によって揺動可能に支持される。また、ワーク支持孔21内に収容された円筒ころ用ワークWの一部は、研磨液供給部40から供給された研磨液Pに浸漬される。
ワーク支持孔21における円筒ころ用ワークWの移動方向前方の側壁部には、円筒ころ用ワークWと摺接して研磨する側壁パッド22が設けられている(図3参照)。なお、図3においては、ワーク支持孔21を一部省略して記載している。側壁パッド22は、ワーク支持部20に対して研磨パッド30を中心軸回りに相対的に回転させたときに円筒ころ用ワークWと摺接する。かかる側壁パッド22における円筒ころ用ワークWとの摺接面側の表面には複数の繊維からなる起毛層が形成されている(図示せず)。かかる起毛層を構成する繊維の長さは、円筒ころ用ワークWの回転を大きく妨げない程度に円筒ころ用ワークWを研磨するに適した長さであればよい。前記繊維の長さは、通常、円筒ころ用ワークWを十分に研磨する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、円筒ころ用ワークWの回転を十分に行なう観点から、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。
ワーク支持孔21は、ワーク支持部20の上方から中心軸方向に見て、長方形状を示す〔図4(A)、21a参照〕。ここで、長さaは、式(1):
長さa=(2.0〜2.5)×円筒ころの直径D1 (1)
を満たす長さであり、長さbは、式(2):
長さb=(3.0〜4.0)×円筒ころの長さL1 (2)
を満たす長さである。
研磨パッド30は、容器10内の底部に一体的に配置され、研磨パッド30と容器10とは一体回転可能になっている。また、研磨パッド30は、ワーク支持部20に支持された円筒ころ用ワークWの表面と摺接可能に配置されている〔図2(B)参照〕。
研磨パッド30は、プラスチック製の有縁プレート31と、研磨パッド本体32とからなる〔図5(A)および(B)参照〕。研磨パッド本体32は、複数の起毛した繊維32aからなり、有縁プレート31における円筒ころ用ワークWとの摺接面側の表面に付設されている〔図5(B)および(C)参照〕。かかる研磨パッド本体32には、90°毎に円筒ころ用ワークWが研磨パッド30の外側および内側に交互に移動するように遠心方向ベクトルと求心方向ベクトルとを変化さする放射状のパターンを有する溝33が形成されている。
かかる研磨パッド本体32を構成する繊維の長さは、円筒ころ用ワークWに回転力を与え、かつ円筒ころ用ワークWを研磨するに適した長さであればよい。前記繊維の長さは、通常、円筒ころ用ワークWを十分に研磨する観点から、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.3mm以上であり、円筒ころ用ワークWの回転を十分に行なう観点から、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。なお、研磨パッド本体32を構成する繊維の長さは、円筒ころ用ワークWを効率よく研磨する観点から、前記側壁パッド22を構成する繊維の長さよりも長いことが好ましい。
研磨装置1の台座3には、図2に示されるように、容器10を回転駆動させる回転軸60と、この回転軸60を駆動させる駆動部70と、駆動部70の動作を制御する制御部80とが収容されている。
光源4は、前述した研磨液に含まれている光触媒および蛍光材料を励起させる光を発生する。かかる光源4としては、例えば、紫外光ランプ、可視光ランプなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
研磨装置1では、紫外光の照射下に容器10を中心軸回りに矢印方向に回転駆動させることにより、ワーク支持部20によって支持された円筒ころ用ワークWが矢印方向に回転して研磨パッド30および図示しない側壁パッド22に線接触で摺接するとともに中心軸方向に揺動する(図6参照)。これにより、円筒ころ用ワークWが研磨される。
なお、本発明においては、ワークとして、例えば、球面ころ用ワーク、玉用ワーク、円錐ころ用ワーク、棒状ころ用ワーク、針状ころ用ワークなどの転動体用ワークを用いることができる。例えば、ワークとして、玉用ワークを用いる場合、研磨装置1では、紫外光の照射下に容器10を中心軸回りに矢印方向に回転駆動させることにより、ワーク支持部20によって支持された玉用ワークWが矢印方向に回転して研磨パッド30および図示しない側壁パッド22に点接触で摺接するとともに中心軸方向に揺動する(図7参照)。これにより、玉用ワークWが研磨される。
また、本発明において、ワーク支持孔の形状は、ワークWの形状に応じた形状を適宜選択することができる。
例えば、ワークWが球面ころ用ワークである場合、ワーク支持孔として、図4(A)のワーク支持孔21bおよびワーク支持孔21cが例示されるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ワーク支持孔21bにおけるワークWの移動方向前方の側壁部201は、ワーク支持部20の上方から中心軸方向に見て、くの字状を示し、ワーク支持孔21bにおけるワークWの移動方向後方の側壁部202は、ワーク支持部20の上方から中心軸方向に見て、逆くの字状を示す〔図4(A)、21b参照〕。ここで、ワーク支持孔21bの長さcは、好ましくは式(3):
長さc=(1.5〜2.0)×球面ころの直径D2 (3)
を満たす長さ、長さdは、好ましくは式(4):
長さd=(1.5〜2.0)×球面ころの長さL2 (4)
を満たす長さ、長さeは、好ましくは式(5):
長さe=1/2d (5)
を満たす長さである。また、図4(A)において、角度αおよびβは、好ましくは1〜10°である。なお、ワーク支持孔21bを側面から見た場合、側壁部の傾斜角度γおよびδは、好ましくは0〜30°、より好ましくは0〜15℃である〔図4(B)参照〕。一方、ワーク支持孔21cにおけるワークWの移動方向前方の側壁部203およびワークWの移動方向後方の側壁部204には、Rがつけられている〔図4(A)、21c参照〕。このとき、図4(A)において、ワーク支持孔21bの長さfは、好ましくは式(6):
長さf=(2.0〜3.0)×球面ころの直径D2 (6)
を満たす長さ、長さgは、好ましくは式(7):
長さg=(2.5〜3.0)×球面ころの長さL2 (7)
を満たす長さ、側壁部203,204の曲率は、好ましくは式(8):
曲率=(1.0〜1.59)×球面ころの曲率R2 (8)
を満たす曲率である。また、図4(A)において、角度εは、好ましくは15〜30°である。
また、ワークWが玉用ワークである場合、ワーク支持孔として、図4(A)のワーク支持孔21dが例示されるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ワーク支持孔21dにおける中心軸側の角部205,206には、Rがつけられている〔図4(A)、21d参照〕。このとき、図4(A)において、ワーク支持孔21dの長さhは、好ましくは式(9):
長さh=(2.0〜3.0)×玉の直径D3 (9)
を満たす長さ、長さiは、好ましくは式(10):
長さi=(2.0〜3.0)×玉の直径D3 (10)
を満たす長さ、角部205,206の曲率は、好ましくは式(11):
曲率≧玉の直径D3/2 (11)
を満たす曲率である。また、図5(A)において、角度ζは、好ましくは10〜20°である。
さらに、ワークWが円錐ころ用ワークである場合、ワーク支持孔として、図4(A)のワーク支持孔21eが例示されるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ワーク支持孔21eは、中心軸側から外側に向かって縮径している〔図4(A)、21e参照〕。このとき、図4(A)において、ワーク支持孔21eの長さjは、好ましくは式(12):
長さj=(1.0〜2.0)×円錐ころの小端径D4 (12)
を満たす長さ、長さkは、好ましくは式(13):
長さk=(2.0〜2.5)×円錐ころの大端径D5 (13)
を満たす長さ、長さlは、好ましくは式(14):
長さl=(3.0〜4.0)×円錐ころの長さL4 (14)
を満たす長さである。また、図4(A)において、角度ηは、好ましくは10〜20°、角度θは、好ましくは10〜20°である。
本発明においては、研磨装置1の研磨パッド30における溝33のパターンは、直線以外に、放物線、2次曲線、渦巻き線、対数渦巻き線、インボリュート曲線、サイクロイド曲線、正弦曲線、余弦曲線などの曲線;楕円;円などによって形成されていてもよい。
本発明においては、ワークの自重によって自由落下するときの底パッドとの圧力を負荷に変えやすくするべく、容器10を水平面に対して20〜40°傾斜させてもよい。この場合、ワークWの回転および揺動をより大きくして研磨効率を高める観点から、ワーク支持部20を設けず、研磨パッド30の直径よりも小さい直径を有する容器10を研磨パッド30と独立して回転することができるように当該研磨パッド30上に設けてもよい。
また、本発明においては、微小部品を効率よく研磨すべく、容器10を水平面に対して20〜40°傾斜させるとともに、ワーク支持部20の代わりに、ワークWを研磨パッド30に押し付けるワーク押圧部を研磨パッド30と独立して回転することができるように当該研磨パッド30上に設けてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、金属製のワークを高い研磨効率で低い表面粗さにまで研磨することができることから、低い表面粗さおよび高い精度が求められる金属部材などの製造を製造することができる。したがって、本発明の転動体の製造方法、ワークの研磨方法、研磨液および研磨装置は、油圧機器、工作機械、繊維機械、建築機械、半導体製造装置などの産業機械、自動車、飛行機、船舶、電気電子製品などに用いられる部材の製造に有用である。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、酸化アルミニウムからなる粒子径4000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド、一般式(I)において、R1およびR2がメチル基であり、R3およびR4がエチル基であり、かつXが塩素原子である化合物(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕0.754g(研磨液中における濃度:0.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH5.63)を得た。
(製造例1)
純銅(組成:銅99%)からなる材料を引き抜き加工およびアールバイト〔住友電工(株)製、商品名:ダイヤモンドバイトDA1000〕による切削加工によって加工して、直径15mmおよび長さ25mmの円筒ころ用ワークを得た。得られた円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。その結果、円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaは0.569μmであり、最大高さRyは4.53μmであった。
(実施例2)
製造例1で得られた円筒ころ用ワークを、図6に示される研磨部を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例1で得られた研磨液を用いて当該円筒ころワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:100min-1、円筒ころ用ワークの回転数:2000min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:120分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッドおよび側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23である。実施例2において、研磨前の銅製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図9(A)、研磨後の銅製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図9(B)に示す。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、下記基準:
(1)前加工の傷が取り除かれている。
(2)得られた金属部材の表面全体にわたって光沢ムラが見られない。
(3)酸化による呈色が見られない。
を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図9(A)および(B)に示された結果から、研磨前の円筒ころ用ワークの表面には、多数の細かい切削痕が存在し、かつ濃茶色の酸化膜が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの算術平均粗さRaは0.109μmであり、最大高さRyは1.46μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(製造例2)
アルミニウム合金(AL5052)からなる材料を引き抜き加工およびダイヤモンドバイト〔住友電工(株)製、商品名:ダイヤモンドバイトDA1000〕による精密切削加工によって加工して、直径15mmおよび長さ25mmの円筒ころ用ワークを得た。得られた円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。その結果、円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaは0.386μmであり、最大高さRyは2.13μmであった。
(実施例3)
製造例2で得られた円筒ころ用ワークを、図6に示される研磨部を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例1で得られた研磨液を用いて当該円筒ころワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:150min-1、円筒ころ用ワークの回転数:60min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:120分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッドおよび側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23である。研磨後の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
その結果、研磨後の円筒ころの算術平均粗さRaは0.109μmであり、最大高さRyは0.98μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例4)
酸化アルミニウムからなる粒子径4000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕0.754g(研磨液中における濃度:0.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH5.63)を得た。
(製造例3)
チタン(組成:チタン99.0質量%)からなる材料を引き抜き加工および超硬合金バイト〔東芝タンガロイ(株)製、商品名:タンガロイTNPL321C〕による精密切削加工によって加工して、直径12mmおよび長さ25mmの円筒ころ用ワークを得た。得られた円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。その結果、円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaは0.653μmであり、最大高さRyは3.56μmであった。
(実施例5)
製造例3で得られた円筒ころ用ワークを、図6に示される研磨部を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例4で得られた研磨液を用いて当該円筒ころワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:150min-1、円筒ころ用ワークの回転数:2000min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:120分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッドおよび側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23である。研磨後の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
その結果、研磨後の円筒ころの算術平均粗さRaは0.324μmであり、最大高さRyは1.89μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例6)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(製造例4)
一般構造用鋼SS41からなる鋼材を引き抜き加工および精密旋盤〔ワシノ機械(株)製、商品名:LEO〕による切削加工によって加工して、直径12mmおよび長さ12mmの円筒ころ用ワークを得た。得られた円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。その結果、円筒ころ用ワークの転がり摺動面を形成する部分の算術平均粗さRaは0.196μmであり、最大高さRyは1.453μmであった。
(実施例7)
製造例4で得られた円筒ころ用ワークを、図6に示される研磨部を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例6で得られた研磨液を用いて当該円筒ころワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、円筒ころ用ワークの回転数:2500min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:60分、研磨液の温度:25℃、使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例7において、研磨前の一般構造用鋼SS41製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図10(A)、研磨後の一般構造用鋼SS41製の円筒ころを観察した結果を図10(B)に示す。研磨後の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図10(A)および(B)に示された結果から、研磨前の円筒ころ用ワークの表面には、多数の細かい切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの算術平均粗さRaは0.0356μmであり、最大高さRyは0.65μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例8)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(製造例5)
軸受鋼SUJ2からなる鋼材に塑性加工、切削加工、熱処理、研削加工、バレル研磨加工を施して加工して、凸面壁部を有する球面ころの中央部の直径が19mmおよび長さが15mmである球面ころ用ワークを得た。得られたワークの算術平均粗さRaを表面検査機〔テーラーホブソン(株)製、商品名:タリサーフ〕によって測定した。その結果、ワークの算術平均粗さRaは0.150μmであった。
(実施例9)
製造例5で得られたワークを、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例8で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:30分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例9において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を図11(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を図11(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の球面の凸面壁部の中央部における算術平均粗さRaを表面検査機〔テーラーホブソン(株)製、商品名:タリサーフ〕によって測定した。また、得られた球面ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図11(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の細かい切削痕が存在していたのに対し、研磨後の球面ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の球面ころの凸面壁部の中央部における算術平均粗さRaは0.035μmであったことから、低い表面粗さを有する球面ころが得られたことがわかる。なお、ワークの研磨をさらに15分間行なったところ、研磨後の球面ころの凸面壁部の中央部における算術平均粗さRaは0.028μmであった。また、得られた球面ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例10)
酸化アルミニウムからなる粒子径11500nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(実施例11)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(製造例6)
軸受鋼SUJ2からなる鋼材に塑性加工、切削加工および研削加工を施して加工して、凸面壁部を有する球面ころの中央部の直径が19mmおよび長さが15mmである球面ころ用ワークを得た。得られたワークの算術平均粗さRaを表面検査機〔テーラーホブソン(株)製、商品名:タリサーフ〕によって測定した。その結果、ワークの算術平均粗さRaは0.219μmであった。
(実施例12)
製造例6で得られたワークを、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例10で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:120分、研磨液の温度:25℃、使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。
つぎに、研磨後のワークの表面を、実施例11で得られた研磨液を用いて研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:30分、研磨液の温度:25℃、使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例12において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を示す図12(A)、粒子径11500nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を図12(B)、粒子径1000nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を図12(C)に示す。また、粒子径1000nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の軸受鋼SUJ2製の球面ころの凸面壁部の中央部における算術平均粗さRaを表面検査機〔テーラーホブソン(株)製、商品名:タリサーフ〕によって測定した。また、得られた球面ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図12(A)〜(C)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の細かい切削痕が存在していたのに対し、研磨が進むほど、球面ころの表面が平滑化されていることがわかる。また、粒子径1000nmの砥粒を含む研磨液を用いて研磨した後の球面ころの凸面壁部の中央部における算術平均粗さRaは0.061μmであったことから、低い表面粗さを有する球面ころが得られたことがわかる。また、得られた球面ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
以上の実施例1〜12の結果から、本発明の研磨装置および研磨液を用いることにより、転動体に対応するワークを低い表面粗さになるまで効率よく研磨することができることがわかる。また、本発明の研磨装置および研磨液を用いることにより、実用上十分なレベルの部材を得ることができることがわかる。
(実施例13)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(製造例7)
機械構造用高炭素鋼S55Cに塑性加工、切削加工、研削加工、を施し、焼入れ処理(1300℃、30分間加熱後水焼入れ)および研磨加工を施して焼入れ鋼からなる鋼材を得た。得られた焼入れ鋼からなる鋼材に研削加工およびバレル研磨加工を施して加工して、直径16mmの玉用ワークを得た。得られたワークの算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。その結果、ワークの算術平均粗さRaは0.12μmであり、最大高さRyは1.51μmであった。
(実施例14)
製造例7で得られたワークを、図7に示される研磨部を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、実施例13で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、側壁パッドとして、鋭角状パッドまたは半球状パッドを用いた。また、研磨条件は、容器の回転数:250min-1、ワークの回転数:3500min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:60分、研磨液の温度:25℃、使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例14において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図13(A)、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を図13(B)、半球状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を図13(C)に示す。また、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉および半球状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉それぞれの算術平均粗さRaおよび最大高さRyをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた玉について、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図13(A)〜(C)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の細かい切削痕が存在していたのに対し、鋭角状パッドまたは半球状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉の表面は、平滑化されていることがわかる。また、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉の算術平均粗さRaは0.043μm、最大高さRyは0.51μmであり、半球状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉の算術平均粗さRaは0.051μm、最大高さRyは0.62μmであったことから、低い表面粗さを有する玉が得られたことがわかる。また、得られた玉は、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例15)
酸化アルミニウムからなる粒子径11500nmの砥粒〔フジミインコーポレーテッド(株)製、商品名:ホワイトフューズッドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(実施例16)
実施例14において、実施例13で得られた研磨液を用いる代わりに実施例15で得られた研磨液を用いたことを除き、実施例14と同様の操作を行ない、玉を得た。実施例16において、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を図14に示す。また、得られた玉について、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図14に示された結果から、得られた玉は、実施例14で得られた玉と同様に、低い表面粗さを有していることがわかる。また、得られた玉は、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(比較例1)
酸化アルミニウムからなる粒子径300nmの粒子〔フジミインコーポレーテッド(株)製、商品名:ホワイトフューズッドアルミナ〕37.5g(研磨液中における濃度:20質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕0.75g(研磨液中における濃度:0.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH5.63)を得た。
(比較例2)
二酸化チタンからなる粒子径100nmの粒子〔ホソカワミクロン(株)製、商品名:酸化チタン〕37.5g(研磨液中における濃度:20質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕0.75g(研磨液中における濃度:0.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH5.63)を得た。
(比較例3)
実施例14において、実施例13で得られた研磨液を用いる代わりに比較例1で得られた研磨液を用いたことを除き、実施例14と同様の操作を行なった。比較例3において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図15(A)、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を図15(B)に示す。また、得られた玉について、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図15に示された結果から、玉の表面は、研磨されておらず、酸化して黒色化していることがわかる。したがって、得られた玉は、前記基準のいずれも満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例4)
実施例14において、実施例13で得られた研磨液を用いる代わりに比較例2で得られた研磨液を用いたことを除き、実施例14と同様の操作を行なった。得られた玉について、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。その結果、玉の表面は、研磨されておらず、酸化して黒色化していた。したがって、得られた玉は、前記基準のいずれも満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例5)
酸化アルミニウムからなる粒子径300nmの粒子〔フジミインコーポレーテッド(株)製、商品名:ホワイトフューズッドアルミナ〕16.7g(研磨液中における濃度:10質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径100nmの粒子(ホソカワミクロン(株)製、商品名:酸化チタン)3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(比較例6)
実施例14において、実施例13で得られた研磨液を用いる代わりに比較例5で得られた研磨液を用いたことを除き、実施例14と同様の操作を行なった。比較例6において、研磨前の焼入れ鋼製の玉用ワークを観察した結果を示す図16(A)、鋭角状パッドを用いた場合の研磨後の焼入れ鋼製の玉を観察した結果を図16(B)に示す。また、得られた玉について、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図16に示された結果から、玉の表面は、研磨されておらず、酸化して黒色化していることがわかる。したがって、得られた玉は、前記基準のいずれも満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例7)
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの粒子〔フジミインコーポレーテッド(株)製、商品名:ホワイトフューズッドアルミナ〕5.26g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径100nmの粒子(ホソカワミクロン(株)製、商品名:酸化チタン)11.1g(研磨液中における濃度:10質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕8.01g(研磨液中における濃度:7.5質量%)と、精製水100gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(比較例8)
実施例9において、実施例8で得られた研磨液を用いる代わりに比較例7で得られた研磨液を用いたことを除き、実施例9と同様の操作を行なった。比較例8において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の球面ころ用ワークを観察した結果を図17(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の球面ころを観察した結果を図17(B)に示す。また、得られた球面ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図17(A)および(B)に示された結果から、球面ころの表面は、酸化して黒色化していることがわかる。したがって、得られた球面ころは、前記基準のいずれも満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(実施例17)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0236μm、最大高さRy:0.481μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例17において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図18(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図18(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図18(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面における算術平均粗さRaは0.0129μmであり、最大高さRyは0.230μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例18)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径150nmの光触媒粒子〔昭和電工(株)製、商品名:スーパータイタニアF−10〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0272μm、最大高さRy:0.563μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例18において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図19(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図19(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図19(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面における算術平均粗さRaは0.0124μmであり、最大高さRyは0.288μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例19)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径250nmの光触媒粒子〔昭和電工(株)製、商品名:スーパータイタニアG−1〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0266μm、最大高さRy:0.460μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例19において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図20(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図20(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図20(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.013μmであり、最大高さRyは0.266μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例20)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径300−500nmの光触媒粒子〔チタン工業(株)製、商品名:KRONOS KA−10〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0233μm、最大高さRy:0.487μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例20において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図21(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図21(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図21(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.00128μmであり、最大高さRyは0.266μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(比較例9)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径30nmの光触媒粒子〔テイカ(株)製、商品名:二酸化チタンAMT−600〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0269μm、最大高さRy:0.464μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。比較例9において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図22(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図22(B)に示す。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図22(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面および研磨後の円筒ころの表面ともに、多数の細かい切削痕が存在していることがわかる。したがって、得られた円筒ころは、前記基準(1)を満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例10)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径100nmの光触媒粒子〔ホソカワミクロン(株)製、商品名:二酸化チタン〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0268μm、最大高さRy:0.580μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。比較例10において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図23(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図23(B)に示す。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図23(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面および研磨後の円筒ころの表面ともに、光沢が少なく、多数の細かい切削痕が存在していることがわかる。したがって、得られた円筒ころは、前記基準(1)および(2)を満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(実施例21〕
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径180nmの光触媒粒子〔石原テクノ(株)製、商品名:光触媒用酸化チタンST−41〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0237μm、最大高さRy:0.453μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例21において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図24(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図24(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図24(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.0120μmであり、最大高さRyは0.197μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例22)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径150nmの光触媒粒子〔昭和電工(株)製、商品名:スーパータイタニアF−10〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0266μm、最大高さRy:0.569μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例22において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図25(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図25(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図25(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.0096μmであり、最大高さRyは0.237μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例23)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径250nmの光触媒粒子〔昭和電工(株)製、商品名:スーパータイタニアG−1〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0232μm、最大高さRy:0.501μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例23において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図26(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図26(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図26(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.0093μmであり、最大高さRyは0.228μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(実施例24)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径300−500nmの光触媒粒子〔チタン工業(株)製、商品名:KRONOS KA−10〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0253μm、最大高さRy:0.499μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。実施例24において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図27(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図27(B)に示す。研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころの転がり摺動面の算術平均粗さRaをサーフテスト〔ミツトヨ(株)製、商品名:SV−400〕によって測定した。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図27(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面には、多数の深い切削痕が存在していたのに対し、研磨後の円筒ころの表面は、平滑化されていることがわかる。また、研磨後の円筒ころの転がり摺動面の中央部における算術平均粗さRaは0.0116μmであり、最大高さRyは0.289μmであったことから、低い表面粗さを有する円筒ころが得られたことがわかる。また、得られた円筒ころは、前記基準(1)〜(3)の全てを満たすことから、実用上十分なレベルに達していることがわかる。
(比較例11)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径30nmの光触媒粒子〔テイカ(株)製、商品名:二酸化チタンAMT−600〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0232μm、最大高さRy:0.439μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。比較例11において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図28(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図28(B)に示す。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図28(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面および研磨後の円筒ころの表面ともに、多数の細かい切削痕が存在していることがわかる。したがって、得られた円筒ころは、前記基準(1)を満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例12)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径1000nmの砥粒〔(株)フジミインコーポレーテッド製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕7.89g(研磨液中における濃度:5質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径100nmの光触媒粒子〔ホソカワミクロン(株)製、商品名:二酸化チタン〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH4.23)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0259μm、最大高さRy:0.487μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。比較例12において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図29(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図29(B)に示す。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図29(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面および研磨後の円筒ころの表面ともに、多数の細かい切削痕が存在していることがわかる。したがって、得られた円筒ころは、前記基準(1)を満たさず、実用上不十分であることがわかる。
(比較例13)
(1)研磨液の調製
酸化アルミニウムからなる粒子径500〜700nmの砥粒〔フジミインコーポレーテッド(株)製、商品名:ホワイトフューズドアルミナ〕37.5g(研磨液中における濃度:20質量%)と、二酸化チタンからなる粒子径100nmの光触媒粒子〔ホソカワミクロン(株)製、商品名:二酸化チタン〕3.85g(研磨液中における濃度:2.5質量%)と、蛍光材料〔1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:Cathilon Brilliant Flavine GFH)〕0.378g(研磨液中における濃度:0.25質量%)と、精製水150gとを混合して研磨液(pH6.17)を得た。
(2)円筒ころ用ワークの研磨
軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワーク〔(株)東振精機、外径:19mm、ころ長さ:19mmの超仕上げ加工された円筒ころ用ワーク(算術平均粗さRa:0.0262μm、最大高さRy:0.535μm)〕を、図4の21bに示されるワーク支持孔を有する本発明の研磨装置のワーク支持孔にセットし、前記(1)で得られた研磨液を用いて当該ワークの表面を研磨した。なお、研磨条件は、容器の回転数:130〜150min-1、ワークの回転数:2200min-1、紫外線強度:0.8mW/cm、研磨時間および光照射時間:90分、研磨液の温度:25℃、ならびに使用した研磨パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−23、使用した側壁パッド:妙中パイル織物(株)製、商品名:ラビングクロスY15−20である。比較例13において、研磨前の軸受鋼SUJ2製の円筒ころ用ワークを観察した結果を図30(A)、研磨後の軸受鋼SUJ2製の円筒ころを観察した結果を図30(B)に示す。また、得られた円筒ころについて、前記基準(1)〜(3)を満たすかどうかを目視および光学顕微鏡付き走査型レーザ顕微鏡〔レーザテック(株)製:商品名:1LM−21〕によって評価した。
図30(A)および(B)に示された結果から、研磨前のワークの表面および研磨後の円筒ころの表面ともに、多数の細かい切削痕が存在していることがわかる。したがって、得られた円筒ころは、前記基準(1)を満たさず、実用上不十分であることがわかる。
以上の結果から、光触媒粒子と砥粒と蛍光材料と溶媒とを含む研磨液において、光触媒粒子として、粒子径が140〜550nm、好ましくは150〜500nmである光触媒粒子を用いることにより、低い表面粗さにまでワークを効率よく研磨することができ、前記基準(1)〜(3)の全てを満たす実用上十分なレベルの部材を得ることができることがわかる。また、砥粒は、光触媒粒子よりも大きい粒子径が好ましいことが示される。
砥粒の粒子径は、実施例14、16などの結果から、少なくとも1000nmであることが望ましいと考えられる。なお、砥粒の粒子径の上限は、ワークの呈色を抑制することができ、かつ低い表面粗さを達成することができる大きさであればよいと考えられ、通常、粒子径30000nm以下、好ましくは11500nm以下の砥粒を用いることができると考えられる。
また、実施例2、3、5、7、9および14において、研磨前後の表面粗さ、ワークの表面積および研磨時間から、単位表面積あたり表面粗さを単位時間に減らす効率(研磨効率)を求めたところ、表1に示される研磨効率でワークを研磨することができたことがわかる。なお、実施例2、3、5、7、9および14においては、ワークと研磨パッドとは点接触または線接触をしていることから、接触幅をほぼ10μmとし、表面積を算出した。
これに対し、非特許文献1に記載の方法にしたがい、純銅(組成:銅99%)からなる直径15mmで厚さ3.5mmの円板を450℃で360分間焼鈍し、酸化アルミニウムからなる砥粒(♯6000)でポリシングして得られた試料片(表面粗さRa:0.026μm)を、比較例1または2で得られた研磨液と図31に示される研磨装置とを用いて研磨し、研磨開始から最も低い表面粗さになったときの経過時間を研磨時間とし、研磨前の表面粗さ、最も低い表面粗さ、ワークの表面積および研磨時間から、従来の非特許文献1に記載の方法の研磨効率は、表2に示されるとおりであった。
材料が純銅である場合の研磨効率(実施例2、比較例1および2)それぞれを比較すると、本願発明の方法によれば、従来の非特許文献1に記載の方法よりも高い研磨効率でワークを研磨することができることがわかる。
また、蛍光材料として1H−ベンジミダゾリウム,2−[7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−1,3−ジメチル−,クロライド以外の一般式(I)で表わされる化合物を用いた場合にも、実施例1〜26と同様の結果が得られることが期待される。
以上説明したように、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有する本発明の研磨液を用いることにより、ワーク、特に、転動体用ワークなどの硬さが高いワークを低い表面粗さになるまで効率よく研磨することができ、ワークの表面の呈色およびワーク表面における光沢のムラが抑制され、かつワークの製造時における前加工の際に生じた傷が十分に取り除かれ、低い表面粗さを有する転動体を高い製造効率で製造することができることがわかる。
1 研磨装置
2 研磨部
3 台座
4 光源
10 容器
20 ワーク支持部
21 ワーク支持孔
21b ワーク支持孔
21c ワーク支持孔
21d ワーク支持孔
21e ワーク支持孔
22 側壁パッド
30 研磨パッド
31 有縁プレート
32 研磨パッド本体
32a 繊維
33 溝
40 研磨液供給部
60 回転軸
70 駆動部
80 制御部
201 側壁部
202 側壁部
203 側壁部
204 側壁部
205 角部
206 角部

Claims (5)

  1. 軸受の転動体用ワークに研磨加工を施す研磨加工工程を含む軸受の転動体の製造方法であって、
    前記研磨加工工程が、光触媒からなる粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料それぞれを励起させる光を透過する物質からなる砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液に前記ワークを接触させるとともに当該研磨液に前記光を照射しながら、前記ワークに研磨加工を施す工程であり、
    前記光触媒の粒子径が140〜550nmであり、
    前記砥粒の粒子径が、1000〜30000nmであることを特徴とする軸受の転動体の製造方法。
  2. 前記蛍光材料が、一般式(I):

    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)
    で表わされる化合物である請求項1に記載の方法。
  3. 研磨液を用いて転動体用ワークの表面を研磨するための研磨装置であって、
    前記研磨液が、光触媒からなる粒子径140〜550nmの粒子と蛍光材料と当該光触媒および蛍光材料を励起させる光を透過する砥粒と溶媒とを含有してなる研磨液であり、
    前記ワークを揺動可能に支持するための円盤状のワーク支持部と、
    前記ワーク支持部に支持された前記ワークの表面と摺接可能に配置され、当該ワーク支持部に対して中心軸回りに相対的に回転することによって前記ワークを回転させながら、前記研磨液を介して当該ワークの表面を研磨する円盤状の研磨パッドと、
    前記研磨液を前記ワーク支持部と前記研磨パッドとの間に供給する研磨液供給部と、
    前記研磨液中に含まれる光触媒および蛍光材料を励起させる光を照射する光源と、
    前記ワーク支持部と研磨パッドとを収容する容器と
    を備えており、
    前記ワーク支持部が、ワークを揺動可能に収容可能なワーク支持孔を有しており、
    前記ワーク支持孔において、ワーク支持部に対して前記研磨パッドを中心軸回りに相対的に回転させたときにワークと接触する側壁部に研磨パッドがさらに設けられており、
    前記容器の少なくとも内壁面が光触媒および蛍光材料を励起させる光を反射する性質を有することを特徴とする研磨装置。
  4. 前記研磨液供給部が前記研磨パッドの回転中心部に前記研磨液を供給するように配置されている請求項3記載の研磨装置。
  5. 前記研磨パッドのワークとの摺接面側の表面に複数の起毛した繊維からなる研磨パッド本体を有しており、当該研磨パッド本体には、放射状のパターンを有する溝が形成されている請求項3または4記載の研磨装置。
JP2012181709A 2012-08-20 2012-08-20 転動体の製造方法および研磨装置 Expired - Fee Related JP5354631B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012181709A JP5354631B1 (ja) 2012-08-20 2012-08-20 転動体の製造方法および研磨装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012181709A JP5354631B1 (ja) 2012-08-20 2012-08-20 転動体の製造方法および研磨装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013171429A Division JP5622158B2 (ja) 2013-08-21 2013-08-21 ワークの研磨方法および研磨液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5354631B1 true JP5354631B1 (ja) 2013-11-27
JP2014037046A JP2014037046A (ja) 2014-02-27

Family

ID=49765016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012181709A Expired - Fee Related JP5354631B1 (ja) 2012-08-20 2012-08-20 転動体の製造方法および研磨装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5354631B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114131483A (zh) * 2021-11-29 2022-03-04 中国航发哈尔滨轴承有限公司 一种金属气体含量测试用圆柱试样外径表面手持研磨辅助装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6821490B2 (ja) * 2017-04-03 2021-01-27 日本化薬株式会社 クマリン化合物又はそれらの塩、並びにこれを含んだ顔料組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114131483A (zh) * 2021-11-29 2022-03-04 中国航发哈尔滨轴承有限公司 一种金属气体含量测试用圆柱试样外径表面手持研磨辅助装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014037046A (ja) 2014-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622158B2 (ja) ワークの研磨方法および研磨液
JP5845174B2 (ja) 金属部品の高スループット仕上げ
US20120017741A1 (en) Sawing wire with abrasive particles partly embedded in a metal wire and partly held by an organic binder
CN102666009B (zh) 用于使例如为天然石和再造石、陶瓷以及玻璃的石材的板坯平滑或抛光的机器
US6732606B1 (en) Polished gear surfaces
RU2287615C2 (ru) Неабразивные среды с ускоренными химическими процессами
JP5354631B1 (ja) 転動体の製造方法および研磨装置
CN102076980B (zh) 自动调心滚子、轴承及自动调心滚子加工方法
CN102441826A (zh) 用于扁平工件的双面处理的装置和用于多个半导体晶片的同时双面材料去除处理的方法
CN1491146A (zh) 化学机械加工和表面精加工
US20210348030A1 (en) Polishing liquid, carrier particle, method for reducing cerium oxide, method for polishing glass substrate, method for manufacturing glass substrate, and method for manufacturing magnetic-disk glass substrate
JP2010023217A (ja) 被研磨物保持用キャリアディスク
US20140227944A1 (en) Mass finishing apparatus and method
CN110153860A (zh) 船舶甲板表面打磨设备
CN210232607U (zh) 一种抛光机的打蜡机构
CN218746984U (zh) 一种钢管表面高速抛光装置
MX2012005656A (es) Portapieza magnetico.
JPS58132455A (ja) 表面仕上げ装置
CN106737017A (zh) 一种玉器用高效打磨装置
CN211805362U (zh) 一种小型三轴砂带磨床
JP2010253599A (ja) 被研磨物キャリア及び研磨製品の製造方法
US20050238891A1 (en) Wear resistant grinding machine components
JP2022145548A (ja) 遠心バレル研磨方法
TWM398993U (en) Rolling mill
CN212044092U (zh) 一种大型器械的抛光装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5354631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees