以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3は、第1実施形態における伝送ネットワークシステムの構成と動作を説明する図である。
図1に示す伝送ネットワークシステム100は、伝送装置101a〜101dを備える。伝送装置101a〜101dは互いに伝送路で接続されている。2つの伝送装置間の伝送路は、例えば、600Mbpsなどの伝送速度の光ファイバ伝送路でもよい。以下、2つの伝送装置間の伝送路を「高速側伝送路」ともいう。図1には、高速側伝送路のうち伝送路107ab、107acおよび107adのみを示してある。
また、伝送装置101a〜101dには各々1つ以上のポートが実装される。各ポートは、伝送装置に作りつけになっていてもよいし、伝送装置が備えるコネクタ等のインタフェイスに追加のパッケージボードが取り付けられることで、ポートが伝送装置上に実装されてもよい。図1〜図3には、具体例としてポート102a〜102dのみを図示してある。なお、図1〜図3では、起動中のポートを太線で囲ってある。
また、伝送装置101aは、他の伝送装置101b、101cまたは101dのいずれかから後述のサーチ情報M1を受信したとき、サーチ情報M1の受信を知らせるための出力を行う出力手段としてのランプ103aを備える。ランプ103aは、伝送装置101aがサーチ情報M1を受信したとき点灯する。
伝送装置101aはさらに、他の伝送装置101b、101cまたは101dのいずれかから後述のサーチ済情報M2を受信したとき、サーチ済情報M2の受信を知らせるための出力を行う出力手段としてのランプ104aを備える。ランプ104aは、伝送装置101aがサーチ済み情報M2を受信したとき点灯する。
他の伝送装置101b、101cおよび101dも伝送装置101aと同様に、2つずつランプを備えている。なお、図1〜図3において、ランプ103a〜103dおよび104a〜104dのそれぞれは、消灯しているとき白で表され、点灯しているとき黒で表されている。
伝送ネットワークシステム100はさらに、パス割付DB(database)105を備える。パス割付DB105は、伝送装置間でポートの対により定義されるパスを表す、後述のパス情報M4を格納している。パス割付DB105は、伝送装置101a〜101dの各々と不図示の伝送路を介して接続されている。
また、伝送装置101aのポート102aには伝送路108aを介して端末106aが接続され、伝送装置101bのポート102bには伝送路108bを介して端末106bが接続されている。同様に、伝送装置101cのポート102cには伝送路108cを介して端末106cが接続され、伝送装置101dのポート102dには伝送路108dを介して端末106dが接続されている。なお、伝送装置と端末の間の伝送路108a〜108dは、例えば数Mbpsの伝送路でもよく、伝送装置間の伝送路よりも低速であるので、以下では「低速側伝送路」ともいう。
例えば、ISP(Internet Service Provider)は、伝送ネットワークシステム100により加入者に専用線を提供することができる。例えば、伝送ネットワークシステム100において、ポート102aと102cの間にパスが設定されると、加入者側の端末106aと106cの間に専用線が開設される。以下では、ポート102aと102cの間のパスの設定を具体例として第1実施形態の動作を説明する。
まず、開設しようとする専用線を定義するパス(以下、「対象パス」という)の一端のポートが起動される。例えば、ポート102aが起動される。すると、伝送装置101aは、ポート102aの対向ポートを探索するための情報であるサーチ情報M1を、他の伝送装置101b、101cおよび101dに、伝送路107ab、107acおよび107adをそれぞれ介して送信する。より正確には、伝送装置101aは、ランプ103aと104aが点灯していないときにポート102aが起動されると、サーチ情報M1を送信する。
サーチ情報M1を受信した伝送装置101b、101cおよび101dは、サーチ情報M1の受信を知らせるため、ランプ103b、103cおよび103dをそれぞれ点灯させる。なお、第1実施形態では、各ランプ103a〜103dは、サーチ情報M1の送信を知らせるためにも利用される。すなわち、この例では、伝送装置101aが、サーチ情報M1の送信を知らせるためにランプ103aを点灯させる。
伝送装置101bのオペレータはランプ103bが点灯すると、他の伝送装置のいずれかがサーチ情報M1を送信したこと、すなわち、いずれかのポート間でパスが設定されようとしていることを認識することができる。伝送装置101cと101dのオペレータにとっても、同様の認識が可能である。また、伝送装置101aは、ポート102aの起動によって確かにサーチ情報M1が送信されたことを、ランプ103aの点灯から認識することができる。
ここで、対象パスの他端であるポート102cを備える伝送装置101cのオペレータは、作業の当事者であるから、当然、ポート102aと102cが対向するよう予定されていることを知っているし、作業予定時刻も知っている。よって、伝送装置101cのオペレータは、作業予定時刻の前後にランプ103cが点灯するのを見ると、「ポート102aが起動されて、パスの設定のための作業が開始された」と認識することができる。
他方、対象パスとは無関係の伝送装置101bと101dのオペレータは、ポート102aと102cの間でパスが設定される予定について知っているかもしれないし、知らないかもしれない。なお、以下では、伝送ネットワークシステム100の運用において、回線の開設・増設・減設・接続先変更などの各種の作業は、無用の混乱や間違いを避けるために、時間をずらして行われるものとする。
すると、伝送装置101bと101dのオペレータは、少なくともランプ103bと103dがそれぞれ点灯した時刻には、パスの設定のための自分の予定は入っていないことを知っている。よって、伝送装置101bと101dのオペレータは、ランプ103bと103dの点灯を見ることで、「自分が担当していない他の伝送装置同士の間でパスの設定が行われようとしている」と認識することができる。
図1は、以上のようにしてランプ103a〜103dが点灯した状態の伝送ネットワークシステム100を表している。
続いて図2を参照して説明を続ける。伝送装置101cのオペレータは、ランプ103cの点灯を見て、伝送装置101a側で作業が開始されたことを認識し、対象パスの他端である伝送装置101c側での作業を開始する。具体的には、伝送装置101cのオペレータはポート102cを起動させる。
他の伝送装置(具体的には伝送装置101a)からサーチ情報M1を受信した後にポート102cが起動されると、伝送装置101cは、サーチ済情報M2を自分以外の伝送装置101a、101bおよび101dに送信する。換言すれば、伝送装置101cは、ランプ103cが点灯しているときにポート102cが起動されると、サーチ済情報M2をブロードキャストする。なお、第1実施形態においてサーチ済情報M2は、サーチ情報M1に対する返信である返信情報と、返信情報の発信を報知する返信報知情報とを兼ねている。
すなわち、伝送装置101cは、サーチ情報M1の送信元である伝送装置101aに対しては、伝送路107acを介して返信情報としてのサーチ済情報M2を送信することで、サーチ情報M1に対して返信している。
また、伝送装置101cは、サーチ情報M1の送信元ではない伝送装置101bと101dに対しては、伝送路107bcと107cdをそれぞれ介して、返信報知情報としてのサーチ済情報M2を送信する。サーチ済情報M2の送信により、伝送路107cは、伝送装置101c自身がサーチ情報M1に対して返信したことを、伝送装置101bと101dに報知している。
そして、伝送装置101a、101bおよび101dは、サーチ済情報M2を受信すると、ランプ104a、104bおよび104dをそれぞれ点灯させる。なお、第1実施形態では、各ランプ104a〜104dは、サーチ済情報M2の送信を知らせるためにも利用される。すなわち、この例では、伝送装置101cが、サーチ済情報M2の送信を知らせるためにランプ104cを点灯させる。
また、各伝送装置101a〜101dは、サーチ済情報M2の送信または受信を契機として、作業の進捗状況が変化したことを認識するので、今まで点灯していたランプ103a〜103dを、進捗状況の変化に合わせて消灯させる。
サーチ情報M1の送信元である伝送装置101aのオペレータは、ランプ104aの点灯を見て、対象パスの他端の側(すなわちポート102aから見て対向ポート側)の伝送装置101cにおいていずれかのポートが起動されたことを認識することができる。つまり、伝送装置101aのオペレータは、伝送装置101cのオペレータとの協働によるパスの構築のための作業が順調に進んでいる、と推測することができる。
また、サーチ情報M1の送信元ではない伝送装置101bのオペレータは、ランプ104bの点灯を見て、自分の担当ではない他の2つの伝送装置間でパスの設定が行われようとしていることを認識することができる。伝送装置101dのオペレータも同様の認識をすることができる。
伝送装置101bのオペレータが、ランプ103bと104bの点灯中には作業を控えることで、対象パスとは無関係な伝送装置101bのオペレータに起因する支障は避けられる。あるいは、サーチ済情報M2を受信した伝送装置101bは、ランプ104bの点灯中に、自身に実装されたポート102bが起動されたら、異常を知らせるための警告を発し、ポート102bの起動を無効化してもよい。伝送装置101bによって機械的に行われる起動の無効化は、伝送装置101bのオペレータに起因する支障をより確実に防ぐのに有効である。
伝送装置101dおよびそのオペレータに関しても同様である。すなわち、サーチ済情報M2の受信を契機としてのランプ104bと104dの点灯は、ヒューマンエラーの回避を支援するのに効果的である。
図2は、以上のようにしてポート102cが起動し、ランプ104a〜104dが点灯した状態の伝送ネットワークシステム100を表している。
続いて図3を参照して説明を続ける。ポート102cの起動後、伝送装置101cにおいて、ポート102cが、サーチ情報M1により対向ポートが探索されているポート102aと対向可能であるか否かが検証される。
検証の結果、対向不可であると判明し、対象パスの構築作業をやり直す必要が生じる場合もあるが、以下では、ポート102aと102cが対向可能であると判明したものとして説明を続ける。例えば、サーチ済情報M2を受信した伝送装置101aが、サーチ済情報M2の送信元である伝送装置101cにポート102aの種別を通知してもよい。そして、伝送装置101cが、通知されたポート102aの種別と、ポート102cに付随して記憶されているポート102cの種別とに基づいて、ポート102aと102cの対向可能性を判断してもよい。
また、詳しくは第2実施形態とともに説明するが、各ポートに何らかのパラメータ設定が必要なこともある。その場合、例えば、ポート102aの設定内容を伝送装置101aが伝送装置101cに送信することで、ポート102aに合わせて伝送装置101cがポート102cを自動的に設定することもできる。
適切にポート102cが設定されると、伝送装置101cはサーチ済情報M2の送信を停止し、伝送路109cを介してポート102cの定義情報M3をパス割付DB105に送信する。
例えば、ポート102cは、伝送装置101cが備えるコネクタなどのインタフェイスを介して伝送装置101cに着脱可能に取り付けられるパッケージボードとして実現されていてもよい。そして、伝送装置101cは、複数のパッケージボードを取り付けられるように、複数のコネクタを備えていてもよい。もちろん、ポート102cは、伝送装置101cに作りつけられていてもよい。
ポート102cの定義情報M3は、パスを定義するために使われる情報であって、パスの一端であるポート102cを伝送装置101c内で特定して定義する情報である。例えば、定義情報M3は、「ポート102cを実現するパッケージボードがどのコネクタに取り付けられているのか」または「ポート102cは何番目の作りつけのポートか」という、ポート102cの物理的位置を示す情報を含む。また、定義情報M3は、ポート102cの種別を示す情報、ポート102cと端末106cの間の伝送速度を示す情報などを含んでもよい。
また、伝送装置101aは、伝送装置101cからのサーチ済情報M2の送信停止を検知して、ランプ104aを消灯させる。伝送装置101aのオペレータは、ランプ104aが消灯するのを見て、対象パスの他端で正常にポート102cが設定されたことを認識することができる。
さらに、伝送装置101aは、伝送装置101cからのサーチ済情報M2の送信停止を検知すると、伝送路109aを介してポート102aの定義情報M3をパス割付DB105に送信する。この結果、パス割付DB105には、新たに構築された対象パスの両端であるポート102aと102cの双方の定義情報M3が揃う。
そこで、パス割付DB105からは、新たに構築された対象パスを表すパス情報M4が、伝送路109a〜109dをそれぞれ介して伝送装置101a〜101dに送信される。
なお、対象パスとは無関係な伝送装置101bも、伝送装置101cからのサーチ済情報M2の送信停止を検知して、ランプ104bを消灯させる。よって、伝送装置101bのオペレータは、ランプ104bが消灯するのを見て、「いずれか他の2つの伝送装置間で行われていたパス構築の作業が完了した」と認識することができる。
例えば、ポート102aと102c間のパスの構築に続いてポート102bと102d間のパスを構築することが予定されているかもしれないが、オペレータは、上記認識に基づくことで、他のパスの構築とは確実に時間帯をずらして作業を行うことが可能である。
同様に、伝送装置101dも、伝送装置101cからのサーチ済情報M2の送信停止を検知して、ランプ104dを消灯させるので、伝送装置101dのオペレータも、「いずれか他の2つの伝送装置間で行われていたパス構築の作業が完了した」と認識することができる。
以上から、第1実施形態によれば、離れた箇所にある伝送装置101a〜101dそれぞれのオペレータは、ランプの表示を見ることで、他の伝送装置でどのような処理が行われているかを認識することができ、現状を正しく把握することができる。したがって、第1実施形態はヒューマンエラーの回避に資する。
図4は、第1実施形態の伝送ネットワークシステムの動作タイミングチャートの一例である。図4には、図1〜図3を参照して説明した上記の例が表されている。
例えば、時刻ta1に伝送装置101aのポート102aが起動され、伝送装置101aがサーチ情報M1を伝送装置101b〜101dに送信する。また、伝送装置101aは時刻ta1にランプ103aを点灯させる。
すると、伝送装置101b、101cおよび101dは、それぞれ時刻tb2、tc2およびtd2にサーチ情報M1を受信し、ランプ103b、103cおよび103dをそれぞれ点灯させる。
その後、伝送装置101cにおいて時刻tc3にポート102cが起動されると、伝送装置101cはサーチ済情報M2を送信する。また、伝送装置101cは時刻tc3にランプ103cを消灯させ、ランプ104cを点灯させる。
すると、伝送装置101aは時刻ta4にサーチ済情報M2を受信して、ランプ103aを消灯させるとともにランプ104aを点灯させる。また、伝送装置101bは時刻tb4にサーチ済情報M2を受信して、ランプ103bを消灯させるとともにランプ104bを点灯させる。同様に、伝送装置101dは時刻td4にサーチ済情報M2を受信して、ランプ103dを消灯させるとともにランプ104dを点灯させる。
図4には、各伝送装置101a〜101dにおけるランプ103a〜103dのランプ点灯期間La1〜Ld1が矩形で示してある。
時刻tc3の後、伝送装置101cでは、ポート102cがポート102aと対向可能であるか否かの検証や、ポート102cの設定などの処理が適宜行われる。時刻tc5に検証と設定の処理が終わったとすると(すなわち時刻tc3から時刻tc5が検証・設定期間Kcである)、伝送装置101cは時刻tc5に、ポート102cの定義情報M3をパス割付DB105に送信する。すると、パス割付DB105は時刻tx6にポート102cの定義情報M3を受信する。
伝送装置101cはさらに、時刻tc5に、今まで続けていたサーチ済情報M2の送信を停止することによって、伝送装置101a、101bおよび101dに、所定の処理(すなわちポート102cの設定)が終了したことを通知する。あるいは、伝送装置101cは、ポート102cの設定が終了したことを明示的に表す終了情報を、改めて時刻tc5に送信してもよい。
図4では、サーチ済情報M2の送信停止、またはサーチ済情報M2とは別の明示的な終了情報の送信による通知を、「M5」という参照符号で表している。
すると、伝送装置101a、101bおよび101dは、それぞれ時刻ta7、tb7およびtd7に、サーチ済情報M2の送信停止を検知するか、または終了情報を受信することで、通知M5を認識する。つまり、通知M5が具体的にどのようになされるにしろ、伝送装置101a、101bおよび101dは、作業の進捗状況が変化してサーチ済情報M2の受信を否定する状態に遷移したことを認識する。
その結果、伝送装置101a、101bおよび101dは、それぞれランプ104a、104bおよび104dを消灯させる(つまり、サーチ済情報M2の受信を知らせるための出力を停止させる)。また、伝送装置101cも、時刻tc5でランプ104cを消灯させている。
図4には、各伝送装置101a〜101dにおけるランプ104a〜104dのランプ点灯期間La2〜Ld2が矩形で示してある。
そして、対象パスの一端となる伝送装置101aは、時刻ta7においてさらに、ポート102aの定義情報M3をパス割付DB105に送信する。するとパス割付DB105は時刻tx8にポート102aの定義情報M3を受信するので、パス割付DB105には対象パスの両端のポート102aと102c双方の定義情報M3が揃う。
そこで、パス割付DB105は時刻tx8において、取得したポート102aと102c双方の定義情報M3に基づいて、新たに構築された対象パスのパス情報M4を、伝送装置101a〜101dに送信する。伝送装置101a、101b、101cおよび101dではそれぞれ時刻ta9、tb9、tc9およびtd9にパス情報M4を受信する。
以上により、伝送ネットワークシステム100内に新たなパスが構築され、構築された新たなパスのパス情報M4を、伝送ネットワークシステム100内の全伝送装置が認識することができる。また、ポート102aと102cの間の新たなパスが構築される作業が行われている間、離れた場所にある伝送装置101a〜101dそれぞれのオペレータは、他の伝送装置で行われている作業の概要を、ランプの点灯または消灯に基づいて認識することが可能である。
続いて、図5〜図21を参照して第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様または類似の構成要素については、同じ参照符号を用いる。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、伝送装置101a〜101dおよびパス割付DB105を含む伝送ネットワークシステム100を例として説明する。
第2実施形態における伝送ネットワークシステム100は、具体的には光伝送ネットワークである。例えば、伝送ネットワークシステム100は、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)に準拠した伝送装置による光伝送ネットワークでもよい。
SDHは、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication standardization sector)で標準化された、光ファイバを用いた高速デジタル通信方式の国際規格である。SDHは、ISP間を結ぶインターネットのバックボーン回線などに用いられ、例えばヨーロッパで採用されており、米国ではSONET(Synchronous Optical NETwork)という名称で知られる。
以下では、第2実施形態について次の順序で説明する。まず、図5を参照して、伝送装置101a〜101dに共通の構成を説明する。次に、図6〜図10のフローチャートを参照して、各伝送装置101a〜101dの一般的な動作を説明する。その後、第1実施形態と同様に、伝送装置101a上のポート102aと伝送装置101c上のポート102cとを結ぶパスが対象パスである場合を例として、図11〜図21を参照して具体的な動作シーケンスについて説明する。
図5は、第2実施形態における伝送装置の構成図である。なお、伝送装置101a〜101dのそれぞれは、第2実施形態では同じ構成要素を有しているので、以下では英字の添え字を略して「伝送装置101」のように参照することがある。
図5において、伝送装置101は伝送路109を介してパス割付制御部110と接続されている。パス割付制御部110は、第1実施形態と同様のパス割付DB105を制御する装置であり、例えば一般的なコンピュータでもよい。パス割付制御部110は、パス割付DB105および各伝送装置101a〜101dと接続されている。すなわち、第2実施形態の伝送装置101は、パス割付制御部110を介してパス割付DB105と接続されている。
また、図5において伝送装置101は、図5には示していない他の伝送装置と、伝送路107−1〜107−nの各々を介して接続されている。第2実施形態における伝送路107−1〜107−nは、例えば、150Mbps、600Mbps、2.4Gbpsなどの伝送速度の光ファイバによる高速側伝送路である。
例えば、図5の伝送装置101が、伝送装置101a〜101dを含む伝送ネットワークシステム100内の伝送装置101aである場合、具体的にはn=3でもよい。そして、伝送装置101aは、伝送路107−1を介して伝送装置101bと接続され、伝送路107−2を介して101cと接続され、伝送路107−3を介して伝送装置101dと接続されてもよい。
伝送装置101はさらに、低速側の伝送路108−1を介して不図示の端末と接続されている。例えば、図5の伝送装置101が図1と同様の伝送装置101aである場合、伝送装置101aは、図1の伝送路108aに相当する図5の伝送路108−1を介して図1の端末106aと接続されていてもよい。
以上のように各種装置と接続された伝送装置101は、図5に示すように、伝送装置101全体を制御する制御部201と、伝送路107−1〜107−nのそれぞれに対応する伝送路部202−1〜202−nを備える。伝送装置101はさらに、多重分離部203と、表示部204と、パス情報格納部205を備える。
また、伝送装置101には、最大でm個のポート102−1〜102−mを実装することができる。ポート102−1〜102−mは、例えば、伝送装置101に作り付けのポートでもよく、伝送装置101に着脱可能なパッケージボードにより実現されてもよい。つまり、伝送装置101は、追加ポートのパッケージボードを取り付けるためのコネクタを有していてもよい。一般には、m>nである。なお、以下では説明の簡単化のため、どのポート102−1〜102−mもパッケージボードにより実現されるものとして説明する。
制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ファームウェアプログラムを格納する不揮発性メモリと、ワーキングエリア用のRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータにより実現されてもよい。不揮発性メモリとしては、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを利用することができる。あるいは、制御部201の一部または全部は、専用のハードウェア回路により実現されてもよい。制御部201による伝送装置101の制御の詳細は、図6〜図10のフローチャートとともに後述する。
伝送路部202−1〜202−nの各々は、伝送路107−1〜107−nと多重分離部203の間の通信インタフェイスである。つまり、j番目(1≦j≦n)の伝送路部202−jは、多重分離部203からの出力を伝送路107−jに送出するとともに、伝送路107−jからの入力を多重分離部203に出力する。
多重分離部203は、1≦i≦mとなる各iについて、ポート102−iから出力される信号を受け取る。そして、多重分離部203は、受け取った信号を、ポート102−iの対向ポートに応じて(つまり、パスを定義するパス情報M4に応じて)、伝送路部202−1〜202−nのいずれかへの出力信号に多重する。多重分離部203は、多重に際して、低速側伝送路の伝送媒体に合わせて、必要に応じて電気信号から光信号への変換を行うこともできる。
なお、パス情報M4は、パス割付制御部110を介してパス割付DB105から伝送装置101に送信され、パス情報格納部205に格納されている。
また、多重分離部203は、1≦j≦nとなる各jについて、伝送路107−jから伝送路部202−jを介して受信される多重された信号を受け取る。そして、多重分離部203は、受け取った信号をパス情報M4に応じて分離し、ポート102−1〜102−mのいずれかへ出力する。多重分離部203は、分離に際して、低速側伝送路の伝送媒体に合わせて、必要に応じて光信号から電気信号への変換を行うこともできる。
例えば、ポート102−iは、既に確立された専用線のパスの一端であるとする。そして、ポート102−iの対向ポートが実装されている不図示の他の伝送装置と伝送装置101が、伝送路107−jを介して接続されているとする。
この場合、多重分離部203は、ポート102−iから出力される信号を、伝送路部202−jへの出力信号に多重する。また、この場合、多重分離部203は、伝送路部202−jから受け取った多重された信号から、ポート102−iの対向ポートからの信号を分離して、ポート102−iに出力する。
なお、図5では、対向する2つのポートにより定義されるパスにより提供される回線によりポイント・ツー・ポイントで接続された端末間で送受信されるデータの流れを、白い太矢印で示している。
表示部204は、例えば、第1実施形態で例示したようなランプでもよいし、文字や記号を表示することが可能なディスプレイでもよいし、両者の組み合わせでもよい。具体的には、例えば、LED(Light Emitting Diode)ランプやLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどを、表示部204として用いることができる。文字、記号、ランプの色、ランプの点滅パターン、複数のランプのうち点灯しているものの組み合わせパターンなどにより、表示部204は様々な情報を表すことができる。
また、表示部204に替えて、または表示部204とともに、音声的な出力を行うスピーカを出力手段として利用することもできる。詳しくは後述するように、表示部204は、例えばサーチ情報M1の受信などを知らせるための表示を行う。
パス情報格納部205は、上記のようにパス情報M4を格納している。パス情報M4が更新されると、それに応じて、多重分離部203の振る舞いも変化する。
ポート102−1は、ポート制御部211−1、ポート情報格納部212−1、ポート表示部213−1および通信処理部214−1を備える。他のポート102−2〜102−mも同様である。
ポート制御部211−1は、ポート102−1全体を制御しており、例えばファームウェアプログラムにしたがって動作するCPUと不揮発性メモリとRAMによって実現されてもよいし、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
ポート情報格納部212−1は、ポート102−1に関する情報であるポート情報を格納する。ポート情報は、具体的には、後述の種別情報M8と個別設定情報M9を含む。
ポート表示部213−1は、例えばLEDランプなどにより実現され、ポート102−1の状態などを示すための表示を行う。例えば、LEDランプの色または点滅パターンにより、ポート表示部213−1は各種の状態を示し分けることができる。
通信処理部214−1は、伝送路108−1を介して接続された不図示の端末から信号を受け取って多重分離部203に出力するとともに、多重分離部203により分離された信号を受け取って伝送路108−1を介して上記端末へ出力する。また、通信処理部214−1が通信中であるとき、ポート表示部213−1は「通信中」を示す表示を行ってもよい。
なお、図5に示すように、伝送装置101の内部では、構成要素間で各種の情報がやりとりされる。どの情報がどのようなタイミングでやりとりされるかについては後述するが、具体的には、次のような情報のやりとりがある。
多重分離部203は、分離した信号の中に、第1実施形態と同様のサーチ情報M1もしくはサーチ済情報M2、またはポート情報の一例である種別情報M8もしくは個別設定情報M9を表す信号があると、これらの情報を制御部201へと出力する。
ポート102−1が起動すると、ポート制御部211−1は、ポート102−1が起動したことを示す起動情報M6を制御部201に出力する。また、ポート102−1は、ポート情報格納部212−1が格納する種別情報M8と個別設定情報M9を制御部201に出力することもある。逆に、多重分離部203から制御部201に出力された種別情報M8と個別設定情報M9が、さらに制御部201からポート102−1に出力され、ポート情報格納部212−1に格納されることもある。
制御部201は、表示部204の表示内容を制御するための表示情報M7を表示部204に出力する。制御部201はさらに、ポート102−1のポート制御部211−1から出力される起動情報M6などに基づいて、サーチ情報M1またはサーチ済情報M2を生成し、多重分離部203に出力する。また、制御部201は、ポート情報格納部212−1から読み出した種別情報M8と個別設定情報M9を多重分離部203に出力することもある。
また、上記のように伝送装置101の外部のパス割付制御部110からは伝送路109を介してパス情報M4が入力され、パス情報格納部205に格納される。パス情報M4は、多重分離部203の振る舞いを決定する制御情報として利用される。
また、制御部201は、種別情報M8と個別設定情報M9に基づいて伝送路109を介して定義情報M3をパス割付制御部110に送信することもある。
なお、図5では、伝送装置101とパス割付制御部110との間の通信インタフェイスは省略してある。また、伝送装置101とパス割付制御部110の間の伝送路109は、論理的な伝送路を示すものであり、具体的にどのような物理的伝送路により実現されるかは任意である。
例えば、伝送装置101とパス割付制御部110は、伝送路109としてのケーブルで直接接続されていてもよい。あるいは、伝送路109は無線伝送路でもよい。また、伝送路109の少なくとも一部が、伝送路107−1〜107−nのいずれかにより実現されてもよい。
より具体的には、例えば、図3のような伝送ネットワークシステム100において、図3には不図示の図5のパス割付制御部110と、図3および図5に示すパス割付DB105は、1台のサーバにより実現されてもよい。そして、伝送装置101aは、図3の伝送路109aとしてのケーブルにより、直接サーバに接続されてもよい。他方で、伝送装置101bは、図1に示す伝送路107ab(図5の伝送路107−1〜107−nのいずれかに相当)と上記ケーブルによって実現される図3の伝送路109bにより、他の伝送装置101aを介して間接的にサーバに接続されていてもよい。
続いて、図6〜図10のフローチャートを参照して、図5の伝送装置101の動作について説明する。図6〜図10では、ポート102の動作を左列に示し、制御部201の動作を中列に示し、表示部204の動作を右列に示してある。
なお、以下ではポート102−1〜102−mのいずれか任意の1つを表すのに「102」という参照符号を用いる。同様に、ポート内部の構成要素も、「−1」などの添え字のない参照符号で参照する。
図6は、第2実施形態におけるポート起動を契機とする一連の処理のフローチャートである。
まず、ステップS101でポート102が起動される。実施形態に応じて、ポート102は、例えば、ポート102を実現するパッケージボードがコネクタに接続されると自動的に起動するものでもよいし、不図示のスイッチがオペレータによりオンにされると起動するものでもよい。
ポート102が起動すると、ポート制御部211は「ポート102が起動した」ということを表す起動情報M6を制御部201に出力する。
すると、ステップS201で起動情報M6をポート制御部211から受信したことを契機として、制御部201は、ステップS202以下の処理を開始する。
具体的には、ステップS202で制御部201は、当該制御部201を備える伝送装置101が、他の伝送装置にサーチ情報M1を配信中であるか否かを判断する。なお、詳しくは図6のステップS205および図8のステップS225とともに後述するが、第2実施形態では、ある伝送装置101が一旦ステップS205でサーチ情報M1を配信し出すと、ステップS225までサーチ情報M1の配信を続ける。
よって、伝送装置101がサーチ情報M1の配信を続行している最中であるとき、制御部201は、異常状態であることを知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に出力する。また、このとき制御部201はさらに、起動を禁止する信号を、起動されたポート102のポート制御部211に出力し、ポート102の起動を無効化してもよい。
すると、ステップS301で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS302で、異常状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
後述のステップS205から明らかなように、第1実施形態と同様に第2実施形態でも、最初にポートが起動された側の伝送装置101がサーチ情報M1を配信する。よって、例えば次のような不適切な起動操作が行われた場合に、ステップS202とS301とS302によれば、異常状態であることが正確に判断され、異常状態の表示がなされる。例えば、伝送装置101aで第1のポート102−1が新たに起動され、第1のポート102−1とその対向ポートの間のパスが構築されないうちに、誤って伝送装置101aの第2のポート102−2がさらに起動されると、異常状態であることが表示される。
また、ステップS202において、伝送装置101がサーチ情報M1を配信中ではないと制御部201が判断すると、処理はステップS203に移行する。ステップS203で制御部201は、伝送装置101がサーチ済情報M2を受信中であるか否かを判断する。
なお、詳しくは図6のステップS207および図9のステップS237とともに後述するが、第2実施形態では、ある伝送装置101が一旦ステップS207でサーチ済情報M2を配信し出すと、ステップS237まで配信を続ける。換言すれば、他の伝送装置からサーチ済情報M2を受信し出した後は、当該他の伝送装置でステップS237が実行されるまで、サーチ済情報M2の受信が続く。
そこで、制御部201は、他の伝送装置からサーチ済情報M2を受信中であれば、異常状態であることを知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に出力する。また、このとき制御部201はさらに、起動を禁止する信号を、起動されたポート102のポート制御部211に出力し、ポート102の起動を無効化してもよい。
すると、上記で説明したのと同様にして、ステップS301で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS302で、異常状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
後述のステップS207から明らかなように、第1実施形態と同様に第2実施形態でも、伝送ネットワークシステム100内の第1の伝送装置でポートが起動された後、次に第2の伝送装置でポートが起動されると、サーチ済情報M2が配信される。その後、パスの構築が完了しないうちにさらに、第3の伝送装置でもポートが起動されると、ステップS203で第3の伝送装置の制御部201は、「現在構築中のパスとは無関係なポートが起動された(すなわち、不適切な操作が行われた)」と判断する。
その結果、ステップS302では、第3の伝送装置の表示部204が、異常状態を知らせる表示を行う。したがって、不適切なタイミングでポートの起動操作をした第3の伝送装置のオペレータは、自分の操作が不適切だったことを認識することができる。
ステップS203において逆に、他の伝送装置からサーチ済情報M2が今まで受信されていないか、または、今まで受信していたサーチ済情報M2の受信が途絶えた場合は、制御部201は、「サーチ済情報M2の受信中ではない」と判断する。そして、処理はステップS204に移行する。
ステップS204で制御部201は、伝送装置101がサーチ情報M1を受信中であるか否かを判断する。上記のように、ある伝送装置が一旦サーチ情報M1を後述のステップS205で配信し出すと、ステップS225まで配信を続けるので、他の伝送装置では、サーチ情報M1を受信し出した後はサーチ情報M1の受信が続くことになる。
制御部201は、他の伝送装置からサーチ情報M1から今まで受信されていないか、または今まで受信していたサーチ情報M1の受信が途絶えた場合は、「サーチ情報M1の受信中ではない」と判断する。つまり、これから新たに定義しようとする対象パスの両端となる2つのポート102のうち、最初に起動されたポート102が実装されている伝送装置101内の制御部201は、ステップS204で「サーチ情報M1の受信中ではない」と判断することになる。そして、サーチ情報M1の受信中ではないとき、処理はステップS205に移行する。
ステップS205で制御部201は、サーチ情報M1を配信するための制御を行う。すなわち、制御部201は、サーチ情報M1を多重分離部203に出力し、伝送路部202−1〜202−nそれぞれへの出力信号にそれぞれサーチ情報M1を多重するよう、多重分離部203を制御する。その結果、サーチ情報M1は、伝送路107−1〜107−nを通って他の伝送装置へ配信される。ステップS205の制御により、多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nは、サーチ情報M1を送信する送信手段として機能する。
なお、一旦ステップS205を実行すると、制御部201は、図8のステップS225を実行するまで、各伝送路部202−1〜202−nへの出力にサーチ情報M1を多重し続けるよう、多重分離部203を制御する。
ステップS205に続いて、ステップS206で制御部201は、サーチ情報M1を送信中であることを示す「サーチ状態」であることを知らせるための表示情報M7を生成し、生成した表示情報M7を表示部204に通知する。
すると、ステップS303で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS304で、サーチ状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。サーチ状態とは、換言すれば、これから構築しようとする対象パスの一端の伝送装置において、他端のポート(すなわち対向ポート)がこれから他端の伝送装置で起動されるのを待っている状態である。サーチ状態を知らせるための表示部204の表示を見たオペレータは、「対向ポートはまだ起動されていない」という、離れた場所にある他の伝送装置での操作の進捗状況を把握することができる。
また、ステップS204において、伝送装置101がサーチ情報M1の受信中であると制御部201が判断すると、処理はステップS207に移行する。
ステップS207で制御部201は、サーチ済情報M2を配信するための制御を行う。すなわち、制御部201は、サーチ済情報M2を多重分離部203に出力し、伝送路部202−1〜202−nそれぞれへの出力信号にそれぞれサーチ済情報M2を多重するよう、多重分離部203を制御する。その結果、サーチ済情報M2は、伝送路107−1〜107−nを通って他の伝送装置へ配信される。ステップS207の制御により、多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nは、サーチ済情報M2を送信する送信手段として機能する。
なお、一旦ステップS207を実行すると、制御部201は、図9のステップS237を実行するまで、各伝送路部202−1〜202−nへの出力にサーチ済情報M2を多重し続けるよう、多重分離部203を制御する。
ステップS207に続いて、ステップS208で制御部201は、サーチ済情報M2を送信中であることを示す「サーチ済状態」であることを知らせるための表示情報M7を生成し、生成した表示情報M7を表示部204に通知する。
すると、ステップS305で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS306で、サーチ済状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。サーチ済状態とは、換言すれば、これから構築しようとする対象パスの一端にあたる第1のポートが起動された後、他端にあたる第2のポートがさらに起動されるところまで、処理が進んだという状態である。
サーチ済状態を知らせるための表示部204の表示を見たオペレータは、自分が関わっている対象パスの構築のための処理が順調に進んでいることを認識することができる。換言すれば、オペレータは、ステップS302で説明したような異常状態が表示されず、期待どおりにサーチ済状態が表示されたことを見て、処理が正常に進んでいることを認識することができる。
図7は、第2実施形態におけるサーチ情報の受信を契機とする一連の処理のフローチャートである。
他の伝送装置が図6のステップS205でサーチ情報M1を配信し出すと、ステップS211で伝送装置101は、サーチ情報M1を受信する。つまり、伝送装置101は、当該他の伝送装置と接続された伝送路107−i(iは1からnのいずれかである)を介して、伝送路部202−iにおいて、サーチ情報M1が多重された信号を受信する。伝送路部202−iは受信した信号を多重分離部203に出力する。多重分離部203は、伝送路部202−iから入力された信号を分離し、サーチ情報M1を取り出し、制御部201に出力する。
なお、伝送路部202−iから多重分離部203に入力される信号には、サーチ情報M1だけでなく、定義済みの既存の専用回線で送られる信号も多重されている。多重分離部203は、入力された信号を適宜分離してポート102−1〜102−mのうち1つ以上のポートへ分配するとともに、入力された信号からサーチ情報M1を分離して制御部201へと出力する。
こうしてステップS211において多重分離部203から制御部201へとサーチ情報M1が出力されるのを契機として、ステップS212で制御部201は、サーチ状態であることを知らせるための表示情報M7を生成する。そして、制御部201は、生成した表示情報M7を表示部204に通知する。
すると、ステップS311で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS312で、サーチ状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
つまり、ステップS312によって、サーチ情報M1を送信した伝送装置以外の他の伝送装置のオペレータも、「現在伝送ネットワークシステム100は、ある新たな対象パスに関してサーチ状態である」と認識することができる。したがって、図6のステップS304と図7のステップS312により、伝送ネットワークシステム100内のどの伝送装置がサーチ情報M1を送信した場合でも、互いに離れた場所にいるすべての伝送装置のオペレータが、同じ認識に至ることが可能となる。
図8は、第2実施形態におけるサーチ済情報の受信を契機とする一連の処理のフローチャートである。
他の伝送装置が図6のステップS207でサーチ済情報M2を配信し出すと、ステップS221で伝送装置101は、サーチ済情報M2を受信する。つまり、伝送装置101は、当該他の伝送装置と接続された伝送路107−i(iは1からnのいずれかである)を介して、伝送路部202−iにおいて、サーチ済情報M2が多重された信号を受信する。伝送路部202−iは受信した信号を多重分離部203に出力する。多重分離部203は、伝送路部202−iから入力された信号を分離し、サーチ済情報M2を取り出し、制御部201に出力する。
なお、伝送路部202−iから多重分離部203に入力される信号には、サーチ済情報M2だけでなく、定義済みの既存の専用回線で送られる信号も多重されている。多重分離部203は、入力された信号を適宜分離してポート102−1〜102−mのうち1つ以上のポートへ分配するとともに、入力された信号からサーチ済情報M2を分離して制御部201へと出力する。
こうしてステップS221において多重分離部203から制御部201へとサーチ済情報M2が出力されるのを契機として、ステップS222で制御部201は、制御部201自身を備える伝送装置101がサーチ情報M1の配信中であるか否かを判断する。当該伝送装置101がサーチ情報M1の配信中であれば処理はステップS223に移行する。
ところで、当該伝送装置101がサーチ情報M1の配信中であるとき、図6から明らかなように、当該伝送装置101に実装されているいずれか1つのポート102がステップS101で起動されたことがサーチ情報M1の配信の契機である。
そして、サーチ情報M1の配信の契機となった当該ポート102は、起動後、図8のステップS121において、ポート102自身の種別情報M8と個別設定情報M9を制御部201へ通知する。
ステップS121は、ポート102内のポート制御部211が自発的に決定するタイミングで実行されてもよい。または、ステップS222で「当該伝送装置101がサーチ情報M1の配信中である」と判断した制御部201が、ポート102へ種別情報M8と個別設定情報M9の通知を要求し、ポート102は要求に応じてステップS121を実行してもよい。
いずれにしろ、ステップS121で、起動されたポート102内のポート情報格納部212が格納する種別情報M8と個別設定情報M9が制御部201に通知される。
種別情報M8はポート102の種別を表す情報で、例えば、固有の種別番号などにより表されていてもよい。第1実施形態に関して図1〜図3に示したように、第2実施形態においても、各ポート102には、端末が接続される。換言すれば、各ポート102は各端末回線を収容すると言ってもよい。ポート102の種別には、端末回線の違いに応じて例えば以下のようなものがあるが、下記の例には限定されない。
・アナログ音声回線
・X.21、V.24/28、V.35などのシリアルデータ回線
・PRI(Primary Rate Interface)、BRI(Basic Rate Interface)などの専用線
・接点信号
種別情報M8は、例えば、ポート102を実現するパッケージボードが工場で製造されるときに、ポート情報格納部212に記録されてもよい。
また、個別設定情報M9は、ポート102の種別に応じたパラメータに関する情報である。ポート102の種別に応じて、例えば、以下のようなパラメータの値が選定されることがある。
・ポート102に接続される端末との通信プロトコル
・ポート102と端末の間の低速側伝送路の回線速度(つまり伝送容量)
・端末間の通信手順(すなわち通信プロトコル)構築情報の転送条件
・回線障害時の警報情報の転送条件
個別設定情報M9は、例えば、ポート102を実現するパッケージボード(すなわち回路基板)のハードピンやスイッチにより指定されてもよいし、パッケージボード上に実装されたメモリ上に書き込まれてもよい。つまり、ポート情報格納部212は、ハードピン、スイッチ、メモリ、またはこれらの任意の組み合わせにより実現される。なお、少なくとも、対象パスを規定する2つのポートのうち先に起動されるポート102には、予め個別設定情報M9が設定されているものとする。
ポート102がステップS121で種別情報M8と個別設定情報M9を制御部201に通知すると、制御部201は、ステップS223で種別情報M8と個別設定情報M9を受信することを契機として、ステップS224〜S226の処理を行う。
ステップS224で制御部201は種別情報M8と個別設定情報M9を配信するための制御を行う。第2実施形態では、簡単のため、種別情報M8と個別設定情報M9は、無関係な伝送装置も含めて伝送ネットワークシステム100内の他のすべての伝送装置に配信されるものとする。実施形態によっては、制御部201は、サーチ済情報M2の送信元の伝送装置にのみ種別情報M8と個別設定情報M9を送信するための制御を実行してもよい。
すなわち、第2実施形態において制御部201は、多重分離部203に種別情報M8と個別設定情報M9を出力し、伝送路部202−1〜202−nそれぞれへの出力信号にそれぞれ種別情報M8と個別設定情報M9を多重するよう、多重分離部203を制御する。その結果、種別情報M8と個別設定情報M9は、伝送路107−1〜107−nを通って他の伝送装置へ配信される。
また、制御部201はステップS225で、図6のステップS205で配信を開始したサーチ情報M1の配信を停止するよう、多重分離部203に指示する。すなわち、サーチ済情報M2の受信により、制御部201は、対象パスの構築のための処理状況が変化したことを認識し、変化に合わせてサーチ情報M1の配信を停止する。
そして、制御部201はステップS226で、サーチ済状態であることを知らせるための表示情報M7を生成し、生成した表示情報M7を表示部204に通知する。
すると、ステップS321で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS322で、サーチ済状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
また、上記ステップS222で制御部201が「当該伝送装置101はサーチ情報M1の配信中ではない」と判断した場合も、制御部201は、サーチ済状態であることを知らせるための表示情報M7を生成し、生成した表示情報M7を表示部204に通知する。そして、上記と同様に、ステップS321で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS322で、サーチ済状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
つまり、ステップS322によって、サーチ済情報M2を送信した伝送装置以外の他の伝送装置のオペレータも、「現在伝送ネットワークシステム100は、ある新たな対象パスに関してサーチ済状態である」と認識することができる。したがって、図6のステップS306と図8のステップS322により、伝送ネットワークシステム100内のどの伝送装置がサーチ済情報M2を送信した場合でも、互いに離れた場所にいるすべての伝送装置のオペレータが、同じ認識に至ることが可能となる。
図9は、第2実施形態における種別情報および個別設定情報の受信を契機とする一連の処理のフローチャートである。
対象パスに関わる2つのポートのうち、最初に起動されたポートが実装された伝送装置が図8のステップS224で種別情報M8と個別設定情報M9を配信すると、2つのポートのうち後から起動されたポートが実装された伝送装置101は、図9の処理を実行する。
すなわち、後から起動されたポートが実装された伝送装置101は、ステップS231で、最初に起動されたポートが実装された他の伝送装置から、種別情報M8と個別設定情報M9を受信する。具体的には、伝送装置101は、当該他の伝送装置との間の伝送路107−i(iは1からnのいずれかである)を介して、伝送路部202−iにおいて、種別情報M8と個別設定情報M9が多重された信号を受信する。
伝送路部202−iは受信した信号を多重分離部203に出力する。多重分離部203は、伝送路部202−iから入力された信号を分離し、種別情報M8と個別設定情報M9を取り出し、制御部201に出力する。
こうしてステップS231で制御部201に多重分離部203から種別情報M8と個別設定情報M9が入力されると、処理はステップS232に移行する。
ステップS232で制御部201は、制御部201自身を備える伝送装置101がサーチ済情報M2の配信中であるか否かを判断する。
当該伝送装置101がサーチ済情報M2の配信中でない場合は、当該伝送装置101は、現在構築しようとしている対象パスとは無関係である。よって、制御部201は、種別情報M8と個別設定情報M9の受信を無視して、図9の処理を終了する。
他方、制御部201は、「サーチ済情報M2の配信中である」とステップS232で判断すると、ステップS233以下の処理を行う。
ところで、図9の処理を実行中の制御部201を含む伝送装置101がサーチ済情報M2の配信中のとき、サーチ済情報M2の配信の契機は、当該伝送装置101に実装されているいずれか1つのポート102が図6のステップS101で起動されたことである。
そして、サーチ済情報M2の配信の契機となった当該ポート102は、起動後、ステップS131において、ポート102の種別情報M8を制御部201へ通知する。ステップS131は、ポート102内のポート制御部211が自発的に決定するタイミングで実行されてもよい。または、ステップS232で「当該伝送装置101はサーチ済情報M2の配信中である」と判断した制御部201が、ポート102へ種別情報M8の通知を要求し、ポート102は要求に応じてステップS131を実行してもよい。
いずれにしろ、ステップS131で、起動されたポート102内のポート情報格納部212が格納する種別情報M8が制御部201に通知される。
すると、制御部201は、ステップS233で種別情報M8を同じ伝送装置101内のポート102から受信したことを契機として、ステップS234で、ステップS231とS233でそれぞれ得た種別情報M8同士を比較する。すなわち、制御部201は、サーチ情報M1の発信元の他の伝送装置内で最初に起動されたポートの種別情報M8と、制御部201自身と同じ伝送装置101内で対向ポートの候補として起動されたポート102の種別情報M8とを比較する。
そして、ステップS235で制御部201は、ステップS234の比較の結果、2つのポートが対向可能か否かを判断する。ステップS234の比較の結果、2つのポートの種別情報M8が同じ種別または互換性のある種別を表していれば、制御部201は、ステップS235で「対向可能」と判断する。例えば、対向可能な種別情報M8の組み合わせは、制御部201を実現するためのファームウェアプログラムにプログラムされていてもよいし、制御部201を実現するコンピュータが備えるメモリに予め格納されていてもよい。
制御部201は、ステップS235で「対向不可」と判断すると、異常状態であることを知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に出力する。すると、ステップS331で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS332で、異常状態であることを知らせる表示を行い、処理を終了する。
ステップS332による表示を見たオペレータは、自分が起動操作を行ったポート102と、サーチ情報M1の送信元である他の伝送装置で他のオペレータにより最初に起動されたポートとが対向不可であることを認識することができる。つまり、ステップS332による表示を見たオペレータは、異常状態の発生を認識し、例えば上記他のオペレータと連絡を取り合って、対象パスの構築を最初からやり直すなどの適切な対策をとることができる。
例えば、何らかの原因で2人のオペレータのうち一方または両方が、間違った種別のパッケージボードを伝送装置に取り付けて起動した場合などでは、第2実施形態によれば、ステップS332による表示から、オペレータが迅速に異常に気付くことができる。したがって、第2実施形態は、ヒューマンエラーが生じた場合でも、異常からの迅速な回復を支援する効果がある。
また、上記ステップS235で制御部201が「対向可能」と判断した場合、処理はステップS236に移行する。ステップS236で制御部201は、ステップS231で受信した個別設定情報M9を、制御部201自身と同じ伝送装置101内の、サーチ済情報M2の配信の契機となったポート102に通知する。
すなわち、図8のステップS121、S223およびS224、ならびに図9のステップS231およびS236により、構築中の対象パスの一端のポートから他端のポートへと、自動的に個別設定情報M9が送信される。したがって、第2実施形態によれば、対象パスの両端のポートにおいて2人のオペレータがそれぞれ同じ個別設定情報M9を手作業で設定する必要がないので、ヒューマンエラーが発生する余地が従来よりも少ない。
そして、サーチ済情報M2の配信の契機となったポート102は、ステップS132で当該個別設定情報M9を制御部201から受信したことを契機として、ステップS133の処理を行う。すなわち、ポート102はステップS133において、制御部201から受信した個別設定情報M9を、自身のポート情報格納部212に格納することで、対象パスの他端にあるポートと同じようにポート102自身を設定し、処理を終了する。
また、制御部201は、ステップS236の通知の後、ステップS237で、図6のステップS207で配信を開始したサーチ済情報M2の配信を停止するよう、多重分離部203に指示する。すなわち、後から起動したポート102もステップS236の通知により適切に設定され、対象パスの構築のための処理状況が変化したことに合わせて、制御部201は、サーチ済情報M2の配信を停止するための制御を行う。
制御部201はステップS237でさらに、サーチ済状態が解除されたことを知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に出力する。
すると、ステップS333で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS334で、サーチ済状態を示している現在の表示を停止する。つまり、表示部204は、サーチ状態でもサーチ済状態でも異常状態でもない、通常の状態を知らせる表示を行う。そして処理は終了する。
また、制御部201は、ステップS237に続いてステップS238で、定義情報M3をパス割付制御部110に通知して処理を終了する。定義情報M3は、例えば、ポート102の種別情報M8を含んでもよい。定義情報M3は、ポート102の伝送装置101内での物理的な実装位置(例えば、m個のコネクタのうちどのコネクタにポート102が接続されているのかという情報)を含んでもよい。また、定義情報M3は、ステップS133で設定されたポート102の個別設定情報M9(またはその一部)を含んでもよい。
図10は、第2実施形態におけるサーチ済情報の受信停止を契機とする一連の処理のフローチャートである。
他の伝送装置が図9のステップS237でサーチ済情報M2の配信を停止すると、ステップS241で制御部201は、今まで受信し続けていたサーチ済情報M2の受信が途絶えたことを検知する。つまり、当該他の伝送装置と接続された伝送路107−i(iは1からnのいずれかである)を介して伝送路部202−iが受信する受信信号に、今までは多重されていたサーチ済情報M2が、もはや多重されなくなる。すると、多重分離部203から制御部201へのサーチ済情報M2の出力も停止する。したがって、制御部201はステップS241でサーチ済情報M2の受信停止を検知する。
すると、制御部201はステップS242で、種別情報M8の配信中であるか否かを判断する。種別情報M8の配信中であるのは、図8のステップS224を実行した場合であり、すなわち、図10を実行中の制御部201を含む伝送装置101内に、対象パスを規定する2つのポートのうち最初に起動されたポート102が実装されている場合である。換言すれば、種別情報M8の配信中であるのは、図10を実行中の制御部201を含む伝送装置101内に、サーチ情報M1の配信の契機となったポート102が実装されている場合である。
したがって、種別情報M8の配信中の場合は、制御部201はステップS243でパス割付制御部110に当該ポート102の定義情報M3を通知する。図9のステップS238とこのステップS243により、パス割付制御部110は、対象パスの両端のポートの定義情報M3をそれぞれ取得することができる。
さらに制御部201は、ステップS244で、サーチ済状態が解除されたことを知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に出力する。
すると、ステップS341で当該表示情報M7を制御部201から受信したことを契機として、表示部204は、ステップS342で、サーチ済状態を示している現在の表示を停止する。つまり、表示部204は、サーチ状態でもサーチ済状態でも異常状態でもない、通常の状態を知らせる表示を行う。そして処理は終了する。
このように、図9のステップS334とこのステップS342により、伝送ネットワークシステム100内のどの伝送装置のオペレータも、対象パスの構築が正常に終了したことを認識することができる。
以上、図6〜図10を参照して、伝送装置101の動作について説明した。なお、伝送装置101を制御するコンピュータがプログラムにしたがって動作することで制御部201を実現する場合、プログラムは、少なくとも下記のステップをコンピュータに実行させる。
・互いに接続された複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、対向ポートを探索するための情報であるサーチ情報M1が、通信手段としての多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nにより受信されたか否かを検知するステップ。
・サーチ情報M1の受信を検知したとき、サーチ情報M1を受信したことを出力するよう出力手段としての表示部204を制御するステップ。
・複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、サーチ情報M1に対する返信である返信情報としてのサーチ済情報M2が、通信手段としての多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nにより受信されたか否かを検知するステップ。
・返信情報としてのサーチ済情報M2の受信を検知したとき、返信情報を受信したことを出力するよう出力手段としての表示部204を制御するステップ。
・複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、返信情報の発信を報知する返信報知情報としてのサーチ済情報M2が、通信手段としての多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nにより受信されたか否かを検知するステップ。
・返信報知情報としてのサーチ済情報M2の受信を検知したとき、返信報知情報を受信したことを出力するよう出力手段としての表示部204を制御するステップ。
・サーチ情報M1の受信を検知した後、伝送装置101内の1つ以上のポートのうち1つが起動されると、サーチ済情報M2を送信するよう、通信手段としての多重分離部203と伝送路部202−1〜202−nを直接または間接に制御するステップ。ここで、サーチ済情報M2は、サーチ情報M1の送信元である伝送装置には返信情報として送信され、複数の伝送装置のうち送信元の伝送装置以外の伝送装置には返信報知情報として送信される。
なお、サーチ情報M1の受信停止を契機とするフローチャートがないのは、図8のステップS221とS225から明らかなように、第1の伝送装置からのサーチ情報M1の受信が停止するのは第2の伝送装置からサーチ済情報M2の配信が開始されたときだからである。つまり、サーチ情報M1の受信停止が表す状態遷移(つまりサーチ状態からサーチ済状態への遷移)は、サーチ済情報M2の配信開始に続いて実行される図6のステップS306または図8のステップS322により、すべての伝送装置において適切に表示される。よって、サーチ情報M1の受信停止を契機として各伝送装置が別途何か処理を行う必要はない。
続いて、図11〜図21を参照して、具体的な動作シーケンスの例を説明する。以下で説明する例は、第1実施形態と同様に、伝送装置101aに実装され端末106aと接続されるポート102aと、伝送装置101cに実装され端末106cと接続されるポート102cの間に新たにパスを構築する場合である。
図11は、第2実施形態において最初にポートが起動されたときの動作を説明する図である。
図11の伝送装置101aは、図5に示した伝送装置101をさらに具体化した例であり、ma個のポートを収容することが可能であり、他の伝送装置とはna本の伝送路108−1〜108naでそれぞれ接続されている。第1実施形態の図1と同様の伝送ネットワークシステム100ではna=3である。
以下では、対象パスの一端であるポート102aが、具体的には、伝送装置101aのp番目(1≦p≦ma)のポート102−pであるとする。また、伝送装置101aと101c間の伝送路107acには、r番目(1≦r≦na)の伝送路部202−rが対応しているとする。
伝送装置101aにおいて、ポート102−pが起動すると、図6のステップS101でポート制御部211−pが起動情報M6を制御部201に出力する。なお、ポート102−pは、実施形態により、例えば伝送装置101aのオペレータがパッケージボードをコネクタに接続することによって自動的に起動してもよいし、オペレータがさらにスイッチをオンにするなどの操作をすることによって起動してもよい。
ここで、図11に示した初期状態では、伝送ネットワークシステム100内のどの伝送装置も、サーチ情報M1を配信していないし、サーチ済情報M2も配信していない。よって、図6のステップS201でポート制御部211−pから起動情報M6を受け取った制御部201は、ステップS205でサーチ情報M1を配信するための制御を行う。その結果、多重分離部203と伝送路部202−1〜202−naと伝送路107−1〜107−na(換言すれば図1の伝送路107abと107acと107ad)を介して、サーチ情報M1が他の伝送装置101bと101cと101dに配信される。
また、伝送装置101aの制御部201は、ステップS206でサーチ状態を知らせるための表示情報M7を表示部204に通知し、ステップS304で表示部204がサーチ状態を知らせる表示を行う。
図12は、第2実施形態においてサーチ情報を受信したときの動作を説明する図である。
図12の伝送装置101cは、図5に示した伝送装置101をさらに具体化した例であり、mc個のポートを収容することが可能であり、他の伝送装置とはnc本の伝送路108−1〜108ncで接続されている。第1実施形態の図1と同様の伝送ネットワークシステム100ではnc=3である。
以下では、対象パスの他端であるポート102cが、具体的には、伝送装置101cのq番目(1≦q≦mc)のポート102−qであるとする。また、伝送装置101aと101c間の伝送路107acには、s番目(1≦s≦nc)の伝送路部202−sが対応しているとする。
図12は、図11を参照して説明したようにして伝送装置101aから伝送路107acを介して配信されたサーチ情報M1を、伝送路部202−sで受信したときの伝送装置101cの動作を説明している。すなわち、伝送装置101cの制御部201は、図7のステップS211でサーチ情報M1を受信したことを契機として、ステップS212で表示部204に表示情報M7を通知し、表示部204は図7のステップS312でサーチ状態を知らせる表示を行う。
伝送装置101cのオペレータは、伝送装置101aと101cの間で新規にパスを構築する予定であることを当然知っている。よって、パス構築のための作業予定時刻前後に、伝送装置101cの表示部204がサーチ状態を表示すると、伝送装置101cのオペレータは、伝送装置101cのポート102−qと対向する予定の伝送装置101a上のポートが起動したことを認識する。なお、伝送装置101cのオペレータは、具体的に伝送装置101a上のどの物理的位置にあるポートが起動したのかという詳細は知らなくてもよい。
そして、表示部204を見て伝送装置101cのオペレータは、対象パスの他端であるポート102−q(すなわち低速側の伝送路108cを介して端末106cと接続されているポート)を起動させるための操作を行う。
図13は、第2実施形態においてサーチ情報を受信済みの対向予定の伝送装置でポートが起動されたときの動作を説明する図である。
上記のようにして伝送装置101cにおいてポート102−qが起動すると、ポート102−qは図6のステップS101で起動情報M6を制御部201に出力する。
ここで、伝送装置101cはサーチ情報M1を配信しておらず、伝送ネットワークシステム100内のどの伝送装置101a〜101dもサーチ済情報M2を配信していない。また、伝送装置101cは、図12に関して説明したとおり、図11に関して説明したようにして伝送装置101aが配信しているサーチ情報M1を受信中である。よって、図13に示す伝送装置101cの制御部201は、図6のステップS207で、サーチ済情報M2を配信するための制御を行う。その結果、多重分離部203と伝送路部202−1〜202−ncと伝送路107−1〜107nc(換言すれば図2の伝送路107acと107bcと107cd)を介して、サーチ済情報M2が他の伝送装置101aと101bと101dに配信される。
また、伝送装置101cの制御部201は、ステップS208でサーチ済状態を知らせるための表示情報M7を表示部204に通知し、ステップS306で表示部204がサーチ済状態を知らせる表示を行う。
続いて、仮にここで不適切な操作が行われた場合について図14を参照して説明する。第2実施形態では、不適切な操作が行われると異常状態が表示されるので、オペレータは自分のした操作が不適切であることをすぐに認識し、操作のやり直しなどを適宜行うことができる。
図14は、第2実施形態においてサーチ済情報を受信済みの無関係な伝送装置でもポートが起動されたときの動作を説明する図である。
例えば、対象パスとは無関係な伝送装置101bは、図14のようにmb個のポートを収容することが可能であり、他の伝送装置とnb本の伝送路108−1〜108nbでそれぞれ接続されているとする。第1実施形態の図1と同様の伝送ネットワークシステム100ではnb=3である。
伝送装置101bは、図11を参照して説明したようにして伝送装置101aが配信しているサーチ情報M1を既に受信している。また、伝送装置101bは、図13を参照して説明したようにして伝送装置101cが伝送路107bcを介して配信しているサーチ済情報M2を、既に伝送路107bcに対応する伝送路部202−uで受信している。
したがって、もし伝送装置101bのt番目(1≦t≦mb)のポート102−tが起動すると、次のようにして異常状態が表示される。
すなわち、伝送装置101bにおいてポート102−tが起動すると、図6のステップS101でポート102−tが起動情報M6を制御部201に出力する。すると、制御部201はステップS201から始まる処理を開始する。伝送装置101bはサーチ情報M1の配信中ではなく、伝送装置101cからサーチ済情報M2を受信中である。したがって、ステップS203で制御部201は、異常状態を知らせるための表示情報M7を表示部204に通知する。よって、表示部204はステップS302で異常状態を表示する。
したがって、伝送装置101bのオペレータが、例えば誤ってポート102−tのスイッチをオンにしてポート102−tを起動させた場合、当該オペレータは、表示部204を見て自分の操作の誤りにすぐに気付くことができる。その結果、例えばオペレータは、ポート102−tのスイッチをオフにするなど、異常状態からの回復のための適切な操作を行うことができる。
また、場合によっては、伝送装置101aでポート102−pが起動した後、伝送装置101cでポート102−qが起動するよりも前に、伝送装置101bのオペレータが誤ってポート102−tを起動させてしまうかもしれない。その場合は、図12と図13を参照して説明したのと同様の動作を伝送装置101bが行い、図14を参照して説明したのと同様の動作を伝送装置101cが行うことになる。
すると、伝送装置101cのオペレータは、自分が予定通り正しくポート102−qを起動させる操作を行ったのに異常状態が表示されていることから、他のオペレータの誤操作が原因で問題が生じたと推測することができる。したがって、伝送装置101cのオペレータは、他のオペレータと連絡を取り合うなど、異常状態から回復するための適切な行動をとることが可能となる。
さて、ここで正常な動作シーケンスの説明に戻ると、図11〜図13を参照して説明したように処理が進んだ後、伝送装置101aは、伝送装置101cから送信されたサーチ済情報M2を伝送路部202−rにおいて受信する。
図15は、第2実施形態においてポート起動元の伝送装置でサーチ済情報を受信したときの動作を説明する図である。なお、「ポート起動元」とは、対象パスを規定する2つのポート102−pと102−qのうち先に起動されたポート102−pが実装された方の伝送装置101aを指す。
サーチ済情報M2の受信を契機として、ポート起動元である図15の伝送装置101aの制御部201は、図8の処理を開始する。伝送装置101aはサーチ情報M1を配信中なので、制御部201は、サーチ情報M1の配信の契機となったポート102−pからステップS223において種別情報M8と個別設定情報M9を受け取る。そして、制御部201は、受け取った種別情報M8と個別設定情報M9を配信するための処理をステップS224で行い、ステップS225でサーチ情報M1の配信を停止する制御を行う。
さらに、ステップS226で制御部201は、サーチ済状態を知らせるための表示情報M7を表示部204に通知し、表示部204はステップS322でサーチ済状態を知らせる表示を行う。したがって、伝送装置101aのオペレータは、表示部204を見て、ポート102−pに対向する予定のポートが伝送装置101cにおいて起動されたのだろうと推測することができる。
図16は、第2実施形態において対向予定の伝送装置で対向可能性を検証する動作を説明する図である。なお、「対向予定の伝送装置」とは、具体的には、ポート起動元である伝送装置101aから見た対向側の伝送装置101cを指す。
図15に関して説明したように、伝送装置101aからはポート102−pの種別情報M8と個別設定情報M9が伝送路107acを介して送信される。よって、図16の伝送装置101cは、伝送路部202−sにおいてポート102−pの種別情報M8と個別設定情報M9を受信する。すると、受信を契機として、伝送装置101cの制御部201は、図9の処理を開始する。
ここで、伝送装置101cは、図13を参照して説明したように、サーチ済情報M2の配信中である。よって、処理は図9のステップS232からステップS233へと進み、ステップS233で制御部201はポート102−qの種別情報M8を受け取る。
そして、ステップS234で伝送装置101cの制御部201は、伝送装置101aから受信した伝送装置101a内のポート102−pの種別情報M8と、伝送装置101c内のポート102−qの種別情報M8とを比較する。ここでは、ポート102−pと102−qの種別が互換性のある種別同士であり、ポート102−pと102−qは対向可能であるとする。
すると、ステップS236で伝送装置101cの制御部201は、伝送装置101aから受信したポート102−pの個別設定情報M9を、伝送装置101c内のポート102−qに通知する。すると、ステップS133でポート102−q内のポート情報格納部212−qに、ポート102−pの個別設定情報M9がコピーされて格納されるので、ポート102−pと102−qは、例えばプロトコルや通信速度が同じように設定される。
したがって、第2実施形態によれは、伝送装置101cのオペレータは、ポート102−qの個別設定情報M9を手動で設定する必要がない。よって、第2実施形態によれば、個別設定情報M9の設定に関する特殊なノウハウを持たない者でも、伝送装置101cのオペレータを務めることができる。
図17は、第2実施形態において対向予定の伝送装置で対向可能と判明したときの動作の続きを説明する図である。
図16を参照して説明したようにして対向関係が成立可能と判明した場合、図17に示すように、伝送装置101cの制御部201は、続いて図9のステップS237を実行する。すなわち、制御部201は、サーチ済情報M2の配信を停止するための制御を行うとともに、サーチ済状態の表示を停止するための表示情報M7を表示部204に通知する。
すると、表示部204はステップS334でサーチ済状態を知らせていた今までの表示を停止する。したがって、伝送装置101cのオペレータは、ポート102−qに適切に個別設定情報M9が設定されたこと、すなわち対象パスの構築に成功したことを、認識することができる。
また、制御部201は、ステップS238で、伝送路109cを介してポート102−qの定義情報M3をパス割付制御部110に送信する。
ところで、図16に関して説明した図9のステップS235において、図16および図17の場合とは逆に、ポート102−pと102−qが対向不可であると判明する場合もありうる。例えば、間違った種別のパッケージボードを伝送装置101aまたは101cのオペレータがコネクタに差し込んでしまった場合などでは、ステップS235で対向不可と判断される。
図18は、第2実施形態において対向予定の伝送装置で対向不可と判明したときの動作を説明する図である。
図18に示すように、対向予定の伝送装置101cの制御部201は、仮に図9のステップS235で種別情報M8同士の比較から、ポート102−pと102−qが対向不可であると判断すると、異常状態を知らせるための表示情報M7を表示部204に通知する。したがって、表示部204はステップS332で異常状態を知らせる表示を行うので、伝送装置101cのオペレータは、何らかの誤りがあったことを認識することができる。
表示部204の表示を見た伝送装置101cのオペレータは、例えば、ポート102−qの種別が予定通りの正しい種別か否かを確認する。もし、ポート102−qの種別が正しければ、伝送装置101aのオペレータが誤った種別のポートを伝送装置101aに取り付けた可能性が考えられる。よって、伝送装置101cのオペレータは、起動したポートの種別を確認するよう伝送装置101aのオペレータに連絡すればよい。
逆に、確認の結果、伝送装置101cのオペレータは、ポート102−qの種別が誤っていることに気付くかもしれない。その場合、伝送装置101cのオペレータは、伝送装置101aのオペレータに連絡して、初めから作業をやり直すよう、協力を仰げばよい。
いずれにしろ、第2実施形態によれば、ポート102−pと102−qが対向不可であれば、オペレータたちは速やかに異常に気付くことができる。
さて、ここで再び正常な動作シーケンスの説明に戻る。すなわち、図16と図17に関して説明したように、伝送装置101cにおいてポート102−pと102−qが対向可能であると判明し、サーチ済情報M2の配信が停止されたとする。すると、サーチ済情報M2の配信停止の検出を契機として、ポート起動元である伝送装置101aの制御部201は図10の処理を開始する。
図19は、第2実施形態においてポート起動元の伝送装置でサーチ済情報の受信が停止したときの動作を説明する図である。
図19に示す伝送装置101aの制御部201は、今まで受信し続けていたサーチ済情報M2の受信が途絶えたことを契機として、図10の処理を開始する。ここで、伝送装置101aは、図15に関して説明したように種別情報M8の配信中である。よって、制御部201は、ステップS243で、ポート102−pの定義情報M3をパス割付制御部110に送信する。
すると、パス割付制御部110は、図17に示すように伝送装置101cから送信されたポート102−qの定義情報M3と、図19に示すように伝送装置101aから送信されたポート102−pの定義情報M3とから、対象パスに関する対向関係を把握する。すなわち、パス割付制御部110は、互いに対向する、伝送装置101aのポート102−pと伝送装置101cのポート102−qとが、新たなパスを定義していることを認識する。
そして、パス割付制御部110は、認識した結果に基づいて新規のパス情報M4を生成し、生成したパス情報M4をパス割付DB105に自動的に追加する。また、パス割付制御部110は、生成した新規のパス情報M4を伝送ネットワークシステム100内の各伝送装置101a〜101dに転送する。転送の結果を図20と図21に示す。
すなわち、図20は、第2実施形態における通信パスの構築完了時のポート起動元の伝送装置の動作を説明する図であり、図21は、第2実施形態における通信パスの構築完了時の対向側の伝送装置の動作を説明する図である。
図20に示すように、ポート起動元の伝送装置101aは、パス割付制御部110から転送された新規パス情報M4を受信して、パス情報格納部205に格納する。すると、伝送装置101aの多重分離部203は、パス情報格納部205内の新規パス情報M4に基づいて、今後は次のように振る舞うようになる。
すなわち、多重分離部203は、ポート102−pからの信号を、伝送装置101cとの間の伝送路107acに対応する伝送路部202−rへの出力に多重する。また、多重分離部203は、伝送路部202−rが受信した信号のうち、ポート102−qからの信号を分離してポート102−pに出力する。
また、対象パスの構築が完了すると、ポート表示部213−pは、「対向ポート(すなわち伝送装置101cのポート102−q)との間に正常にパスが構築されており、対向ポートとの間で通信可能な状態である」ということを表示する。
同様に、図21に示すように、対向予定の伝送装置101cにおいても、パス割付制御部110から転送された新規パス情報M4が受信され、パス情報格納部205に格納される。すると、伝送装置101cの多重分離部203は、パス情報格納部205内の新規パス情報M4に基づいて、今後は次のように振る舞うようになる。
すなわち、多重分離部203は、ポート102−qからの信号を、伝送装置101aとの間の伝送路107acに対応する伝送路部202−sへの出力に多重する。また、多重分離部203は、伝送路部202−sが受信した信号のうち、ポート102−pからの信号を分離してポート102−qに出力する。
また、対象パスの構築が完了すると、ポート表示部213−qは、「対向ポート(すなわち伝送装置101aのポート102−p)との間に正常にパスが構築されており、対向ポートとの間で通信可能な状態である」ということを表示する。
以上、図20と図21に示したように、新規パス情報M4が対象パスの両端の伝送装置101aと101cそれぞれのパス情報格納部205に格納されることで、対象パスの構築が完了し、新たな専用線がポート102−pと102−qの間に提供される。なお、図11〜図21を参照して説明した正常時の動作シーケンスは、第1実施形態に関して図4のタイミングチャートに示した動作シーケンスと同様である。
以上説明したとおり、第2実施形態によれば、伝送装置101aと101cそれぞれのオペレータが、それぞれポート102aと102cを起動するという単純な作業を行うだけで、自動的にパス情報M4の配信までが実行される。したがって、定義情報M3やパス情報M4をオペレータがパス割付制御部110に手動で設定する必要がない。
また、第2実施形態によれば、たとえ伝送装置101a〜101dいずれかのオペレータが何か間違った操作をしたとしても、各伝送装置の表示部204から、オペレータはすぐに異常に気付くことができる。したがって、第2実施形態は、ヒューマンエラーの回避に役立つとともに、ヒューマンエラーの発生時にも異常からの迅速な回復を可能とする。
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
上記実施形態では、サーチ済情報M2が返信情報と返信報知情報を兼ねているが、返信情報と返信報知情報は別々の情報でもよい。
また、第2実施形態において、制御部201は、図6のステップS205でサーチ情報M1の送信を開始する制御をした後、図8のステップS225までサーチ情報M1の送信を続ける制御を行っている。しかし、実施形態によっては、制御部201は、ステップS205でサーチ情報M1を例えば1回だけ送信する制御を行い、ステップS225ではサーチ情報M1を取り消す別の情報を送信するための制御を行ってもよい。
同様に、制御部201は、図6のステップS207でサーチ済情報M2を例えば1回だけ送信する制御を行ってもよい。そして、制御部201は、図9のステップS237で、サーチ済情報M2を取り消す別の情報(すなわち第1実施形態に関して説明した終了情報)を送信するための制御を行ってもよい。
また、実施形態によっては、伝送ネットワークシステム100は、光伝送ネットワークではなく、例えば金属ケーブルによる電気的通信ネットワークや、無線通信ネットワークでもよい。伝送媒体が何であれ、任意の2地点の伝送装置にそれぞれ収容される端末ポート間をポイント・ツー・ポイントで接続して専用線を提供することのできる伝送ネットワークシステムに関しては、上記と同様の実施形態が可能である。
より具体的には、端末回線ポートの伝送装置内での物理的な実装位置(例えばパッケージボードをどのコネクタに差し込むか)によって、対向ポートや伝送帯域内での論理的な格納位置が固定されない場合に、上記と同様の実施形態が可能でもあり、効果的でもある。
換言すれば、端末回線ポートの物理的な実装位置から自動的かつ一意に対向ポートを決めることができない場合には、伝送媒体が何であれ、任意の2つのポート間でパスが定義されうる。したがって、その場合、何らかの方法でパスの両端の2つのポートを特定してパスを定義するための処理が必要である。そして、伝送媒体が何であれ、当該処理におけるヒューマンエラーの抑止には、上記実施形態が有効である。
なお、第2実施形態では、パスの構築のための制御情報の一種であるサーチ情報M1、サーチ済情報M2、種別情報M8および個別設定情報M9が、端末間の専用線を複数収容する高速側伝送路である伝送路107acなどに多重されて送信される。しかし、実施形態によっては、高速側伝送路とは別の制御情報用伝送路が伝送装置間に設けられてもよい。そして、制御情報用伝送路を介して、サーチ情報M1、サーチ済情報M2、種別情報M8および個別設定情報M9が送信されてもよい。
また、第2実施形態では、個別設定情報M9がポート起動元の伝送装置101aから対向予定の伝送装置101cに送信され、伝送装置101c内のポート102−qに設定される。しかし、実施形態によっては、ポート102−qのポート情報格納部212−qに予め個別設定情報M9が格納されていてもよい。
その場合、伝送装置101cの制御部201は、図9のステップS236を実行する代わりに、ポート情報格納部212−q内の個別設定情報M9を読み出して、伝送装置101aから送信された個別設定情報M9と比較する。そして、両者が一致すれば、制御部201と表示部204は図9のステップS237以降と同様の処理を行う。逆に、個別設定情報M9同士が一致しなければ、伝送装置101cの制御部201は、異常状態を知らせるための表示情報M7を生成して表示部204に通知し、表示部204が異常状態の表示を行う。
また、種別情報M8と個別設定情報M9は、第2実施形態ではサーチ情報M1の送信元の伝送装置から伝送ネットワークシステム100内の他のすべての伝送装置に配信されるが、サーチ済情報M2の送信元の伝送装置のみに配信されてもよい。
例えば、図8のステップS221で、多重分離部203は、サーチ済情報M2が多重された信号を出力した伝送路部202−iを識別する情報(以下、「伝送路部識別子」という)をさらに制御部201に通知してもよい。すると、制御部201は、伝送路部識別子から間接的に、サーチ済情報M2の送信元である他の伝送装置を識別することができる。
そこで、図8のステップS224で、伝送路107−iへの出力信号に種別情報M8と個別設定情報M9を多重するよう、制御部201が多重分離部203を制御してもよい。それにより、伝送路107−iを介して接続された、サーチ済情報M2の送信元である他の伝送装置にのみ、種別情報M8と個別設定情報M9が配信される。
同様に、サーチ情報M1の送信元の伝送装置を識別するために、サーチ情報M1の受信時に多重分離部203が伝送路部識別子を制御部201に通知してもよい。また、制御部201は、パス割付制御部110に送信する定義情報M3に、定義情報M3が定義しようとしている対象パスの他端を識別するために伝送路部識別子を含めることができる。
また、上記実施形態では、各伝送装置が同様の構成要素を備え、同様の機能を有しているが、機能が異なる伝送装置が伝送ネットワークシステム内に混在していてもよい。例えば、ある実施形態では、伝送ネットワークシステム内に、第2実施形態の伝送装置101と同様のマスタ型伝送装置と、第2実施形態の伝送装置101からサーチ情報M1を発信する機能を取り除いたスレーブ型伝送装置が混在していてもよい。
すなわち、必ずマスタ型伝送装置をポート起動元とするように定められた作業手順にしたがって作業が行われる環境では、スレーブ型伝送装置が伝送ネットワークシステム内に混在していてもよい。この場合、スレーブ型伝送装置でポートが起動されると、サーチ情報M1の配信中ということはありえないので、図6の処理において、ステップS201から直接ステップS203に処理が進む。また、上記の環境では、スレーブ型伝送装置はポート起動元とならないことが前提である。したがって、スレーブ型伝送装置においてポート起動時にサーチ済情報M2もサーチ情報M1も受信中でなければ、前提に違反していることになるので、このときは、図6のステップS205の代わりに異常状態の表示のための処理が行われる。
最後に、さらに下記の付記を開示する。
(付記1)
各々に1つ以上のポートが実装されており互いに接続された複数の伝送装置のうちの1つの伝送装置であって、
前記1つの伝送装置が、前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、対向ポートを探索するための情報であるサーチ情報、前記サーチ情報に対する返信である返信情報または前記返信情報の発信を報知する返信報知情報を受信したとき、受信を知らせるための出力を行う出力手段と、
前記1つの伝送装置が、前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから前記サーチ情報を受信した後、前記1つ以上のポートのうち1つが起動されると、前記サーチ情報の送信元である前記伝送装置に前記返信情報を送信するとともに、前記複数の伝送装置のうち前記送信元の前記伝送装置以外の伝送装置に前記返信報知情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする伝送装置。
(付記2)
前記送信手段は、前記返信情報または前記返信報知情報の前記受信を知らせるための前記出力を前記出力手段が行っていないときに、前記1つ以上のポートのいずれかが起動されると、前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に、前記サーチ情報を送信することを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
(付記3)
前記送信手段は、
前記送信手段からの前記サーチ情報の送信後に、前記1つの伝送装置が前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから前記返信情報を受信し、さらに前記返信情報の前記受信を否定する状態に遷移したとき、
前記前記複数の伝送装置間でポートの対により定義されるパスを表すパス情報を格納する記憶装置に、起動によって前記サーチ情報の送信の契機となったポートを特定して定義する定義情報を送信する、
ことを特徴とする付記2に記載の伝送装置。
(付記4)
前記出力手段は、前記返信情報または前記返信報知情報の前記受信を知らせるための前記出力を行っているときに、前記1つ以上のポートのいずれかが起動されると、異常を知らせるための出力を行うことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の伝送装置。
(付記5)
前記送信手段は、前記返信情報および前記返信報知情報の送信の後、前記1つの伝送装置において所定の処理が終了したら、前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に前記所定の処理の終了を通知し、
前記出力手段は、前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから前記所定の処理の終了が通知されると、前記返信情報または前記返信報知情報の前記受信を知らせるための前記出力を停止する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の伝送装置。
(付記6)
前記送信手段は、前記所定の処理の終了を明示的に表す終了情報を前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に送信することにより、前記所定の処理の終了を通知する
ことを特徴とする付記5に記載の伝送装置。
(付記7)
前記送信手段は、前記所定の処理が終了するまで前記返信情報または前記返信報知情報の送信を続け、前記所定の処理が終了すると前記返信情報または前記返信報知情報の送信を停止することにより、前記所定の処理の終了を通知する
ことを特徴とする付記5に記載の伝送装置。
(付記8)
前記所定の処理は、前記サーチ情報により前記対向ポートが探索されている第1のポートの前記対向ポートとして、前記返信情報および前記返信報知情報の送信の契機となった第2のポートを設定する対向ポート設定処理を含む
ことを特徴とする付記5から7のいずれか1項に記載の伝送装置。
(付記9)
前記対向ポート設定処理は、前記第1のポートの種別を示しており前記サーチ情報の前記送信元の前記伝送装置から送信される第1の種別情報と、前記第2のポートの種別を示しており前記第2のポートに付随して記憶されている第2の種別情報とに基づいて、前記第1のポートと前記第2のポートとが対向可能であるか否かを判断する判断処理を含む
ことを特徴とする付記8に記載の伝送装置。
(付記10)
前記1つの伝送装置において前記所定の処理が終了したら、前記送信手段はさらに、前記複数の伝送装置間でポートの対により定義されるパスを表すパス情報を格納する記憶装置に、前記第2のポートを特定して定義する定義情報を送信することを特徴とする付記9に記載の伝送装置。
(付記11)
前記返信報知情報は前記返信情報と同じ情報であって、
前記送信手段は、前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に前記返信情報をブロードキャストすることにより、前記返信情報と前記返信報知情報の送信を行う、
ことを特徴とする付記1から10のいずれか1項に記載の伝送装置。
(付記12)
各々が、出力手段と通信手段を備え、1つ以上のポートが実装されており、互いに接続された複数の伝送装置のうちの、1つの伝送装置を制御するコンピュータに、
前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、対向ポートを探索するための情報であるサーチ情報が、前記通信手段により受信されたか否かを検知する第1の検知ステップと、
前記サーチ情報の受信を検知したとき、前記サーチ情報を受信したことを出力するよう前記出力手段を制御する第1の出力制御ステップと、
前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、前記サーチ情報に対する返信である返信情報が、前記通信手段により受信されたか否かを検知する第2の検知ステップと、
前記返信情報の受信を検知したとき、前記返信情報を受信したことを出力するよう前記出力手段を制御する第2の出力制御ステップと
前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから、前記返信情報の発信を報知する返信報知情報が、前記通信手段により受信されたか否かを検知する第3の検知ステップと、
前記返信報知情報の受信を検知したとき、前記返信報知情報を受信したことを出力するよう前記出力手段を制御する第3の出力制御ステップと、
前記第1の検知ステップにより前記サーチ情報の受信を検知した後、前記1つ以上のポートのうち1つが起動されると、前記サーチ情報の送信元である前記伝送装置に前記返信情報を送信するとともに、前記複数の伝送装置のうち前記送信元の前記伝送装置以外の伝送装置に前記返信報知情報を送信するよう前記通信手段を制御する第1の送信制御ステップと、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
(付記13)
前記返信情報と前記返信報知情報のいずれも受信が検知されていないときに、前記1つの伝送装置に実装された前記1つ以上のポートのいずれかが起動されると、前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に前記サーチ情報を送信するよう、前記通信手段を制御する第2の送信制御ステップを
さらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記12に記載の制御プログラム。
(付記14)
前記第1の送信制御ステップの後、前記コンピュータが所定の処理を終了したら、前記複数の伝送装置のうち自身以外の他の伝送装置に前記所定の処理の終了を通知するよう、前記通信手段を制御する終了通知ステップと、
前記複数の伝送装置のうちの他のいずれかから前記所定の処理の終了が通知されると、前記返信報知情報を受信したことの出力を停止するよう前記出力手段を制御する第4の出力制御ステップと、
をさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記12または13に記載の制御プログラム。
(付記15)
前記所定の処理は、前記サーチ情報により前記対向ポートが探索されている第1のポートの前記対向ポートとして、前記第1の送信制御ステップの契機となった第2のポートを設定する対向ポート設定処理を含む
ことを特徴とする付記14に記載の制御プログラム。