以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、固定体において互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸として説明する。従って、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、以下の説明では、「被写体側」を「前側」あるいは「上側」として説明し、「被写体側とは反対側」を「後側」あるいは「下側」として説明する。
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット全体を示す説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側(前側)からみた斜視図、被写体とは反対側である後側からみた斜視図、および振れ補正機能付き光学ユニットを携帯電話機などの光学機器に搭載した状態を示す説明図である。
図1(a)、(b)に示す振れ補正機能付き光学ユニット200(手振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機に用いられる薄型カメラであって、全体として略直方体形状を有している。本形態において、振れ補正機能付き光学ユニット200は、略矩形板状のベース220と、このベース220の上方に被せられた箱状の固定カバー260とを備えており、ベース220と固定カバー260は互いに固定されて固定体210の一部を構成している。固定体210において、固定カバー260の前側端部(被写体側端部)には、シャッタ機構や、各種フィルタを光軸上に出現した状態および光軸上から退避した状態に切り換えるフィルタ駆動機構、さらには絞り機構を内蔵する付属モジュールが固定されることもある。
固定カバー260は、光軸Lの方向(Z軸の方向)からみたときに矩形形状を有しており、矩形の天板部261を前側に備えている。天板部261には、矩形の開口部261aが形成されており、天板部261の外周縁から後方に向けては、4枚の側板部262が延びている。4枚の側板部262のうち、Y軸方向に位置する2枚の側板部262の後端縁には切り欠き262dが形成されており、Y軸方向に位置する2枚の側板部262のうちの一方の側板部262からは、切り欠き262dを介してフレキシブル基板300の引き出し部350がY軸方向に引き出されている。かかるフレキシブル基板300の引き出し部350は、側板部262に対して接着剤などで固定されている。
固定カバー260の内側には、レンズに対するフォーカス機構を内蔵する可動モジュール1が配置されているともに、後述するように、可動モジュール1を揺動させて手振れ補正を行なう手振れ補正機構が構成されている。可動モジュール1は、レンズに対するフォーカス機構を内蔵するレンズ駆動モジュール1aを有しており、このレンズ駆動モジュール1aは、角筒状のモジュールカバー160の内側に保持されている。
(レンズ駆動モジュールの構成)
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200の可動モジュール1内に構成したレンズ駆動モジュール1aの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、レンズ駆動モジュール1aを斜め上方からみた外観図、および分解斜視図である。図3は、図2に示すレンズ駆動モジュール1aの動作を模式的に示す説明図である。なお、図3の左半分は、移動体3が無限遠の位置(通常撮影位置)にあるときの図を示しており、図3の右半分は、移動体3がマクロ位置(接写撮影位置)にあるときの図を示している。
図2(a)、(b)および図3において、レンズ駆動モジュール1aは、レンズを光軸Lの方向に沿って被写体(物体側)に近づくA方向(前側)、および被写体とは反対側(撮像素子側/像側)に近づくB方向(後側)の双方向に移動させるためのものであり、略直方体形状を有している。レンズ駆動モジュール1aは、概ね、3枚のレンズ121および固定絞りを内側に保持した移動体3と、この移動体3を光軸Lの方向に沿って移動させるレンズ駆動機構5と、レンズ駆動機構5および移動体3等が搭載された支持体2とを有している。移動体3は、レンズ121および固定絞りを保持する円筒状のレンズホルダ12と、後述するレンズ駆動用コイル30s、30tを外周側面で保持するレンズ駆動用コイルホルダ13とを備えている。
支持体2は、被写体側と反対側で撮像素子15を位置決めする矩形板状の撮像素子ホルダ19と、撮像素子ホルダ19に対して被写体側に固定された箱状のケース18と、ケース18の内側に配置される矩形板状のスペーサ11とを備えており、ケース18およびスペーサ11の中央には、被写体からの光をレンズ121に取り込むための円形の入射窓110、18aが各々形成されている。また、撮像素子ホルダ19の中央には、入射光を撮像素子15に導く穴19aが形成されている。
さらに、レンズ駆動モジュール1aにおいて、支持体2は、撮像素子15が実装された基板154を備えており、基板154は撮像素子ホルダ19の下面に固定されている。ここで、基板154は両面基板であり、基板154の下面側には、図1に示すフレキシブル基板300が接続されている。
本形態において、ケース18は、鋼板等の強磁性板からなり、ヨークとしても機能する。このため、ケース18は、後述するレンズ駆動用マグネット17とともに、レンズ駆動用コイルホルダ13に保持されたレンズ駆動用コイル30s、30tに鎖交磁界を発生させる鎖交磁界発生体4を構成しており。かかる鎖交磁界発生体4は、レンズ駆動用コイルホルダ13の外周面に巻回されたレンズ駆動用コイル30s、30tとともにレンズ駆動機構5を構成している。
支持体2と移動体3とは、金属製のバネ部材14s、14tを介して接続されている。バネ部材14s、14tは基本的な構成が同様であり、支持体2側に保持される外周側連結部14aと、移動体3の側に保持される円環状の内周側連結部14bと、外周側連結部14aと内周側連結部14bとを接続するアーム状の板バネ部14cとを備えている。バネ部材14s、14tのうち、撮像素子側のバネ部材14sは、撮像素子ホルダ19に外周側連結部14aが保持され、内周側連結部14bが移動体3のレンズ駆動用コイルホルダ13の撮像素子側端面に連結されている。被写体側のバネ部材14tは、スペーサ11に外周側連結部14aが保持され、内周側連結部14bが移動体3のレンズ駆動用コイルホルダ13の被写体側端面に連結されている。このようにして、移動体3は、バネ部材14s、14t介して支持体2に光軸Lの方向に移動可能に支持されている。かかるバネ部材14s、14tはいずれも、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。なお、バネ部材14s、14tのうち、バネ部材14sは、バネ片14e、14fに2分割されており、レンズ駆動用コイル30s、30tの各端末は各々、バネ片14e、14fに接続される。また、バネ部材14sにおいて、バネ片14e、14fには各々、端子14dが形成されており、バネ部材14s(バネ片14e、14f)はレンズ駆動用コイル30s、30tに対する給電部材としても機能する。
本形態においては、レンズ駆動用コイルホルダ13の前側端面にリング状の磁性片61が保持されており、かかる磁性片61の位置は、レンズ駆動用マグネット17に対して前側位置である。磁性片61は、レンズ駆動用マグネット17との間に作用する吸引力により移動体3に対して光軸Lの方向の付勢力を印加する。このため、移動体3が無通電時に自重で変位することを防止することができるので、移動体3に所望の姿勢を維持させ、さらに耐衝撃性を向上させることが可能である。また、磁性片61はレンズホルダ12の前側端面に配置されており、磁性片61は非通電時(原点位置)においてはレンズ駆動用マグネット17と吸引することによりレンズホルダ12を後側に静置することができる。
本形態のレンズ駆動モジュール1aにおいて、光軸Lの方向からみたとき、レンズ121は円形であるが、支持体2に用いたケース18は矩形箱状である。従って、ケース18は、角筒状胴部18cを備えており、角筒状胴部18cの上面側には、入射窓18aが形成された上板部18gを備えている。本形態において、角筒状胴部18cは四角筒状であり、光軸Lの方向からみたときに四角形の辺に相当する各位置に4つの側板部18bを備えている。4つの側板部18bの各々の内面にはレンズ駆動用マグネット17が固着されており、かかるレンズ駆動用マグネット17は各々、矩形の平板状永久磁石からなる。4つのレンズ駆動用マグネット17はいずれも光軸Lの方向において磁気的に2分割されており、いずれにおいても内面と外面とが異なる極に着磁されている。例えば、4つのレンズ駆動用マグネット17では、例えば、上半分では内面がN極に着磁され、外面がS極に着磁され、下半分では、内面がS極に着磁され、外面がN極に着磁されている。このため、4つのレンズ駆動用マグネット17では、隣接する永久磁石同士において、磁極の配置が同一であり、コイルに対する鎖交磁束線を効率よく発生させることができる。
移動体3は、レンズ121等を保持する円筒状のレンズホルダ12と、コイル(レンズ駆動用コイル30s、30t)が外周側面に巻回されたレンズ駆動用コイルホルダ13とを備えており、レンズホルダ12およびレンズ駆動用コイルホルダ13によって移動体3の側壁部分が構成されている。レンズホルダ12は、上半部が大径の大径円筒部12bになっており、下半部が大径円筒部12bより小径の小径円筒部12aになっている。レンズ駆動用コイルホルダ13は、レンズホルダ12を内側に保持するための円形のレンズホルダ収納穴130を備えている。
本形態では、レンズ駆動用コイルホルダ13を光軸Lの方向からみたとき、内周形状は円形であるが、レンズ駆動用コイルホルダ13の外周形状を規定する外周側面131は四角形であり、四角形の4つの辺に相当する各位置に4つの面132を備えている。かかるレンズ駆動用コイルホルダ13の外周側面131において、光軸Lの方向における両端部および中央位置には、その全周にわたってリブ状突起131a、131b、131cが形成されており、撮像素子側端部に形成されたリブ状突起131aと中央位置に形成されたリブ状突起131bとに挟まれた凹部は第1コイル巻回部132aになっており、被写体側端部に形成されたリブ状突起131cと中央位置に形成されたリブ状突起131bとに挟まれた凹部は第2コイル巻回部132bになっている。
レンズ駆動用コイルホルダ13において、4つの面132の各々には、第1コイル巻回部132a、および第2コイル巻回部132bの各々に対して、四角形の角部分を避けるように除去してなる矩形の貫通穴(貫通穴133a、133b)が形成されており、かかる貫通穴133a、133bは、レンズ駆動用コイルホルダ13の側面壁を内外方向で貫通している。このようにして、本形態では、レンズ駆動用コイルホルダ13の貫通穴133a、133bによって、移動体3の外周側面131で内側に凹む肉抜き部が構成されている。但し、貫通穴133a、133bは、周方向においては、レンズ駆動用コイルホルダ13の外周側面131において隣接する角部分で挟まれた中央部分に、各面132の周方向の長さ寸法(四角形の辺の寸法)の約1/3の寸法で形成されている。このため、レンズ駆動用コイルホルダ13の角部分には、光軸Lの方向に向けて延びる肉厚の支柱部分134が同等の太さで形成されている。
このように構成したレンズ駆動用コイルホルダ13において、第1コイル巻回部132aにはレンズ駆動用コイル30sが巻回されており、第2コイル巻回部132bにはレンズ駆動用コイル30tが巻回されている。ここで、第1コイル巻回部132aおよび第2コイル巻回部132bは、光軸Lの方向からみたとき四角形であるため、レンズ駆動用コイル30s、30tはいずれも四角筒状に巻回されている。なお、4つのレンズ駆動用マグネット17はいずれも光軸Lの方向において、磁気的に2分割されており、いずれにおいても内面と外面とが異なる極に着磁されているため、2つのレンズ駆動用コイル30s、30tにおける巻回方向は反対である。
このように構成したレンズ駆動用コイルホルダ13は、ケース18の内側に配置される。その結果、レンズ駆動用コイル30s、30tの4つの辺部は各々、ケース18の角筒状胴部18cの内面に固着されたレンズ駆動用マグネット17に対向することになる。
(レンズ駆動機構の動作)
本形態のレンズ駆動モジュール1aにおいて、移動体3は、通常は撮像素子側(撮像素子側)に位置しており、このような状態において、レンズ駆動用コイル30s、30tに所定方向の電流を流すと、レンズ駆動用コイル30s、30tは、それぞれ上向き(前側)の電磁力を受けることになる。これにより、レンズ駆動用コイル30s、30tが固着された移動体3は、被写体側(前側)に移動し始めることになる。このとき、バネ部材14tと移動体3の前端との間、およびバネ部材14sと移動体3の後端との間には、移動体3の移動を規制する弾性力が発生する。このため、移動体3を前側に移動させようとする電磁力と、移動体3の移動を規制する弾性力とが釣り合ったとき、移動体3は停止する。その際、バネ部材14s、14tによって移動体3に働く弾性力に応じて、レンズ駆動用コイル30s、30tに流す電流量を調整することで、移動体3を所望の位置に停止させることができる。
また、レンズ駆動モジュール1aでは、レンズ121は円形であるが、かかるレンズ形状に関係なく、レンズ駆動用コイル30s、30tは四角形であり、レンズ駆動用マグネット17は、支持体2において内周面が四角形に形成されたケース18の角筒状胴部18cの辺に相当する複数の内面の各々に固着された平板状永久磁石である。このため、移動体3と支持体2との間において、移動体3の外周側に十分なスペースがない場合でも、レンズ駆動用コイル30s、30tとレンズ駆動用マグネット17との対向面積が広いので、十分な推力を発揮することができる。
このように構成したレンズ駆動モジュール1aに対しては、撮像素子15およびレンズ駆動用コイル30s、30tを装置本体の制御部(図示せず)に電気的に接続する必要がある。そこで、本形態では、レンズ駆動モジュール1aに対して被写体側とは反対側にフレキシブル基板300(図1参照)を配置し、フレキシブル基板300に形成した配線パターンに撮像素子15およびレンズ駆動用コイル30s、30tを電気的に接続してある。
(手振れ補正機構の全体構成)
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット200は、図1(c)に示すように、携帯電話機などの機器500に搭載されて撮影に用いられる。かかる機器500において、撮影を行なう際、概ね、Z軸が水平に向けられる。従って、シャッタを押した際の手振れによって、X軸周りの縦振れが発生するとともに、Y軸周りの横振れが発生するおそれがある。そこで、本形態では、図4〜図14を参照して以下に説明する手振れ補正機能が付加されている。かかる手振れ補正機構では、可動モジュール1に手振れ検出センサを設けるとともに、固定体210に対してX軸周りおよびY軸周りに揺動可能に配置した可動モジュール1を手振れ補正用磁気駆動機構によって揺動させる構成になっている。
以下、本形態に振れ補正機能付き光学ユニット200に構成した振れ補正機構の各構成を以下に示す順
振れ補正機能付き光学ユニット200の全体構成・・図4〜図7
可動モジュール1の詳細構成・・図4、図5、図6〜図10
可動モジュール1に対する支持機構の構成・・図4、図5、図11および図12
可動モジュール1に対する可動範囲制限機構の構成・・図13および図14
で説明する。
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200の断面構成を示す説明図であり、図4(a)、(b)は各々、振れ補正機能付き光学ユニット200を、図1(a)のY1−Y1′線に相当する位置で切断したときの縦断面図、および図1(a)のX1−X1′線に相当する位置で切断したときの縦断面図である。図5は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200を、図4とは異なる位置で切断した際の断面構成を示す説明図であり、図5(a)、(b)は各々、振れ補正機能付き光学ユニット200を、図1(a)のC1−C1′線に相当する位置で切断したときの縦断面図、および図1(a)のC2−C2′線に相当する位置で切断したときの縦断面図である。図6および図7は各々、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200を前側からみた分解斜視図、および後側からみた分解斜視図である。図8は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200の可動モジュール1およびこの可動モジュール1に接続する部材の説明図であり、図8(a)、(b)は各々、可動モジュール1およびこの可動モジュー1ルに接続する部材を前側からみた斜視図、および後側からみた斜視図である。
本形態では、図4〜図7に示すように、固定体210については、後側(下側)から前側〈上側〉にベース220、後側ストッパ部材270、前側ストッパ部材290、および固定カバー260を順に重ねて固定した構造を有している。これらの部材の詳細な構成は後述するが、ベース220は、可動モジュール1を揺動可能に支持する機能を担い、後側ストッパ部材270および前側ストッパ部材290は、揺動可能にした可動モジュール1の過度の変位を阻止する機能を担い、固定カバー260は、振れ補正機能付き光学ユニット200のハウジングとして機能するとともに、手振れ補正用コイル230x、230yを保持する機能を担っている。
ベース220と可動モジュール1との間には、図4〜図8に示すフレキシブル基板300、およびバネ部材280(付勢部材)が配置され、かかるフレキシブル基板300およびバネ部材280は、可動モジュール1に接続されている。フレキシブル基板300は振れ検出センサ170や振れ補正用磁気駆動機構と外部との電気的な接続を行なう機能を担い、バネ部材280は、可動モジュール1をベース220に向けて付勢する機能を担っている。
(可動モジュール1の詳細構成および手振れ検出センサ17の配置)
図9および図10は各々、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200に用いた可動モジュール1およびフレキシブル基板300を前側からみた分解斜視図、および後側からみた分解斜視図である。
図4〜図10に示すように、可動モジュール1は、レンズ駆動モジュール1aを内側に保持するモジュールカバー160を備えている。モジュールカバー160は、Z軸方向からみたとき矩形形状を備え、矩形形状の天板部161の外周縁からは後側に4つの側板部162が延びている。モジュールカバー160において、天板部161には、円形の開口部161aが形成されている。
モジュールカバー160の後端部は開口しており、かかる開口を覆うように金属製のセンサカバー180がモジュールカバー160の後端部に連結されている。かかる連結を行なうにあたって、本形態では、モジュールカバー160の後端部には、外側に張り出す屈曲部169を備え、かかる屈曲部169は、四つの角部分に、Z軸に対して交差する面内(本形態では、Z軸に直交する面内)で外側に大きく張り出すモジュールカバー側フランジ部168を備えている。
センサカバー180は、底板部181と、底板部181の外周縁で前側に起立する4つの側板部182とを備えており、その四つの角部分の各々には、側板部182の前端縁でZ軸に対して交差する面内(本形態では、Z軸に直交する面内)で外側に張り出すセンサカバー側フランジ部188が形成されている。
ここで、センサカバー側フランジ部188とモジュールカバー側フランジ部168とはZ軸方向で重なるように形成されている。また、センサカバー側フランジ部188およびモジュールカバー側フランジ部168には小穴188a、168aが形成されている。そこで、本形態では、小穴188a、168aにネジ198の軸部を貫通させた状態で、軸部に、内周面に雌ネジが形成された筒状部材199を止めてある。このようにして、センサカバー180とモジュールカバー160とを連結すると、図4〜図8に示すように、可動モジュール1の外周面には、モジュールカバー側フランジ部168およびセンサカバー側フランジ部188によって、可動モジュール1の4つの角部分で外側に張り出す突部103が形成される。
センサカバー180において、4つの側板部182のうち、Y軸方向で対向する側板部182には、その前端縁に切り欠き182aが形成されている。このため、センサカバー180とモジュールカバー160とを連結した状態で、センサカバー180とモジュールカバー160との間にはY軸方向で開口する隙間が形成される。従って、フレキシブル基板300の一部をセンサカバー180とレンズ駆動モジュール1aとの間に配置するとともに、Y軸方向における一方側からフレキシブル基板300の引き出し部350を可動モジュール1から引き出すことができる。
フレキシブル基板300は、Y軸方向に延在する略矩形形状のシートを長手方向の3箇所〈折り曲げ部分301、302、303〉で折り曲げた形状になっている。このため、フレキシブル基板300は、外部への引き出し部分350と、引き出し部分350に繋がる第1平板部分310と、第1平板部分310に対して折り曲げ部分301を介して繋がる第2平板部分320と、第2平板部分320に対して折り曲げ部分302を介して繋がる第3平板部分330と、第3平板部分330に対して折り曲げ部分303を介して繋がる第4平板部分340とを備え、第1平板部分310、第2平板部分320、第3平板部分330、および第4平板部分340は、Z軸方向の後側から前側に順に折り重なった形状になっている。ここで、折り曲げ部分301、303は、鋭角に折り曲げられている一方、折り曲げ部分302はU字形状に緩く湾曲した形状になっている。
かかるフレキシブル基板300において、第1平板部分310および第2平板部分320はセンサカバー180の後側(下側)に配置され、第3平板部分330および第4平板部分340は、センサカバー180とレンズ駆動モジュール1aとの間に配置されている。従って、フレキシブル基板300において、折り曲げ部分302を挟む一方側は、可動モジュール1の内部に引き回され、フレキシブル基板300において、折り曲げ部分302を挟む他方側は、可動モジュール1から外部に延在した構成になっている。
フレキシブル基板300において、第3平板部分330の下面には手振れ検出センサ170が実装され、手振れ検出センサ170の下面は、センサカバー180に接着固定されている。従って、フレキシブル基板300において、可動モジュール1の内部に引き回された部分は可動モジュール1と一体に変位し、フレキシブル基板300において、可動モジュール1から外側に引き出された部分のうち、可動モジュール1に近い部分は可動モジュール1の揺動に追従して変形する。
また、第3平板部分330の上面には、可撓性の両面テープ370を介して、補強用の金属プレート380が固定されている。かかる状態で、手振れ検出センサ170の下面側は、センサカバー180でシールドされているとともに、手振れ検出センサ170の上面側は金属プレート380によりシールドされている。また、金属プレート380は、手振れ検出センサ170と撮像素子15(図2参照)との間に介在し、撮像素子15の下面側をシールドする機能も担っている。フレキシブル基板300の第4平板部分340には、図2を参照して説明した撮像素子15が基板154(両面基板)を介して電気的に接続され、レンズ駆動用コイル30s、30tも、バネ片14e、14fを介して電気的に接続されている。本形態において、手振れ検出センサ170は、表面実装タイプのジャイロセンサ(角速度センサ)であり、2軸好ましくは直交する2軸の角速度を検出する。
フレキシブル基板300において、センサカバー180の後側に配置された第1平板部分310および第2平板部分320には大径の丸い穴310a、320aが形成されており、かかる穴310a、320aは、センサカバー180の後面側に、可動モジュール1を揺動可能に支持する支持機構400を配置するための切り欠き部分である。このように、本形態では、フレキシブル基板300に切り欠きを形成して支持機構400を避けるようにフレキシブル基板300を配置している。このため、ベース220と可動モジュール1とに挟まれた空間をフレキシブル基板300の引き回しスペースとして有効利用することができる。
また、第1平板部分310、折り曲げ部分301、第2平板部分320、および折り曲げ部分302において、幅方向の中央部分にはスリット300aが形成されており、かかるスリット300aは、第1平板部分310に形成した穴310aから折り曲げ部分302まで連続して延在している。従って、フレキシブル基板300は、スリット300aおよび穴310a、320aが形成されている分、幅方向(X軸方向)においても変形が容易である。また、X軸方向でフレキシブル基板300の配置が対称であるため、可動モジュール1がY軸周りのいずれの方向に揺動したときでも、フレキシブル基板300が可動モジュール1に及ぼす力が同等である。従って、可動モジュール1を適正に揺動させることができるので、手振れ補正を確実に行なうことができる。しかも、フレキシブル基板300において、可動モジュール1からの引き出し部分にY軸方向での折り曲げ部分301、302を設けたので、可動モジュール1をX軸周りに揺動させる際、フレキシブル基板300が変形した際の形状復帰力が可動モジュール1の揺動に影響を及ぼしにくい。
(支持機構400の構成)
図11は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200において支持機構400などを構成する部材の説明図であり、図11(a)、(b)、(c)、(d)は各々、振れ補正機能付き光学ユニット200のベース220、バネ部材280およびセンサカバー180を前側からみた斜視図、後側からみた斜視図、前側からみた分解斜視図、および後側からみた分解斜視図である。図12(a)、(b)は各々、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200のベース220、バネ部材280およびセンサカバー180をX軸方向からみた説明図、および断面図である。
図4、図5、図9および図10を参照して説明したセンサカバー180の底板部181は、図11に示すように、前側からみたとき、中央の円形部分186が後方に凹んでいるとともに、円形部分186の中央部分は、前方に向けて有底円筒状に突出して下面で開口する凹部187が形成されている。
センサカバー180に対して後側で対向配置されるベース220は、矩形の底板部221の外周縁から前側に4つの側板部222が起立した構成になっており、Y軸方向で対向する側板部222の一方には、図9および図10を参照して説明したフレキシブル基板300を引き出すための切り欠き222aが形成されている。ベース220において、底板部221の中央部分には前側(上側)に突出した有底円筒状の支持突起227が形成され、支持突起227の前端面には半球状の小突起227aが形成されている。従って、図12(a)に示すように、ベース220の前側(上側)にセンサカバー180を配置すると、図4、図5および図12(b)に示すように、ベース220の支持突起227がセンサカバー180の凹部187に嵌るとともに、小突起227aが凹部187の底部下面187aに当接する。
このようにして、本形態では、固定体210のベース220と可動モジュール1のセンサカバー180との間には、凹部187の底部下面187aと支持突起227の小突起227aとによってビポット部が形成され、かかるピボット部は、固定体210に対して可動モジュール1を揺動可能とする支持機構400を構成している。本形態において、支持機構400は、手振れ検出センサ170の後側において、手振れ検出センサ170に対してZ軸方向で重なる位置に配置されている。
再び図11において、ベース220は金属板のプレス加工品であり、前側(上側)からみたとき、底板部221には、外周領域221aと、支持突起227が形成された中央領域221bとの間に、後側に凹んだ凹部226が形成され、かかる凹部226は、支持突起227が形成された中央領域221bの三方を囲むように形成されている。また、ベース220の底板部221において、中央領域221bには、支持突起227が形成されている領域の三方を囲むようにスリット228が形成されており、かかるスリット228によって、Y軸方向に延びる板バネ部229が形成されている。従って、支持突起227は、板バネ部229の先端に形成された構成になっている。従って、板バネ部229がZ軸方向に変形した場合、支持機構400全体がZ軸方向に変位することになる。
ここで、板バネ部229は、ベース220の後面よりわずかに前側に位置する。このため、図4(a)、(b)に示すように、板バネ部229の後面は、ベース220の後面および固定カバー260の後端縁に対して所定の寸法G10だけ前側に位置する。
(バネ部材280の構成)
可動モジュール1のセンサカバー180とベース220との間には、可動モジュール1をベース220に向けて付勢するバネ部材280が配置されている。バネ部材280は、平面矩形形状を有する板バネであり、リン青銅、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった金属製の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
バネ部材280において、4つの角部分には、固定体210に連結される固定体側連結部281が形成されている。本形態において、固定体側連結部281は、固定体210を構成する複数の部材のうち、図4〜図7に示す後側ストッパ部材270に固定される。本形態では、バネ部材280の固定体側連結部281には小穴281aが形成されている一方、後側ストッパ部材270の後側の面において4つの角部分には小突起277aが形成されている。従って、後側ストッパ部材270の小突起277aをバネ部材280の小穴281aを嵌めて、バネ部材280と後側ストッパ部材270とを位置決めした後、接着あるいは加締めなどを行なえば、固定体側連結部281を固定体210に連結することができる。
また、バネ部材280の中央部分には、可動モジュール1のセンサカバー180と連結される略矩形の可動モジュール側連結部282が形成されており、可動モジュール側連結部282の中央領域には、センサカバー180の底板部181で後方に突き出た円形部分186が嵌る円形の穴282aが形成されている。かかるバネ部材280は、接着などの方法で可動モジュール側連結部282がセンサカバー180の底板部181の後面に固定される。
バネ部材280は、中央の可動モジュール側連結部282と4つの固定体側連結部281とに両端が接続された4本の細幅のアーム部283を備えたジンバルバネ形状になっている。本形態において、4本のアーム部283は各々、可動モジュール側連結部282の辺部に沿ってX軸方向あるいはY軸方向に延在した構成になっている。ここで、バネ部材280は、振れ補正機能付き光学装置200に搭載した状態で、可動モジュール側連結部282が固定体側連結部281よりも前側に位置している。このため、アーム部283は、可動モジュール1をベース220に向けて付勢している。
本形態において、4本のアーム部283はいずれも、固定体側連結部281から周方向の同一方向に延在し、かつ、4本のアーム部283は互いに同一の形状およびサイズをもって光軸周りに等角度間隔に配置されている。このため、4本のアーム部283はいずれも90度、180度、270度で回転対称である。
ここで、図9および図10を参照して説明したフレキシブル基板300の第1平板部分310および第2平板部分320は、センサカバー180の後側において、バネ部材280とベース220との間に配置される。従って、バネ部材280では、X軸方向では2つの固定体側連結部281が梁部284で連結されているが、Y軸方向では梁部284が形成されておらず、固定体側連結部281の間に切り欠きが存在する。このため、Y軸方向の一方側において、固定体側連結部281の間にフレキシブル基板300を通すことができる。
また、センサカバー180の底板部181の後面において、バネ部材280のアーム部283とZ軸方向で重なる部分は、バネ部材280の可動モジュール側連結部282が接続されている領域に比較して、前側に向けて凹む凹部181eになっている。このため、センサカバー180の底板部181は、アーム部283に一切接触しておらず、かつ、可動モジュール1が揺動してバネ部材280が変形した場合でも、センサカバー180の底板部181とアーム部283とが接触することはない。
(振れ補正用磁気駆動機構の構成)
本形態では、図4、図5、図6および図7に示すように、可動モジュール1を揺動させる磁気駆動力を発生させる手振れ補正用磁気駆動機構として、支持機構400を支点にして可動モジュール1をX軸周りに揺動させる第1手振れ補正用磁気駆動機構250xと、支持機構400を支点にして可動モジュール1をY軸周りに揺動させる第2手振れ補正用磁気駆動機構250yとが構成されており、かかる第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yの構成を以下に説明する。
まず、可動モジュール1において、Y軸方向で相対向するモジュールカバー160の2つの側板部162の外面には、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xを構成する矩形板状の手振れ補正用マグネット240x(第1手振れ補正用マグネット)が保持され、X軸方向で相対向する他の2つの側板部162の外面には、第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを構成する矩形板状の手振れ補正用マグネット240y(第2手振れ補正用マグネット)が保持されている。ここで、手振れ補正用マグネット240x、240yは、いずれも矩形の平板状永久磁石からなる。本形態において、手振れ補正用マグネット240x、240yは、Z軸方向に配列された2枚の平板状永久磁石によって構成され、これらの平板状永久磁石では、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、Z軸方向に配列された2枚の平板状永久磁石では、着磁方向が逆である。なお、手振れ補正用マグネット240x、240yについては、1枚の永久磁石に異なる極性を2極着磁してもよい。
また、固定体210において、Y軸方向で相対向する固定カバー260の2つの側板部262の内面には、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xを構成する手振れ補正用コイル230x(第1手振れ補正用コイル)が接着固定され、X軸方向で相対向する固定カバー260の2つの側板部262の内には、第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを構成する手振れ補正用コイル230y(第2手振れ補正用コイル)が接着固定されている。かかる手振れ補正用コイル230x、230yは各々、手振れ補正用マグネット240x、240yに対向している。また、手振れ補正用コイル230x、230yにおいてZ軸方向に位置する2つの有効辺部は各々、手振れ補正用マグネット240x、240yにおいてZ軸方向に配列された2枚の平板状永久磁石の各々と対向している。ここで、手振れ補正用コイル230x、230yの各端部は、フレキシブル基板300を介して、あるいは別のフレキシブル基板を介して外部に電気的に接続されている。なお、固定カバー260の側板部262には小さな開口部262aが形成されており、かかる開口部262aは、手振れ補正用コイル230x、230yを側板部262に固定した後、補強用の接着剤の塗布などに利用される。
このようにして、本形態では、Y軸方向において支持機構400を間に挟んで対向する2箇所で対になって可動モジュール1をX軸周りに揺動させる第1手振れ補正用磁気駆動機構250xが構成されており、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xにおいて、2つの手振れ補正用コイル230xは、通電されたときに可動モジュール1をX軸周りの同一方向に磁気駆動力を発生するように配線接続されている。従って、2つの第1手振れ補正用磁気駆動機構250xは、2つの手振れ補正用コイル230xに通電されたときに支持機構400を通るX軸周りにおいて同一方向のモーメントを可動モジュール1に印加する。また、本形態では、X軸方向において支持機構400を間に挟んで対向する2箇所で対になって可動モジュール1をY軸周りに揺動させる第2手振れ補正用磁気駆動機構250yが構成されており、第2手振れ補正用磁気駆動機構250yにおいて、2つの手振れ補正用コイル230yは、通電されたときに可動モジュール1をY軸周りの同一方向に磁気駆動力を発生するように配線接続されている。従って、2つの第2手振れ補正用磁気駆動機構250yは、2つの手振れ補正用コイル230yに通電されたときに支持機構400を通るY軸周りにおいて同一方向のモーメントを可動モジュール1に印加する。
なお、本形態において、モジュールカバー160は磁性体からなり、手振れ補正用マグネット240x、240yに対するヨークとして機能する。また、モジュールカバー160において、後側端部は、外側に小さく折れ曲がった屈曲部169が形成されており、かかる屈曲部169は集磁性能を高める機能を担っている。
このように構成した振れ補正機能付き光学ユニット200を搭載したカメラ付き携帯電話機では、撮影の際の手振れを検出するためのジャイロセンサなどの手振れ検出センサ170が可動モジュール1に搭載されており、かかる手振れ検出センサ170での検出結果に基づいて、カメラ付き携帯電話機に搭載された制御部は、手振れ補正用コイル230x、および手振れ補正用コイル230yの一方あるいは双方に通電を行い、可動モジュール1をX軸周りおよびY軸周りの一方および双方において揺動させる。かかる揺動を合成すれば、XY面全体に対して可動モジュール1を揺動させたことになる。それ故、カメラ付き携帯電話などで想定される全ての手振れを確実に補正することができる。
かかる手振れ補正を行なうにあたって、本形態では、手振れ検出センサ170を可動モジュール200自身に搭載し、制御部(図示せず)は、手振れ検出センサ170が検出した角速度がゼロとなるように、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを閉ループ制御する。また、制御部(図示せず)は、手振れ検出センサ170が検出した角速度の積分値、すなわち、角度変位がゼロとなるように、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを閉ループ制御する。
ここで、振れ検出センサ170が可動モジュール1に搭載されている。このため、光軸Lの振れを直接、振れ検出センサ170によって検出するため、精度よく振れを補正することができる。
また、可動モジュール1の後側に構成した支持機構400を中心に可動モジュール1を揺動させるため、フレキシブル基板300の変形が極めて小さい。従って、フレキシブル基板300が変形した際の形状復帰力が小さいので、可動モジュール1を迅速に揺動させることができる。
ここで、支持機構400の揺動支点を基準にしたとき、可動モジュール1に対して磁気力が作用する磁気的中心位置のZ軸方向の位置は、可動モジュール1のZ軸方向の中心より離れた位置にある。このため、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yが可動モジュール1を揺動させるのに必要な磁気駆動力が小さくてよいという利点がある。
これに対して、支持機構400の揺動支点を基準にしたとき、可動モジュール1に対して磁気力が作用する磁気的中心位置のZ軸方向の位置が、可動モジュール1のZ軸方向の中心より近い位置にあれば、わずかな変位で可動モジュール1を大きく揺動させることができるので、手振れ補正の応答性に優れているという利点がある。
(可動モジュール1に対する可動範囲制限機構の構成)
図13は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200において可動モジュール1の可動範囲を制限する部材の説明図であり、図13(a)、(b)、(c)、(d)は各々、可動モジュール1に後側ストッパ部材270および前側ストッパ部材290を配置した状態を前側からみた斜視図、後側からみた斜視図、前側からみた分解斜視図、および後側からみた分解斜視図である。図14は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット200において可動モジュール1の可動範囲を制限する機構の説明図であり、図14(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、可動モジュールに後側ストッパ部材を配置した状態を前側からみた平面図、図1(a)において振れ補正機能付き光学ユニット200の角付近を通るY2−Y2′断面図、および図1(a)において振れ補正機能付き光学ユニット200の角付近を通るX2−X2′断面図である。
図4、図5、図6、図7、および図13に示すように、本形態においては、可動モジュール1の周りには矩形枠状の前側ストッパ部材290および後側ストッパ部材270が配置され、これらの前側ストッパ部材290および後側ストッパ部材270によって、可動モジュール1のX軸方向における双方向、Y軸方向における双方向、Z軸方向における双方向、X軸周りにおける双方向、Y軸周りにおける双方向、およびZ軸周りにおける双方向の可動範囲が制限される。
まず、図14(a)、(b)、(c)に示すように、後側ストッパ270は、前側からみたとき、4つの角部分の各々には、可動モジュール1の角部分でX軸方向およびY軸方向に張り出す突部103に対して、X軸方向の外側で僅かな隙間GX1を介して対向する内壁272aと、突部103に対してY軸方向の外側で僅かな隙間GY1を介して対向する内壁272bとを備えている。従って、可動モジュール1のX軸方向における双方向、およびY軸方向における双方向、X軸周りにおける双方向、Y軸周りにおける双方向、およびZ軸周りにおける双方向の可動範囲が制限される。
次に、図14(b)、(c)に示すように、後側ストッパ270は、突部103に対してZ軸方向の後側で対向する板状部274を備えている。また、前側ストッパ290は、枠部分の角部297が突部103に対してZ軸方向の前側で対向している。このため、可動モジュール1のZ軸方向における双方向の可動範囲が制限される。
ここで、前側ストッパ部材290および後側ストッパ部材270は、樹脂製であり、金属製と違って衝撃吸収性や振動吸収性を備えている。このため、可動モジュール1が前側ストッパ部材290および後側ストッパ部材270に当接しても、余計な音や振動が発生しない。
また、図4、図5および図12に示す支持機構400では、ベース220の支持突起227がセンサカバー180の凹部187に嵌っており、本形態では、かかる支持機構400によっても、可動モジュール1のX軸方向における双方向、およびY軸方向における双方向の可動範囲が制限されている。すなわち、支持突起227の外周面と凹部187の内周面との間には、図4に示すように、X軸方向でわずかな隙間GX2が空いているだけであり、Y軸方向でわずかな隙間GY2が空いているだけである。
さらに、図4、図5および図12に示す支持機構400では、ベース220の支持突起227の小突起227aが凹部187の底部下面187aに当接し、かかる支持機構400でも、可動モジュール1のZ軸方向の後側への移動が規制されている。ここで、落下などの衝撃によって可動モジュール1がZ軸方向の後側に急激に変位すると、可動モジュール1の突部103が後側ストッパ270の板状部274に当接するまでの間、小突起227aと凹部187の底部下面187aとの負荷が集中し、小突起227aや凹部187の底部下面187aが変形するおそれがある。しかるに本形態において、支持突起227は、ベース220に形成された板バネ部229の先端部に形成されているため、可動モジュール1のZ軸方向の後側に変位した際、支持機構400全体がZ軸方向に変位する。このため、落下などの衝撃が加わった際、小突起227aと凹部187の底部下面187aとの負荷が集中しても、小突起227aや凹部187の底部下面187aが変形するおそれがない。
ここで、板バネ部229は、図4(a)、(b)に示すように、ベース220の後面および固定カバー260の後端縁に対して所定の寸法G10だけ前側に位置する。このため、落下などの衝撃によって可動モジュール1がZ軸方向の後側に急激に変位し、板バネ部229が後側に変位しても、板バネ部229がベース220の後面や固定カバー260の後端縁から後側に突き出ることはない。
(振れ補正機能付き光学ユニット200)
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット200は、振れ補正機能付き光学ユニット200をカメラ付き携帯電話機などの機器に搭載した際の実情を考慮して、以下に説明する2つの方向性を備えている。すなわち、振れ補正機能付き光学ユニット200は、図1(c)に示すように、Z軸が水平に向けられるため、シャッタを押す際に手振れが発生しやすいX軸周りについては、迅速に補正できるように構成してある。
具体的には、可動ユニット1からはY軸方向のみにフレキシブル基板300を引き出してあるため、フレキシブル基板300は長手方向をY軸方向に向け、幅方向をX軸方向に向けている。このため、可動モジュール1をY軸周りに駆動する際、フレキシブル基板300の変形は、フレキシブル基板300が捩れる方向の変形であるため、フレキシブル基板300は、大きな応力を発生させる。これに対して、可動モジュール1をX軸周りに駆動する際、フレキシブル基板300の変形は、フレキシブル基板300が面外方向の撓む方向の変形であるため、大きな応力を発生させない。従って、第1振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2振れ補正用磁気駆動機構250yの双方において磁気駆動力を高めなくても、揺れの大きいX軸周りの揺れを迅速に補正することができる。しかも、頻繁に補正する方向の負荷を小さくしたので、手振れ補正で費やす電力を削減することもできる。
また、フレキシブル基板300は、可動ユニット1からはY軸方向に引き出されているが、幅方向の中央部分にはY軸方向に延びたスリット300aが形成されている。このため、フレキシブル基板300は、X軸方向の幅寸法が実質的に狭くなっているので、可動モジュール1をY軸周りに駆動した際、大きな応力を発生させない。それ故、Y軸周りの揺れも比較的迅速に補正することができる。
さらに本形態では、可動モジュール1をX軸周りに揺動させる磁気駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構250xと、可動モジュール1をY軸周りに揺動させる磁気駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構250yとにおいて、同一電流を手振れ補正用コイル230x、230yに通電した際に発生する磁気駆動力は、第2振れ補正用磁気駆動機構250yに比較して第1振れ補正用磁気駆動機構250xで大である。より具体的には、第1振れ補正用磁気駆動機構250xは、第2振れ補正用磁気駆動機構250yに比較してコイルの巻回数が大である構成、あるいはマグネットがコイルに対して発生させる鎖交磁束密度が大である構成になっている。
このため、同一電流をコイルに通電した際に発生する磁気駆動力は、第2振れ補正用磁気駆動機構250yに比較して第1振れ補正用磁気駆動機構250xで大にしてある。それ故、第1振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2振れ補正用磁気駆動機構250yの双方において磁気駆動力を高めなくても、揺れの大きいX軸周りの揺れを迅速に補正することができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット200では、Y軸方向において支持突起227を間に挟む両側2箇所に2つが対になった第1手振れ補正用磁気駆動機構250xを配置するとともに、X軸方向において支持突起227を間に挟む両側2箇所に2つが対になった第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを配置してある。また、2つの第1手振れ補正用磁気駆動機構250xは各々、可動モジュール1を同一方向に揺動させる磁気力を発生させ、2つの第2手振れ補正用磁気駆動機構250yは各々、可動モジュール1を同一方向に揺動させる磁気力を発生させる。このため、支持突起227に対して片側のみに第1手振れ補正用磁気駆動機構250xを配置した構成や、支持突起227に対して片側のみに第2手振れ補正用磁気駆動機構250yを配置した構成と違って、駆動能力が安定しているので、手振れを精度よく補正することができる。例えば、2つの第1手振れ補正用磁気駆動機構250xのうち、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xを構成する手振れ補正用マグネット240xと手振れ補正用コイル230xとの位置関係が2つの第1手振れ補正用磁気駆動機構250xの一方で、磁気駆動力が小さくなる方向にずれたときには、他方の第1手振れ補正用磁気駆動機構250xでは、一方の第1手振れ補正用磁気駆動機構250xでの手振れ補正用マグネット240xと手振れ補正用コイル230xとの位置ずれを補正する方向、すなわち、磁気駆動力が大きくなる方向にずれることになるため、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xは駆動能力が安定している。かかる作用は、第2手振れ補正用磁気駆動機構250yでも同様である。
また、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット200は、振れ補正機能付き光学ユニット200をカメラ付き携帯電話機などの機器に搭載した際の実情を考慮して、フレキシブル基板300の引き出し方向をY軸方向に限定し、かつ、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xの磁気駆動力を第2手振れ補正用磁気駆動機構250yの磁気駆動力を大にしてある。このため、シャッタを押す際に手振れが発生しやすいX軸周りについては、迅速に補正できるため、手振れに起因する撮影ミスを確実に防止することができる。
さらに、本形態では、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yのいずれにおいても、可動体側である可動モジュール1側にマグネット(手振れ補正用マグネット240x、240y)が保持され、固定体210側にコイル(手振れ補正用コイル230x、230y)が保持されているので、可動体側である可動モジュール1に対する配線数が少なくてよいので、配線構造を簡素化することができる。また、固定体210側であれば、手振れ補正用コイル230x、230yの巻回数を多くすることができるので、大きな駆動力を発揮することができる。
さらにまた、本形態においては、前側ストッパ部材290や後側ストッパ部材270などにより、可動モジュール1のX軸方向における双方向、Y軸方向における双方向、Z軸方向における双方向、X軸周りにおける双方向、Y軸周りにおける双方向、およびZ軸周りにおける双方向の可動範囲が制限されている。このため、可動モジュール1が過度に変位しないので、バネ部材280の塑性変形などを防止することができる。
[他の実施の形態]
(手振れ補正用磁気駆動機構の構成)
上記形態では、手振れ補正用磁気駆動機構として、可動モジュール1に対して第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yの双方を設けたが、ユーザーが使用する際、手振れが発生しやすい方向の振れのみを補正するように、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yの一方のみを設けた場合に本発明を適用し、支持突起227を挟む両側に2つで対をなすように、第1手振れ補正用磁気駆動機構250x、あるいは第2手振れ補正用磁気駆動機構250yの一方のみを設けてもよい。この場合には、フレキシブル基板300の引き出し方向をY軸方向に限定した構成のみを採用すればよい。
上記形態では、第1手振れ補正用磁気駆動機構250xおよび第2手振れ補正用磁気駆動機構250yのいずれにおいても、可動体側である可動モジュール1側にマグネット(手振れ補正用マグネット240x、240y)が保持され、固定体210側にコイル(手振れ補正用コイル230x、230y)が保持されている構成を採用したが、可動体側である可動モジュール1側に手振れ補正用コイルが保持され、固定体210側に手振れ補正用マグネットが保持されている構成を採用してもよい。
(付勢部材の構成)
上記実施の形態では、付勢部材として、互いに周方向の同一方向に直線的に延在する複数本のアーム部287を備えたバネ部材280を用いたが、複数本のアーム部287が同一方向に延在する構成であれば、アーム部287が湾曲しながら延在している構成を採用してもよい。
上記形態では、可動モジュール1をベース220に向けて付勢するための付勢部材としてバネ部材280のみを用いたが、かかる付勢部材としては、磁気的作用により可動モジュール1をベース220に向けて付勢する磁気バネと、可動モジュール1をベース220に向けて機構的に付勢するバネ部材とを用いてもよい。また、磁気バネとしては、固定体210において手振れ補正用マグネット240x、240yに対して後側に磁性体を配置した構成を採用する。このように構成すると、可動モジュール1が支持機構400によって支持されている状態を確実に維持することができる。また、手振れ補正用磁気駆動機構が駆動を停止している中立期間中、磁気バネのみによって可動モジュール1をベース220に向けて付勢し、バネ部材280については、付勢力を発生させない非変形状態とすることができる。このように構成した場合、可動モジュール1が揺動するとバネ部材280が変形し、付勢力を発揮する。すなわち、可動モジュール1が揺動していない期間中、バネ部材280はフラットな形状のままである。このため、バネ部材280に加わった力と、バネ部材280の変形量とがリニアリティを有する部分を有効に利用することができるので、可動モジュール1を適正に揺動させることができ、手振れ補正を確実に行なうことができる。
本発明においては、バネ部材280において、アーム部283と固定側連結部281との接続部分、アーム部283と可動モジュール側連結部282との接続部分、あるいはアーム部283全体にゲル材や、弾性シートなどといった振動吸収材が固着されていることが好ましく、このような対策を施すと、可動モジュール1を揺動させた際、アーム部283の振動を迅速に停止させることができるので、可動モジュール1の振動も迅速に停止させることができる。
(揺動支持部の構成)
上記実施の形態においては、支持突起227の先端に小突起227aを形成したが、支持突起227全体を半球状に形成してもよい。また、上記実施の形態では、ベース220に支持突起227を形成し、センサカバー180に凹部187を形成したが、センサカバー180に支持突起を形成し、ベース220に支持突起を受ける凹部を形成してもよい。
また、可動モジュール1を被写体側とは反対側を中心に揺動可能に支持するにあたっては、ピボット部に代えて、被写体側とは反対側から被写体側に向けて延在する複数本のワイヤサスペンションを揺動支持部として用い、かかる複数本のワイヤサスペンションによって可動モジュール1を揺動可能に支持してもよい。
(その他の構成)
上記形態では、レンズ駆動用コイル30s、30tが四角筒状で、レンズ駆動用マグネット17が平板状であるレンズ駆動モジュール1aを用いた振れ補正機能付き光学ユニット200に本発明を適用したが、レンズ駆動用コイル30s、30tが円筒状で、ケース18が四角筒状で、ケース18の角部分にレンズ駆動用マグネット17を配置した構成の可動モジュールを用いた振れ補正機能付き光学ユニットに本発明を適用してもよい。
上記形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる振れ補正機能付き光学ユニット200に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラなどに用いる振れ補正機能付き光学ユニット200に本発明を適用した例を説明してもよい。また、上記形態では、可動モジュール1にレンズ121や撮像素子15に加えて、レンズ121を含む移動体3を光軸Lの方向に磁気駆動するレンズ駆動機構5が支持体2上に支持されている例を説明したが、可動モジュール1にレンズ駆動機構5が搭載されていない固定焦点タイプの振れ補正機能付き光学ユニットに本発明を適用してもよい。
さらに、本発明は、撮影用だけでなく、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置など、光を出射する光学機器に適用してもよい。