JP5351367B2 - クラミジア・トラコマチス検出用抗体 - Google Patents
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Description
本発明は、医療上、特にクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)によって惹起される典型的な STDの診断に重要である。本発明は、検体、例えば、膣の採取分泌物、尿サンプル、組織サンプル、および体液から採取された検体中に含まれる微生物クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)を検出するのに有用である。
感染症原因菌の検出は、一般に、培養・同定法(原因菌を分離、培養してその生理学的、生化学的あるいは構造的な特性に基づきこれを同定する方法)、遺伝子的診断法(原因菌の遺伝子を PCR法または特異的核酸ハイブリダイゼーションにより増幅させて、これを検出する方法)、および免疫学的方法(抗体と原因菌の抗原マーカーとの特異的反応を利用して原因菌を検出する方法)に分類される。しかしながら、培養・同定法または遺伝子的診断法を用いる場合には、結果を得るのに長時間を要する。従って、原因菌を短時間、高感度で検出することができ、迅速かつ的確に患者を処置することのできる免疫学的方法による診断法が多用される。
クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)はヒトに特有な原因菌であり、最も一般的な性行為感染症の原因菌となる。この菌は小さな、非運動型のグラム陰性菌である。この菌により男女ともに直腸炎および結膜炎(トラコーマ−細菌由来の病名)を発症する。女性はクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)により子宮頚管炎、尿道炎、子宮内膜炎、卵管炎、肝周囲炎、LGVに感染する。卵管炎は、女性の不妊症と子宮外妊娠の最も普通の原因の1つである骨盤炎症性疾患(PID) を引き起すおそれがある(Much and Yeh 1991; Kligman, Grifo et al.1997)。また、新生児にトラコーマ(封入体性結膜炎)を発症させることもある。発展途上国の盲人の40%以上はトラコーマによるものである。
クラミジア(Chlamydia) 属の場合、属特異的抗原であるリポ多糖(LPS) の抗原決定基としての存在が知られており、様々な診断用キットにおいて特にクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の検出用試薬抗体に利用されている(Mearns,Richmond et al.1988; Bishop, Tullo et al.1991; Thiele, Karo et al.1992)。
更に、Petersonら(Peterson, Alexander et al.1987)、およびその他の研究者(Barsoum,Goodman et al.1989; Mohanty, Satpathy et al.1996)はクラミジア(Chlamydia) 属の主要外膜蛋白質(MOMP)に対するモノクローナル抗体を報告している。
クラミジア病原体を検出する商業的に利用可能なモノクローナル抗体および分析用キットの数はごく僅かであり、十分というには程遠い。最近になって、いくつかのクラミジア病原体の血清型が報告された。LPS またはMOMPは菌株によって異なり、一つの血清型に対する抗体がすべてをカバーするものではない (Tekgul,Aktepe et al.1992; Matthews, Pandit et al.1993; Mohanty,Satpathy et al.1996) 。
本発明により、クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の Ribosomal Protein L7/L12蛋白質に対して特異的なモノクローナル抗体が見出され、開発された。この抗体は新規であり、従来公知のいかなる抗体とも異なり、上記蛋白質と特異的に反応する性質を有する。
また、本発明で述べられる遺伝子操作の一連の分子生物学的な実験は通常の実験書の記載方法によって行うことができる。前記の通常の実験書としては、例えば Molecular Cloning, A labolatory manual, Cold Spring Harber Laboratory Press,Sambrook,J.ら (1989) を挙げることができる。
本発明において、“ 微生物と特異的に反応する抗体" とは、或る種または属の微生物と特異的に反応する抗体を意味する。或る種の微生物と特異的に反応する抗体は、特に、微生物感染症の診断に有用である。
本発明において抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を指し、Ribosomal Protein L7/L12蛋白質の全長あるいはその部分ペプチドを用いて作成することができる。抗体を作成するためのペプチドの長さは特に限定されないが Ribosomal Protein L7/L12 蛋白質に対する抗体の場合、この蛋白質を特徴づけられる長さがあれば良く、好ましくは5アミノ酸以上、特に好ましくは8アミノ酸以上のペプチドを用いれば良い。
成書(Antibodies a laboratory manual, E.Harlow et al., Cold Spring Harbor Labolatory)に示された各種の方法ならびに遺伝子クローニング法などにより分離されたイムノグロブリン遺伝子を用いて培養した細胞に発現させた遺伝子組み換え抗体によっても作製することができる。
a) Ribosomal Protein L7/L12蛋白質の遺伝子配列およびアミノ酸配列が既知の微生物については、他の微生物における該蛋白のアミノ酸配列との類似性の少ない領域についてペプチド断片を合成し、それを免疫原としてポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体を作製することにより目的の抗体を取得することができる。
また、既知の該遺伝子の両端部位における DNA配列をプローブとした PCR手法による遺伝子増幅、相同部分配列を鋳型プローブとしたハイブリダイゼーション法など通常の遺伝子操作手法を用いることにより該遺伝子の全長配列を取得することができる。
その後他の蛋白質遺伝子とのフュージョン遺伝子が作成され、フュージョン遺伝子は大腸菌を宿主細胞として用いて通常の遺伝子挿入法により宿主に挿入され、大量に発現せしめられる。所望の蛋白質抗原は、発現した蛋白質をアフィニティカラム法によって精製することによって、フュージョン蛋白質として用いられた蛋白質の抗体とともに、得ることができる。この場合 Ribosomal Protein L7/L12 の全長蛋白が抗原となるため微生物間で保存されているアミノ酸部分に対する抗体を取得しても本発明の目的に合致しない。従って、本法によって取得した抗原に対しては公知の手法によりモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得し、該当する微生物とのみ反応する抗体を産生するクローンを選択することにより目的の抗体を取得することができる。
該抗体を用いたアフィニティーカラムクロマトによって目的の微生物細胞破砕液を精製することにより高度に精製された Ribosomal Protein L7/L12蛋白質を取得することができる。該抗体を用いたアフィニティーカラムクロマトによって破砕した微生物から所望の蛋白を取得することができる。蛋白の精製度が不足している場合は公知の精製手法であるイオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過などの手法により精製したのち作製した抗体によるウェスタンブロットなどの方法により Ribosomal Protein L7/L12蛋白質の溶出フラクションを同定し精製画分を得ることができる。得られた精製 Ribosomal Protein L7/L12蛋白質抗原を基にして公知の方法によりハイブリドーマを取得し、目的の微生物に特異的に反応するハイブリドーマを選択することにより目的の抗体を取得することができる。
抗体を用いる微生物診断方法とは、ポリスチレンラテックス粒子上に該抗体を吸着させた凝集反応、マイクロタイタープレート中で行う公知技術である ELISA法、既存のイムノクロマト法、着色粒子もしくは発色能を有する粒子、または酵素もしくは蛍光体でラベルされた該抗体とともに捕捉抗体で被覆した磁気微粒子などを用いるサンドイッチアッセイなど既知の全ての免疫測定手法を利用する診断方法を意味する。
よるアフィニティー精製を実施することが望ましい。
(Chlamydia trachomatis)の Ribosomal Protein L7/L12蛋白質に特異的な反応を示す抗体を選択することにより目的の特異的モノクローナル抗体を取得することも可能である。
クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis) (ATCC VR-885ATCC から分譲、購入)をHL細胞のモノレイヤー上で培養した。クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の詳細な培養方法は Reed らおよびKuo ら (Reed,Anderson et al.1981; Kuo and Grayston 1990)の記載に従った。CO2 インキュベータ内にて37℃、5% CO2の条件下で微生物を5日間培養した。感染した細胞を遠心分離により集め、最終的に5×107 個/ml 前後の濃度となるようにTE Buffer (和光純薬工業製) に懸濁した。この懸濁液約1.5ml を微量遠心チューブに移し取り10,000rpm で2分間遠心した。上澄み液を棄てた。沈殿部分を 567μl のTEバッファーに再懸濁した。さらに30μl の10% SDSと3μl の20mg/ml ProteinaseK 溶液を加えて良く混合し、37℃で1時間インキュベートした。懸濁液を56℃で更に1時間インキュベートした。次に10%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド/0.7M NaCl溶液を80μl加え、よく混合したのち65℃で10分間インキュベートした。同一体積の24:1のクロロホルム−イソアミルアルコール混合液を700 μl 加えよく攪拌した。この溶液を微量遠心機で 12,000rpm、5分間、4℃で遠心処理したのち、水層画分を新しい微量遠心管に移した。そこに 0.6倍量のイソプロパノールを加えチューブをよく振って DNAの沈殿を形成した。白い DNA沈殿をガラス棒ですくって1mlの70%エタノール(−20℃に冷却したもの)が入った別の微量遠心管に移した。その後チューブを10,000rpm で5分間遠心し、上清を静かに除去した。1mlの70%エタノールを追加し、混合物を更に5分間遠心した。
シークエンスサンプルの調製はPRISM,Ready Reaction Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems 社製)を用いて行なった。先ず、9.5 μlの反応液、4.0 μl の 0.8pmol/ μl のT7プロモータープライマー(Gibco BRL)、および 6.5μl の0.16μg/μl テンプレート DNAを0.5ml のマイクロチューブに加え、混合した。混合物を2層の 100μl 鉱油で覆ったのち、25サイクルPCR増幅処理を行った。ここで、1サイクルは、96℃での30秒間の処理、55℃での15秒間の処理、および60℃での4分間の処理からなる。生成物を4℃で5分間保持した。反応終了後、80μl の無菌精製水を加え、攪拌した。生成物を遠心分離し、水層をフェノールークロロホルム混合液で3回抽出した。10μl の3M酢酸ナトリウム(pH5.2) と 300μl のエタノールを 100μl の水層に加え、攪拌した。その後 14,000rpm、室温で15分間遠心し、沈殿を回収した。沈殿を75%エタノールで洗浄後、真空下に2分間静置して乾燥させ、シークエンス用サンプルとした。シークエンスサンプルは、4μl の10mMのEDTAを含むホルムアミドに溶解して90℃で2分間で変性した。このものは氷中で冷却してシークエンスに供した。
無差別に選択した5個のクローンのうち2個は PCRに用いたプローブと配列上の相同性を有していた。また、Ribosomal Protein L7/L12の遺伝子配列と一致したDNA配列が明白であった。その構造遺伝子部分の全塩基配列及び対応するアミノ酸配列は配列表配列番号1及び2に示すような配列であった。この遺伝子断片は、明らかにクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の Ribosomal Protein L7/L12 蛋白質の遺伝子をコードするものである。
発現ベクターを組み込んだ大腸菌をLB培地中で50ml 37℃、一昼夜培養した。500mlの2倍濃度のYT培地を37℃で1時間加熱した。1晩培養した大腸菌液50mlを 500mlの前述の培地に入れた。1時間後、 550μl の100mM イソプロピルβ-D(-)-チオガラクトピラノシド(IPTG)を導入し、4時間培養した。生成物を回収し、250ml の遠心チューブに移し、7000rpm で10分間遠心した。
上澄みを棄てて50mM Tris-HCl pH7.4 、25% Sucroseを含む Lysisバッファー25mlずつに溶解した。
さらに10%NP-40 1.25ml、1M MgCl2 125μl を加えてプラスチックチューブに移した。氷冷下、1分間の超音波処理を5回行った。その後、12,000rpm で15分間遠心し、上清を回収した。
得られた精製Ribosomal Protein L7/L12/GSTフュージョン蛋白の純度は電気泳動法により確認したところ約75%であり免疫源として充分な純度を確保できた。
まずマウスの免疫については、クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)のGST フュージョンRibosomal Protein L7/L12蛋白質抗原 100μg を 200μl の PBSに溶解後フロイントのコンプリートアジュバントを 200μl 加え混合した。エマルジョン化したのち 200μl を腹腔内に注射した。同じエマルジョン化抗原を2週間後、4週間後、および6週間後に腹腔内に注射した。2倍濃度のエマルジョン化抗原を10週間後および14週間後に腹腔内に注射した。最終の免疫化終了の3日後に脾臓を摘出し、細胞融合した。
無菌的に取り出したマウスの脾細胞 108個に対し骨髄腫細胞2×107 個をガラスチューブに取り良く混合したのち1500rpm で5分間遠心し上澄みを棄た。その後細胞をよく混合した。
上澄み除去後、1%牛血清アルブミン溶液(PBS中) 200μl 添加し室温で1時間反応しブロッキングした。上澄み液を除去後、生成物を洗浄液 (0.02% Tween20,PBS)で洗浄した。これに融合細胞の培養液 100mlを加え、室温にて2時間反応させた。上澄み液を除去し、沈殿を洗浄液で洗浄した。次いで、濃度 50ng/mlのペルオキシダーゼでラベルしたgoat anti-mouse IgG 抗体溶液 100μl を加え、室温にて1時間反応させた。上澄み液を除去し、生成物を再び洗浄液で洗浄した。TMB 溶液(KPL社製)を 100μl ずつ加え、混合物を室温にて20分間反応させた。着色したところで1N の硫酸 100μl を加えて反応を停止し、450nm の吸光度を測定した。
そこで陽性ウェル中の細胞をそれぞれ回収し24穴プラスティックプレート中、HAT 培地で培養した。
培養した融合培地を細胞数が約20個/ml になるようにHT培地で希釈し50μl を、HT培地に懸濁した6週齢のマウス胸腺細胞106 個と96穴培養プレート中で混合した。混合後、7% CO2条件下、37℃で2週間培養した。
培養上澄み中の抗体活性を前述のELISA 法にて同様に検定し、Ribosomal Protein L7/L12蛋白との反応陽性の細胞を回収した。さらに、同様の希釈検定、クローニング操作を繰り返し、ハイブリドーマCTRB-1〜5 の計5クローンを取得した。
前述のようにして取得した陽性ハイブリドーマ細胞を用いて定法にしたがってモノクローナル抗体を生産回収した。
具体的には、RPMI 1640 培地 (10% FCS入り)を用いて継代培養した細胞をあらかじめ2週間前に0.5ml のプリスタンを腹腔内に注射したBalb/Cマウスの腹腔内に5×106 個(PBS中)注射した。3週間後腹水を回収し、その遠心上澄みを取得した。
得られた抗体を含む溶液をProtein A カラム(5ml bed, Pharmacia 製)に吸収させ、3倍量の PBSで洗浄した。次いで、クエン酸バッファー(pH3) で溶出した。抗体画分を回収し、各ハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体を取得した。この5株のハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体を用いてELISA 法により評価した。
モノクローナル抗体の評価にはサンドウィッチ分析法を用いた。作成されたモノクローナル抗体をペルオキシダーゼに結合せしめることにより検出用の抗体として用いた。
上澄み除去後、1%牛血清アルブミン溶液(PBS中) 200μl 添加し室温で1時間反応しブロッキングした。上澄み液を除去後、生成物を洗浄液 (0.02% Tween20,PBS) で洗浄した。これに各微生物の培養液に濃度 0.3%となる量の Triton X-100 を加え、常温で5分間抽出することにより得られた抗原溶液 100μl を加え、室温で2時間反応させた。上澄み液を除去し、生成物を再び洗浄液で洗浄した。次いで、濃度5μg/mlのペルオキシダーゼ標識抗 Ribosomal Protein L7/L12 蛋白質抗体溶液 100μl を加え、室温にて1時間反応させた。上澄み液を除去し、生成物を再び洗浄液で洗浄した。TMB 溶液(KPL社製)を 100μl ずつ加え、混合物を室温にて20分間反応させた。着色したところで1N の硫酸 100μl を加えて反応を停止した。450nm の吸光度を測定した。
実施例1に記載の方法により取得したクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis) Ribosomal Protein L7/L12蛋白質またはTriton X-100処理した菌体の上清を抗原として使用した。 100μg の抗原を含む生理食塩水約 1.2mlをフロイントアジュバント1.5ml とともに乳化した。エマルジョンを SPF日本白色ウサギに皮下注射してウサギを免疫化した。2週間おきに5〜6回免疫し、抗体価を確認した。
抗体価の確認はELISA 法により実施した。0.05%のアジ化ソーダ含むPBS中に溶解したクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の Ribosomal Protein L7/L12 蛋白質を10μg/ml濃度に希釈した液を 100μl ずつ96穴プレートに分注し4℃で1晩吸着させた。上澄み除去後、1%牛血清アルブミン溶液(PBS中) 200μl 添加し室温で1時間反応しブロッキングした。上澄み液を除去後、生成物を洗浄液 (0.02% Tween 20,PBS) で洗浄した。正常のウサギ血清および免疫化したウサギの抗血清を希釈して得られた溶液 100μl を加え、室温にて2時間反応させた。上澄み液を除去し、生成物を再び洗浄液で洗浄した。次いで、濃度 50ng/mlのペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG 抗体溶液 100μl を加え、室温にて1時間反応させた。上澄み液 を除去し、生成物を再び洗浄液で洗浄した。OPD 溶液(Sigma社製)を 100μl ずつ加え、混合物を室温にて20分間反応させた。着色したところで1N の硫酸 100μl を加えて反応を停止した。492nm の吸光度を測定した。
クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)のRibosomal Protein L7/L12蛋白質を固定化したアフィニティカラムを調製した。HiTrap NHS活性化カラム(1ml, Pharmacia 社製)を用いた。カラムを1mM HCI で置換後直ちにRibosomal Protein L7/L12蛋白質の PBS溶液(1mg/ml)を加えた。カラムを30分間静置後、ブロッキング試薬を加え、PBS で平衡化した。
このクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)のRibosomal Protein L7/L12蛋白質固定化アフィニティカラムを使用して、クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)のTriton X-100処理した菌体の上清を抗原として得られた抗血清中のポリクローナル抗体の精製を行った。この抗血清を PBSで5倍に希釈し、0.45μm のフィルターを通した後、流速0.5ml/min でクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)のRibosomal Protein L7/L12蛋白質固定化カラムに吸着させた。その後0.1MグリシンpH2.1 でカラムから溶出し、直ちに1M Tris-HCl pH9.0 で中和した後、抗体価測定法と同様のELISA 法により目的とする抗体の溶出画分を回収した。
精製した抗体は OIA法の捕捉(capture) 抗体として使用した。また検出(detect)抗体としては実施例4に記載したAMCT-1モノクローナル抗体をパーオキシダーゼで酵素標識したものを使用した。酵素標識はホースラディッシュパーオキシダーゼ(SigmaグレードVI) を用い結合には試薬S-アセチルチオ酢酸 N−ヒドロキシスクシンイミドを使用しAnalytical Bio-chemistry132(1983), 68-73に述べられている方法に従って行った。
OIA 反応においては0.05%アジ化ナトリウムを含む PBS中の精製ポリクローナル抗体を10μg/ml濃度に0.1M HEPES pH8.0で希釈した液を50μl ずつシリコンウエハー上に添加し室温で30分反応させた後、蒸留水で洗浄し、サッカロース及びアルカリ処理カゼインを含むコーティング溶液でコーティング後、使用した。
この結果、表3に示すように、精製ポリクローナル抗体APCT-1を捕捉抗体として用いることにより、クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)を 108 bacteria/mlの感度で検知できること、および他の微生物の反応性は検知できないことが明らかである。
このようにしてクラミジア・トラコマチス (Chiamydia trachomatis)のRibosomal Protein L7/L12蛋白質を固定化したアフィニティカラムにより、クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)に特異的に反応するポリクローナル抗体を取得したことを確認した。
また、このような抗体を構成要素とする微生物検出用試薬キットを用いることで、微生物の検出をより汎用的に精度良く行なうことができる。
(1)米国特許
No.6,010,857; Helen H.2000「子宮頸管のクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)感染検出」
No.5,846,785; Burczak,et al.,1998 「MOMP遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドおよびクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の検出法」
No.5,837,469; Harris; James M.1998「増殖によるクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)の分析およびクラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)核酸の検出」
(2)その他の特許文献
特表平7-509565
(3)その他の文献
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NCBIデータベース#AE001304.1,Stephens, R.S.,Kalman,S.,Lammel,C.J.,Fan,J., Marathe,R.,Aravind,L.,Mitchell,W.P.,Olinger,L.,Tatusov,R.L.,Zhao,Q.,Koonin ,E.V.,and Davis,R.W.
NCBIデータベース#AE001273,「クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)ゲノム」 Stephens,R.S.,Kalman,S.,Lammel,C.J.,Fan,J.,Marathe,R.,Aravind,L.,Mitchell,W.P.,Olinger,L.,Tatusov,R.L.,Zhao,Q.,Koonin, E.V.,and Davis, R.W.
Claims (4)
- クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)に属する細菌のリボソーム蛋白質L7/L12に対する抗体であって、当該細菌のリボソーム蛋白質L7/L12に特異的に反応し、該細菌を他の細菌と種あるいは属で識別できるモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、該細菌を他の細菌と種あるいは属で識別するための細菌検出方法。
- 抗体が酵素と結合した抗体である、請求項1に記載の細菌検出方法。
- クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis)に属する細菌のリボソーム蛋白質L7/L12に対する抗体であって、当該細菌のリボソーム蛋白質L7/L12に特異的に反応し、該細菌を他の細菌と種あるいは属で識別できるモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、該細菌を他の細菌と種あるいは属で識別するための細菌検出用試薬キット。
- 抗体が酵素と結合した抗体である、請求項3に記載の細菌検出試薬キット。
Priority Applications (1)
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