添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の光通信システム301を説明する概念図である。光通信システム301は、PONである光アクセスネットワークと制御回路(不図示)とを備える。光通信システム301は、波長分割多重且つ時分割多重で光信号を伝達する。
光アクセスネットワークは、OLT200と、複数のONU(100A、100B、100C)が光伝送路50である光分配網(ODN:Optical Distribution Network)を介して対向して接続され、OLT200とONU(100A、100B、100C)との間で複数の波長(例えば、λ1、λ2)の波長分割多重且つ時分割多重で光信号を伝搬する。
制御回路は、光アクセスネットワークの通信状態を監視し、その通信状態に応じてOLT200に指示を出し、OLT200にONU(100A、100B、100C)の登録解除と登録を行なわせることでONU(100A、100B、100C)に割り振る波長を変更する。ここで、通信状態とは、波長毎の通信状態、ONU毎の帯域、割当帯域比、遅延、遅延揺らぎ、あるいは登録中、登録待ち又は通信中のONU数等である。
ここで、変更対象のONUが割り振り後の波長以外で登録待ちをした場合のOLT200の動作を説明する。OLT200は、制御回路の指示により、割り振りを変更する対象のONUに対し、変更後の波長以外で登録に関するタイマが時間切れするまでは登録を行わないか又は登録解除を行い、割り振り変更後の波長で登録を行い、データ通信を開始することで、該ONUに波長の変更を通知する。
具体的に、ONUの割り振り後の波長をλ1、そのほかの波長をλ2〜4とすると、当該ONUがλ2〜4のいずれかで登録待ちをしている状態で説明する。ここで、4波長の例で示すが、それ以外の波長数の場合も同様である。この状態で当該ONUは通信を開始することができない。そこで、OLT200は、タイマが時間切れして当該ONUが登録待ちをしている波長で登録待ちをやめるまで放置し、当該ONUが登録待ち波長をλ1に変えるのを待つ。又は、OLT200は、当該ONUにMACアドレス等を指定して登録解除を通知することで明示的に、現在の登録待ち波長が異なっている場合に登録待ち波長を変えることを通知することもできる。あるいは、OLT200は、ONUの登録解除の前に登録(またはディスカバリ操作、レンジング操作)する場合は、登録後に当該ONUに登録解除を通知することで明示的に、登録待ち波長が異なっているので登録待ち波長を変えることを通知してもよい。
ONU(100A、100B、100C)は、所定時に、登録待ちする波長を一定順序での巡回又はランダム等の所定の順序で変更する。ここで、所定時とは、OLTから登録解除の通知の受信、受信した登録解除の通知の回数、登録に関するタイマの時間切れ、登録後の再度の登録解除、又はこれらの組合せをトリガーとした時である。なお登録待ちする波長の巡回は、未登録時に行うとしているが、登録後の通信中でも次に未登録になったときに登録待ちする予定の波長を巡回しておいてもよい。
まず、初めに波長分割多重且つ時分割多重での動作について説明し、その後、光通信システム301の特徴である波長の割り振りの通知に用いる登録の例としてディスカバリ操作の例を示し、続いて光通信システム301に特有の通知動作について説明する。
まず、波長分割多重且つ時分割多重での動作について説明する。ここで2波長の例で示すが、それ以外の波長数の場合も同様である。
ONU(100A、100B、100C)は加入者側光送受信回路の一部としてそれぞれ光送信機(10A、10B、10C)と光受信機を持つ。OLT200は局側光送受信回路の一部として光受信機20と光送信機を持つ。両装置の光送信機(10A、10B、10C)と光受信機20とは光伝送路50で接続される。図1を含め、以下の図では、局側光送受信回路の光送信機及び加入者側光送受信回路の光受信機を図示していない。
ONU(100A、100B、100C)は各加入者宅に設置されており、光送信機(10A、10B、10C)は割り振られた波長の信号光を出力する。割り振られた波長は、選択可能な複数の波長のうちの1波長である。
光伝送路50は、ONUの光送信機(10A、10B、10C)からの信号光を合波してOLTの光受信機20へ結合し、OLTの光送信機からの信号光を分波してONUの光受信機へ結合する。ここで、ONUの光送信機(10A、10B、10C)から信号光が同時に同一波長で到着すると受信できなくなるので、制御器は、ONUの光送信機ごとの当該波長における伝達時間の差を考慮して同一の波長として受信する信号光同士がOLTの受信機20で重ならないように送信許可する。送信許可は、各ONU側の光受信機で受信中の波長にてOLTから通知される。受信中の波長は、ONUで選択可能な複数の波長のうちの1波長である。具体的には、ONUの光送信機(10A、10B、10C)は、2波長(λ1、λ2)に対してそれぞれ時間を違えて互いに時間的に重ならないように時分割多重で信号光を出力する。例えば、制御器が、ONUの光送信機(10A、10B、10C)に対して、時分割多重で当該光送信機における送出時間を違えて、波長λ1及び波長λ2の帯域を送信許可として割り当ててもよい。
制御器は、例えば、光送信機10Aが波長λ1で光信号を送出しており、光送信機10Aが波長λ1で光信号を送出できないときに、光送信機10Aに波長λ2で送信許可する時間が、光送信機(10A、10B、10C)の波長切り替えに要する時間を含めて、光送信機(10A、10B、10C)の送信許可時間が互いに重ならないように制御する。光送信機(10A、10B、10C)の波長を切り替えに要する時間には、波長毎の伝達時間の差を含める。即ち、伝達時間が長い波長から短い波長に切り替える場合は、切り替えに要する時間に伝達時間差を加え、逆の場合は減ずる。
OLTの光受信機20は、光伝送路50からの光を波長ごとに分波する光合分波器25と、光合分波器25から分波された信号光をそれぞれ受光して電気信号として出力する複数の受光器(27、28)と、を有する。光合分波器25は、例えば、波長フィルタ等を適用することができる。受光器(27、28)は、例えば、フォトダイオードを使用することができる。光合分波器25は、波長λ1と波長λ2の混合信号光Lを波長λ1と波長λ2に分波し、それぞれ受光器(27、28)に結合する。受光器(27、28)は、それぞれ受光した信号光を電気信号として出力する。このため、光受信機20は、波長(λ1、λ2)ごとに信号光を受信することができる。
ここで、一般的な登録について説明する。登録は、未登録のONUに識別番号を付与する処理である。OLTに新たに接続されたONUを接続する場合、通常、OLT−ONU間の往復時間RTT(Round Trip Time)の測定も行う。このような登録として、IEEE802.3やITU−T寄書G.983シリーズ及びG984シリーズに示されている処理がある。以下非特許文献3にディスカバリ操作として記載されるIEEE802.3の手順に従って説明する。
図9は、一般のディスカバリ操作について説明する図である。OLT200に新たに接続された未登録のONU(例えば、100Cとする。)は、初期状態において、往復時間RTT(Round Trip Time)の測定と、フレーム取捨選択に必要なONU100Cの識別番号LLID(Logical Link ID)の付与のために、ディスカバリと呼ばれる処理が必要となる。この処理は、MPCP(Multi−Point Control Protocol)プロトコルに含まれる。OLT200は新たにONUがいつPONに接続されてもよいように、定期的に(ディスカバリ周期毎に)ONUに対して、ディスカバリゲートメッセージ(Discovery_GATE Message)を送信する。ディスカバリゲートメッセージには、ディスカバリタイムウインドウ(Discovery Time Window)の長さと開始時間と当該メッセージの送信時刻t1が示されている。
ディスカバリゲートメッセージを受け取ったONU100Cは、このメッセージのタイムスタンプで示される当該メッセージの送信時刻t1に自分の時計を合わせる。ONU100Cは上り時の衝突を避けるためディスカバリゲートメッセージで指示された送信開始時刻t2にランダム時間d(0≦d≦D、D:ランダム時間の最大値)加えた時刻t2*(=t2+d)に、タイムスタンプをt2*としたレジスタリクエストメッセージ(Register_REQ Message)で応答する。レジスタリクエストメッセージはONUのMACアドレスが示されている。OLT200は、受け取ったレジスタリクエストメッセージの到着時刻t3を測定するとともに、タイムスタンプからt2*を取得し、ONU100Cまでの往復時間Tx(=t3−t2*)を求める。OLT200は、LLIDを決定し、そのLLIDをレジスタメッセージ(Register Message)によりONU100Cに通知する。またOLTは、次の上りタイミングをこのLLIDで指定したゲートメッセージ(GATE Message)によりONU100Cに通知する。ゲートメッセージには、当該ゲートメッセージの送信時刻t1と、通信を許可する送信開始時刻t2と送信許可の継続時間が示されている。ONU100Cは、受け取ったゲートメッセージに基づいて、指示された送信開始時刻t2から継続時間Kが経過するまでの間に、レジスタAckメッセージ(Register_ACK Message)で応答する。以上で、ディスカバリ処理は終了となる。
次に、光通信システム301が行う光通信方法、特に光通信システム301に特有の通知動作について説明する。本光通信方法は、上述した登録(レジスタ)とその逆の操作である登録解除(デレジスタ)を利用する。例えば、制御回路がOLT200とONU(100A、100B、100C)にデレジスタとレジスタ処理を指示することで波長の割り振り変更がなされる。制御回路が行わせるデレジスタとレジスタの例を以下に示す。
OLT200が制御回路の指示に従い、所定時に割り振りを変更する対象のONUに当該ONUに割り振られている波長にてデレジスタメッセージを送出する。所定時として、定期的な周期の時刻であってもよいし、ONU登録等のイベントが生起した時刻であってもよいし、制御回路の指示の直後等の指示を受けた時刻に対応する時刻でもよいし、次の割当周期またはディスカバリゲートメッセージ(Discovery_GATE Message)の周期に応じた時刻でもよいし、ONU(100A、100B、100C)、OLT200、又はONUとOLTの両方のバッファ内の未送信データが所定の量以上又は以下となった等のデータ量や割当帯域やONU間の割当帯域比が所定の範囲になった時刻でもよい。
デレジスタメッセージは、具体的にはステータス(Status)をデレジスタド(deregistered)やリレジスタド(reregistered)やデナイド(denied)としたレジスタメッセージ(Register Message)である。
割り振りを変更する対象のONUはデレジスタメッセージを受信し、ゲートメッセージにより送信を許可された時間に受信したデレジスタメッセージに対して受信通知(Acknowledgement:ACK)で応答する(登録解除の完了)。
なお、ここで登録解除のために明示的にデレジスタメッセージの授受を行ったが、ONU側のタイマの時間切れによる登録解除でもよい。例えば、ONUに送信許可を与えるゲートメッセージ(GATE Message)を待つタイマの時間切れまで当該ONUにゲートメッセージを送信しないことでタイマの時間切れによる登録解除が可能である。
割り振りを変更する対象のONUは、受信対象とする波長を変更して、ディスカバリゲートメッセージを待つ。当該ONUの送信対象とする波長は、後述のレジスタリクエストメッセージ(Register_REQ Message)送出以前に受信対象とする波長に応じた送信対象とする波長に変更する。受信対象とする波長に応じた送信対象とする波長として、例えば、上り波長を1270nm 1290nm 1310nm 1330nmとし、下り波長が1574.54nm 1576.20nm 1577.86nm 1579.52 nmとする場合、それぞれを1波長ずつ取り出し一対一で組み合わせればよい。他の波長を用いる組合せの場合も同様である。
割り振りを変更する対象のONUは、変更後の受信対象とする波長でディスカバリゲートメッセージ又は後述のレジスタメッセージが到着待ちする時間を経過して到着しない又はディスカバリ又はレジスタが完了しない又デレジスタメッセージを受けた場合は受信対象とする波長を変更して前記ディスカバリゲートメッセージ又は後述のレジスタメッセージが受信可能な波長を探索する。
OLT200は所定時に割り振りを変更する対象のONUに割り振る波長にてディスカバリゲートメッセージを送出する。割り振る波長を変更するためのディスカバリゲートメッセージを送出するタイミングは、通常の未登録のONUが接続したことを周期的に観測するためのディスカバリゲートメッセージを兼ねて同一のタイミングでもよいし、新規の未登録のONUが接続したり、割り振りを変更するONUが変更中であったり等の何らかのイベントの生起に合わせていてもよい。兼ねている場合は、目的毎にディスカバリゲートメッセージやディスカバリタイムウインドウを設定しなくてよいため、帯域の効率利用ができる効果がある。割り振る波長を変更するONUの変更後の通信を速やかに行う観点からは、変更するONUができる限り早く波長を変更できるように、できる限り早くディスカバリゲートメッセージを送出することが望ましい。しかしディスカバリゲートメッセージを受信するONUが当該波長にてOLT200からの送信に応答できる時間以降であることが無駄なやり取りを抑止する観点から望ましい。ディスカバリゲートメッセージを送出する頻度は、帯域の利用効率等の制約から制限されるため、波長割り振り変更を完了すべき時間と帯域利用効率等の兼ね合いで定まる。そのため、所定時は、許容されるディスカバリゲートメッセージを送出する頻度に対応する時刻であってもよい。
割り振りを変更する対象のONUは、OLT200からの前記受信対象とする波長のディスカバリゲートメッセージを受信し、受信した波長のディスカバリゲートメッセージに対して受信対象とする波長のディスカバリゲートメッセージに対応する送信対象とする波長のレジスタリクエストメッセージで応答する。
OLT200は、当該波長が前記割り振りを変更する対象のONUに割り振る波長である場合、レジスタリクエストメッセージで応答したONUに対して、前記波長の前記のディスカバリゲートメッセージと同じ波長でのレジスタメッセージと次の上り光信号の送信許可を含むゲートメッセージを該ONUへ通知する。該ONUは、ゲートメッセージに従い、レジスタACKメッセージ(Register ACK Message)で応答(登録完了)して、デレジスタとレジスタ処理を完了し、当該ONUに対して割り振る波長の変更を完了する。
ここで、ディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージの応答に際して、1ONUずつ応答させる場合はランダム時間待たずに、即ち時刻t2*(=t2+0)に該当するONUはレジスタリクエストメッセージで応答してもよい。この応答は、デジレスタでONUとLLIDの対応を解かずに、当該ONUへのユニキャストでディスカバリゲートメッセージを送信する場合も可能である。これらの場合、ディスカバリタイムウインドウが短くてもよいため帯域利用効率が向上する効果がある。
更に、OLTとONUの間の往復時間Txが過去の通信の測定や他の波長での測定を換算することで得られる場合は、ディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージの応答を省略し、レジスタメッセージとゲートメッセージとそれに対するレジスタACKメッセージの応答のみとしてもよい。この場合、応答に要するやり取りが削減され更に、ディスカバリタイムウインドウ自体がなくなるため応答が速く、かつ帯域利用効率が更に向上する効果がある。
以上、光通信システム301の光通信方法をIEEE802.3のMPCPメッセージを用いたMPCPプロトコルで説明し、登録解除と登録を用いて波長の割り振りが可能であることを説明した。ITU−T983シリーズ及び984シリーズに従うプロトコルでも同様に登録解除と登録を用いて波長の割り振りが可能である。この場合、MPCPメッセージの内容は例えば、次に示す対応に従って、PLOAMメッセージに割り振ればよい。
Register:
Upstream_Overheasd、Assign_ONU−ID、Ranging_Time、Deactivation_ONU−ID、Disable_serial_number、Assign_Alloc−ID
Register_Req:
Serial_number_ONU
Register_Ack:
Acknowledgement
図3と図4に本実施形態の4波長の場合のONUの波長に関する状態遷移図の例を示す。図3の状態遷移図は、ある波長(ここではλ1とする)での通信状態(λ1通信)でデレジスタを完了するとディスカバリ又はレジスタ待ちの待機状態(λ1待機)に遷移(W1−>1)し、レジスタを完了して通信状態(λ1通信)に遷移(C1−>1)しない場合、他の波長のディスカバリ又はレジスタ待ちの待機状態(λn待機;n:波長番号、n≠1)に遷移(P1−>n;n≠1)する。各波長の待機状態(λn待機;n≠1)でレジスタを完了すると当該波長での通信状態(λn通信)に遷移(Cn−>n)する。ここで、括弧の中の数字はλ1の場合で説明しているが、その他の波長の場合も同様である。図4では、図3での異なる波長の待機状態(λn待機)間の遷移(Pn−>m; n、m;波長番号)が限定されている状態遷移図である。
図3は確率的に衝突回避等の処理を行うイーサネット(登録商標)の動作に合致している。図4は、待機状態間で遷移する波長の順番が確定しているため、OLTにより現在のONUの待機波長が推定可能であるためOLTの指示に沿った割り振り変更が容易にできる。ここで、図4では待機する波長は昇順に変わるとしているが、降順でもそれ以外の順序でもよいし、時間の経過、OLTからの指示等のトリガーによってその順序を変更してもよい。更に、図3と図4の状態遷移を切り換えて使用してもよいし、両者を組み合わせて、一部の波長に関しては複数の待機波長に遷移し、残りの波長は所定の待機波長に遷移するとしてもよい。
図5は、λ1待機を例として待機状態での内部の状態遷移を説明する図である。デレジスタを完了(W1−>1)すると待機波長選択に入り、同状態での選択に従って、自波長での待機状態を意味するレジスタ待機に入るか他波長での待機状態に遷移(P1−>2、P1−>3,P1−>4)する。自波長でのレジスタ待機には他波長での待機状態からの遷移(P2−>1,P3−>1,P4−>1)もある。レジスタ待機からはレジスタメッセージを受けるとレジスタ応答中に遷移し、レジスタ応答が完了してレジスタされると、通信状態(λ1通信)に遷移(C1−>1)する。
波長に関する状態遷移図は4波長の場合で例示したが、波長数は増減しても同様である。但し、波長数が2になると図3と図4の状態遷移図は同様となる。又、通信状態からデレジスタを受けた波長の待機状態から他の波長の待機状態への遷移は誤動作による通信断による波長の割り振り変更を抑止する保護が必要でない限り、波長の割り振り変更に伴う通信断時間を軽減する観点から即時遷移が望ましい。その考えに基づく場合、図5の状態遷移図は、λ1待機内の待機波長選択からλ1待機内のレジスタ待機への遷移がない。このとき図3と4の状態遷移図は、各波長の通信状態(λn通信)から同一波長の待機状態(λn待機)への遷移(Wn−>n)を削除して、その代わりに、各波長の通信状態(λn通信)から他波長の待機状態(λm待機;n≠m)への遷移が追加される。図4のλ1通信を例に取ると、λ1通信からλ1待機への遷移(W1−>1)を削除してλ1通信からλ2待機への遷移が追加される。これらのように状態遷移図を変更してもよい。
また、ある波長の待機状態からその他の波長の待機状態への遷移は、レジスタを受信する待機状態を待つ所定の時間の経過、ある所定の確率的な遷移、レジスタ後の再度のデレジスタ又はデレジスタのためのOLTからの通知の回数又はその組合せ等をトリガーとしてよい。
時間経過をトリガーとする場合、当該波長でのレジスタを待つタイマの時間切れをトリガーに次に波長の待機状態に遷移する。時間の経過による遷移の場合の所定の時間として、各待機状態で少なくとも1回以上ディスカバリ又はレジスタを受けるに必要な時間以上であることが望ましい。例えば、波長毎のディスカバリ周期が同一で同期している場合は波長の変更後ディスカバリ周期の1周期以上、波長毎のディスカバリ周期が同一で同期していない場合は元の待機状態でのディスカバリのタイミングと後の待機状態でのディスカバリのタイミングが最悪2周期程度ずれる可能性があるため、波長の変更後ディスカバリ周期の2倍以上であることが望ましい。
確率的な遷移をトリガーとする場合、当該波長での待機状態に滞在する時間も確率的に決定してもよい。このとき、λ1待機を例にとると、P1−>2、P1−>3、P1−>4への遷移確率の和が1未満となる。レジスタを受ける確率を無視すると、1からこれらの遷移確率の和を減じたものがλ1待機にとどまる確率に相当する。各待機状態は少なくとも1回以上ディスカバリ又はレジスタを受けるに必要な時間以上継続するのが望ましいのは時間で遷移する場合と同様である、しかし各待機状態の継続は確率的にのみ保証されていることを考慮すると、所定の時間経過後にどの波長の待機状態に遷移するかのみに確率を用いるのが望ましい。
レジスタ後の再度のデレジスタにより遷移する場合は、例えば図4のλ1通信状態から開始すると、
λ1通信−デレジスタ−>λ1待機−>λ2待機−>レジスタ−>λ2通信−>デレジスタ−>λ2待機−>λ3待機−レジスタ−>λ3通信
のように遷移する。ここで、デレジスタ後の待機状態間の遷移は即時でもよい。例えばλ1待機−>λ2待機が即時であってもよい。逆に、伝送路誤り等によりデレジスタを受信したと誤り、誤って遷移することを抑止する観点からは、1回以上ディスカバリ又はレジスタを受けるに必要な時間等の時間を保護時間とし、保護時間経過後に遷移するとしてもよい。この場合のデレジスタ後の待機状態間の遷移が即時であり、所定の時間経過がレジスタ−デレジスタに要する時間よりも長い場合、より高速に遷移できる効果がある。又、各波長の通信状態でユーザデータを送受信することも可能なので、波長の割り振りに応じた波長に遷移して通信を開始する前に、遅延に敏感なデータを送受信することが可能である。また、波長の割り振りに応じた波長に遷移して通信を開始するまでの間にONU−OLTの通信が断続的ではあるが存在するので、アラーム等の異常状態の検出が、より速くできる効果がある。
デレジスタのためのOLTからの通知の回数を利用する方法として、遷移したい波長数分のデレジスタのための通知を連続的に送るとする。通知の回数は、例えば、図3では遷移する先の波長、図4では待機する波長を遷移する回数と紐付けしていることに相当する。例えば、λ1で通信中のONUの波長をλ2に変更する場合は通知を1回、λ3に変更する場合は通知を2回、λ4に変更する場合は通知を3回のようにすればよい。この方法では、デレジスタ直後に所望の割り振る波長での待機状態に遷移し、1回のレジスタで通信状態にすることが可能であるため、もっとも高速にONUの送受する波長を所望の割り振る波長に変更することができる。なお、ここでデレジスタのための通知を1〜3の連続により、波長を遷移するとしたが、2〜4回でもよいし、離散的な任意の回数の連続でよい。通知の回数1を遷移する波長を指示するのに用いないことは、通知1回を、波長を遷移しない本来のONUの登録解除として用いることができるための望ましい。離散的な回数を選択することは、登録解除の通知が廃棄されたときの保護の観点からは望ましい。例えば、離散的な回数として、2回、4回、6回をλ1〜3に割り当てると、1〜2回がλ1、3〜4回がλ2、5〜6回がλ3とすることが可能であり、1つの登録解除の通知の廃棄があっても、割り振る波長が識別可能となる。
図6〜図8に本実施形態のメッセージに関する時間ダイヤグラムを示す。ここで、NはOLTとONUで使用可能な波長数である。また、それぞれの図でディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージに括弧がついているのは、ONU−OLTの距離が過去の当該波長での通信時の測定や他波長での通信で測定した測定値の換算により取得されており、ONU−OLTの距離を測定しなくてもよい場合にはディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージが省略してもよいことを意味する。リコンフィグレーションは、ONUの受信対象波長及び送信対象波長の切り替え処理を意味する。
リコンフィグレーションにおいて、送信波長を変更するタイミングは、最後の送信許可や通信受信から所定の時間経過後又はデレジスタメッセージ受信後又はデレジスタメッセージに応じたACK送信完了以降でありかつディスカバリゲートメッセージを用いる場合はレジスタリクエストメッセージ送出以前でありディスカバリゲートメッセージを用いない場合はレジスタACK送信以前である。受信波長を変更するタイミングは、最後の送信許可や通信受信から所定の時間経過後又はデレジスタメッセージ受信完了後以降でありかつディスカバリゲートメッセージを用いる場合はディスカバリゲートメッセージ受信開始以前であり、ディスカバリーゲートメッセージを用いない場合はレジスタメッセージ受信開始以前である。例えば、デレジスタメッセージに応じたACKとディスカバリゲートメッセージを送信する場合、送信波長を変更するタイミングはACK送信完了以降レジスタリクエストメッセージ送出開始以前である。このとき受信波長を変更するタイミングは、はデジレスタメッセージの受信完了以降ディスカバリゲートメッセージ受信開始以前であるのでACK送信前であってもよい。
デレジスタメッセージの数で遷移する波長を指示する図8では切替に要する時間が長大なものとなるが、デレジスタメッセージは時間切れによる登録解除に置き換えてもよい。これらの図ではデレジスタメッセージに対するACKをONUは送っていないが、必要であればOLTからのACKのためのゲートメッセージを送り、その送信許可でONUからACKを送るとしてもよい。
図6は受信対象とする波長の遷移の1回毎に一旦レジスタしてからデレジスタする例である。図6では以下の手順でメッセージをやり取りする。
(1)OLTからのデレジスタメッセージ
(2)(OLTからのディスカバリゲートメッセージ)
(3)(ONUからのレジスタリクエストメッセージ)
(4)OLTからのレジスタメッセージ
(5)OLTからのゲートメッセージ
(6)ONUからのレジスタACKメッセージ
(1)からの(6)の手順を、割り振られた波長になるまで繰り返す。繰り返し回数は、例えば1から使用可能な波長数Nから1を減じたN−1である。
図7は変更対象の波長になるまでレジスタせずにデレジスタして遷移をすすめる例である。図7では以下の手順でメッセージをやり取りする。
(1)OLTからのデレジスタメッセージ
(2)(OLTからのディスカバリゲートメッセージ)
(3)(ONUからのレジスタリクエストメッセージ)
(4)OLTからのデレジスタメッセージ
(5)(OLTからのディスカバリゲートメッセージ)
(6)(ONUからのレジスタリクエストメッセージ)
(7)OLTからのレジスタメッセージ
(8)OLTからのゲートメッセージ
(9)ONUからのレジスタACKメッセージ
(2)からの(4)の手順を割り振られた波長になるまで繰り返す。繰り返し回数は例えば0から使用可能な波長数Nから2を減じたN−2である。(4)の手順で用いるデレジスタメッセージのステータスはデナイドであってもよい。
図8は割り振り変更前の波長でのデレジスタメッセージの数で遷移する波長を指示する例である。図8では以下の手順でメッセージをやり取りする。
(1)OLTからのデレジスタメッセージ
(2)(OLTからのディスカバリゲートメッセージ)
(3)(ONUからのレジスタリクエストメッセージ)
(4)OLTからのレジスタメッセージ
(5)OLTからのゲートメッセージ
(6)ONUからのレジスタACKメッセージ
(1)の手順を、割り振られた波長に遷移するまで繰り返す。繰り返し回数は例えば1から使用可能な波長数Nから1を減じたN−1である。なお、本図ではデレジスタメッセージは割り振り変更前の波長でとしたが、当該ONUで受信可能であれば、その他の波長であってもよい。
図10から図11は、割り振りを変更するONUと、ONUをデレジスタするOLT側の波長の送受信機と、ONUをレジスタするOLT側の上り下りの波長ペアを送受する波長の送受信機と、割り振りを変更されるONUの状態遷移図の例である。
図10に示されるように、OLT、特にOLTの割り振り変更対象のONUが割り振り変更前に送受信する上り下りの波長ペアを送受信する波長の送受信機は通常状態から制御回路の指示により状態遷移する。状態遷移したOLTの当該波長の送受信機は割り振り変更対象のONUに対して当該ONUと通信中の下り波長での通信又は通信しないことにより登録解除を要求する。要求後当該ONUからの応答を受信する状態に遷移する。OLTは当該ONUと通信中の当該波長の送受信機で受信する上り波長で、当該ONUからの応答を受信する。応答を受信する状態は、応答の受信または応答の受信を待つ時間の経過により次の状態に遷移する。いずれの遷移した状態も制御回路への通知を経て通常状態に戻る。一方の状態では、応答の受信により登録解除の完了したことを、他方の状態では、タイマの時間切れまでに応答を受信できずに登録解除が失敗したことを通知する。図10では図6から8に示したのと異なり、デレジスタに対してONUからACKが応答する場合を示した。ACKで応答しない場合は、2番目のデレジスタする状態からACK待ちの状態を経ずに直接右下の登録解除完了を通知する状態に遷移する。
なお、この状態遷移図では明示していないが、登録解除し、他の波長の送受信機に収容されるべきONUから登録要求が上がってきた場合は、要求に関するタイマが時間切れになるまで応答しないか、積極的にデレジスタを行うことが望ましい。また、当該ONUの状態について制御回路に通知することが望ましい。
図11に示されるように、OLT、特にOLTの割り振り変更対象のONUの割り振り変更後の送受する上り下りの波長ペアを送受信する波長の送受信機は通常状態から制御回路の指示により状態遷移する。状態遷移したOLTの波長の送受信機はディスカバリ操作を行う状態に遷移する。この状態では、当該波長の送受信機の下り波長で周期的にディスカバリゲートメッセージを送出する。OLTは制御回路から指示された割り振り変更対象のONUに対して当該ONUからの当該波長の送受信機の上り波長で登録要求を受信し、当該ONUに対する登録と該登録に対する応答を受信するか又は所定回数のディスカバリゲートメッセージ送出にて当該ONUの登録が完了しない場合次の状態に遷移する。いずれの遷移した状態も制御回路への通知を経て通常状態に戻る。一方の状態では、登録が完了したことを、他方の状態では、ディスカバリゲートメッセージの所定の回数までに登録を完了できずに登録が失敗したことを通知する。
なお、この状態遷移図では明示していないが、登録解除し、他の波長の送受信機に収容されるべきONUから登録要求が上がってきた場合は、要求に関するタイマが時間切れになるまで応答しないか、積極的にデレジスタを行うことが望ましい。また、当該ONUの状態について制御回路に通知することが望ましい。また、定期的なディスカバリの実行を繰り返す際に、ディスカバリゲートメッセージを送出している時間やディスカバリタイムウインドウ等の通信に利用できない時間以外は、登録済みのONUとの情報の授受を行うことが望ましい。
図12に示されるように、割り振り変更対象のONUは通信中の上り下りの波長ペアを送受信する波長の送受信機からの登録解除により送受信する波長を切り換える状態に遷移する。波長を切り換える状態からは、波長切り換えの完了によって登録を待機する状態に遷移する。登録を待機する状態からは、波長の送受信機に登録が完了するか又は登録が失敗すると次の状態に遷移する。登録が完了すると通常状態に戻り、失敗すると再度波長を切り換える状態に戻る。なお、この状態遷移図では明示していないが、所定の回数以上の登録失敗の繰り返し等を契機としてONUが停止状態に遷移することがのぞましい。
なお、OLT200が登録するONU数又は輻輳状態が特定波長に片寄る場合、制御回路は、OLT200に、登録解除の通知を少なくとも1つのONUへ送信させ、登録解除の通知を受信したONUによる当該波長の使用を停止し、OLT200及び該ONUに、別の波長にて再登録を行なわせる。制御回路が該ONUの使用していた波長の使用を停止させ、波長割り振りをやり直すことでONU数又は輻輳状態の偏りを平準化することができる。登録解除により波長の使用を停止させるONUは特定波長を使用するONUの全て又は一部である。また、全てのONUについて波長を開放させてもよい。
以上説明したように、光通信システム301は、既存の登録解除と登録を用い、ONUが送受信可能な波長を変更してディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージを探索し、検知したディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージに対応する波長を用いて応答することで使用可能な波長を割り振ることができる。従って、光通信システム301は、使用可能な波長を伝える新規のメッセージを追加することなく、また、既設のONUの通信に影響を与えることなく新ONUに波長を割り振ることができる。
なお、光通信システム301は、3つの光送信機と2波長又は4波長で説明したが、光送信機の数が増減してもよいし、波長分割多重する波長の数も2以上であってよい。以上の説明では、光アクセスネットワークをPONとして説明したが、光スイッチを光スプリッタ55に代替した光アクセスネットワークでも、波長をONUで時分割多重により共用しないWDM−PONでも、1対N接続ではない1対1接続の光通信システムであっても同様の登録解除と登録を行なうことができる。例えば、OLT側に応じてメディアコンバータとして動作するかONUとして動作するかを適用する適用型ONU(例えば、非特許文献5を参照。)等に適用することができる。これは以降の実施形態でも同様である。
(実施形態2)
図2は、実施形態2の光通信システム302を説明する概念図である。図1の光通信システム301と光通信システム302とは、光通信システム301が光送信機(10A、10B、10C)を波長(λ1、λ2)に振り分けて収容することに対して、光通信システム302が光送信機(10A、10B、10C)を複数の方路に振り分けて収容する点において相違する。なお、実施形態2では、すでに実施形態1で説明した部分と同一あるいは略同一である部分の説明を省略する。
光アクセスネットワークは、OLT200と、複数のONU(100A、100B、100C)が光伝送路51であるODNを介して対向して接続され、OLT200とONU(100A、100B、100C)との間で複数の方路(H1、H2)の芯線多重且つ時分割多重で光信号を伝搬する。
制御回路は、光アクセスネットワークの通信状態を監視し、その通信状態に応じてOLT200に指示を出し、OLT200にONU(100A、100B、100C)の登録解除と登録を行なわせることでONU(100A、100B、100C)に割り振る方路を変更する。ここで、通信状態とは、方路毎の通信状態、ONU毎の帯域、帯域比、遅延、遅延揺らぎ、あるいは登録中、登録待ち又は通信中のONU数等である。
変更対象のONUが割り振り後の方路以外で登録待ちをした場合のOLT200の動作は図1の光通信システム301の説明と同様である。すなわち、OLT200は、制御回路の指示により、割り振りを変更する対象のONUに対し、変更後の方路以外で登録に関するタイマが時間切れするまでは登録を行わないか又は登録解除を行い、割り振り変更後の方路で登録を行い、データ通信を開始することで、該ONUに方路の変更を通知する。
ONU(100A、100B、100C)は、所定時に、レジスタを受信待ちする方路を一定順序での巡回又はランダム等の所定の順序で変更する。ここで、所定時とは、OLTから登録解除の通知の受信、受信した登録解除の通知の回数、登録に関するタイマの時間切れ、登録後の再度の登録解除、又はこれらの組合せ等をトリガーとした時である。
まず、芯線多重且つ時分割多重での動作について説明する。
光通信システム302が備える光アクセスネットワークは、例えば、ONU(100A、100B、100C)と一つのOLT200との間で時間領域及び複数の方路である芯線を共用して信号光を送受信するPONである。光送信機(10A、10B、10C)と光受信機20とは方路(H1、H2)を含む光伝送路51で接続される。
ONU(100A、100B、100C)及びOLT200は、図1で説明したONU(100A、100B、100C)及びOLT200について波長を方路に置き換えたものである。
ONU(100A、100B、100C)は、加入者宅に設置されており、光送信機(10A、10B、10C)は選択可能な方路(H1、H2)のうちの1方路を選択して信号光を出力する。
光伝送路51は、光送信機(10A、10B、10C)からの信号光を方路ごとに合波してOLT200の光受信機20へ結合し、OLTの光送信機からの信号光を方路ごとに分波してONUの光受信機へ結合する。ここで、ONUの光送信機(10A、10B、10C)から信号光が同時に同一方路で到着すると受信できなくなるので、制御器は、ONUの光送信機ごとの当該方路における伝達時間の差を考慮して同一の方路で受信する信号光同士がOLT200の受信機20で重ならないように送信許可する。送信許可は、各ONU側の光受信機で受信中の方路にてOLT200から通知される。受信中の方路は、ONUで選択可能な複数の方路のうちの1方路である。具体的には、ONUの光送信機(10A、10B、10C)は、方路(H1、H2)に対してそれぞれ時間を違えて互いに時間的に重ならないように時分割多重で信号光を出力する。例えば、制御器は、ONUの光送信機(10A、10B、10C)に対して、時分割多重で当該光送信機における送出時間を違えて、方路H1及び方路H2の帯域を送信許可として割り当ててもよい。
制御器は、例えば、光送信機10Aが方路H1で光信号を送出しており、光送信機10Aが方路H1で光信号を送出できないときに、光送信機10Aに方路H2で送信許可する時間が、光送信機10Aの方路切り替えに要する時間を含めて、光送信機(10A、10B、10C)の送信許可時間が互いに重ならないように制御する。
OLT200の光受信機20は、光伝送路51からの光を方路ごとにそれぞれ受光する複数の受光器(27、28)を有する。光受信機20は、方路(H1、H2)ごとに信号光を受信する。
光通信システム302は方路の割り振りの通知に登録解除と登録を用いる。この登録解除と登録は、光通信システム301で説明した登録解除と登録の例について波長を方路に置き変えることで説明できる。
続いて、光通信システム302が行う光通信方法、特に光通信システム302に特有の通知動作について説明する。本光通信方法は、上述した登録(レジスタ)とその逆の操作である登録解除(デレジスタ)を利用する。例えば、制御回路がOLT200とONU(100A、100B、100C)にデレジスタとレジスタ処理を指示することで方路の割り振り変更がなされる。制御回路が行わせるデレジスタとレジスタの例を以下に示す。
OLT200が制御回路の指示に従い、所定時に割り振りを変更する対象のONUに当該ONUに割り振られている方路にてデレジスタメッセージを送出する。所定時として、定期的な周期の時刻であってもよいし、ONU登録等のイベントが生起した時刻であってもよいし、制御回路の指示の直後等の指示を受けた時刻に対応する時刻でもよいし、次の割当周期またはディスカバリゲートメッセージの周期に応じた時刻でもよいし、ONU(100A、100B、100C)、OLT200、又はONUとOLTの両方のバッファ内の未送信データが所定の量以上又は以下となった等のデータ量や割当帯域やONU間の割当帯域比が所定の範囲になった時刻でもよい。
デレジスタメッセージは、具体的にはステータス(Status)をデレジスタド(deregistered)やリレジスタド(reregistered)やデナイド(denied)としたレジスタメッセージ(Register
Message)である。
割り振りを変更する対象のONUはデレジスタメッセージを受信し、ゲートメッセージにより送信を許可された時間に受信したデレジスタメッセージに対してACKで応答する(登録解除の完了)。
割り振りを変更する対象のONUは、受信対象とする方路を変更して、ディスカバリゲートメッセージを待つ。当該ONUの送信対象とする方路は、後述のレジスタリクエストメッセージ送出以前に受信対象とする方路に応じた送信対象とする方路に変更する。受信対象とする方路に応じた送信対象とする方路として、例えば、上りを方路(1〜4)とし、下りを方路(1〜4)とする場合、通常は上りと下りは同一方路を組み合わせるが、それぞれを1方路ずつ取り出し一対一で組み合わせればよい。他の方路を用いる組合せの場合も同様である。
割り振りを変更する対象のONUは、変更後の受信対象とする方路でディスカバリゲートメッセージ又は後述のレジスタメッセージが到着待ちする時間を経過して到着しない又はディスカバリ又はレジスタが完了しない又デレジスタメッセージを受けた場合は受信対象とする方路を変更して前記ディスカバリゲートメッセージ又は後述のレジスタメッセージが受信可能な方路を探索する。
OLT200は所定時に割り振りを変更する対象のONUに割り振る方路にてディスカバリゲートメッセージを送出する。割り振る方路を変更するためのディスカバリゲートメッセージを送出するタイミングは、通常の未登録のONUが接続したことを周期的に観測するためのディスカバリゲートメッセージを兼ねて同一のタイミングでもよいし、新規の未登録のONUが接続したり、割り振りを変更するONUが変更中であったり等の何らかのイベントの生起に合わせていてもよい。兼ねている場合は、目的毎にディスカバリゲートメッセージやディスカバリタイムウインドウを設定しなくてよく帯域の効率利用ができる効果がある。割り振る方路を変更するONUの変更後の通信を速やかに行う観点からは、変更するONUができる限り早く方路を変更できるように、できる限り早くディスカバリゲートメッセージを送出することが望ましい。しかしディスカバリゲートメッセージを受信するONUが当該方路にてOLT200からの送信に応答できる時間以降であることが無駄なやり取りを抑止する観点から望ましい。ディスカバリゲートメッセージを送出する頻度は、帯域の利用効率等の制約から制限されるため、方路割り振り変更を完了すべき時間と帯域利用効率等の兼ね合いで定まる。そのため、所定時は、許容されるディスカバリゲートメッセージを送出する頻度に対応する時刻であってもよい。
割り振りを変更する対象のONUは、OLT200からの前記受信対象とする方路のディスカバリゲートメッセージを受信し、受信した方路のディスカバリゲートメッセージに対して受信対象とする方路のディスカバリゲートメッセージに対応する送信対象とする方路のレジスタリクエストメッセージで応答する。
OLT200は、当該方路が前記割り振りを変更する対象のONUに割り振る方路である場合、レジスタリクエストメッセージで応答したONUに対して、前記方路の前記のディスカバリゲートメッセージと同じ方路でのレジスタメッセージと次の上り光信号の送信タイミング等の上り光信号を送信する指示を含むゲートメッセージを該ONUへ通知する。該ONUは、ゲートメッセージに従い、レジスタACKメッセージで応答(登録完了)して、デレジスタとレジスタ処理を完了し、当該ONUに対する割り振る方路の変更を完了する。
ここで、ディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージの応答に際して、1ONUずつ応答させる場合はランダム時間待たずに、即ち時刻t2*(=t2+0)に該当するONUはレジスタリクエストメッセージで応答してもよい。この応答は、デジレスタでONUとLLIDの対応を解かずに、当該ONUへのユニキャストでディスカバリゲートメッセージを送信する場合も可能である。これらの場合、ディスカバリタイムウインドウが短くてもよいため帯域利用効率が向上する効果がある。
更に、OLTとONUの間の往復時間Txが過去の通信の測定や他の方路での測定を換算することで得られる場合は、ディスカバリゲートメッセージとレジスタリクエストメッセージの応答を省略し、レジスタメッセージとゲートメッセージとそれに対するレジスタACKメッセージの応答のみとしてもよい。この場合、応答に要するやり取りが削減され更に、ディスカバリタイムウインドウ自体がなくなるため応答が速く、かつ帯域利用効率が更に向上する効果がある。
以上、光通信システム302の光通信方法をIEEE802.3のMPCPメッセージを用いたMPCPプロトコルで説明し、登録解除と登録を用いて方路の割り振りが可能であることを説明した。ITU−T983シリーズ及び984シリーズでも同様に登録解除と登録を用いて方路の割り振りが可能である。この場合、MPCPメッセージの内容は、光通信システム301で示したように、PLOAMメッセージに割り振ればよい。
図3〜図5の状態遷移図において、波長を方路に置き換えれば、本実施形態のONUの方路に関する状態遷移を説明することができる。また、図6〜図8のメッセージに関する時間ダイヤグラムを用いて光通信システム302の光通信方法を説明できる。
なお、光通信システム301と同様に、光通信システム302は、制御回路が少なくとも1つのONUに対して使用する方路を開放させ、方路の割り振りをやり直すことでトラフィックを平準化することができる。
以上説明したように、光通信システム302は、既存の登録解除と登録を用い、ONUが送受信可能な方路を変更してディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージを探索し、検知したディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージに対応する方路を用いて応答することで使用可能な方路を割り振ることができる。従って、光通信システム302は、使用可能な方路を伝える新規のメッセージを追加することなく、また、既設のONUの通信に影響を与えることなく新ONUに方路を割り振ることができる。
(実施形態3)
実施形態3の光通信システムは、図2の光通信システム302の構成においてさらに波長分割多重も行う。
光アクセスネットワークは、OLT200と、複数のONU(100A、100B、100C)が光伝送路51であるODNを介して対向して接続され、OLT200とONU(100A、100B、100C)との間で複数の方路(H1、H2)の芯線多重、複数の波長の波長分割多重、且つ時分割多重で光信号を伝搬する。
制御回路は、光アクセスネットワークの通信状態を監視し、その通信状態に応じてOLT200に指示を出し、OLT200にONU(100A、100B、100C)のデレジスタとレジスタを行なわせることでONU(100A、100B、100C)に割り振る波長と方路の組合せを変更する。ここで、通信状態とは、波長と方路の組合せ毎の通信状態、ONU毎の帯域、帯域比、遅延、遅延揺らぎ、あるいは登録中、登録待ち又は通信中のONU数等である。
変更対象のONUが割り振り後の波長と方路の組合せ以外で登録待ちをした場合のOLT200の動作は図1の光通信システム301の説明と同様である。すなわち、OLT200は、制御回路の指示により、割り振りを変更する対象のONUに対し、変更後の波長と方路の組合せ以外でレジスタに関するタイマが時間切れするまではレジスタを行わないか又はデレジスタを行い、割り振りの変更後の波長と方路の組合せでレジスタを行い、データ通信を開始し、該ONUに波長と方路の組合せの変更を通知する。
ONU(100A、100B、100C)は、所定時に、登録待ちする波長と方路の組合せを一定順序での巡回又はランダム等の所定の順序で変更する。ここで、所定時とは、OLTから登録解除の通知の受信、受信した登録解除の通知の回数、登録に関するタイマの時間切れ、登録後の再度の登録解除、又はこれらの組合せ等をトリガーとした時である。
実施形態3の光通信システムの動作及び光通信方法は、光通信システム302の説明において、方路を波長と方路の組合せと置き変えることで説明できる。すなわち、本実施形態の光通信システムは、既存の登録解除と登録を用い、ONUが送受信可能な波長と方路の組合せを変更してディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージを探索し、検知したディスカバリゲートメッセージ又はレジスタメッセージに対応する波長と方路の組合せを用いて応答することで使用可能な波長と方路の組合せを割り振ることができる。従って、本実施形態の光通信システムは、使用可能な波長と方路の組合せを伝える新規のメッセージを追加することなく、また、既設のONUの通信に影響を与えることなく新ONUに波長と方路の組合せを割り振ることができる。
(他の実施形態)
なお、以上説明した実施態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、光通信システム(301、302)は1つの光受信機20が光信号を受信しているが、光受信機は複数とすることもできる。また、光通信システム(301、302)は、ONUが光受信機も備え、OLTが光送信機も備えており、双方向通信のシステムであってもよい。
さらに、光通信システム301では波長分割多重、光通信システム302では芯線多重及び波長分割多重と芯線多重の組合せであったが、他の分割多重の技術、例えば、光符号、OFDMの一つのビン、偏波、位相であってもよい。