JP5349652B2 - カプラを備えたカード装置 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、一般に、電磁波を送受信するためのカプラに関し、例えば近接無線通信に使用されるカプラに関する。
近年、近接無線通信技術の開発が進められている。近接無線通信技術は、互いに近接された2つのデバイス間の通信を可能にする。近接無線通信機能を有するデバイスそれぞれはカプラを含む。2つのデバイスが通信範囲内に近接された時、それら2つのデバイスのカプラは互いに電磁気的に結合される。この結合により、それらデバイスは互いに信号を無線で送受信することができる。
通常のカプラは、例えば、結合電極、直列インダクタ、並列インダクタ、グランド板等から構成される。直列インダクタ、並列インダクタは共振部として機能する。この通常のカプラにおいては、結合電極の電荷とグランド板のイメージ電荷とによって微小ダイポールが形成される。
グランド板のイメージ電荷を用いる微小ダイポール構造は、微小モノポールアンテナと等価である。したがって、微小ダイポール構造のカプラにおいては、グランド板に多くの高周波電流が流れる。
ところで、カプラを電子機器に内蔵した場合には、カプラは、機器内の周辺部品(周辺金属)に近接された状態で配置されるか、あるいはそれら周辺金属によって囲まれる可能性がある。もしカプラに周辺金属が近接されると、グランド板からの電界放射が大幅に抑制される。したがって、グランド板に多くの高周波電流が流れる微小ダイポール構造のカプラは、周辺金属による影響を受けやすく、周辺金属による影響によってカプラの放射効率が低下される可能性がある。
本発明の目的は、グランド板への高周波電流の流入を低減できる構造のカプラを提供することである。
実施形態によれば、電子機器のカードスロットに取り外し自在に挿入されるカード装置はカプラを具備する。カプラは、他のカプラとの電磁気的結合によって電磁波を送受信し、近接無線通信に使用される。前記カプラは、グランド板と、前記グランド板に接続される給電点と、一筆書きパターンを有する素子であって、前記給電点に接続される第1端と、前記グランド板上の短絡点に接続される第2端とを有する素子とを具備する。前記素子の電気長は所望周波数帯域の中心周波数に対応する波長以上で且つ前記波長の2倍以下である。前記グランド板上における前記給電点と前記短絡点との間の電気長は前記波長の5分の1以下である。前記素子は、第1平面上に配置された第1線分と、前記第1平面上に配置され、または前記第1平面に対して隙間を置いて対向し且つ前記第1平面と平行な第2平面上に配置され、前記第1線分と平行に延在する第2線分とを含む。前記第1線分および前記第2線分の各々の電気長は、前記波長の2分の1以上で且つ前記波長以下である。
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、実施形態に係るカプラ1の構成について説明する。このカプラ1は、カプラ1と他のカプラとの間の電磁的結合によって電磁波を送受信する。カプラ1は、近接無線通信において使用される。近接無線通信は、互いに近接されたデバイス間のデータ転送を実行する。近接無線通信方式としては、例えばTransferJet(登録商標)を使用し得る。TransferJetは、UWB(Ultra Wide Band)を利用した近接無線通信方式である。
まず、図1を参照して、実施形態に係るカプラ1の構成について説明する。このカプラ1は、カプラ1と他のカプラとの間の電磁的結合によって電磁波を送受信する。カプラ1は、近接無線通信において使用される。近接無線通信は、互いに近接されたデバイス間のデータ転送を実行する。近接無線通信方式としては、例えばTransferJet(登録商標)を使用し得る。TransferJetは、UWB(Ultra Wide Band)を利用した近接無線通信方式である。
図1に示されるように、カプラ1は、グランド板11と、給電点12と、一筆書きパターンを有する素子(以下一筆書き線状導体と云う)13と、短絡点14とを備える。グランド板11は平板状であり、略矩形形状を有している。このグランド板11の一辺には給電点12が接続される。
給電点12の一端(低電位側)はグランド板11に接続される。一筆書き線状導体13は細長い素子であり、一筆書きパターンを有している。すなわち、一筆書き線状導体13は、1ストローク(一筆書き)で描かれる連続するラインによって規定されるパターンである一筆書きパターンを有する素子である。この一筆書き線状導体13は線状導体から構成される。この一筆書き線状導体13の一端(始点)は給電点12に接続されている。一筆書き線状導体13の他端(終点)はグランド板11の一辺上の短絡点14に接続されている。短絡点14は、一筆書き線状導体13とグランド板11との間の接続点(接地点)である。グランド板11、給電点12、一筆書き線状導体13、および短絡点14は、同一平面(X−Y平面)上に配置されている。さらに、給電点12と短絡点14は、グランド板11の一辺の中央部に互いに隣接して配置される。
なお、図1では、給電点12が短絡点14の左側に位置している例を示しているが、給電点12が短絡点14の右側に位置していてもよい。
本実施形態においては、カプラ1は、グランド板11への高周波電流の流入を低減できるカプラ構造を実現するために、一筆書き線状導体13の平行線分部分が主たる放射素子として機能するように構成されている。
一筆書き線状導体13は、互いに略平行に延在する線分部分(以下、平行線分部分と称する)を有している。一筆書き線状導体13は、平行線分部分に同じ向きの高周波電流が流れるモード(同相モード)で動作するように構成されている。図2の各矢印は一筆書き線状導体13に流れる高周波電流の向きを示している。図2において、破線で囲まれた部分が平行線分部分である。平行線分部分はグランド板11の一辺と平行なX方向に延在している。
カプラ1が同相モードで動作した場合、図2に示されているように、平行線分部分の2つの平行線路には互いに同じ方向の高周波電流が流れる。よって、X方向に多くの高周波電流を流すことができ、所望の電界放射パターンを生成することができる。
同相モードにおいては、さらに、一筆書き線状導体13の平行線分部分とグランド板11との間には、互いに逆向きの高周波電流が流れる。すなわち、給電点12と一筆書き線状導体13との間に流れる高周波電流と、一筆書き線状導体13と短絡点14との間に流れる高周波電流とは、互いに逆向きである。したがって、グランド板11から平行線分部分に向かう高周波電流と平行線分部分からグランド板11とが相殺される。グランド板のイメージ電荷を用いる微小ダイポール構造では、主として、結合電極からグランド板に向かう向きの高周波電流が流れる。したがって、本実施形態のカプラ構造は、微小ダイポール構造に比し、グランド板11への高周波電流の流入を低減することができる。
よって、本実施形態のカプラ1においては、一筆書き線状導体13の平行線分部分が主たる放射素子として機能し、グランド板11はほとんど電界放射に用いられない。このことは、たとえ周辺金属によってグランド板11の電界放射が抑制されても、カプラ1の電界放射効率にはほとんど影響がないことを意味する。したがって、周辺金属が存在する状況においても十分な放射効率を実現することができる。また、平行線分部分はグランド板11の一辺と平行なX方向に延在しているので、高周波電流はX方向に流れる。したがって、通信方向(+Y方向)に対する電界強度が十分に高い所望の電界放射パターンを得ることができる。
以下、上述の同相モードを実現するための一筆書き線状導体13の構成例について説明する。
図1に示すように、一筆書き線状導体13は、線分13a、13b、13c、13d、13eを備える。グランド板11の一辺上の中央部には、給電点12と短絡点14が所定の間隔を置いて配置されている。ここでは、給電点12から見て右側に短絡点14が配置されている。線分13aの一端は給電点12に接続されており、線分13aは+Y方向、つまりグランド板11の一辺と直交する方向に延在している。線分13eの一端は短絡点14に接続されており、線分13eは+Y方向、つまりグランド板11の一辺と直交する方向に延在している。
線分13bの一端は線分13aの他端に接続されており、この線分13bは、+X方向、つまりグランド板11の一辺の中央部から左端部に向かう第1方向に延在している。線分13dの一端は線分13eの他端に接続されており、この線分13dは、−X方向、つまり第1方向とは逆の第2方向(グランド板11の一辺の中央部から右端部に向かう方向)に延在している。
線分13cは、線分13bの他端と線分13dの他端との間を接続する折り返し線分である。この線分13cは、線分13b,線分13dとそれぞれと平行に延在する平行線分部を有している。
一筆書き線状導体13の線路長、つまり一筆書き線状導体13の電気長L1はλ以上且つ2λ以下である。λは、所望周波数帯域の中心周波数に対応する波長である。換言すれば、一筆書き線状導体13の電気長L1の最小値はλであり、一筆書き線状導体13の電気長L1の最大値は2λである。所望周波数帯域はカプラ1を用いた無線通信(近接無線通信)に使用すべき周波数帯域である。
給電点12と短絡点14との間の距離、つまりグランド板12上における給電点12と短絡点14との間の電気長L3は、波長λの5分の1以下である。給電点12と短絡点14との間の電気長L3を波長λの5分の1以下に設定するのは、上述の同相モードを実現し、且つカプラ1の入力インピーダンスを高めるためである。
一筆書き線状導体13内の平行線分部分の電気長L2、つまり、主として放射に寄与する平行な線路長は、λ/2以上でλ以下である。換言すれば、平行線分部分の電気長L2の最小値はλ/2であり、平行線分部分の電気長L2の最大値はλである。これは、次の理由による。
平行線分部分の電気長L2の最大値がλである理由は、もし平行線分部分の電気長L2がλよりも長いと、平行線分部分に逆相電流が流れる可能性があるためである。また、平行線分部分の電気長L2の最小値がλ/2である理由は、もし平行線分部分の電気長L2がλ/2よりも短いと、同相モードが発生しにくくなるためである。
線分13b、13c、13dは上述の平行線分部分として機能する。平行線分部分は、グランド板11の一辺と平行に延在する第1線分と、この第1線分と平行に延在する第2線分とから構成される。給電点12と短絡点14との間の電気長L3は十分に短いので、線分13bと線分13dとの間の隙間はほとんど無視することができる。よって、線分13b、13dが上述の第1線分として機能する。また線分13cが上述の第2線分として機能する。これら第1線分および第2線分の各々の電気長が、上述の平行線分部分の電気長L2である。
カプラ1は、カプラ1から10λ以下の範囲内に存在する他のカプラに電磁気的に結合し、他のカプラとの通信を実行する。
次に、図3を参照して、図1のカプラ1の一筆書き線状導体13の電気長L1,L2の長さの例について説明する。
ここでは、線分13aと線分13bの合計電気長はλ/4である。線分13a,13dの各々の電気長はβである。線分13aと線分13cとの間に存在する微小線分の電気長はαである。同様に、線分13cと線分13dとの間に存在する微小線分の電気長はαである。
αは、以下の範囲内の値に設定される。
(λ/100)<α<(λ/10)
この(λ/100)<α<(λ/10)の範囲は、同相モードが発生することが可能なαの値の範囲である。
この(λ/100)<α<(λ/10)の範囲は、同相モードが発生することが可能なαの値の範囲である。
βは、以下の範囲内の値に設定される。
(λ/50)<β<(λ/5)
この(λ/50)<β<(λ/5)の範囲は、同相モードが発生し、且つ実用的なβの長さの範囲である。
この(λ/50)<β<(λ/5)の範囲は、同相モードが発生し、且つ実用的なβの長さの範囲である。
一筆書き線状導体13の電気長L1の最小値は以下のように求められる。
L1=4((λ/4)-(α/2))+2α+2β
=λ-2α+2α+2β
=λ+2β
=λ+(λ/50)
≒λ
一筆書き線状導体13の平行線分部分の電気長L2は以下のように求められる。
=λ-2α+2α+2β
=λ+2β
=λ+(λ/50)
≒λ
一筆書き線状導体13の平行線分部分の電気長L2は以下のように求められる。
L2=(λ/4)-β+(λ/4)-(α/2)
=(λ/2)-β-(α/2)
=(λ/2)-(λ/50)-(λ/100)/2
≒λ/2
このように、本実施形態のカプラ1においては、一筆書き線状導体13の平行線分部分が主に放射に寄与する部分として機能することによって、グランド板11への高周波電流の流入を低減できる構造となっている。したがって、グランド板11の近傍に存在する周辺金属による影響を低減でき、カプラ1を電子機器内に実装した状態においてもカプラ1の高い放射効率を維持することができる。
=(λ/2)-β-(α/2)
=(λ/2)-(λ/50)-(λ/100)/2
≒λ/2
このように、本実施形態のカプラ1においては、一筆書き線状導体13の平行線分部分が主に放射に寄与する部分として機能することによって、グランド板11への高周波電流の流入を低減できる構造となっている。したがって、グランド板11の近傍に存在する周辺金属による影響を低減でき、カプラ1を電子機器内に実装した状態においてもカプラ1の高い放射効率を維持することができる。
なお、カプラ1の構造は、図1に示したような平面型構造に限られない。たとえばカプラ1を3次元構造によって実現してもよい。
図4は3次元構造を有するカプラ1の構成例を示している。グランド板11はX−Y平面上に配置されている。一筆書き線状導体13の平行線分部分(線分13b,13c,13d)は、グランド板11の表面に隙間を置いて対向する平面上に配置されている。平行線分部分(線分13b,13c,13d)は、Z方向に伸びる線分13aを介してグランド板11上の給電点12に接続されると共に、Z方向に伸びる線分13dを介してグランド板11上の短絡点14に接続される。
図5は図4のカプラ1に流れる高周波電流を示している。図5の各矢印は高周波電流の向きを示している。
次に、図6を参照して、図4に示した3次元構造カプラ1の一筆書き線状導体13の電気長L1,L2の長さの例について説明する。
一筆書き線状導体13の電気長L1の最大値は以下のように求められる。
L1=4((λ/4)-(α/2))+4((λ/4)-β)+2α+2β
=λ-2α+λ-4β+2α+2β
=2λ-2β
=2λ-2(λ/50)
≒2λ
一筆書き線状導体13の平行線分部分の電気長L2は以下のように求められる。
=λ-2α+λ-4β+2α+2β
=2λ-2β
=2λ-2(λ/50)
≒2λ
一筆書き線状導体13の平行線分部分の電気長L2は以下のように求められる。
L2=2((λ/4)-β+(λ/4)-(α/2))
=2((λ/2)-β-(α/2))
=λ-2β-α
=λ-2(λ/50)-2(λ/100)
≒λ
次に、図7乃至図9を参照して、図1の2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の例を説明する。ここでは、基板(誘電体基板)の表面上にカプラ1を実装する場合について説明する。
=2((λ/2)-β-(α/2))
=λ-2β-α
=λ-2(λ/50)-2(λ/100)
≒λ
次に、図7乃至図9を参照して、図1の2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の例を説明する。ここでは、基板(誘電体基板)の表面上にカプラ1を実装する場合について説明する。
図7は、図1の2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の第1の例を示している。図7に示されているように、カプラ1は、基板(誘電体基板)10を備えている。基板10は直方体形状を有している。基板10は薄型基板である。基板20の第1表面10a上においては、グランド板11、給電点12、一筆書き線状導体13、および短絡点14が配置されている。
なお、基板20の第1表面10a上に無給電素子をさらに設けても良い。無給電素子は、例えば、一筆書き線状導体13の平行線分部分と平行に、且つ平行線分部分からλ/4以下の範囲内に配置される。無給電素子は直流的には給電点12の高電位側に接続されないが、高周波的には給電点12の高電位側に電気的に結合される。この無給電素子により、電子機器内の周辺金属による影響をさらに低減することができる。
図8は、図1の2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の第2の例を示している。
ここでは、平行線路部分内の一方の線分の幅(ここでは、線分13cの幅)が、平行線路部分内の他方の線分の幅(ここでは、線分13b,13dの各々の幅)よりも広く設定されている。これにより、カプラ1の入力インピーダンスを高めることができる。
図9は、図1の2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の第3の例を示している。図9においては、一筆書き線状導体13に複数の間隙が配置されている。これら間隙はインダクタのような集中定数部品(チップ部品)を一筆書き線状導体13内に配置するために用いられる。
次に、図10乃至図19を参照して、基板(誘電体基板)の両面を用いて2次元構造のカプラ1を実現するための実装構造の例を説明する。
図10、図11は基板両面を用いたカプラ実装構造の第1の例を示している。図10は基板(誘電体基板)10の第1の表面10a上に配置されるカプラ1の構成を示し、図11は基板10の第2の表面(裏面)10b上に配置されるカプラ1の構成を示している。
基板10の第1の表面10a上には、グランド板11、給電点12、一筆書き線状導体13の一部(線分13a,13b,13d,13e)、および短絡点14が配置される。基板10の第2の表面(裏面)10b上には、一筆書き線状導体13の残りの一部(線分13c)が配置される。基板10の第2の表面(裏面)10b上の線分13cは、基板10の第1の表面10a上の線分13b,13dの延在方向と平行に延在している。
換言すれば、平行線分部分の第1線分(線分13b,13d)は第1平面(表面10a)上に配置される。平行線分部分の第2線分(線分13c)は、第2の表面10b上に配置される。第2の表面10bは、第1平面に対して隙間を置いて対向し且つ第1平面と平行な第2平面である。この第2線分(線分13c)は、第1線分(線分13b,13d)と対向し、且つ第1線分(線分13b,13d)と平行に延在する。
線分13bの一端(図10においては線分13bの右端)は、基板10内のバイアホール(スルーホール)を介して第2の表面(裏面)10b上の線分13cに接続される。同様に、線分13dの一端(図10においては線分13dの左端)は、基板10内の別のバイアホール(スルーホール)を介して第2の表面(裏面)10b上の線分13cに接続される。
もちろん、これらバイアホールを使用する代わりに、基板10の右側面上の配線パターンを介して線分13bと線分13cとを接続し、基板10の左側面上の配線パターンを介して線分13dと線分13cとを接続してもよい。
図12、図13は基板両面を用いたカプラ実装構造の第2の例を示している。図12は基板10の第1の表面10a上に配置されるカプラ1の構成を示し、図13は基板10の第2の表面(裏面)10b上に配置されるカプラ1の構成を示している。
このカプラ実装構造の第2の例においては、平行線分部分の第1線分(線分13b,13d)および第2線分(線分13c)のいずれか一方は、第1線分(線分13b,13d)および第2線分(線分13c)の他方の線分に対して非対向の部分を含んでいる。
図12の例においては、線分13bの一部分(ここでは、線分13bの略左半分の部分)は、第2の表面10b上の第2線分(線分13c)の配置位置に対向する第1の表面10a上の配置位置よりも下方側に存在する位置に、つまり第2線分(線分13c)の配置位置よりもグランド板11に近寄った位置に配置されている。同様に、線分13dの一部分(ここでは、線分13dの略右半分の部分)も、第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)の配置位置に対向する第1の表面10a上の配置位置よりも下方側に存在する位置に、つまり第2線分(線分13c)の配置位置よりもグランド板11に近寄った位置に配置されている。よって、線分13bの略左半分の部分と線分13dの略右半分の部分は、第2の表面10b上の第2線分(線分13c)と非対向な部分である。
換言すれば、線分13bの略左半分の部分の幅方向の中心位置は、第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)の幅の外側(下方側)に位置する。同様に、線分13dの略右半分の部分の幅方向の中心位置も、第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)の幅の外側(下方側)に位置する。
これにより、線分13bの略左半分の部分と線分13dの略右半分の部分は、第2の表面10b上の第2線分(線分13c)と重ならない。上述したように基板10は薄い。このため、もし第1線分の全てと第2線分の全てが互いに基板10を介して対向する位置に配置されたならば、第1線分に流れる高周波電流によって、第2線分においては、その高周波電流とは逆向きの電流が誘起される可能性がある。
本実施形態では、第1線分(線分13b,13d)は、その第1線分(線分13b,13d)の少なくとも一部分が第2線分(線分13c)と対向しないようにレイアウトされたパターンを有している。したがって、逆向き電流の誘起を防止することができ、平行線分部分上において所望の電流分布を実現しやすくなる。
なお、図13に示すように、第2の表面10b上の第2線分(線分13c)の中央部分の幅(線幅)を、第2線分(線分13c)の両端部における線幅よりも狭くしてもよい。これにより、第1線分(線分13b,13d)の配置位置を少しシフトするだけで、平行線分部分に、第1線分(線分13b,13d)と第2線分(線分13c)とが重ならない部分を設けることができる。
図14、図15は基板両面を用いたカプラ実装構造の第3の例を示している。図14は基板10の第1の表面10a上に配置されるカプラ1の構成を示し、図15は基板10の第2の表面(裏面)10b上に配置されるカプラ1の構成を示している。
図14、図15の構成例においては、図12、図13で説明した構成と同様に、平行線分部分に、第1線分(線分13b,13d)と第2線分(線分13c)とが重ならない部分が設けられており、さらに、一筆書き線状導体13に複数の間隙が設けられている。 図16、図17は基板両面を用いたカプラ実装構造の第4の例を示している。図116は基板10の第1の表面10a上に配置されるカプラ1の構成を示し、図17は基板10の第2の表面(裏面)10b上に配置されるカプラ1の構成を示している。
図17に示すように、第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)の幅は、第1の表面10a上の第1線分(線分13b,13d)の幅よりも広い。これにより、第1線分(線分13b,13d)と第2線分(線分13c)は互いに対向してしまうものの、カプラ1の入力ピーダンスを高めることができる。
図18、図19は基板両面を用いたカプラ実装構造の第5の例を示している。図118は基板10の第1の表面10a上に配置されるカプラ1の構成を示し、図19は基板10の第2の表面(裏面)10b上に配置されるカプラ1の構成を示している。
図18、図19に示されているように、第1の表面10a上の第1線分(線分13b,13d)は、第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)の幅よりも狭い幅を有している。第1線分(線分13b,13d)の幅は、第2線分(線分13c)の幅の例えば1/3以下、好ましくは、1/4以下である。さらに、第1線分(線分13b,13d)は、基板10を介して第2の表面(裏面)10b上の第2線分(線分13c)に対向し、且つ第2線分(線分13c)の長さ方向の中心線に沿って延在されている。一般に、線路の幅の中心位置における電界は、その線路の両側部分それぞれにおける電界に比べ低い。このため、第1線分(線分13b,13d)を第2線分(線分13c)の長さ方向の中心線に沿って延在させることにより、第1線分(線分13b,13d)と第2線分とが基板10を介して対向している状態であっても、逆相電流が誘起されにくくすることができる。
なお、第1線分(線分13b,13d)の幅を第2線分(線分13c)の幅よりも広くし、第2線分(線分13c)を、第1線分(線分13b,13d)の長さ方向の中心線に沿って延在させてもよい。
次に、図20乃至図22を参照して、基板両面を用いたカプラ実装構造の特性について説明する。
図20は特性解析に用いたカプラ1の実装構造を示す斜視図である。グランド板11、給電点12、および一筆書き線状導体13の線分13a、13b、13d、13eは、薄型誘電体基板10の表面10a上に配置されている。線分13a、13eはY方向に延在し、線分13b、13dはX方向に延在している。
給電点12はグランド板11の一辺の中央部(長さ方向の中央部)に接続される。一筆書き線状導体13は給電点12を始点として一筆書き状に延在し、そして一筆書き線状導体13の終点がグランド板11の一辺の中央部上に存在する短絡点14に接続される。 線分13aの一端は給電点12に接続され、この線分13aは給電点12から、グランド板11の一辺の延在方向に対して垂直方向に延在する。線分13aの他端には線分13bの一端が接続される。この線分13bは、基板10の中央付近から右側面に向かって、グランド板11の一辺と平行に延在する。
線分13eの一端は短絡点14に接続され、この線分13eは短絡点14から、グランド板11の一辺の延在方向に対して垂直方向に延在する。線分13eの他端には線分13dの一端が接続される。この線分13dは、基板10の中央付近から左側面に向かって、グランド板11の一辺と平行に延在する。
一筆書き線状導体13の線分の線分13cは、基板10を介して線分13b、13dに対向するように、基板10の裏面10b上に配置されている。線分13cは、線分13b、13dと平行に延在している。線分13bの右端部は基板10内のバイアホール131を介して裏面10b上の線分13cに接続される。線分13dの左端部は基板10内のバイアホール132を介して裏面10b上の線分13cに接続される。
なお、図20では、基板10の表面10a側からみて、給電点12が短絡点14の右側に配置されているが、給電点12を短絡点14の左側に配置してもよい。
図21は、図20のカプラ1の電界分布の解析結果を示している。図21においては、電界の高い部分ほど濃い色で示されている。また、図21の各矢印は高周波電流の向きを示している。図21から、一筆書き線状導体13の平行線分部分に高い電界が発生しており、グランド板11の電界は低いことが理解されよう。平行線分部分には同相の電流成分のみが流れる。一筆書き線状導体13の線分13a、13eには互いに逆向きの電流が流れる。したがって、一筆書き線状導体13の平行線分部分が主として電界放射に寄与し、所望の電界放射パターンを生成することができる。
図22は、図20のカプラ1の電界放射特性を示している。図22においては、カプラ1が通信に使用する周波数帯域内の中心周波数(5.9GHz)と当該周波数帯域内の両端それぞれの周波数(5.6GHz、6.2GHz)との3つの周波数に対応する電界放射特性(Eφ、Eθ)が示されている。5.6GHzに対応する電界放射特性は実線で示され、5.9GHzに対応する電界放射特性は破線で示され、6.2GHzに対応する電界放射特性は点線で示されている。
図22から、通信方向(+Y方向)つまり90度の方向においては、3つの周波数のいずれに対しても、−9.0〜−11.3dBの範囲内の安定した電界放射強度が得られていることがわかる。また、図22から、機器内部側(−Y方向)つまり270度の方向においては、3つの周波数のいずれについても、−13.0〜−15.5dBの範囲内の電界放射強度であり、機器内部側(−Y方向)への電界放射通信方向(+Y方向)に比べ、3〜5dBだけ電界放射強度が低い。このような指向性は、機器内蔵カプラにとって好適である。
図23は、基板片面上に実装した図7の構成を有するカプラ1の電界放射特性を示している。図23では、周波数5GHzに対応する電界放射特性(Eφ、Eθ)が示されている。周波数が5GHz未満の場合には、カプラ1の平行線分部分には逆相電流が流れるが、周波数が5GHz以上になると、カプラ1は同相モードで動作し始め、通信方向(+Y方向)つまり90度の方向においては安定した電界放射強度が得られる。
本実施形態のカプラ1は基板の片面または基板の両面に実装できるので、図24に示すように、カプラ1は、電子機器100のカードスロットに取り外し自在に挿入されるカード装置(たとえばSDカード)200内に設けても良い。この場合、カード装置200の一端部には、ホストとのインターフェースのためのコネクタ306Aが設けられている。カプラ1は、カード装置200の他端部側に一筆書き線状導体13の平行線分部分が位置するように、カード装置200内に配置される。カプラ1の基板10としてはプリント回路基板を用いても良い。また、この基板10上には、カプラ1のみならず、カプラ1を介して近接無線通信を実行する通信デバイスを設けても良い。
以上説明したように、本実施形態においては、一筆書き線状導体13の電気長L1をλ〜2λの範囲内の値に設定され、一筆書き線状導体13の平行線分部分の電気長をλ/2〜λの範囲内の値に設定され、且つ給電点12と短絡点14との間の電気長L3がλ/5以下に設定されているので、カプラ1の入力インピーダンスを高めることができ、且つ平行線分部分に同じ向きの多くの高周波電流を流すことができるので、グランド板への高周波電流の流入を低減できる構造となる。よって、周辺金属が存在する状況においても十分な放射効率を得ることができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…カプラ、10…基板、11…グランド板、12…給電点、13…一筆書き線状導体、14…短絡点。
Claims (9)
- 電子機器のカードスロットに取り外し自在に挿入されるカード装置であって、他のカプラとの電磁気的結合によって電磁波を送受信し、近接無線通信に使用されるカプラを具備し、前記カプラは、
グランド板と、
前記グランド板に接続される給電点と、
一筆書きパターンを有する素子であって、前記給電点に接続される第1端と、前記グランド板上の短絡点に接続される第2端とを有する素子とを具備し、
前記素子の電気長は所望周波数帯域の中心周波数に対応する波長以上で且つ前記波長の2倍以下であり、
前記グランド板上における前記給電点と前記短絡点との間の電気長は前記波長の5分の1以下であり、
前記素子は、第1平面上に配置された第1線分と、前記第1平面上に配置され、または前記第1平面に対して隙間を置いて対向し且つ前記第1平面と平行な第2平面上に配置され、前記第1線分と平行に延在する第2線分とを含み、
前記第1線分および前記第2線分の各々の電気長は、前記波長の2分の1以上で且つ前記波長以下である、カード装置。 - 前記給電点と前記短絡点は、前記グランド板の一辺の中央部に配置される請求項1記載のカード装置。
- 直方体形状の誘電体をさらに具備し、
前記第1平面は前記誘電体の第1表面であり、前記第2平面は前記第1表面に対して裏側に位置する前記誘電体の第2表面である請求項1記載のカード装置。 - 前記第1線分および前記第2線分は前記誘電体の前記第1表面に配置される請求項3記載のカード装置。
- 前記第1線分は前記誘電体の前記第1表面に配置され、前記第2線分は前記誘電体の前記第2表面に配置される請求項3記載のカード装置。
- 前記第1線分および前記第2線分のいずれか一方の線分は、前記第1線分および前記第2線分の他方の線分に対して非対向の第3部分を含む請求項5記載のカード装置。
- 前記第1線分および前記第2線分のいずれか一方は、第1の幅を有し、
前記第1線分および前記第2線分の他方の線分は、前記第1の幅よりも狭い第2の幅を有し、且つ前記他方の線分は、前記誘電体を介して前記一方の線分に対向し且つ前記一方の線分の長さ方向の中心線に沿って延在されている請求項5記載のカード装置。 - 前記一筆書きパターンを有する素子には、集中定数部品を配置するための間隙が配置されている請求項1記載のカード装置。
- 前記一筆書きパターンを有する素子には、集中定数部品を配置するための複数の間隙が配置されている請求項1記載のカード装置。
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