JP5348005B2 - 自動車用構造部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばバンパーリンフォース、サイドシル、Bピラーリンフォース、ドアビームといった、車体衝突時の曲げ強度が高い自動車用構造部材およびその製造方法に関する。
自動車車体を構成する基本構造部材は、例えば、プレス成形されたパネルを、フランジを介して他の部材に重ね合わせた後に、この重ね合わせ部を抵抗スポット溶接することによって、組み立てられる。近年、燃費向上のための軽量化、および乗員保護のための衝突安全性の向上が強く求められている。
軽量で衝突安全性の高い車両を開発するため、基本構造部材についても様々な検討がされている。特に、バンパーリンフォース、サイドシル、Bピラーリンフォースさらにはドアビームといった、衝突時の荷重により曲げ変形を受ける構造部材には、重量の増加を抑え、かつ部材の耐荷重や吸収エネルギを向上させることが求められ、様々な方法が検討されている。
特許文献1には、部材の強度を向上させるために基本矩形断面の4つのコーナに切り欠き部を有し、全体として十字形状の閉断面を有する長尺の自動車用強度部材が開示されている。
特許文献2には、プレス曲げ成形された鋼板部材であって、そのコーナ部へのレーザ照射や高周波加熱により焼き入れ強化された高強度鋼板部材が開示されている。
さらに、特許文献3には、形成される高周波焼入れ層である焼入れ領域が、要請される強度分布に対応する硬度変化を呈する強度分布を備えるプレス成形品が開示されている。
特開2002−284033号公報 特開平11−152541号公報 特開平10−17933号公報
燃費向上と衝突安全性の観点から軽量で高い曲げ強度を有する自動車用構造部材が求められているが、特許文献1〜3に開示された発明は必ずしも充分でない。
すなわち、特許文献1により開示された自動車用強度部材は、その断面形状が限定されるため、自動車用強度部材へ適用が大きく制限される。また、特許文献2により開示された高強度鋼板部材や特許文献3により開示されたプレス成形品では、レーザ照射や高周波加熱の処理コストが嵩むといった問題や、加熱に伴う熱変形、あるいは酸化スケールの発生に伴う塗装後の耐食性の劣化の問題があるため、やはり、自動車用構造部材を提供することは難しい。
本発明の目的は、軽量で高い曲げ強度を有する自動車用構造部材とその製造方法を提供することにある。
図1(a)は、図1(b)に示すようにインパクタ1を、支持台3、3により長手方向の両端部側を支持される片ハット部材2の長手方向の中央に、衝突させた時の荷重−変位曲線の一例を示すグラフである。
部材の衝突性能は、図1(a)のグラフに示す荷重−変位曲線における、最大荷重や、荷重の積分値である吸収エネルギーにより表され、これらの値が大きいほど部材特性が優れるとされる。
図2(a)は、ハット素材4と平板素材5とを、ハット素材4のフランジ4aでスポット溶接してスポット溶接部7を形成した片ハット部材6の断面の要部を示す説明図であって、ハット素材4のフランジ4aに隣接する曲がり部4bと平板素材5とで挟まれた領域に樹脂8を介装した状況を示す。
また、図2(b)は、2つのハット素材9、10をその底部が反対方向となるように配置し、それぞれのフランジ9a、10aでスポット溶接してスポット溶接部11を形成した両ハット部材12の断面の要部を示す説明図であって、両方のフランジ9a、10aに隣接する曲がり部9b、10bに挟まれた領域に樹脂13を介装した状況を示す。
本発明者らは、曲がり変形を受ける自動車構造部材の衝突特性を向上させるため、図2(a)に示す片ハット部材6と,図2(b)に示す両ハット部12を用いて衝突試験(1次衝突試験)を実施した。片ハット部材6の衝突試験では、図1(b)に示すように、平板素材5側から長手方向の中央にインパクタ1を衝突させ、また、両ハット部材12の衝突試験では、底部を上下方向に配置し、底部側から長手方向の中央にインパクタ1を衝突させた。
この1次衝突試験により下記の知見を得た。
図3は、片ハット部材6における荷重−変位曲線を示すグラフであり、図中の実線と破線はそれぞれ樹脂8を介装した部材(樹脂介装材)と樹脂を介していない部材(樹脂非介装材)である。また、図4は、両ハット部材12における荷重−変位曲線を示すグラフであり、図中の実線と破線はそれぞれ樹脂介装材と樹脂非介装材である。
図3、図4にグラフで示すように、片ハット部材6では、フランジ4aの曲がり部4bと平板素材5とで挟まれた領域に樹脂8を介装することにより、また、両ハット部材12では両方のフランジ9a、10aの曲がり部9b、10bで挟まれた領域に樹脂13を介装することにより、衝突の際の曲げ荷重と吸収エネルギを大幅に高めることができる。
図5は、図1(b)に示すように、長手方向に対して直交する方向の荷重を受けた際の樹脂介装材の変形状況を模式的に示す説明図であり、図5(a)は片ハット部材6を示し、図5(b)は両ハット部材12を示す。
図5(a)または図5(b)に示すように、片ハット部材6または両ハット部材12の長手方向に対して直交する方向の荷重が作用すると、片ハット部材6を構成する縦壁4cと両ハット部材12を構成する縦壁9c、10cが、それぞれ片ハット部材6と両ハット部材12の内側に倒れ込むように変形する。この際に、樹脂8、13を介装することにより、縦壁4c、9c、10cの内側への倒れ込み変形が抑制され、その結果、片ハット部材6または両ハット部材12の曲げ強度と吸収エネルギが大幅に増加する。
次に、本発明者らは、片ハット部材6を対象に、フランジ4aの曲がり部4bと平板素材5とで挟まれた領域において、曲がり部4bとフランジ4aとの境界を起点とし、フランジの反対側に介装した樹脂8の介装幅を変化させた衝突試験(2次衝突試験)を実施した。なお、介装幅とは、横断面において、上記領域に存在する樹脂の、フランジ側の端からフランジの反対側の端までの距離とされる。
図6(a)は、この2次衝突試験に用いた片ハット部材6の断面の要部を模式的に示す説明図であり、図6(b)は、図6(a)に示す片ハット部材6の衝突の際の荷重−変位曲線を示すグラフである。この2次衝突試験により下記の知見を得た。
(1)図6(b)に示すように、樹脂8を介装することにより、衝突の際の曲げ強度と吸収エネルギを高めることができ、樹脂8は曲がり部4bとフランジ4aの境界を起点として介装し、樹脂介装幅を曲がり部4bの曲率半径Rの0.5倍以上2.0倍以下とすることが望ましい。0.5倍未満では、曲げ強度を高める効果が不十分であり、一方2.0倍超では、樹脂8の介装コストが嵩むおそれがある。
本発明は、フランジを有する第1の素材と第2の素材とにより形成された閉じた断面を有し、かつ第1の素材および第2の素材がフランジでスポット溶接された筒体を備える自動車用構造部材であって、フランジに隣接する曲がり部と第2の素材とにより挟まれた第1の領域に介装された樹脂を備え、この樹脂の介装幅は、曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下であることを特徴とする自動車用構造部材である。
本発明では、前記フランジと前記第2の素材とに挟まれた第2の領域に介装された樹脂を備えることが望ましい
これらの本発明では、樹脂がエポキシ系接着剤であることが望ましい。
これらの本発明では、自動車用構造部材が、バンパーリンフォース、サイドシル、Bピラーリンフォースまたはドアビームであることが望ましい。
別の観点からは、本発明は、フランジ、およびこのフランジに隣接する曲がり部を有する第1の素材と、第2の素材との少なくともいずれか一方の素材に液状の樹脂を塗布する第1の工程と、第1の素材と第2の素材とを第1の素材のフランジで重ね合わせてスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てることによって塗布された樹脂を第1の素材の曲がり部と第2の素材とに挟まれた第1の領域に介装させる第2の工程と、介装された樹脂を硬化させる第3の工程とを有し、第1の領域に介装された樹脂の介装幅を、曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下とすることを特徴とする自動車用構造部材の製造方法である。
また、本発明は、フランジを有する第1の素材と第2の素材とを第1の素材のフランジでスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てる第1の工程と、第1の素材のフランジに隣接する曲がり部と、第2の素材とにより挟まれた第1の領域に液状の樹脂を塗布する第2の工程と、塗布された樹脂を硬化させる第3の工程とを有し、第1の領域に介装された樹脂の介装幅を、曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下とすることを特徴とする自動車用構造部材の製造方法である。
本発明によれば、軽量で、かつ高い曲げ強度を有する、衝突性能に優れた自動車用構造部材を提供することができる。
図1(a)は、図1(b)に示すようにインパクタを片ハット部材の長手方向の中央に衝突させた時の荷重−変位曲線の一例を示すグラフである。 図2(a)は、ハット素材と平板素材とをフランジでスポット溶接した片ハット部材の断面の要部で、ハット素材のフランジに隣接する曲がり部と平板素材とで挟まれた領域に樹脂を介装した状況を示す模式図である。図2(b)は、2つのハット素材をその底部が反対方向となるように配置し、フランジでスポット溶接した両ハット部材の断面要部で、両方のフランジに隣接する曲がり部に挟まれた領域に樹脂を介装した状況を示す模式図である。 図3は、片ハット部材における荷重−変位曲線を示すグラフである。 図4は、両ハット部材における荷重−変位曲線を示すグラフである。 図5は、長手方向に対して直交する方向の荷重を受けた際の樹脂介装材の変形状況を模式的に示す説明図であり、図5(a)は片ハット部材を示し、図5(b)は両ハット部材を示す。 図6(a)は、2次衝突試験に用いた片ハット部材の断面の要部を模式的に示す説明図である。図6(b)は、衝突の際の荷重−変位曲線を示すグラフである。 図7は、本実施の形態の片ハット部材と両ハット部材の断面形状の一部を示す模式図であり、図7(a)は片ハット部材であり、図7(b)は両ハット部材である。 図8は、両ハット部材における長手方向の樹脂の介装状況の例を模式的に示す説明図である。 図9(a)〜図9(f)は、種々の実施の形態の例を示す模式図である。 図10は、ハット素材に液状の樹脂を塗布した状態を示す断面要部を模式的に示す説明図である。 図11は、ハット素材に液状の樹脂を塗布した状態を示す長手方向の斜視図である。 図12は、フランジを有するハット素材のフランジ先端を曲げた形状を模式的に示す説明図である。 図13は、実施例の部材形状を模式的に示す説明図であり、図13(a)は片ハット部材であり、図13(b)は両ハット部材である。 図14は、3点曲げ試験の要領を示す説明図であり、図14(a)は片ハット部材の要領を示し、図14(b)は両ハット部材の要領を示す。
添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
図7は、本実施の形態の片ハット部材20と両ハット部材21の断面形状の一部を示す模式図であり、図7(a)は片ハット部材20であり、図7(b)は両ハット部材21である。
図7(a)に示すように、片ハット部材20は、フランジ22aを有するハット素材22と、平板素材23とを、ハット素材22のフランジ22aを介して重ね合わせ、フランジ22aでスポット溶接して接合した閉断面形状を有する.
片ハット部材20は、さらに、フランジ22aに隣接する曲がり部22bと、平板素材23とで挟まれた第1の領域と、フランジ22aと平板素材23とで挟まれた第2の領域との両方に、樹脂24が介装される。
図7(a)は、第1の領域と第2の領域の両方に樹脂24が介装された例であるが、第1の領域のみに樹脂24が介装されている部材とすることも出来る。但し、好ましくは、図7(a)に示すように、第1の領域と第2の領域の両方に樹脂24を介装した部材であり、図2(a)に示すように第1の領域のみに樹脂24を介装する場合に比較して、曲げ強度を一層高めることができる。樹脂24は、第1の領域の少なくとも一部が望ましい。具体的には、片ハット部材20の場合には、曲がり部22bとフランジ22aの境界からフランジ22aの反対側に樹脂24を介装することが望ましく、両ハット部材21の場合には、曲がり部25b、26bとフランジ25a、26aの境界からフランジ25a、26aの反対側に樹脂24を介装することが望ましい。
樹脂24の介装幅は、曲がり部22b、25bまたは26bの曲率半径Rの0.5倍以上2.0倍以下とすることが望ましい。
図7(b)に示すように、両ハット部材21は、2つのハット素材25、26をそれぞれのフランジ25a、26aを介して重ね合わせ、フランジ25a、26aでスポット溶接して接合した閉断面形状を有する.
両ハット部材21は、さらに、一方のハット素材25のフランジ25aに隣接する曲がり部25bと、他方のハット素材26のフランジ26aに隣接する曲がり部26bとで挟まれた第1の領域と、両方のフランジ25b、26bで挟まれた第2の領域の両方に樹脂24が介装される。図7(b)は、第1の領域と第2の領域の両方に樹脂24が介装された例であるが、第1の領域のみに樹脂24が介装されている部材とすることもできる。ただし、好ましくは、図7(b)に示すように、第1の領域と第2の領域の両方に樹脂24を介装した部材であり、第1の領域のみに樹脂24を介装する場合に比べて、曲がり強度を一層高めることができる。第1の領域の少なくとも一部に樹脂24を介装すればよく、望ましくは、介装幅wは、曲がり部の曲率半径Rの0.5倍以上2.0倍以下である。
図8は、両ハット部材21における長手方向の樹脂24の介装状況の例を模式的に示す説明図である。
図8に示すように、第1の領域に樹脂24を介装する場合や第2の領域に樹脂を介装する場合、長手方向の少なくとも40%以上の領域を介装する。望ましくは、長手方向の70%以上である。図8は、両ハット部材21の例であるが、片ハット部材20においても同様である。
図9(a)〜図9(f)は、種々の実施の形態の例を示す模式図である。
図9(a)は、ハット素材22と平板素材23とをハット素材22のフランジ22aで接合し、ハット素材22のフランジ22aに隣接する曲がり部22bと平板素材23とで挟まれた領域に樹脂24を介装した片ハット部材20−1である。
図9(b)は、2つのハット素材25、26をフランジ25a、26aで重ね合わせ接合し、2つのハット素材25、26の曲がり部25b、26bに挟まれた領域に樹脂24を介装した両ハット部材21−1である。
図9(c)は、幅が異なる2つのハット素材25、26をフランジ25a、26aで重ね合わせ接合し、一方のハット素材25の曲がり部25bと、他方のハット素材26のフランジ26bに挟まれた領域24に樹脂を介装した両ハット部材21−2である。
図9(d)は、2つのハット素材21−1、21−2と平板素材23とをハット素材の底部が同一方向に位置するように重ね合わせ接合し、内側のハット素材21−1の曲がり部と平板素材23で挟まれた領域に樹脂24を介装した片ハット部材20−2である。
図9(e)は、2つのハット素材25、26のフランジの間に平板素材23を配置した状態で接合し、一方のハット素材25の曲がり部と平板素材23で挟まれた領域と、他方のハット素材26と平板素材23で挟まれた領域とに樹脂24を介装した両ハット部材21−3である。
さらに、図9(f)は、3つのハット素材25、27、26を重ね合わせて接合し、内側に配置したハット素材27の曲がり部と他方のハット素材26の曲がり部で挟まれた領域に樹脂24を介装した両ハット部材21−4である。
なお、いずれも接合はスポット溶接により行われる。
本発明の自動車用構造部材としては、バンパーリンフォース、サイドシルリンフォース、Bピラーリンフォース、ドアビームなど、衝突の際に曲げ荷重が負荷される部材が挙げられる。本発明により、部材の重量増加を小さく抑えつつ、衝突の際の曲げ強度と吸収エネルギを大幅に向上できる。
次に、本発明の第1の製造方法を説明する。
第1の製造方法は、第1の素材のフランジ、および、第2の素材における第1の素材のフランジとの重ねあわせ部のうちの少なくともいずれか一方に液状の樹脂を塗布する第1の工程と、第1の素材と第2の素材とを第1の素材のフランジでスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てる第2の工程と、塗布された樹脂を硬化させる第3の工程とを備える。以下、第1の素材に液状の樹脂を塗布し、片ハット部材を製造する例で説明する。
すなわち、第1の工程では、片ハット部材を構成するハット素材(第1の素材)のフランジに隣接する曲がり部と平板素材(第2の素材)とで挟まれた第1の領域に樹脂を介装するように、ハット素材のフランジに隣接する曲がり部やフランジまたは平板素材におけるハット素材の曲がり部やフランジに対応する部分に液状の樹脂を塗布する。ハット素材と平板素材の両方に樹脂を塗布してもよい。
図10は、ハット素材28に液状の樹脂29を塗布した状態を示す断面要部を模式的に示す説明図である。
図10に示すように、樹脂29は、ハット素材28の曲がり部28b、フランジ28aあるいは曲がり部28bとフランジ28aの両方に塗布することができる。曲がり部28bへの塗布量が多めになるように傾斜的に塗布しても良い。
図11は、ハット素材28に液状の樹脂29を塗布した状態を示す長手方向の斜視図である。
図11に示すように、ハット素材28の長手方向の全領域、長手方向の中央部のみ、長手方向の端部のみなど強度が必要な部位に樹脂29を適宜塗布することができる。また、長手方向に間欠的に塗布しても良い。また、長手方向に塗布量を変化させても良い。少なくとも長手方向の40%以上を覆うように塗布する。望ましくは、70%以上である。
液状の樹脂29は、塗布の工程では流動性を有し、その後、硬化させることが可能なものであれば特に限定されないが、硬化した際の強度が高く、鋼板との密着性が高いエポキシ系の構造用接着剤が望ましい。エポキシ系の構造用接着剤としては、一液熱硬化型エポキシ系構造用接着剤と二液硬化型エポキシ系接着剤が挙げられる。一液熱硬化型エポキシ系構造用接着剤は、加熱することにより硬化するので、電着塗装の焼付け工程を経る部材には好適である。二液硬化型エポキシ系接着剤は、二液を混ぜることで時間の経過に伴い硬化するので、電着塗装工程を通らない部材に用いることができる。
第2の工程では、樹脂29を塗布したハット素材28と平板素材23とをフランジ28aを介して重ね合わせ、次いで、図2(a)や図7(a)に示すように、ハット素材28と平板素材23とを、ハット素材28のフランジ28aを介してスポット溶接して接合する。
スポット溶接は、電極でワークを押圧し短時間に大電流を流し、金属を溶融凝固させ接合する公知の溶接法であり、例えば、インバータ式直流スポット溶接機や単相交流式スポット溶接機を用いることができる。
スポット溶接の際の押圧により液状の樹脂29は、曲がり部28bと平板素材23とで挟まれた領域に展延する。なお、フランジ28aの端部側からはみ出た樹脂を必要に応じて除去すればよい。
図12(a)および図12(b)は、いずれも、先端が曲げられた形状のフランジを有するハット素材を重ね合わせる状況を示す説明図である。
図12(a)に示すように、先端が曲げられた形状のフランジ30aを有するハット素材30の曲がり部30bに樹脂32を塗布しておき、先端が曲げられていない形状のフランジ31aを有するハット素材31を重ねることにより、フランジ30aの先端部側からの樹脂32のはみ出しを防止し、曲がり部に十分に樹脂を供給することができる。
また、図12(b)に示すように、先端が曲げられた形状のフランジ30aを有するハット素材30の曲がり部30bに樹脂32を塗布しておき、先端が曲げられた形状のフランジ33aを有するハット素材33を重ねることによっても、フランジ30a先端部側からの樹脂32のはみ出しを防止し、曲がり部に十分に樹脂を供給することができる。
スポット溶接条件は、例えば、加圧力:150〜600kgf、通電時間:5〜40cyc、電流値:5〜16kAであり、スポット溶接間隔は、分流によるナゲット形成不良を防止するため20mm以上とすることができる。
第3の工程では、液状の樹脂の硬化が行われる。液状樹脂として、一液熱硬化型の接着剤を使用する場合には、例えば、加熱炉にスポット溶接後のハット部材を装入し、加熱温度:150〜200℃、加熱時間:15分間以上2時間以下の加熱を行うことにより硬化が行われる。好ましくは、加熱温度:160〜180℃、加熱時間:20〜40分間である。
また、加熱は1回ではなく数回でも良い。また、液状樹脂として二液硬化型の接着剤を使用する場合には、2つの接着剤を混合した混合液を塗布後、放置することで化学反応が進行し硬化を行うことできる。
なお、上記接着剤は、硬化後、室温で、ヤング率1000〜3000MPa、鋼板との引張せん断強度(JISK6850)10〜50MPaの特性を有する。
次に、本発明の第2の製造方法を説明する。
第2の製造方法は、フランジを有する第1の素材と第2の素材とを、第1の素材のフランジを介してスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てる第1の工程と、第1の素材のフランジに隣接する曲がり部と、第2の素材とにより挟まれた第1の領域に液状の樹脂を塗布する第2の工程と、塗布された樹脂を硬化させる第3の工程とを備える。以下、ハット部材を例に説明する。
すなわち、第1の工程では、フランジを有する第1の素材であるハット素材と、第2の素材である平板素材とを、ハット素材のフランジを介して重ね合わせ、スポット溶接により両素材を接合して閉断面のハット部材を製作する。スポット溶接は、第1の製造方法で説明したように、例えば、インバータ式直流スポット溶接機や単相交流式スポット溶接機を用い、加圧力:150〜600kgf、通電時間:5〜40cyc、電流値:5〜16kA、スポット溶接間隔:20mm以上とすることができる。
第2の工程では、ハット部材を構成するハット素材の曲がり部と平板素材とに挟まれた第1の領域に液状の樹脂を塗布する。例えば、ハット部材の長手方向の端部から、小型の塗布ノズルを、ハット部材内に装入して塗布することができる。樹脂の塗布幅は、曲がり部とフランジの境界を起点としてフランジの反対側に曲がり部の曲率半径Rの0.5倍以上2.0倍以下とするのが望ましい。さらに、フランジに塗布するのが望ましい。第1の製造方法で説明したように、少なくとも長手方向の40%以上を覆うように塗布する。望ましくは、70%以上である。
第3の工程では、第1の製造方法と同様に、液状の樹脂の硬化が行われる。
次に、第3の製造方法について説明する。
第3の製造方法は、第1の素材と第2の素材の少なくともいずれか一方の素材に液状の樹脂を塗布する第1の工程と、第1の素材のフランジを介して第1の素材と第2の素材とを重ね合わせた後、フランジを介して第1の素材と第2の素材とをスポット溶接して閉断面の筒体を製作する第2の工程と、筒体におけるフランジに隣接する曲がり部と第2の素材とに挟まれた領域の少なくとも一部に液状の樹脂を塗布する第3の工程と、樹脂を硬化する第4の工程とを備える。
第3の製造方法における第1の工程と第2の工程は、それぞれ第1の製造方法における第1の工程と第2の工程と同様であるので、説明を省略する。また、第3の製造方法における第3の工程と第4の工程は、それぞれ第2の製造方法における第2の工程と第3の工程と同様であるので、説明を省略する。また、第2の製造方法と第3の製造方法における液状樹脂は、第1の製造方法における液状樹脂と同様であるので説明は省略する。
次に、第1の素材と第2の素材について説明する。
第1の素材は、熱延鋼板、冷延鋼板をプレス成形する方法、或いは、熱間プレス用鋼板を熱間プレス成形する方法により得られ、その強度は270MPa〜1800MPaとすることができる。鋼板の表面をめっきした溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板などを用いることもできる。
第2の素材は、第1の素材と同様に熱延鋼板、冷延鋼板、熱間プレス用鋼板またはめっき鋼板をプレス成形した鋼板、あるいは、平坦状の鋼板を用いることができる。
本発明に係る自動車用構造部材は、衝突の際に軸方向荷重が負荷される部材にも同様に適用することができ、部材の重量増加を小さく抑えつつ、衝突の際の軸方向強度を高めて吸収エネルギーを大幅に向上することもできる。
供試材として板厚1.2mmの590MPa級冷延鋼板を使用した。図13は、実施例の部材形状を模式的に示す説明図であり、図13(a)は片ハット部材34であり、図13(b)は両ハット部材35である。
図13(a)または図13(b)に示すように、この鋼板を室温でプレス成形して曲がり部の曲率半径Rが6.2mmのハット素材36を製作し、2つのハット素材36、あるいはハット素材36と平板素材37を用いて、第1の製造方法、第2の製造方法および第3の製造方法により、全長600mmの片ハット部材34、両ハット部材35を製作した。
樹脂として一液熱硬化型エポキシ系構造用接着剤を用い、ハット素材36、片ハット部材34または両ハット部材35の所定の領域に塗布した。片ハット部材34と両ハット部材35を170°の加熱炉に30分間装入することにより樹脂を硬化させた。なお、比較のため、樹脂を塗布しない片ハット部材と両ハット部材も製作した。
図14は、3点曲げ試験の要領を示す説明図であり、図14(a)は片ハット部材34の要領を示し、図14(b)は両ハット部材35の要領を示す。
次に、片ハット部材34と両ハット部材35を用いて、図14(a)または図14(b)に示す3点曲げ試験を実施し、インパクタ36を衝突させたときに衝突荷重と変位の関係を調査し、衝突性能を荷重の最大値で評価した。
3点曲げ試験は、支持台37、37の間隔が500mmで、曲率半径Rが150mmのインパクタ36を部材長手方向の中央に速度1mm/secで衝突させた。なお、図14に示すように片ハット部材34においては、平板素材側をインパクタ側とし、両ハット部材では、底部側をインパクタ側に配置した。
表1に、最大荷重の測定結果とともに部材の製作条件を示す。
Figure 0005348005
なお、同表の製造方法欄の1、2、3は、それぞれ第1の製造方法、第2の製造方法、第3の製造方法を意味する。
片ハット部材34において、試番2〜6の本発明例は、樹脂を介装しない試番1の比較例に比べ、最大荷重が高く良好であった。特に、樹脂の介装幅が1.5R(R:曲がり部の曲率半径)である試番3と6は、比較例に比べ最大荷重が著しく高く極めて良好であった。
また、両ハット部材35において、試番8〜12の本発明例は、樹脂を介装しない試番7の比較例に比べ、最大荷重が高く良好であった。なお、試番11、12は、長手方向の一部に樹脂を介装したものであるが、最大荷重を高める効果があることが判った。
1 インパクタ
2 片ハット部材
3 支持台
4 ハット素材
4a フランジ
4b 曲がり部
4c 縦壁
5 平板素材
6 片ハット部材
7 スポット溶接部
8 樹脂
9、10 ハット素材
9a、10a フランジ
9b、10b 曲がり部
9c、10c 縦壁
11 スポット溶接部
12 両ハット部材
13 樹脂
20、20−1、20−2 片ハット部材
21、21−1〜20−4 両ハット部材
ハット素材 22
22a フランジ
22b 曲がり部
23 平板素材
24 樹脂
25、26、27 ハット素材
25a、26a フランジ
25b、26b 曲がり部
28 ハット素材
28a フランジ
28b 曲がり部
29 樹脂
30 ハット素材
30a,31a フランジ
30b 曲がり部
32 樹脂
33 ハット素材
33a フランジ

Claims (6)

  1. フランジを有する第1の素材と第2の素材とにより形成された閉じた断面を有し、かつ前記第1の素材および前記第2の素材が前記フランジでスポット溶接された筒体を備える自動車用構造部材であって、前記フランジに隣接する曲がり部と前記第2の素材とにより挟まれた第1の領域に介装された樹脂を備え、当該樹脂の介装幅は、前記曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下であることを特徴とする自動車用構造部材。
  2. 前記フランジと前記第2の素材とに挟まれた第2の領域に介装された樹脂を備える請求項1に記載された自動車用構造部材。
  3. 前記樹脂はエポキシ系接着剤である請求項1または請求項2に記載された自動車用構造部材。
  4. 前記自動車用構造部材は、バンパーリンフォース、サイドシル、Bピラーリンフォースまたはドアビームである請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された自動車用構造部材。
  5. フランジ、および該フランジに隣接する曲がり部を有する第1の素材と、第2の素材との少なくともいずれか一方の素材に液状の樹脂を塗布する第1の工程と、前記第1の素材と前記第2の素材とを前記フランジで重ね合わせてスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てることによって塗布された前記樹脂を前記曲がり部と前記第2の素材とに挟まれた第1の領域に介装させる第2の工程と、介装された前記樹脂を硬化させる第3の工程とを有し、前記第1の領域に介装された前記樹脂の介装幅を、前記曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下とすることを特徴とする自動車用構造部材の製造方法。
  6. フランジを有する第1の素材と第2の素材とを前記フランジでスポット溶接して閉断面の筒体を組み立てる第1の工程と、前記第1の素材における前記フランジに隣接する曲がり部と、前記第2の素材とにより挟まれた第1の領域に液状の樹脂を塗布する第2の工程と、塗布された前記樹脂を硬化させる第3の工程とを有し、前記第1の領域に介装された前記樹脂の介装幅を、前記曲がり部の曲率半径の0.5倍以上2.0倍以下とすることを特徴とする自動車用構造部材の製造方法。
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