(A)主たる実施形態
以下、本発明による伝送システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態の伝送システムの構成を示すブロック図であり、図2は、実施形態の伝送システムを構成する単位構成(以下、単位システム又はシステムと呼ぶ)を示すブロック図である。
図2において、単位システム10は、2台のスイッチングハブ11−1及び11−2と、対応するスイッチングハブ11−1、11−2を監視、制御する2台の経路切替装置12−1、12−2とを有する。2台のスイッチングハブ11−1及び11−2間は、伝送ライン13を介して接続され、スイッチングハブ11−1及び経路切替装置12−1間は伝送ライン14−1を介して接続され、スイッチングハブ11−2及び経路切替装置12−2間は伝送ライン14−2を介して接続されている。各スイッチングハブ11−1、11−2は、第1の他の単位システムのスイッチングハブと接続するための伝送ライン15−1、15−2と、第2の他の単位システムのスイッチングハブと接続するための伝送ライン16−1、16−2とが接続されている。単位システム10は、上述した各種伝送ラインをも構成要素としている。
例えば、単位システム10は、2重化されたスイッチングハブに複数のプレード化された演算装置を接続した構成を持つ製品を利用し、演算装置が実行するソフトウェアを、経路切替装置の機能を実現するように構築することで実現することができる。
実施形態の伝送システム1は、図1に示すように、図2に示す単位システム10(10A〜10N)のスイッチングハブ11−1及び11−2(11−1A及び11−2A、〜、11−1N及び11−2N)を相互接続することにより(ディジーチェーン状に接続することにより)構築されるものである。なお、終端に位置する単位システム10A及び10Nのスイッチングハブ11−1A及び11−2A、並びに、11−1N及び11−2Nは、1つの他の単位システムのスイッチングハブとしか接続されていない。
各スイッチングハブ11−1A、11−2A、…、11−1N、11−2Nはそれぞれ、少なくとも4個の仮想ネットワークVLAN−1〜VLAN−4を構成する機能を有している。
第1の仮想ネットワークVLAN−1は、ユーザトラフィックを転送するための仮想ネットワークとして、スイッチングハブによって構成されるものである。
第2の仮想ネットワークVLAN−2は、同一の単位システム内の経路切替装置(例えば、単位システム10Bであれば経路切替装置12−1B及び12−2B)間で制御トラフィックを転送するための仮想ネットワークとして、スイッチングハブによって構成されるものである。
第3の仮想ネットワークVLAN−3及び第4の仮想ネットワークVLAN−4は、対向する2つのシステムの経路切替装置間で制御トラフィックを転送するための仮想ネットワークとして、スイッチングハブによって構成されるものである。例えば、対向する単位システムとして、単位システム10A及び10Bに着目した場合であれば、経路切替装置12−1A及び12−1B間で制御トラフィックを転送するように第3の仮想ネットワークVLAN−3が構成されると共に、経路切替装置12−2A及び12−2B間で制御トラフィックを転送するように第4の仮想ネットワークVLAN−4が構成される。
ここで、同一システム10内のスイッチングハブ間伝送ライン13は、トランクラインとして、第1の仮想ネットワークVLAN−1及び第2の仮想ネットワークVLAN−2の両方の仮想ネットワークに属し、互いの仮想ネットワークのフレームが交わらないように、仮想的にトラフィックが第1の仮想ネットワークVLAN−1と第2の仮想ネットワークVLAN−2とに分離されている。
また、対向する2つのシステムのスイッチングハブ間伝送ライン15−1、16−1は、トランクラインとして、第1の仮想ネットワークVLAN−1及び第3の仮想ネットワークVLAN−3の両方の仮想ネットワークに属し、互いの仮想ネットワークのフレームが交わらないように、仮想的にトラフィックが第1の仮想ネットワークVLAN−1と第3の仮想ネットワークVLAN−3とに分離されている。同様に、対向する2つのシステムのスイッチングハブ間伝送ライン15−2、16−2は、トランクラインとして、第1の仮想ネットワークVLAN−1及び第4の仮想ネットワークVLAN−4の両方の仮想ネットワークに属し、互いの仮想ネットワークのフレームが交わらないように、仮想的にトラフィックが第1の仮想ネットワークVLAN−1と第4の仮想ネットワークVLAN−4とに分離されている。
さらに、同一システム内の一方のサイド(図2の左側)のスイッチングハブと経路切替装置との間の伝送ライン14−1は、トランクラインとして、第2の仮想ネットワークVLAN−2及び第3の仮想ネットワークVLAN−3の両方の仮想ネットワークに属し、互いの仮想ネットワークのフレームが交わらないように、仮想的にトラフィックが第2の仮想ネットワークVLAN−2と第3の仮想ネットワークVLAN−3とに分離されている。同様に、同一システム内の他方のサイド(図2の右側)のスイッチングハブと経路切替装置との間の伝送ライン14−2は、トランクラインとして、第2の仮想ネットワークVLAN−2及び第4の仮想ネットワークVLAN−4の両方の仮想ネットワークに属し、互いの仮想ネットワークのフレームが交わらないように、仮想的にトラフィックが第2の仮想ネットワークVLAN−2と第4の仮想ネットワークVLAN−4とに分離されている。
図3は、スイッチングハブ11(11−1、11−2)の機能的な内部構成を示すブロック図である。
図3において、スイッチングハブ11は、ポート入出力部21、ポート制御部22、経路情報テーブル23、状態監視部24、経路情報削除部25及び伝送禁止制御部26を有する。
ポート入出力部21は、複数の通信ポート(伝送ラインに対応している)を持ち、伝送ラインを介したフレーム(ユーザフレームや制御フレーム)の送受信を行うものである。
ポート制御部22は、受信したフレームの送信(中継)を制御するものである。ポート制御部22による制御は、基本的には、経路情報テーブル23に登録されている経路情報に基づいて行われる。ポート制御部22は、受信したフレームの宛先が経路情報テーブル23に登録されている場合には、その経路のみにフレームを転送し、受信したフレームの宛先が経路情報テーブル23に登録されていない場合には、フレームを受信した伝送ライン以外で、しかも、受信したフレームの仮想ネットワークが属している伝送ラインの全てにフレームを転送(flooding)するものである。
図4は、経路情報テーブル23の構成を示す説明図であり、スイッチングハブ11−1(図2参照)における経路情報テーブルの構成を示している。
経路情報テーブル23は、仮想ネットワーク毎に、宛先アドレスとその送出経路(伝送ライン)の情報(MACエントリ)を管理している。例えば、図4の1行目は、仮想ネットワークVLAN−1に属する宛先「aa:bb:cc:dd:ee:ff」のフレームは伝送ライン13に送出することを表し、2行目は、仮想ネットワークVLAN−1に属する宛先「11:22:33:44:55:66」のフレームは伝送ライン14−1に送出することを表している。
なお、経路情報テーブル23に、受信したフレームに係る行(MACエントリ)が存在しない場合には、受信したフレームの送信元を表すアドレスと、そのフレームを受信した伝送ライン等に基づいて、新たな行が追加されるようになされている。
スイッチングハブ11の状態監視部24は、接続された伝送ライン上の障害有無を監視し、障害を検出した場合や障害復旧を検出した場合に、対応する経路切替装置12等にその障害検出や障害復旧を通知するものである。伝送ラインでの障害の発生の検出は、伝送ラインを介して接続する他の装置(スイッチングハブや経路切替装置)との間で信号の送受信を行い、相手装置からの信号が受信できるか否かにより行う。障害の発生を検出した後で、再び、相手装置からの信号の受信ができるようになった場合に、障害の復旧を検出する。
経路情報削除部25は、対応する経路切替装置12からの命令により経路情報テーブル23に登録された複数のMACエントリ(行)の中から指定されたMACエントリを削除するものである。
伝送禁止制御部26は、対応する経路切替装置12からの命令により、指定されたポートからのユーザトラフィックのフレーム(第1の仮想ネットワークVLAN−1のフレーム(ユーザフレーム))の転送を許可したり、転送を拒否したりするものである。
図5は、経路切替装置12から、対応する制御対象のスイッチングハブ11に対して与えられる命令の内容を示す説明図である。ここで、通信回線を確立した一方の対向システムを「方向UP」の対向システム、もう一方の対向システムを「方向DW」の対向システムと呼んでいる。例えば、当該単位システムが図1のシステム10Bである場合、システム10Aが「方向UP対向システム」であり、システム10Cが「方向DW対向システム」である。また、制御対象のスイッチングハブ11と接続されている同一システム内の他のスイッチングハブを同一システム内の「相手側スイッチングハブ」と呼んでいる。例えば、制御対象のスイッチングハブが図1のスイッチングハブ11−1Bであれば、スイッチングハブ11−2Bが同一システム内の「相手側スイッチングハブ」である。
項番が「命令1」の「システム内の相手側スイッチングハブ向けポート伝送許可設定」命令は、システム内の相手側スイッチングハブと接続している、制御対象スイッチングハブのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを許可するものであり、項番が「命令2」の「システム内の相手側スイッチングハブ向けポート伝送拒否設定」命令は、そのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを拒否するものである。
項番が「命令6」の「方向UP対向システム向けポート伝送許可設定」命令は方向UP対向システムと接続している、制御対象スイッチングハブのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを許可するものであり、項番が「命令8」の「方向UP対向システム向けポート伝送拒否設定」命令は、そのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを拒否するものである。
項番が「命令7」の「方向DW対向システム向けポート伝送許可設定」命令は、方向DW側対向システムと接続している、制御対象スイッチングハブのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを許可するものであり、項番が「命令9」の「方向DW対向システム向けポート伝送拒否設定」命令は、そのポートから、ユーザトラフィックを送受信することを拒否するものである。
項番が「命令3」の「方向UP対向システム向けMACエントリ削除」命令は、経路制御テーブル23に登録されているMACエントリの中から、送出経路が方向UP対向システム向けポート(伝送ライン)に設定されているMACエントリを削除するものであり、項番が「命令4」の「方向DW対向システム向けMACエントリ削除」命令は、送出経路が方向DW対向システム向けポートに設定されているMACエントリを削除するものであり、項番が「命令5」の「システム内の相手側スイッチングハブ向けMACエントリ削除」命令は、送出経路がシステム内の相手側スイッチングハブ向けポートに設定されているMACエントリを削除するものである。
図1に示すような環状ネットワーク(例えば、スイッチングハブ11−1A、11−2A、11−2B、11−1B及び11−1Aで形成される)を含む網構成では、フレームがループすることを防ぐために、環状ネットワーク内の1箇所でフレームの伝送を禁止させる必要がある。しかし、各スイッチングハブ11が環状ネットワーク構成を検出する機能や経路切替え機能を持たない場合、スイッチングハブの自律によりフレームの伝送を禁止させることができない。そこで、この実施形態では、2組のシステムで構成された4台の経路切替装置(例えば、12−1A、12−2A、12−1B、12−2B)が互いに連携して、フレームのループ防止と障害発生システム間の導通情報の確認、及び、制御情報を送受する機能を有する。さらに、障害発生時及び障害復旧時の、高速経路切り替え制御を実施する機能を有する。
各経路切替装置12はそれぞれ、配下の1台のスイッチングハブ11に対する監視、制御を実施する。
図6は、実施形態の経路切替装置12(12−1、12−2)の機能的な内部構成を示すブロック図である。
図6において、経路切替装置12は、通信インターフェース31、コントローラ32、内部属性保持部33、同一内装置通知部34、隣接装置通知部35及び伝送制御命令部36を有する。
通信インターフェース31は、自経路切替装置12に接続されている伝送ライン14(14−1又14−2)を介したフレームの送受信を行うものである。
コントローラ32は、自経路切替装置12の全体の制御を司るものである。
内部属性保持部33は、内部属性を保持しているものである。コントローラ32の制御下で、保持する内部属性の属性値が更新されることもあり得る。図7は、内部属性保持部33が保持する内部属性の内容を示す説明図であり、図8は、図7の「内部状態」(方向UP内部状態又は方向DW内部状態)の属性値の内容を示す説明図である。
内部属性「システム内優先度」は、属性値として、「高」又は「低」をとる。「システム内優先度」は、後述する実効優先度を決定するのに使用されるものであり、同一のシステム10内の2つの経路切替装置12−1及び12−2のうち、一方に「高」が設定されると共に、他方に「低」が設定される。
内部属性「全体優先度」は、属性値として10進数が設定されるものであり、例えば、10進数が小さいほど、全体優先度が高いことを表す。「全体優先度」は、隣接するシステムとの間で優先度を決定する際に使用される値である。同一のシステム10内の2つの経路切替装置12−1及び12−2に対して同じ属性値が設定される。例えば、各システム10A〜10Nを一列に接続した場合、一列の中間のシステムより外側のシステムの経路切替装置の全体優先度の値が大きくなる(言い換えると、優先度が低くなる)ように設定する。
内部属性「方向UPシステム間優先度」は、属性値として、「高」、「低」又は「無効」をとる。「方向UPシステム間優先度」には、自経路切替装置が属するシステムと、このシステムに対して方向UP側に隣接する対向システムとの2つのシステム間の優先関係を示す値(「高」又は「低」)が設定される。この値は、全体優先度の値に応じて定まるものである。但し、方向UP側に隣接するシステムとの接続が確立していない状態では「無効」が設定される。内部属性「方向DWシステム間優先度」は、方向DW側に隣接する対向システムとの優先関係を示すものであり、この点を除けば、「方向UPシステム間優先度」と同様なものである。
内部属性「方向UP内部状態」は、方向UP側に隣接する対向システムの経路切替装置及びスイッチングハブとの接続状態を表すものであり、内部属性「方向DW内部状態」は、方向DW側に隣接する対向システムの経路切替装置及びスイッチングハブとの接続状態を表すものである。これらの「内部状態」の属性値としては、図8に示すような「初期状態」、「能動状態」、「予備状態」、「相手側システム間障害」、「対向システム内障害」、「対向システム間2重障害」、「自システム内障害」、「1重化障害」、「1重化状態」、「対向側システム内+相手側システム間障害」、「システム内回線適用」、「対向システム間障害」があり、各属性値の意味については後述する。
内部属性「方向UPシステム内回線状態」は、方向UP側に隣接する対向システムが自システムより全体優先度が低く、かつ、そのシステム内回線が使用可能であるときに、属性値「有効」をとり、方向UP側に隣接するシステムに関し、これ以外のときに「無効」をとるものである。例えば、方向UP側に隣接する対向システムが自システムより全体優先度が高い場合には「無効」をとり、低くてもそのシステム内回線が使用可能でなければ「無効」をとる。内部属性「方向DWシステム内回線状態」は、方向DW側に隣接するシステムに関し、「方向UPシステム内回線状態」と同様な属性である。
以下、「方向UP内部状態」又は「方向DW内部状態」に設定される各種状態を説明する。
「方向UP内部状態」又は「方向DW内部状態」に設定される「初期状態」は、自経路切替装置を起動した直後の状態である。
「能動状態」は、自経路切替装置が属するシステム内で障害が発生しておらず、自経路切替装置が属するシステムと対向するシステム内で障害が発生しておらず、さらに、自経路切替装置が属するシステムと対向するシステムとの間でも、障害が発生していない状態である。この「能動状態」では、自経路切替装置の制御対象スイッチングハブと、対向システムのスイッチングハブとの間で、フレームの伝送が許可されている。通信回線を確立している対向システムの経路切替装置の内部状態が「予備状態」の場合、自経路切替装置の内部状態は「能動状態」となる。
「予備状態」は、自経路切替装置が属するシステム内で障害が発生しておらず、自経路切替装置が属するシステムと対向するシステム内で障害が発生しておらず、さらに、自経路切替装置が属するシステムと対向するシステムとの間でも、障害が発生していない状態である。この「予備状態」では、自経路切替装置の制御対象スイッチングハブと、対向システムのスイッチングハブとの間で、フレームの伝送が許可されていない。通信回線を確立している対向システムの経路切替装置の内部状態が「能動状態」の場合、自経路切替装置の内部状態は「予備状態」となる。
「相手側システム間障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、及び、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間は通信回線を確立できているが、同一システムの相手側スイッチングハブと対向システムのスイッチングハブとの間で障害が発生している状態である。
「対向システム内障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間、及び、同一システム内の相手側経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間は通信回線を確立できているが、対向システムの2つの経路切替装置間の通信路が確立できない状態である。
「対向システム間障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、及び、同一システム内の相手側経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間では通信回線を確立できているが、自経路切替装置の制御対象スイッチングハブと、対向システムにおける、制御対象スイッチングハブと同一側のスイッチングハブとの間で障害が発生している状態である。
「対向システム間2重障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間で通信回線を確立できているが、自経路切替装置の制御対象スイッチングハブと、対向システムにおける制御対象スイッチングハブと同一側のスイッチングハブとの間、及び、同一システム内の相手側スイッチングハブと、対向システムにおける相手側スイッチングハブと同一側のスイッチングハブとの間で障害が発生している状態である。
「自システム内障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間で通信回線を確立できないが、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間は通信回線を確立できている状態である。
「1重化障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、及び、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間で通信回線を確立できない状態である。
「1重化状態」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、及び、対向システムの2つの経路切替装置との間で通信回線を確立できないが、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間で通信経路を確立している状態である。
「対向システム内+相手側システム間障害」は、自経路切替装置と同一システム内の相手側経路切替装置との間、及び、自経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間は通信経路を確立できているが、対向システムの2つの経路切替装置間、及び、同一システム内の相手側経路切替装置と対向システムの経路切替装置との間の通信路が確立できない状態である。
「システム内回線適用」は、上述した「対向システム内障害」と同様な状態であるが、自システムより優先度が高い対向システムのシステム内接続が有効でないため、自システム内のシステム内接続回線を有効にしている状態である。
以下、図9〜図16を参照しながら、実施形態における障害箇所と各経路切替装置の内部状態との関係を説明する。
図9は、経路切替装置間の通信確立経路を示す説明図であり、説明の簡略化のために、3個のシステム10A〜10Cで伝送システム1が構成されている場合を示している。図9中の太線矢印が、経路切替装置間の通信確立経路を示している。
システム10Bの経路切替装置12−1Bに着目した場合、自経路切替装置12−1Bは、同一システム10B内の相手側経路切替装置12−2Bとの間で通信経路が確立されると共に、方向UP側に隣接するシステム10Aにおける、自経路切替装置12−1Bと同様な方向側(図9の左側)の経路切替装置12−1Aとの間で通信経路が確立され、また、方向DW側に隣接するシステム10Cにおける、自経路切替装置12−1Bと同様な方向側(図9の左側)の経路切替装置12−1Cとの間で通信経路が確立されるようになされている。なお、システム10A内の2つの経路切替装置12−1A及び12−2A間で通信経路が確立され、システム10C内の2つの経路切替装置12−1C及び12−2C間で通信経路が確立されるようになされている。また、システム10Aの経路切替装置12−2Aとシステム10Bの経路切替装置12−2Bとの間で通信経路が確立され、システム10Bの経路切替装置12−2Bとシステム10Cの経路切替装置12−2Cとの間で通信経路が確立されるようになされている。
図10は、隣接する2つのシステムに関し(各システム内、並びに、システム間)、障害発生箇所がなく、確立すべき全ての経路切替装置間で通信経路が確立されている場合を示している。この場合、全体優先度が高いシステム(図10の場合、システム10A)の経路切替装置12−1A及び12−2Aの内部状態が上述した「能動状態」となり、全体優先度が低いシステム(図10の場合、システム10B)の経路切替装置12−1B及び12−2Bの内部状態が上述した「予備状態」となる。なお、障害発生箇所がない場合において、ユーザデータ(フレーム)がループをいつまでも巡回しないように、予備状態の経路切替装置を含むシステム10B内に、ループ防止のための閉塞箇所が設けられるようになされている(ここで、「閉塞」とはその箇所の回線が機能し得ない状態をいう)。
図11は、隣接する2つのシステムを結ぶ2つのシステム間接続リンクのうち、一方のシステム間接続リンクに障害が発生した場合を示している。障害が発生したシステム間接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−1Bを配下としている経路切替装置12−1A及び12−1B間では通信経路を確立することができない。一方、システム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間、システム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間、並びに、システム10Aの経路切替装置12−2Aとシステム10Bの経路切替装置12−2Bとの間では通信経路が確立される。そのため、対向システムの経路切替装置との間で通信経路が確立できない経路切替装置12−1A及び12−1Bの内部状態は上述した「対向システム間障害」となり、自経路切替装置から見た同一システム内の相手側経路切替装置が「対向システム間障害」となっている経路切替装置12−2A及び12−2Bの内部状態は上述した「相手側対向システム間障害」となる。
図12は、隣接する2つのシステムの一方のシステム内で、2つのスイッチングハブを結ぶ接続リンクに障害が発生した場合を示している。障害が発生したシステム内接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−2Aを配下としているシステム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間では通信経路を確立することができない。一方、システム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間、システム10Aの経路切替装置12−1Aとシステム10Bの経路切替装置12−1Bとの間、並びに、システム10Aの経路切替装置12−2Aとシステム10Bの経路切替装置12−2Bとの間では通信経路が確立される。そのため、同一システム内の相手側経路切替装置との間で通信経路が確立できない経路切替装置12−1A及び12−2Aの内部状態は上述した「自システム内障害」となり、自経路切替装置から見た対向システム内に障害が発生している経路切替装置12−1B及び12−2Bの内部状態は上述した「対向システム内障害」となる。
図13は、隣接する2つのシステムの共にシステム内で、2つのスイッチングハブを結ぶ接続リンクに障害が発生した場合を示している。障害が発生したシステム内接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−2Aを配下としているシステム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間、並びに、障害が発生したシステム内接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1B及び11−2Bを配下としているシステム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間では通信経路を確立することができない。一方、システム10Aの経路切替装置12−1Aとシステム10Bの経路切替装置12−1Bとの間、並びに、システム10Aの経路切替装置12−2Aとシステム10Bの経路切替装置12−2Bとの間では通信経路が確立される。そのため、対向システムの経路切替装置との間でのみ通信経路を確立できる全ての経路切替装置12−1A、12−2A、12−1B及び12−2Bの内部状態は上述した「1重化状態」となる。
図14は、隣接する2つのシステムを結ぶ2つのシステム間接続リンク共に障害が発生した場合を示している。障害が発生したシステム間接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−1Bを配下としている経路切替装置12−1A及び12−1B間、並びに、障害が発生したシステム間接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−2A及び11−2Bを配下としている経路切替装置12−2A及び12−2B間では通信経路を確立することができない。一方、システム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間、並びに、システム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間では通信経路が確立される。そのため、同一システムの経路切替装置との間でのみ通信経路を確立できる全ての経路切替装置12−1A、12−2A、12−1B及び12−2Bの内部状態は上述した「システム間2重障害状態」となる。
図15は、隣接する2つのシステムを結ぶ2つのシステム間接続リンクのうち、一方のシステム間接続リンクと、隣接する2つのシステムの一方のシステム内で、2つのスイッチングハブを結ぶ接続リンクに障害が発生した場合を示している。障害が発生したシステム間接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−1Bを配下としている経路切替装置12−1A及び12−1B間、並びに、障害が発生したシステム内接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1B及び11−2Bを配下としているシステム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間では通信経路を確立することができない。一方、システム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間、並びに、障害が発生していないシステム間接続リンクを介して対向する経路切替装置12−2A及び12−2B間では通信経路が確立される。そのため、経路切替装置12−1Aの内部状態は上述した「対向システム間障害状態」、経路切替装置12−2Aの内部状態は上述した「対向側システム内+相手側システム間障害状態」、経路切替装置12−1Bの内部状態は上述した「1重化障害状態」、経路切替装置12−2Bの内部状態は上述した「自システム内障害状態」となる。
図16も、図12の場合と同様に、隣接する2つのシステムの一方のシステム内で、2つのスイッチングハブを結ぶ接続リンクに障害が発生した場合を示している。図12は、障害が発生したシステム側の全体優先度が低い場合を示し、図16は、障害が発生したシステム側の全体優先度が高い場合を示している。図12の場合と同様に、障害が発生したシステム内接続リンクに繋がっているスイッチングハブ11−1A及び11−2Aを配下としているシステム10A内の2個の経路切替装置12−1A及び12−2A間では通信経路を確立することができない。一方、システム10B内の2個の経路切替装置12−1B及び12−2B間、システム10Aの経路切替装置12−1Aとシステム10Bの経路切替装置12−1Bとの間、並びに、システム10Aの経路切替装置12−2Aとシステム10Bの経路切替装置12−2Bとの間では通信経路が確立される。障害が発生していなければ「予備状態」となっている全体優先度が低い経路切替装置12−1B及び12−2Bも、このような障害発生時には有効に機能させる。そのため、同一システム内の相手側経路切替装置との間で通信経路が確立できない経路切替装置12−1A及び12−2Aの内部状態は上述した「自システム内障害」となり、自経路切替装置から見た対向システム内に障害が発生している全体優先度が低い経路切替装置12−1B及び12−2Bの内部状態は上述した「システム内回線適用状態」となる。
図6における、ある経路切替装置における同一内装置通知部34は、第2の仮想ネットワークVLAN−2を用いて同一システム内のもう一方の相手側経路切替装置と通信回線を確立し、図17に示すような通知情報を、相手側経路切替装置に通知するものである。
隣接装置通知部35は、第3の仮想ネットワークVLAN−3、及び、第4の仮想ネットワークVLAN−4を用いて、隣接関係にある他のシステムの経路切替装置との接続を確立し、図17に示すような通知情報を通知するものである。
伝送制御命令部36は、コントローラ32の制御下で、制御対象スイッチングハブに対して伝送ラインの1つでのフレームの伝送を許可する命令や伝送ラインの1つでのフレームの伝送を禁止する命令などの各種の命令を送信するものである。
以下、図17を参照しながら、送信先及び送信タイミングを明らかなにしながら通知情報の種類を説明する。
経路切替装置(の同一内装置通知部34及び隣接装置通知部35)は、同一システム内の相手側経路切替装置や対向システムの経路切替装置との通信回線が確立したときには、それら経路切替装置に対し、通知情報「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」を送信する。
経路切替装置は、対向システムの経路切替装置との通信回線が確立したときには、その経路切替装置に対し、通知情報「システム内回線状態」を送信する。
経路切替装置は、制御対象スイッチングハブによって対向システム側ポートの障害を検出したときや、対向側経路切替装置との通信ができないときには、同一システム内の相手側経路切替装置や対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「対向側システム間障害発生」を送信する。また、経路切替装置は、上述した「対向側システム間障害発生」の送信後に、対向側経路切替装置との通信回線が確立したときには、同一システム内の相手側経路切替装置に対し、通知情報「対向側システム間障害復旧」を送信する。
経路切替装置は、制御対象スイッチングハブによって同一システムの相手側スイッチングハブ向けポートの障害を検出したときや、同一システム内の相手側経路切替装置との通信ができないときには、対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「システム内障害発生」を送信する。また、経路切替装置は、上述した「システム内障害発生」の送信後に、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線が確立したときには、対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「システム内障害復旧」を送信する。
経路切替装置は、自システムより全体優先度が低い各システムにおいて、システム内回線が使用できない状態になったときには、対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「システム内回線無効」を送信する。また、経路切替装置は、上述した「システム内回線無効」の送信後に、そのシステム内回線が使用可能になり、全体優先度が低いシステムのシステム内回線を閉塞させる必要があるようになったときには、対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「システム内回線有効」を送信する。
経路切替装置は、方向UP向け経路において経路の切換えが発生し、経路情報を解除する必要があるときには、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「方向UP向け経路解除」を送信する。また、経路切替装置は、方向DW向け経路において経路の切換えが発生し、経路情報を解除する必要があるときには、方向DW側の対向システムの経路切替装置に対し、通知情報「方向DW向け経路解除」を送信する。
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の伝送システム1の動作を、各種フローチャートを参照しながら説明する。
(A−2−1)経路切替装置及び制御対象スイッチングハブの起動時の動作
まず、1台の経路切替装置とその制御対象スイッチングハブの起動時の動作を、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
経路切替装置の起動時には、経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性は「初期状態」に設定され、「方向UPシステム内回線状態」及び「方向DWシステム内回線状態」の属性は「無効」に設定されている。また、「システム内優先度」と「全体優先度」属性については、図7記載の条件に従って属性値が設定され、「方向UPシステム間優先度」及び「方向DWシステム間優先度」の属性は「無効」に設定されている。さらに、制御対象スイッチングハブの起動時に、経路切替装置は、図5の「命令2」〜「命令4」を実行された状態とし、対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信すること、及び、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することが拒否された状態とする。
このような設定状態(ステップ100)において、起動した経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線が確立できたか否かを判別する(ステップ101)。
通信回線が確立できた場合には、同一システム内の相手側経路切替装置に対し、自経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」を通知すると共に(ステップ102)、同一システム内の相手側経路切替装置が送出したその経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」を受信する(ステップ103)。
また、起動した経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに「命令1」を実行させ、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可する(ステップ104)。
さらに、起動した経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ105)。属性値が「1重化障害」又は「初期状態」のときには、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間2重障害」に設定し(ステップ106)、「自システム内障害」又は「1重化状態」のときには、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に設定する(ステップ107)。
さらにまた、起動した経路切替装置は、方向DW側の対向システムの経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ108)。属性値が「1重化障害」又は「初期状態」のときには、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム間2重障害」に設定し(ステップ109)、「自システム内障害」又は「1重化状態」のときには、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に設定する(ステップ110)。
なお、基本的には、ステップ105や108のタイミングでは、受信した「方向UP内部状態」や「方向DW内部状態」の属性値が、上述した4種類の属性値以外をとることがない。但し、受信した「方向UP内部状態」や「方向DW内部状態」の属性値が上述した4種類の属性値以外をとる場合は、異常報知処理などを行うようにしても良い。
上述したステップ101の判別により、起動した経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線が確立できないという結果を得たときには、自経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性値を共に「1重化障害」に設定する(ステップ111、112)。
以上のようにして、自経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性値を変更し直した、起動した経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置と接続可能か否かを判別する(ステップ113)。接続可能であれば、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線の確立処理(後述する図19〜図21参照)を実行する(ステップ114)。
方向UP側の対向システムの経路切替装置と接続可能でなければ、若しくは、方向UP側の対向システムの経路切替装置と接続可能であって、その経路切替装置との通信回線の確立処理が終了すると、経路切替装置は、方向DW側の対向システムの経路切替装置と接続可能か否かを判別する(ステップ115)。接続可能であれば、方向DW側の対向システムの経路切替装置との通信回線の確立処理(後述する図19〜図21参照)を実行する(ステップ116)。
方向DW側の対向システムの経路切替装置と接続可能でなければ、若しくは、方向DW側の対向システムの経路切替装置と接続可能であって、その経路切替装置との通信回線の確立処理が終了すると、経路切替装置は、起動時の一連の処理を終了する。
(A−2−2)対向システムの経路切替装置との通信確立動作
次に、ある経路切替装置が、対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作を、図19〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作と、方向DW側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作とは同様であり、以下では、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作を説明する。また、以下の説明において、図19〜図21のフローチャートを実行する経路切替装置を、処理対象経路切替装置若しくは自経路切替装置と呼ぶこととする。
なお、ある経路切替装置が、対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作は、上述した図18のステップ114、ステップ116の動作として実行される。また例えば、対向システムとの一対の伝送ラインに共に障害が発生していた状態から、少なくとも一方の伝送ラインが障害復旧し、対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する必要が生じたときに実行される。
処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する(ステップ200)。なお、確立できなかった場合の動作は、上述した図18に示した通りである(「接続不可」参照)。その後、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、「方向UP内部状態」、「全体優先度」及び「方向DWシステム内回線状態」の属性値を通知すると共に(ステップ201)、方向UP側の対向システムの経路切替装置から、「方向DW内部状態」、「全体優先度」及び「方向UPシステム内回線状態(システム内回線有効又はシステム内回線無効)」の属性値を受信する(ステップ202)。そして、後述する図24のフローチャートに示す処理を実行して、「方向UPシステム間優先度」及び「方向DWシステム間優先度」の属性値を設定する(ステップ203)。
その後、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置との通信が可能か否かを判別し(ステップ204)、通信が可能であれば、同一システム内の相手側経路切替装置に対し、「対向側システム間障害復旧」を通知する(ステップ205)。
また、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における方向UP側の対向システムとの間の実際の状態を判別する(ステップ206)。この状態判別は、「方向UP内部状態」属性の属性値に基づいた判別ではなく、制御対象スイッチングハブから障害情報や障害復旧情報を取り込むなどして実際の状態を判別するものである。この状態判別では、「対向システム間障害」、「1重化障害」又は「対向システム間2重障害」かを判別する。この判別では、「対向システム間障害」、「1重化障害」、「対向システム間2重障害」以外をとることがないが、上述した3種類の属性値以外をとる場合は、異常報知処理などを行うようにすれば良い。
なお、起動時の一連の処理中においても、制御対象スイッチングハブから障害情報や障害復旧情報から与えられたときに、割り込み処理によって、「方向UP内部状態」属性の属性値を直ちに更新するようにしておけば、ステップ206の判別を、「方向UP内部状態」属性の属性値を見ることで行うこともできる。
方向UP側の対向システムとの間の状態が「対向システム間障害」の場合には、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ207)。
「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ208)。
処理対象経路切替装置の優先度が高いと、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ209)、その後、「方向UP内部状態」を「能動状態」に設定する(ステップ210)。
その後、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが既に伝送許可になっているか否かを判別する(ステップ231)。既に伝送許可状態になっていると、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令5」を発して、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させ(ステップ232)、後述するステップ230の処理に移行する。一方、伝送許可状態になっていないと、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させる(ステップ233)。続いて、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線が確立済みか否かを判別する(ステップ234)。確立されていると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向UP向け経路解除通知を送信した後(ステップ235)、確立されていなければ、直ちに、後述するステップ230の処理に移行する。
なお、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作ではなく、方向DW側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作であれば、ステップ209や233の処理では「命令4」を発して、経路情報テーブルから、方向DW向けのMACエントリを削除させ、ステップ210で「方向DWP内部状態」を「能動状態」に設定する。
一方、ステップ208の判別により、処理対象経路切替装置の優先度が低いという結果を得ると、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させる(ステップ211、212)。さらに、「方向UP内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ213)、「方向UPシステム内回線状態」を有効に設定し(ステップ214)、後述するステップ230の処理に移行する。これにより、ループ防止による閉塞が当該システムでなされ、方向UPの対向システムの2つのスイッチングハブ間ではユーザトラフィックが有効に送受信できる設定となった。
上述したステップ207の判別で、方向UP側の対向システムの経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値が「1重化障害」という判別結果を得ると、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の値を「対向システム内障害」に変更した上で(ステップ215)、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ216)。
処理対象経路切替装置の優先度が高いと、後述するステップ230に直ちに移行する。これに対して、処理対象経路切替装置の優先度が低いと、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「システム内回線状態」が「有効」か「無効」かを判別する(ステップ217)。「無効」であると、後述するステップ230に直ちに移行する。一方、「有効」であると、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させ(ステップ218、219)、さらに、「方向UPシステム内回線状態」を有効に設定し(ステップ220)、後述するステップ230の処理に移行する。
上述したステップ206における、方向UP側の対向システムとの間の状態判別の結果、「1重化障害」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ221)。そして、受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」であれば、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「1重化状態」に更新し(ステップ222)、受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」以外であれば、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「自システム内障害」に更新する(ステップ223)。
さらに、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「システム内回線状態」が「有効」か「無効」かを判別する(ステップ224)。「無効」であると、後述するステップ230に直ちに移行する。一方、「有効」であると、処理対象経路切替装置は、通信回線を確立した方向UPの「方向UPシステム内回線状態」の属性値を「有効」に設定した後(ステップ225)、通信回線を確立した方向UPの逆方向である方向DWの対向システムの経路切替装置に対し、「システム内回線有効」の通知情報を送信し(ステップ226)、後述するステップ230の処理に移行する。
上述したステップ206における、方向UP側の対向システムとの間の状態判別の結果、「対向システム間2重障害」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ227)。そして、受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」であれば、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向側システム内+相手側システム間障害」に更新し(ステップ228)、受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」以外であれば、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「相手側システム間障害」に更新し(ステップ229)、その後、後述するステップ230の処理に移行する。
処理対象経路切替装置は、ステップ230において、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令6」を発して、通信回線を確立した方向UPの対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可し、図19〜図21に示す一連の処理を終了する。なお、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作ではなく、方向DW側の対向システムの経路切替装置との通信回線を確立する際の動作であれば、ステップ230の処理では「命令7」を発することとなる。
(A−2−3)同一システムの相手側経路切替装置との通信確立動作
次に、ある経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線を確立する際の動作を、図22及び図23のフローチャートを参照しながら説明する。なお、上述した図18の説明においても、ステップ101〜104で、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線の確立に係る動作を簡単に言及しているが、以下では、詳細に説明する。また、以下の説明において、図22及び図23のフローチャートを実行する経路切替装置を、処理対象経路切替装置若しくは自経路切替装置と呼ぶこととする。
なお、図22及び図23に示す処理は、図18に示す処理が終了した後であって、例えば、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線が確立した場合や障害復旧した場合に実行される。
処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置との通信回線を確立する(ステップ300)。なお、確立できなかった場合の動作は、上述した図18に示した通りである。その後、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置に対し、自経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性値を通知すると共に(ステップ301)、同一システム内の相手側経路切替装置から、その相手側経路切替装置における「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性値を受信する(ステップ302)。
また、処理対象経路切替装置は、方向UP及び方向DWの対向システムの経路切替装置と通信可能か否かを判別する(ステップ303)。方向UP及び方向DWの2つの対向システムのうち、通信可能な対向システムの経路切替装置があれば、その経路切替装置に対し、「システム内障害復旧」通知を送信する(ステップ304)。
次に、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における方向UP側の対向システムとの間の実際の状態を判別する(ステップ305)。この状態判別では、「自システム内障害」、「1重化状態」又は「1重化障害」かを判別する。この判別では、「自システム内障害」、「1重化状態」、「1重化障害」以外をとることがないが、上述した3種類の属性値以外をとる場合は、異常報知処理などを行うようにすれば良い。
自経路切替装置における方向UP側の対向システムとの間の実際の状態が「自システム内障害」であれば、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ306)。相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「1重化障害」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「相手側システム間障害」に変更する(ステップ307)。一方、相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「自システム内障害」であれば、さらに、方向UP側のシステム間優先度を判別する(ステップ308)。処理対象経路切替装置の優先度が高いと、「方向UP内部状態」の属性値を「能動状態」に設定し(ステップ309)、処理対象経路切替装置の優先度が低いと、「方向UP内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ310)、後述するステップ320の処理に移行する。
上述したステップ305の判別により、自経路切替装置における方向UP側の対向システムとの間の実際の状態が「1重化状態」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ311)。相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「1重化障害」又は「初期状態」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向側システム内+相手側システム間障害」に変更する(ステップ312)。一方、相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「1重化状態」であれば、さらに、方向UP側のシステム間優先度を判別する(ステップ313)。処理対象経路切替装置の優先度が高いと、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に設定して後述するステップ320に移行し(ステップ314)、処理対象経路切替装置の優先度が低いと、対向システムにおけるシステム内回線状態(システム内回線有効又はシステム内回線無効)を判別する(ステップ315)。システム内回線状態が「有効」であれば、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に設定して後述するステップ320に移行する(ステップ314)。システム内回線状態が「無効」であれば、「方向UP内部状態」の属性値を「システム内回線適用」に設定して後述するステップ320に移行する(ステップ316)。
上述したステップ305の判別により、自経路切替装置における方向UP側の対向システムとの間の実際の状態が「1重化障害」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ317)。相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「1重化障害」又は「初期状態」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間2重障害」に変更し(ステップ318)、相手側経路切替装置から受信した「方向UP内部状態」が「1重化障害」及び「初期状態」以外であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に変更して後述するステップ320に移行する(ステップ319)。
次に、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における方向DW側の対向システムとの間の実際の状態を判別する(ステップ320)。この状態判別では、「自システム内障害」、「1重化状態」又は「1重化障害」かを判別する。この判別では、「自システム内障害」、「1重化状態」、「1重化障害」以外をとることがないが、上述した3種類の属性値以外をとる場合は、異常報知処理などを行うようにすれば良い。
自経路切替装置における方向DW側の対向システムとの間の実際の状態が「自システム内障害」であれば、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ321)。相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「相手側システム間障害」に変更する(ステップ322)。一方、相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「自システム内障害」であれば、さらに、方向DW側のシステム間優先度を判別する(ステップ323)。処理対象経路切替装置の優先度が高いと、「方向DW内部状態」の属性値を「能動状態」に設定し(ステップ324)、処理対象経路切替装置の優先度が低いと、「方向DW内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ325)、後述するステップ335の処理に移行する。
上述したステップ320の判別により、自経路切替装置における方向DW側の対向システムとの間の実際の状態が「1重化状態」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ326)。相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」又は「初期状態」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「対向側システム内+相手側システム間障害」に変更する(ステップ327)。一方、相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「1重化状態」であれば、さらに、方向DW側のシステム間優先度を判別する(ステップ328)。処理対象経路切替装置の優先度が高いと、「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に設定して後述するステップ335に移行し(ステップ329)、処理対象経路切替装置の優先度が低いと、対向システムにおけるシステム内回線状態(システム内回線有効又はシステム内回線無効)を判別する(ステップ330)。システム内回線状態が「有効」であれば、「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に設定して後述するステップ320に移行する(ステップ329)。システム内回線状態が「無効」であれば、「方向DW内部状態」の属性値を「システム内回線適用」に設定して後述するステップ335に移行する(ステップ331)。
上述したステップ320の判別により、自経路切替装置における方向DW側の対向システムとの間の実際の状態が「1重化障害」という結果を得ると、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ332)。相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」又は「初期状態」であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム間2重障害」に変更し(ステップ333)、相手側経路切替装置から受信した「方向DW内部状態」が「1重化障害」及び「初期状態」以外であれば、処理対象経路切替装置は、自経路切替装置における「方向DW内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に変更して後述するステップ335に移行する(ステップ334)。
以上のような「方向UP内部状態」や「方向DW内部状態」の更新処理を終了すると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ335)。「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であれば、方向UPのシステム間優先度を判別する(ステップ336)。「方向UP内部状態」の属性値が「予備状態」である場合や、「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって方向UPのシステム間優先度が低い場合には、図22及び図23に示す一連の処理を終了する。「方向UP内部状態」の属性値が「予備状態」及び「対向システム内障害」以外の場合や、「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって方向UPのシステム間優先度が高い場合には、後述するステップ337に移行する。
ステップ337では、処理対象経路切替装置は、「方向DW内部状態」の属性値を判別する。「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であれば、方向DWのシステム間優先度を判別する(ステップ338)。「方向DW内部状態」の属性値が「予備状態」である場合や、「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって方向DWのシステム間優先度が低い場合には、図22及び図23に示す一連の処理を終了する。「方向DW内部状態」の属性値が「予備状態」及び「対向システム内障害」以外の場合や、「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって方向UPのシステム間優先度が高い場合には、後述するステップ339に移行する。
ステップ339では、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに「命令1」を実行させ、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可する。
その後、処理対象経路切替装置は、方向UPのシステム間優先度を判別する(ステップ340)。システム間優先度が高い場合には、さらに、「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ341)。「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」や「対向システム内障害」である場合には、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対して「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ342)、図22及び図23に示す一連の処理を終了する。
方向UPのシステム間優先度が低い場合、方向UPのシステム間優先度が高いが「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」や「対向システム内障害」以外である場合には、処理対象経路切替装置は、方向DWのシステム間優先度を判別する(ステップ343)。システム間優先度が高い場合には、さらに、「方向DW内部状態」の属性値を判別する(ステップ344)。「方向DW内部状態」の属性値が「能動状態」や「対向システム内障害」である場合には、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対して「命令4」を発して、経路情報テーブルから、方向DW向けのMACエントリを削除させ(ステップ345)、図22及び図23に示す一連の処理を終了する。方向DWのシステム間優先度が低い場合、方向DWのシステム間優先度が高いが「方向DW内部状態」の属性値が「能動状態」や「対向システム内障害」以外である場合には、直ちに、図22及び図23に示す一連の処理を終了する。
(A−2−4)システム間優先度の設定動作
次に、ある経路切替装置がシステム間優先度を設定する際の動作を、図24のフローチャートを参照しながら説明する。システム間優先度の設定動作は、上述した図19のステップ202で実行され、図24は、その詳細動作を示している。また、通信回線が確立した対向システムがUP側の対向システムとして説明するが、通信回線が確立した対向システムがDW側の対向システムの場合にも、同様な動作を実行すれば良い。
処理対象経路切替装置は、通信回線が確立したUP側の対向システムの経路切替装置に対し、自システムの全体優先度の値を通知すると共に(ステップ400)、その対向システムの経路切替装置から、対向システムの全体優先度の値を受信する(ステップ401)。そして、自システムの全体優先度の値が、対向システムの全体優先度の値より大きいか否かを判別する(ステップ402)。
処理対象経路切替装置は、自システムの全体優先度の値が対向システムの全体優先度の値より大きいと、方向UPのシステム優先度の属性値として「低」を設定し(ステップ403)、自システムの全体優先度の値が対向システムの全体優先度の値以下であると、方向UPのシステム優先度の属性値として「高」を設定し(ステップ404)、図24に示す一連の処理を終了する。
(A−2−5)「システム内障害復旧」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が対向システムの経路切替装置から「システム内障害復旧」通知を受信した際の動作を、図25のフローチャートを参照しながら説明する。「システム内障害復旧」通知の受信時の動作は、ある経路切替装置が上述した図22のステップ304を実行して送信した通知を受信した対向システムの経路切替装置が実行するものであり、図25は、その詳細動作を示している。また、通知元がUP側の対向システムとして説明するが、通知元がDW側の対向システムの場合にも、同様な動作を実行すれば良い。
なお、起動時ではなく、通常の運行時において、対向システム内のスイッチングハブ間に障害が発生し、その障害が復旧したために通知されたときにも、図25に示す動作が実行される。
処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置から「システム内障害復旧」通知を受信すると(ステップ450)、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ451)。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向側システム内+相手側システム間障害」であれば、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「相手側システム間障害」に変更し(ステップ452)、図25に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「システム内回線適用」であれば、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させる(ステップ453、454)。さらに、「方向UPシステム内回線状態」を有効に設定し(ステップ455)、「方向UP内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ456)、図25に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であれば、処理対象経路切替装置は、方向UPのシステム間優先度を判別する(ステップ457)。システム間優先度が低い場合には、「方向UP内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ456)、システム間優先度が高い場合には、「方向UP内部状態」を「能動状態」に設定し(ステップ458)、図25に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「1重化状態」であれば、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム内回線状態」を有効に設定し(ステップ459)、「システム内障害復旧」通知を受信した方向UPの逆方向である方向DWの経路切替装置に対し「システム内回線有効」通知を送信し(ステップ460)、「方向UP内部状態」を「自システム内障害」に設定し(ステップ461)、図25に示す一連の処理を終了する。
(A−2−6)「対向側システム間障害復旧」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が同一システム内の相手側経路切替装置から「対向側システム間障害復旧」通知を受信した際の動作を、図26及び図27のフローチャートを参照しながら説明する。「対向側システム間障害復旧」通知の受信時の動作は、ある経路切替装置が上述した図19のステップ205を実行して送信した通知を受信した対向システムの経路切替装置が実行するものであり、図26及び図27は、その詳細動作を示している。また、障害発生の対向システムがUP側の対向システムとして説明するが、障害発生の対向システムがDW側の対向システムの場合にも、同様な動作を実行すれば良い。
なお、起動時ではなく、通常の運行時において、対向システム側障害が発生し、その障害が復旧したために通知されたときにも、図26及び図27に示す動作が実行される。
処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置から方向UPについての「対向側システム間障害復旧」通知を受信すると(ステップ500)、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ501)。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム間2重障害」であれば、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に変更し(ステップ502)、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「相手側システム間障害」であれば、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ503)。処理対象経路切替装置の優先度が高いと、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ504)、その後、「方向UP内部状態」を「能動状態」に設定する(ステップ505)。続いて、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令4」を発して、経路情報テーブルから、方向DW向けのMACエントリを削除させた後(ステップ515)、同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが既に伝送許可になっているか否かを判別する(ステップ516)。既に伝送許可状態になっていると、処理対象経路切替装置は、直ちに、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。一方、伝送許可状態になっていないと、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線が確立済みか否かを判別する(ステップ517)。確立されていると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向DW向け経路解除通知を送信した後(ステップ518)、確立されていなければ、直ちに、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。
なお、方向UP側の対向システムとの障害復旧ではなく、方向DW側の対向システムとの障害復旧であれば、ステップ504の処理では「命令4」を発することになる。
処理対象経路切替装置の優先度が低いと、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させる(ステップ506、507)。さらに、「方向UPシステム内回線状態」を有効に設定し(ステップ508)、「方向UP内部状態」を「予備状態」に設定し(ステップ509)、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向側システム内+相手側システム間障害」であれば、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ510)。処理対象経路切替装置の優先度が低いと、処理対象経路切替装置は、さらに、復旧した方向UPに係る方向UPシステム内回線状態を判別する(ステップ511)。処理対象経路切替装置の優先度が高い場合や、優先度が低いが方向UPシステム内回線状態が「無効」である場合には、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に変更し(ステップ514)、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。優先度が低く方向UPシステム内回線状態が「有効」であると、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させ(ステップ512、513)、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に変更し(ステップ514)、図26及び図27に示す一連の処理を終了する。
(A−2−7)経路切替装置の起動処理の完了状態
ある経路切替装置及びその制御対象スイッチングハブの起動時には、上述した図18〜図27に示す処理が実行される。このような処理を通じ、隣り合う2つのシステムの経路切替装置の状態組合せは、通信回線の確立などに応じ、上述した図10〜図16のいずれかの組合せとなる。
いま、図9に示す経路切替装置12−1Bに着目すると、経路切替装置12−1Bが属するシステム10Bとその方向UP側のシステム10Aという2つの隣接システムで、上述した図10〜図16のいずれかの組合せをとり、また、経路切替装置12−1Bが属するシステム10Bとその方向DW側のシステム10Cという2つの隣接システムで、上述した図10〜図16のいずれかの組合せをとることとなる。
なお、図9のシステム10Aのような複数のシステムを一列に並べた場合の端に位置するシステムは、上述した方向UPに係る処理、方向DWに係る処理の一方しか実行されない。
上述した図18は、1台の経路切替装置とその制御対象スイッチングハブが起動する際の処理の流れを示している。経路切替装置の起動時には、「内部状態」(方向UP内部状態及び方向DW内部状態)属性は初期状態に設定されており、「システム内優先度」と「全体優先度」属性の値は、図7に記載の条件に従って属性値が設定されている。制御対象スイッチングハブの起動時には、「命令2」、「命令8」及び「命令9」が実行された状態であり、対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信すること、及び、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することが拒否されている。図18に示した処理によって、起動した経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置との通信が確立できた場合は、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可し、相手側経路切替装置の内部状態に応じて、「内部状態」属性を「対向システム間2重障害」又は「対向システム間障害」に設定する。同一システム内の相手側経路切替装置との通信の確立に失敗した場合は、「内部状態」属性を「1重化障害」に設定する。
その後、対向システム側経路切替装置との通信が確立した場合は、図19〜図21に示した動作フローチャートで処理を行う。またその際、図7に記載した条件に従って、図24に示した動作フローチャートでシステム間優先度の設定を行う。
そして、同一システム内の相手側経路切替装置との通信が確立した場合は、図22及び図23に示した動作フローチャートで処理を行う。そして、対向システム内の経路切替装置間の通信が確立し、対向システム側の経路切替装置から、「システム内障害復旧」通知を受信した場合は、図25に示した動作フローチャートで処理を行う。そして、同一システム内の相手側の経路切替装置と、その対向システム側の経路切替装置との間で通信が確立し、相手側の経路切替装置から、「対向システム間障害復旧」通知を受信した場合は、図26及び図27に示した動作フローで処理を行う。
図18〜図27に記載の動作により、対向する2システム間で障害発生箇所がなく、全ての経路切替装置間の通信が確立できた場合、予備状態になった経路切替装置が、「命令2」を実行することによって、対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックの送受信を拒否する設定を行い、フレームが4台のスイッチングハブ間でループするのを防止する。
なお、上述した動作中に送信された「方向UP向け経路解除」通知又は「方向DW向け経路解除」通知を受信した経路切替装置の動作は後述する。
(A−2−8)対向システム間障害検出時の動作
次に、ある経路切替装置が対向システムとの間の障害発生を検出した際の動作を、図28及び図29のフローチャートを参照しながら説明する。障害発生の対向システムがUP側の対向システムとして説明するが、障害発生の対向システムがDW側の対向システムの場合にも、同様な動作を実行すれば良い。
処理対象経路切替装置の制御対象スイッチングハブが方向UPの対向システム向けポートの障害を検出し、又は、処理対象経路切替装置が方向UPの対向システムの経路切替装置と通信できないことを検出することで、対向システムとの間の障害発生を認識する(ステップ600)。このとき、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対し、「命令8」を発行して方向UP対向システム向けポートから、ユーザトラフィックを送受信することを拒否させる(ステップ601)。なお、方向UP側の対向システムの障害発生ではなく、方向DW側の対向システムの障害発生であれば、ステップ601の処理では「命令9」を発することになる。
その後、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側経路切替装置と通信が可能か否かを判別し(ステップ602)、通信が可能であれば、同一システム内の相手側経路切替装置に対し、「対向側システム間障害発生」通知を送信する(ステップ603)。
次に、処理対象経路切替装置は、障害が発生した方向UPに係る自経路切替装置の「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ604)。「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であると、さらに、その方向に係る「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ605)。
「方向UP内部状態」の属性値が「予備状態」である場合や、「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって「方向UPシステム間優先度」が「低」の場合には、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに「命令1」を実行させ、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可すると共に(ステップ606)、制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ607)、後述するステップ608の処理に移行する。
「方向UP内部状態」の属性値が「方向UPシステム間優先度」及び「予備状態」以外の場合や、「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」であって「方向UPシステム間優先度」が「高」の場合には、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ607)、後述するステップ608の処理に移行する。
なお、方向UP側の障害発生はなく、方向DW側の障害発生であれば、ステップ607の処理では「命令4」を発することになる。
ステップ608では、処理対象経路切替装置は、障害が発生した方向UPに係る自経路切替装置の「方向UP内部状態」の属性値を判別する。
「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」、「予備状態」又は「対向システム内障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に変更する(ステップ609)。続いて、処理対象経路切替装置は、障害を検出した方向側のシステム間優先度が高低のいずれであるかを判別する(ステップ616)。システム間優先度が「低」であれば、処理対象経路切替装置は、後述するステップ615に移行する。システム間優先度が「高」であれば、処理対象経路切替装置は、同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが既に伝送許可になっているか否かを判別する(ステップ617)。既に伝送許可状態になっていると、処理対象経路切替装置は、後述するステップ615に移行する。一方、伝送許可状態になっていないと、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線が確立済みか否かを判別する(ステップ618)。確立されていると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向DW向け経路解除通知を送信した後(ステップ619)、確立されていなければ、直ちに、後述するステップ615に移行する。
ステップ608によって判別した「方向UP内部状態」の属性値が「1重化状態」又は「自システム内障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「1重化障害」に変更し(ステップ610)、その後、障害発生方向の方向UPについてのシステム内回線状態(システム内回線無効又はシステム内回線有効)を判別する(ステップ611)。方向UPについてのシステム内回線状態が「有効」であると、処理対象経路切替装置はそのシステム内回線状態を「無効」に変更すると共に(ステップ612)、障害発生方向の逆方向である方向DWの経路切替装置に対し、「システム内回線無効」通知を送信し(ステップ613)、後述するステップ615に移行する。
ステップ608によって判別した「方向UP内部状態」の属性値が「相手側システム間障害」又は「対向側システム内+相手側システム間障害」である場合や、「方向UP内部状態」の属性値が「1重化状態」又は「自システム内障害」であって方向UPについてのシステム内回線状態が「無効」である場合には、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間2重障害」に変更し(ステップ614)、後述するステップ615に移行する。
ステップ615において、処理対象経路切替装置は、障害が発生した方向に係る「方向UPシステム間優先度」を「無効」に設定し、図28及び図29に示す一連の処理を終了する。
以上、ある経路切替装置が対向システムとの間の障害発生を検出した際の動作を説明したが、ある経路切替装置が対向システムとの間の障害復旧を検出した際の動作は、図28及び図29のフローチャートに示す処理と対称的な処理である。例えば、「伝送拒否」の部分を「伝送許可」、「伝送許可」の部分を「伝送拒否」に変更したり、「対向側システム間障害発生」に代えて「対向側システム間障害復旧」通知を送信したり、「方向UP内部状態」の属性値の変更前後の関係を図28及び図29のものと逆転したり、「方向UPシステム内回線状態」を逆に変更したり、「システム内回線無効」に代えて「システム内回線有効」通知を送信したり、「方向UPシステム間優先度」に「高」又は「低」を設定したりすれば良い。
(A−2−9)自システム内障害検出時の動作
次に、ある経路切替装置が自システム内の障害発生を検出した際の動作を、図30のフローチャートを参照しながら説明する。
処理対象経路切替装置の制御対象スイッチングハブが同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートの障害を検出し、又は、処理対象経路切替装置が相手側経路切替装置と通信できないことを検出することで、自システム内の障害発生を認識する(ステップ700)。このとき、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対し、「命令2」を発行して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定する(ステップ701)。
その後、処理対象経路切替装置は、方向UPの対向システムの経路切替装置と通信が可能か否かを判別し(ステップ702)、通信が可能であれば、方向UPの対向システムの経路切替装置に対し、「システム内障害発生」通知を送信する(ステップ703)。また、処理対象経路切替装置は、方向DWの対向システムの経路切替装置と通信が可能か否かを判別し(ステップ704)、通信が可能であれば、方向DWの対向システムの経路切替装置に対し、「システム内障害発生」通知を送信する(ステップ705)。
また、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」及び「方向DW内部状態」の属性値が「予備状態」であるか否かを判別し(ステップ706)、どちらの状態も「予備状態」以外であれば、制御対象スイッチングハブに「命令5」を実行させ、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ707)、後述するステップ709に移行する。一方、どちらかの状態が「予備状態」であれば、直ちに、ステップ709に移行する。
また、処理対象経路切替装置は、方向UPのシステム内回線状態(システム内回線無効又はシステム内回線有効)を判別する(ステップ709)。方向UPのシステム内回線状態が「無効」であると、方向UPの経路切替装置に対し、「システム内回線無効」通知を送信し(ステップ710)、方向UP及び方向DWのシステム間優先度を判別する(ステップ711)。方向UP及び方向DWのシステム間優先度が共に「高」の場合には、後述するステップ714に移行する。方向UP及び方向DWのシステム間優先度の一方が「高」でない場合や、方向UPのシステム内回線状態が「有効」であると、処理対象経路切替装置は、方向DWのシステム内回線状態(システム内回線無効又はシステム内回線有効)を判別する(ステップ712)。方向DWのシステム内回線状態が「無効」であると、方向DWの経路切替装置に対し、「システム内回線無効」通知を送信した後(ステップ713)、方向DWのシステム内回線状態が「有効」であると、直ちに、後述するステップ714に移行する。
ステップ714においては、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を判別する。
「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」又は「予備状態」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「自システム内障害」に変更し(ステップ715)、後述するステップ718に移行する。「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム間2重障害」又は「対向システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「1重化障害」に変更し(ステップ716)、後述するステップ718に移行する。「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」又は「対向側システム内+相手側システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「1重化状態」に変更し(ステップ717)、後述するステップ718に移行する。
ステップ718においては、処理対象経路切替装置は、「方向DW内部状態」の属性値を判別する。
「方向DW内部状態」の属性値が「能動状態」又は「予備状態」であると、処理対象経路切替装置は、「方向DW内部状態」の属性値を「自システム内障害」に変更し(ステップ719)、図30に示す一連の処理を終了する。「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム間2重障害」又は「対向システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向DW内部状態」の属性値を「1重化障害」に変更し(ステップ720)、図30に示す一連の処理を終了する。「方向DW内部状態」の属性値が「対向システム内障害」又は「対向側システム内+相手側システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向DW内部状態」の属性値を「1重化状態」に変更し(ステップ721)、図30に示す一連の処理を終了する。
以上、ある経路切替装置が自システム内の障害発生を検出した際の動作を説明したが、ある経路切替装置が自システム内の障害復旧を検出した際の動作は、図30のフローチャートに示す処理と対称的な処理であり、その詳細説明は省略する。
(A−2−10)「システム内障害発生」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が、対向システム内の経路切替装置が送信した「システム内障害発生」通知を受信した際の動作を、図31のフローチャートを参照しながら説明する。対向システム内の経路切替装置は、上述した図30のステップ703又は705の処理を実行することにより、「システム内障害発生」通知を送信する。以下では、通知の送信元が方向UPの対向システムの経路切替装置として説明する。
処理対象経路切替装置が、方向UPの対向システムの経路切替装置が送信した「システム内障害発生」通知を受信すると(ステップ800)、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ801)。
「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」又は「予備状態」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム内障害」に変更し(ステップ802)、図31に示す一連の処理を終了する。「方向UP内部状態」の属性値が「自システム内障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「1重化障害」に変更し(ステップ803)、図31に示す一連の処理を終了する。「方向UP内部状態」の属性値が「相手側システム間障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UP内部状態」の属性値を「対向側システム内+相手側システム間障害」に変更し(ステップ804)、図31に示す一連の処理を終了する。
以上、ある経路切替装置が、対向システム内の経路切替装置が送信した「システム内障害発生」通知を受信した際の動作を説明したが、ある経路切替装置が、対向システム内の経路切替装置が送信した「システム内障害復旧」通知を受信した際の動作は、上述した図24に示す通りである。
(A−2−11)「対向側システム間障害発生」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置が送信した「対向側システム間障害発生」通知を受信した際の動作を、図32のフローチャートを参照しながら説明する。同一システム内の相手側経路切替装置は、上述した図28のステップ603の処理を実行することにより、「対向側システム間障害発生」通知を送信する。以下では、障害発生に係る対向システムが方向UPの対向システムであるとして説明する。
処理対象経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置が送信した「対向側システム間障害発生」通知を受信すると(ステップ850)、自経路切替装置における、障害発生の対向システムの方向に係る「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ851)。
「方向UP内部状態」の属性値が「能動状態」であると、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブの同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが伝送許可になっているか否かを判別する(ステップ852)。伝送許可になっていると、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定し(ステップ853)、図32に示す一連の処理を終了する。一方、伝送許可になっていないと、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させると共に、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向UP向け経路解除通知を送信し(ステップ854)、図32に示す一連の処理を終了する。なお、障害発生に係る対向システムが方向UPの対向システムではなく、方向DW側の対向システムであれば、ステップ854の処理では「命令4」を発したり、方向DW向け経路解除通知を送信することになる。
「方向UP内部状態」の属性値が「予備状態」であると、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令1」を発して、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可し(ステップ855)、また、制御対象スイッチングハブに対して「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ856)、また、障害通知を受信した方向側の自システム内回線状態を「無効」に設定し(ステップ857)、さらに、「方向UP内部状態」の属性値を「相手側システム間障害」に変更し(ステップ858)、図32に示す一連の処理を終了する。なお、障害発生に係る対向システムが方向UPの対向システムではなく、方向DW側の対向システムであれば、ステップ856の処理では「命令4」を発することになる。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム間障害」であると、「方向UP内部状態」の属性値を「対向システム間障害」に変更し(ステップ859)、図32に示す一連の処理を終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向システム内障害」又は「システム内回線適用」であると、「方向UP内部状態」の属性値を「対向側システム内+相手側システム間障害」に変更し(ステップ860)、図32に示す一連の処理を終了する。
以上、ある経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置が送信した「対向側システム間障害発生」通知を受信した際の動作を説明したが、ある経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置が送信した「対向側システム間障害復旧」通知を受信した際の動作は、上述した図26及び図27に示す通りである。
(A−2−12)「システム内回線無効」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が、対向システムの経路切替装置が送信した「システム内回線無効」通知を受信した際の動作を、図33のフローチャートを参照しながら説明する。対向システムの経路切替装置は、上述した図28のステップ613、図30のステップ710又は図30のステップ713の処理を実行することにより、「システム内回線無効」通知を送信する。以下では、通知の送信元が方向UPの対向システムの経路切替装置であるとして説明する。
処理対象経路切替装置が、方向UPの対向システムの経路切替装置が送信した「システム内回線無効」通知を受信すると(ステップ900)、方向UPのシステム内回線状態を「無効」に設定し(ステップ901)、その後、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ902)。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向側システム内障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ903)。「方向UPシステム間優先度」が「低」であると、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令1」を発して、システム内の相手側スイッチングハブと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可した後(ステップ904)、後述するステップ907に移行し、「方向UPシステム間優先度」が「高」であると、後述するステップ907に直ちに移行する。
「方向UP内部状態」の属性値が「1重化状態」であると、処理対象経路切替装置は、通知を受信した方向UPの反対側の方向DWの対向システムの経路切替装置と接続済みか否かを判別する(ステップ905)。接続済みであると、処理対象経路切替装置は、方向DWの対向システムの経路切替装置に「システム内回線無効」通知を送信した後(ステップ906)、後述するステップ907に移行し、接続済みでないと、後述するステップ907に直ちに移行する。
「方向UP内部状態」の属性値が「相手側システム間障害」及び「1重化状態」以外であると、処理対象経路切替装置は、後述するステップ907に直ちに移行する。
ステップ907においては、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令3」を発して、経路情報テーブルから、「システム内回線無効」通知の送信元方向である方向UP向けのMACエントリを削除させ、図33に示す一連の処理を終了する。なお、通知の送信元方向が方向DWの場合には、ステップ907の処理では「命令4」を発することになる。
(A−2−13)「システム内回線有効」通知の受信時の動作
次に、ある経路切替装置が、対向システムの経路切替装置が送信した「システム内回線有効」通知を受信した際の動作を、図34のフローチャートを参照しながら説明する。対向システムの経路切替装置は、上述した図19のステップ226又は図25のステップ460の処理を実行することにより、「システム内回線有効」通知を送信する。以下では、通知の送信元が方向UPの対向システムの経路切替装置であるとして説明する。
処理対象経路切替装置が、方向UPの対向システムの経路切替装置が送信した「システム内回線有効」通知を受信すると(ステップ950)、方向UPのシステム内回線状態を「有効」に設定し(ステップ951)、その後、自経路切替装置における「方向UP内部状態」の属性値を判別する(ステップ952)。
「方向UP内部状態」の属性値が「対向側システム内障害」であると、処理対象経路切替装置は、「方向UPシステム間優先度」を判別する(ステップ953)。「方向UPシステム間優先度」が「低」であると、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令2」及び「命令5」を発して、同一システム内の相手側スイッチングハブとの間でユーザトラフィック送受信することを拒否設定すると共に、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させ(ステップ954、955)、図34に示す一連の処理を終了する。「方向UPシステム間優先度」が「高」であると、図34に示す一連の処理を直ちに終了する。
「方向UP内部状態」の属性値が「1重化状態」であると、処理対象経路切替装置は、通知を受信した方向UPの反対側の方向DWの対向システムの経路切替装置に「システム内回線有効」通知を送信した後(ステップ956)、処理対象経路切替装置は、制御対象スイッチングハブに対して「命令3」を発して、経路情報テーブルから、「システム内回線有効」通知の送信元方向である方向UP向けのMACエントリを削除させ(ステップ957)、図34に示す一連の処理を終了する。なお、通知の送信元方向が方向DWの場合には、ステップ957の処理では「命令4」を発することになる。
(A−2−14)経路切替装置の障害検出処理又は障害復旧処理の完了状態
ある経路切替装置の障害を検出した場合や障害復旧を検出した場合には、上述した図28〜図34、図25、図26、図27に示す処理が実行される。このような処理を通じ、隣り合う2つのシステムの経路切替装置の変更後の状態組合せは、上述した図10〜図16のいずれかの組合せとなる。
制御対象スイッチングハブが対向システム間障害発生を検出して、経路切替装置に「対向システム間障害発生」通知を送出した場合や、経路切替装置が、対向システム側経路切替装置との通信回線が確立できなくなることで、対向システム間の障害を検出した場合には、図28及び図29に示した動作フローチャートで処理を行う。障害発生箇所が、予備状態になった経路切替装置が伝送を拒否した伝送ラインと異なる場合には、予備状態である経路切替装置は、「命令1」及び「命令6」(又は「命令7」)を実行することによって、対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可し、送出経路が相手側スイッチングハブ向けポートに設定されているMACエントリを削除することによって、迂回経路の確保と高速な経路の切替を実施する。そして、障害になったポートに対しては、そのポートからユーザトラフィックを送受信することを拒否する設定を行い、経路制御テーブルに登録されたMACエントリの中から、送出経路が障害が発生している伝送ラインとなっているエントリを削除する処理を行う。
また、制御対象スイッチングハブが同一システム内向けポートで障害を検出して、経路切替装置に「システム内障害発生」通知を送出した場合や、経路切替装置が、同一システム内の相手側経路切替装置との通信が確立できなくなることで、同一システム内の障害を検出した場合は、図30に示した動作フローチャートで処理を行う。
さらに、対向システム側の経路切替装置が、同一システム内の障害を検出し、その対向システム側の経路切替装置から「対向側システム間障害発生」を受信した場合は、図28に示した動作フローチャートで処理を行う。
さらにまた、同一システム内の相手側経路切替装置が、対向するシステム間の障害を検出し、その同一システム内の相手側経路切替装置から「対向システム間障害発生」を受信した場合は、図32に示した動作フローチャートで処理を行う。
図30〜図32のいずれの動作フローチャートにおいても、障害発生箇所が、予備状態になった経路切替装置が伝送を拒否した伝送ラインと異なる場合には、予備状態である経路切替装置は「命令1」及び「命令6」(又は「命令7」)を実行することによって、対向システムと接続しているポートからユーザトラフィックを送受信することを許可し、送出経路が相手側スイッチングハブ向けポートに設定されているMACエントリを削除することによって、迂回経路の確保と高速な経路の切替を実施する。そして、障害になったポートに対しては、そのポートからユーザトラフィックを送受信することを拒否する設定を行い、経路制御テーブルに登録されたMACエントリの中から、送出経路が障害が発生している伝送ラインを指しているエントリ、又は障害箇所を経由する経路となっているエントリを削除する処理を行う。
(A−2−15)「方向UP向け経路解除」通知の受信時の動作
次に、方向DW側の対向システムの経路切替装置が送信した「方向UP向け経路解除」通知を受信した際の動作を、図35のフローチャートを参照しながら説明する。方向DW側の対向システムの経路切替装置は、図21のステップ235や図35のステップ1005を実行することにより、「方向UP向け経路解除」通知を送信する。
処理対象経路切替装置が、方向DW側の対向システムの経路切替装置が送信した「方向UP向け経路解除」通知を受信すると(ステップ1000)、同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが伝送許可状態になっているか否かを判別する(ステップ1001)。伝送許可状態になっていると、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令5」を発して、経路情報テーブルから、相手側スイッチングハブ向けのMACエントリを削除させ(ステップ1002)、図35に示す一連の処理を終了する。一方、伝送許可状態になっていないと、処理対象経路切替装置は、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令3」を発して、経路情報テーブルから、方向UP向けのMACエントリを削除させる(ステップ1003)。続いて、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線が確立済みか否かを判別する(ステップ1004)。確立されていると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向UP向け経路解除通知を送信した後(ステップ1005)、確立されていなければ、直ちに、図35に示す一連の処理を終了する。
(A−2−16)「方向DW向け経路解除」通知の受信時の動作
次に、方向DW側の対向システムの経路切替装置が送信した「方向DW向け経路解除」通知を受信した際の動作を、図36のフローチャートを参照しながら説明する。方向DW側の対向システムの経路切替装置は、図27のステップ515や図29のステップ619や図36のステップ1054を実行することにより、「方向DW向け経路解除」通知を送信する。
処理対象経路切替装置が、方向DW側の対向システムの経路切替装置が送信した「方向DW向け経路解除」通知を受信すると(ステップ1050)、配下の制御対象スイッチングハブに対し、「命令4」を発して、経路情報テーブルから、方向DW向けのMACエントリを削除させた後(ステップ1051)、同一システム内の相手側スイッチングハブ向けポートが伝送許可状態になっているか否かを判別する(ステップ1052)。伝送許可状態になっていると、処理対象経路切替装置は、図36に示す一連の処理を終了する。一方、伝送許可状態になっていないと、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置との通信回線が確立済みか否かを判別する(ステップ1053)。確立されていると、処理対象経路切替装置は、方向UP側の対向システムの経路切替装置に対し、方向DW向け経路解除通知を送信した後(ステップ1054)、確立されていなければ、直ちに、図36に示す一連の処理を終了する。
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、2台のスイッチングハブと、対応するスイッチングハブを制御する2台の経路切替装置とを有する単位システムを単位とし、この単位システムを1列に接続することで伝送システムを構築し、自システム及び対向システムの2つのシステムの状態を管理し、経路切替装置は、自システム及び対向システムの状態に応じて経路を切り替えるようにしたので、網構成の変化に柔軟に対応することができる。
また、経路の切替えを、スイッチングハブのポートの送受信の許可、拒否で行うようにしているので、経路切替え機能を持たないスイッチングハブを適用することができる。
上述した単位システムに、2重化されたスイッチングハブに複数のプレード化された演算装置を接続した構成を持つ市販製品を適用することも可能である。
また、上記実施形態によれば、対向する2システムに含まれる4つのスイッチングハブにて、障害を検出していない場合には、内部状態が予備状態である経路切替装置の制御スイッチングハブに対し、相手側スイッチングハブ向けポートに伝送拒否命令を実施することで、ユーザトラフィックのループを防ぐことが可能である。
さらに、上記実施形態によれば、対向する2システム間で障害が発生していない状態にて、経路切替装置間で障害を検出した場合、障害を検出した制御対象スイッチングハブに対して、障害が発生したポートに対する伝送拒否を行い、代わりに、予備状態である経路切替装置が、伝送を拒否しているポートの伝送を許可することによって迂回ルートを確立し、各経路切替装置にて、経路制御テーブルから、障害が発生した箇所に向いているMACエントリを削除することで高速な経路の切り替えを行うことができる。
さらにまた、上記実施形態によれば、各経路切替装置が、「内部状態」属性によって、4台の経路切替装置間での障害有無と障害発生箇所の把握が可能であるため、各経路切替装置が自律して障害がない場合のフレームのループの回避や障害時の経路の切替えを行うことができる。
(B)他の実施形態
上記実施形態においては、あるポートに入力されたユーザトラフィックをその宛先に係るポートから出力させるスイッチ(交換装置)がスイッチングハブであるものを示したが、スイッチはスイッチングハブに限定されない。従って、本発明に係る伝送システムも、LANに限定されるものではない。
また、経路切替装置(やスイッチングハブ)の起動時において、2つのシステムの4つの経路切替装置の状態が、障害の有無や、障害発生箇所に応じた、図10〜図16に示すいずれかになるものであれば、そのような状態にする処理の流れは、図18〜図27に示すものに限定されない。障害発生時や障害復旧時において状態を変化させる処理の流れも、図28〜図34、図25、図26、図27に示すものに限定されない。