JP5347215B2 - 光学スクリーンおよびプロジェクション式画像表示システム - Google Patents

光学スクリーンおよびプロジェクション式画像表示システム Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示素子、高輝度CRT素子等からの表示光を投影する光学スクリーンに関する。
大画面化の要求やハイビジョン技術の開発に伴い、液晶プロジェクターや高輝度CRTからの映像をスクリーンに投影するプロジェクション方式の映像表示装置が普及しつつある。プロジェクション方式には、前面からスクリーンに映像を投影するフロントプロジェクション方式と背面からスクリーンに映像を投影するリアプロジェクション方式が知られている。直視型の大型液晶テレビに比べて比較的低コストで大型化が可能であることから、リアプロジェクション方式のテレビが人気を集めている。
しかし、プロジェクション方式、特にリアプロジェクション方式の表示装置では、スクリーンの光散乱効果が不十分であると直進光の部分が光るホットスポットが問題になる。一般に、スクリーンに対して垂直方向の明るさが最も大きく、視認方向とスクリーンに対する垂線とがなす視角が大きくなる程明るさが低下するが、視角の変化による明るさの変化が著しいとホットスポットが観察される。
これを解決するために、微粒子を透明樹脂に拡散させた光拡散層を有するスクリーンが提案されている(特許文献1、2、3参照)。例えば特許文献1(特開2004−93848号公報)には、透光性樹脂と光拡散性微粒子の屈折率比を1:0.7〜1、屈折率差は0〜0.2、光拡散性微粒子の平均粒子径を1〜30μmとした光拡散層を有するスクリーンが記載されている。特許文献2(特開2005−17918号公報)にも、透光性樹脂と光拡散性微粒子の屈折率差を利用したスクリーンが記載されている。さらに特許文献3(特開2006−84586号公報)には、光拡散粒子として、表面に凹凸がある粒子または多孔性粒子を用いることが記載されている(段落0029)。
しかし、これまでの粒子を分散したスクリーンでは、散乱の基本原理がMie散乱に基づくため、媒体との屈折率差および粒子の大きさ等の影響を大きく受けるものであった。また、Mie散乱では本質的に前方散乱が大きいため、満足できるまでホットスポットを解消することは困難であった。
特開2004−93848号公報 特開2005−17918号公報 特開2006−84586号公報
本発明は、光拡散性に優れ、ホットスポットの発生を低減することができるスクリーンを提供することを目的とする。
本発明は、単一粒子そのものが球晶構造を有し、数平均粒子径1〜30μmであり、BET比表面積0.1〜80m /gを有する多孔質の微粒子を含有する光拡散層を有することを特徴とする光学スクリーンに関する。さらに本発明の異なる態様は、この光学スクリーンを備えるプロジェクション式画像表示システムに関する。
本発明では、微粒子が球晶構造を有しているため、光の散乱が単純に粒子の内部と外部の界面における屈折率差に基づく反射・屈折だけによるのではなく、粒子内に入射した光が、球晶構造に基づいて導波され、あるいは反射されることにより散乱が生じると考えられる。例えば粒子内部に入った光は、放射方向に光路が大きくねじ曲げられて導波されたり、放射状に分散されたりしていると考えられる。このため、従来の微粒子を用いたスクリーンとは異なり、前方散乱が比較的小さく、光拡散性が高いと推定される。
さらに、本発明で使用される粒子が、多孔質である場合には、粒子の内部と外部の屈折率差に基づく散乱もさらに期待できるため、散乱がより大きくなっていると推定される。
従って、本発明によれば、光拡散性に優れ、ホットスポットの発生を低減することができるスクリーンを提供することができる。
本発明の光スクリーンは、単一粒子そのものが球晶構造を有し、数平均粒子径1〜30μmの粒子を含有する。「単一粒子そのものが球晶構造」であるとは、一つの単独粒子の中心付近の単数または複数のコアから高分子フィブリルが3次元的等方あるいは放射状に成長して形成した結晶性高分子特有の球晶構造であることを意味する。
本発明では、使用する微粒子が、球晶構造を有するものであれば本発明の散乱効果が得られる。さらに、微粒子が多孔質粒子である場合には、表面積が大きく、粒子の内部と外部との界面が増大するので、界面での屈折率差による散乱を重畳して利用することができる。多孔質粒子である場合には、BET比表面積が0.1〜80m/gであるものが好ましい。
本発明で使用する微粒子の材料としては、結晶が球晶構造に発達しうる高分子材料であれば特に限定されないが、結晶化度として好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上まで結晶化が可能な高分子材料が好ましく使用される。また、微粒子の製造方法としては、球晶を発達させながら微粒子を形成できる方法であれば特に限定はなく、例えば高分子材料の溶液から、球晶を発達させながら粒子を析出させる方法等が挙げられる。この溶液からの析出方法では、多孔質粒子を成長させることができる。
以下に、多孔質粒子を製造する場合を説明する。多孔質粒子として、ポリアミド多孔質粒子を例に説明するが、ここで説明する微粒子の形状、粒子径、比表面積、細孔径等の粒子の物理的形態を表す指標に関しては、ポリアミド以外の微粒子の場合にも適用される。
多孔質粒子を構成するポリアミドとしては、公知の種々のものを挙げることができる。例えば、環状アミドの開環重合、あるいはジカルボン酸とジアミンの重縮合で得られる。モノマーとしては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等の環状アミドを開環重合して得られる結晶性ポリアミド、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノドデカン酸、ω−アミノウンデカン酸などのアミノ酸の重縮合、または蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などのジカルボン酸および誘導体とエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、m−キシリレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、デカメチレンジアミンなどのジアミンを重縮合して得られるものなどである。
前記ポリアミドは、単独重合体及びこれらの共重合体からなるポリアミドまたはその誘導体である。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド610、ポリアミド66/6T(Tはテレフタル酸成分を表す)などである。また上記ポリアミドの混合物であってもよい。特に好ましくは,ポリアミド6、ポリアミド66が好ましい。
ポリアミドの分子量は、2,000〜100,000である。好ましくは5,000〜40,000である。
ポリアミド多孔質粒子は、球状、略球状、勾玉(C型)形状、もしくはダンベル形状の単体もしくは混合物であるが、その70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上が一種類の粒子形状で構成された均一な粒子であることが望ましい。70重量%より少ないと、粉体材料としての流動性が劣るなど好ましくないことがある。
ポリアミド多孔質粒子は、数平均粒子径が1〜30μmである。数平均粒子径が1μmより小さいと取り扱い操作が悪くなる。また数平均粒子径が30μmより大きいと単位面積辺りの粒子の個数が減少するために散乱のムラが出やすくなり、投影画像が粗い印象となる場合がある。
ポリアミド多孔質粒子のBET比表面積は、0.1〜80m/gである。好ましくは、1〜50m/gである。比表面積が0.1m/gより小さいと透明樹脂に分散した時の接着性が劣る場合がある。また比表面積が80m/gより大きくなると取り扱いにくい。
ポリアミド多孔質粒子の平均細孔径は、0.01〜0.8μmであることが好ましい。平均細孔径が0.01μmより小さいと、透明樹脂に分散した時の接着性が劣る場合がある。また、平均細孔径が0.8μmより大きければ、取り扱いにくいので好ましくない。
ポリアミド多孔質粒子の多孔度指数(RI)は、5〜100が好ましい。ここで多孔度指数(RI)とは、同じ直径の平滑な球状粒子の比表面積に対し、多孔質の球状粒子の比表面積の比で表示したものと定義する。次式で表せる。多孔度指数が5より小さければ、透明樹脂に分散した時の接着性が劣る場合がある。多孔度が100より大きいと、取り扱いづらくなる。
ここで、RI;多孔度指数、S;多孔質粒子の比表面積[m/kg]、S;同一粒子径の円滑な球状粒子の比表面積[m/kg]である。Sは、次式に従って求めることができる。すなわち、観測された数平均球状粒子径dobs[m]、ポリアミドの密度ρ[kg/m]とすると、円滑な球の比表面積Sは次式で表すことができる。
ポリアミドがポリアミド6の場合、結晶相の密度を1230kg/m、非晶相の密度を1100kg/mとした。
ポリアミド多孔質粒子は結晶性であって、融点が110〜320℃である。好ましくは、140〜280℃である。融点が110℃より低くなると、熱安定性が低くなる。
さらに、本発明で使用されるポリアミド多孔質粒子は、DSCで測定された結晶化度が40%以上であることが好ましい。ポリアミドの結晶化度は、X線解析より求める方法、DSC測定法により求める方法、密度から求める方法があるが、DSC測定法により求める方法が好適である。普通溶融物から結晶化させたポリアミドの結晶化度は高いものでせいぜい20%程度である。本発明のポリアミドは結晶化度が40%より高いことが好ましい。結晶化度が低く球晶の完成度が低いと、微粒子の光拡散性が低下する。
ポリアミドの結晶化度は、R.Viewegら、kunststoffeIVpolyamide、218頁、CarlHangerVerlag、1966年の記載により、ポリアミド6の融解熱は45cal/gとして算出した。結晶化度は次の式から算出される。
χ;結晶化度(%)
ΔHobs;サンプルの融解熱(cal/g)
ΔH;ポリアミドの融解熱(cal/g)
ポリアミド多孔質粒子は、粒子径分布において、数平均粒子径(または数基準平均粒子径)に対する体積平均粒子径(または体積基準平均粒子径)の比が1〜2.5であることが好ましい。数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比(粒度分布指数PDI)が2.5より大きいと、粉体としての取り扱いが悪くなる。
粒子径分布指数は次式で表される。
数平均粒子径:
体積平均粒子径:
粒子径分布指数:
ここで、Xi;個々の粒子径、nは測定数である。
本発明のポリアミド多孔質粒子は、例えば、主にポリアミドとポリアミドの良溶媒からなる溶液(A)と、ポリアミドに特定の非溶媒(B)とを混合して、均一な溶液を形成させた後、析出させることにより製造される。
本発明におけるポリアミドの良溶媒としては、フェノール化合物または蟻酸が好ましい。フェノール化合物としては、具体的には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、クレゾール酸、クロロフェノール等が好ましい。これらは、室温、または温度30〜90℃の加熱により、結晶性ポリアミドを溶解する、または、溶解を促進するから好ましい。特に、好ましくは、フェノールである。フェノールは、他の溶媒よりも毒性が少なく、作業上安全である。また、得られた多孔質微粒子から留去しやすいから都合がよい。
ポリアミド溶液(A)には、凝固点降下剤を添加しても良い。凝固点降下剤としては、ポリアミド溶液中のポリアミドを析出させない範囲であれば、ポリアミドの非溶媒を用いることができる。凝固点降下剤の例としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、およびジグリセリンを挙げることができる。
ポリアミド溶液(A)中のポリアミド濃度は、好ましくは0.1〜30重量%の範囲、更に好ましくは0.2〜25重量%の範囲である。ポリアミド溶液中でポリアミドの割合が30重量%を越えると、溶解しにくくなったり、均一な溶液にならないことがある。また、溶解しても溶液の粘度が高くなり、扱いにくくなるので好ましくない。ポリアミドの割合が0.1重量%より低くなると、ポリマー濃度が低く、製品の生産性が低くなるので好ましくない。
本発明のポリアミドの非溶媒(B)は、ポリアミド溶液(A)の良溶媒と少なくとも部分的に相容するものが好ましい。非溶媒(B)の例としては、水およびポリアミド不溶性有機溶媒から成る群から選ばれる化合物を挙げることができる。非溶媒(B)は、二種以上の溶媒の混合物でも良い。非溶媒(B)は、液温25℃においてポリアミド溶液中のポリアミドを0.01重量%以上溶解することの無いものであることが好ましい。
ポリアミド不溶性有機溶剤の例としては、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのアルキレングリコールを挙げることができる。
ポリアミド不溶性有機溶媒の他の例としては、一価および三価アルコールを挙げることができる。一価アルコールは、炭素数1〜6の一価アルコールであることが望ましい。直鎖でもまた分岐を有していても良い。一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、を挙げることができる。3価アルコールとしてはグリセリンを挙げることができる。また、ケトンとして、アセトンを挙げることができる。
ポリアミドがポリアミド6の場合は、非溶媒(B)は水とポリアミド不溶性溶媒(好ましくは一価アルコール)とを含む混合物であることが好ましい。ポリアミドがポリアミド12である場合は、非溶媒(B)はアルキレングリコールとアルキレングリコール以外のポリアミド不溶性有機溶媒(好ましくは三価アルコール)とを含む混合物であることが好ましい。
多孔質ポリアミド微粒子を作製するためには、溶液(A)と非溶媒(B)とを混合して一時的に均一な混合溶液を形成し、その後静置する方法が利用でき、この操作により多孔質ポリアミド粒子が析出する。多孔質ポリアミド粒子を析出させる際の混合溶液の液温は、0℃〜80℃の範囲が好ましく、20℃〜40℃の範囲が特に好ましい。
ポリアミド溶液(A)とポリアミドの非溶媒(B)との混合溶液には、析出したポリアミド粒子の凝集を防止する目的で増粘剤を加えて混合溶液の粘度を高めても良い。増粘剤の例としては、数平均分子量1000以上(特に1100から5000の範囲)のポリアルキレングリコールを挙げる事ができる。ポリアルキレングリコールの例としては、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを挙げる事ができる。増粘剤の添加方法としては、ポリアミド溶液および非溶媒Bとを混合するのと同時に増粘剤を添加する方法、もしくは調整直後の混合溶液に増粘剤を添加する方法のいずれかの方法であってもよい。ポリアルキレングリコールは二種以上を併用できる。
ポリアミド溶液と非溶媒との添加順序は、溶液の均一性が保たれれば、特に制限はない。
本発明においては、作製したポリアミド多孔質微粒子は、デカンテーション、ろ過あるいは遠心分離などの方法で固液分離させることができる。
本発明においては、作製したポリアミド多孔質微粒子は、ポリアミド溶液(A)の良溶媒と40℃以上の温度で相溶するポリアミド非溶媒を40℃以上の温度にて接触させることによって、(A)の良溶媒をポリアミド多孔質微粒子から抽出除去することができる。
ポリアミド溶液(A)の良溶媒を抽出除去するのに用いるポリアミド非溶媒の例として、脂肪族アルコール、脂肪族もしくは芳香族ケトン、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素、および水からなる群より選ばれる化合物を挙げる事ができる。この非溶媒は、2種類以上の混合物でも良く、液温が40℃でポリアミドを0.01重量%以上溶解することがないものであることが好ましい。
脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、および2−プロパノールなどの炭素原子数が1〜3の1価の脂肪族アルコールを挙げる事ができる。
脂肪族ケトンの例としては、アセトン、およびメチルエチルケトンを挙げる事ができる。芳香族ケトンの例としては、アセトフェノン、プロピオフェノン、およびブチロフェノンを挙げる事ができる。
芳香族炭化水素の例としては、トルエンおよびキシレンを挙げる事ができる。脂肪族炭化水素の例としては、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、およびn−デカンを挙げる事ができる。
本発明の光学スクリーンは、以上のような微粒子を含有する光拡散層を有する。光拡散層は、微粒子と共に、微粒子を層として保持するためのバインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂は、微粒子と微粒子の間の空間を充填していてもよいし、あるいは層として保持できる程度に部分的に微粒子同士を結合し微粒子間に空隙があってもよい。バインダー樹脂は、透明性樹脂であることが好ましい。また、微粒子が多孔質であるときは、粒子の細孔内にも透明性樹脂が入り込んでいる方が好ましい。光拡散層の代表的な態様としては、(a)透明性樹脂をバインダー樹脂として用いて、微粒子を透明性樹脂中に分散させたものを板状又はフィルム状に成形した態様、(b)微粒子とバインダー樹脂を塗膜として基板上に形成した態様、(c)微粒子を基板にバインダー樹脂により接着した態様等が挙げられる。
上記(a)の微粒子を透明性樹脂に分散させたものを板状又はフィルム状に成形した態様においては、光拡散層自体が自己支持性を有する場合には、そのまま光学スクリーンとすることができる。あるいは必要により透明性支持基板(特にリアプロジェクション用)と貼り合わせて一体化してもよい。透明性支持基板上で、光拡散層を板状に成形して一体化してもよい。フロントプロジェクション用途に使用する場合には、光拡散層を反射面を有する基板または層と組み合わせることが好ましい。
微粒子を分散させる透明性樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。透明性樹脂は、散乱を大きくさせるために、微粒子と屈折率が異なる材料であることが好ましい。微粒子の配合割合は透明性樹脂と微粒子の合計に対して、0.1〜60重量%が好ましい。
また、上記(b)の微粒子を含む塗膜を基板上に形成する態様では、微粒子を透明性樹脂(透明性塗料)に混合分散し、透明性基板(特にリアプロジェクション用)の表面にスプレー法、ディッピング法、カーテンフロー法、ロールコーター法、印刷法等の手段を用いて塗布し、紫外線照射又は加熱で硬化させる方法が用いられる。透明性塗料に用いられるバインダーとしては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
透明性基板としては、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の透明性樹脂板が使用できる他、ガラス板のような無機質透明板の採用も可能である。この態様の拡散層をフロントプロジェクション用途に使用する場合には、透明性基板の代わりに反射面を有する基板を用いてもよいし、または反射面を有する基板をさらに付加してもよい。
光拡散層を形成するのに、上記(c)の態様のように微粒子を直接基板にバインダー樹脂(公知の接着剤等)で接着してもよい。基板としては、リアプロジェクション用としては透明性基板、フロントプロジェクション用としては反射面を有する基板を使用することが好ましい。
光拡散層の表面は、粒子形状が表れた凹凸形状があっても良いし、平滑であってもよい。また、本発明の光スクリーンでは、光拡散層の外側表面に、透明基材を保護膜として貼り合わせてもよい。使用される透明基材としては、透明であれば特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、メタアクリル樹脂、PET樹脂、ポリスチレン樹脂、または透明ガラス等が挙げられる。また、これらの透明基材には、反射防止処理、および/または妨眩処理、および/またはハードコート処理が施されていてもよい。
さらに、本発明のプロジェクション式画像表示システムは、本発明の光学スクリーンと、公知のプロジェクターを組み合わせて構成することができる。例えば高輝度光源と液晶パネルを組み合わせた液晶プロジェクターや高輝度CRTと、本発明の光学スクリーンを組み合わせてリアプロジェクション方式のテレビの表示システムを構成することができる。
以下、実施例について説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、微粒子の物性(粒子径、比表面積、平均細孔径、結晶化度など)の測定は次のように行った。
(平均粒子径、粒度分布指数)
乾燥させたポリアミド粒子を走査型電子顕微鏡にて撮影し、粒子100個の直径を計測して平均を求め、数平均粒子径を算出した。また、体積平均粒子径および粒子径分布指数を前述から計算して求めた。
(細孔径分布)
水銀ポロシメーターで測定した。測定範囲は0.0034〜400μmで測定した。平均細孔径を求めた。
(比表面積・多孔度指数)
ポリアミド粒子の比表面積は、窒素吸着によるBET法で3点測定によりおこなった。この値から、前に述べた式に従って多孔度指数を求めた。
(結晶化度)
ポリアミドの結晶化度は、DSC(示差走査熱量計)で測定した。前に述べた方法で行った。
(光散乱特性)
カラーテクノシステム社製変角測色分光システムを用いて、各試料の透過光の散乱角依存性を測定した。
〔多孔質粒子の製造〕
フェノールとメタノールとを質量比で9:1の割合で含む溶液に、ポリアミド6(分子量13,000)を加えて溶解させポリアミド6濃度5質量%のポリアミド6溶液を調製した。このナイロン溶液に、メタノールと水とを7:0.5の混合比で混合した混合液を添加した。温度は室温で行った。24時間静置して、ポリマー粒子を析出させた。その後遠心分離でポリマーを単離した後、50℃のメタノールを微粒子の100倍量かけながら遠心分離脱水を行い、粒子の洗浄を行なった。得られたポリマー粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、数平均粒子径10.01μm、体積平均粒子径13.76μmの比較的均一な球形の多孔質粒子であった。また、平均細孔径0.05681μm、PDI1.36、比表面積21.4m/g、多孔度指数RI42.1、ポリマー粒子の結晶化度56%であった。この多孔質粒子は図1、図2及び図3に示すように、中心の単一または複数の核から3次元的に放射状にナイロンフィブリルが成長し、単一粒子そのものが球晶構造を有していることがわかった。
<実施例1>
上記のポリアミド多孔質粒子5重量部を、アクリル系バインダー(新興プラスチックス社製、アクリルダインC)をその溶媒であるトルエンで1.5倍に希釈した溶液95重量部と混合攪拌した後、キャスト法にてガラス基板上に塗布し、乾燥させた試料を作成した。得られた試料について透過光の散乱角依存性を測定した結果を図4に示す。この測定より、実施例1で作成した試料をスクリーンとすると、多孔質粒子を使用しないブランク試料および後述する比較例1の試料をスクリーンとする場合にくらべて、光の拡散性に優れていることがわかる。
<実施例2>
メタクリル酸メチルモノマー99.46重量部に、ラジカル重合開始剤として2−2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.34重量部、連鎖移動剤として1−ドデカンチオール(n−ラウリルメルカプタン)(n−LM)0.20重量部を加えた後、上記のポリアミド多孔質粒子0.5重量部を添加、撹拌し、熱重合することで、ポリアミド多孔質粒子が均一に分散された、厚さ約1mmの板状の試料を作成した。得られた試料について透過光の散乱角依存性を測定した結果を図5に示す。この測定より、実施例2で作成した試料をスクリーンとすると、後述する比較例2の試料をスクリーンとする場合にくらべて、光の拡散性に優れていることがわかる。
<比較例1>
公知の製法で得たポリアミド12の真球状粒子を用いた他は、実施例1と同様にして試料を作成した。この真球状ナイロン微粒子は図6及び図7に示すように、中心に明確な核もなく、放射状にナイロンが成長した痕跡が見られず、単一粒子そのものが球晶構造を有していないものであった。得られた試料について透過光の散乱角依存性を測定した結果を図4に示す。
<比較例2>
比較例1と同じ公知の製法で得たポリアミド12の真球状粒子を用いた他は、実施例2と同様にして試料を作成した。得られた試料について透過光の散乱角依存性を測定した結果を図5に示す。
<ホットスポットの観察実験>
実施例2および比較例2で作成した試料をスクリーンとして、その背面よりレーザー光を照射し、試料スクリーンからの透過光をその前面においた白色スクリーンに投影し、その投影像を目視により観察した。図9に示すように、比較例2では、光軸の中央付近が強く明るくなっているのに対し、図8に示すように、実施例2では、中央付近の明るさが低下し、かつ周辺まで明るくなっており、ホットスポットが明確に低減されていることがわかった。
本発明の実施例1で得られた多孔質粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で得られた多孔質粒子の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で得られた多孔質粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1及び比較例1で得られた試料の透過光の散乱角依存性を測定した結果を示す図である。 実施例2及び比較例2で得られた試料の透過光の散乱角依存性を測定した結果を示す図である。 比較例1で得られた真球状粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた真球状粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製した試料をスクリーンとして、ホットスポットの発生を観察した写真である。 比較例2で作製した試料をスクリーンとして、ホットスポットの発生を観察した写真である。

Claims (10)

  1. 単一粒子そのものが球晶構造を有し、数平均粒子径1〜30μmであり、BET比表面積0.1〜80m /gを有する多孔質の微粒子を含有する光拡散層を有することを特徴とする光学スクリーン。
  2. 前記光拡散層が、前記微粒子とバインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の光学スクリーン。
  3. 前記微粒子が、前記バインダー樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項2記載の光学スクリーン。
  4. 前記光拡散層を支持する基板を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学スクリーン。
  5. 前記微粒子が、球晶構造を有するポリアミド粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の光学スクリーン。
  6. 前記微粒子の平均細孔径が0.01〜0.8μmである請求項1〜5のいずれかに記載の光学スクリーン。
  7. 前記微粒子の多孔度指数が5〜100である請求項1〜6のいずれかに記載の光学スクリーン。
  8. 前記微粒子のDSCで測定された結晶化度が40%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の光学スクリーン。
  9. 前記微粒子の数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1〜2.5である請求項1〜8のいずれかに記載の光学スクリーン。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の光学スクリーンを備えるプロジェクション式画像表示システム。
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