以下、本発明に係る実施の形態の例につき、適宜図面に基づいて説明する。なお、当該形態は、下記の例に限定されない。
[第1形態]
図1は第1形態に係る空調システム1の模式図であって、空調システム1は、ここでは図示しない自動車の塗装工場に用いられる。空調システム1は、自動車の各種塗装ブースに対し、基エアとしての外気(フレッシュエア)を、図示しない各ダクトを介して供給するためのブース空調の基に設置されている。なお、塗装の対象物(ワーク)としては、自動車のボディー・パーツ(バンパー・サイドパネル・ホイールキャップ等)や、電気機器、通信機器、建材、レジャー分野ないしこれらの部品等とすることができる。又、空調システム1は、これらのワークに係る塗装ブース空調に用いられる他、電子工場や医薬品製造工場等のクリーンルームに係る空調に用いられて良い。
空調システム1は、外気Aを取り込んでブース空調として調整したエアBを送風する空調装置としての外調機2と、外調機2に接続された排熱回収型のヒートポンプ4とを有する。
外調機2は、基エア取込口としての外気取込口10と、外気取込口10側から順に配置されるプレヒーター12・ワッシャー14・冷却コイル16・レヒータ18と、ブロワ20とを備えている。プレヒーター12は、外気取込口10から取り込まれた外気Aを適宜予め加熱(プレヒート)する。ワッシャー14は、プレヒーター12を通過した外気Aに水を適宜吹き付け、埃を除去すると共に外気Aの冷却・加湿をする。冷却手段としての冷却コイル16は、ワッシャー14を通過した外気Aに冷熱を及ぼし、外気Aを適宜冷却・除湿する。加熱手段としてのレヒータ18は、冷却コイル16を通過した外気Aに適宜熱を及ぼして再度の加熱(レヒート)をし、外気Aを調整されたエアBとしてブロワ20に供給する。
ヒートポンプ4は、冷却コイル16へ冷却媒体(冷媒(気体)でも冷水でも良い)を送る冷却側供給パイプ30と、冷却コイル16から冷却媒体を回収する冷却側戻りパイプ32と、レヒータ18へ加熱媒体(冷媒(気体)でも温水でも良い)を送る加熱側供給パイプ34(図中一点鎖線)と、レヒータ18から加熱媒体を回収する加熱側戻りパイプ36(図中一点鎖線)とを有する。なお、各種パイプには、図示しない熱交換機やタンク、あるいは流量調節弁ないしポンプ(流量調節手段,負荷調節手段,加熱負荷調節手段,冷却負荷調節手段となりうる)が1個ないし複数個介装されることがある。又、各種パイプにつき途中で分岐ないし集合させる等、パイプの配置等を適宜変更して良い。
ヒートポンプ4は、レヒータ18へ供給する加熱媒体と冷却コイル16へ供給する冷却媒体とにつき一括して生成する。ヒートポンプ4は、冷熱(冷却媒体)を生成しながら、その際発生する排熱を利用して温熱(加熱媒体)を同時に生成し、それぞれ外部に供給するものであり、ここでは7度(摂氏、以下同様)〜30度程度の冷水と70度程度の温水を同時に供給可能である株式会社神戸製鋼所製「ハイエフミニHR」を用いる。ヒートポンプ4は、温冷水が同時に供給される特性上、温冷水のバランスをとる必要があり、高温熱を多量に取り出すには、高温熱が十分に対象へ吸収されて戻り、又冷熱も多量に取り出された上で十分に熱を受けて戻る必要がある。なお、ヒートポンプ4として、最高95度の温水を供給可能であるもの等を用いても良い。
そして、空調システム1は、ここではボディーのプレスや溶接等も併せて行う工場に設置されている。当該工場からは、工場に属する熱(排熱)として、コンプレッサーの冷却水やスポット溶接機の冷却水、あるいはコージェネレーションシステムの冷却水といった排温水Xが拠出される。即ち、空調システム1は、冷却側加熱媒体としての排温水Xを生ずる工場に設置されている。なお、上記に例示した塗装対象(ワーク)を含め、一般にブース空調(調温調湿された空調)を行うのは他の機器も設置された排温水Xの存在する工場である。
更に、空調システム1における冷却側戻りパイプ32には、冷却媒体加熱機としての熱交換機40が設置され、この熱交換機40には、冷却媒体加熱用媒体としての排温水Xを導入する熱交換導入パイプ42と、熱交換後の排温水Xを導出する熱交換導出パイプ44とが接続されている。熱交換機40により、排温水Xの熱と冷熱(冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体の熱)とが交換される。熱交換導入パイプ42ないし熱交換導出パイプ44には、冷却側加熱媒体熱交換量調節手段に属する流量調節手段としての流量調節弁46が設けられる。なお、流量調節弁46を、冷却側供給パイプ30等に設置しても良い。又、流量調節手段として、流量調節弁46の他、吐出量を調整するインバーターポンプ、あるいはこれらの組合せ等を採用しても良い。更に、冷却側加熱媒体熱交換量調節手段として、熱交換機40に入る冷却媒体の流量を調節する手段を採用したり、吸熱機や放熱器を介装する手段を採用したり、これらの組合せを採用したりすることができる。加えて、排温水Xに代えて、排気・排ガス・補給水、機器の放熱、ワークの放熱、空調(ここではブース空調ではなく従業員のための工場空調)の排熱(冷水戻り)、あるいは排温水Xを含むこれらの任意の組合せとし、これらと冷却媒体とで熱交換をすることができる。
又、空調システム1では、冷却側供給パイプ30と冷却側戻りパイプ32との間において、冷却媒体供給流量調節手段としての冷熱供給量調節弁48が介装されている。冷熱供給量調節弁48は、冷却側供給パイプ30内の冷却媒体の一部を冷却側戻りパイプ32に送り、他の一部を冷却コイル16に送ることで、冷却コイル16への冷熱の量を調整し、冷却コイル16を通過する外気Aの冷却・除湿度合を調節する。冷熱供給量調節弁48は、自動制御装置により制御される。冷却側戻りパイプ32には、自動制御装置と電気的に接続された図示しない温度センサ(冷熱温度センサ)が設けられており、当該温度センサは、冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体の温度(冷却媒体温度,冷熱戻り温度)を把握して、自動制御装置に送信することができるようになっている。なお、冷却媒体供給流量調節手段も、流量調節手段と同様に変更することができ、あるいは冷却コイル16の代わりにワッシャを用いるタイプ等外調機の方式によっては省略することができる。又、冷却媒体温度として、冷熱戻り温度とすると動作が極めて円滑となるものの、冷却側供給パイプ30内の冷水温度である冷熱往き温度を採用したり、冷水タンクを設けた場合のタンク内の冷水温度を採用したりしても良く、センサについても設置箇所を同様に変更することができる。
加えて、空調システム1では、加熱側供給パイプ34と加熱側戻りパイプ36との間において、加熱媒体供給流量調節手段としての温熱供給量調節弁49が介装されている。温熱供給量調節弁49は、加熱側供給パイプ34内の加熱媒体の一部を加熱側戻りパイプ36に送り、他の一部をレヒータ18等に送ることで、レヒータ18等への温熱の量を調整し、レヒータ18等を通過する外気Aの熱量を調節する。温熱供給量調節弁49は、自動制御装置により制御される。加熱側戻りパイプ36には、自動制御装置と電気的に接続された図示しない温度センサが設けられており、当該温度センサは、加熱側戻りパイプ36内の加熱媒体の温度(温熱戻り温度)を把握して、自動制御装置に送信することができるようになっている。なお、加熱媒体供給流量調節手段も、流量調節手段と同様に変更することができる。又、後述の通りヒートポンプ4は基本的に温熱に追従して運転されるが、温熱供給量調節弁49において加熱量を微調整する。温熱供給量調節弁49は、レヒータ18の代わりにワッシャを用いるタイプ等外調機の方式によっては省略することができる。
このような空調システム1は、次に説明するように動作する。
自動制御装置は、夏季や春及び秋の中間季における雨天等であり、温熱負荷と共に冷熱負荷も十分にかかり、温熱負荷に対して冷熱負荷のバランスがとり易い場合には、排温水Xとの熱交換による冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体の加温の量を比較的に少なくする。
例えば、レヒータ18の加温負荷(加熱負荷・温熱負荷)が併せて800kW(キロワット)であると共に、冷却コイル16の冷却負荷(冷熱負荷)が300kWである場合、自動制御装置は、ヒートポンプ4に200kWの電気入力Vをして、温熱に追従するよう温熱800kWを供給させる。温熱800kWは加熱側供給パイプ34を通じレヒータ18に供給され、外気Aの加熱に用いられる。又、ヒートポンプ4は、温熱の供給に伴い冷熱600kWを供給する。この冷熱600kWは冷却側供給パイプ30を通じ冷却コイル16に供給され、冷却コイル16を通過する外気Aについて300kWの冷熱により十分に冷却するが、なお300kWの冷却が可能な状態で冷却側戻りパイプ32に入る。自動制御装置は流量調節弁46(ないし冷熱供給量調節弁48)を制御して、300kWの排温水Xが熱交換機40に至るようにし、この排温水Xに係る加熱(熱交換)によりヒートポンプ4に戻ろうとする冷熱300kWを奪って、温熱に追従しても冷熱とのバランスをとることができるようにする。温熱と冷熱とがバランスすることで、ヒートポンプ4の運転の継続が可能となる。
一方、自動制御装置は、中間季や冬季等であり、温熱負荷に対して冷熱負荷が少ない場合、自動制御装置はやはりヒートポンプ4を温熱に追従させた状態で運転して冷熱も供給させるが、冷熱負荷が少なくヒートポンプ4に循環しようとする冷熱が増加する分だけ排温水Xによる加熱量を増やし、温熱と冷熱とのバランスが保持されるようにする。即ち、ヒートポンプ4が比較的に大きい温熱負荷に追従する運転をするために冷熱負荷より多い冷熱を有する冷熱を供給し、冷却コイル16において十分に冷熱が使用されないままヒートポンプ4に戻ろうとする冷熱に対して、排温水Xによる温熱との熱交換が熱交換機40において行われ、比較的多く使用される温熱に対して冷熱をバランスさせることが可能となる。
例えば、温熱負荷800kWに対し、冷熱負荷が100kWに減少した場合、自動制御装置は、ヒートポンプ4につき温熱負荷に追従するように温熱800kWを供給させ、冷熱600kWを生成させるが、冷熱は冷却コイル16において100kWしか使用されず、バランスの観点からは500kW余剰する。そこで、自動制御装置は、流量調節弁46を制御し、排温水Xによる加熱量を500kWに増加して、残った500kWの冷熱を解消し、温熱に対する冷熱のバランスを確保する。なお、ヒートポンプ4における図示しない冷水ヘッダーや、冷却側戻りパイプ32に介装された冷却媒体タンク、冷熱供給量調節弁48における戻り冷却媒体(冷却側戻りパイプ32へのパイプ)ないしこれらの組合せにつき、排温水Xで加熱するようにして良い。
即ち、加熱負荷や冷熱負荷の変動(季節の変動、外気の温度・湿度等の状態変化による変動)には、ヒートポンプ4や流量調節弁46の調整によって対処する。これらの調整は、冷却側戻りパイプ32のヒートポンプ4接続部付近の温度(冷熱戻り温度)を検知するセンサや、加熱側戻りパイプ36のヒートポンプ4接続部付近の温度(温熱戻り温度)を把握するセンサと接続された図示しない自動制御装置により自動的に行われる。自動制御装置は、温熱負荷を基準としてこれに追従するようにヒートポンプを運転し、このような追従により供給される冷熱が変動したり、冷熱負荷が変動したりすると、冷熱に対する加熱の量を、流量調節弁46により熱交換機40への排温水Xの流量を増減することで調整し、温熱に対して冷熱のバランスがとれるようにする。なお、自動制御装置は、ヒートポンプ4や流量調節弁46にそれぞれ配備される制御装置から構成するようにして良いし、独立した別体のものとしても良い。又、温度センサは、冷却コイル16・レヒータ18あるいは他のパイプや熱交換機40の少なくとも何れかに配して良いし、冷却側戻りパイプ32の冷却コイル16側に配して良い。
このような自動制御装置による流量調節弁46の制御の具体例につき、主に図2を参照して説明する。自動制御装置は、加熱負荷を基準に温熱に追従するように冷熱を出し排温熱Xの熱を回収する運転を許可していると(ステップS1でYes)、冷熱供給量調節弁48が閉止しているか否かを判断する(ステップS2)。自動制御装置は、冷熱供給量調節弁48が閉止していると、冷熱戻り温度の設定値を40度に設定し(ステップS3)、冷熱供給量調節弁48が閉止していないと、冷熱戻り温度の設定値を17度に設定する(ステップS4)。
そして、自動制御装置は、温度センサから得たヒートポンプ4の冷熱戻り温度が当該設定値マイナス2度を下回ると、ステップS6a〜S6cを実行する一方(ステップS5でYes)、ヒートポンプ4の冷熱戻り温度が当該設定値プラス1度を上回ると、ステップS8a〜S8cを実行し(ステップS5でNo・ステップS7でYes)、ヒートポンプ4の冷熱戻り温度が当該設定値を含む所定範囲内(設定値マイナス2度以上設定値プラス1度以下)にあると、スタートに戻り自動運転を続ける(ステップS7でNo)。
ステップS6a〜S6cでは、温熱に対して冷熱が十分奪われない状態となっていることに鑑み、ヒートポンプ4の冷熱戻り温度を設定値に近づけるため、冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体と排温水Xとの熱交換量を増やすように、流量調節弁46を徐々に開いていく。
一方、ステップS8a〜S8cでは、冷熱が十分用いられている状態となっていることに鑑み、ヒートポンプ4の冷熱戻り温度を設定値に近づけるため、冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体と排温水Xとの熱交換量を減らすように、流量調節弁46を徐々に絞っていく。
このように動作する空調システム1による外気Aの調整(エアBの生成)の具体例を、主に模式的な空気線図である図3に基づき説明する。
図3(a)に示すように、外気Aの気温(乾球温度)が比較的に高く(しかしエアBより低く)、湿度(絶対湿度)も気温に相応する程度(エアBより高い状態)である場合(図中白丸)、まずワッシャー14により外気Aの塵芥を除去する。このとき、ワッシャー14を通った外気Aの相対湿度は100パーセント(%)となり、気温は若干下がる。この状態で外気Aは冷却コイル16を通り、冷熱量を調整されて供給された冷却コイル16は、目標の(エアBの)湿度となるように外気Aを冷却する。そして、冷却された外気Aは、調整された温熱量を受けたレヒータ18を通過し、目標の温度となるまで加熱される(図中黒丸)。
これに対し、外気Aの気温(乾球温度)が比較的に低く(エアBより低く)、湿度(絶対湿度)も気温に相応する程度(エアBより高い状態)である場合には、図3(b)に示すように、冷却コイル16への冷熱量を減らす等して冷熱の使用量(冷却負荷)が減少するが、自動制御装置はその分だけ排温水Xとの熱交換量を増加し、温熱と冷熱のバランスを保つ。
以上の空調システム1は、排温水Xを生ずる工場に設置されており、外気取込口10から取り込んだ外気Aを加熱するレヒータ18、及び外気Aを冷却する冷却コイル16を有する外調機2と、レヒータ18に加熱媒体を加熱して供給すると共に、冷却コイル16に冷却媒体を冷却して供給するヒートポンプ4と、冷却媒体を加熱する熱交換機40とを備えている。
従って、加熱負荷に合わせてヒートポンプ4を作動させようとするが、冷熱負荷が軽すぎで冷却水が十分に冷熱を奪われた状態で戻らず、温熱と冷熱のバランスがとれずにヒートポンプ4が停止してしまう事態を回避することができ、加熱ないし冷却をひとつのヒートポンプ4でまかなうことができる。又、ヒートポンプ4を冷熱負荷に合わせて作動させ、不足する加熱負荷に蒸気発生装置等の他熱源で対処する方式に比して、他熱源を設置する必要がなくシンプルな構成としてエネルギー使用量を低減することができるし、他熱源駆動分のエネルギーが不要であり、更に元来そのまま排熱されていた排温水Xのエネルギーを有効利用することができ、省エネルギー性に優れた空調システム1とすることができ、更に他熱源駆動による二酸化炭素の排出を削減することもできる。
なお、工場の排温水Xをレヒータ18の加熱に用いる方式が考えられなくもないが、一般に排温水Xの温度は10〜50度程度であって、排温水Xに十分な温度がなく、有効に加熱することができない。これに対し、空調システム1では、温度の低い冷却媒体に対して工場の排温水Xを適用するので、有効に排温水Xの熱を利用することができる。
又、冷却媒体と排温水Xとを導入し熱交換する熱交換機40によりヒートポンプ4の冷却媒体を加熱するため、排温水Xによる加熱を低コストで確実に実施することができ、エネルギー効率の極めて良好な空調システム1を適切に提供することができる。
更に、排温水Xの熱交換機40への流量を調節する流量調節弁46と、冷却媒体がヒートポンプ4へ戻る際の温度である冷熱戻り温度(冷却媒体温度)を検知する冷熱温度センサと、当該冷熱温度センサと接続され、当該冷熱温度センサから得た前記冷熱戻り温度に応じて流量調節弁46の流量を制御する自動制御装置とを備えている。
従って、ヒートポンプ4にとって適した冷熱の戻り温度ないし熱量となるように、工場の排温水Xとの熱交換量を自動的に調整することができ、極めて効率の良い加熱ないし冷却を自動的に行うことができる。
加えて、冷熱供給量調節弁48が設置されているため、外調機2の冷却コイル16に対する冷熱の供給量を冷熱供給量調節弁48により微調整することができ、ヒートポンプ4の運転状態(冷熱供給状態)を更に安定した状態でヒートポンプ4の運転を継続することができる。なお、温熱供給量調節弁49についても温熱に関し同様の効果を奏する。
[第2形態]
図4(a)は第2形態に係る空調システム101の模式図であって、当該空調システム101の構成は、加熱側の構成以外は第1形態と変更例も含め同様である。
空調システム101においては、加熱側供給パイプ34から分岐した第2加熱側供給パイプ104と、加熱側戻りパイプ36へ達する第2加熱側戻りパイプ106とを備えており、第2加熱側供給パイプ104及び第2加熱側戻りパイプ106には、プレヒーター12が加熱手段として接続されている。そして、第2加熱側供給パイプ104との分岐部より下流の加熱側供給パイプ34には、レヒータ18に関する加熱媒体供給流量調節手段としての温熱供給量調節弁108が設置されると共に、第2加熱側供給パイプ104には、プレヒーター12に関する加熱媒体供給流量調節手段としての第2温熱供給量調節弁109が設置されている。温熱供給量調節弁108及び第2温熱供給量調節弁109により流量を調整された際の残余の加熱媒体は、これらに接続された加熱側調整パイプ110により加熱側戻りパイプ36へ戻される。
このような空調システム101は、第1形態と同様に動作する他、次に説明するように動作する。
即ち、自動制御装置は、ヒートポンプ4を制御して、第2加熱側供給パイプ104にも加熱媒体を供給させ、レヒータ18と同様にプレヒーター12に加熱媒体を調整のうえ供給させる。プレヒーター12は、調整された加熱媒体を受け、取り込んだ外気Aを予熱する。
又、自動制御装置は、冷熱の供給が不要な冬季や中間季等において、冷熱供給量調節弁48を閉止し、冷却側供給パイプ30の冷却媒体を冷却コイル16に供給せず冷却側戻りパイプ32に送る。
更に、自動制御装置は、冷熱供給量調節弁48を閉止した場合、ヒートポンプ4の効率の更なる向上を目的として、ヒートポンプの冷却媒体の供給温度を上昇する。この場合、冷却媒体による冷却は行われないため、冷却媒体往き温度を上昇して差し支えない。
例えば、自動制御装置は、冷却コイル16による冷却が必要な場合、図4(b)に示すように、ヒートポンプ4の冷却媒体往き温度を7度に設定する。冷却媒体は、冷却コイル16を通過して外気Aとの熱交換をすると共に、適宜排温水Xにより加温され、17度でヒートポンプ4に戻る。
これに対し、自動制御装置は、冷却コイル16による冷却が不要で冷熱供給量調節弁48を閉止した場合、ヒートポンプの運転状態を変更し、図4(c)に示すように、冷却媒体往き温度を30度に上昇する。又、自動制御装置は、流量調節弁46を制御して、排温水Xによる冷却媒体に対する1257kWの加熱を行う。
そして、図4(b),(c)の何れの場合も、自動制御装置がヒートポンプ4に温熱1500kWを供給させ、加熱媒体往き温度が60度であり戻り温度が50度であるとすると、図4(b)の場合ヒートポンプ4の加熱能力は1台当たり380kWとなってCOP(Coefficient Of Performance,効率)が3.16となるのに対し、図4(c)の場合ヒートポンプ4の加熱能力は1台当たり685kWとなってCOPが6.17となり、より効率の良い状態でヒートポンプ4の運転を行える。
なお、空調システム101における外気AからエアBへの調整につき、主に図4(d),(e)により説明する。
図4(b)のように外調機2に対し冷熱を供給する場合、図4(d)に示すように、外気Aは比較的に高い気温(目標温度に近いがより低いこともある)であるため、予熱を受けず、まずワッシャー14により絶対湿度の上昇と温度の低下とを受け、次いで冷却コイル16に供給された冷熱により冷却をされて目標絶対湿度までの除湿をされ、更にレヒータ18で目標温度(ないし目標相対湿度)まで加温される。
一方、図4(c)のように外調機2に対する冷熱の供給が必要ない場合、図4(e)に示すように、外気AはエアBに対し温度も絶対湿度も低い状態であるため、まずプレヒーター12により予熱され、次いでワッシャー14により絶対湿度の目標湿度までの上昇と温度の低下とを受け、更にレヒータ18で目標温度(ないし目標相対湿度)まで加熱される。
自動制御装置は、外気Aの状態(温度及び/又は湿度等)を把握する図示しないセンサと電気的に接続されており、外気Aが冷却を要する状態から冷却不要の状態に移行する(温度及び/又は湿度が所定値以下となる等)と、冷熱供給量調節弁48を閉止してヒートポンプ4の冷却媒体往き温度を上げさせる(図4(a),(c),(e))一方、これとは逆に移行すると、ヒートポンプ4の冷却媒体往き温度を戻して冷熱供給量調節弁48を開放する(図4(b),(d))。
以上の第2形態の空調システム101は、第1形態と同様に成り、更にプレヒーター12にも第2温熱供給量調節弁109を介して加熱媒体が供給される他、冷却コイル16に対する冷却した冷却媒体の供給が不要である場合に、ヒートポンプ4のCOPがより良好となるように冷却媒体の温度を上昇した状態でヒートポンプ4を運転する。
従って、第1形態と同様の効果を奏し、又プレヒート(予熱)をもヒートポンプ4により実施しプレヒーター12をレヒータ18と併せて加熱手段として動作の態様(バリエーション)を増やしながら効率を良好とすることができ、更に冷却媒体がヒートポンプ4の冷却側で循環し、外調機2の冷却コイル16において用いられない場合に、冷却媒体の温度につきヒートポンプ4のCOPを重視したものとすることができ、ヒートポンプ4の更に効率良い継続可能な運転を確保することができる。
[第3形態]
図5(a)〜(c)及び図6(a)は第3形態に係る空調システム151の模式図であって、空調システム151は、冷却コイル16とヒートポンプ4の間の構成以外は第2形態と変更例も含め同様である。なお、これらの図において、加熱側の回路は図示を省略している。
空調システム151は、暖房運転及び冷房運転が可能な空冷ヒートポンプ154を冷却側に備えている。空冷ヒートポンプ154は又、暖房待機及び冷房待機も可能である。ここでは、空冷ヒートポンプ154は、4台の空冷ヒートポンプ154a〜154d及びその他の図示しない空冷ヒートポンプから成る空冷ヒートポンプ群とされている。なお、空冷ヒートポンプ154は、単体であっても良いし、3台以下等の複数の空冷ヒートポンプ群とされても良い。
空冷ヒートポンプ154a〜154d等は、排温水Xに代えてその暖房運転時の媒体を共通の熱交換機40に対し供給する熱交換導入パイプ42a〜42d等をそれぞれ適宜備えていると共に、熱交換機40からの媒体を通す熱交換導出パイプ44a〜44d等をそれぞれ適宜備えている(熱交換導入パイプ42c及び熱交換導出パイプ44cにつき図5(b),(c)及び図6(a)参照、熱交換導入パイプ42b及び熱交換導出パイプ44bにつき図6(a)参照、その他のパイプは図示省略)。なお、暖房運転される空冷ヒートポンプ154a〜154d等は、それぞれ冷却側加熱媒体供給用ヒートポンプを構成し、これら空冷ヒートポンプ154a〜154d等が熱交換機40に供給する加熱媒体が冷却側加熱媒体を構成する。
更に、空調システム151は、冷却側戻りパイプ32から分岐して空冷ヒートポンプ154a〜154d等(の冷房運転時の媒体受け口)に冷却媒体を導入する第2冷却側戻りパイプ162a〜162d等と、空冷ヒートポンプ154a〜154d等(の冷房運転時の媒体供給口)から冷却側供給パイプ30へ冷却媒体を送る合流供給パイプ164a〜164d等とをそれぞれ適宜備えている(第2冷却側戻りパイプ162b及び合流供給パイプ164bにつき図5(a)〜(c)参照、第2冷却側戻りパイプ162c及び合流供給パイプ164cにつき図5(a)参照、その他のパイプは図示省略)。
又、熱交換導入パイプ42a〜42d等ないし第2冷却側戻りパイプ162a〜162d等には、一方への開放により媒体をそのまま通すと共に他方への閉止により媒体を遮断し、開放側と遮断側を切替え可能な流路切替手段(流量調節手段)の一つとしてのモーター弁43a〜43d等が設置されており、熱交換導出パイプ44a〜44d等ないし合流供給パイプ164a〜164d等には、モーター弁45a〜45d等が同様に設置されている。なお、モーター弁43a〜43d等やモーター弁45a〜45d等は、共通の流量調節弁46より空冷ヒートポンプ154a〜154d等側に配置されている。又、モーター弁43a〜43d等やモーター弁45a〜45d等に代えて開度を調整可能な流量調節弁等を用いても良い。
このような空調システム151は、排温水Xによる加温に代えて暖房運転された空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも何れかが供給する冷却媒体加熱用媒体による加温が可能であり、又冷房運転された空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも何れかが冷却媒体の一部を取り入れ冷却して循環させることが可能となり、これらの運転が自動で切替えられる他、第2形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。なお、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の冷房運転による冷却媒体の一部の冷却は実行せず、空冷ヒートポンプ154a〜154d等を加温専用としても良い。
図5(a)は、夏季等で温熱負荷より冷熱負荷の方が大きい場合であって、冷熱負荷が比較的に大きいときの模式図であり、図5(b)は、温熱負荷より冷熱負荷の方が大きい場合であって、冷熱負荷が比較的に小さいときの模式図であり、図5(c)は、夏季・中間季の雨天を始めとする目標に対して温度が低く湿度が高いとき等の温熱負荷より冷熱負荷の方が小さい場合の模式図であり、図6(a)は、冬季等で冷熱を用いず温熱のみ利用する場合の模式図である。
即ち、自動制御装置は、温熱負荷800kWに対し冷熱負荷1200kWとなるような図5(a)の場合、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V253kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却コイル16の冷却に用いられ、17度となって一部が第2冷却側戻りパイプ162a〜162cを介し空冷ヒートポンプ154a〜154cに入る。自動制御装置は、冷熱戻り温度を監視することで冷熱負荷が大きいことを把握し、冷熱負荷に対応する冷却を実施するために必要な能力(台数、ここでは3台)の空冷ヒートポンプ154a〜154d等の運転を行い、運転される空冷ヒートポンプ154a〜154d等に係る第2冷却側戻りパイプ162a〜162d等に冷却媒体の一部を導入すべく、対応するモーター弁43a〜43d等につき第2冷却側戻りパイプ162a〜162d等の側を開放する。
自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154a〜154cを冷房運転し、受け取った冷却媒体を冷却して冷却媒体に対し冷熱を付加し(合計653kW)、モーター弁43a〜43d等と同様に開放されたモーター弁45a〜45cを有する合流供給パイプ164a〜164cを経て、冷却側供給パイプ30へ供給するようにさせる。又、自動制御装置は、ヒートポンプ4の運転により、ヒートポンプ4に受け入れた残余の一部の冷却媒体を冷却して冷却側供給パイプ30から送り出すようにさせる。
又、自動制御装置は、温熱負荷800kWに対し冷熱負荷900kWとなるような図5(b)の場合、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V253kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却コイル16の冷却に用いられ、17度となって一部が第2冷却側戻りパイプ162a,162bを介し空冷ヒートポンプ154a,154bに入る。即ち、自動制御装置は、ここでの冷熱負荷に対応する冷却を実施するために必要な台数である2台の空冷ヒートポンプ154a,154bの冷房運転を行い、第2冷却側戻りパイプ162a,162bに冷却媒体の一部を導入する。
自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154a,154bを冷房運転し、受け取った冷却媒体を冷却して冷却媒体に対し冷熱を付加し(合計353kW)、モーター弁45a,45bの開放された合流供給パイプ164a,164bを経て冷却側供給パイプ30へ供給するようにさせる。又、自動制御装置は、ヒートポンプ4の運転により、ヒートポンプ4に受け入れた残余の一部の冷却媒体を冷却して冷却側供給パイプ30から送り出すようにさせる。
更に、自動制御装置は、冷熱負荷に対して温熱負荷が接近し、冷房運転に係る空冷ヒートポンプ154a〜154d等が1台となった場合、冷房運転していない(運転を停止している)空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも1台を暖房運転させる。暖房運転については、すぐ後で説明する図5(c)の場合と同様である。なお、冷房運転に係る1台の空冷ヒートポンプ154a〜154d等の負荷率が所定値(例えば30%)以下となった場合に暖房運転を開始しても良いし、冷房運転に係る空冷ヒートポンプ154a〜154d等が2台以下等となった場合に暖房運転を開始しても良い。自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154a〜154d等からの負荷率を示す信号を受信することで、当該空冷ヒートポンプ154a〜154d等の負荷率を把握することができる。又、冷房運転に係る空冷ヒートポンプ154a〜154d等が1台となった場合に別の空冷ヒートポンプ154a〜154d等を暖房待機状態とし、更に冷房運転に係る1台の空冷ヒートポンプ154a〜154d等の負荷率が所定値以下となった場合に暖房運転を開始する等、待機状態と運転状態とを分け、暖房運転の準備をするようにしても良い。そして、待機状態開始時又は運転直前あるいはこれらの間の何れかのタイミングで、モーター弁43a〜43dやモーター弁45a〜45dの切替を行う。
一方、自動制御装置は、温熱負荷800kWに対し冷熱負荷300kWとなるような図5(c)の場合、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力253kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却コイル16の冷却に用いられ、12度となってヒートポンプ4へ導かれる。
自動制御装置は、冷熱戻り温度を監視することで冷熱負荷が小さい(冷熱が余剰している)ことを把握し、余剰する冷熱負荷に対応する冷却媒体の加熱を実施するために必要な能力(台数、ここでは1台)の空冷ヒートポンプ154a〜154d等の暖房運転を行い、又暖房運転される空冷ヒートポンプ154a〜154d等に係るモーター弁43a〜43d等ないしモーター弁45a〜45d等につき、熱交換導入パイプ42a〜42d等ないし熱交換導出パイプ44a〜44d側へ切替える。
自動制御装置は、当該空冷ヒートポンプ154a〜154d等(ここでは空冷ヒートポンプ154c)を暖房運転し、流量調節弁46を経て熱交換機40へ冷却媒体加熱用媒体を供給させる。自動制御装置は、適宜冷熱供給量調節弁48を併せて制御し、熱交換機40を介して冷却媒体を加熱媒体とのバランスがとれるように加熱する(247kW、冷却媒体加熱用媒体往き35度・戻り30度)。
又、自動制御装置は、温熱負荷に対して冷熱負荷が接近し、暖房運転に係る空冷ヒートポンプ154a〜154d等が1台となった場合、暖房運転していない空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも1台(ここでは空冷ヒートポンプ154b)を冷房待機状態とする。そして、図5(b)のように冷熱負荷が温熱負荷を上回ると(冷却媒体の温度センサより把握した温度が所定値より高くなると)、冷房待機状態に係る空冷ヒートポンプ154a〜154d等の冷房運転を開始する。なお、冷房待機状態あるいは冷房運転への切替えに関し、上記の暖房待機状態ないし暖房運転への切替えと同様に変更することができる。
他方、自動制御装置は、温熱負荷1500kWに対し冷熱負荷0kWとなるような図6(a)の場合、ヒートポンプ4につき、1500kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V334kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4の生成した温熱は、プレヒーター12及び/又はレヒータ18に供給される。ヒートポンプ4は、これに伴い、1166kW・20度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は、自動制御装置に制御された冷熱供給量調節弁48ないしモーター弁43a〜43d等により、冷却コイル16や第2冷却側戻りパイプ162a〜162d等に供給されず、全量冷却側戻りパイプ32へ戻る。
自動制御装置は、余剰する冷熱負荷に応じ、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも何れか(ここでは空冷ヒートポンプ154b,154cの2台)を暖房運転し、熱交換機40へ冷却媒体加熱用媒体を供給させる。自動制御装置は、適宜冷熱供給量調節弁48を併せて制御し、熱交換機40を介して冷却媒体を加熱媒体とのバランスがとれるように加熱する(合計1166kW、冷却媒体加熱用媒体往き40度・戻り35度)。又、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154a〜154d等が例えば2台以上暖房運転されている場合には、更に余剰冷熱が増加する場合に備え、暖房運転されていない空冷ヒートポンプ154a〜154d等の少なくとも1台(ここでは空冷ヒートポンプ154d、回路につき図示省略)につき、暖房待機状態に移行させる。
このような自動制御装置による空冷ヒートポンプ154a〜154d等の切替制御等につき、主に図7に基づいて更に詳細に説明する。なお、図7では、ヒートポンプ4が複数の排熱回収型ヒートポンプの群から成ることを想定している(単体においても同様に制御可能である)。
自動制御装置は、外調機2に関する運転指令がない場合には(ステップS10でNO)、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a〜154d等を停止して(ステップS11,S12)、動作を終了する。一方、自動制御装置は、外調機2に関する運転指令があると(ステップS10でYES)、ヒートポンプ4が温熱追従熱回収モードで運転されているかを判断する(ステップS13)。
自動制御装置は、ヒートポンプ4が運転されていなければ(ステップS13でNO)、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の全台数が暖房運転中か否かを判断し(ステップS14)、全台数が暖房運転中であれば(YES)、ヒートポンプ4を運転し(ステップS16)、全台数が暖房運転中でなければ(NO)、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の全台数につき暖房運転を行ってヒートポンプ4を運転する(ステップS15,S16)。そして、この後、あるいはヒートポンプ4が運転されている場合(ステップS13でYES)において、ステップS17へ移行する。
自動制御装置は、ステップS17において、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の2台以上が冷房運転中か否かを判断し、2台以上が冷房運転中であれば(YES)、全台が冷房運転中でなく暖房運転中の空冷ヒートポンプ154a〜154d等がある場合に冷房待機状態に移行させて制御を継続する(ステップS18,S19)。
一方、自動制御装置は、2台以上が冷房運転中でなければ(ステップS17でNO)、1台のみ冷房運転中か否か確認する(ステップS20)。
自動制御装置は、1台のみ冷房運転中であれば(YES)、他のものの何れか1台が暖房運転中か否かをチェックし(ステップS21)、暖房運転中のものがないときには冷房待機中のものを暖房運転に切替え(ステップS22)、この後あるいは暖房運転中のものがあるとき(ステップS21でYES)にはステップS23へ移行し、1台のみ暖房運転中で残り全てが冷房運転中(ないし冷房待機中、両者あわせて冷房モード)であるかをチェックして、そのような場合でないときは(NO)冷房モードと暖房モードで1台ずつ運転中であるもの以外を冷房待機状態とし(ステップS24)、制御を続ける。
他方、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の1台のみ冷房運転中でなければ(ステップS20でNO)、2台以上が暖房運転中であるかを把握する(ステップS25)。2台以上が暖房運転中であれば(YES)、全台が暖房モード(暖房運転中あるいは暖房待機中)でない場合のみ冷房待機中の1台を暖房待機状態とし(ステップS26,S27)、制御を続ける。
一方、自動制御装置は、2台以上が暖房運転中でなければ(ステップS25でNO)、1台のみ暖房運転中か否か確認する(ステップS28)。1台のみ暖房運転中でなければ(NO)、1台を暖房運転して制御を継続する(ステップS29)。
他方、自動制御装置は、1台のみ暖房運転中であれば(ステップS28でYES)、1台が冷房モードで残りが暖房モードでない場合のみ1台を冷房モードとすると共に他を暖房待機状態として(ステップS30,S31)、制御を継続する。
なお、空調システム151における外気AからエアBへの調整につき、主に図8により説明する。
図5(a)や図5(b)のように空冷ヒートポンプによる冷熱の付加を行う場合、図8(a)に示すように、外気Aは比較的に高い気温であるため、予熱を受けず、まずワッシャー14により絶対湿度の上昇と温度の低下とを受け、次いで冷却コイル16に供給された冷熱により冷却をされて目標絶対湿度までの除湿をされ、更にレヒータ18で目標温度まで加温される。
一方、図5(c)のように空冷ヒートポンプによる冷熱の付加を要しないものの外調機2に対する冷熱の供給を行う必要のある場合、図8(b)に示すように、外気Aは中間的な(目標温度に近い)気温であるため、予熱を受けず、まずワッシャー14により絶対湿度の上昇と温度の低下とを受け、次いで冷却コイル16に供給された比較的に少ない冷熱により冷却をされて目標絶対湿度までの除湿をされ、更にレヒータ18で目標温度まで加温される。
又、図6(a)のように外調機2に対する冷熱の供給が必要ない場合、図8(c)に示すように、外気AはエアBに対し温度も絶対湿度も低い状態であるため、まずプレヒーター12により予熱され、次いでワッシャー14により絶対湿度の目標湿度までの上昇と温度の低下とを受け、更にレヒータ18で目標温度まで加温される。
自動制御装置は、冷水側の温度及び/又は冷熱供給量調節弁48における温度等を把握する図示しないセンサと電気的に接続されており、当該温度の状態に応じて、図5(a)〜(c),図6(a)の何れかに係る運転を行う。
以上の第3形態の空調システム151は、第1形態と同様に成る他、特に空冷ヒートポンプ154から供給される冷却側加熱媒体によりヒートポンプ4の冷却媒体が加温される。
従って、第1形態と同様の効果を奏し、特に冷却媒体との熱交換機40に対し空冷ヒートポンプ154の冷却側加熱媒体を供給するので、排温水等のない工場においても省エネルギー性に優れた空調システム151を導入することができる。
又、空調システム151では、空冷ヒートポンプ154が複数の空冷ヒートポンプ154a〜154d等から成るため、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の台数を温熱負荷や冷熱負荷の規模に応じて調整することで様々な条件に柔軟に対応して種々の場所に設置することができるし、自動制御装置は、加熱媒体及び/又は冷却媒体の状態(熱量や温度、負荷等)に応じて、冷房運転及び/又は暖房運転を行う空冷ヒートポンプ154a〜154d等の台数を切替えるため、温熱負荷や冷熱負荷が季節や天候や昼夜の経過等により多様に変化したとしても、自動で対応して運転を継続することができる。
更に、自動制御装置は、温熱負荷が冷熱負荷に対して減少する場合には、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の一部を冷房に係る動作待機状態としての冷房待機状態とし、冷熱負荷が温熱負荷に対して減少する場合には、空冷ヒートポンプ154a〜154d等の一部を暖房に係る動作待機状態としての暖房待機状態とするため、冷房ないし暖房を切替える必要が生ずる前において予め準備をすることができ、切替動作等の運転状態を極めて円滑なものとすることができる。
[第4形態]
図6(b)は第4形態に係る空調システム171の模式図であって、空調システム171は、第3形態の空調システム151に係る空冷ヒートポンプ群を排熱回収型空冷ヒートポンプ群に代えた他は、第3形態と同様に成る。なお、図6(b)において、加熱側の回路は図示を省略している。
空調システム171では、複数の排熱回収型空冷ヒートポンプ154x,154y等が設置されている。なお、図6(b)では2台を図示しているが、1台としても良いし、3台以上としても良い。3台以上の場合も、同様に回路を形成することができる。
又、排熱回収型空冷ヒートポンプ154x,154y等の冷却側には、第2冷却側戻りパイプ162x,162y等と、合流供給パイプ164x,164y等がそれぞれ接続されており、加熱側には、熱交換導入パイプ42x,42y等と、熱交換導出パイプ44x,44y等とがそれぞれ接続されている。なお、熱交換導入パイプ42yに対し熱交換導入パイプ42xが接続され、熱交換導入パイプ44yから熱交換導入パイプ44xが分岐する。
第4形態に係る空調システム171にあっても、第3形態の空調システム151と同様、加熱負荷や冷熱負荷に応じて排熱回収型空冷ヒートポンプ154x,154y等の加熱側や冷却側の媒体温度(媒体熱量)等が制御され、又運転台数が制御される。従って、多様な運転条件に対し自動で追従することができ、省エネルギー性に優れる安定した運転の継続を確保することができる。
又、排熱回収型空冷ヒートポンプ154x,154y等にあっては、熱回収モード(冷房及び暖房の同時運転)・加熱専用の暖房モード・冷房モードの切替を自動制御装置が自動的に行うので、冷房運転ないし暖房運転といったモードの切替や流路の切替を行うことなく、昼夜や全天候、全季節において図6(b)の状態で運転することができ、比較的にシンプルな方式においてヒートポンプ4の冷熱と温熱のバランスを保たせ、安定した運転の継続を図ることができる。
[第5形態]
図9は第5形態に係る空調システム201の模式図であって、空調システム201は、流量調節弁46に代えて冷却媒体タンク208や空冷ヒートポンプ154を有する他、第2形態と同様に成る。なお、第2冷却側戻りパイプ162や合流供給パイプ163は、熱交換導入パイプ42ないし熱交換導出パイプ44と共通化されている。
冷却媒体タンク208は、冷却側供給パイプ30に介装されると共に、冷却側戻りパイプ32に介装されており、更に空冷ヒートポンプ154に係る第2冷却側戻りパイプ162及び合流供給パイプ163と接続されている。冷却媒体タンク208は、自動制御装置からの指令に基づき、冷却側供給パイプ30・冷却側戻りパイプ32・第2冷却側戻りパイプ162に対する冷却媒体の流量をそれぞれ調節することが可能である。又、空冷ヒートポンプ154は、第2冷却側戻りパイプ162から冷却媒体を取り込み、暖房モードあるいは冷房モードにより加熱又は冷却をして合流供給パイプ163へ冷却媒体を送り出すことが可能である。
このような空調システム201は、第4形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。なお、図9(a)〜(c)は、順に第4形態に係る図5(a)〜(c)に対応する。
温熱負荷800kWに対し冷熱負荷900kWとなるような図9(a)の場合、自動制御装置は、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V253kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却媒体タンク208に入る。冷却媒体タンク208内の冷却媒体の内自動制御装置により制御された分量のものは、冷却コイル16の冷却に用いられ、17度となって冷却媒体タンク208に戻る。又、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2により冷房モードで運転し、冷却媒体タンク208から受けた制御された量の冷却媒体につき、ヒートポンプ4に係る加熱媒体とのバランスがとれる状態あるいは冷却負荷にも追従できる状態に冷却する。そして、冷却媒体タンク208の冷却媒体の内、自動制御装置により制御された分量のものが、ヒートポンプ4に戻され、ヒートポンプ4の温熱と冷熱とのバランスが確保される。
又、自動制御装置は、温熱負荷800kWに対し冷熱負荷300kWとなるような図9(b)の場合、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力253kW、往き60度、戻り50度)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却媒体タンク208を介して冷却コイル16の冷却に用いられ、12度となって冷却媒体タンク208に戻る。又、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2により暖房モードで運転し、冷却媒体タンク208から受けた一部の冷却媒体の適切な加熱を実行する。更に、自動制御装置は、加熱媒体に対する冷却媒体のバランスをとった状態で、冷却媒体タンク208からヒートポンプ4に冷却媒体を送出させる。
更に、自動制御装置は、温熱負荷1500kWに対し冷熱負荷0kWとなるような図9(c)の場合、ヒートポンプ4につき、1500kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V243kW、加熱媒体往き60度、加熱媒体戻り50度、冷却媒体往き30度、冷却媒体戻り40度)。ヒートポンプ4の生成した温熱は、プレヒーター12及び/又はレヒータ18に供給される。ヒートポンプ4は、これに伴い、1257kWの冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は、冷却媒体タンク208に入る。又、自動制御装置は、冷却媒体タンク208内の冷却媒体を冷却コイル16に供給しない。加えて、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2(264kW)により暖房モードで運転し、冷却媒体タンク208内の冷却媒体を、加熱媒体とのバランスがとれるように加熱する(1257kW、冷却媒体受け30度・返し40度)。
自動制御装置は、外気Aの状態(温度及び/又は湿度等)を把握する図示しないセンサと電気的に接続されており、外気Aの状態に応じて、図9(a)〜(c)の何れかに係る運転を行う。
以上の第5形態の空調システム201においても、第4形態と同様、シンプルな構成で極めてエネルギー効率の良いものとすることができる他、空冷ヒートポンプ154とヒートポンプ4との間に冷却媒体タンク208を介装したので、冷却媒体の温度(冷熱量)を総合的に管理可能とすることができ、又調整された冷熱量の冷却媒体を外調機2の冷却コイル16や空冷ヒートポンプ154、ヒートポンプ4等に供給することができ、制御容易ながら安定度の高い継続する運転を実行することができる。
[第6形態]
図10は第6形態に係る空調システム251の模式図であって、空調システム251は、第5形態と同様に成り、第5形態から冷却媒体タンク208を取り除くと共に、空冷ヒートポンプ154を加熱用ヒートポンプとして冷却側戻りパイプ32に介装して成る。
空冷ヒートポンプ154は、冷却コイル16ないしは冷熱供給量調節弁48からの冷却媒体を受け取り、暖房モードあるいは冷房モードでの運転によって、受け取った冷却媒体を加熱あるいは冷却してヒートポンプ4へ戻す。
このような空調システム251は、第5形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。なお、図10(a)〜(c)は、順に第4形態に係る図5(a)〜(c)や第5形態に係る図9(a)〜(c)に対応する。
温熱負荷800kWに対し冷熱負荷900kWとなるような図10(a)の場合、自動制御装置は、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V253kW)。ヒートポンプ4は、これに伴い、547kW・7度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷却コイル16の冷却に用いられ、17度となって空冷ヒートポンプ154に入る。自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2(105kW)により冷房モードで運転し、冷却媒体につき、ヒートポンプ4に係る加熱媒体とのバランスがとれる状態あるいは冷却負荷にも追従できる状態に冷却する(353kWの冷却)。冷却媒体の温度は、自動制御装置の指令に基づき、空冷ヒートポンプ154において制御される。
又、自動制御装置は、温熱負荷800kWに対し冷熱負荷150kWとなるような図10(b)の場合、ヒートポンプ4につき、800kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力253kW)。ヒートポンプ4は、これに伴い、冷却媒体につき547kW・7度とし、当該冷却媒体の冷熱547kWの内150kWは冷却コイル16の冷却に用いられ、9.7度となり冷熱397kWが余った状態で空冷ヒートポンプ154に入る。自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2(66kW)により暖房モードで運転し、受け入れた冷却媒体につき加熱媒体とのバランスをとるために余剰した冷熱397kWを解消する分だけ加熱して、ヒートポンプ4に渡す。
更に、自動制御装置は、温熱負荷1500kWに対し冷熱負荷0kWとなるような図10(c)の場合、ヒートポンプ4につき、1500kWの温熱負荷に追従した運転をさせる(電気入力V243kW)。ヒートポンプ4の生成した温熱は、プレヒーター12及び/又はレヒータ18に供給される。ヒートポンプ4は、これに伴い、1257kW・30度の冷却媒体を生成し、当該冷却媒体は冷熱供給量調節弁48を介し全量空冷ヒートポンプ154に入る(冷却コイル16には供給されない)。そして、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154を電気入力V2(264kW)により暖房モードで運転し、冷却媒体につき、1257kWの冷熱を解消して温熱とのバランスがとれるように加熱させて(40度となる)、ヒートポンプ4に戻す。
自動制御装置は、外気Aの状態(温度及び/又は湿度等)を把握する図示しないセンサと電気的に接続されており、外気Aの状態に応じて、図10(a)〜(c)の何れかに係る運転を行う。
このような第6形態の空調システム251にあっては、第5形態と同様の効果を奏する他、加熱用ヒートポンプとしての空冷ヒートポンプ154によりヒートポンプ4の冷却媒体を加熱するため、排温水等のない工場においてもヒートポンプ4に加えて空冷ヒートポンプ154を追加するだけで、極めてエネルギー効率の良好な空調システム251を提供することができる。
[第7形態]
図11は第7形態に係る空調システム301の模式図であって、空調システム301は、冷却側の構成の他は、第1形態と同様である。
空調システム301は、空調機2の冷却コイル16に第2冷却媒体としての空調機用冷却媒体を供給する、空冷ヒートポンプ154と同様の空冷ヒートポンプ308を備えている。空冷ヒートポンプ308は、自動制御装置からの指令に基づき、外気Aの冷却に必要な冷熱をもった空調機用冷却媒体を冷却コイル16に供給する。
ヒートポンプ4の冷却側には、排温水Xを冷却媒体として直接出し入れする排温水導入パイプ312ないし排温水導出パイプ314と、空冷ヒートポンプ154からの冷却媒体を受けあるいはこれを空冷ヒートポンプ154に戻す媒体導入パイプ322ないし媒体導出パイプ324とが、自動制御装置の指令に基づき互いに切替可能に接続されている。
このような空調システム301は、例えば次に説明するように動作する。
即ち、ヒートポンプ4は温熱負荷(800kW)に応じた運転を行い、冷熱(670kW)を生ずるが、排温水Xの温度が高く熱量の多い夏季等、即ち排温水Xがヒートポンプ4の冷却により生成される冷熱に釣り合うか又はそれ以上の熱を有する夏季等において、自動制御装置は、図11(a)に示すように、ヒートポンプ4の冷却側を排温水X側(排温水導入パイプ312ないし排温水導出パイプ314側)に切替えて、ヒートポンプ4に排温水X(40度)を受け入れさせ、冷熱670kWを解消して温熱とのバランスをとらせるようにする。なお、ヒートポンプ4から排温水導出パイプ314を介して出た排温水X(30度)は、通常の工場の排温水と同様に処理される。
一方、排温水Xの温度が低い(熱量が不足する)冬季等において、自動制御装置は、図11(b)に示すように、ヒートポンプ4の冷却側を空冷ヒートポンプ154側(媒体導入パイプ322ないし媒体導出パイプ324側)に切替えると共に、空冷ヒートポンプ154を暖房モードで運転し、媒体導出パイプ324から受けた冷却媒体(30度)を加熱して670kWの冷熱を解消し、バランスのとれた状態で媒体導入パイプ322へ供給する(40度)。
このような第7形態の空調システム301にあっては、外気取込口10から取り込んだ外気Aを加熱するレヒータ18と、外気Aを冷却する冷却コイル16とを有する外調機2と、レヒータ18に加熱媒体を加熱して供給すると共に、冷却媒体につき、空冷ヒートポンプ154側からと、工場から生ずる排温水X側からとで切替えて導入し冷却して導出可能であるヒートポンプ4と、冷却コイル16に空調機用冷却媒体を供給する空冷ヒートポンプ304とを備えており、ヒートポンプ4は、冷却媒体を空冷ヒートポンプ154側から導入している場合において、排温水Xがヒートポンプ4による冷却に釣り合うか又はそれ以上の熱を有するときには、排温水X側から前記冷却媒体を導入するように切替える。
従って、ヒートポンプ4の温熱に追従する運転をする際に余剰する冷熱につき、可能な限り排温水Xの熱によって解消することができ、元来捨てられていた排温水Xの熱を利用することでヒートポンプ4の温熱に対する冷熱のバランスをとらせることができ、省エネルギー性に非常に優れた空調システム301を構成することができる。なお、排温水Xが冷熱を解消するのに十分な熱を持たない場合でも、空冷ヒートポンプ154により加熱された冷却媒体が導入されるため、ヒートポンプ4の運転を継続することができる。
[第8形態]
図12は第8形態に係る空調システム351の模式図であって、空調システム351は、冷却側の構成の他は、第1形態と同様である。
空調システム351は、第1形態に対し、排温水Xの代わりに工場の乾燥炉352からの排気Y(冷却媒体加熱用媒体)を用い、熱交換導入パイプ42から熱交換機40へ排気Yを導入し、熱交換導出パイプ44から排気Yを導出する。なお、ここでは流量調節弁46は設置されていないが、熱交換導入パイプ42において、熱交換機40への排気Yの導入量を調整する流量調節手段(排気Yのバイパス回路)を設けても良い。
又、空調システム351は、冷却側戻りパイプ32における熱交換機40より外調機2側に、冷却媒体の熱交換機40への流量を調整する流量調節弁356を備えている。空調システム401は、流量調節弁356から熱交換機40に至る第3冷却側戻りパイプ362と、熱交換機40から冷却側戻りパイプ32に達する第4冷却側戻りパイプ364を有する。流量調節弁356は、自動制御装置からの指令に基づいて、冷却側戻りパイプ32内の冷却媒体の内の任意量(0又は全量を含む)につき第3冷却側戻りパイプ362を介して熱交換機40に分配し、残余につき第4冷却側戻りパイプ364を介してヒートポンプ4に送る。
このような空調システム351は、第1形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。
即ち、ヒートポンプ4は温熱負荷(800kW)に応じた運転を行い、冷熱(547kW)を生ずるところ、冷熱は外調機2における外気Aの冷却に適宜用いられるが(150kW・7度から9.7度)、自動制御装置は、冷却媒体につき、余った冷熱397kWに応じて397kWの加熱を熱交換機40から受けるように、流量調節弁356を介して流量を制御する。熱交換機40では、排気Yの排熱397kWと、流量調節弁356からの冷却媒体の冷熱397kWとが交換され、排気Yにより冷却媒体の一部又は全部が加熱される(17度、なお冷却負荷が重いとき等、加熱されない場合もある)。この加熱により、ヒートポンプ4において温熱に対する冷熱のバランスが確保され、ヒートポンプ4の運転が継続される。
このような第8形態の空調システム351にあっては、第1形態と同様の効果を奏する他、特に工場より生ずる排気Yによりヒートポンプ4の冷却媒体が加熱されるため、排気Yの排熱を有効利用することができ、ヒートポンプ4の極めて効率の良い継続運転が可能である。
[第9形態]
図13は第9形態に係る空調システム401の模式図であって、空調システム401は、第2形態と同様に成り、第2形態の構成に対し、ヒートポンプ4の冷却側に冷凍機404を配置して成る。なお、ここでは加熱媒体として温水を用い、冷却媒体として冷水を用いているが、冷媒やガス等を用いても良い。
このような空調システム401は、第2形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。
即ち、図13(a)に示す中間季(春季・2008年6月22日・名古屋市付近)の昼13時の運転状態にあって、空気線図に関する図14に示すように、外調機2に取り込む前の外気Aは乾球気温24.6度・相対湿度86%であり、空調システム401は取り込んだ外気Aにワッシャー14を作用させて加湿し(図中丸1、相対湿度100%)、目標とする絶対湿度となるまで冷水を入れた冷却コイル16を作用させて冷却し(図中丸2)、更に目標とする温度となるまで温水を入れたレヒータ18を作用させて加熱する(図中丸3)。なお、ここでの目標乾球温度は25度であり、目標相対湿度は80%である。又、外調機2のブロワ20の風量は7000立方メートル/分である。
この場合のヒートポンプ4や冷凍機404の出力等を、図15の表の一欄に示す。なお、13時より前の11時ないし12時において、「外気条件」の表に示す状態の遷移があった。又、冷却コイル16による除湿(図14の丸2)の目標値は、「除湿目標値」の欄に示した通りである。この場合の「除湿目標比エンタルピー差」(キロジュール/キログラム・kJ/kg、ドライエアー・D/A)や「加湿量」はそれぞれ対応する表の13時の欄に示す通りであり、ヒートポンプ4の能力は「排熱回収型ヒートポンプ」の表に示す通りである。
図15によれば、自動制御装置は、13時において、ヒートポンプ4につき、外気Aの加熱負荷535kWに追従するためレヒータ18に535kWの温水を供給させ、これに併せて366kWの冷水を冷却コイル16に出力させる。冷熱366kWでは冷却負荷768kWに対し402kW不足するので、自動制御装置は冷凍機404を作動させ、402kWの冷熱を冷却媒体に与える。又、自動制御装置は、流量調節弁46を閉止し、排温水Xによる冷水の加熱を行わない。
一方、図13(b)に示す同日の夜13時の運転状態にあって、図14や図15に示すように、外調機2に取り込む前の外気Aは乾球気温20.8度・相対湿度87%であり、空調システム401は取り込んだ外気Aにプレヒーター12を作用させて加熱し(図中丸4)、目標とする絶対湿度となるまでワッシャー14を作用させて加湿し(図中丸5)、更に目標とする温度となるまで加熱媒体を入れたレヒータ18を作用させて加熱する(図中丸6)。なお、各種目標値や風量は13時と同じである。
この場合のヒートポンプ4や冷凍機404の出力等を、図15の表の24時の欄に示す。同欄によれば、自動制御装置は、24時において、ヒートポンプ4につき、外気Aの加熱負荷1527kWに追従するためプレヒーター12やレヒータ18に1527kWの温水を供給させ、これに併せて1233kWの冷水を冷却コイル16に出力させる。冷熱1233kWでは冷却負荷0kWに対し1233kW過剰となるので、自動制御装置は流量調節弁46を開放して排温水Xを熱交換機40に導入し、冷水につき1233kWの熱を与え、冷水の温水に対するバランスをとる。一方、自動制御装置は、冷凍機404を停止して冷水の冷却を行わない。
このような第9形態の空調システム401にあっても、省エネルギー性に優れた空調システム401を提供することができる。
[第10形態]
第10形態に係る空調システムは、第9形態と同様に成る。なお、第10形態では、第9形態の冷凍機が、当該冷凍機と同様に動作する空冷ヒートポンプとなっており、排熱回収型のヒートポンプが、最大加熱能力(冬季)の観点から合計11台の集合体となっている。第10形態の空調システムの自動制御装置は、温水負荷に追従するように、排熱回収型のヒートポンプの運転状態ないし運転台数を切替可能である。
図16ないし図18は第10形態の空調システムにおける、順に夏季・中間季・冬季の所定日に係る模式図ないし空気線図等である。なお、図16ないし図18のそれぞれにおいて、外気の状態の遷移やヒートポンプ・空冷ヒートポンプの出力等を示す表、並びにこのような外気の状態の遷移に対応する従来のシステムの出力を併せて示す。ここで、従来のシステムとして、プレヒーターやレヒータの加熱を都市ガス蒸気ボイラーによる蒸気の供給によって行う一方、冷却コイルの冷却を第9形態と同様の空冷ヒートポンプによる冷却媒体の供給によって行うものを想定している。
このような空調システムは、第9形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。
即ち、図16に示す夏季(2008年8月4日・名古屋市付近)の一日の運転状態にあって、自動制御装置は、ヒートポンプにつき、主に昼間において「冷水負荷>温水負荷」の状態で運転し、夜間において「冷水無し」の状態で運転する。そして、第8形態と同様に各時の出力を割り出し、更に消費電量を通算すると、ヒートポンプの通算消費電量は3403kW/日となり、空冷ヒートポンプの通算消費電量は2489kW/日となる。
又、この消費電量を二酸化炭素(CO2)の排出量に換算すると、ヒートポンプ1548kg/日・空冷ヒートポンプ1133kg/日・計2681kg/日となる。なお、効率やCO2の排出係数について、次に示すものを用いている。即ち、都市ガスについて、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令及び特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令を基に環境省が作成した「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」からの計算値(11000キロカロリー毎ノルマル立方メートル(kcal/Nm3),2.3300キログラム(CO2)毎ノルマル立方メートル(kg−CO2/Nm3))を用い、電気について、中部電力株式会社の08年度実績値(860キロカロリー毎キロワット時(kcal/kWh),0.4550kg−CO2/kWh)を用いる。
同様に、従来のシステムについて各時におけるボイラーの都市ガス使用量や空冷ヒートポンプの消費電量を割り出して通算すると、使用都市ガス量993N立方m/日・消費電量4359kWとなり、CO2排出量に換算すると、都市ガスボイラー2315kg/日・空冷ヒートポンプ1984kg/日・計4298kg/日となる。
一方、図17に示す中間季(2008年5月19日)の一日の運転状態にあって、自動制御装置は、ヒートポンプにつき、主に「冷水無し」の状態で運転する。そして、各時の出力を割り出し、更に消費電量を通算すると、ヒートポンプの通算消費電量は8569kW/日となり、空冷ヒートポンプの通算消費電量は0kW/日となる。又、この消費電量をCO2の排出量に換算すると、ヒートポンプ3899kg/日・空冷ヒートポンプ0kg/日・計3899kg/日となる。
同様に、従来のシステムについて各時におけるボイラーの都市ガス使用量や空冷ヒートポンプの消費電量を割り出して通算すると、使用都市ガス量3343N立方m/日・消費電量0kWとなり、CO2排出量に換算すると、都市ガスボイラー7790kg/日・空冷ヒートポンプ0kg/日・計7790kg/日となる。
他方、図18に示す冬季(2008年2月22日)の一日の運転状態にあって、自動制御装置は、ヒートポンプにつき、主に「冷水無し」の状態で運転する。そして、各時の出力を割り出して消費電量を通算すると、ヒートポンプの通算消費電量は16081kW/日となり、空冷ヒートポンプの通算消費電量は0kW/日となる。又、この消費電量をCO2の排出量に換算すると、ヒートポンプ7317kg/日・空冷ヒートポンプ0kg/日・計7317kg/日となる。
同様に、従来のシステムについて各時におけるボイラーの都市ガス使用量や空冷ヒートポンプの消費電量を割り出して通算すると、使用都市ガス量6274N立方m/日・消費電量0kWとなり、CO2排出量に換算すると、都市ガスボイラー14619kg/日・空冷ヒートポンプ0kg/日・計14619kg/日となる。
これら消費電量やCO2排出量等をまとめた表を図19に示す。図19の上段において、夏季(図16)・中間季(図17)・冬季(図18)の一日における従来システム(従来方式)及び本発明の消費電量・消費都市ガス量・CO2排出量を示している。なお、「HP」はヒートポンプである。
又、図19の中段において、各季の消費電量・消費都市ガス量・CO2排出量の合計を示す。ここで、これらの量は、簡便のため上段に示す状態を平均的なものとして当該状態に各季の運転日数を乗算して求めている。更に、図19の下段において、これらの量につき全季を通じた合算値を示す。このような合算値によれば、第9形態の空調システムでは、従来方式と比べて、年間のCO2の排出量を2051トン(ton,t)に対し1058tというように、48%削減することができている。又、年間のエネルギー使用量(消費電量及び都市ガス使用量)につき原油に換算すると、第9形態の空調システムで598キロリットル(kl)となる一方、従来例で1053klとなり、43%の削減効果が現れている。
[第11形態]
図20は第11形態に係る空調システム501の模式図であって、空調システム501は、第9形態と同様に成り、第9形態の構成に対し、冷凍機404の代わりにクーリングタワー(CT)504a〜504d等を複数配置すると共に、排熱回収型のヒートポンプ4をヒートポンプ4a〜4d等として複数配置し、又外調機2を複数の外調機2a〜2d等とすると共に、温水ボイラー506及び温水タンク508を設置して成る。なお、ここでは加熱媒体として温水を用い、冷却媒体として冷水を用いているが、冷媒やガス等を用いても良い。又、温水ボイラー506に代えて、電気ヒータや空冷ヒートポンプ等あるいはこれらの組合せの他熱源を用いて良い。
ヒートポンプ4a〜4dの温水出入口にはそれぞれ加熱側供給パイプ34a〜34dないし加熱側戻りパイプ36a〜36dが接続されており、加熱側供給パイプ34a〜34dは加熱側供給パイプ34にまとまって温水ボイラー506に至り、加熱側戻りパイプ36a〜36dは加熱側戻りパイプ36から分岐して成る。又、加熱側供給パイプ34a〜34dにはそれぞれ電動弁510a〜510dが介装されている。更に、加熱側供給パイプ34a〜34dからはCT504a〜504dの温水出入口に至るパイプがそれぞれ分岐しており、これら分岐パイプにはそれぞれ電動弁512a〜512dが介装されている。
このような空調システム501は、第9形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。
即ち、図21に示すように、システムの起動時には、ヒートポンプ4a〜4d等の運転を開始する。まず、自動制御装置は、外調機2a〜2d等の起動指令があるか否かをチェックし(ステップS101)、起動指令があれば、冷水が必要であるかを外気の温度や湿度等に基づき判断する(ステップS102)。そして、必要であるときのみ(YES)、外気温度・湿度や前稼働日の運転台数等に基づき算出した必要台数に係るヒートポンプ4を冷房運転する(ステップS103)。
この後、自動制御装置は、他機器も稼働開始中であること等による工場立ち上げ時の排温水Xの熱量不足に対応するため、温水ボイラー506の運転を開始すると共に(例えば設定温度58度、ステップS104)、冷水が設定温度に対して上下各2度以内となって所定時間が経過し、かつ温水が設定温度に対して上下各2度以内となって所定時間が経過するまで待機して(ステップS105)、冷温水が整った後に外調機のファン(ブロワ20)の運転を開始する(ステップS106)。
更に、自動制御装置は、ヒートポンプ4の冷房モードにおける追加運転が必要である場合に1台の追加運転を行い(ステップS107,S108)、外調機2の風量や温度・湿度が管理値(所定値)で安定しない限りこれを繰り返す(ステップS109)。
続いて、自動制御装置は、排温水Xの温度や排温水Xの源であるコンプレッサーの運転台数等に基づき排温水Xの熱交換機40に係る熱量が設定値以上となったことを判断するまで待機した後(ステップS110)、1台のヒートポンプ4を温水追従モードで運転し(ステップS111)、温水ボイラー506を停止するまで以下の各処理をループする(ステップS112)。
即ち、自動制御装置は、排温水Xに係る流量調節弁46の開度が60%以下であれば(ステップS113)、所定間隔でヒートポンプ4を温水追従モードで追加運転し(例えば温水設定温度60度、ステップS114)、冷水や温水がそれぞれ設定温度の前後数度で安定するまで待機する(ステップS115)。次に、自動制御装置は、温水追従モードに係るヒートポンプ4の温水により温水ボイラー506による熱の付与が殆ど不要となり、温水ボイラー506の停止が可能でない場合には(ステップS116でNO)、ループを続け(ステップS112)、可能である場合には(ステップS116でYES)、外調機2の起動を完了する。このように温水追従モードに係るヒートポンプ4を追加運転していくことで、必要な量の温水がヒートポンプ4により供給されるようになり、温水ボイラー506が自動的に停止する。
次に、自動制御装置は、システムの起動完了後、図22に示すようなヒートポンプ4の冷水負荷調整制御や、図23に示すようなヒートポンプ4の温水供給不足防止制御や、図24に示すような冷水供給不足防止制御を行う。
即ち、自動制御装置は、外調機2の全台停止に係る指令を受けた場合には(ステップS201でNO)、ヒートポンプ4の全台を停止すると共に(ステップS202)、温水ボイラー506を停止し(ステップS203)、制御を完了する。
又、自動制御装置は、排温水Xに係る流量調節弁46の開度が例えば60%以下でなく(ステップS204でNO)、例えば80%以上でもない(ステップS205でNO)場合には、図23に係る温水供給不足防止制御に移行し、そうではない場合には、冷熱負荷の調整として、ステップS206,S207を実行して当該制御に移行する。
自動制御装置は、ステップS204でYESとなると実行されるステップS206において、流量調節弁46の開度が60%以下であり外調機2の冷水負荷が増えたことに応じて、温水追従モードで運転されるヒートポンプ4の許容台数(運転可能とする最大の台数)を1台増加する。
一方、自動制御装置は、ステップS205でYESとなると実行されるステップS207において、流量調節弁46の開度が80%以上であり排温水Xでは十分に加温できない程に外調機2の冷水負荷が減っていることに応じて、温水追従モードで運転されるヒートポンプ4の許容台数を1台分減らすと共に、温水追従モードで運転されあるいは待機されるヒートポンプ4を冷房モードとし、当該ヒートポンプ4に対応する電動弁512a〜512dを開けると共に電動弁510a〜510dを閉じて温水側の回路をCT504側として、当該ヒートポンプ4の温水を冷却可能とする。
そして、図23に係る温水供給不足防止制御において、自動制御装置は、例えば温水供給温度が所定値より低いか否か、あるいは第2温熱供給量調節弁109が全開である(所定値の開度以上である)か否か等といったように、外調機2へ供給する熱量が不足しているか否かを判断し(ステップS301)、不足していればステップS302へ進み、不足していなければステップS310へ進む。なお、自動制御装置は、温水ボイラー506が作動していれば、ステップS310へ進む。
自動制御装置は、外調機2へ供給する熱量が不足している場合、ステップS302において温水追従モードで待機しているヒートポンプ4が存在するか否かを判断し、存在していれば当該ヒートポンプ4の運転を開始して(ステップS303)、処理の最初に戻り、存在していなければ更に冷房モードで待機しているヒートポンプ4が存在するか否かを判断し(ステップS304)、存在していなければ温水の熱量に関するバックアップとして温水ボイラー506を運転して(ステップS305)、処理の最初(ここではステップS201)に戻り、存在していればステップS306以降を実行する。
ステップS306において、自動制御装置は、冷房モードで待機しているヒートポンプ4の内の1台につき、対応する電動弁510a〜510dを開けると共に電動弁512a〜512dを閉じて温水側の回路を外調機2側として、温水追従モードに移行させる。続いて、自動制御装置は、ステップS307を実行し、温水ボイラー506が運転中であれば(YES)、温水追従モードで待機しているヒートポンプ4の運転を開始して(ステップS308)、処理の最初に戻り、温水ボイラー506が運転中でなければ(NO)、そのまま処理の最初に戻って、続くステップS301〜S303の実行により、ステップS306でモードを移行したヒートポンプ4の運転を開始する。
一方、自動制御装置は、外調機2への熱量が不足しておらずステップS310に移行すると、温水ボイラー506の停止が可能か否かにつき温水が温水ボイラー506の設定温度(58度)より高くなっていること等に基づき判断し、可能であればバックアップボイラーの停止制御として温水ボイラー506の停止を行い(ステップS311)、ステップS312に移行する。
自動制御装置は、ステップS312において、温水追従モードに係るヒートポンプ4の運転台数の減少が可能か否かを、温水戻り温度が所定値より高くなったか否か等に基づき判断し、可能であれば当該ヒートポンプ4の内の1台の運転を停止して(ステップS313)、ステップS314に移行する。
自動制御装置は、ステップS314において、温水追従モードに係るヒートポンプ4の運転台数及び待機台数が運転許容台数以下となっているか否かを確認する。即ち、温水追従モードに係るヒートポンプ4を増加すると、その分冷水供給量も増加するが、その冷水が加温したにもかかわらず所定の温度以下となるような温度低下を起こしたままヒートポンプ4に戻る事態が発生しないように十分に加温が行えるのか否かを判断する。
自動制御装置は、ステップS314でNOであれば、冷水供給防止制御に移行する。一方、自動制御装置は、ステップS314でYESであれば、冷房モードで待機するヒートポンプ4が存在する場合に当該ヒートポンプ4を温水追従モードへ移行して温水側回路の切替えも行うと共に温水ボイラー506が運転中か否か確認し(ステップS315〜S317)、冷房モードで待機するヒートポンプ4が存在しない場合には冷水供給不足防止制御に移行する。
ステップS317において温水ボイラー506が運転中であると確認すると、自動制御装置は、温水追従モードで待機するヒートポンプ4を運転し(ステップS318)、処理の最初に戻る。
他方、自動制御装置は、図24の冷水供給不足防止制御において、外調機2に供給する冷熱が不足しているか否かにつき、冷水戻り温度が所定値より高いか否かや、流量調節弁46が全開である(所定値の開度以上である)か否か等に基づいて判断し(ステップS401)、不足していなければ冷房モードで運転されるヒートポンプ4の台数が減少可能である場合(ステップS402でYES)に当該ヒートポンプ4の内の1台を停止して(ステップS403)、処理の最初に戻る。
一方、自動制御装置は、冷熱が不足していれば(ステップS401でYES)、冷房モードで待機するヒートポンプ4が存在するか否かを確認し(ステップS404)、存在しなければ当該ヒートポンプ4の運転を開始して(ステップS405)、処理の最初に戻る。
又、自動制御装置は、ステップS404で冷房待機するヒートポンプ4が存在しないと判断すると、温水追従運転の待機をするヒートポンプ4が存在するか否かを判断し(ステップS406)、存在すれば当該ヒートポンプ4の温水回路の切替をした上で冷房モードへ移行して(ステップS407)、処理の最初に戻る。ステップS407においては、冷房モードに係る待機機がない場合に、温水モードに係るヒートポンプ4を冷房モードに転換することで、冷水不足に対応する。
一方、ステップS406で追従運転待機するヒートポンプ4が存在しないと判断した自動制御装置は、温水ボイラー506が運転中でなければ運転を開始すると共に(ステップS408,S409)、追従運転中のヒートポンプ4の内の1台につき冷房モードへ移行し(ステップS410)、電動弁512a〜512dを開けると共に電動弁510a〜510dを閉じて温水側の回路をCT504側として、当該ヒートポンプ4の温水を冷却可能とし(ステップS411)、処理の最初に戻る。ステップS411においては、冷水モードないし温水追従待機に係るヒートポンプ4がない場合に、温水追従モードに係るヒートポンプ4を冷房モードに切替えることで、冷水不足に対応する。なお、この切替により温熱が不足する場合には、上記の温水供給不足防止制御において対応する。
第11形態に係る空調システム501では、ヒートポンプ4a〜4d等が複数存在するため、いかなる規模の工場等であっても低コストで柔軟に対応することができ、規模変更にも即座に対応することができ、エネルギー効率に優れたヒートポンプ4利用のブース空調を適切に導入可能とすることができる。
又、空調システム501では、自動制御装置が、冷水や温水の状態(温度・熱量・流量等)ないしこれに対応する各種流量調節弁の開度等に基づいて、ヒートポンプ4の運転台数を変更し、あるいはヒートポンプ4の運転モード(温水追従モードあるいは冷房モード)を切替えるので、冷水負荷の調整や冷水ないし温水の供給不足の防止に関する制御を自動で適切に行うことができ、ブース空調につき効率が良好で安定した動作を確保することができる。
なお、空調システム501では、温水ボイラー506が設置されるため、温水生成のための熱量が不足する場合やシステム起動時等のバックアップを行うことができ、更に動作を安定させることができる。なお、温水ボイラーに代えて、蒸気ヒーターや電気ヒーターあるいは空冷ヒートポンプを採用しても良い。
[第12形態]
図25は第12形態に係る空調システム601の模式図であって、空調システム601は、第11形態と同様に成り、第11形態の構成に対し、排温水Xに係る熱交換機40より下流(冷水の戻る側)において空冷ヒートポンプ154(単数でも複数でも良い)並びにこれと接続される熱交換機640・熱交換導入パイプ642・熱交換導出パイプ644・流量調節弁646を追加したものとなっている。なお、温水ボイラー506を省略することができる。又、空冷ヒートポンプ154が複数である場合には、自動制御装置が温水の冷却に必要とされる能力に応じて運転台数を切替える。
このような空調システム601は、第11形態と同様に動作し、例えば次に説明するように動作する。
即ち、図26に示すように、システムの起動時において、自動制御装置は、外調機2の起動指令があるか否かをチェックし(ステップS501)、起動指令があれば、空冷ヒートポンプ154を運転する(ステップS502)。空冷ヒートポンプ154の運転により、システム起動時(工場の稼働開始時)に不足する冷水側加温のための温熱を熱交換機640に供給するようにして、ヒートポンプ4の冷水温度を制御可能とする。又、自動制御装置は、1台のヒートポンプ4につき温水追従運転をする(ステップS503)。
次に、自動制御装置は、冷水や温水の温度が安定するまで待機し(ステップS504)、全ての外調機2の風量・温度・湿度がインバーター制御等により安定するまで繰り返されるループを実行する(ステップS505)。
当該ループにおいて、自動制御装置は、まず1台ずつ外調機2を起動し、ブース空調の風量を徐々に増やす(ステップS506)。このような風量の増加あるいは外調機2の順次の起動により、温水と冷水が同時に供給されるヒートポンプ4を用いた制御において安定性が確保される。
次に、自動制御装置は、第2温熱供給量調節弁109が全開(所定開度以上)であるか否かや、温水温度が所定値以下であるか否か等といった基準により、温水が不足しているか否かを判断し(ステップS507)、不足していなければ後述のステップS512に移行し、不足していればステップS508以降を実行する。
自動制御装置は、ステップS508において、空冷ヒートポンプ(空冷HP)154側の流量調節弁646の開度が例えば60%以下であるか否かを判断し、60%以下であれば、ヒートポンプ4を温水追従モードで追加起動して(ステップS509)、ステップS507へ戻り、60%以下でなければ、温水ボイラー506が停止中である場合にこれを運転(ステップS510,511)、ステップS507へ戻る。ステップS509の実行により、まず温水追従運転されるヒートポンプ4が出現し、温水供給の安定が図られる。このとき、冷水側に関しては、空冷ヒートポンプ154によってバランスが確保される。なお、夏季等において冷熱が不足している場合、次のステップS512以降において冷水不足が解消される。
一方、自動制御装置は、温水が不足しない場合に移行するステップS512において、流量調節弁46,646が所定開度以上であるか否かや、冷水温度が所定値以上であるか否か等といった基準により、冷水が不足しているか否かを判断し(ステップS512)、冷水が不足している場合にはヒートポンプ4を冷房モードで追加起動し(ステップS513,S512)、冷水が不足していない場合にループ処理を完了して(ステップS514)、ステップS515に移行する。
自動制御装置は、ステップS515で排温水Sに係る流量調節弁46の開度が例えば70%以下であると判断した場合のみ、排温水Xの熱量が十分であるとして空冷ヒートポンプ154を停止し(ステップS516)、外調機2の起動処理を完了する。
次に、自動制御装置は、システムの起動完了後、図27に示すようなヒートポンプ4の冷水負荷調整制御や、第11形態と同様に成るヒートポンプ4の温水供給不足防止制御ないし冷水供給不足防止制御を行う。
即ち、自動制御装置は、外調機2の全台停止に係る指令を受けた場合には(ステップS201でNO)、ヒートポンプ4の全台を停止すると共に(ステップS202)、温水ボイラー506を停止し(ステップS203)、更に空冷ヒートポンプ154の停止をして(ステップS601)、制御を完了する。
又、自動制御装置は、排温水Xに係る流量調節弁46の開度が例えば70%以下であれば(ステップS602でYES)、外調機2において冷熱が十分に使用されているか、あるいは排温水Xの温度が十分に高いものとして、空冷ヒートポンプ154を停止すると共に(ステップS603)、温水追従モードに係るヒートポンプ4の許容台数を1台増加して(ステップS206)、他の制御に移る。
一方、自動制御装置は、排温水Xに係る流量調節弁46の開度が70%以下でなければ(ステップS602でNO)、冷水を排温水Xで十分に加熱できないものとして、空冷ヒートポンプ154が停止中である場合にのみこれを暖房モードで運転し(ステップS604,S605)、更に空冷ヒートポンプ154に係る流量調節弁646の開度が80%以上であれば(ステップS606でYES)、空冷ヒートポンプ154の運転によってもなお冷熱が十分に解消されないものとして、温水追従モードで運転されるヒートポンプ4の許容台数を1台分減らすと共に、温水追従モードで運転されあるいは待機されるヒートポンプ4を冷房モードとし、当該ヒートポンプ4に対応する電動弁512a〜512dを開けると共に電動弁510a〜510dを閉じて温水側の回路をCT504側として、当該ヒートポンプ4の温水を冷却可能とし(ステップS207)、他の制御に移行する。なお、温水追従運転されるヒートポンプ4が減少することにより温熱が不足する場合、温水供給不足防止制御により対応される。
又、自動制御装置は、空冷ヒートポンプ154に係る流量調節弁646の開度が80%以上でなければ(ステップS606でNO)、空冷ヒートポンプ154に係る流量調節弁646の開度が例えば60%以下であるときのみ、冷水加温用の熱量に余裕があるものとして、温水追従モードで運転可能なヒートポンプ4の許容台数を1台増加し(ステップS607,S206)、他の制御に移る。
第12形態に係る空調システム601にあっても、第11形態と同様、複数のヒートポンプ4につき運転状態を切替えることで、ブース空調につき適応性に優れ効率が良好で安定した動作を確保することができる。
又、空調システム601では、排温水Xに加えて空冷ヒートポンプ154によっても冷水側を加熱するため、第11形態と比較して空冷ヒートポンプ154を設置する必要が生ずるものの、排温水Xの有無や状態にかかわらず、ヒートポンプ4の継続運転による極めてエネルギー効率の良好なブース空調を提供することができる。
[第13形態]
図28は第13形態に係る空調システム701の模式図であって、空調システム701は、第1形態と同様に成り、第1形態の構成に対し、クーリングタワー(CT)754を備え、冷熱側が冷却側供給パイプ30・冷却側戻りパイプ32とCT側供給パイプ730・CT側戻りパイプ732とで切替可能として成る。当該切替は、自動制御装置が行うが、スイッチ操作により行っても良い。なお、ヒートポンプ4はここでは複数の排熱回収型ヒートポンプから成る。又、ヒートポンプ4は、工場等の施設に設けられ、当該施設の消費電力(受電量)をセンサによりモニタし、更に適宜当該消費電力に応じて電力で駆動される機器に関する制御あるいは当該消費電力に関する信号の発信を実行する図示しないデマンドコントローラと電気的に接続されている。更に、自動制御装置は、ヒートポンプ4に関する図示しないモード切換スイッチと電気的に接続されている。又、パイプ30,32とCT側供給パイプ730・CT側戻りパイプ732との切替に代えて、クーリングタワー754の冷却水(パイプ730,732)とヒートポンプ4の温水(パイプ32,30)を熱交換しても良い。
このような空調システム701は、第1形態と同様に動作し、例えば図29で示すように動作する。
即ち、自動制御装置は、温水追従運転されるヒートポンプ4(図28(a))がある場合に(ステップS701でYES)、デマンドコントローラから受電量が所定値(例えば契約電力あるいはこれより僅かに低い値)を超える旨の信号が出力されていると(ステップS702でYES)、他に温水追従運転されるヒートポンプ4があるものの当該他のヒートポンプ4より運転優先順位が低く(全ての温水追従運転されるヒートポンプ4の内で運転優先順位が最下位であるか(ステップS703でYES,ステップS704でYES)、他に温水追従運転されるヒートポンプ4がない(ステップS703でNO)と、温水回路をクーリングタワー754側で切替えると共に、当該ヒートポンプ4を冷房モードで運転する(ステップS705,図28(b))。
又、自動制御装置は、デマンドコントローラからの信号がないものの、モード切換スイッチの押下を把握すると(ステップS706でYES)、やはり優先順位の低いヒートポンプ4の運転を冷房モードに切替える(ステップS705)。
このようにヒートポンプ4の運転モードを温水追従モードから冷房モードに切替えると、次に例示するように消費電力を下げることができる。即ち、図28(a)の温水追従運転において、加熱媒体60度・冷却媒体7度・冷熱供給量260kW・排温水Xによる加温なしという状態である場合、消費電力は120kW(冷却側COP2.17)である。そして、この状態から冷房運転に切替えると、排温水Xによる加温がないままで、加熱媒体37度・冷却媒体7度・冷熱供給量260kWとしても消費電力を37kW(冷却側COP7.1)となり、冷熱量を維持したまま効率を更に改善して消費電力を低減することができる。なお、冷房運転時において加熱量が不足する場合には、温水ボイラー等の他熱源で加熱量を補う。
第13形態に係る空調システム701では、ヒートポンプ4の運転モードにつき、温水追従モードと冷房モードとで切替可能であるため、温水追従モードから冷房モードへ切替えることで消費電力を抑制することができ、契約電力を超える事態を防止してヒートポンプ4の運転を継続することができ、省エネルギー性や動作安定性に優れたブース空調を提供することが可能となる。
なお、第12,13形態のような冷水負荷調整制御、温水供給不足防止制御、及び冷水供給不足防止制御の内の少なくとも1つは、排熱回収型ヒートポンプ等を利用した塗装乾燥装置(例えば本出願人による特願2008−305017に係るもの)や、排熱回収型ヒートポンプ等を利用した電着塗装装置(例えば本出願人による特願2008−209954や特願2008−310138に係るもの)、あるいは排熱回収型ヒートポンプ等を利用した成型機の温度調節(例えば本出願人による特願2009−276713)においても適用することができる。
[第14形態]
図30は第14形態に係る空調システム801の模式図であって、空調システム801は、第1形態と同様に成るが、外調機2が手吹き塗装する手吹きブースHBの手前に配置されていると共に、空調装置としての排気循環空調機802を手吹きブースHBとロボットにより塗装する自動塗装室RBとの間に備えている。排気循環空調機802は、それぞれ外調機2と同様に成る、冷却コイル816、ヒーター818、及びブロワ820を備えている。排気循環空調機802は、省エネルギーを目的として、手吹きブースHBの排気A1(基エア)を基エア取込口から吸い込んで再利用し、調整されたエアB2として自動塗装室RBに供給する。排気A1の排出に際しては、塗装ミストを回収するため、排気室の壁面や床面に水膜を張っており、排気A1は湿度が高い状態となっている。なお、自動塗装室RBからは排気B3が出る。なお、手吹きブースHBに代えて、あるいは手吹きブースHBと共に自動塗装室を配置し、その排気をリサイクルしても良い。
このような空調システム801は、第1形態と同様に動作する。即ち、冬季等において、排気循環空調機802における加熱負荷が冷却負荷より過大であり、そのままではヒートポンプ4の運転が維持できないような場合であっても、冷却側に排温水Xを適用することで、加熱負荷と冷却負荷との釣り合いをとり、ヒートポンプ4の加熱負荷に応じた運転を継続させて、排気A1につき温度ないし湿度の調整されたエアB2として、自動塗装室RBに再利用のため供給することが可能である。
[第15形態]
図31(a)は第15形態に係る空調システム821の夏季等における模式図、図31(b)は冬季等における模式図であって、空調システム821は、第11形態と同様に冷却媒体タンク208及び温水タンク508を備えており、これらタンクの間にヒートポンプ4xが配置されている。又、外調機2の他に、有人塗装室HPの排気AHの温度や湿度を調整してエアBAとして自動塗装室APに供給する排気循環空調機822を備えている。排気循環空調機822は、冷却コイル826及びヒータ828並びにブロワ830を備えている。なお、排気循環空調機822は、有人塗装室HPに代えてあるいは有人塗装室HPと共に自動塗装室の排気を再利用のため処理しても良い。
又、空調システム821は、冷却媒体タンク208側にヒートポンプ4yを備えており、冷却媒体タンク208の冷水を冷却可能である。ヒートポンプ4yの加熱媒体側回路は、クーリングタワー832と接続されており、ヒートポンプ4yの加熱媒体がクーリングタワー832により冷却可能になっている。更に、ヒートポンプ4yの加熱媒体側には温水タンク838が配置されており、加熱媒体側回路につき温水タンク838側に切替可能となっている。又、ターボ冷凍機834(の一部)は、冷凍機冷却回路836により、冷却媒体タンク208に冷熱を供給可能とされている。なお、冷凍機冷却回路836は、供給パイプと戻りパイプとから成る回路であるが、図では双方向の矢印として示しており、以下一部の回路につき同様に示す。
加えて、工場には、排温水(加温されて排出される冷却水)を出す空気圧縮機840が配備されており、当該排温水につき、冷却媒体タンク208の加温用熱交換機(図示せず)側の回路841と、ヒートポンプ4yの冷却側供給パイプ30y及び冷却側戻りパイプ32yとで回路を切替可能とされている。なお、空気圧縮機840の排温水に代えて、あるいは空気圧縮機840の排温水と共に、工場に属する他の機器の排熱を利用して良い。
又、工場には、温水タンク838の温水を加熱可能な蒸気等を供給するボイラー842が設置されている。ボイラー842は、ここでは都市ガスボイラーとなっており、温水タンク838とボイラー温水回路843を介して接続されている。
なお、温水タンク508と、レヒータ18,ヒーター828との間には、順に温水回路844,845が配置されている。又、冷却媒体タンク208と、冷却コイル16,826との間には、順に冷水回路846,847が配置されている。更に、温水タンク838と、プレヒーター12との間には、温水回路848が配置されている。なお、温水タンク838及び/又は冷却媒体タンク208を省略し、直接温水及び/又は冷水を供給するようにしても良い。又、外調機2や排気循環空調機822の各種コイルやヒータ等に対する冷却媒体や加熱媒体の供給量の調整は、三方弁によるものに限らず、インバーター制御(ポンプをインバーターにより流量制御する)によっても良く、この点も本形態だけでなく何れの形態においても変更可能である。
このような空調システム821は、第11形態や第14形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、夏季等においては、図31(a)に示すように、ヒートポンプ4xによって加熱負荷に追従する状態で温水タンク508(50度)の加熱と冷却媒体タンク208の冷却(7度)とを行う。又、加熱負荷に合わせると冷却が不足しそうになる場合には、ヒートポンプ4yにより冷却媒体を冷却媒体タンク208に供給し、冷水の温度を調整する。ヒートポンプ4yの運転時に生成される加熱媒体(37度)は、クーリングタワー832により冷却されて循環する。そして、ヒートポンプ4yの運転状態にかかわらず、冷却媒体タンク208の冷水が過冷却になろうとすると、回路841を介して空気圧縮機840の排熱(冷却水40度)を冷却媒体タンク208に適用し、冷水を加温して適正な温度に調整する。
このようなヒートポンプ4の運転等により、空調システム821では、ブースや自動塗装室APへの調整されたエアB,BAの供給を、省エネルギー性の高い状態で継続することができる(外調機2で35度80%の外気Aを28度80%のエアBに、排気循環空調機822で26度90%以上の排気AHを28度80%のエアBAにする)。
一方、冬季等においては、図31(b)に示すように、やはりヒートポンプ4xによって加熱負荷に追従する状態で温水タンク508(50度)の加熱と冷却媒体タンク208の冷却(7度)とを行う。又、冷却媒体タンク208の冷却不足の場合には、ターボ冷凍機834により対応する。更に、ヒートポンプ4yの加熱側を温水タンク838側に切替え、適宜ボイラー842の補助を受けつつプレヒーター12用の温水の加熱をする(60度)。ヒートポンプ4yの冷却側には空気圧縮機840の排熱を適用し、運転の継続に配慮する。
このようなヒートポンプ4の運転等により、空調システム821では、冬季等においても、ブースや自動塗装室APへの調整されたエアB,BAの供給を、省エネルギー性の高い状態で継続することができる(外調機2で2度80%の外気Aを20度80%のエアBに、排気循環空調機822で18度90%以上の排気AHを20度80%のエアBAにする)。
又、空調システム821では、外調機2のレヒータ18を温水タンク508からの温水により加熱する一方、プレヒーター12を温水タンク838からの温水により加熱しており、レヒータ18と温水タンク838とで温水系統が独立しているため、レヒータ18及び温水タンク838にそれぞれにおいて適切な温度ないし熱の制御を実行することができ、効率の良好な制御を実現することができる。即ち、例えばプレヒーター12の温水温度(60度)に対してレヒータ18の温水温度(50度)を低くする制御を実行し、ヒートポンプ4xの能力を向上して効率を良好なものとすることができる。
[第16形態]
図32(a)は第16形態に係る空調システム851の夏季等における模式図、図32(b)は冬季等における模式図であって、空調システム851は、第15形態と同様に成るが、温水タンク838が省略されており、ヒートポンプ4yの加熱側がクーリングタワー832側と温水タンク508側とで切替可能となっていて、ヒートポンプ4yの冷却側が冷却媒体タンク208側と空気圧縮機840側とで切替可能となっている。なお、プレヒーター12は、温水回路848aを介して、温水タンク508又は温水回路844に接続されている。
このような空調システム851は、第15形態と同様に動作し、特に冬季等にはヒートポンプ4xに加えてヒートポンプ4yが温水タンク508の加熱を実施し、ボイラー842が温水タンク508の加熱(60度)を調整する。従って、空調システム851においても、ブースや自動塗装室APへの調整されたエアB,BAの供給を、省エネルギー性の高い状態で継続することができる。
[第17形態]
図33(a)は第17形態に係る空調システム861の冷熱負荷が重い場合における模式図、図33(b)は空調システム861の冷熱負荷が比較的軽い場合における模式図、図33(c)は空調システム861の温熱負荷が冷熱負荷を上回る場合における模式図、図34(a)は空調システム861の冷熱負荷がない場合における模式図、図34(b)は空調システム861の冷熱負荷がなく温熱負荷が比較的大きい場合における模式図であって、空調システム851は、第3形態と同様に成るが、複数の空冷ヒートポンプの代わりにヒートポンプ4p,4q,4r等を用いており、又空気圧縮機840が配備されている。なお、空調システム861は、ヒートポンプ4の加熱側供給パイプ34における温水を加温する熱交換機862と、熱交換機862に蒸気(温水)STを供給可能な図示しないボイラーと、当該蒸気STの供給量を調整可能な温熱供給量調節弁864を備えている(図34(b)参照)。又、空調システム861は、空気圧縮機840の冷却水を冷却するクーリングタワー832aと、冷却量を調整するための冷熱供給調節弁866を備えている。
ヒートポンプ4p等の加熱側には、供給側のモーター弁47p等や戻り側のモーター弁49p等を介してクーリングタワー832p等に接続されている。又、ヒートポンプ4p等の加熱供給パイプ34pにあっては、モーター弁47pによりヒートポンプ4の加熱側供給パイプ34側へ切替(ないし流量調整)可能であり、ヒートポンプ4p等の加熱戻りパイプ36pは、モーター弁49pによりヒートポンプ4の加熱側戻りパイプ36側へ切替(ないし流量調整)可能である。なお、クーリングタワー832p等の何れかとクーリングタワー832aとは共通であっても良い。
更に、ヒートポンプ4p等の冷却側のモーター弁43p,45p等により、当該冷却側の回路につきヒートポンプ4の冷却側と空気圧縮機840側とで切替(ないし流量調整)可能とされている。空気圧縮機840側に切替えられた場合には空気圧縮機840の冷却水と熱交換可能である。又、ヒートポンプ4の冷却側供給パイプ30及び冷却側戻りパイプ32にも順にモーター弁43,45が設置されており、同様に外調機2側と空気圧縮機840側とで切替(ないし流量調整)可能とされている。なお、図33(a),(b)においてはヒートポンプ4pの回路が省略されており、図33(c),図34(a)においてはヒートポンプ4pの加熱側回路が省略されている。これらの加熱側回路は、実際には外調機2のレヒータ18と繋がっている。
このような空調システム861は、第3形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、夏季の冷熱重負荷時等の図33(a)の場合、外調機2においては除湿のため冷却コイル16へ冷熱を供給する必要があり(冷却コイル16による過冷却ないしレヒータ18による再加熱)、冷熱負荷に応じた台数におけるヒートポンプ4p等の冷房運転を行う。このとき、ヒートポンプ4p等の冷却側はヒートポンプ4の冷却側に切り替わっており、ヒートポンプ4p等の加熱側はクーリングタワー832p等側に切り替わっている。又、複数のヒートポンプ4pが冷房運転していれば、全てのヒートポンプ4p等につき冷房運転又は冷房運転待機の状態とする。ただし、全体としての冷却能力に余裕があれば、1台を暖房待機状態とする。
例えば、ヒートポンプ4,4p等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4には12度で戻る。このとき、ヒートポンプ4の温水供給温度は60度であり、温水戻り温度は55度である。又、ヒートポンプ4p等の温水供給温度は35度であり、温水戻り温度はクーリングタワー832p等の冷却により30度である。当該冷却により、ヒートポンプ4p等は冷房運転を継続することができる。
又、夏季の冷熱軽負荷時等の図33(b)の場合、負荷に応じて冷房運転するヒートポンプ4p等が1台となったら、他の1台につき冷房待機を行い、残りのヒートポンプ4p等につき温水追従運転(暖房運転)の待機を行う。温水追従待機中のヒートポンプ4p等の加熱側は、クーリングタワー832p等側からヒートポンプ4の加熱側に切替えられ、冷却側は、ヒートポンプ4の冷却側から空気圧縮機840側へ切替えられる。そして、自動制御装置は、ヒートポンプ4の温水戻り温度あるいは温水出口温度が所定値以下となる等、温熱の不足を検知したら、温水追従待機中のヒートポンプ4p等を運転する。なお、ヒートポンプ4p等の内1台でも温水追従運転が開始されると、冷房待機中のヒートポンプ4p等を温水追従待機状態に切替える。
例えば、ヒートポンプ4や冷房運転するヒートポンプ4p等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4には12度で戻る。ここで、ヒートポンプ4の温水供給温度は60度であるものの、温水戻り温度は55度から53度以下となったら、温水追従待機中のヒートポンプ4p等を運転し、冷水を30度で空気圧縮機840に供給し、冷却水との熱交換により35度で戻らせる。又、温水追従運転中のヒートポンプ4p等は、ヒートポンプ4へ戻る温水を60度まで加熱し、ヒートポンプ4の加熱側供給パイプ34へ戻す。温水追従運転中のヒートポンプ4p等に空気圧縮機840の排熱を適用することにより、ヒートポンプ4p等は暖房運転を継続することができる。
更に、夏季の夜間等で、外気温の低下により冷房負荷(冷熱負荷)が少なく、ヒートポンプ4の冷却最低出力(あるいはこれを上回る所定出力)未満となった場合、図33(c)に示すように、ヒートポンプ4の冷却側を空気圧縮機840側に切替え、ヒートポンプ4による外調機2に対する冷房を停止する。外調機2の冷房は、冷房運転する1台のヒートポンプ4p等により行われる。
例えば、冷房運転するヒートポンプ4p等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4には12度で戻る。冷房運転するヒートポンプ4p等の加熱側は、クーリングタワー832p等で運転継続可能に冷却される。又、ヒートポンプ4の冷水供給温度は30度であり、冷水戻り温度は空気圧縮機840の冷却水との熱交換により35度とされ、ヒートポンプ4による温水供給の継続を可能としている。一方、ヒートポンプ4の温水側は温水追従運転中のヒートポンプ4p等により適宜加温され、供給温度が60度に維持される(戻り温度は55度近辺となる)。
又、中間季や冬季等で温度低下や除湿のための冷熱が不要である場合、図34(a)に示すように、ヒートポンプ4p等は温熱負荷に応じて温水追従運転又は待機状態とされ、ヒートポンプ4も含めて冷却側が空気圧縮機840側に切替えられる。ただし、自動制御装置は、冷却側の温度や各種モーター弁の開度あるいは外気温やブース温度ないしこれらの関係から、外調機2において冷水が必要になりそうであると判断すると、ヒートポンプ4p等の内の1台を冷房待機状態とする。
例えば、ヒートポンプ4,4p等の加熱側は、55度で戻り、60度で供給される。又、ヒートポンプ4,4p等の冷却側は、空気圧縮機840の冷却水により30度から35度に加温され、空気圧縮機840の排熱を利用してヒートポンプ4,4p等の運転を継続することができる。
加えて、冬季等で冷熱が不要であり温熱負荷が大きい場合、図34(b)に示すように、ヒートポンプ4p等は温水追従運転され、ヒートポンプ4も含めて冷却側が空気圧縮機840側に切替えられる。又、温熱負荷により、ボイラーから蒸気ST等を温熱供給量調節弁864による調整のうえで供給し、熱交換機862を介して温水を加熱する。
更に、空気圧縮機840の排熱量が工場の空気消費量の減少等により低下して、ヒートポンプ4,4p等の冷却側の加温が十分に行えなくなる場合、そのままではヒートポンプ4,4p等の冷水戻り温度が低下し、ヒートポンプ4,4p等が停止する温度(例えば5度)となってしまう。そこで、冷水が所定温度(例えば20度)以下となった場合、自動制御装置はヒートポンプ4p等を1台ずつ停止して温水追従待機状態とし、空気圧縮機840の冷却水温度を保持する。ヒートポンプ4p等の停止による加熱量の減少は、熱交換機862による加熱により補われる。なお、ヒートポンプ4,4p等の出力をインバーター等により絞ることで空気圧縮機840の冷却水温度の低下を防止しても良いし、温水の流量を温水ポンプやインバーター等により絞ることでヒートポンプ4,4p等の出力を絞って空気圧縮機840の冷却水温度の低下を防止しても良いし、熱交換機862における加熱量を増すことでヒートポンプ4,4p等の負担を減らして運転継続に必要な冷水の加熱量を減らし、空気圧縮機840の冷却水温度の低下を防止しても良い。又、ヒートポンプ4の温水供給温度設定値を下げ、ヒートポンプ4の出力を絞ることで、冷却水温度の低下を防止しても良い。なお、熱交換機862に代えて、温水ボイラーや電気ヒーターあるいは空冷ヒートポンプとしても良い。
又、空気圧縮機840の排熱量が工場の空気消費量の増加等により上昇して、ヒートポンプ4,4p等の冷却側の加温が過剰となる場合、そのままではヒートポンプ4,4p等の冷水戻り温度が上昇し、ヒートポンプ4,4p等が停止する温度となってしまう。そこで、自動制御装置は、冷水が所定温度以上となるかあるいは空気圧縮機840の冷却水温度が所定温度(例えば35度)以上となった場合、ボイラーが運転していて温水追従待機中のヒートポンプ4p等があればそのヒートポンプ4p等を運転して冷却水の冷却を行い、あるいはクーリングタワー832aを運転し、冷却水温度が上昇しないよう保持する。
例えば、ヒートポンプ4,4p等の冷却側は、30度で供給され、35度で戻る。又、ヒートポンプ4,4p等の加熱側は、58度から熱交換機862の加熱により60度となって供給され、53度で戻る。
以上の空調システム861では、加熱負荷や冷熱負荷に応じてヒートポンプ4,4p等の冷却側を自動で空気圧縮機840側に切替え、空気圧縮機840の冷却水との熱交換によりヒートポンプ4,4p等の冷水を加温するため、冷却水を利用してヒートポンプ4,4p等の運転を継続させることができ、省エネルギー性の高い状態で外調機2を作動させることができる。なお、空気圧縮機840の冷却水とヒートポンプ4の冷水につき熱交換機による熱交換を行うこととしても良い。
又、空調システム861では、外調機2のレヒータ18とプレヒーター12を共用の温水タンク508からの温水により加熱して系統を共通にしているため、タンクが少なくて済み系統が簡素になる等、構成をシンプルにすることができる。
[第18形態]
図35(a)は第18形態に係る空調システム871において冷熱負荷が温熱負荷に対して極めて大きい場合等における模式図、図35(b)は空調システム871において冷熱負荷が温熱負荷に対して大きい場合等における模式図、図35(c)は空調システム871において温熱負荷が冷熱負荷に対して大きい場合等における模式図、図36(a),(b)は空調システム871において空冷ヒートポンプが故障した場合等における模式図であって、空調システム871は、第3形態と同様に成り、更に第15形態と同様な排気循環空調機822を備えている。又、空調システム871は、第16形態と同様な熱交換機862、温熱供給量調節弁864、及び蒸気ST等を供給するボイラーを備えている。
更に、ヒートポンプ4の加熱側ないし冷却側は、外調機2に加えて、排気循環空調機822にも接続されている。加えて、空冷ヒートポンプ154a等の回路は、モーター弁43a等やモーター弁45a等により、ヒートポンプ4の加熱側と冷却側とで切替可能である。なお、図35,36において、外調機2とヒートポンプ4の間の回路、及び排気循環空調機822の加熱側回路は一部省略されている。
空調システム871にあっては排気循環空調機822を備えており、排気循環空調機822は水膜により塗装ミストを回収した(湿度の高い)排気AHを除湿処理するために冷却用の冷熱負荷が年間を通じて生じ、空調システム871における最低冷熱負荷も定まる。空調システム871では、空冷ヒートポンプ154a等による冷却を見込み、ヒートポンプ4の最大冷熱出力を当該最低冷熱負荷より小さくしている。なお、排気AHは有人塗装室等で利用されたものであるため、温度も年中安定しており、よって排気循環空調機822における冷熱負荷は年中安定している。
このような空調システム871は、第3形態や第15,16形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、夏季の冷熱重負荷時等の図35(a)の場合、外調機2においては除湿のため冷却コイル16へ冷熱を供給する必要があり(冷却コイル16による過冷却ないしレヒータ18による再加熱)、冷熱負荷に応じた台数における空冷ヒートポンプ154a等の冷房運転を行う。このとき、空冷ヒートポンプ154a等の冷却側はヒートポンプ4の冷却側に切り替わっている。又、複数の空冷ヒートポンプ154aが冷房運転していれば、全ての空冷ヒートポンプ154a等につき冷房運転又は冷房運転待機の状態とする。ただし、全体としての冷却能力に余裕があれば、1台を暖房待機状態とする。
例えば、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等により冷水が7度で冷却コイル16,826に供給され、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等には12度で戻る。このとき、ヒートポンプ4の温水供給温度は55度であり、温水戻り温度は50度である。又、空冷ヒートポンプ154a等による戻り冷水の冷却ないし冷却側供給パイプ30への供給により、冷水温度ないし冷熱量を制御する。温水については、ヒートポンプ4を温水追従モードで運転(熱回収運転)することにより、温水温度ないし加熱量を制御する。
又、夏季の冷熱軽負荷時等の図35(b)の場合、負荷に応じて冷房運転する空冷ヒートポンプ154a等が所定台数(1台)以下となったら、他の所定台(1台)につき冷房待機を行い、残りの空冷ヒートポンプ154a等につき暖房運転の待機を行う。暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等の加熱側は、ヒートポンプ4の冷却側から加熱側に切替えられる。そして、自動制御装置は、ヒートポンプ4の温水戻り温度が所定値以下となる等温熱の不足を検知したら、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転する。なお、空冷ヒートポンプ154a等の内所定台(1台)以上において暖房運転が開始されると、冷房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を暖房待機状態に切替える。
例えば、ヒートポンプ4や冷房運転する空冷ヒートポンプ154a等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等には12度で戻る。ここで、ヒートポンプ4の温水供給温度は55度であるものの、温水戻り温度は50度から48度以下となったら、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転し、ヒートポンプ4へ戻る温水を空冷ヒートポンプ154a等により55度まで加熱し、ヒートポンプ4の加熱側供給パイプ34へ戻して温水不足を解消する。
更に、夏季の夜間や中間季ないし冬季等で、外気温の低下により冷熱負荷が少なくなった場合、図35(c)に示すように、ヒートポンプ4による冷却は続行すると共に、空冷ヒートポンプ154a等(の1台)を冷房運転して冷熱負荷を調整する。ここで、上記の通り少なくとも排気循環空調機822においては年中冷熱負荷が存在するため、冷却不要となることはない。又、温熱負荷に応じて暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転し、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転すると、冷房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を暖房待機状態に切替える。なお、空冷ヒートポンプ154a等において冷房待機機を(1台)設けても良い。
例えば、ヒートポンプ4や冷房運転する空冷ヒートポンプ154a等により冷水が7度で冷却コイル16,826に供給され、ヒートポンプ4には12度で戻る。ヒートポンプ4や暖房運転中の空冷ヒートポンプ154a等による温水供給温度は55度であり、温水戻り温度は50度とされ、ヒートポンプ4による温水ないし冷水の供給の継続を可能としている。
加えて、冷房運転中の空冷ヒートポンプ154a等がトリップ等により故障した場合、図36(a)に示すように、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を冷房モードに切替え冷房運転して冷熱不足を防止する。
又、冷房運転中の空冷ヒートポンプ154a等が故障し、且つ空冷ヒートポンプ154a等において待機機が存在しない場合、図36(b)に示すように、暖房運転中の空冷ヒートポンプ154a等を冷房運転に切替え、冷熱不足を回避する。ここで、切替により温熱が不足する場合、不足分を蒸気STとの熱交換機864における熱交換等により補充し、温熱負荷をバックアップする。
以上の空調システム871では、加熱負荷や冷熱負荷に応じて空冷ヒートポンプ154a等の状態を切替え、ヒートポンプ4による加熱や冷却を補助するため、外調機2の他に排気循環空調機822をも年間を通じて的確に加熱ないし冷却することができ、ヒートポンプ4の運転を継続させて、省エネルギー性の高い状態で外調機2及び排気循環空調機822を作動させることができる。
又、設置スペースが確保できれば大容量のプレヒーター12ないしレヒータ18が設置できて温水供給温度を下げても加熱負荷に対応することができる。一方、空冷ヒートポンプ154a等においては外気温と温水供給温度との差が小さいほど効率を良好にすることができ、例えば前者5度で後者70度だと1台当たりCOP2.1である一方、前者5度で後者55度だと1台当たりCOP3.0である。更に、ヒートポンプ4により基礎的な加熱が行われ、空冷ヒートポンプ154a等は補助的に作動する。よって、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等の運転により、効率が極めて良好な状態で空調システム871を作動させることができる。
[第19形態]
図36(c)は第19形態に係る空調システム881において温熱負荷が冷熱負荷に対して大きい場合等における模式図であって、空調システム881は、第18形態と同様に成るが、ヒートポンプ4の最大冷熱出力を当該最低冷熱負荷以上にしている点で相違する。
空調システム881においては、温水追従運転中のヒートポンプ4にあって、冷熱負荷が少ないことから冷熱が十分に利用されないで冷水が戻り、このままでは温熱と冷熱のバランスが崩れて運転が停止してしまうような場合、暖房運転中の(1の台)空冷ヒートポンプ154a等の温水を熱交換機40側に切替えて、ヒートポンプ4の冷水を熱交換により加熱し、ヒートポンプ4の冷水の冷熱を奪って温熱とのバランスを保ち、ヒートポンプ4の運転を継続させる。なお、ヒートポンプ4の加熱側の回路を熱交換機40側に分岐可能とし、この分岐回路ないし熱交換機40によってヒートポンプ4の冷水側を加熱しても良い。又、冷水タンクを設け、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154bから冷水タンクへ冷水を供給し、冷水タンクから冷水ポンプで冷却コイル826へ供給できるようにし、冷水タンクの温度あるいはヒートポンプ4の冷水供給温度や冷水戻り温度を監視して、冷水温度低下に応じ空冷ヒートポンプ154bを冷房モードから暖房モードへ切替えることで、直接冷水を加温するようにしても良い。
このような空調システム881にあっても、ヒートポンプ4の冷熱と温熱のバランスが維持されてヒートポンプ4の運転を継続させることができ、省エネルギー性に優れた状態で外調機2を適切に運転することができる。
[第20形態]
図37(a)は第20形態に係る空調システム901において冷熱負荷が温熱負荷に対して極めて大きい場合等における模式図、図37(b)は空調システム901において冷熱負荷が温熱負荷に対して大きい場合等における模式図、図37(c)は空調システム901において温熱負荷が冷熱負荷に対して大きい場合等における模式図、図38(a)は空調システム901において冷熱負荷がない場合等における模式図、図38(b)は空調システム901において冷熱負荷がなく温熱負荷が比較的に大きい場合等における模式図であって、空調システム901は、第3形態と同様に成り、又第18形態と同様にヒートポンプ4の加熱側と空冷ヒートポンプ154a等とを結ぶ回路と、冷却側の回路を切替可能に有する。なお、図37,38においても一部の回路が省略されている。
又、空調システム901は、第18形態と同様に、空気圧縮機840を備えていると共に、ヒートポンプ4の冷却側を空気圧縮機840の冷却水(排温水)側に切替えるモーター弁43,45ないし回路を有している。
このような空調システム901は、第3形態や第18形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、夏季の冷熱重負荷時等の図37(a)の場合、外調機2においては除湿のため冷却コイル16へ冷熱を供給する必要があり(冷却コイル16による過冷却ないしレヒータ18による再加熱)、冷熱負荷に応じた台数における空冷ヒートポンプ154a等の冷房運転を行う。このとき、空冷ヒートポンプ154a等の冷却側はヒートポンプ4の冷却側に切り替わっている。又、複数の空冷ヒートポンプ154aが冷房運転していれば、全ての空冷ヒートポンプ154a等につき冷房運転又は冷房運転待機の状態とする。ただし、全体としての冷却能力に余裕があれば、1台を暖房待機状態とする。
例えば、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等には12度で戻る。このとき、ヒートポンプ4の温水供給温度は55度であり、温水戻り温度は50度である。又、空冷ヒートポンプ154a等による戻り冷水の冷却ないし冷却側供給パイプ30への供給により、ヒートポンプ4の冷熱負荷が軽減され、ヒートポンプ4は冷房運転を継続することができる。
又、夏季の冷熱軽負荷時等の図37(b)の場合、負荷に応じて冷房運転する空冷ヒートポンプ154a等が1台となったら、他の1台につき冷房待機を行い、残りの空冷ヒートポンプ154a等につき暖房運転の待機を行う。暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等の加熱側は、ヒートポンプ4の冷却側から加熱側に切替えられる。そして、自動制御装置は、ヒートポンプ4の温水戻り温度が所定値以下となる等温熱の不足を検知したら、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転する。なお、空冷ヒートポンプ154a等の内1台でも暖房運転が開始されると、冷房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を暖房待機状態に切替える。
例えば、ヒートポンプ4や冷房運転する空冷ヒートポンプ154a等により冷水が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154a等には12度で戻る。ここで、ヒートポンプ4の温水供給温度は55度であるものの、温水戻り温度は50度から48度以下となったら、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転し、ヒートポンプ4へ戻る温水を55度まで加熱し、ヒートポンプ4の加熱側供給パイプ34へ戻して温水不足を解消する。
更に、夏季の夜間や中間季ないし冬季等で、外気温の低下により冷熱負荷が少なくなり、冷房運転中の空冷ヒートポンプ154a等の出力が所定値(最大出力の所定割合(25%)に応じた値)以下となるか、あるいは冷水戻り温度が所定値(10度)以下となった場合、図37(c)に示すように、ヒートポンプ4の冷却側を空気圧縮機840側に切替えると共に、空冷ヒートポンプ154a等の1台を冷房運転して外調機2の冷熱負荷に対応する。又、温熱負荷に応じて暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転し、暖房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を運転すると、冷房待機中の空冷ヒートポンプ154a等を暖房待機状態に切替える。なお、空冷ヒートポンプ154a等において冷房待機機を(1台)設けても良い。
例えば、ヒートポンプ4は55度の温水を供給して50度の戻り温水を受ける一方、空気圧縮機840側に30度の冷水を供給して冷却水との熱交換により35度の戻り冷水を受ける。外調機2の加熱はヒートポンプ4によりまかなわれ、冷却は冷房運転中の空冷ヒートポンプ154a等によりまかなわれる(供給7度,戻り12度)。ヒートポンプ4の冷却側に空気圧縮機840の排温水を適用することで、ヒートポンプ4の運転が継続される。
一方、冷房運転中の空冷ヒートポンプ154a等の出力が所定値(最大出力の所定割合(85%)に応じた値)以上となるか、あるいは冷水戻り温度が所定値(15度)以上となった場合、ヒートポンプ4を一旦停止し、冷水側を外調機2側に切替え、外調機2の温水を空冷ヒートポンプ154a等でまかなった後、ヒートポンプ4を温水追従運転して冷温水を供給する。
加えて、中間季ないし冬季等で冷房負荷がない図38(a)のような場合、空冷ヒートポンプ154a等を加熱負荷に応じた台数で暖房運転し、残りを暖房待機状態とする。又、冷熱供給量調節弁48の開度が所定値以上となるか、あるいは外気温度と塗装ブース温度との関係が所定のものとなったら、冷水の供給再開に対応するため、(1台の)空冷ヒートポンプ154a等を冷房待機状態に切替える。なお、冷房待機状態になるような場合、プレヒートは不要であり、プレヒーター12に温水は供給されない。
又、冬季等で温熱負荷が大きい図38(b)のような場合、温水の熱量が加熱負荷に対して少なければ、その分ヒートポンプ4の加熱側がボイラーからの蒸気STとの熱交換により加温され、加熱不足を防止する。例えば、ヒートポンプ4の温水戻り温度が48度で温水供給温度が暖房運転中の空冷ヒートポンプ154a等によっても53度にしか昇温しない場合、自動制御装置は温度センサ等によりこの場合を把握して温熱供給量調節弁864を作動させ、蒸気STにより供給する温水を55度に加温する。
以上の空調システム901では、加熱負荷や冷熱負荷に応じて空冷ヒートポンプ154a等の状態を切替え、ヒートポンプ4による加熱や冷却を補助すると共に、冷熱負荷がない場合にはヒートポンプ4の冷却側を排温水側に切替えると共に必要に応じて空冷ヒートポンプ154a等を冷房待機させるため、外調機2につき的確に加熱ないし冷却しながら、ヒートポンプ4の運転を継続させて、省エネルギー性の高い状態で外調機2を作動させることができる。
又、大容量のプレヒーター12ないしレヒータ18が設置可能であれば、温水温度を下げることができて空冷ヒートポンプ154a等の効率を良好にすることができ、空調システム901において、効率を極めて良好な状態で運転を継続することができる。
[第21形態]
図38(c)は第21形態に係る空調システム911において冷熱負荷がない場合等における模式図であって、空調システム911は、第20形態と同様に成るが、冷却側回路の切替えにつき、モーター弁43,45で行うのではなく、熱交換機40で空気圧縮機840の冷却水との熱交換を行いつつ流量調節弁46により行うものとしている。
このような空調システム911にあっても、例えば空気圧縮機840の40度の冷却水によってヒートポンプ4の25度の冷水を30度に昇温できる(空気圧縮機840の冷却水は35度となる)ため、温熱と冷熱のバランスを保持して省エネルギー性に優れたヒートポンプ4の運転を継続させることができる。
[第22形態]
図39(a)は第22形態に係る空調システム951において冷熱負荷が重い場合等における模式図、図39(b)は空調システム951において冷熱負荷が軽い場合等における模式図、図39(c)は空調システム951において冷熱負荷がない場合等における模式図であって、空調システム951は、第6形態と同様に成り、更に外気の熱により冷水等を加熱可能なヒーティングタワー954を備えている。又、空調システム951は、空冷ヒートポンプ154やヒーティングタワー954への冷水の流量(熱量)を調整する流量調節弁956を備えている。更に、ヒートポンプ4の冷水側の回路にはブライン等の不凍液が流されており、即ち冷水は不凍液とされている。なお、不凍液は、冷却コイル16にも入る。
このような空調システム951は、第6形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、夏季の冷熱重負荷時等の図39(a)の場合、外調機2においては除湿のため冷却コイル16へ冷熱を供給する必要があるため(冷却コイル16による過冷却ないしレヒータ18による再加熱)、ヒートポンプ4により冷却コイル16に不凍液を供給する。又、比較的に大きい冷熱負荷に対応するため、空冷ヒートポンプ154の冷房運転を行ってヒートポンプ4へ戻る不凍液の一部又は全部を冷却する。
例えば、ヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ154により不凍液が7度で冷却コイル16に供給され、ヒートポンプ4に12度で戻る。このとき、ヒートポンプ4の温水供給温度は50度であり、温水戻り温度は45度である。空冷ヒートポンプ154による戻り不凍液の冷却により、ヒートポンプ4の冷熱負荷が軽減される。
又、夏季の冷熱軽負荷時等の図39(b)の場合、自動制御装置はヒートポンプ4の冷却側回路において流量調節弁956により空冷ヒートポンプ154側からヒーティングタワー954側へ切替え、空冷ヒートポンプ154を停止すると共にヒーティングタワー954を運転し、不凍液の一部又は全部を加熱する。ヒーティングタワー954の運転は、温熱負荷に対して冷熱負荷が軽くなり、冷熱が外調機2において十分に用いられなくなって温熱に対し冷熱のバランスが取れなくなった場合に、バランスが取れるようになるまでの量で加熱するように行われる。
例えば、温水追従運転するヒートポンプ4の温水供給温度が50度であり、温水戻り温度は45度である一方、不凍液の供給温度が7度であるところ、冷却コイル16から出た直後の不凍液の温度が10度である場合、不凍液の供給温度は5度となり、そのうちにヒートポンプサイクルが成り立たずにヒートポンプ4が停止してしまうので、ヒーティングタワー954により戻り不凍液を(12度に)昇温する。ヒーティングタワー954は、外気(26度)の熱により不凍液を加熱する。この加熱により、ヒートポンプ4は運転を継続することができ、省エネルギー性の高い状態で外調機2における加熱ないし冷却に的確に対応することができる。
更に、夏季の夜間や中間季ないし冬季等の図39(c)の場合、冷熱負荷がないため、冷熱供給量調節弁48により不凍液を冷却コイル16に供給せず、流量調節弁956により不凍液をヒーティングタワー954に導いて加熱させる。
例えば、温水追従運転するヒートポンプ4の温水供給温度が50度であり、温水戻り温度は45度であるところ、不凍液の供給温度が−11度である場合、ヒーティングタワー954により外気(0度)の熱を利用して不凍液を−8度まで昇温する。なお、不凍液は0度以下となっても凍らない。この昇温により、ヒートポンプ4の運転を継続することができ、外調機2を極めて効率良く的確に運転することができる。
[第23形態]
図40は第23形態に係る空調システム1001の模式図であって、空調システム1001は、第11形態と同様に成るが、温水ボイラー506及び温水タンク508が加熱側戻りパイプ36側に配置されていると共に、冷却側戻りパイプ32a〜32dないし加熱側戻りパイプ36a〜36dのそれぞれに冷水ポンプ1002a〜1002dあるいは温水ポンプ1006a〜1006dが設置されている。又、ヒートポンプ4aは、冷熱負荷調整機として位置づけられている。なお、外調機2はここでは1台とされているが、複数台設置しても良い。又、冷熱負荷調整機はここでは1台とされているが、複数台配置しても良い。
空調システム1001の自動制御装置は、例えばヒートポンプ4b等につき自身の温水供給温度に基づいて制御し、冷熱負荷調整機としてのヒートポンプ4aにつき自身の温水供給温度及び冷水供給温度に基づいて制御し、温水ボイラー506につき温水タンク508の温度あるいは加熱側戻りパイプ36の温水戻り温度に基づいて制御し、冷水戻り温度を調整する流量調節弁46につき冷水戻り温度に基づいて制御し、空調機2への温水供給量を調整する第2温熱供給量調節弁109ないし空調機2への冷水供給量を調整する冷熱供給量調節弁48につき空調機2が出力するエアBの温度に基づいて制御する。これらの温度は、それぞれの温度センサにより検知され、自動制御装置により把握される。
このような空調システム1001は、第11形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、図41に示すように、自動制御装置は、外調機2の停止指令があれば(ステップS1001でNO)、ヒートポンプ4a等や温水ボイラー506を停止して(ステップS1002,1003)、処理を終了する。
一方、停止指令がなければ(ステップS1001でYES)、流量調節弁46の開度が60%以下であるかを判定し(ステップS1004)、YESであれば、冷水を加温する排温水Xの熱量に余裕があるので、温水ボイラー506が運転中でなければ最初に戻る(ステップS1005でNO)。なお、初期状態において、ヒートポンプ4aは運転していると共に、ヒートポンプ4b等は停止している。
他方、温水ボイラー506が運転中であれば(ステップS1005でYES)、流量調節弁46の開度を上げるためのループ1の処理に移る。即ち、まず冷熱負荷調整機としてのヒートポンプ4aの温水ポンプ1006aにおける流量を増加する(ステップS1006)。すると、一時的にヒートポンプ4aの温水供給温度が下がるので、ヒートポンプ4aは、温水が設定温度(60度)となるように、出力を自動的に増加する(温熱追従運転,インバーター出力増)。
温水出力が増加すると、これに伴い冷水出力も増加して、そのままでは冷水温度が低下していくので、自動制御装置は、流量調節弁46の開度が所定値(70%)に上昇し、排温水X(35度)との熱交換量が増加して冷水戻り温度(17度,供給温度10度)が維持される状態で落ち着くように、ヒートポンプ4a等や温水ボイラー506を次のように制御する。
即ち、自動制御装置は、ヒートポンプ4aの負荷が最大負荷に対して所定割合(95%)以下であるか否か確認する(ステップS1007)。ヒートポンプ4aの負荷が所定割合以下でなければ(NO)、ヒートポンプ4b等のうち運転していないものを(1台)起動し(ステップS1008)、ステップS1009に移行する。又、ヒートポンプ4aの負荷が所定割合以下であれば(ステップS1007でYES)、ステップS1008を実行せずにステップS1009に移行する。
又、ヒートポンプ4aの戻り温水の流量を増やすと、空調機2への温水流量も増加し、温水戻り温度が上昇するため、他熱源としての温水ボイラー506の出力を絞ることで、温水戻り温度を適切な温度差(ヒートポンプ4aの最大出力時のもの,差分5度)が確保されるようにする。
即ち、自動制御装置は、ステップS1009において、温水戻り温度が所定値(56度)以上となったか否か監視する。温水戻り温度が所定値以上であれば温水戻り温度を所定値(55度)まで下げるためのループ2を実行し、そうでなければループ1の先頭(ステップS1007)若しくは処理の先頭(流量調節弁46の開度が所定値に達した場合,ステップS1001)に戻る。ループ2では、温水ボイラー506の出力を減じていく(ステップS1010)。
例えば、450kWの温熱負荷を賄う場合、温水流量毎時43トンで温度差5度となるヒートポンプ4aでは250kW(43×5を860kW/kcalで除する)を賄い、又温水ボイラー506では200kWを賄っている状態から、温水流量を毎時60.2トンに増加すると、一時的にヒートポンプ4aの温水供給温度が下がり、当該温度を設定値まで回復するためインバーター出力が350kW(60.2×5/860)に増加され、外調機2からの温水戻り温度が上昇するものの、これに従い温水ボイラー506の出力を100kWに絞るので、ヒートポンプ4aでの温水供給・戻り温度差を保持しながら、450kWの温熱負荷に対応することができる。
なお、以上に対し、温水ボイラー506によって温水戻り温度を調整しないとすると、戻り温水の流量を増やしても一時的にヒートポンプ4aの温水供給温度が下がるので、温水追従運転をするヒートポンプ4aは出力を増して温水供給温度を設定値(60度)とする。すると、一時的に設定温度における温水の流量が増えて熱量が増えるが、空調機2における熱消費量は変わらない程度の時間経過であるため、温水戻り温度が上昇して供給温度との差が少なくなり、温水追従運転によりヒートポンプ4aの出力が絞られるため、結局ヒートポンプ4aの加熱出力は変わらないとみることができ、よって冷却出力も増加しないことになる。
例えば、450kWの温熱負荷を賄う場合、ヒートポンプ4aにおいて温水流量毎時77.4トンで温度差5度のところ流量を毎時129トンに増加しても温度差が3度となり、加熱出力は450kWで変わらない。即ち、流量を増すと一時的に温水供給温度が58度に下がるが、温水追従運転により温水温度を60度とするためインバーター出力が増加され、一時的に750kWの高出力となる。しかし、外調機2での負荷が450kWであるため温熱が用いられず温水戻り温度が上がることとなり、温水供給温度との温度差が縮まって結局ヒートポンプ4aの温水出力が外調機2での負荷に合っていく。
一方、流量調節弁46の開度が所定値(60%)以下でなければ(ステップS1004でNO)、更に当該開度がこれを上回る特定値(80%)以上であるかをチェックし(ステップS1011)、そうでなければ、処理の先頭(ステップS1001)に戻り、そうであれば、排温水Xの熱量が不足するものとして、流量調節弁46の開度を当該所定値と特定値の間の値(70%)に下げるためのループ3を実行する。
ループ3では、ヒートポンプ4aの温水ポンプ1006aにおける流量を減らし(ステップS1012)、ヒートポンプ4aの負荷が最大負荷に対して所定割合(50%)以上であるか否か確認する(ステップS1013)。自動制御装置は、ヒートポンプ4aの負荷が所定割合以上でなければ、ヒートポンプ4b等のうち運転中のものを(1台)停止し(ステップS1014)、ステップS1015に移行する。又、自動制御装置は、ヒートポンプ4aの負荷が所定割合以上であれば、ステップS1014を実行せずにステップS1015に移行する。
自動制御装置は、ステップS1015において、温水戻り温度が所定値(54度)以下となったか否か監視する。温水戻り温度が所定値以下であれば温水戻り温度を所定値(55度)まで上げるためのループ4を実行し、そうでなければループ3の先頭(ステップS1012)若しくは処理の先頭(流量調節弁46の開度が所定値に達した場合,ステップS1001)に戻る。ループ4では、温水ボイラー506が自動運転モードでなければ当該モードとしたうえで(ステップS1016,S1017)、温水ボイラー506の出力を増していく(ステップS1018)。
このようなループ3等の実行により、温水ポンプ1006aの流量を減らすと共に他熱源としての温水ボイラー506による加温量を調整して、ヒートポンプ4aにおける温水側の温度差を適切に保持し、冷熱負荷に適切に対応することができる。
例えば、350kWの温熱負荷を賄う場合、温水流量毎時60.2トンで温度差5度となるヒートポンプ4aでは350kWを賄っている状態から、温水流量を毎時43トンに減少すると、一時的にヒートポンプ4aの温水供給温度が上がり、当該温度を設定値へ下げるためインバーター出力が250kWに絞られて、外調機2からの温水戻り温度が下がるものの、これに伴い温水ボイラー506による100kWの加熱を開始するので、ヒートポンプ4aでの温水供給・戻り温度差を差分5度に保持しながら、350kWの温熱負荷に対応することができる。
なお、以上に対し、温水ボイラー506によって温水戻り温度を調整しないとすると、例えば温水流量を毎時60.2トンから毎時43トンに絞っても、結局温度差が7度に広がって加熱出力が350kWから変わらない。
以上の空調システム1001では、流量調節弁46の開度が所定値以上となって排温水Xの熱量が不足し温熱負荷に対する冷熱のバランスがとれなくなってヒートポンプ4が停止しそうになると、適宜ヒートポンプ4の一部を停止したり、温水ボイラー506の出力を増したりし、又流量調節弁46の開度が所定値以下(かつ温水ボイラー506運転中)となって排温水Xの熱量に余裕がありヒートポンプ4による運転が可能な状況になると、順次ヒートポンプ4の運転を開始するので、温熱負荷に適切に対応しつつ運転の継続可能な状態で最大数のヒートポンプ4を稼働させることができ、運転に影響のない範囲でなるべくヒートポンプ4の他熱源に対する運転比率を向上して、温熱負荷が変動しても省エネルギー性の高い状態で空調を施すことができる。
又、空調システム1001では、排温水Xや温水ボイラー506という他熱源が設置されると共に、冷水ポンプ1002a等や温水ポンプ1006a等によってヒートポンプ4に対する媒体の流量を調整するため、流量の調整によって媒体温度ないし媒体熱量を制御することができる。
更に、空調システム1001では、複数のヒートポンプ4のうちの一部を冷水負荷調整機とし、その負荷に応じて他のヒートポンプ4の追加起動や停止を行うため、単数あるいは複数のヒートポンプ4を負荷が過剰とならない範囲で負荷の高く効率の良好な状態で運転することができ、又このような適切な運転を冷熱負荷調整機の負荷というシンプルな指標に基づいて簡便に実行することができる。
[第24形態]
図42は第24形態に係る空調システムの動作を示すフローチャートであって、当該空調システムは、第23形態と同様に成るが、冷却側戻りパイプ32(冷却側戻りパイプ32aに分岐する手前・上流側)に冷水タンクを備えている。又、図示しない冷水チラーが、後述の第26形態(図44参照)と同様、冷却側に接続されている。
このような空調システムは、第23形態と同様に動作するが、流量調節弁46の開度の代わりに、冷水タンク等における冷水戻り温度に基づいて、ヒートポンプ4の運転台数を変更したり、他熱源の出力を増減したりする。
即ち、冷水戻り温度が特定値(17度)以上であって(ステップS1021でYES)、温水ボイラー506が運転中であれば(ステップS1005でYES)、冷水戻り温度を所定値(15度)まで下げるためにループ1を実行する。なお、温水ボイラー506が運転中でなければ(ステップS1005でNO)、冷水チラーを運転する(ステップS1022)。
又、冷水戻り温度が特定値(13度)以下であれば(ステップS1023でYES)、冷水戻り温度を所定値(15度、下げる場合の所定値と異なっても良い)まで上げるためにループ3を実行する。なお、ループ3の最初において冷水チラーが運転中か否かを確認し(ステップS1024)、運転中であれば(NO)冷水チラーを1台停止してループ3の末尾に移行し(ステップS1025)、運転中でなければ(YES)第23形態と同様のループ3に係る処理を実行する。
以上の第24形態に係る空調システムにおいても、第23形態に係る空調システム1001と同様、温熱負荷に適切に対応しつつ運転の継続可能な状態で最大数のヒートポンプ4を稼働させることができ、運転に影響のない範囲でなるべくヒートポンプ4の他熱源に対する運転比率を向上して、温熱負荷が変動しても省エネルギー性の高い状態で空調を実行することができる。
[第25形態]
図43は第25形態に係る空調システムの動作を示すフローチャートであって、当該空調システムは、第24形態と同様に成るが、温水ボイラー506と接続された温水タンクが、加熱側供給パイプ34及び加熱側戻りパイプ36の双方(合流分岐部と第2温熱供給量調節弁109の間)において介装されており、当該温水タンクと外調機2の間における加熱側供給パイプ34には、当該温水タンクから温水を外調機2(第2温熱供給量調節弁109)に供給するためのポンプが設置されている。
又、第25形態の空調システムにあっては、冷水を直接冷却しあるいは冷水を冷却するための媒体を冷却する冷水チラーが、1台又は複数台設置されている。当該冷水チラーの冷水側は、ヒートポンプ4と同様に接続されている。又、冷水チラーには、冷却時に発生した熱を冷却するため、ヒートポンプ4の温水回路から独立しているクーリングタワーが接続されているが、クーリングタワーを必要としない空冷式としても良い。なお、排熱回収型ヒートポンプ(の予備機)を冷水チラーとして用いても良い。
このような空調システムは、第24形態と同様に動作するが、冷水温度をヒートポンプ4の台数の増減に加えて(増減をする前に)冷水チラーにより制御することが可能である。
即ち、冷水戻り温度が特定値(17度)以上であって(ステップS1021でYES)、温水ボイラー506が運転中でなければ(ステップS1005でNO)、冷水チラーを運転する(ステップS1031)。なお、温水ボイラー506が運転中であれば(ステップS1005でYES)、冷水戻り温度を所定値(15度)まで下げるためにループ1を実行するが、ループ1においては、温水タンク内の温水の温度が所定値(60度)以上である場合にループ2を実行する(ステップS1032)。又、ループ3においても、温水タンク温度が所定値(57度)以下である場合にループ4を実行する(ステップS1033)。
なお、第25形態の空調システムに係る処理を次のように変更することができる。即ち、ステップS1006において、冷水負荷調整機としてのヒートポンプ4a等の温水温度設定値を上げる(上限の設定可,60度)。これにより、ヒートポンプ4a等の出力が自動的に増加し(インバーター出力増)、付随して冷水出力も増加するため、冷水温度が一時的に減少しつつ維持される。又、温水タンク508への温水往き温度が上がって温水タンク508内の温水温度が上がるため、他熱源(温水ボイラー506)の出力を絞り、温熱負荷と温熱供給量がバランスする。他熱源による温熱供給調整により温水温度が所定温度(60度)に保持され、ヒートポンプ4a等の温水戻り温度は変わらず、温水往き温度と温水戻り温度の差が変化する。例えば、温水流量毎時43トンで温度差5度を賄うヒートポンプ4a等の出力250kWと他熱源の出力200kWで温熱負荷450kWを賄っている場合に、温水流量は同じで温度差7度となったとすると、ヒートポンプ4a等の出力は350kWに増加し、他熱源の出力は100kWに自動的に減ぜられる。なお、他熱源を用いず温水タンク508内の温水温度を制御しない場合、温水温度を増やしてもヒートポンプ4a等の出力は変わらない。
一方、ステップS1012において、冷水負荷調整機としてのヒートポンプ4a等の温水温度設定値を下げる(下限の設定可,55度)。これにより、ヒートポンプ4a等の温水出力が自動的に減少し(インバータ出力減)、付随して冷水出力も減少するため、冷水温度が一時的に上昇する。又、温水タンク508への温水戻り温度が下がって温水タンク508内の温水温度が下がるため、他熱源(温水ボイラー506)の出力を上げ、温熱負荷に対する温熱供給量の一時的不足分を賄う。他熱源による温熱供給調整により温水タンク508内の温水温度が所定温度(60度)に保持され、ヒートポンプ4a等の温水戻り温度は変わらず、温水往き温度と温水戻り温度の差が変化する。例えば、温水流量毎時43トンで温度差7度を賄うヒートポンプ4a等の出力350kWで温熱負荷350kWを賄っている場合に、温水流量は同じで温度差5度となったとすると、ヒートポンプ4a等の出力は250kWに減少し、他熱源の出力は100kWと自動的に増加される。なお、他熱源を用いず温水タンク508内の温水温度を制御しない場合、温水流量を減らしてもヒートポンプ4a等の出力は変わらない。
他方、ステップS1006において、他熱源としての温水ボイラー506の温水温度設定値を所定値(1度,62度から61度)だけ下げることもできる(下限の設定可,55度)。これにより、一時的に温水供給温度が下がり、温水戻り温度も下がる(57度から56度)。又、ヒートポンプ4a等は温水供給温度を設定値(60度)に制御するから、温水戻り温度の低下により出力を自動的に増やす(設定値との温度差が3度から4度と大きくなることによる)。更に、増加した加熱負荷に応じるためヒートポンプ4a等の出力を増やした場合には、付随して冷水出力が増加するため、冷水温度が低下して冷水温度が維持される。例えば、温水流量毎時43トンで温度差3度を賄うヒートポンプ4a等の出力150kWと他熱源の出力200kWで温熱負荷350kWを賄っている場合に、温水流量は同じで温度差4度となったとすると、ヒートポンプ4a等の出力は200kWに増加し、他熱源の出力は150kWに自動的に減ぜられる。
一方、ステップS1012において、他熱源としての温水ボイラー506の温水温度設定値を所定値(1度)だけ上げることもできる(下限の設定可,55度)。これにより、一時的にヒートポンプ4a等の温水出力が下がり、冷水出力も下がる。又、レヒータ18への温水供給温度が上がって温水戻り温度も上がるところ(55度から56度)、ヒートポンプ4a等は温水供給温度を設定値(60度)に制御するから、温水戻り温度の上昇により出力を自動的に絞る(温度差が5度から4度と少なくなることによる)。例えば、温水流量毎時43トンで温度差7度を賄うヒートポンプ4a等の出力350kWを賄っている場合に、他熱源の設定温度を上げることで温水流量は同じながら温度差5度となったとすると、ヒートポンプ4a等の出力は250kWに絞られ、他熱源の出力は100kWとされ、更に他熱源の設定温度を上げることで温水流量は同じながら温度差4度となったとすると、ヒートポンプ4a等の出力は200kWに絞られ、他熱源の出力は150kWとされる。
以上の第25形態に係る空調システムにおいても、第24形態に係る空調システムと同様、温熱負荷に適切に対応しつつ運転の継続可能な状態で最大数のヒートポンプ4を稼働させることができ、又冷水チラーを配備することによりヒートポンプ4の台数を減じる前に冷水温度を調整することができ、運転に影響のない範囲でなるべくヒートポンプ4の他熱源に対する運転比率をよりきめ細かく向上して、温熱負荷が変動しても省エネルギー性の高い状態で空調を実行することができる。
[第26形態]
図44は第26形態に係る空調システム1051の模式図であって、空調システム1051は、第23形態と同様に成るが、第25形態の冷水チラーと同様の冷水チラー1052a,1052bが複数設置されている。冷水チラー1052a等には、温熱渡しパイプ1054a等と温熱戻りパイプ1056a等を介してクーリングタワー504c等と接続されている。温熱戻りパイプ1056a等には、ポンプ1057a等が配置されている。なお、冷水チラーは、単数でも良い。又、空調システム1051は、第25形態と同様の温水タンク1058を有する。
更に、ヒートポンプ4a,4bは、冷水の温度あるいは冷熱が一定となるような冷水追従運転が可能であり、ヒートポンプ4a,4bは温熱負荷調整機として位置づけられているが、全台を温熱負荷調整機としなくても良いし、ヒートポンプ4につき単数あるいは3台以上としても良い。又、排温水Xや流量調節弁46等は省略されている。なお、外調機2は、年間を通じて一定の冷熱負荷がある、排気循環空調機等とされている。
空調システム1051の自動制御装置は、例えば温熱負荷調整機としてのヒートポンプ4a,4bにつき自身の冷水供給温度及び温水供給温度に基づいて制御し、温水ボイラー506につき温水タンク1058の温度あるいは加熱側供給パイプ34の温水供給温度に基づいて制御し、冷水戻り温度を調整する流量調節弁46につき冷水戻り温度に基づいて制御し、外調機2への温水供給量を調整する第2温熱供給量調節弁109ないし外調機2への冷水供給量を調整する冷熱供給量調節弁48につき外調機2が出力するエアBの温度に基づいて制御する。これらの温度は、それぞれの温度センサにより検知され、自動制御装置により把握される。
このような空調システム1051は、第23,25形態と同様に動作し、例えば次のように動作する。
即ち、図45に示すように、自動制御装置は、ヒートポンプ4の温水供給温度が58度以下であれば(ステップS1051でYES)、温水供給温度を所定温度(60度)に上げるためのループ1を実行し、ヒートポンプ4の温水供給温度が特定温度(62度)以上であって温水ボイラー506が停止中であれば(ステップS1051でNO、ステップS1060,S1061で共にYES)、温水供給温度を所定温度(60度)に下げるためのループ3を実行する。なお、ステップS1061でNOであれば、温水ボイラー506の出力を減じ(ステップS1062)、処理の最初に戻る。
自動制御装置は、ループ1において、温熱負荷調整機としてのヒートポンプ4a,4bの冷水ポンプ1002aの流量を増し(ステップS1052)、冷水供給温度が特定温度(7度)以下であれば(ステップS1053でYES)、冷水供給温度を所定温度(10度)とするために冷水チラー1052a,1052bの出力を減ずる(台数を減らすことを含む、ステップS1054)ループ2を実行して、ヒートポンプ4の温水供給温度が所定温度(60度)から所定温度幅内に収まるか否か判断する(ステップS1055)。一方、ステップS1053でNOであれば、ループ2を実行せずにステップS1055に移行する。
ステップS1055でYESであれば、温水ボイラー506の出力を減じ(ステップS1056)、ループ1の最初に戻る。一方、ステップS1055でNOであれば、ヒートポンプ4aの負荷が所定値(最大負荷の95%)以下であるか確認し(ステップS1057)、YESであればループ1の最初に戻り、NOであれば温水ボイラー506の出力を増して(ステップS1058)、処理の最初に戻る。
即ち、ループ1では、温熱負荷調整機としてのヒートポンプ4a,4bの冷水ポンプ1002aの流量を増やすと、一時的にヒートポンプ4a,4bの冷水供給温度が上昇し、ヒートポンプ4a,4bの冷水供給温度を所定温度(10度)にするようにヒートポンプ4a,4bが出力を自動的に増やす(インバーター出力増)。ヒートポンプ4a,4bの冷水出力が増加すれば、温水出力も増加するため、温水温度を所定値に維持させる。
一方、自動制御装置は、ループ3において、ヒートポンプ4a,4bの冷水ポンプ1002aの流量を減じ(ステップS1063)、冷水供給温度が特定温度(13度)以上であるか否か判断する(ステップS1064)。YESであれば冷水供給温度を所定温度(10度)に下げるためのループ4を実行し、NOであればループ4を実行せずループ3の最初に戻る。ループ4においては、冷水チラー1052a,1052bの出力を増し、あるいは台数を増やす(ステップS1065)。
即ち、ループ3では、温熱負荷調整機としてのヒートポンプ4a,4bの冷水ポンプ1002aの流量を減らすと、一時的にヒートポンプ4aの冷水供給温度が下がり、ヒートポンプ4a,4bの冷水供給温度を所定温度(10度)にするようにヒートポンプ4a,4bが出力を自動的に絞る(インバーター出力減)。ヒートポンプ4a,4bの冷水出力が減少すれば、温水出力も減少するため、冷水チラー1052a,1052bにより冷熱の不足分を補う。
なお、空調システム1051における処理を次のように変更することができる。即ち、ステップS1052において、温水負荷調整機であるヒートポンプ4a等の冷水温度設定値を下げる。これにより、ヒートポンプ4a等の出力が自動的に増加し(インバーター出力増)、付随して温水出力も増加するため、温水温度が上昇して温水温度が維持される。又、冷水往き温度が下がり、冷水戻り温度が一時的に下がるため、冷水チラー1052の出力を減じ(ステップS1054)、冷却負荷とバランスさせる。一方、ステップS1063において、温水負荷調整機であるヒートポンプ4a等の冷水温度設定値を上げる。これにより、ヒートポンプ4a等の出力が自動的に絞られ(インバータ出力減)、付随して温水出力も減少するため、供給温熱量が減少して温水温度が低下する。又、冷水往き温度が上がり、冷水戻り温度が一時的に上がるため、冷水チラー1052の出力を増して(ステップS1065)、冷却負荷とバランスさせる。
又、ステップS1052において、冷水に対して加える工場排熱の量を増やし、冷水温度を一時的に上げることで、ヒートポンプ4の出力を増やして温水温度を上昇しても良い。更に、ステップS1063において、冷水に工場排熱が加えられている場合に、当該工場排熱の流量調節弁を絞ること等により冷水へ加える排熱の量を減らし、冷水温度を一時的に下げることで、ヒートポンプ4の出力を絞り、温水供給温度を下げても良い。なお、冷水チラーとの組合せにおいては、ヒートポンプ4につき冷水温度に対する出力調整を優先的に行うような温度設定(ヒートポンプ4<冷水チラー)にすることで、円滑な動作とすることが可能となる。
以上の空調システム1051では、冷水追従運転するヒートポンプ4と、冷水チラー1052a,1052bを備えているため、年間を通じて冷熱負荷がある空調において温熱負荷に適切に対応しながら冷水追従運転を行うことができ、極めて省エネルギー性の高い状態で空調を実施することができる。
又、空調システム1051では、冷水ポンプ1002a等によってヒートポンプ4に対する媒体の流量を調整するため、流量の調整によって媒体温度ないし媒体熱量を制御することができる。
更に、空調システム1051では、複数のヒートポンプ4を温熱負荷調整機とし、その負荷に応じて温水ボイラー506等の起動や停止を行うため、温水ボイラー506等を効率の良好な状態で運転することができ、又このような適切な運転を冷熱負荷調整機の負荷というシンプルな指標に基づいて簡便に実行することができる。
[第27形態]
図46(a)は第27形態に係る空調システム1101の模式図であって、空調システム1101は、ワッシャー14・冷却コイル16・ヒーター18と同様の蒸気コイル1108・主に加湿を行う蒸気加熱ノズル1109を有する外調機1102を備えている。第2加熱手段としての蒸気コイル1108及び蒸気加熱ノズル1109には、図示しないボイラー等から供給される第2加熱媒体としての蒸気STが導入され、蒸気コイル1108にはドレン配管DRが接続される。蒸気コイル1108や蒸気加熱ノズル1109における各蒸気管1111,1112には、それぞれ流量(供給熱量)を調節するための弁1113,1114が設置されている。外調機1102は、エア取込口1120から基エアAAを取り込み、ブロワ20から調整されたエアBを放出する。
冷却コイル16には、冷却の必要な夏季等において冷却媒体が導入されるように、図示しない冷却媒体パイプが接続されている一方、冷却が不要で加温が必要となる冬季等において加熱媒体が導入可能であるように、加熱媒体供給パイプ1132ないし加熱媒体戻りパイプ1134が切替可能に接続されている。加熱媒体供給パイプ1132には、流量(加熱負荷)を調整可能であるインバータポンプ1136が設置されている。
加熱媒体供給パイプ1132ないし加熱媒体戻りパイプ1134は、温水タンク1138と接続されており、温水タンク1138には、ヒートポンプ4の加熱側が接続されている。ヒートポンプ4の加熱側戻りパイプ36には、一定流速を付与可能なポンプ1140が設けられている。又、ヒートポンプ4の冷却側は、排温水Xの排熱によりヒートポンプ4が加熱媒体の供給を継続できるように、排温水Xと接続されている。
このような空調システム1101は、第23〜26形態と同様に動作する。即ち、基エアAAの冷却が不要で加熱が必要となる冬季等において、冷却コイル16に基エアAAを加熱するための加熱媒体(例えば供給60度,戻り55度)を導入する。ここで、排温水Xの熱量が不足して(例えば温度30度から25度)、ヒートポンプ4(温水追従モード)による加熱媒体の加熱量とのバランスがとれなくなるような場合には、加熱負荷調節手段としてのインバータポンプ1136を制御して流量を絞ることで、第23〜26形態で説明したように加熱媒体と基エアAAとの熱交換量が少なくなり、加熱媒体の熱量(温度)につき排温水Xの温度が低下しても維持可能となって、ヒートポンプ4の運転が継続される。更に、加熱媒体の加熱量(基エアAAとの熱交換量)の不足や変動には、他熱源としてのボイラーから蒸気ST(他加熱媒体)の導入される蒸気コイル1108や蒸気加熱ノズル1109によって対応が可能である。蒸気コイル1108や蒸気加熱ノズル1109に導入される蒸気STの熱量(加熱供給量)は、各種センサの状態に応じ、自動制御装置が弁1113,1114をそれぞれ制御することで調整する。又、排温水Xの温度が復帰したら、自動制御装置は、インバータポンプ1136の流量につき、基エアAAの調整のために必要な熱量を加熱媒体が有するように、基エアAAやエアBの温度(熱量)に応じたものとする。
空調システム1101は、エア取込口1120から取り込んだ基エアAAを加熱する冷却コイル16を有する外調機1102と、冷却コイル16に加熱媒体を加熱して供給すると共に、冷却媒体につき、工場から生ずる排温水X側から導入し冷却して導出可能であるヒートポンプ4と、外調機1102に設けられた蒸気コイル1108ないし蒸気加熱ノズル1109に供給される蒸気STを加熱するボイラーとを備えている。
従って、既存の外調機1102の冷却コイル14に加熱媒体を切替え導入する加熱媒体供給パイプ1132ないし加熱媒体戻りパイプ1134ないしヒートポンプ4(及び温水タンク1138やポンプ1136,1140)を付加するだけで構成することができ、コスト面やメンテナンス面等で有利である。しかも、空調システム1101では、蒸気コイル1108や蒸気加熱ノズル1109の前に、排温水Xを利用してヒートポンプ4で加温された加熱媒体により基エアAAを加熱するため、基エアAAの加熱に極めて効率の良い排温水Xで加熱運転するヒートポンプ4を用いることができる。又、排温水Xの熱量が変動することでヒートポンプ4による熱交換量が変動しても、蒸気STによる基エアAAの加熱によって適宜補うことができる。更に、排温水Xの熱量が低下してそのまま運転を続けたのでは加熱媒体の温度を有効に上昇できずに緊急停止してしまうような場合には、インバータポンプ1136により加熱媒体の供給量を減少するため、基エアAAとの熱交換量を減らしてヒートポンプ4の加熱負荷を下げて排温水X側とのバランスを保つことができ、省エネルギー性の高い運転を継続することが可能となる。
[第28形態]
図46(b)は第28形態に係る空調システム1151の模式図であって、空調システム1151は、第27形態と同様に成るが、インバータポンプ1136及び温水タンク1138が省略されており、加熱側供給パイプ34には、流量調節手段(加熱媒体戻り温度調節手段,加熱負荷調整手段)としての流量調節弁1152と、温熱供給量調節弁49が設置されている。
このような空調システム1151は、第27形態と同様に動作する。即ち、排温水Xの熱量が不足する場合には、流量調節弁1152におけるバイパス側(加熱側戻りパイプ36に戻す側)への流量を増やすことにより、基エアAAとの熱交換に供される加熱媒体の流量を減らし、ヒートポンプ4の温熱負荷を低減して運転の継続を可能とする。又、ヒートポンプ4の冷水側の温度が復帰したら、徐々に流量調節弁1152におけるバイパス側への流量を絞ることにより、ヒートポンプ4へ戻る加熱媒体の温度を下げる。空調システム1151においても、排温水Xの熱量変化に対応しながら、省エネルギー性の高い加熱を低コストで継続することができる。
[第29形態]
図47(a)は第29形態に係る空調システム1161の模式図であって、空調システム1161は、第27形態と同様に成るが、温水タンク1138が加熱側戻りパイプ36のみに介装されていると共に、冷却側に排水タンク1162とクーリングタワー1164が配置されている。排水タンク1162からクーリングタワー1164へのパイプ1171には流量調節手段としてのポンプ1172が設置されており、排水タンク1162から排温水X側へのパイプ1173には流量調節手段としてのポンプ1174が設置されており、排水タンク1162とつながるヒートポンプ4の冷却側戻りパイプ32には流量調節手段(冷却負荷調整手段)としての冷却側インバータポンプ1176が設置されている。
このような空調システム1161は、第27形態と同様に動作する。即ち、加熱媒体の温度が上昇した場合(例えば65度)、冷却側インバータポンプ1176を絞って冷水流量を少なくし、冷水追従モードで運転されるヒートポンプ4の出力を絞って加熱媒体の温度を下げる。そして、加熱媒体の温度が復帰したら(例えば60度)、冷却側インバータポンプ1176の流量を徐々に元の流量に戻してヒートポンプ4の出力を増やし、温水温度を維持する。又、排温水Xの温度が上がり過ぎる場合には、クーリングタワー1164で排温水Xを冷却して、ヒートポンプ4の運転が継続するようバックアップする。空調システム1161においても、排温水Xの熱量変化に対応しながら、省エネルギー性の高い加熱を低コストで継続することができる。
[第30形態]
図47(b)は第30形態に係る空調システム1181の模式図であって、空調システム1181は、第29形態と同様に成るが、排水タンク1162やポンプ1174、冷却側インバータポンプ1176が省略されると共に、排温水Xのクーリングタワー1164に対する流量調節手段(冷却負荷調整手段)としての冷却側弁1182が、冷却側戻りパイプ32に介装され、クーリングタワー1164への供給パイプ1171と接続されている。なお、クーリングタワー1164の戻りパイプ1183は、冷却側供給パイプ30と接続されている。
このような空調システム1181は、第29形態と同様に動作する。即ち、加熱媒体の温度が上昇した場合(例えば65度)、冷却側弁1182のバイパス側の開度を増やしてヒートポンプ4の冷水流量を減らし、冷水追従運転するヒートポンプ4の出力を絞る。そして、加熱媒体の温度が復帰したら(例えば60度)、徐々にバイパス側の開度を減らしてヒートポンプ4の冷水流量を増やし、ヒートポンプ4の出力を増やす(クーリングタワー1164側へ負荷を移す)。空調システム1181においても、排温水Xの熱量変化に対応しながら、省エネルギー性の高い加熱を低コストで継続することができる。
[第31形態]
図47(c)は第31形態に係る空調システム1201の模式図であって、空調システム1201は、第27形態と同様に成るが、外調機2が第1形態等と同様のものとされ、加熱側がプレヒーター12(ないしレヒータ18)と接続されていると共に、温水タンク1138にボイラー506が接続されており、ヒートポンプ4の加熱側に加熱負荷調整手段としての加熱側弁1202が設けられている。加熱側弁1202は、加熱側供給パイプ34に介装され、加熱側戻りパイプ36と接続されている。温水タンク1138からボイラー506へのパイプ1204には、流量調節手段としてのポンプ1205が配置されている。
このような空調システム1201は、第27形態と同様に動作する。即ち、排温水Xの温度が低下すると、加熱側弁1202においてバイパス側(加熱側戻りパイプ36側)の開度を増やし、温水追従運転するヒートポンプ4へ戻る温水温度を上げて、ヒートポンプ4の加熱負荷を下げ、ヒートポンプ4の出力を絞る。排温水Xの温度が復帰したら(例えば30度)、バイパス側の開度を徐々に絞り、ヒートポンプ4へ戻る温水温度を下げて、ヒートポンプ4による加熱を増加させる。なお、温水の温度が下がり過ぎる場合には、ボイラー506で加熱媒体を加熱して、加熱媒体の熱量不足を補助する。
空調システム1201は、外気取込口10から取り込んだ外気Aを加熱するプレヒーター12(ないしレヒータ18)を有する外調機2と、プレヒーター12等に加熱媒体を加熱して供給すると共に、冷却媒体につき、工場から生ずる排温水Xの側から導入し冷却して導出可能であるヒートポンプ4と、加熱媒体を加熱するボイラー506とを備えている。従って、排温水Xの熱量変化に対応しながら、省エネルギー性の高い加熱を低コストで継続することができる。
なお、第14〜31形態のような冷水負荷調整制御、温水供給不足防止制御、及び冷水供給不足防止制御の内の少なくとも1つは、排熱回収型ヒートポンプ等を利用した塗装乾燥装置(例えば本出願人による特願2008−305017に係るもの)や、排熱回収型ヒートポンプ等を利用した電着塗装装置(例えば本出願人による特願2008−209954や特願2008−310138に係るもの)、あるいは排熱回収型ヒートポンプ等を利用した成型機の温度調節(例えば本出願人による特願2009−276713)においても適用することができる。
又、温水ボイラーを利用する形態において、温水ボイラーに代えて、空冷ヒートポンプや電気ヒータあるいはこれらの組合せを用いることができ、これらによって温水戻り温度あるいは温水タンク温度を制御することが可能である。
[第32形態]
図48は第32形態に係る空調システム3101の模式図であって、空調システム3101は、第1形態と同様に成るが、第3形態等と同様に冷却側に単数又は複数配置される空冷ヒートポンプ3102を備える。空冷ヒートポンプ3102にあっては、暖房運転ないし冷房運転が可能である。又、冷却側において、パイプ30,32と接続される冷水タンク3104が設置されている。冷却側戻りパイプ32には、冷水ポンプ1002a〜1002dと同様の冷水ポンプ1002が設置される。
冷水タンク3104には、更に冷却コイル16に対するパイプ3116,3126が接続されており、パイプ3116にはポンプ3152が介装され、パイプ3126には熱交換機3130が介装される。空冷ヒートポンプ3102には、熱交換機3130に媒体を供給する媒体供給パイプ3160と、熱交換機3130からの媒体を受ける媒体戻りパイプ3162が接続されている。媒体供給パイプ3160には、第2熱交換機3164が介装され、媒体戻りパイプ3162には、ポンプ3166が介装される。第2熱交換機3164には、他補助熱源(ここでは蒸気)Hが補助流量調節弁3180を経て導入される。
なお、熱交換機3130はパイプ32あるいは冷水タンク3104に設置しても良い。又、空冷ヒートポンプ3102とタンク3104につき専用のポンプを介して互いに接続し、空冷ヒートポンプ3102によって直接熱交換しても良い。更に、空冷ヒートポンプ3102をパイプ3126へ直接接続し、運転モードの切換により(冷房モード・暖房モード)媒体の戻り温度を制御しても良い。加えて、他補助熱源Hにつき冷却機としたり冷暖可能機としたりすることができる。
第32形態に係る空調システム3101は、主に暖房ないし冷房の運転切替を円滑に実行するため、例えば次のように動作する。
即ち、図48(a)に示すように、加熱負荷(350kW)が冷却負荷(170kW)に対して重い場合、ヒートポンプ4は加熱負荷に見合った温水を供給し、更に付随して生成される冷水を供給する(220kW)。そして、温水に対する冷水のバランスを取るために、空冷ヒートポンプ3102を暖房運転して加温された媒体(30度から35度へ)を冷水加温用の熱交換機3130へ供給する(50kW)。冷水往き温度の冷水温度(パイプ16,3116内の冷水温度)は10度であるところ、冷却コイル16から戻る直後のパイプ3126内の冷水温度は14度となり、熱交換機3130通過後の冷水温度やヒートポンプ4への冷水戻り温度は15度となって、ヒートポンプ4の運転が継続される。
これに対し、図48(b)に示すように、温熱負荷が減少する(254kWとなる)等して温熱に対する冷熱のバランスが取れなくなる場合、自動制御装置は冷水往き温度が所定値(12度)以上となったことの検知等によりこの場合を把握し、空冷ヒートポンプ3102を運転切替のため一時的に停止する一方、媒体戻りパイプ3162のポンプ3166を継続運転する。空冷ヒートポンプ3102における暖房モードないし冷房モードの切替は即時に実行可能なものではなく、所定時間(3分間)停止(機器インターロック)後に異なるモードで再起動する必要がある。ポンプ3166の継続運転により、媒体と冷水との熱交換機3130における熱交換は継続し、加温されていた媒体を冷水により冷却する(媒体35度から18度,冷水戻り温度16度)。運転切替時に媒体が冷却されることで、冷却されない場合と比較してより一層円滑に暖房モードから冷房モードに切り替わり、冷房運転をスムーズに開始することが可能である。
即ち、空冷ヒートポンプ3102が冷房モードで運転を開始するためには、ヒートポンプサイクルを成立させるために冷水出口温度が例えば20度以下でなければならず、媒体が35度であるとまず例えば30度まで外部冷却機等により下げ、更に空冷ヒートポンプ3102の運転切替用のモードで30度から20度まで温度を下げなければならない(およそ30分間前後を要する)ところ、空調システム3101では、外部冷却機に頼らずに、媒体と冷水との熱交換によってまず20度に素早く下げることができ、更に切替用モードへの移行も不要とすることができ、結果切替に要する時間を大幅に短縮することができる。なお、冷却可能な他補助熱源を用いて媒体を冷却すれば、更に素早く切替を行うことができる。
そして、図48(c)に示すように、温熱負荷(250kW)に対して冷熱負荷(170kW)が重い場合(ヒートポンプ冷温水供給のバランス上)、空冷ヒートポンプ3102は冷房運転し、8度に冷却された媒体13kWを供給する。一方、ヒートポンプ4は10度の冷水157kWを冷水タンク3104へ供給し、冷水タンク3104は冷却負荷に応じて10度の冷水を冷却コイル16へポンプ3152を介し供給する。冷却コイル16から戻る14度の冷水は空冷ヒートポンプ3102からの媒体(冷熱13kW)により13.6度となり、冷水タンク3104を経てヒートポンプ4へ戻る。こうして冷却コイル16の冷熱負荷170kWは冷水(157kW)及び媒体による冷却(13kW)で賄われる。他方、ヒートポンプ4は冷水供給に係る冷却負荷157kWに見合った温熱250kWを供給し、温熱負荷に対応する。
なお、この場合から温熱負荷が相対的に増した際ないし冷房から暖房への切替時には、上述の暖房から冷房への切替と丁度逆の動作を行う。即ち、ヒートポンプ4の冷水温度低下による運転停止を防ぐため、空冷ヒートポンプ3102を冷房運転から暖房運転へ切り替える場合、機器インターロック後の再起動に時間がかかるし、媒体温度が所定温度(25度)以下であるとヒートポンプサイクル成立のため更に暖房モード切替前にウォーミングモードで運転して25度にする必要がある(およそ30分間前後を要する)ところ、空調システム3101では、媒体と冷水との熱交換によってまず25度に素早く上げることができ、更にウォーミングモードにおける運転を省略可能であり、結果切替に要する時間を大幅に短縮することができる。なお、他補助熱源Hを用いて媒体を加温すれば、更に素早く切替を行うことができる。
以上の空調システム3101では、ヒートポンプ4の冷却側の空冷ヒートポンプ3102の運転切替中においても空冷ヒートポンプ3102の媒体を循環させるため、当該媒体が冷房切替時にはヒートポンプ4の冷水により冷却され、暖房切替時には当該冷水により加温されて、当該媒体に何もなされず温度が変わらない場合に比べ当該媒体温度を切替後のモードに合った状態に積極的に調整することができ、空冷ヒートポンプ3102の運転切替や切替後の運転を極めて円滑なものとすることができる。
又、空調システム3101では、他補助熱源Hにより媒体を暖房(冷房)切替時に加熱(冷却)するため、更に運転切替を素早く行うことが可能となる。
[第33形態]
図49(a)に示す第33形態に係る空調システム3251は、第1形態と同様に成るが、温水タンク3058や冷水タンク3104を備えていると共に、温水タンク3058に他熱源としての蒸気Z(電気ヒータや空冷ヒートポンプでも良い)が導入されるようになっており、更に冷水タンク3104に空冷ヒートポンプ2154(クーリングタワー・排熱・加温中の空冷ヒートポンプ等でも良い)が接続されている。この空調システム3251は、第1形態と同様に動作する他、例えば図20(b)に示すように動作する。
即ち、ヒートポンプ4は、冷水追従モードにおいて、冷水供給温度設定値(12度)で冷水を供給するように運転され、空冷ヒートポンプ2154より優先して運転される。又、ヒートポンプ4は、温水追従モードにおいて、温水供給温度設定値(60度)で温水を供給するように運転され、蒸気Zの導入より優先して運転される。一方、空冷ヒートポンプ2154は第1規定温度(15度,ヒートポンプ4冷水供給温度設定値より高い値)の冷水を冷水タンク3104へ供給し、蒸気Zは温水タンク3058が第2規定温度(50度,ヒートポンプ4温水供給温度設定値より低い値)以下となった場合に供給される。温水はヒートポンプ4に例えば55度で戻り、冷水はヒートポンプ4や空冷ヒートポンプ2154に例えば17度で戻る。
そして、自動制御装置は、まずヒートポンプ4を温水追従モードで起動し(ステップS1301)、監視している冷水供給温度が所定温度(7度)未満である場合のみ(ステップS1302でYES)、ヒートポンプ4の運転モードを冷水追従モードへ変更する(ステップS1303)。又、自動制御装置は、監視している温水供給温度が特定温度(62度)を超える場合のみ(ステップS1304でYES)、ヒートポンプ4につき冷水追従モードから温水追従モードへ変更する(ステップS1305)。なお、自動制御装置は、停止ボタンの押下等によりヒートポンプ4の停止指令がない限りステップS1302からの処理を繰り返し(ステップS1306でNO)、停止指令があると(ステップS1306でYES)、ヒートポンプ4を停止する(ステップS1307)。
なお、ステップS1302において、冷水供給温度が所定温度未満となる状態が所定時間継続した場合(自動制御装置と接続されたタイマにより把握する)にモード切換をするようにしても良い。又、ステップS1304についても同様に変更可能である。更に、ステップS1301において、生産ライン立ち上げ時等の工場排熱が少ない場合で空調設備の起動時等に温水負荷が冷水負荷と比較して大きい(冷水負荷<温水負荷)ときには、ヒートポンプ4を冷水追従モードで起動しても良く、この場合一層安定的な運転とすることができる。
このような第33形態の空調システム3251では、ヒートポンプ4の運転モードの切替あるいは他熱源(蒸気Z)・他冷熱源(空冷ヒートポンプ2154)により、冷却負荷に対して供給冷熱が過剰となる場合に冷水追従モードとして冷却負荷に適切に対応すると共に加熱負荷に温水と他熱源で対応し、加熱負荷に対して供給熱が過剰となる場合に温水追従モードとして加熱負荷に適切に対応すると共に冷却負荷に冷水と他冷熱源で対応する。従って、省エネルギー性能が極めて良好な状態でヒートポンプ4の運転を継続することが可能となる。
[第34形態]
図50に示す第34形態に係る空調システム3301は、熱交換機40に係る回路を除き、第1形態と同様に成る。空調システム3301にあって、熱交換機40へのパイプ42は冷却機としてのクーリングタワー3302の供給パイプとなっており、熱交換機40からのパイプ44は工場に属するコンプレッサー等の冷却を要する要冷却設備としての要冷却機器3304へのパイプとなっている。要冷却機器3304とクーリングタワー3302の間には、前者から後者へ媒体を導くパイプ3306が渡されており、パイプ3306には媒体熱量調節手段(機器冷却水温度調節手段)としての媒体流量調節弁3308が介装されていて、媒体流量調節弁3308の分岐側はパイプ42に接続されている。なお、クーリングタワー3302を複数台設置しても良いし、クーリングタワー3302に代えて、又はこれと共に冷凍機や空冷ヒートポンプを設置しても良い。又、要冷却機器3304を、冷却設備である空調設備や、温度調整が必要な設備(成型機やウレタン等の原液等)に代えても良い。
この空調システム3301は、第1形態と同様に動作する他、例えば次に示すように動作する。
即ち、比較的に冷水温度が低い(冷水の冷熱量が多い)場合、ヒートポンプ4は温水追従運転し、7度の冷水を冷却コイル16へ供給し、冷却コイル16から10度の冷水が出される。クーリングタワー3302から熱交換機40へ所定温度(15度)の冷媒が供給され、熱交換により冷水温度が12度に昇温される。熱交換後の媒体温度は13度に低下し、冷却水として要冷却機器3304に導入され、冷却時の熱交換により31度へ昇温されてクーリングタワー3302に適宜導入される。冷却水(媒体)はパイプ42において所定温度となるよう媒体流量調節弁3308によって調整される。
一方、比較的に冷水温度が高い(冷水の冷熱量が少ない)場合、ヒートポンプ4は温水追従運転し、18度の冷水を冷却コイル16へ供給し、冷却コイル16から21度の冷水が出される。クーリングタワー3302から熱交換機40へ所定温度の冷媒が供給され、熱交換により冷水温度が19度に低下される。熱交換後の媒体温度は17度に上昇し、冷却水として要冷却機器3304に導入され、冷却時の熱交換により25度へ昇温されてクーリングタワー3302に適宜導入される。冷却水(媒体)はパイプ32において所定温度となるよう媒体流量調節弁3308によって調整される。
空調システム3301では、ヒートポンプ4の冷却側と、工場に属する要冷却機器3304の冷却前の冷却水(媒体)を熱交換し、冷却前の冷却水を媒体流量調節弁3308(ないしクーリングタワー3302)により所定温度となるように調整するため、冷水が所定温度の媒体より冷たい場合には熱交換により冷水を加熱し、冷水が所定温度の媒体より暖かい場合には熱交換により冷水を冷却することができ、何れにしても冷水を所定温度に近づけることができて、ヒートポンプ4の冷水戻り温度等を監視する必要がなく、又ヒートポンプ4の冷水側に調節弁を設けなくても良く、シンプルな構成ないし動作で冷熱不足並びに過冷却を効果的に防止し、ヒートポンプ4の冷水温度を自然に安定させることが可能となる。
なお、第34形態を次のように変更しても良い。即ち、熱交換機40に空冷ヒートポンプのみを接続し、冷却側加熱媒体が空冷ヒートポンプから供給されるようにする。当該空冷ヒートポンプは、冷却側加熱媒体を所定温度(20度)に維持するように運転される(所定温度未満であれば暖房運転し、所定温度以上であれば冷房運転する)。従って、ヒートポンプ4の冷水は冷却側加熱媒体との熱交換により所定温度に近づけられ、即ち冷水は所定温度を下回れば冷却側加熱媒体(冷却側媒体)により加熱され、所定温度を上回れば冷却側加熱媒体(冷却側媒体)により冷却されることとなり、空冷ヒートポンプの媒体を所定温度に保持する自動運転のみにより複雑な制御をすることなく省エネルギーであるヒートポンプの運転を継続することが可能である。なお、第32形態と組み合わせることで、より安定した温度制御を行うことができる。
[第35形態]
図51に示す第35形態に係る空調システム3401は、第33形態と同様に成るが、冷水タンク3104に更に工場排熱源と熱交換機を介し接続されて工場排熱XX(工場に属する排熱)をやり取り可能なパイプ3402,3404が接続され、工場排熱源へのパイプ3402にポンプ3406が介装されていると共に、空冷ヒートポンプに代えてクーリングタワー3302(他冷熱源)が設置されており、更にクーリングタワー3302と冷水タンク3104の間のパイプ34にポンプ3408と冷熱量調節手段としての流量調節弁3410が介装されている。
空調システム3401は例えば次のように動作する。即ち、ヒートポンプ4は冷水追従モードで運転され、冷却負荷200kWに対しこれを上回る(過剰な)冷水350kWを供給する条件をつくることで、ヒートポンプ4から温水500kWが供給され、加熱負荷600kWに対応する。温水では賄えない加熱負荷100kWについては、他熱源である蒸気Z(100kW)の供給により調整する。
自動制御装置により冷水350kWを供給するため、ポンプ3406を流量最大の状態で動作させ、工場排熱XXと最大限の熱交換を行う(冷水加温300kW,冷水17度から20度へ昇温)。このままであると冷却コイル16の冷却負荷への対応と工場排熱XXとの熱交換により150kWの加熱が余剰して冷水温度の上昇が継続してしまうので、クーリングタワー3302により冷水を冷却する(冷却150kW,冷水17度から15度へ温度下降)。自動制御装置は、クーリングタワー3302あるいはポンプ3408や流量調節弁3410の制御により、冷水タンク3104内の冷水温度が所定温度(17度)となるように(冷水の冷熱量が所定量となるように)する。なお、ポンプ3406のインバーター制御やこれに代えて設置する流量調節弁等により、工場排熱XXに係る媒体の熱量(工場排熱XXとの熱交換量)を調整しても良い。
そして、自動制御装置は、熱量が変動する工場排熱XXに次のように対応する。即ち、工場排熱XXが多くなれば、その分だけクーリングタワー3302における冷却量を増す。一方、工場排熱XXが少なくなれば、その分クーリングタワー3302における冷却量を減らす。なお、同様にして冷却コイル16の冷却負荷にも対応することができる。
空調システム3401は、ヒートポンプ4の冷水と工場排熱XXを導入し熱交換することで冷水を加熱する熱交換機を備えており、ヒートポンプ4は冷却負荷量を上回る冷熱量である冷却媒体を供給する状態で冷却媒体追従運転される。余剰する冷熱量は工場排熱XXにあてがわれ、工場排熱XXが多くて冷水による冷却が不足する場合には、冷却媒体による冷却を補助する他冷熱源であるクーリングタワー3302により調整される。なお、加熱負荷の変動等には他熱源としての蒸気Zで対応する。
従って、シンプルな構成において初期費用(既設の加熱装置・冷却装置をヒートポンプ4で結び工場排熱XXへの回路を設ける費用)やランニングコストの低い状態でヒートポンプ4による加熱ないし冷却を継続して提供することができ、しかも工場排熱XXの熱回収をもシンプルに実行して省エネルギー性に優れた空調システム3401を提供することができる。
更に、第35形態を次のように変更することも可能である。即ち、パイプ34,36の何れかに熱交換機を設けると共に、当該熱交換機にクーリングタワーを接続して、温水を放熱する回路を設置する。そして、ヒートポンプ4を冷水追従モードで運転し、同時に生成される温水では熱量が不足して蒸気Z(他熱源)を導入している場合(冬季等)に、工場排熱XXによる冷水との熱交換量を増やすことで冷却負荷を増やし、これに伴い加熱負荷も増加させて、加熱負荷への対応のため用いられる蒸気Zの使用量を低減し、使用エネルギーを節約する。なお、冷水タンクを省略し、ヒートポンプ4の戻り配管(パイプ32)へ繋いでも良い。又、ヒートポンプ4による加熱が過剰となっていてクーリングタワーによる温水の放熱がなされている場合、あるいは温水温度が設定値(例えば65度)を超えた場合を条件に、パイプ3402に接続されているポンプ3406を停止したりインバーター制御による流量調整をしたりする(流量調節手段を用いた冷却側加熱媒体熱交換量調節手段)ことで、冷却側加熱媒体の熱量ないし冷水との熱交換量を調整し、もって冷却負荷を調整する。加えて、冷水の戻り温度(パイプ32)や往き温度(パイプ30)が上昇して設定値(例えば22度)を超えた場合に、ポンプ3406につき停止したりインバーター制御による流量調整をしたりして良い。更に、工場排熱XXとの熱交換量の調整は、インバーター制御されたポンプによるものに代えて、あるいはこれと共に、流量調節弁によるものとして良い。なお、ヒートポンプ4と冷水チラー(他熱源)の組合せにおける排温水との熱交換量の調整については、第26形態と同様に行うことが可能である。
[その他の形態]
以上の形態の一部にあっては、加熱と冷却とを行うヒートポンプの冷却側に適用する冷却側加熱媒体として工場に属する各種の熱を用いているが、当該各種の熱に代えて、あるいはこれと共に、次に示すような他の種類の工場に属する熱を用いることができる。即ち、工場で生ずる他の排気や排熱あるいは各種機器(ファンコイル等)からの放熱や作動油からの熱、又は塗装乾燥後等におけるワークの放熱や、温水洗浄により加温された製品をその後工程である水洗工程で水洗した場合の水洗水に移った熱、あるいは工場空調から生じた排熱(冷水戻り)を用いたり、これらの組合せを用いたりする。又、該各種の熱に代えて、あるいはこれと共に、別個のヒートポンプ(冷却側加熱媒体供給用ヒートポンプ)により生成した温水の熱を用いて良い。この場合、冷却側加熱媒体供給用ヒートポンプの稼働分だけ使用するエネルギーが増加するが、その増加分は加熱冷却用ヒートポンプの温水の熱を捨てる場合のエネルギーに比べ少なくて済み、総合しても効率の良好な空調システムとすることが可能である。更に、冷却側加熱媒体供給用ヒートポンプの温水及び工場の排熱と加熱冷却用ヒートポンプの冷水とを熱交換機に導入し、当該温水及び排熱を併せて加熱冷却用ヒートポンプの冷水に適用しても良い。又更に、冷却側加熱媒体として、ボイラの蒸気等又はこれと排温水ないし冷却側加熱媒体供給用ヒートポンプの温水との組合せを用いることができる。加えて、自動制御装置による各種の制御や切替等を、手動により行うことも可能である。又、冷水の加熱量の調整(加熱量調節手段)につき、熱交換器への分岐量の調節によるものに代えて、冷却媒体加熱用熱交換器に当たる排気の量の調節によるものや、これらの組合せによるもの等として良い。更に、冷水の分岐量の調整(熱交換量調節手段)において、インバーターポンプを用いても良い。又、ヒートポンプや冷却機を複数台組み合わせて構成する等、各要素の数を適宜変更して良い。
又更に、加熱及び冷却を行う排熱回収型ヒートポンプの冷媒を直接取り込み加熱してヒートポンプへ戻す別個のヒートポンプ(加熱用ヒートポンプ)を設けても良い。これに加え、排熱回収型ヒートポンプの冷媒を加熱する上述の各種熱交換機を併せて設置することもできる。又、加熱及び冷却を行う排熱回収型ヒートポンプの冷水側につき、ヒートポンプからの冷水を排温水と同様に工場で処理すると共に、冷水より高温の排温水を(適宜処理した後)ヒートポンプへ直接戻すようにし、あるいはこのように排温水がヒートポンプへ入るように排温水のパイプを流路切替え可能に配置することができる。
加えて、排熱回収型ヒートポンプに代えて(あるいはこれと共に)空冷式熱回収型ヒートポンプ(空冷ヒートポンプ式・冷温水同時取出型)を用いても、前記と同様の効果を奏することが可能である。即ち、空冷式熱回収型ヒートポンプは、冷水と温水の熱量バランスが崩れた場合、大気(空気)を熱源に自動的にバランスをとる(温熱不足時に大気から熱を奪い、冷熱不足時に大気へ熱を放出する)ものの、大気に対する熱のやり取りであるために効率上の限界がある。そこで、空冷式熱回収型ヒートポンプの冷却側を工場排熱等により加温すれば、空冷式熱回収型ヒートポンプにおける効率の良好な運転を継続させること等前記の効果を奏することが可能となる。特に、外気温度が低い(5度)冬季等において、冷却側を加温しない場合に空気を熱源に70度の温水を取出す効率はCOP2.1程度であるが、工場排熱等で冷水を20度まで加温すると効率がCOP3.8程度と良好化することができる。
なお、上記のヒートポンプ等の配置や制御等は、それぞれヒートポンプを利用した、塗装乾燥装置(本件出願人による特願2008−305017等参照)、電着塗装装置(同特願2010−14669等参照)、成型機の温度調節システム(同特願2009−276713等参照)にも適用することが可能である。