JP5345926B2 - 農作物収穫機 - Google Patents

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Description

本発明は、予め大きな石や土塊を除去した播種床から農作物を収穫する農作物収穫機に関するものである。
従来、馬鈴薯等の農作物を栽培する畦中には、農作物以外に土砂、石、土塊、茎葉、雑草、規格外の農作物等の夾雑物が混じっている。このうち、特に石や土塊は、畦中で農作物の生長を阻害したり、農作物を奇形にする原因になることが知られている。また、農作物を収穫する際には、石や土塊が農作物と衝突して損傷を与え、農作物の品質を低下させる原因となっている。
そこで近年、予め大きな石や土塊を除去した播種床を造成してから播種する栽培法が提案されている。この栽培法によれば、畦中に大きな石や土塊が存在しないため、収穫機には、比較的小さな夾雑物を農作物から分離する装置を備えればよいこととなる。このような分離装置として、例えば、特開2000−106729号公報には、表面に針ねずみ状の突起を有する送りローラと、この送りローラと反対方向に回転する分離ローラとを備えた夾雑物分離装置が開示されている(特許文献1)。
特開2000−106729号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明を含め、従来の分離装置においては、規格外となるような小さい農作物を圃場へ落下させることが多い。このため、例えば、馬鈴薯の圃場において、小さいイモ(野良イモとも呼ばれる)を放置すると、越冬して翌年に芽吹くことがある。したがって、輪作により別の作物を栽培するような場合、それらの野良イモが雑草となり、土の養分を奪ってしまうという問題がある。また、通常、種イモは防疫のために消毒されるが、野良イモは未消毒のため、圃場に病害虫を発生させるリスクが高くなるという問題もある。
一方、野良イモの数を減らすには、収穫機上で選別して貯留し、圃場の外で排出する方法が考えられる。しかしながら、この場合、野良イモを収穫機上で選別するための構成や、貯留した野良イモを排出可能なタンク等が必要となり、収穫機の構成が複雑になるという問題がある。また、収穫機の構成部が多いほど、各構成部間の落差や搬送方向の切替部において農作物が損傷を受けるため、品質が低下してしまうという問題もある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、構成部を少なくして農作物の品質低下を防止するとともに、規格外の農作物を粉砕し、雑草化したり病害虫を発生させるリスクを低減することができる農作物収穫機を提供することを目的としている。
本発明に係る農作物収穫機は、予め造成した播種床から掘り上げた農作物と夾雑物とを分離する分離手段を備えた農作物収穫機であって、前記分離手段の下方には、分離された夾雑物のうち規格外の農作物や土塊を粉砕する粉砕手段が設けられており、この粉砕手段は、互いに巻き込み方向に回転可能に並列配置された一対の粉砕ローラ対を複数有しており、これら各粉砕ローラ対のうち少なくとも一方の粉砕ローラの外周面には、その軸心に平行な巻込用凸状線が突出形成されている。
また、本発明において、前記一対の粉砕ローラ対は弾性材によって構成されており、粉砕できない夾雑物を通過させて落下可能な間隔を隔てて設けられていてもよい。
さらに、本発明において、前記巻込用凸状線は、前記一対の粉砕ローラ対の双方に形成されており、各粉砕ローラは、一方の粉砕ローラの各巻込用凸状線が、他方の粉砕ローラの各巻込用凸状線の間に入り込むように同期回転されていてもよい。
また、本発明において、前記分離手段は、前記農作物の搬送方向に回転する前後一対の搬送ローラ対を複数有するとともに、これら各搬送ローラ対の間に並列配置され逆方向に回転する分離ローラを有し、前記各搬送ローラ対は、半径方向に突出形成された回転放射状突起を有する複数のスクレーパディスクをスペーサを挟んで軸方向に重ねて構成されているとともに、それらの各スクレーパディスクは対をなす相手のスクレーパディスク間に入り込んで互いに重なるように配置されており、かつ、前記搬送方向において前方の搬送ローラが後方の搬送ローラよりも高い位置で軸支されていてもよい。
本発明によれば、構成部を少なくして農作物の品質低下を防止するとともに、規格外の農作物を粉砕し、雑草化したり病害虫を発生させるリスクを低減することができる。
本発明に係る農作物収穫機の一実施形態を示す斜視図である。 本実施形態の農作物収穫機を示す一部断面側面図である。 本実施形態の農作物収穫機を後方から見た一部省略斜視図である。 本実施形態の分離手段および粉砕手段を示す側面図である。 本実施形態の分離手段の一部を示す平面図である。 本実施形態の粉砕手段を示す斜視図である。 本実施形態の粉砕手段の他の実施例を示す断面図である。 本実施形態において、コンテナフレームを上方へ回転させた状態を示す斜視図である。 図8の正面図である。 本実施形態の粉砕手段が夾雑物を粉砕する様子を示す図である。
以下、本発明に係る農作物収穫機の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の農作物収穫機1を示す斜視図であり、図2は、本実施形態の分離手段および粉砕手段の断面を示す一部断面側面図である。
本実施形態の農作物収穫機1は、図1および図2に示すように、主として、圃場から畦を掘り取る掘取手段2と、掘り取られた畦を後方へ搬送する後方搬送コンベヤ3と、畦中の農作物と夾雑物とを分離する分離手段4と、この分離手段4が分離した小さい夾雑物を粉砕する粉砕手段5と、分離手段4が分離した農作物を上方へ搬送する上方搬送コンベヤ6と、この上方搬送コンベヤ6から搬送された農作物を前方へ搬送する前方搬送コンベヤ7と、この前方搬送コンベヤ7の側方に設けられる選別ステージ8と、前方搬送コンベヤ7から搬送された農作物を左右方向へ振り分ける振分コンベヤ9と、この振分コンベヤ9から搬送された農作物を収納する収納コンテナ10と、この収納コンテナ10を載置するコンテナフレーム11とを有している。以下、各構成部について詳細に説明する。
なお、本実施形態の農作物収穫機1は、2つの畦から同時に収穫可能な牽引式の多畦収穫タイプであるが、このタイプに限定されるものではない。すなわち、本実施形態の農作物収穫機1は、予め造成した播種床から収穫することを前提としているものであれば、自走式でもよく、一度に1つの畦しか収穫できないタイプの収穫機でもよい。
掘取手段2は、圃場から畦を掘り取るためのものである。本実施形態において、掘取手段2は、図1および図2に示すように、畦の起伏に沿って上下動するリードローラ21と、畦を掘り取る掘取刃22とを有している。そして、リードローラ21と掘取刃22との間隔を調節することで、掘取深さを一定に保持し、農作物への損傷や掘り残しの少ない掘り取りを実現するようになっている。
後方搬送コンベヤ3は、掘り取られた畦を後方へ搬送するためのものである。本実施形態において、後方搬送コンベヤ3は、図1に示すように、農作物収穫機1の進行方向と反対方向(後方)に向けて斜め上方に傾斜されており、その下端部に掘取刃22が設けられている。また、後方搬送コンベヤ3の両側端部には、側板31が立設されており、掘り取られた農作物が脱落するのを防止するようになっている。
なお、本実施形態において、後方搬送コンベヤ3は、所定の間隔を隔てた複数本のコンベヤロッド32をループ状に構成し、これを後方へ向けて回転させている。また、本実施形態では、後方搬送コンベヤ3の終端部には、図2および図3に示すように、農作物の茎葉をガイドする茎葉ガイド33が設けられている。そして、この茎葉ガイド33に導かれた茎葉が、かごローラ34とスナッピングローラ35とによって農作物から引き抜かれ、後方搬送コンベヤ3の下方へ排出されるようになっている。
分離手段4は、掘り取られた畦中の農作物と夾雑物とを分離するためのものである。本実施形態において、分離手段4は、図2から図4に示すように、農作物の搬送方向に回転する前後一対の搬送ローラ対41,41を複数有している。また、これら各搬送ローラ対41,41の間に並列配置され、各搬送ローラ41と逆方向に回転する分離ローラ42を有している。
各搬送ローラ41は、図4および図5に示すように、軸心から半径方向に突出形成された回転放射状突起43aを有する複数のスクレーパディスク43が、スペーサ44を間に挟んで軸方向に重ねられて構成されている。そして、図4及び図5に示すように、一対の搬送ローラ対41,41のスクレーパディスク43同士が、各軸心に沿って互いに重なるように設けられている。つまり、一方のスクレーパディスク43が、対をなす相手のスペーサ44の位置に入り込んで交互に重ねられている。一方、分離ローラ42は、略円柱状に形成されており、農作物へ与える損傷を低減するようになっている。
また、本実施形態では、図4に示すように、搬送方向において前方の搬送ローラ41が、後方の搬送ローラ41よりも高い位置で軸支されている。このため、後方の搬送ローラ41の各回転放射状突起43aが先に作用して掘り起こすため、農作物が誤って各搬送ローラ41間に噛み込まれるのを防止するようになっている。さらに、搬送ローラ対41,41および分離ローラ42からなる各セットは、図4に示すように、後方に向けて徐々に下降配置されており、農作物が後方へ搬送され易くなっている。
粉砕手段5は、規格外となるような小さい農作物や土塊等を粉砕するためのものである。本実施形態において、粉砕手段5は、図4に示すように、分離手段4の下方に設けられ、分離手段4から篩い落とされた夾雑物を粉砕処理するようになっている。なお、図4に示すように、分離手段4と粉砕手段5との間には、夾雑物が飛散するのを防止する飛散防止板51が設けられている。
本実施形態において、粉砕手段5は、図4および図6に示すように、互いに巻き込み方向に回転可能に並列配置された一対の粉砕ローラ対52,52を5対有している。各粉砕ローラ対52,52は、弾性材によって形成されており、歯車等によって連動駆動するように構成されている。また、一対の粉砕ローラ対52,52のうち、後列の粉砕ローラ52の外周面は、軸心に平行な凸状線条をなす巻込用凸状線53が周方向に等角度間隔で6本突出形成されている。なお、本実施形態の巻込用凸状線53は軸方向に連続して形成されているが、これに限らず、途中で分断されていてもよい。
また、本実施形態において、一対の粉砕ローラ対52,52は、粉砕できない夾雑物を下方に通過させて落下させうる間隔を隔てて配置されており、小石等の噛み込みを防止するようになっている。例えば、直径が86mmの粉砕ローラ52を使用する場合、ローラ間の間隔を14mm程度に設定することが好ましい。当該間隔が狭すぎると、小石等の噛み込み率が高くなって能率が下がる一方、当該間隔が広すぎると、粉砕能力が低下してしまうからである。
なお、本実施形態では、当該夾雑物を噛み込んだ場合に備えた対策として、機械的に駆動する場合には、安全クラッチ(図示せず)を装備しており、また、油圧で駆動する場合には、方向切替弁と圧力スイッチとを組み合わせた逆転駆動装置(図示せず)を装備している。
また、巻込用凸状線53の形状・数・配置は、規格外の農作物や土塊を粉砕しうるものであれば、上記構成に限定されるものではない。例えば、巻込用凸状線53は、粉砕ローラ対52,52のうち少なくとも一方の粉砕ローラ52の外周面に形成されていればよいが、双方の粉砕ローラ52に形成してもよい。但し、この場合、各粉砕ローラ52間の隙間が大きくなり、規格外の農作物等を粉砕し損ねるおそれがある。このため、図7に示すように、一方の粉砕ローラ52の各巻込用凸状線53が、他方の粉砕ローラ52の各巻込用凸状線53の間に入り込むように、各粉砕ローラ52を同期回転させればよい。
上方搬送コンベヤ6は、分離手段4において分離された農作物を上方へ搬送するためのものである。本実施形態において、上方搬送コンベヤ6は、図1および図2に示すように、ループ状のコンベヤベルト61が下方から上方へ向けて張設されており、このコンベヤベルト61に等間隔で複数の搬送板62が設けられている。そして、図2において時計回りに回転させることで、各搬送板62上に農作物が載置されて上方へと搬送される。
前方搬送コンベヤ7は、上方へ搬送された農作物を前方へ搬送するためのものである。本実施形態において、前方搬送コンベヤ7は、図1および図2に示すように、ループ状のコンベヤベルト71が後方から前方へ向けて張設されている。そして、その後端部が上方搬送コンベヤ6の上端部の下方に入り込むように配置されているとともに、その前端部が振分コンベヤ9の上方に配置されている。
なお、本実施形態の農作物収穫機1は、2つの畦を同時に収穫するタイプであるため、上方搬送コンベヤ6および前方搬送コンベヤ7が、それぞれ左右に2列で並列配置されている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、各コンベヤの数や形状は収穫量に応じて変更してもよい。
選別ステージ8は、農作物収穫機1上で、作業者が選別作業を行うためのものである。本実施形態において、選別ステージ8は、図1に示すように、前方搬送コンベヤ7の側方に設けられており、作業者が前方搬送コンベヤ7によって搬送される農作物の選別作業を実施しうる高さに調整されている。
なお、本実施形態の農作物収穫機1は、2畦を同時に収穫するタイプであるため、選別ステージ8上で行える選別作業は、いわゆる粗選別作業に限られる。つまり、明らかに不要な土塊、病気や奇形の農作物、切断された農作物、あるいは茎葉等を選別除去するに留まり、規格外の農作物や打撲を受けた農作物は、別途、収納コンテナ10から移した選別ライン等で精選別する必要がある。
振分コンベヤ9は、前方搬送コンベヤ7から搬送された農作物を左右の収納コンテナ10に振り分けるためのものである。本実施形態において、振分コンベヤ9は、図1に示すように、ループ状のコンベヤベルト91が左右方向に張設されており、その左右端部がそれぞれ左右に配置された収納コンテナ10の開口部まで延出されている。また、振分コンベヤ9は、正逆回転可能に構成されており、回転方向を切り換えることにより、投入する収納コンテナ10を選択しうるようになっている。
収納コンテナ10は、収穫した農作物を収納するためのものである。従来の収穫機では、一般的に、備え付けの収納タンク等に農作物を蓄積した後、別途、収納コンテナ10へと移し替えている。しかし、本実施形態では、農作物のハンドリング回数を減らすため、図1に示すように、農作物収穫機1の左右両側に設けられたコンテナフレーム11,11のそれぞれに、直接収納コンテナ10を載置している。各収納コンテナ10は、略直方体状に形成されており、その上面が開口されている。
コンテナフレーム11は、収納コンテナ10を載置するためのものである。本実施形態において、各コンテナフレーム11は、図1に示すように、収納コンテナ10を載置しうるように左右の外方向に向けて延出されている。また、各コンテナフレーム11は、農作物を収納コンテナ10へ収納する際の落差を低減させるため、その上端部が農作物収穫機1の本体フレームと回転自在に連結されており、図8および図9に示すように、油圧シリンダ12によって傾斜角度を調節しうるように構成されている。
つぎに、以上の構成を備えた本実施形態の農作物収穫機1による作用について、図面を用いて説明する。
まず、本実施形態の農作物収穫機1によって、予め造成した播種床から馬鈴薯等の農作物を収穫する場合、各コンベヤ3,6,7,9、分離手段4および粉砕手段5を駆動した状態で、トラクタ(図示せず)によって牽引する。このとき、掘取刃22は、畦の起伏に沿って上下動するリードローラ21との間隔が保持されているため、掘取深さが一定に保たれる。このため、運転者は、掘取深さを気にする必要がなく、農作物への損傷や掘り残しが低減する。
掘取刃22によって掘り取られた農作物や夾雑物は、後方搬送コンベヤ3によって斜め上後方へと搬送される。このとき、後方搬送コンベヤ3を構成するコンベヤロッド32の隙間から、細かい土砂が篩い落とされる。また、本実施形態では、予め造成した播種床で栽培された農作物の収穫を前提としているため、掘り取られる夾雑物は小さいサイズに限定されている。
なお、本実施形態では、後方搬送コンベヤ3の後方に設けられた茎葉ガイド33が、農作物の茎葉をかごローラ34およびスナッピングローラ35へと案内する。そして、これらかごローラ34およびスナッピングローラ35によって農作物の茎葉が引き抜かれ、後方搬送コンベヤ3の下方へ排出される。
つづいて、農作物や夾雑物が分離手段4へ投入されると、一対の搬送ローラ対41,41が農作物を後方へ搬送する。このとき、各搬送ローラ41の各スクレーパディスク43の回転放射状突起43aが、前後列の重なり部分で交錯し、土塊や泥等を掻き落とす。また、本実施形態では、搬送方向に関して前方の搬送ローラ41が、後方の搬送ローラ41よりも高い位置で軸支されているため、農作物を誤って噛み込んでしまうのを防止する。
各搬送ローラ41は、農作物と合わせて夾雑物も搬送するが、分離ローラ42が、後方の搬送ローラ41との間に夾雑物を巻き込み、下方へと落下させる。これにより、農作物は順次後方へと搬送される一方、夾雑物は順次下方へと落下され、農作物と夾雑物とが分離される。なお、本実施形態では、一対の搬送ローラ対41,41および分離ローラ42からなる各セットが、後方に向けて徐々に下降しているため、農作物をスムーズに搬送する。また、略円柱形状の分離ローラ42は、農作物への損傷を最小限に抑制する。
つづいて、分離手段4によって分離された夾雑物は、粉砕手段5へと落下し、粉砕処理される。具体的には、一方の粉砕ローラ52に設けられた巻込用凸状線53が、他方の粉砕ローラ52との間に夾雑物を巻き込む。これにより、一対の粉砕ローラ対52,52は、図10に示すように、夾雑物のうち規格外の農作物や土塊を当該粉砕ローラ52間の隙間で圧壊して粉砕する。このため、規格外の農作物が翌年以降に芽吹くのを防止する。一方、夾雑物のうち粉砕できない小石等は、当該粉砕ローラ52間の隙間から圃場へと落下する。このため、粉砕手段5が小石等を噛み込んで停止することが少なく、処理効率が低下するのを抑制する。
分離手段4によって分離された農作物は、上方搬送コンベヤ6および前方搬送コンベヤ7を経由して、振分コンベヤ9へと移送される。このとき、本実施形態では、選別ステージ8上に作業者を配置し、前方搬送コンベヤ7上を流れる農作物の選別作業を実施できる。このため、明らかに不要な土塊、病気や奇形の農作物、切断された農作物、あるいは茎葉等を予め選別除去することが可能となる。
前方搬送コンベヤ7から移送された農作物は、正逆方向に回転する振分コンベヤ9によって、左右いずれかの収納コンテナ10へと直接投入される。これにより、収納タンクへ蓄積してから収納コンテナ10へ移し替える場合と比較して、農作物のハンドリング回数が1回減るため、農作物の損傷を抑制し、品質の低下を防止する。また、振分コンベヤ9が、農作物を左右の収納コンテナ10へ振り分けるため、一度に収穫できる農作物の量が増大する。
また、本実施形態では、図8および図9に示すように、油圧シリンダ12によって回転駆動されるコンテナフレーム11が、収納コンテナ10内の収納量に応じて収納コンテナ10の傾斜角度を調節する。具体的には、収納コンテナ10内の農作物が少ない場合は、傾斜角度を大きく設定する。そして、収納量が増加するにしたがって、傾斜角度を徐々に小さくする。これにより、農作物を収納コンテナ10へ収納する際の落差が常に小さくなるため、農作物は損傷し難く、品質の低下が防止される。
なお、本実施形態では、予め造成した圃場での収穫を前提とするため、大きな夾雑物の処理手段が不要となる。また、粉砕手段5を設けることで、野良イモ等を落下させるおそれのある分離手段4の使用が可能となり、従来、分離処理に使用していた複雑なコンベヤ類が不要となる。つまり、従来の収穫機と比較して、構成部が少ないため、農作物が各構成部間を移送される際に受ける損傷が減少する。
以上のような本実施形態の農作物収穫機1によれば、以下のような作用効果を奏する。
1.規格外の農作物を粉砕して圃場に戻すことで、翌年以降に芽吹いて雑草化するのを防止でき、病害虫を発生させるリスクを低減することができる。
2.少ない構成部で農作物収穫機1を構成することで、農作物を搬送する際に与える衝撃の回数を減らし、損傷を受ける確率を低減し、品質の高い農作物を収穫することができる。
3.農作物を小さい落差で直接収納コンテナ10へ収納することで、農作物への損傷を最小限に留め、品質の低下を防止することができる。
なお、本発明に係る農作物収穫機1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した本実施形態では、振分コンベヤ9の回転方向およびコンテナフレーム11の傾斜角度をマニュアルで切替・調節しているが、この構成に限定されるものではなく、自動的に制御するようにしてもよい。具体的には、コンテナフレーム11に重量センサを設け、重量に応じて傾斜角度を調節してもよい。また、収納コンテナ10の最大積載量を設定しておき、重量センサの値が当該最大積載量に達したとき、振分コンベヤ9の回転方向を切り替えるようにしてもよい。
1 農作物収穫機
2 掘取手段
3 後方搬送コンベヤ
4 分離手段
5 粉砕手段
6 上方搬送コンベヤ
7 前方搬送コンベヤ
8 選別ステージ
9 振分コンベヤ
10 収納コンテナ
11 コンテナフレーム
21 リードローラ
22 掘取刃
31 側板
32 コンベヤロッド
33 茎葉ガイド
34 かごローラ
35 スナッピングローラ
41 搬送ローラ(搬送ローラ対)
42 分離ローラ
43 スクレーパディスク
43a 回転放射状突起
44 スペーサ
51 飛散防止板
52 粉砕ローラ(粉砕ローラ対)
53 巻込用凸状線
61 コンベヤベルト
62 搬送板
71 コンベヤベルト
91 コンベヤベルト

Claims (4)

  1. 予め造成した播種床から掘り上げた農作物と夾雑物とを分離する分離手段を備えた農作物収穫機であって、
    前記分離手段の下方には、分離された夾雑物のうち規格外の農作物や土塊を粉砕する粉砕手段が設けられており、この粉砕手段は、互いに巻き込み方向に回転可能に並列配置された一対の粉砕ローラ対を複数有しており、これら各粉砕ローラ対のうち少なくとも一方の粉砕ローラの外周面には、その軸心に平行な巻込用凸状線が突出形成されている農作物収穫機。
  2. 前記一対の粉砕ローラ対は弾性材によって構成されており、粉砕できない夾雑物を通過させて落下可能な間隔を隔てて設けられている請求項1に記載の農作物収穫機。
  3. 前記巻込用凸状線は、前記一対の粉砕ローラ対の双方に形成されており、各粉砕ローラは、一方の粉砕ローラの各巻込用凸状線が、他方の粉砕ローラの各巻込用凸状線の間に入り込むように同期回転されている請求項1または請求項2に記載の農作物収穫機。
  4. 前記分離手段は、前記農作物の搬送方向に回転する前後一対の搬送ローラ対を複数有するとともに、これら各搬送ローラ対の間に並列配置され逆方向に回転する分離ローラを有し、
    前記各搬送ローラ対は、半径方向に突出形成された回転放射状突起を有する複数のスクレーパディスクをスペーサを挟んで軸方向に重ねて構成されているとともに、それらの各スクレーパディスクは対をなす相手のスクレーパディスク間に入り込んで互いに重なるように配置されており、かつ、前記搬送方向において前方の搬送ローラが後方の搬送ローラよりも高い位置で軸支されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の農作物収穫機。
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