JP5343377B2 - 基材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療分野で好適に用いられる基材及びその表面改質技術に関するものである。
血液は、異物と接触すると凝固系が活性化され、血栓が形成されるという性質を有する。人工腎臓などの血液体外循環において回路や透析器内などで血栓が形成されると循環圧力が上昇し、やがて循環できなくなるだけでなく、生成した血栓の一部が体内へ入ると血管が閉塞する危険がある。従って、血液体外循環では、体外循環時に血液中に血液抗凝固活性(以下、抗凝固能という)物質を添加する必要があり、一般的に普及している方法である。抗凝固能物質としては、安価なヘパリンを用いるのが一般的である。ただし、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HITという)の患者や手術後など出血のある患者には使用することはできず、代わりにメシル酸ナファモスタットやメシル酸ガベキサートなどの高価な抗凝固剤を使用することになり、医療費の高額化が問題となっている(非特許文献1,2,3参照)。
これまで、材料表面に抗凝固能を付与し抗凝固剤の使用量を低減可能な、あるいは抗凝固剤無添加条件で使用可能な抗凝固能材料の研究が行われてきた。すなわち材料表面に抗凝固能物質などを固定化した材料であり、最も研究されているものとしてヘパリン化材料が挙げられる。材料へのヘパリンの固定化方法としては、材料に導入したアンモニウム塩等の正電荷とヘパリンの負電荷を利用したイオン結合によるものが主流である(非特許文献4参照)。しかし、この場合ヘパリンが溶出しやすいことからHITの患者に使用できないのはもちろん、抗凝固能が低下するという問題がある。そこで、これら溶出の問題を解決すべく共有結合によるヘパリン固定化の方法がいくつか報告されている。第一に有機化学的に形成した共有結合によるヘパリンの固定化方法であるが、化学反応時に抗凝固能が低下するといった問題がある(特許文献1参照)。第二にイオンビームとレーザー光を用いて抗凝固能の低下を抑えつつヘパリンを共有結合で材料に固定化する方法であるが、イオンビームやレーザー光を用いるために、中空糸内表面などビームの陰となる部分には固定化することは困難である(特許文献2参照)。
ヘパリンはそれ自身の抗凝固能が非常に低く、アンチトロンビンIII(以下、ATIIIという)と結合することで高い抗凝固能を発現する。すなわちATIIIが欠乏している血液に対する抗凝固能は、不十分であるという問題点もある(非特許文献2参照)。
かかるヘパリン固定化材料の問題点に対して、ヘパリン以外の抗凝固能を有する化合物を固定化した材料の研究も行われている(特許文献3参照)。しかし、抗凝固能を有する化合物のみでは血小板付着を抑制することは難しく、血小板血栓が生成するという問題点がある。また、抗凝固能を有する化合物が基材から溶出するという問題については、何ら提起されていない。
また、近年、ヘパリン以外の抗凝固能を有する化合物を放射線によって固定化する研究が行われている(特許文献4参照)。この方法により、放射線照射に対する抗凝固能の低下を抑制でき、さらに、抗凝固能を有する化合物の基材からの溶出をある程度低減する状態になっているといえるが、抗凝固能を有する化合物のみを固定化する方法では、内因系の血液凝固反応を抑制できるものの、血小板付着の抑制を制御することは難しく、十分な抗凝固能を達成できていない。また、ここでは、放射線照射時の未反応物についての考慮が為されておらず、抗凝固能を有する化合物の基材からの溶出を十分低減できているとはいえない。
特表2003−507082号公報 特開2001−213984号公報 特表2004−525888号公報 特開2006−291193号公報 太田和夫、「人工腎臓の実際(改訂第4版)」、南江堂、1993年、pp.158-164 阿岸鉄三ら、「透析入門」、秀潤社、1994年、pp.170-182 American journal of hematology. 2006 81(1), pp.36-44 Journal Biomedical Materials Research. 1998 39, pp.86-91
本発明の目的は、上記の問題を考慮して、抗凝固能、好ましくは抗トロンビン活性、および血小板付着抑制能が付与された、血液適合性に優れた基材と、かかる基材の製造方法を提供すること、抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物の溶出量を低減できることにある。さらに、抗凝固能を有する化合物の性能を最大限に発揮させるための材料への導入量を見出すことである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
1.抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を含み、基材表面に該抗トロンビン活性を有する化合物を表面深さ1μm当たり40mg/m以上含むことを特徴とする基材。
2.該抗トロンビン活性を有する化合物の溶出量が0.6μg/ml未満であることを特徴とする1記載の基材。
3.トロンビン吸着量が1.0ng/cm以上であることを特徴とする1または2記載の基材。
4.抗トロンビン活性を有する化合物と親水性化合物を基材と接触させた状態で放射線を照射した後に、未反応の化合物を洗浄することを特徴とする基材の製造方法。
5.抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を基材と接触させた状態で放射線を照射した後に界面活性剤で洗浄することを特徴とする4に記載の基材の製造方法。
本発明によれば、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物を基材表面に導入することで基材表面に極めて高い抗凝固能を付与できる。その結果、血液と材料を接触させる用途においても、体外循環時に血液に添加する抗凝固剤の使用量を低減することが可能であり、あるいは抗凝固剤を使用しなくともよい場合もあるので、抗凝固剤に対する副作用等のリスクを減らし、ついては医療費負担額を軽減することが期待できる。
また、本発明の製造方法によれば、有機溶媒の存在下で抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物を基材と接触させた状態で放射線照射し、さらに未反応物を洗浄することにより、抗凝固能を有する化合物の活性を維持しつつ基材表面に放射線グラフト重合させ、基材表面に導入した抗凝固能を有する化合物が溶出するリスクを低減することも可能となる。
本発明に係る基材は、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物を含むものである。基材表面に抗凝固能を有する化合物のみが導入された場合、凝固因子による血液凝固反応の活性化を抑制できるが、血小板凝集を抑制できないため、血液と接触させる用途において、血栓の生成や血小板の基材への付着を完全に抑制することができない。一方、基材表面に親水性高分子化合物のみが導入された場合、血小板凝集を抑制できるが、凝固因子による活性化を抑制できないため、上記同様、血栓の生成等を完全に抑制することができない。すなわち、一方の化合物の量を単に増加させることにより、本発明の課題を解決することはできない。しかしながら、本発明においては、抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物を共に基材に含ませることにより、はじめて複数の凝固反応を抑制でき、強い抗凝固能を有する材料が創製可能となるものである。さらに、本発明においては、抗凝固能を有する化合物が血液中に溶出すると、凝固時間を延長させる効果があることや副作用が起こる可能性が考えられることから、抗凝固能を有する化合物の溶出についても考慮しており、かかる溶出量を1μg/ml未満、好ましくは0.8μg/ml未満、より好ましくは0.6μg/ml未満に低減させることによって、抗凝固能を有する化合物による副作用や、基材への導入量を低減させることが可能となり、安全かつ低コストを達成でき、本発明の課題を解決するに到ったものである。
本発明において、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物とを基材表面に含む基材とは、基材の表面に抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物が存在している基材である。抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物は基材に対して直接結合していてもよいし、いなくてもよい。ただし直接結合している方が、これらの化合物が基材表面から脱離しにくいので効果が持続すること、及びこれらの化合物の溶出低減が期待できるため好ましい。このときの結合は共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などの化学結合があるが、共有結合は比較的強固な結合であるので好ましい。また、これらの結合を複数組み合せた結合であってもよい。また抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物とを基材表面に共有結合すなわちグラフトさせる方法としては求核置換反応などによる有機化学的な方法と電離放射線を照射することによる放射線化学的な方法とがある。このうち放射線化学的な方法は反応副生成物が少なく、かつ放射線の種類や線量を適宜選択することで基材の滅菌を同時に行うことも可能であり好ましい。また、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物は同時に処理しても、別々に処理してもよい。親水性高分子化合物は、基材の製造時に原料とともに混練される等して、基材の一成分となっていてもよいが、基材の種類によっては、基材の機械的もしくは化学的物性(例えば強度や脆性、表面電荷、表面濡れ性など)を損なう可能性がある。従って、この様な場合は、基材の表面に当該親水性高分子化合物を含む水溶液等を接触させる等の方法により、基材表面に導入固定してもよい。この様な導入固定方法を採ることで、基材の種類を選択せずに適用できる範囲が広がるため、本発明の効果を多くの分野で活用できるだけでなく、用途のために最適化されるように親水性高分子化合物の種類を容易に変更できるため、機能性や生産コストの面からより好適である。
溶出物の確認方法は特に限定しないが、下記要領で測定する方法が例として挙げられる。例えば、試薬にHaemoSys社製のECA−Tキットを使用し、装置にTECO Medical Instruments Production社製のCOATRON M1(code 80 800 000)を使用する。血液もしくは生体成分、生体組織と接触する面積(中空糸の場合は血液と接触する糸内表面積とする)(以下、面積Aという)1cm当たり160μlのヒト血漿で4時間洗浄する。洗浄後のヒト血漿を80μl採取し、20μlの蒸留水を添加する。この溶液をサンプル溶液とする。サンプル溶液を調製してすぐに、ECA prothrombin buffer 100μl、サンプル溶液30μl、ECA−T substrate 25μlを混合し、37℃の温度で60秒間インキュベート後、装置にセッティングする。これにECA ecarin reagent 50μlを添加して測定を行う。予め、任意の濃度に調製した抗凝固能を有する化合物の水溶液もしくはブランクの蒸留水を20μlとヒト血漿80μlの混合溶液を同手法にて測定し、結果を検量線として用い、検量線から算出された抗凝固能を有する化合物の量を溶出量とする。
基材表面における抗凝固能を有する化合物の量は、その抗凝固能の強さに応じて適宜変わるが、少なすぎると抗凝固能効果が低いという問題があるので面積Aを基準として基材が中空糸膜の様な多孔体の場合、表面深さ1μm当たり40mg/m以上が好ましい。基材がカテーテルや血液回路の様に多孔体ではない場合、厚さに関係なく基材表面に40mg/m以上が好ましい。一方、抗凝固能を有する化合物の量が多すぎるとコストアップや溶出といった問題があるので100g/m以下が好ましい。基材表面における抗凝固能を有する化合物の量は、次のように測定する。すなわち、基材に対する抗凝固能を有する化合物の添加量をベースとして、後続する工程、例えば、主な工程は洗浄工程であり、基材に固定されていない未反応物を除去する工程で除去される量を差し引くことで求められるが、これに限定されるものではない。また、次に記載するトロンビンの吸着量を測定することで、あらかじめ作成した抗凝固能を有する化合物とトロンビン吸着量との検量線から算出することもできる。
また、抗凝固能を有する化合物は抗トロンビン活性を有することが好ましい。本発明手いう抗トロンビン活性を有する化合物とは、血液中の凝固関連物質であるトロンビンの活性を抑制する化合物のことである。トロンビンの吸着量は酵素免疫測定法(ELISA法)を用いて行うが、これに限定されるものではない。詳細な実験方法については後述するが、本発明の基材が吸着するトロンビンの量は、面積Aを基準として0.5ng/cm以上であることが好ましく、1.0ng/cm以上であることがより好ましい。
また、親水性高分子化合物の量も少なすぎると、血小板付着抑制効果が低いという問題がある。本発明の基材は、表面親水性高分子量が20重量%以上であることが好ましい。ここで、表面親水性高分子量とは、基材の表面における親水性高分子のモノマーユニットの重量(モノマーユニットのモル数×モノマーユニットの分子量)を(A)、基材の表面における基材を構成する高分子のモノマーユニットの重量(モノマーユニットのモル数×モノマーユニットの分子量)を(B)としたときに、A/(A+B)で表される比率と定義する。表面親水性高分子量は、基材の表面の親水性の度合いを表すパラメータとなる。
表面親水高分子量は、基材の表面のみ、すなわち表面から深さ10nm程度までをX線光電子分光法(ESCA)(X線の入射角に対する検出器の角度は90度)により測定することで求められる。すなわちESCAの測定により得られた、基材の処理前後のC1s、O1sスペクトルの面積強度変化から求められる。表面親水性高分子量は、20重量%以上であることが好ましく、32重量%以上であることがより好ましい。表面親水性高分子量が20重量%未満になると、タンパク質などの有機物や生体成分の付着を抑制する効果が低下する。
本発明の基材は、ヒト血小板付着数が10個/(4.3×10μm)以下である。血小板付着数は、基材と血液を1時間接触させた場合に、基材の表面に付着した血小板の数を、基材表面における4.3×10μm当たりの数として求めた値である。血小板付着量の測定法として、サンプルをヘパリン添加ヒト血液中で、37℃にて1時間振盪させた後、生理食塩水で洗浄し、グルタルアルデヒド水溶液で血液成分の固定を行い、ゆるやかに洗浄、及び乾燥(減圧乾燥を行い、乾燥1時間の前後での重量変化率が2%以内となるまで乾燥する)の後、走査型電子顕微鏡にて倍率1500倍で試料表面を観察し、1視野中(4.3×10μm)の血小板数を数え、サンプル中央付近で異なる10視野での血小板数の平均値を血小板付着数(個/4.3×10μm)とする方法を用いる。ヒト血小板付着量が10個/(4.3×10μm)を超えると、血液適合性が不十分になるとともに、タンパク質などの有機物や生体成分の付着を抑制する効果も不十分になる。
さらに本発明の基材は、血液凝固試験を行った際に血液凝固時間を10秒以上延長させることが好ましい。ここで、血液凝固時間の測定は、ソノクロット(米国サイエンコ社製血液凝固・血小板機能分析装置)を用いて行うことができるが、特にこれに限定されるものではない。ここでは、基材を100μg/mlの濃度になるよう生理食塩水を添加し、ヒト血液342μlとグルコン酸カルシウム注射液(大日本住友製薬製)を14.8μl添加し、SonACTキットを用いてソノクロットの装置内プログラムであるACTプログラムを用いて測定した。血液凝固の延長時間は10秒以上であることが好ましく、15秒以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる抗凝固能を有する化合物の一例としては、アミノ酸を構成要素とする化合物を挙げることができる。アミノ酸は、側鎖に種々の官能基を有しており、それ自身で活性を発現させたり活性基と結合したりできるので好適である。アミノ酸を構成要素としている化合物とは、タンパク質を構成するαーアミノ酸を有する化合物のことであり、例えば、タンパク質やペプチドなどのアミノ酸のみから構成されるものや、糖タンパク質、アミノ酸錯体およびアミノアシルアデニル酸等のアミノ酸とアミノ酸以外のものから構成されるものも挙げられる。
血液は、異物と接触すると凝固系成分が活性化されて、やがて血栓が形成される。人工腎臓などの血液体外循環において、回路内や透析器内などで血栓が形成されると血液の循環圧力が上昇し、やがて循環できなくなるのみならず、形成された血栓の一部が体内へ入ると血管が閉塞する危険がある。従って、血液体外循環では、体外循環する血液中に抗凝固能を有する化合物を添加する必要がある。しかしながら、手術直後の患者や消化管出血を合併している患者などの血中に血液抗凝固作用を有する化合物を添加すると、出血を伴うことがある。そこで、体外循環に用いられる基材の表面に、抗凝固能を有する化合物を固定化させることにより、体外循環する血液中に血中への抗凝固能を有する化合物を添加しなくとも血液凝固の抑制が可能となる。
抗凝固能を有する化合物とは、血液にその化合物を10μg/mLの濃度となるように加えたとき、未添加の血液と比較してプロトロンビン時間が30%以上延長する化合物を指す。プロトロンビン時間の測定は、次の文献に記載の方法で行うことができる。
金井正光ら、「臨床検査法提要 改訂第30版」、金原出版、1993年、pp.416−418
すなわち、具体的には、3.2%クエン酸ナトリウム1容と血液の9容を混ぜて、分取したクエン酸血漿0.1mLを小試験管(内径8mm、長さ7.5cm)にとり、37℃の温度の恒温水槽に入れ約3分間加熱する。それに、同温度に保温した組織トロンボプラスチン・カルシウム試薬0.2mLを加えると同時に秒時計を始動させ、また小試験管を軽く振盪した後、静置して傾斜させながらフィブリンが析出するまでの時間を測定する。
本発明で用いられる抗凝固能を有する化合物としては、例えば、ヘパリン、ナファモスタットメシレート、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、α1アンチトリプシン、α2マクログロブリン、C1インヒビタ、トロンボモジュリンおよびプロテインC等が挙げられる。抗凝固能を有する化合物の中で、トロンビンの活性を抑制することにより強力な血液抗凝固作用を示す化合物、すなわち抗トロンビン活性を有する化合物がある。
超純水に抗トロンビン活性を有する化合物として、下記の一般式
(式中、PEGは数平均分子量2000のポリエチレングリコール(以下、PEGという)残基、Meはメチル基を表す。)で示される4−メトキシ−ベンゼンスルホニル−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4−アミジノベンジルアミド(以下、化合物Aと略すことがある。)、ATIIIおよびヒルジンなどが挙げられる。
抗凝固能を有する化合物が上記化合物Aのように抗トロンビン活性部分および高分子鎖部分を含む場合は、その高分子鎖部分で基材と結合することが可能となり、抗凝固能部分が基材と結合することによる活性低下を抑止できるので好ましい。本発明で言うところの高分子鎖部分とは特定の化学構造を有する繰り返し単位が共有結合で連なった分子鎖で分子量1000以上のものを指す。かかる高分子鎖部分としては、PEG残基、ポリビニルピロリドン(以下、PVPという)残基、ポリプロピレングリコール(以下、PPGという)残基、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)残基およびそれらのいずれかの共重合体の残基等の親水性高分子鎖があげられる。このような親水性高分子鎖を有する化合物は、抗凝固能を有する化合物の水溶性が低下しにくいこと、またアミノ基やカルボキシル基を有する誘導体が市販されており、これらを高分子鎖部分に導入して抗凝固能を有する化合物を製造する方法が比較的容易なことから特に好ましく用いることができる。
本発明における親水性高分子化合物とは、水に可溶な高分子化合物および水に不溶でも静電相互作用や水素結合により水分子と弱い相互作用をし得る高分子化合物を指す。また高分子化合物とは数平均分子量が1000以上の化合物をいう。親水性高分子化合物の例としては、例えば、PVA、PVP、PEG、PPG、ポリエーテルとポリシロキサンからなる物質、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどや、これら高分子のモノマーと他のモノマーとの共重合体やグラフト体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちポリエーテルとポリシロキサンからなる物質、PVA、ポリエーテル、PVPから選ばれる少なくとも一つを含むものが好適に使用されるが、特にポリエーテルとポリシロキサンからなる物質とPVAは親水化の効果が高いので好ましい。ここで言うポリエーテルとポリシロキサンからなる物質とはポリエーテルとポリシロキサンとの共重合体、ポリマーコンプレックス、ポリマーブレンド物などが挙げられる。このうち、共重合体は水溶性が高いので水溶液によるグラフト処理が可能なことから、放射線照射施設内での溶媒への引火や発火のリスクを低減できる点で好ましい。ポリエーテル/ポリシロキサン共重合体はポリエーテルユニットとポリシロキサンユニットとからなり、それらの共重合形態はランダム共重合体でもブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよく、またこれらの混合物でもよい。
ポリエーテルとしてはPPGやPEGが好適に用いられるが、PPGはPEGと比較して疎水性が高いため、基材との間により強い疎水性相互作用を持つことが可能となり、例えば放射線グラフトする場合、効率的にポリエーテルとポリシロキサンからなる物質を基材に対してグラフトできるので好ましい。ただし、ポリエーテル中のPPGの含有率が増加し過ぎると該共重合体の水に対する溶解性が低くなるので、PPGの含有率は5mol%以上であることが好ましく、10mol%以上より好ましく、20mol%以上であることがさらに好ましい。一方で、90mol%以下であることが好ましく、80mol%以下であることがより好ましく、60mol%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明におけるPPGの含有率(mol%)は式(1)で算出するものとする。
P=100×(a)/(b) 式(1)
上式中、PはPPGの含有率(mol%)とし、(a)はポリエーテル中のPPGユニットの数、(b)はポリエーテル中のエーテルユニットの数とする。ポリエーテル中のPPGユニットとは下記化学式で表される構造のことを指す。
また、ポリエーテル中のエーテルユニットとは下記化学式で表される構造のことを指す。
上式においてRは炭素数6以下のアルキル基である。PPG含有率は核磁気共鳴分光法(以下H−NMRとする)などで測定することが可能である。
また、ポリエーテルは共重合されていてもよく、ポリエーテル中のPPGの他の共重合成分等としては、入手のしやすさ等の観点から、PEGを用いることがよい。また、かかるPEGとPPGからなる物質において、その効果を損なわない程度に他の共重合成分等が含まれていても構わない。
抗凝固能を有する化合物の高分子鎖部分としてのPVA、また、親水性高分子化合物としてのPVAについて、ケン化度の低いPVAはさらに基材を親水化する効果が高いので好ましい。ここで言うケン化度とは式(4)で求められる数値である。ただし、ケン化度が低すぎると水に対する溶解性が著しく低くなるので水溶液として基材に対して表面処理することが困難となることがある。そのため、ケン化度は好ましくは50mol%以上であり、より好ましくは74mol%以上であり、さらに好ましくは78mol%以上である。逆にケン化度が高すぎても、水に対する溶解性が低下し、溶解時に加熱などが必要となり、生産性が低下するので好ましくない。したがって、ケン化度は99.9mol%以下が好ましく、95mol%以下がより好ましく、90mol%以下であることがさらに好ましい態様である。
(k)=(m)/((n)+(m))×100 式(4)
(式4)中の記号は以下の通り。
(k):ケン化度
(m):PVA中の式(2)で表されるモノマー繰り返し単位数
(n):PVA中の式(3)で表されるモノマー繰り返し単位数
また、本発明の基材の製造方法においては、抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物を基材に接触させた状態で放射線照射する方法を用いる。本発明の基材の製造方法の好ましい態様においては、有機溶媒の存在下でこれらの化合物を基材に接触させた状態で放射線照射する方法を用いる。
本発明で用いられる放射線とは、高エネルギーの粒子線および電磁波のことであり、そのような放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線および中性子線などが挙げられる。これらの放射線のうち、エネルギーが特に高く効率よく基材の改質ができるという点で、γ線と電子線がより好ましく用いられる。また、γ線、X線および電子線は、線量をコントロールすることにより滅菌も同時に行うことができるので、医療材料などの基材の改質に好適である。
また、基材に対して放射線を照射する場合、放射線の線量が少ない場合は基材中の吸収線量にばらつきが生じるなど、線量のコントロールが困難となる。そのため、放射線の線量は、1kGy以上であることが好ましく、より好ましくは5kGy以上である。また、医療材料などに用いられる基材において、改質と同時に滅菌も行うような場合、放射線の線量は10kGy以上であることが好ましく、より好ましくは20kGy以上である。ただし、過剰な線量の放射線の照射は基材自身を劣化させるので、放射線の線量は5000kGy以下であることが好ましく、より好ましくは1000kGy以下であり、さらに好ましくは100kGy以下である。
抗凝固能を有する化合物が放射線照射によりその活性が低下する場合は、有機溶媒によりその活性低下を防ぐことが可能である。すなわち、有機溶媒の存在下に抗トロンビン活性を有する化合物を接触させた基材に、放射線を照射するのである。
本発明で好適に用いられる有機溶媒としては、水酸基を含有する溶媒が挙げられる。水酸基は、放射線照射により発生したラジカルを安定化する効果が高く、かつ非イオン性の官能基であり強い表面電荷を有する化合物との相互作用が小さく、かつ酸化還元力も小さく化合物の変性も少ない。特に2級および3級の水酸基は、ラジカルを安定化する効果がより高いので、本発明においては少なくとも一つに2級または3級の水酸基を有する有機溶媒、例えばグリセリンやプロピレングリコール(以下、PGという)やイソプロパノール(以下、IPAという)、2−ブタノール、2,3−ブタンジオールおよび1,3−ブタンジオールなどが用いられる。ただし、EGやエタノールのような1級の水酸基のみを有する有機溶媒はラジカルを安定化する効果が低いこと、エタノールのような引火性の高い溶媒は含有率を高くすると危険であることなどから、本発明でいう有機溶媒には含まれない。また、本発明の化合物の滅菌方法を医療材料、またはこれが内蔵される医療用具の製造に用いる際は、その安全性を考慮する必要があるため、非水溶媒は毒性の低いものが好適に用いられる。
また、有機溶媒水溶液における水分率の上限は90vol%であり、90vol%を超えると有機溶媒のラジカル安定化の効果が十分に得られない。90vol%以下の範囲においては、水分率が多い方が好ましい。一方、水分率が低い場合、例えば医療用具などに用いる際、洗浄後の有機溶媒残留が生体適合性に影響を与えることが懸念される他、例えば放射線グラフトに用いる場合にグラフト効率が低下することが考えられる。よって水分量は全溶媒量の25vol%以上であることが好ましく、より好ましくは50vol%以上である。
本発明において、放射線に対して不安定な化合物が溶解するとは、その化合物が有機溶媒水溶液に溶けて均一混合物、すなわち溶液になることを指す。また、放射線に対して不安定な化合物が分散するとは、その化合物が有機溶媒水溶液中に散在することを指す。化合物の有機溶媒における濃度については特に限定されるものではないが、化合物によっては濃度が濃すぎると化合物間で架橋反応が進行してゲル化などにより、化合物本来の物性が失われるおそれがあるので、化合物の有機溶媒の水溶液における濃度は50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下である。
本発明における水分率とは、次式で定義されるものである。
(放射線に不安定な化合物および該化合物を溶解および/または分散している有機溶媒水溶液に含まれる水の体積)/(放射線に対して不安定な化合物および該化合物を溶解および/または分散している有機溶媒水溶液の体積)×100(%)
有機溶媒の存在下で、抗凝固能を有する化合物を基材に接触させる方法としては、抗トロンビン活性を有する化合物を有機溶媒に溶解または分散し、得られた液体に基材を浸漬させたり、基材に塗布したりする方法が挙げられる。ここで、抗凝固能を有する化合物が溶解するとは、その化合物が溶媒に溶けて均一混合物、すなわち溶液になることを指す。また、抗凝固能を有する化合物が分散するとは、その化合物がコロイドやミセル状態など溶媒中に散在することを指す。また、抗凝固能を有する化合物が目的の有機溶媒に溶解しにくい場合は、抗凝固能を有する化合物に対する溶解度が高い溶媒に溶解させた溶液を基材と接触させた後に、その溶媒を目的とする有機溶媒に置換してもよい。このとき抗凝固能を有する化合物を溶解させる溶媒は、水などの無機溶媒でもよい。すなわち、抗凝固能を有する化合物を水に溶解した溶液に基材を接触させた後、水を有機溶媒に置換してから基材に放射線を照射するのである。
また、本発明では、あらかじめ抗凝固能を有する化合物を基材に塗布もしくは吸着させ、その化合物が付着した基材を有機溶媒に浸漬させてもよい。
また、本発明において、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物を用いられる緩衝液とは、少量の酸や塩基を加えたり、多少濃度が変化したりしてもpHが変化しないようにした溶液のことであり、例えば、リン酸緩衝液、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(以下、Trisという)緩衝液、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(以下、Bis−Trisという)緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液などが挙げられる。これらのうち、リン酸緩衝液、Tris緩衝液およびBis−Tris緩衝液は中性および酸性領域における緩衝作用を有することと、生理活性を有する化合物の溶媒として添加されることが多いことから好適である。ただし、pH3未満のような強酸性条件下やpH10以上のような強塩基性条件下では、生理活性を有する化合物中の一部の分子構造に変化を生じ、物理的機能、化学的な機能または生物的な機能が変化することや例えばグラフト固定化材料を創製する場合に材料自体の性能が低下することが考えられるので、緩衝範囲はpH3以上であり、5以上が好ましい。また、上限としてはpH10未満であり、8以下が好ましい。pHの測定にはガラス電極法を用いるが、同等の精度で測定できるものであれば、これに限定されるものではない。
また、本発明で用いられる緩衝液を含む溶液とは、上記緩衝液の水溶液や、他の溶媒、溶液を含む溶液を意味するものであるが、緩衝液を含む溶液全体として上記した緩衝液のpHの範囲を超えて変動するものを意味するものではなく、好ましくは緩衝液のpHが変動しないものである。
また本発明では、抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を基材に接触させるに際し、抗酸化剤を併用することも可能である。抗酸化剤が、放射線照射により発生したヒドロキシラジカルを捕捉し、抗凝固能を有する化合物の変性を抑制する効果が期待できるからである。ここでいう抗酸化剤とは、他の分子に電子を与えやすい性質を持つ分子を有する化合物のことを言うが、基材や抗トロンビン活性を有する化合物、親水性高分子化合物が放射線によって変性することを抑制する性質をもつものでもある。
抗酸化剤としては、例えば、ビタミンCなどの水溶性ビタミン類、ポリフェノール類、ソジウムハイドロサルファイト、ピロ亜硫酸ナトリウム、二チオン酸ナトリウムなどの無機塩類、尿酸、システインおよびグルタチオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗酸化剤は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の基材を医療用具に用いる際は、その安全性を考慮する必要があるため、毒性の低い抗酸化剤が用いられる。抗酸化剤の濃度は、含有する抗酸化剤の種類や放射線の照射線量などにより異なるため、適宜、最適な濃度で使用すればよい。
抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物を基材表面に付与した後に、これら化合物の溶出量を低減するために、放射線を照射する前もしくは後、または前後両方に基材を洗浄することも可能である。特に放射線を照射した後は、抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物が基材表面に共有結合されているので、過剰な洗浄でも抗凝固能を有する化合物と親水性高分子化合物が過剰に除去される危険性は低い。さらに、洗浄によって未反応物や副生成物を除去できることから、特に医療用途には安心して使用することができる。洗浄には水、生理食塩水、pH緩衝液や有機溶媒を用いることができる。また、界面活性剤の溶液は、洗浄効果が高い。
本発明において界面活性剤とは、一般にいう界面活性剤を意味するものであり、水に対して強い表面活性を示し、分子内に親水性の部分と疎水性(親油性)の部分とを併せ持つ物質である。界面活性剤のうちイオン系界面活性剤は、イオン性の官能基を有する基材または親水性高分子化合物を用いた場合、静電的な相互作用により界面活性剤が結合して表面の物性が変化する可能性を否定できない。そのため、非イオン性の界面活性剤が好ましく用いられる。非イオン系の界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとポリオキシエチレンアルキルエーテルは特に洗浄効果が優れている。
本発明において、界面活性剤は固体や粘性の液体であることが多く、洗浄に用いる場合は、取扱性の面で溶液の状態とすることが好ましい。溶液の濃度は、低すぎると十分な洗浄効果が得られないことがあり、逆に高すぎると生産コストが高くなるのみでなく基材を変性させることにつながりかねない。したがって界面活性剤水溶液の濃度は、好ましくは0.001重量%以上であり、より好ましくは0.005重量%以上であり、さらに好ましくは0.01重量%以上である。一方で、好ましい上限濃度は20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下の範囲であり、さらに好ましくは5重量%以下の範囲である。
基材の洗浄方法としては、余剰の抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物が溶脱し得るように、基材に界面活性剤あるいは界面活性剤を添加した溶液等の洗浄剤を接触せしめる方法であればよい。例えば、洗浄液を所定の流量にて所定の方向に流通させることによって洗浄する方法が、最も効率的でありよく洗浄することができる。また、洗浄方法として、界面活性剤に基材を浸漬させる方法を採ってもよい。例えば、血液浄化用モジュールの充填液として界面活性剤あるいは界面活性剤を添加した溶液を用いることも可能である。基材に界面活性剤あるいは界面活性剤を添加した溶液を所定の方向に流通させるとき、基材周りを循環させてもよいが、抗凝固能を有する化合物および親水性高分子化合物等が溶出した界面活性剤を再使用することは、洗浄効率の低下につながることがある。洗浄液を所定の流量で流通させて洗浄するときの流量は、少なすぎると十分な洗浄効果が得られないことがある。また、流量が多すぎると洗浄時間が長くなり生産性が低下する。したがって、基材表面積あたりの流量は、0.5L/m以上好ましく、より好ましくは1L/m以上であり、さらに好ましくは3L/m以上である。一方、流量の上限としては、300L/m以下が好ましく、より好ましくは200L/m以下であり、さらに好ましくは100L/m以下である。
また、基材を界面活性剤で洗浄した後に、さらに水や生理食塩水で洗浄することにより、界面活性剤の基材への残存を防ぐことができる。ここで、水および生理食塩水で洗浄するとは、これらを別々に用いて洗浄することを意味する。
また、放射線照射前に洗浄することにより、グラフトしていない抗トロンビン活性を有する化合物および親水性高分子化合物の量を少なくすることが可能となり、放射線照射後の洗浄量を少なくすることができる。
本発明で用いられる基材としては、高分子材料が好ましく用いられる。高分子材料を構成する高分子化合物の例としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)などのポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスルホン(以下、PSfという)、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリエステルおよびポリウレタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の基材は医療用の基材として好適に用いることができる。医療用基材の例として人工血管、カテーテル、血液バッグ、コンタクトレンズ、眼内レンズおよび手術用補助器具等が挙げられ、生体成分分離用モジュールや血液浄化用モジュールなどに内蔵され用いられる分離膜や吸着剤なども含まれる。本発明において、生体成分分離用モジュールとは、濾過、透析、吸着などにより生体物質を分離し、一部を回収するモジュールのことをいい、医療用基材に限られるものではない。また、血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させる際に、吸着や濾過、拡散によって血中の老廃物や有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいい、具体的に人工腎臓やそのプレもしくはポストカラム、外毒素吸着カラムなどがある。
血液浄化用モジュールに内蔵される分離膜の形態は特に限定されるものではなく、平膜や中空糸などの形態で用いられる。一般に、中空糸は処理液量あたりの表面積が大きく、圧損も少なくできるため、本発明の方法を最も効率よく適用することができる。処理液量あたりの膜表面積を大きくするためには、中空糸内径は小さい方が好ましく、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。一方、平膜は製膜が容易で安価に作成することができると言う利点がある。これらの膜の素材としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、PSf、ポリエーテルスルホン、PMMA等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの誘導体からなる群より選択される1種類以上の素材を例示することができる。この中でPMMAはPEGなどの親水性高分子化合物と水素結合可能であり、これら親水性高分子化合物を放射線などにより基材表面に共有結合で固定化する場合、効率的な固定化が可能であり好適な素材である。また、近年透析器などに良く用いられているPSfは分画特性が良好であるために好ましい素材である。
本発明における生体成分とは、生体由来の細胞、タンパク質、核酸、糖、脂質およびそれらの複合体のことを指す。また生体外で培養された細胞や遺伝子組み替えタンパク質なども生体成分とする。本発明の基材は生体成分の中でも血液成分、すなわち血球や血小板などの細胞や血漿タンパク質などの血漿成分を取り扱う場合に好適である。
以下、実施例を挙げて本発明の基材とその製造方法について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(ブタ体外循環実験)
(1)循環回路準備
人工腎臓用血液回路(東レ・メディカル(株)発売「人工腎臓用血液回路 H−102−KTS」)を用い、圧力測定用の回路と血液ポンプ((株)メテク製「メテクラインフロー LF−300」)にセッティングした。
生理食塩水(大塚製薬工場製)1Lを準備して、人工腎臓モジュール血液側に100ml/minの流量で流して、5分間洗浄した。続いて、血液出側の血液ポートからの回路を透析液入り側の透析液ポートに接続し、連続的に人工腎臓モジュール透析液側に100ml/minの流量で流して、10分間洗浄を行った。気泡などが十分除去できないときは透析液側をキャップで栓止し、血液側に100ml/minで流して、生理食塩水を循環させた。
(2)ブタの準備および試験操作
実験前に使用するブタの体重を測定した。ブタは体重11.5kg以上13.5kg以下の範囲のミニブタを用いた。腹空内にペントバルビタールナトリウム麻酔(大日本製薬(株)社製「ネンブタール注射液」)を体重kg当たり40mg投与した。麻酔の状態を確認し、手術台に仰向けに固定した。バリカンで頸部(両足の内側)を剃毛した。消毒用エタノール、ポピドンヨード液(明治製菓株式会社製「イソジン」)で消毒を行った後に、頸動静脈(大腿動静脈)を露出切開し、動静脈にそれぞれ体外循環用のカテーテル((株)テルモ社製「アトム静脈カテーテル(8Fr)」)を挿入し固定した。カテーテル内はヘパリン生食水(5IU/ml)を10mlのシリンジで充填し、栓止した。なお、ヘパリンはカテーテル挿入時のカテーテル内の充填液のみに使用した。
(3)体外循環の開始
血液回路の血液入り側(A側)コネクターと動脈のカテーテルを接続し、セットした人工腎臓モジュール内の血液側の充填液(生理食塩水)を血液に置換した。その間、血液回路の血液出側(V側)は開放状態にした。置換終了と同時にポンプを停止し、V側のコネクターを静脈側カテーテルと接続した。再度ポンプを作動(ポンプ停止から再起動までは素早く行う。ちなみにポンプ停止時間は約10秒程度)させ、循環を開始した。血液循環流量は200ml/minに設定した。循環開始5分後の採血終了後に透析液側のポンプを作動させ、透析を開始した。体外循環中のヘマトクリット値は、38±6%以内になるよう補液用のポンプで調整した。
(4)測定
血液循環圧の測定として、血液ポンプと血液入り側血液ポートの間の回路に圧力計を設け、(3)における循環開始後1,5,15,30,60,120,180,240分後の各点における圧力を記録した。
(中空糸モジュール(モジュール(0))の作製)
iso−PMMA5重量部とsyn−PMMA20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、110℃で8時間撹拌し製膜原液を得た。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し、空気中を300mm通過させた後、水100%の凝固浴中に導き中空糸を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。得られた中空糸の内径は0.2mmであり、膜厚は0.03mmであった。
図1は、中空糸モジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備したPMMA中空糸4を11000本束ね、中空糸4の中空部を閉塞しないように、ウレタン系のポッティング剤5で両末端をモジュールケース3に固定し、図1に示す構造の中空糸モジュールを作成した。有効膜面積は1.3mであった。一般的な中空糸型透析器同様に中空糸の内側に通ずるポート(血液ポート1)を2個と、外側に通ずるポート(透析液ポート2)を2個有している。該中空糸モジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄し、中空糸モジュール(モジュール(0))を得た。
(緩衝液の調製)
pH5の緩衝液はBis−Tris(同仁化学製)と塩化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)を各々最終濃度0.05M,0.1Mとなるように超純水に溶解させ、6規定塩酸(シグマアルドリッチ製)を滴下しながらpH5となるように調製した。pHの測定にはガラス電極法を用い、HORIBA製pHメータ カスタニーLAB F−22を用いて測定した。その結果、pHは5.0であった。また、別のpH5の緩衝液として酢酸緩衝液も調製した。酢酸と酢酸ナトリウムを超純水に溶解させ調製した(最終濃度は各々0.05M,0.1M)。上記と同法でpHを測定した結果、5.0であった。
pH7.8と10の緩衝液はTris(片山化学株式会社製)と塩化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)を各々最終濃度0.05M,0.1Mとなるように超純水に溶解させ、6規定塩酸(シグマアルドリッチ製)を滴下しながら各pHとなるように調製した。pHの測定はpH5の緩衝液と同法を用いた。その結果、pHはそれぞれ7.8、10.0であった。
(実施例1)
pH7.8のTris緩衝液に化合物Aとポリエーテルとポリシロキサンとの共重合体(信越化学工業株式会社製F−3031(lot.410104))である化合物Bを表1に示す濃度となるよう溶解した溶液(溶液A)を調製し、溶液Aをポンプにより160ml/minの流量で0.5Lをモジュール(0)の中空糸4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、チューブ(図示しない)を介しかかる血液ポート1’側の透析液ポート2’に入れもう一方の透析液ポート2へと(以下、この順序を「順序1」という)、15分間循環した。その後、生理食塩水をポンプにより100mL/minの流速で中空糸4の内側の一方の血液ポート1から入れて透析液ポート2’へと75分間流通し、モジュール(1)を得た。
モジュール(1)によるブタ体外循環実験を行った。循環圧力の実験結果を表2に示す。循環開始から240分まで大きな圧力上昇は見られなかった。
(実施例2)
化合物A、化合物B、IPA(アルドリッチ製code10982-7)を表1に示す濃度となるよう溶解した以外は実施例1と同じ条件で溶液(溶液B)を調製し、溶液Bをポンプにより500ml/minの流速で2Lをモジュール(0)に順序1により15分間循環させた。次に、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した。γ線の吸収線量は26kGyであった。このモジュールの内部を以下のように洗浄した。すなわち、ポンプにより25℃の0.025体積%のポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル((以下、TritonX−100という)シグマアルドリッチ製Code30-5140-5)水溶液5Lを、順序1により、500mL/minの流速で流して4時間循環洗浄を行った後、再び0.025体積%のTritonX−100水溶液5Lで同様に4時間洗浄を行った。その後、25℃の超純水50Lをポンプにより500mL/minの流速で、順序1により循環させて洗浄した。引き続き、生理食塩水をポンプにより100mL/minの流速で中空糸4の内側の一方の血液ポート1から入れて透析液ポート2’へと75分間流通し、モジュール(2)を得た。
モジュール(2)によるブタ体外循環実験を行った。実験結果を表2に示す。循環開始から240分まで大きな圧力上昇は見られなかった。
(比較例1)
実施例1における溶液A中の化合物Bの濃度が0重量ppmであることを除いて実施例1と同様の方法でモジュール(3)を得た。モジュール(3)による豚体外循環実験を行った。実験結果を表2に示す。循環開始60分から循環圧力の上昇が見られ、240分後には49.3kPaにまで上昇した。
(比較例2)
モジュール(0)によるブタ体外循環実験を行った。実験結果を表2に示す。循環開始60分から循環圧力の上昇が見られ、155分後には65.1kPaにまで上昇した。その直後循環不能となりポンプを停止した。
(実施例3)
(1)支持体の作成:
PSf(テイジンアモコ社製”ユーデル”P−3500)18重量部、PVP(BASF社製K90)6重量部、PVP(BASF社製K30)3重量部、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)72重量部、水1重量部の溶液を調製した。その後、厚み0.1mmのスペーサーを両側から挟んだガラス板に上記溶液を塗布し、ドクターブレードにて膜になるよう引き延ばした後すぐに、DMAc52重量部、水48重量部に調製した溶液に、ガラス板を浸漬し、膜を凝固させ、ガラス板より剥離して支持体とした。一連の操作はすべて50℃で行った。
(2)化合物A,化合物B固定化処理方法
実施例2と同じ溶液Bを調製し、15ml遠沈管(IWAKI製)に5mlずつ分注した。(1)で作成した支持体を遠沈管に面と面とが重ならないよう丸めて挿入した。支持体が溶液Bに浸っている状態と成るよう遠沈管を立てたままγ線を照射した。このときγ線の照射線量は25kGyであった。放射線照射後の支持体を界面活性剤である0.025体積%のTritonX−100水溶液で洗浄し、超純水で洗浄した後、生理食塩水で界面活性剤の泡が完全に出なくなるまで洗浄を行った。
(3)評価方法
24wellマルチプレート(住友ベークライト製)の各wellに生理食塩水1mlを添加した。上記(2)で処理した支持体を1cm角に切り取り、1well当たり1枚、計3枚入れた。次に、支持体を空のwellに移動させた直後にボランティアからヒト全血を採血し、このヒト全血を各1ml添加し、振盪させた。血中浸漬時間として所定時間(個体差があるので時間は統一せず、支持体なしの血液のみのwellを用意し、明確に粘性が現れた時間を血中浸漬時間とした)経過後、支持体を取り出し、新たな生理食塩水で緩やかに2回洗浄した。洗浄後の支持体を目視で観察し、血餅の付着度合いから凝固度を5段階で評価し平均値を算出した。平均値は小数点第1位を四捨五入した。凝固度は1(血餅が全く付着していない)〜3(支持体の面積の2分の1程度に血餅が付着)〜5(全体的に血餅が付着している。)と表した。スコア2は血餅の付着が支持体の面積の4分の1程度であることを示し、スコア4は支持体の面積の4分の3程度に血餅が付着していることを示す。いずれのスコアにも該当しない程度の血餅付着状態を示す場合は、その状態が最も近い状態のスコアとし各支持体のスコア判定を行った。その結果、スコアは1であった。
(比較例3)
実施例3の(2)において、化合物Aを固定化処理しなかった点を除いて全て実施例3と同じ条件にて支持体を作成し、実施例3の(3)と同様に評価した結果、スコアは4であった
(比較例4)
実施例3の(2)において、化合物Bを固定化処理しなかった点を除いて全て実施例3と同じ条件にて支持体を作成し、実施例3の(3)と同様に評価した結果、スコアは3であった
(比較例5)
実施例3の(2)において、化合物A、化合物Bの両方の固定化処理をしなかった点を除いて全て実施例3と同じ条件にて支持体を作成し、実施例3の(3)と同様に評価した結果、スコアは5であった。
(抗トロンビン活性値の測定)
抗トロンビンの活性を示す指標として放射線照射後の抗トロンビン活性値の残存率を用いた。抗トロンビン活性値の測定には、試薬にHaemoSys社製のECA−Tキットを使用し、装置にTECO Medical Instruments Production社製のCOATRON M1(code 80 800 000)を使用した。まず、ヒト血漿(コスモバイオ発売 Human Plasma 12271210, lot.16878)80μlに、測定対象溶液を20μl加え攪拌した。この溶液をサンプル溶液とする。サンプル溶液は、測定の直前まで氷浴上で冷却しておく。ECA prothrombin buffer 100μl、サンプル溶液30μl、ECA−T substrate 25μlを混合し37℃の温度で60秒間インキュベートし、装置にセッティングした。これにECA ecarin reagent 50μl加えて測定を行った。ブランクの測定対象溶液として超純水を用い調製したサンプルで測定を行った。残存率は下式(1)にて求めた。
A=100×(B−D)/(C−D) 式(1)
上記の式(1)中の記号の定義は次のとおりである。
・A:抗トロンビン活性残存率(%)
・B:放射線照射後のサンプル測定値(sec.)
・C:放射線照射前のサンプル測定値(sec.)
・D:ブランク測定値(sec.)
(参考例1〜3)
超純水にIPA(シグマアルドリッチ製)を表3に示す濃度になるよう溶解してIPA水溶液を調製した。この水溶液に化合物Aを濃度5000重量ppmとなるよう溶解して水溶液を調製し、γ線照射した。γ線の吸収線量は25kGyであった。放射線照射前後のそれぞれの水溶液の抗トロンビン活性値を測定し、上式(1)から、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(参考例4)
IPAに代えてグリセリン(シグマアルドリッチ製)を用いて、表3に示す濃度になるようグリセリン水溶液を調製した以外は参考例1と同一の条件で実験を行い、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(参考例5)
IPAに代えてPG(和光純薬工業株式会社製)を用いて、表3に示す濃度になるようPG水溶液を調製した以外は参考例1と同一の条件で実験を行い、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(比較参考例1)
実施例1で用いた化合物Aを超純水に溶解して濃度5000重量ppmの化合物A水溶液を調製した以外は参考例1と同一の条件で実験を行い、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(比較参考例2)
IPAに代えてEG(シグマアルドリッチ製)を用いて、表3に示す濃度になるようEG水溶液を調製した以外は参考例1と同一の条件で実験を行い、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(比較参考例3)
IPAに代えてPEG(ナカライテスク製)を用いて、表3に示す濃度になるようPEG水溶液を調製した以外は参考例1と同一の条件で実験を行い、抗トロンビン活性値の残存率を計算した結果、表3に示す通りであった。
(実施例4)
化合物Aを超純水に溶解して濃度5000重量ppmの化合物A水溶液を調製した。該化合物A水溶液、超純水、IPA、2倍濃度のpH5のBis−Tris緩衝液を表4に記載の濃度になるよう混合した。この化合物A緩衝液にγ線を照射した。このときγ線の吸収線量は25kGyであった。放射線照射前後のそれぞれの化合物A緩衝液の抗トロンビン活性値を測定し、前式(1)から、抗トロンビン活性値の残存率を計算した。その結果、IPA分率が0.1、1、10、50体積%の時の抗トロンビン活性値の残存率は各々表4に示す通りであった。
(実施例5)
実施例4と同じ方法で化合物A水溶液を調製した。この化合物A水溶液、超純水、IPA、2倍濃度のpH5の酢酸緩衝液を表4に記載の濃度になるよう混合した。この緩衝液に実施例4と同じ方法でγ線を照射した。放射線照射前後の化合物A緩衝液の抗トロンビン活性値を測定し、上式(1)から、抗トロンビン活性値の残存率を計算した。その結果、IPA分率が0.1、1、10、50体積%の時の抗トロンビン活性値の残存率は各々表4に示す通りであった。
(実施例6)
実施例4と同じ方法で化合物A水溶液を調製した。この化合物A水溶液、超純水、IPA、2倍濃度のpH7.8のTris緩衝液を表4に記載の濃度になるよう混合した。この緩衝液に実施例4と同じ方法でγ線を照射した。放射線照射前後のそれぞれの化合物A緩衝液の抗トロンビン活性値を測定し、上記の式(1)から、抗トロンビン活性値の残存率を計算した。その結果、IPA分率が0.1、1、10、50%の時の抗トロンビン残存率は各々表4に示す通りであった。
(比較例6)
実施例4と同じ方法で化合物A水溶液を調製した。この化合物A水溶液、超純水、IPA、2倍濃度のpH10のTris緩衝液を表4に記載の濃度になるよう混合した。この緩衝液に実施例4と同じ方法でγ線を照射した。放射線照射前後のそれぞれの化合物A緩衝液の抗トロンビン活性値を測定し、上記の式(1)から、抗トロンビン活性値の残存率を計算した。その結果、IPA分率が0.1、1、10、50%の時の抗トロンビン残存率は各々表4に示す通りであった。
[PMMA中空糸ミニモジュールの作製方法]
前記モジュール(0)の作成方法で記載した方法にて準備したPMMA中空糸を50本束ねた。中空糸中空部が閉塞しないように留意しつつその両末端をエポキシ系ポッティング剤でモジュールケースに固定し、図2に示すミニモジュール(図2)を作成した(この1文の作業を順序2という)。該ミニモジュールの直径は約7mm、長さは約12cmであり、一般的な中空糸型透析器同様に中空糸の内側に通ずるポート(血液ポート)を2個と外側に通ずるポート(透析液ポート)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。
[PSf中空糸ミニモジュールの作製方法]
PSf(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P−3500)18重量部およびPVP(BASF社製K30)9重量部をDMAc72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を環状スリット部分の外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。同様に芯液としてDMAc58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの空気中の距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸膜が得られた。このようにして準備したPSf中空糸を50本束ね、順序2に従いミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの外寸及びポーロは前記PMMA中空糸ミニモジュールと同様である。該ミニモジュールの中空糸膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。
[溶出物確認方法]
血液中への溶出物の確認は以下の方法で行った。すなわち、蒸留水に抗トロンビン活性を有する化合物Aを溶解して、所定濃度の化合物A水溶液を調製し、所定の流量をミニモジュールに流し、γ線照射した。化合物A水溶液をミニモジュールに流すときの具体的手順は、各実施例、比較例にて後述する。また、化合物A水溶液を流す回路として、その概略系統図を図3に示す。
図3において、ミニモジュール6の片側の血液ポートに内径0.8mm、長さ52cmのシリコンチューブ7をつなぎ、回路の途中にはペリスタポンプ8と圧力計11(キーエンス社製AP−32A)を設置した。もう一方の血液ポートに内径0.8mm、長さ16cmのシリコンチューブをつないだ。両シリコンチューブの血液ポートにつないでいない側を、BECTON DICKINSON社製5mlポリスチレンラウンドチューブ9(Code:352054)に差し込み、循環回路を作製した。
次に、各実施例、比較例に示す洗浄方法を実施した後、上記回路を使用して、血液循環実験を以下の方法で行った。すなわち、ヒト血漿(図2中10)5mlを前記ポリスチレンラウンドチューブ9から加えてシリコンチューブを血液ポートに差し入れ、ペリスタポンプ8によって流速を0.5ml/minとして送液し、初流2分間分の量は廃棄した後4時間循環した。循環後の血漿中における溶出した化合物Aの濃度をECA−Tkitにより測定した。
(実施例7)
ペリスタポンプによって0.7ml/minの流速で化合物A及び化合物Bを含む水溶液(濃度は各々6ppm、この場合のみTris緩衝液のpHは8.0)水溶液5.8mlをPMMA中空糸ミニモジュールの一方の血液ポートから導入してもう一方の血液ポートへ流し、初流の1.4mlを廃棄した後、15分間循環した。続いて、0.46ml/minの流速で生理食塩水をPMMA中空糸ミニモジュールの一方の血液ポートから導入して中空糸内を経由しもう一方の血液ポートから排出し、シリコンチューブを介してこの血液ポート側の透析液ポートに導入してもう一方の透析液ポートから37分間排出した。ペリスタポンプによって0.7ml/minの流速で6重量ppmの化合物A水溶液5.8mlをPMMA中空糸ミニモジュールの一方の血液ポートから導入して中空糸分離膜内を経由しもう一方の血液ポートから排出し、前述のシリコンチューブを介してこの血液ポート側の透析液ポートに導入してもう一方の透析液ポートから排出した。生理食塩水で洗浄した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した。このときγ線の吸収線量は25kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を、ペリスタポンプを用いて25℃の温度の0.025重量%のTritonX−100水溶液を流速10ml/minで流し、4時間洗浄した。新たに調製したTritonX−100水溶液を用い、同条件で再び4時間洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を、ペリスタポンプを用いて25℃の温度の蒸留水及び生理食塩水、各300mlを流速10ml/minで流して洗浄し、中空糸ミニモジュール(以下、ミニモジュール(1)と略す。)を得た。蒸留水洗浄と生理食塩水洗浄は同時ではない。
ミニモジュール(1)の化合物Aの溶出量を測定したところ0μg/mlであった。
(実施例8)
ペリスタポンプによって1ml/minの流速で化合物A及び化合物Bを含む水溶液(濃度は各々100ppm)水溶液30mlをPSf中空糸ミニモジュールの一方の血液ポートから導入してもう一方の血液ポートへ流し、15分間循環した。続いて、新たに調製した化合物A及び化合物Bを含む水溶液(濃度は各々100ppm)水溶液30mlを中空糸内を経由しもう一方の血液ポートから出し、チューブを介しかかる血液ポート側の透析液ポートに入れもう一方の透析液ポートへと流し、これを15分間循環した。その後、実施例7と同一の条件でγ線を照射した。次に、実施例7と同じ方法、条件で該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を洗浄し、ミニモジュール(2)を得た。
ミニモジュール(2)の化合物Aの溶出量を測定したところ0μg/mlであった。
(比較例7)
γ線を照射しなかったこと以外は、実施例7のγ線を照射する前までと同じ方法でミニモジュール(3)を得た。
ミニモジュール(3)の化合物Aの溶出量を測定したところ3.5μg/mlであった。
(比較例8)
ペリスタポンプによって1ml/minの流速で化合物A及び化合物Bを含む水溶液(濃度は各々100ppm)水溶液15mlをPSf中空糸ミニモジュールの一方の血液ポートから導入して、実施例8と同一の方法で流して循環した。その後、実施例7と同一の条件でγ線を照射した。ペリスタポンプを用いて25℃の温度の蒸留水を流速10ml/minで流し、このミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を2時間洗浄した。その後、ペリスタポンプを用いて25℃の温度の生理食塩水300mlを流速10ml/minで流し、該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を洗浄し、ミニモジュール(4)を得た。
ミニモジュール(4)の化合物Aの溶出量を測定したところ4.7μg/mlであった。
[トロンビン吸着量測定]
ミニモジュール(1)と未処理のPMMA中空糸ミニモジュールを作成し、図2の圧力計11を除いた回路と同じようにセットした。流速0.5ml/minで生理食塩水を送液し、気泡を抜いた後、栄研チューブ1号にタンパク質水溶液(トロンビン(Haematologic Technologies Inc.製 HCT-0020 LotT0326-1MG)とウシ胎児血清アルブミン(BSA(SIGMA製A-7906(Lot#41K1270))を生理食塩水で各々最終濃度0.35,75μg/mlとなるように溶解させ、全体積を27mlに調製)5mlを送液した。送液開始後の初流1.8mlを廃棄し、4時間循環した。循環後の血漿をサンプルとして回収し、以下の要領でトロンビン量をELISA法にて測定した。
1次抗体として抗トロンビン抗体(Haematologic Technologies Inc.製 AHT-5020 LotS0429-01MG)を溶液(PBS(-)(日水製薬製05913(Lot137311)9.6gを蒸留水で1Lにメスアップ)で溶解し、0.1ng/mlの濃度に調製した。この溶液100μlを96wellELISA用プレート(住友ベークライト製MS−8596F)の各wellに添加し、室温で60分間静置した。ELISAで一般的な方法で液捨てを行い、ブロッキング液(0.25gのBSAをPBS(−)で溶解し、0.5重量%の濃度に調製)を各wellに400μl添加し、20分間静置した。PBS(−)−T(PBS(−)810mlとTween−20(和光製162−21112(LotASP7153)405μlを混合)で4回洗浄した。続いて、サンプルまたは希釈液(BSA 0.125gをPBS(−)−T 50mlに溶解して調製)で検量線用濃度に調製した標準トロンビン(Haematologic Technologies Inc.製 HCT-0020 LotT0326-1MG)を100μl、各wellに添加し60分間、緩やかに振盪した。その後、PBS−(−)Tで6回洗浄した。さらに2次抗体として希釈液にて5000倍に希釈した抗トロンビンHRP標識抗体(Affinity Biologicals Inc.製 SAHT-HRP LotAB46-67R2)溶液を100μl、各wellに添加し、室温で30分間、緩やかに振盪した後、PBS−(−)Tで6回洗浄した。その後、TMB one solution(Promega製 G7431(Lot18729904))100μlを各wellに添加し、10分間緩やかに振盪し、1N HCl(林純薬製 420-00055)100μlを各wellに添加し、反応を終了させた。反応を終了して直ぐに、マイクロプレートリーダー(TOSOH製 MPR−A4iII)を用いて、波長450nmの吸光度を測定した(参照波長として600nmを用いた)。
(実施例9)
ミニモジュール(1)についてトロンビンの吸着量を測定した結果、4.0ng/cmであった。
(比較例9)
未処理のPMMA中空糸ミニモジュールについてトロンビンの吸着量を測定した結果、0.5ng/cmであった。
(実施例10)
PMMA中空糸ミニモジュールの血液接触側と非接触側の液体を圧空によって除去した。続いて、化合物Aを5000μg/mlと化合物Bを1000μg/ml含むPG30体積%の水溶液(Bis−Tris緩衝液を添加しpHは5に調整)を血液接触側にのみ充填した。その後、実施例7と同一の条件でγ線を照射した。次に、実施例7と同じ方法、条件で該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を洗浄し、ミニモジュール(3)を得た。ミニモジュール(3)への化合物Aの導入量は中空糸の膜厚が30μmで1.5g/mであった。血液循環試験は後述のように行った。血液接触側及び非接触側を生理食塩水で満たした。血液はボランティアから提供され、クエン酸を採血量の9分の1の体積比で予め添加した溶液に採血した。循環試験直前にクエン酸加血1mlに対して凝固促進剤としてカルチコールを436μlとなるよう血液に添加した。循環回路にはシリコンチューブを用い、ペリスタポンプで循環した。流量は0.9ml/minに調節し、図2記載の1‘と接続したシリコンチューブから血液を入れ、中空糸内部の気泡を除去し、図2記載の1と接続したシリコンチューブから出てきた初流の0.5mlは廃棄した。続いて、素早くシリコンチューブの開口部を包接し閉鎖系の回路を作成した。循環時間は、回路内の凝固が進むにつれてチューブ内圧が上昇することによって起こる回路の包接部の解放までにかかる時間を測定した。結果として、循環時間は約35分であった。
(比較例10)
PMMA中空糸ミニモジュールの血液接触側と非接触側に蒸留水を添加し、γ線を照射した。実施例7と同一の条件でγ線を照射した。次に、実施例7と同じ方法、条件で該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を洗浄し、ミニモジュール(4)を得た。血液循環試験は実施例10と同一の条件で行った。循環時間は約20分であった。
図1は、本発明の実施例1と2及び比較例1と2の中空糸モジュールを例示する概略側面図である。 図2は、本発明の実施例12〜14及び比較例10〜12の中空糸ミニモジュールを例示する概略側面図である。 図3は、本発明の実施例12〜14及び比較例10〜12の循環試験で使用した回路を例示する概略系統図である。
符号の説明
1および1’.血液ポート
2および2’.透析液ポート
3.モジュールケース
4.中空糸
5.ポッティング剤
6.ミニモジュール
7.シリコンチューブ
8.ペリスタポンプ
9.ポリスチレンラウンドチューブまたは栄研チューブ1号
10.血漿またはタンパク質溶液
11.圧力計

Claims (13)

  1. 抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物とを含み、基材表面に該抗トロンビン活性を有する化合物を表面深さ1μm当たり40mg/m以上含むことを特徴とする基材であり、
    前記抗トロンビン活性を有する化合物は、4−メトキシ−ベンゼンスルホニル−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4−アミジノベンジルアミドであり
    前記親水性高分子化合物は、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリビニルピロリドンおよびポリエーテルとポリシロキサンからなる物質からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、基材。
  2. 該抗トロンビン活性を有する化合物の溶出量が0.6μg/ml未満であることを特徴とする請求項1記載の基材。
  3. トロンビン吸着量が1.0ng/cm以上であることを特徴とする請求項1または2記載の基材。
  4. 血小板付着数が10個/(4.3×10μm)以下で、血液凝固試験を行った際に血液凝固時間を10秒以上延長させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基材。
  5. 該親水性高分子化合物の基材表面存在量が20重量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基材。
  6. 該ポリビニルアルコールについて、ケン化度が50mol%以上99.9mol%以下のものを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基材。
  7. 該ポリエーテルとポリシロキサンからなる物質がポリエーテル/ポリシロキサン共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の基材。
  8. 該ポリエーテルがポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の基材。
  9. 該ポリエーテル/ポリシロキサン共重合体においてポリプロピレングリコールの含有率が5mol%以上90mol%以下であることを特徴とする請求項に記載の基材。
  10. 抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を基材に接触させた状態で放射線を照射した後に、未反応の化合物を洗浄することを特徴とする基材の製造方法であり、
    前記抗トロンビン活性を有する化合物は、4−メトキシ−ベンゼンスルホニル−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4−アミジノベンジルアミドであり
    前記親水性高分子化合物は、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリビニルピロリドンおよびポリエーテルとポリシロキサンからなる物質からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、製造方法。
  11. 抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を基材と接触させた状態で放射線を照射した後に界面活性剤で洗浄することを特徴とする請求項10に記載の基材の製造方法。
  12. 抗トロンビン活性を有する化合物と親水性化合物を基材と接触させた状態で放射線を照射する際、下記条件AとBを満たす有機溶媒水溶液を含んだ状態で放射線を照射することを特徴とする請求項10又は11に記載の基材の製造方法。
    A:含有水分は25vol%以上90vol%以下
    B:少なくとも一つが2級または3級である水酸基を含有
  13. 抗トロンビン活性を有する化合物と親水性高分子化合物を基材と接触させた状態で放射線を照射する際、pH3以上10未満の緩衝液を含む溶液を含んだ状態で放射線を照射することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の基材の製造方法。
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