図1は、本発明の燃料電池装置1を概略的に示す斜視図であり、一部外装ケースを構成する側面部を取り外して、外装ケースの内部が見えるようにして示している。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
図1において、燃料電池装置1は、外装ケース2の一部である仕切部材4の上部に、複数の燃料電池セルを収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール3(以下、モジュールと略す)が設置された燃料電池モジュール収納室5(以下、モジュール収納室と略す)が形成されている。また、仕切部材4の下部にはモジュール3を動作させるにあたり必要な補機類(図示せず)を収納するための補機収納室6が形成されている。なお、仕切部材4はモジュール収納室5と補機収納室6とを区画していればよく、モジュール収納室5と補機収納室6とが隙間を有して区画されていてもよい。
また、例えば外装ケース2を仕切部材4により左右に区画するとともに、一方が燃料電池モジュール3を収納するモジュール収納室5、他方が補機類を収納する補機収納室6とした燃料電池装置1とすることもできる。
なお、図1に示したような仕切部材4を用いて、外装ケースを上下に区画した形状とすることにより、燃料電池装置1をコンパクトな形状とすることができる。
ここで、燃料電池装置1の稼動に伴って生じる排ガスは、排ガス中に含まれる一酸化炭素などの有害成分を排ガス処理装置にて処理する必要があり、排ガス処理装置で処理された後の排ガスが熱交換器に供給され、排ガス(処理後の排ガス)と水とで熱交換されることとなる。
それゆえ、図1で示した燃料電池装置1においては、モジュール3の側面に、排ガス処理装置7と熱交換器8とが順に接続されている例を示している。なお、排ガス処理装置7については後に詳述する。
図2は、本発明の燃料電池装置1の他の実施態様を概略的に示す図であり、図1と同様仕切部材4により上下に区画された外装ケース2内で、仕切部材4の上部にモジュール3を配置した燃料電池装置1の他の例を示す。なお、図2においては、一部外装ケースを構成する側面部を取り外して、外装ケースの内部が見えるようにして示している。
また、図2においては、熱交換器8の内部に設けられ、水を流通させる水流通路を斜線にて示し、排ガスを流通させる排ガス流通路がその水流通路と隣接して設けられているプレートフィン型の熱交換器8を模式的に示している。ここで、図2における燃料電池装置1においては、熱交換器8の内部に設けられた排ガス流通路が上下方向を向き、処理後の排ガスが排ガス流通路を上から下に流通するように、熱交換器8がモジュール3の底面に接続されている。それゆえ、図2に示す燃料電池装置1においては、外装ケースの大きさ(横幅や奥行き)をよりコンパクトとすることができる。
なお、本発明においては、熱交換器8として、プレートフィン型の熱交換器の他、水流通路を形成する配管の外壁に複数のフィンを排ガス流通路と平行となるように設けた熱交換器等を用いることができる。なお、以降の図において、プレートフィン型の熱交換器を用いて説明する。
また、図2においては、モジュール3の底面に断熱材9を設けた例を示しているが、モジュール3の輻射熱をより効果的に断熱すべく、モジュール3の全面を覆うように断熱材9を配置することが好ましい。
ところで、モジュール3内に収納される燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池セルである場合、燃料電池装置1の定常運転時は、燃料電池セルの発電時における温度が非常に高温となるため、モジュール3から排気される排ガスの温度も非常に高温となる。それゆえ、本発明の燃料電池装置1は、燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池セルである場合に特に有用であるとともに、熱交換器8の周囲にも断熱材を設けることが好ましい。
なお、熱交換器8に流入する燃料電池装置1の稼動に伴って生じる排ガスの温度としては、250℃以下であるのが好ましく、さらには200℃以下であるのがより好ましい。この温度域であれば、ボイラーと定義されるものではないため、より安全な燃料電池装置とすることができる。
ここで、図2に示した燃料電池装置1においては、モジュール3のメンテナンスを行なうにあたり、モジュール3を仕切部材4より取り外すこととなるが、その際モジュール3を上側に持ち上げて取り外すこととなる。それゆえ、モジュール3の重量や取り外しにおける利便性を考慮して、熱交換器8を取り外した後にモジュール3を仕切部材4より取り外すことが好ましいが、図15や図16に示したように、熱交換器8がネジにて固定されている場合には、熱交換器8の周囲に設けられた断熱材を取り除き、熱交換器8を接続するネジを取り外す作業が必要となり、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率が悪いという問題がある。以降、まず本発明の燃料電池装置1におけるモジュール3について説明する。
図3は、図2に示したモジュール3を抜粋して示した外観斜視図である。モジュール3は、直方体状の収納容器10の内部に、内部をガスが流通するガス流路を有する燃料電池セル12を立設させた状態で配列し、隣接する燃料電池セル12間に集電部材(図示せず)を介して電気的に直列に接続するとともに、燃料電池セル12の下端をガラスシール材等の絶縁性接合材(図示せず)でマニホールド13に固定してなる燃料電池セルスタック14(以下、セルスタックという場合がある。)を収納して構成されている。なお、図2においては、燃料電池セル12として、燃料電池セル12の内部に設けられたガス流路を長手方向に燃料ガスが流れる中空平板型で、支持体の表面に、燃料側電極、固体電解質及び酸素側電極を順に設けてなる固体酸化物形燃料電池セル12を例示している。
また、燃料電池セル12にて使用する水素ガスを得るために、天然ガスや灯油等の燃料を改質して燃料ガス(水素ガス)を生成するための改質器15をセルスタック14の上部に配置している。そして、改質器15で生成された燃料ガスは、ガス流通管16によりマニホールド13に供給され、マニホールド13を介して燃料電池セル12の内部に設けられたガス流路に供給される。そして、これらの構成により燃料電池セルスタック装置11が構成されている。
なお、図3においては、収納容器10の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置11を後方に取り出した状態を示している。ここで、図3に示したモジュール3においては、燃料電池セルスタック装置11を、収納容器10内にスライドして収納することが可能である。
図4は、図3で示すモジュール3の断面図である。モジュール3を構成する収納容器10は、内壁17と外壁18を有する二重構造で、外壁18により収納容器10の外枠が形成されるとともに、内壁17によりセルスタック14(燃料電池セルスタック装置11)を収納する発電室19が形成されている。
さらにモジュール3においては、内壁17と外壁18との間を、燃料電池セル12に導入する反応ガスの流路としており、例えば、燃料電池セル12に導入する酸素含有ガス等の反応ガスが流れる。
ここで内壁17には、内壁17の上面よりセルスタック14の側面側にまで延び、セルスタック14の配列方向における幅に対応し、内壁17と外壁18とで形成される流路に連通して、セルスタック14に反応ガスを導入するための反応ガス導入部材20が備えられている。また、反応ガス導入部材20の下端側(燃料電池セル12の下端側)には、燃料電池セル12に反応ガスを導入するための吹出口21が設けられている。
なお図4において、反応ガス導入部材20は、互いに所定間隔を空けて並設された一対の板部材により反応ガス導入流路を形成し、下端側で底部材に接合して形成されている。また、図4においては、反応ガス導入部材20は、収納容器10の内部に並置された2つのセルスタック14(燃料電池セルスタック装置11)間に位置するように配置されている。なお、反応ガス導入部材20は、収納されるセルスタック14の数により、例えばセルスタック14を挟み込むように配置してもよい。
そして、反応ガス導入部材20の内部に、温度センサ22の測温部23が位置するよう、温度センサ22が収納容器10の上面側より挿入されている。なお、温度センサ22としては、例えば熱電対を用いることができる。
ここで、燃料電池セル12は所定の温度範囲で運転されるため、発電室19内(好ましくはセルスタック14もしくはその近傍)の温度を測定するとともに、その温度管理を行なうことが必要となる。特に燃料電池セル12が、固体酸化物形燃料電池セル12の場合においては、その運転温度が非常に高く、燃料電池セル12(セルスタック14)の温度が過度に上昇すると、発電量が低下する、さらには劣化や熱応力により燃料電池セル12(セルスタック14)に破損等を生じるおそれがあるため、セルスタック12近傍の温度を効果的に測定するとともに、その温度管理を行なうことが特に必要となる。それゆえ、温度センサ22は、測温部23がセルスタック14の最も高い温度となる中央部側(セルスタック14の配列方向の中央部で、かつ燃料電池セル12の長手方向における中央部に位置する部位)を測定できるように配置することが好ましい。
また発電室19内には、モジュール3内の熱が極端に放散され、燃料電池セル12(セルスタック14)の温度が低下して発電量が低減しないよう、モジュール3内の温度を高温に維持するための断熱材24が適宜設けられている。
ここで、燃料電池セル12(セルスタック14)の温度を高温で維持すべく、断熱材24をセルスタック14の近傍に配置することが好ましく、特には、燃料電池セル12の配列方向に沿ってセルスタック14の側面側に並設するとともに、セルスタック14の側面の外形と同等またはそれ以上の大きさを有する断熱材24を並設することが好ましい。なお、好ましくは、セルスタック14の両側面側に並設することが好ましい。それにより、セルスタック14の温度が低下することを効果的に抑制できる。
また、セルスタック14の側面側に、セルスタック14の側面の外形と同等またはそれ以上の大きさを有する断熱材24を設けることにより、反応ガス導入部材20より供給されるガスが、セルスタック14の側面側より排出されることを抑制でき、セルスタック14を構成する燃料電池セル12間の反応ガスの流れを促進することができる。
なお、反応ガス導入部材20側に配置する断熱材24の下端側には、反応ガスを燃料電池セル12に供給するための切り欠き部を有していることが好ましい。
また、内壁17により形成される底面(内部底面)および燃料電池セル12の配列方向に沿って形成された側面(内部側面)に対して所定間隔を空けて併設された排ガス用内壁25により排ガス流路が形成され、さらに収納容器10の底に設けられた排気孔26と排ガス流路が通じている。
それにより、燃料電池装置1の稼動(起動処理時、発電時、停止処理時)に伴って生じる排ガスは、排ガス流路を流れた後、排気孔26より排気される構成となっている。
なお、排気孔26は収納容器10の底(底面)の一部を切り欠くようにして形成してもよく、また管状の部材を設けることにより形成してもよい。
そして、図2に示したように、排気孔26より排気される排ガスは、後述する排ガス処理装置7(図3においては排ガス処理装置27)にて処理された後、処理後の排ガスと水とで熱交換する熱交換器8に供給されて熱交換が行われる。そして、排気孔26を収納容器10の底に設けることにより、収納容器10の底面に直接または後述する排ガス処理装置を介して熱交換器8を接続することができ、燃料電池装置1をコンパクトとすることができる。
なお、排ガス流路を流れる排ガスは非常に高温であることから、内壁17と外壁18との間を流れる反応ガスと熱交換することができ、さらに効率よく熱交換するにあたり、例えば、排ガス流路や、内壁17と外壁18とで形成される空間を蛇行流路とすることもできる。なお、図4においては、排ガス流路や、内壁17と外壁18とで形成される空間に、蛇行流路を形成するための部材を設けている例を示している。
ところで、燃料電池装置1の稼動に伴って生じる排ガスには、一酸化炭素等の有害成分を含む場合があり、これらの有害成分を含む排ガスが燃料電池装置1の外部に排気されないよう、排ガス処理装置等にて処理した後に、外部に排気する必要がある。
ここで、図4においては、モジュール3(収納容器10)内部の排ガスを排気するための排気孔26に排ガス処理装置27を設けている例を示している。
このような燃料電池装置1においては、排ガス処理装置27を排気孔26に設けることで、熱交換器8を排気孔26に接続することができ、燃料電池装置1を小型化することができる。
そして、排ガス処理装置27を排気孔26に設けることにより、温度の高い排ガスが排ガス処理装置27に供給され、効率よく排ガスを処理することができる。
なお、このように排気孔26に設ける排ガス処理装置27としては、一般的に知られるハニカム型の燃焼触媒(以下、ハニカム触媒と略す)を例示することができる。それにより、効率よく排ガスの処理を行うことができるとともに、安価とすることができる。なお、ハニカム触媒としては、排ガスの温度等により、セラミックスよりなるハニカム触媒や、金属製のハニカム触媒(メタルハニカム触媒)等を適宜使用することができ、特には取り扱い上の容易性等よりメタルハニカム触媒を用いることが好ましい。なお、以下の説明において、排ガス処理装置27としてハニカム触媒を用いて説明する場合には、同じ符号を付与して説明する。
ここで、熱交換器8は、外装ケース2(仕切部材4)、収納容器10(モジュール3)および排ガス処理装置(詳細は後述する)のいずれか1つと固定部材によって固定されることにより、モジュール3と接続されることとなる。しかしながら、モジュール3のメンテナンスを行なうにあたり、熱交換器8を取り外す際において、熱交換器8が固定部材としてネジを用いてモジュール3に接続されている場合には、例えば熱交換器8の周囲に配置されている断熱材を取り外した後、熱交換器8を接続するネジを取り外す作業が必要となり、作業効率性が悪いという問題がある。
それゆえ本発明においては、熱交換器8を、外装ケース2(仕切部材4)、収納容器10(モジュール3)および排ガス処理装置7(詳細は後述する)のいずれか1つに掛け渡されたフック部と、フック部と係合可能に設けられた留め金具を有し、レバー操作によって留め金具をフック部と係合させる掛け留め具とからなる固定部材によって固定することにより、熱交換器8がモジュール4と接続されることとなる。
それにより、熱交換器8を取り外す際、レバーを操作するだけで、フック部と掛け留め具(留め金具)とを取り外すことができ、工具を用いることなく容易に熱交換器8とを取り外すことができ、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率を向上することができる。
また、固定部材はモジュール3に熱交換器8を着脱自在に接続できればよく、固定部材を1つとしても複数としてもよいが、固定部材を介してモジュール3に熱交換器8をより強固に接続できるよう、複数個の固定部材を用いることが好ましい。なお、固定部材の具体的構成は、以降の図を用いて具体的に説明する。
図5、図6および図7は、本発明の燃料電池装置1のうち、モジュール3と熱交換器8との接続について概略的に示すために、モジュール3および熱交換器8を抜粋して示した図であり、図5は熱交換器8を、固定部材29によってモジュール3と接続する場合の側面図を、図6は熱交換器8を、固定部材29によってモジュール3と接続する場合の正面図を、図7は熱交換器8を、固定部材29によって仕切部材4と接続する場合の側面図をそれぞれ示している。なお、図5、図6および図7においては、図4で示したように、排気孔26にハニカム触媒27を設けてなるモジュール3を用いる場合を示しており、モジュール3の外面に設けられる断熱材9の一部を取り外した状態を示している。
ここで、熱交換器8は、内部に設けられた排ガス流通路が上下方向に配置され、処理後の排ガスが排ガス流通路を上から下に流通するように、モジュール3の底面と接続されている。
また、図6に示したように、モジュール3の底(底部)に備えられた排気孔26にハニカム触媒27が設けられていることから、燃料電池装置1の稼動(起動処理時、発電時、停止処理時等)に伴って生じる排ガスが直線的に流れることとなり、排ガスと熱交換器8内を流れる水とで効率よく熱交換を行うことができる。
そして、図5、図6および図7においては、熱交換器8が固定部材29によって固定されることにより、熱交換器8がモジュール3と接続されている。
このような固定部材29としては、フック部30、フック部30と係合可能に設けられた留め金具(図5〜図7においてはアームに相当し、図5〜図7の説明においてはアーム32と称する。なお、後述する図9〜図12においても同様である。)を有し、レバー33を操作することによりフック部30とアーム32とを係合する掛け留め具31を設けている。
なお、図5および図6においては、フック部30をモジュール3(収納容器10)の底面に設けた例を示しており、図7においてはフック部30を外装ケース2(仕切部材4)に設けた例を示している。
それにより、熱交換器8に設けられた掛け留め具31にあるアーム32を、フック部30に引っ掛け、レバー33を奥側に倒すことにより、熱交換器8とモジュール3とが固定部材29によって接続することができる。
一方、熱交換器8を取り外す際には、レバー33を手前側に引き、フック部30に引っ掛けているアーム32を、フック部30よりはずすことで、熱交換器8を容易に取り外すことができる。すなわち、熱交換器8は固定部材29を介してモジュール3と容易に接続することができる。また、あわせてこのような固定部材29においては、工具類を使用することなく、熱交換器8を容易に取り外すことができ、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率を向上することができる。
なお、掛け留め具31は、フック部30との固定をより強固なものとするため、例えばアーム32にバネ部材34を有する掛け留め具31とすることができ、図5、図6および図7ではこのような掛け留め具31を有する固定部材29によって、モジュール3と熱交換器8とが接続されている。なお、このような固定部材29としては、例えば、パチン錠、キャッチクリップ、クランプ、ファスナー、蓋止め等を用いることができる。
また、図5、図6および図7においては、熱交換器8としてプレートフィン型熱交換器8を図示している。それゆえ、掛け留め具31は熱交換器8に確実に固定できればどの面に設けてもよいが、プレートが積層されている面以外の面(好ましくは、最も面積が大きい面)に設けることが好ましい。なおその際、掛け留め具31の台座部分となる部位を固定し、アーム32やレバー33は適宜可動するようにするものとする。以降においても同様である。
ここで、図5、図6および図7に示したプレートフィン型熱交換器8においては、熱交換器8の側面(プレートが積層されている面以外の面)の下部に、内部に設けられた水流通路を水が下から上に流れるよう水導入部36が設けられており、熱交換器8の側面の上部に熱交換後水供給部35が設けられている。そして、これら水導入部36と熱交換後水供給部35には、それぞれ水供給管が接続され(図示せず)、燃料電池装置の外部に設けられる貯湯タンクに、熱交換後の水(お湯)が貯水されることとなる。
なお、図5および図6に示したように、熱交換後水供給部35が、モジュール3の底面側に設けられた断熱材9で囲まれた領域に位置する場合には、水供給管は、断熱材9の一部を切り欠いて接続することができる。
また熱交換器8の下側には、処理後の排ガスと水とでの熱交換により生成される凝縮水と、熱交換後の排ガスとを分離するための気液分離部材37が設けられており、熱交換器8の側面方向に熱交換後の排ガスを排気し、熱交換器8の下方向に凝縮水を排水することができる。なお、燃料電池装置1の構造により気液分離部材37の構造は適宜調整することができる。
そして、モジュール3と熱交換器8とを上述したフック部30と、フック部30と係合するアーム32を有する掛け留め具31とからなる固定部材29によって接続することにより、熱交換器8をネジで固定する場合に必要なフランジ等が必要なくなるため、モジュール3の底面に設ける断熱材9を、熱交換器8の近傍にまで配置することができ、モジュール3の断熱効果を向上することができる。
ところで、図6(図4)にて示したように、排ガス処理装置27としてハニカム触媒27を排気孔26に設けるにあたっては、排気孔26とハニカム触媒27に隙間を生じると、ハニカム触媒27にて処理されていない排ガスが熱交換器8に供給されるおそれがある(すなわち、ハニカム触媒27にて処理されていない排ガスが、気液分離部材37より排気されるおそれがある。)。また、排気孔26とハニカム触媒27との隙間より、モジュール3内の熱が外部に放熱され、モジュール3内の温度が低下するおそれもある。
それゆえ、ハニカム触媒27の外周面に断熱材を設ける(図示せず)ことが好ましい。それにより、排気孔26とハニカム触媒27とに隙間を生じることが抑制でき、ハニカム触媒27で処理されていない排ガスが、熱交換器8に供給されることを抑制できる。さらに、ハニカム触媒27の外周面に断熱材を設けることにより、モジュール3内の温度が低下することを抑制できる。さらには、ハニカム触媒27の外周面に断熱材を設けることにより、ハニカム触媒27の保温効果を得ることができ、効率よく排ガスを処理することができる。
なお、ハニカム触媒27の外周面に設ける断熱材としては、例えば板状の断熱材からハニカム触媒27の形状をくり貫いた形状とすることや、ウール状の断熱材を用いることができるが、特に排気孔26とハニカム触媒27とに隙間が生じることを抑制する点で、ウール状の断熱材を用いることが好ましい。
ところで、ハニカム触媒27の外周面に断熱材を設けることにより、燃料電池装置1を定常に稼動している際には、ハニカム触媒27は排気孔26に接続されているが、例えばトラック等で運搬した場合に、運搬時の振動等によりハニカム触媒27が外れる(落下する)おそれがある。それゆえ、ハニカム触媒27を固定するための固定部材を有することが好ましい。固定部材としては、排ガスが流通することができ、かつハニカム触媒27を固定できる形状であればよく、適宜設定することができる。
なお、図5および図7においては、モジュール3の底面に、モジュール3内に酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給管28が設けられている。
図8は、本発明の燃料電池装置の他の実施態様を概略的に示す図であり、図2と同様に仕切部材4により上下に区画された外装ケース2内で、仕切部材4の上部にモジュール3を配置してなる燃料電池装置39の例を示す。
ここで、図8に示した燃料電池装置39においては、モジュール3の底面に、モジュール3より排気される排ガスを処理するための排ガス処理装置7が接続され、熱交換器8の内部に設けられた排ガス流通路が上下方向を向き、処理後の排ガスが排ガス流通路を上から下に流通するように、排ガス処理装置7と熱交換器8とが接続されている。すなわち、熱交換器8は、排ガス処理装置7を介してモジュール3に接続されている。このような燃料電池装置39においては、排ガス処理装置7として、処理効率のよい排ガス処理装置7を用いることができる。
ここで排ガス処理装置7としては、例えば内部をモジュール3(収納容器10)より排気される排ガスが流通可能な容器に、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナ、コージェライト等の多孔質担体に例えば、白金、パラジウム等の貴金属類の他、マンガン、コバルト、銀、銅、ニッケル等を担持した燃焼触媒等を用いることができる。なお、その他の構成については、上述したのと同様である。
ここで、図8に示した燃料電池装置39において、モジュール3のメンテナンスを行なうにあたり、上述した場合と同様に、モジュール3を上側に持ち上げて仕切部材4より取り外すこととなる。それゆえ、モジュール3の重量や取り外しにおける利便性を考慮して、熱交換器8を取り外した後にモジュール3を仕切部材4より取り外すことが好ましいが、排熱処理手段7と熱交換器8とがネジにて固定されている場合には、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率が悪く、モジュール3の底面側に設ける断熱材が、排ガス処理装置7の近傍にまで配置することが難しくなり、モジュール3の断熱効果が悪くなるという問題もある。
図9〜図12は、本発明の燃料電池装置のうち、固定部材29によってモジュール3に接続される熱交換器8の接続について概略的に示すために、モジュール3、排ガス処理装置7および熱交換器8を抜粋して示した図であり、図9は固定部材29を構成するフック部30を排ガス処理装置27に設けて、熱交換器8をモジュール3と接続する場合の側面図を、図10は固定部材29を構成するフック部30を排ガス処理装置27に設けて、熱交換器8をモジュール3と接続する場合の正面図を、図11は固定部材29を構成するフック部30をモジュール3(収納容器10)の底面に設けて、熱交換器8をモジュール3と接続する場合の側面図を、図12は固定部材29を構成するフック部30を仕切部材4に設けて、熱交換器8をモジュール3と接続する場合の側面図を、それぞれ示している。なお、各図において掛け留め具31は、熱交換器8の側面に設けている。
それにより、熱交換器8に設けられた掛け留め具31にあるアーム32を、フック部30に引っ掛け、レバー33を奥側に倒すことにより、熱交換器8は排ガス処理装置7(モジュール3)を介してモジュール3と接続することができる。
一方、熱交換器8を取り外す際には、レバー33を手前側に引き、フック部30に引っ掛けているアーム32を、フック部30よりはずすことで、熱交換器8と排ガス処理装置7(モジュール3)とを容易に取り外すことができる。すなわち、熱交換器8は固定部材29によってモジュール3と着脱自在に接続することができる。また、あわせてこのような固定部材29においては、工具類を使用することなく、熱交換器8を容易に取り外すことができ、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率を向上することができる。
そして、排ガス処理装置7と熱交換器8とを上述したフック部30と、フック部30と係合するアーム32を有する掛け留め具31とからなる固定部材29によって接続することにより、排ガス処理装置7と熱交換器8とをネジで固定する場合に必要なフランジ等が必要なくなるため、モジュール3の底面に設ける断熱材9を、排ガス処理装置7の近傍にまで配置することができ、モジュール3の断熱効果を向上することができる。
なお、モジュール3と排ガス処理装置7との固定は、ネジでの固定の他、リベット等により固定することができる。
また、上述したように固定部材29により熱交換器8を排ガス処理装置7を介してモジュール3に接続する構成においては、フック部30を設けるにあたり、排ガス処理装置7と熱交換器8とをより強固に接続することや、燃料電池装置39の製造容易性等を考慮して、フック部30を排ガス処理装置7に設けることがより好ましい。
図13および図14は、本発明の燃料電池装置39の他の態様を示したものであり、掛け留め具31が、熱交換器8に水を供給するための水導入部36の近傍(下端側)に設けられている例を示している。
上述したように、モジュール3の発電により生じる排ガスの温度は高温となるため、熱交換器8の処理後の排ガス導入側(本図では上端側)の温度が高温となるとともに、熱交換器8の水導入部36側においては、熱交換器8の温度は処理後の排ガス導入側に比べて低くなる。
ここで、例えば熱交換器8に水を供給する水供給管に破損や目詰まり等が生じた場合、燃料電池装置39の稼動に伴って生じる排ガスと水とが熱交換を行うことができずに、温度の高い排ガスが十分な熱交換を行うことができないまま、排ガス流通路を流通する場合が想定される。この場合、熱交換器8の温度が上昇し、アーム32に設けられたバネ部材34が劣化し、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8との接続が弱くなる場合がある。
それゆえ、掛け留め具31は熱交換器8において温度の低い部位に設けることが好ましく、熱交換器8の水導入部36の近傍(下端側)に設けることが好ましい。それにより、市販されている金属製の掛け留め具31等を用いることができる。
なお、水導入部36の近傍とは、熱交換器8の大きさや排ガスの温度等により適宜定めることができるが、例えば熱交換器8の温度(表面温度)が50〜60℃以下となる部位とすることができる。
ここで、掛け留め具31を熱交換器8の水導入部36の近傍(下端側)に設けた場合に、フック部30と係合する(引っ掛ける)ためのアーム32とが係合して固定することができない場合がある。
それゆえ、図13および図14においては、留め金具としてアーム32の他にフック用受け部材40を設ける(すなわち、留め金具がアーム32とフック用受け部材40とからなる)とともに、フック用受け部材40の一端側をフック部30と係合させ、フック用受け部材40の他端側をアーム32と係合させることで、フック部30と掛け留め具31とを係合することができる。それにより、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8とを着脱自在に接続することができる。
この場合において、排ガス処理装置7と熱交換器8とを取り外すにあたっては、レバー33を緩め、フック用受け部材40を取り外すことにより、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8とを工具を用いることなく容易に取り外すことができる。それにより、モジュール3を仕切部材4より容易に取り外すことが可能となり、モジュール3のメンテナンスにおける作業効率を向上することができる。
なお、掛け留め具31を耐熱性の部材により構成することができる場合においては、熱交換器8の上端側に掛け留め具31を設けることができ、その場合においては、フック用受け部材40を介さず(すなわち留め金具をアーム32より構成する)に、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8とを着脱自在に接続することができる。
また、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8とを着脱自在に接続するにあたり、排ガス処理装置7と熱交換器8との接続部より処理後の排ガス等が漏出することを有効に抑制すべく、排ガス処理装置7と熱交換器8との間(接続部)にガスケット部材(図示せず)を設けることが好ましい。
このようなガスケット部材としては、上述したように排ガスの温度が高温となることから、耐熱性に優れたガスケット部材を用いることが好ましい。それゆえ、例えば二枚の金属板を、中央部に空洞部を有するように張り合わせて作製されたメタルガスケット等を用いることができる。
それにより、排ガス処理装置7(モジュール3)と熱交換器8とを気密性を有して接続することができることから、排ガス処理装置7と熱交換器8との接続部より、モジュール3(収納容器10)から排気される排ガスが漏出することを抑制(防止)することができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、図1においてモジュール3、排ガス処理装置7および熱交換器8をモジュール収納室5に位置するようにした例を示したが、モジュール3の側面に排ガス処理装置7を接続し、熱交換器8を補機収納室6に位置して排ガス処理装置7と熱交換器8とを固定部材29により接続する、すなわちモジュール3と排ガス処理装置7を仕切部材4の上部に位置するようにし、熱交換器8を仕切部材4の下部に位置するように配置することもできる。
また、固定部材29の例として、アーム32にバネ部材34を具備する固定部材29を図示したが、フック部30とアーム32により熱交換器8とモジュール3(場合によっては、排ガス処理装置7)とを強固に接続することができる場合には、バネ部材34を有さない固定部材29を用いることができる。