JP5342705B2 - バイオセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、試料中の特定成分を分析するバイオセンサに関し、特に、バイオセンサの試薬層を構成する試薬構成に関するものである。
バイオセンサは、微生物、酵素、抗体等の生物材料の分子認識能力を利用し、生物材料を分子識別素子として応用したセンサである。すなわち、固定化された生物材料が、目的の特定成分を認識したときに起こる反応、微生物の呼吸による酸素の消費、酵素反応、発光などを利用したものである。
バイオセンサの中でも酵素センサの実用化は進んでおり、特に、グルコース用の酵素センサは、糖尿病の病状監視に利用されている。グルコース用の酵素センサの一例として、例えば、特許文献1で提案されたようなバイオセンサが開示されている。
このバイオセンサは、絶縁性基板上に、測定電極、対電極および検知電極からなる電極層を形成し、これら電極層上に、試料液中の特定成分と特異的に反応する酵素などを含む試薬層を形成してなるものである。上記試薬層に含まれる酵素として、ピロロキノリンキノンを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、PQQ−GDHと呼ぶ)を用いている。さらに試薬層には、酵素PQQ−GDH以外に、フェリシアン化カリウムなどの電子受容体が含まれている。
このような構成のバイオセンサに血液を添加すると、試薬層では、酵素PQQ−GDHが、血液中のグルコースと反応して、グルコノラクトンと電子を生成し、該生成した電子によって電子受容体であるフェリシアン化イオンがフェロシアン化イオンに還元される。そこに一定の電圧をかけ、フェロシアン化イオンを再度フェリシアン化イオンに酸化させる。この時に生じる電流値から血液中のグルコース濃度(血糖値)を求めることができる。
特開2000−171428号公報 特開2001−343350号公報 特開2002−207022号公報
しかしながら、上記従来のバイオセンサで使用している酵素PQQ−GDHは、グルコースだけでなく、マルトースなど基質以外の糖類にも反応してしまう。そのため、イコデキストリン、マルトース等を含む輸液を投与中の患者が、このバイオセンサを使用して血糖値を測定すると、実際の血糖値より高い値を示すことになる。このような測定値をもとに、過剰のインスリン投与を行うと、医療事故にもつながる恐れがある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、グルコースに対する基質特異性に優れ、グルコース以外の糖類への作用を回避することができる高精度の測定が可能なバイオセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1にかかるバイオセンサは、試料液中の特定成分と特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中の特定成分の濃度を計測するバイオセンサであって、前記試薬層は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、その分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸もしくはその塩とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項2にかかるバイオセンサは、請求項1に記載のバイオセンサにおいて、前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項3にかかるバイオセンサは、請求項2に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、前記電極上に形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項4にかかるバイオセンサは、請求項2に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項5にかかるバイオセンサは、請求項1に記載のバイオセンサにおいて、前記有機酸は、脂肪族カルボン酸、炭酸環カルボン酸、複素環カルボン酸、もしくはそれらの置換体、あるいは誘導体である、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項6にかかるバイオセンサは、請求項5に記載のバイオセンサにおいて、前記有機酸は、クエン酸、クエン酸塩もしくはフタル酸、フタル酸塩のいずれか、またはそれらの組み合わせである、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項7にかかるバイオセンサは、試料液中の特定成分と特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中の特定成分の濃度を計測するバイオセンサであって、前記試薬層は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、その分子内に少なくとも1つのアミノ基、もしくはカルボニル基を有する有機酸、あるいはその塩とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項8にかかるバイオセンサは、請求項7に記載のバイオセンサにおいて、前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項9にかかるバイオセンサは、請求項8に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、前記電極上に形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項10にかかるバイオセンサは、請求項8に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項11にかかるバイオセンサは、請求項7に記載のバイオセンサにおいて、前記有機酸は、アミノ酸、もしくはそれらの置換体、あるいは誘導体である、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項12にかかるバイオセンサは、請求項11に記載のバイオセンサにおいて、前記有機酸は、タウリンである、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項13にかかるバイオセンサは、試料液中の特定成分と特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中の特定成分の濃度を計測するバイオセンサであって、前記試薬層は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、糖アルコールとを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項14にかかるバイオセンサは、請求項13に記載のバイオセンサにおいて、前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項15にかかるバイオセンサは、請求項14に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、前記電極上に形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項16にかかるバイオセンサは、請求項14に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項17にかかるバイオセンサは、請求項13に記載のバイオセンサにおいて、前記糖アルコールは、鎖状の多価アルコール、もしくは環式糖アルコール、あるいはそれらの置換体もしくは誘導体である、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項18にかかるバイオセンサは、請求項17に記載のバイオセンサにおいて、前記糖アルコールは、マルチトール、ラクチトールのいずれか、または両方である、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項19にかかるバイオセンサは、試料液中の特定成分と特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中の特定成分の濃度を計測するバイオセンサであって、前記試薬層は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、可溶化蛋白質とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項20にかかるバイオセンサは、請求項19に記載のバイオセンサにおいて、前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項21にかかるバイオセンサは、請求項20に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、前記電極上に形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項22にかかるバイオセンサは、請求項20に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達対を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項23にかかるバイオセンサは、請求項19に記載のバイオセンサにおいて、前記可溶化蛋白質は、ウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ゼラチン、あるいはコラーゲンである、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項24にかかるバイオセンサは、試料液中の特定成分と特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中の特定成分の濃度を計測するバイオセンサであって、前記試薬層は、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、その分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有機酸もしくはその塩、その分子内に少なくとも1つのアミノ基もしくはカルボニル基を有する有機酸あるいはその塩、糖アルコール、および可溶化蛋白質のうちの少なくとも2つ以上の添加剤とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項25にかかるバイオセンサは、請求項24に記載のバイオセンサにおいて、前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項26にかかるバイオセンサは、請求項25に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、前記電極上に形成される、ことを特徴とする。
また、本発明の請求項27にかかるバイオセンサは、請求項25に記載のバイオセンサにおいて、前記試薬層は、電子伝達体を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、ことを特徴とする。
本発明のバイオセンサによれば、FAD−GDHを含む試薬層中に、少なくともカルボキシル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩を添加するようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ブランク電流値を抑えることができ、また、血液中に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができるため、直線性が良好で、かつ、センサ個々のバラツキの少ない、グルコースに対する基質特異性に優れた、高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
また、本発明のバイオセンサによれば、FAD−GDHを含む試薬層中に、少なくともアミノ基、もしくはカルボニル基を有する有機酸あるいは有機酸塩を添加するようにしたので、試薬層を緻密かつ均質に形成することができ、センサのグルコース濃度に対する応答性を飛躍的に高めることができる、グルコースに対する基質特異性に優れた、高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
また、本発明のバイオセンサによれば、FAD−GDHを含む試薬層中に、糖アルコールを添加するようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ブランク電流値を抑えることができるため、直線性が良好で、かつ、センサ個々のバラツキの少ない、グルコースに対する基質特異性及び保存安定に優れた、高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
また、本発明のバイオセンサによれば、FAD−GDHを含む試薬層中に、可溶化蛋白質を添加するようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ヘマトクリットの影響および環境温度の影響を緩和することができる、血液中に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができる、保存安定性及びグルコースに対する基質特異性に優れた高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
図1は、本発明のバイオセンサの構成例を示す図である。 図2は、本発明のバイオセンサの他の構成例を示す図である。 図3は、試料液としてマルトースを添加した場合のセンサ応答特性を示す図である。 図4は、試料液としてグルコースを添加した場合のセンサ応答特性を示す図である。 図5(a)は、試料液として精製水を用いた場合のブランク値を示す図、図5(b)は、試薬として有機酸を用い、試料液として精製水を添加した場合のブランク値を示す図、図5(c)は、試料液としてグルコース濃度を添加した場合のセンサ応答特性を示す図である。 図6は、試料液として全血を用いた場合のセンサにおいて、アミノ酸の一例であるタウリンの添加による電流値の応答特性を示す図である。 図7(a)は、試料液として全血を用い、試薬層に糖アルコールを添加した場合の高温高湿環境下での保存特性を示す図、図7(b)は、バックグラウンド電流の応答特性を示す図、図7(c)は、電流の応答特性を示す図である。 図8(a)は、試料液として全血を用いた場合のセンサ応答特性に対するヘマトクリットの影響を示す図、図8(b)は、試薬層中にBSAを添加した場合のセンサ応答特性に対するヘマトクリットの影響を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1によるバイオセンサについて説明する。
図1は、本実施の形態1による3電極方式のバイオセンサの構成例を示す図である。
図1に示す3電極方式のバイオセンサは、その表面に電気伝導層が形成された絶縁性基板1と、試薬層5と、切り欠き部6aを有するスペーサ6と、空気孔9を有するカバー8とを備えたものである。
上記絶縁性基板1の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミドなどがある。
上記電気伝導層の材料としては、金、白金、パラジウムなどの貴金属やカーボンなどの単体材料、あるいは、カーボンペーストや貴金属ペーストなどの複合材料があげられる。
上記スペーサ6およびカバー8の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどがあげられる。
このような構成のバイオセンサの作製方法について説明する。
絶縁性の基板1上に、電気伝導層をスパッタリング蒸着法やスクリーン印刷法などによって形成後、レーザなどを用いてスリットを設けることにより、作用極2、対極3、および検知電極4を形成する。検知電極4とは、検体量の不足を検知するための電極として機能するだけでなく、参照電極あるいは対極の一部として用いることも可能である。
そして、電極2、3、4上に、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、FAD−GDHと呼ぶ)、電子伝達体、および添加剤を含む試薬層5を形成する。その後、試薬層5及び電極2、3、4上に、スペーサ6と、カバー8とを貼り合わせることにより、試料液が供給されるキャビティ7を形成する。なお、バイオセンサへの試料液供給は、毛細管現象により実現されるが、キャビティ7内の空気をバイオセンサ外部へ逃がすための空気孔9をカバー8に設けることで、毛細管現象を促進し、試料液の供給をスムーズに行うことができる。
試料液は、キャビティ7の入り口から毛細管現象によりキャビティ7内に供給され、試薬層5の位置に到達すると、試料液中の特定成分が、試薬層5に含まれる試薬と反応する。この反応により生じる電流の変化量を、作用極2、対極3、検知電極4のそれぞれのリード部10、11、12を通じて接続された外部の測定装置により読み取り、試料液中の特定成分を定量する。
以下に、試薬層5中に含まれる試薬構成について説明する。
まず、酵素について説明する。
本実施の形態1では、試薬層5中に含む酵素としてFAD−GDHを採用している。以下に、FAD−GDHを採用した理由について、図3及び図4を用いて説明する。
図3に、グルコース濃度80mg/dLの存在下で、マルトースを0〜200mg/dLの濃度範囲で添加した場合のセンサ応答特性を示す。図3において、縦軸は、PQQ−GDH及びFAD−GDHのマルトースに対する作用性(マルトース0mg/dL感度からの乖離度(%))を、横軸は、添加マルトース濃度(mg/dL)を表している。
PQQ−GDHは、従来のバイオセンサで使用している酵素であり、マルトースの添加量に比例してセンサ応答値が上昇している。一方、FAD−GDHは、本実施の形態1のバイオセンサで採用している酵素であり、マルトースの添加量を増加させても、センサ応答値は、マルトース無添加の時と変わらず低い値を示しており、マルトースへの作用性が低いことが分かる。
図4に、試料液としてグルコースを添加した場合のセンサ応答特性を示す。図4において、縦軸は、センサ応答値(電流値(μA))を、横軸は、グルコース濃度(mg/dL)を表している。
PQQ−GDHを酵素として用いた場合、グルコース濃度に比例してセンサ応答値が上昇している。また、FAD−GDHを酵素として用いた場合、PQQ−GDHを用いた場合と同様、グルコース濃度に比例してセンサ応答値が上昇している。したがって、両酵素のグルコースに対する作用性はほぼ同じである。
以上のことから、本実施の形態1で採用している酵素FAD−GDHは、従来のバイオセンサで採用されている酵素PQQ−GDHとほぼ同じグルコースに対する基質特異性を有しながら、マルトースに対する作用性は低いことがわかる。
従って、本実施の形態1では、酵素としてFAD−GDHを採用することで、グルコースに対する基質特異性に優れ、マルトースに対する作用性の低い、つまり、グルコースとの相関がよく、マルトースの影響を受けない、優れたバイオセンサを実現することができる。
次に、添加剤について説明する。
本実施の形態1では、試薬層5中に添加する添加剤として、分子内に少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩を用いた。
この分子内に少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩は、酸化型の電子伝達体と、試薬中に含まれる酵素蛋白に存在する反応性に富んだ一部の官能基とが接触して、電子伝達体が酸化型から還元型に変性する(還元される)ことを抑制する働きがある。
そのため、試薬層5中に、分子内に少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩を添加することで、熱や水分の介在下において、試薬層5に含まれるFAD−GDHと電子伝達体との還元反応により発生するノイズ電流を抑制し、バイオセンサの性能が悪化するのを防ぎ、保存安定性を高めることができる。さらに、血液中、特には血球に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができるため、センサ個々のバラツキを抑え、良好な直線性を実現、つまり、回帰式の傾きが大きく切片が小さくすることができ、高精度の測定を行うことができる。
なお、分子内に少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸もしくは有機酸塩としては、脂肪族カルボン酸、炭素環カルボン酸、複素環カルボン酸等や、それらの塩が挙げられる。
例えば、脂肪族カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸などや、それらの塩があげられる。効果の度合いは、直鎖が長く分子量の大きいものほど大きく、炭化水素鎖が3つ以上あるものが、特に好ましい。また、バイオセンサに用いる試薬としては、水に対する溶解性が高いことが求められるため、分子構造中に、より多くの親水性官能基を持つものがより好ましい。
炭素環カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などや、それらの塩があげられ、これらを用いることでも前記と同様の効果を得ることができる。
複素環カルボン酸としては、2−フル酸、ニコチン酸、イソニコチン酸などや、それらの塩があげられ、これらを用いることでも、前記と同様の効果を得ることができる。
上述の脂肪族ならびに炭素環カルボン酸、複素環を有するカルボン酸もしくはカルボン酸塩以外にも、カルボン酸ならびにカルボン酸塩の一部の官能基が別の官能基に置き換えられた、例えばリンゴ酸、オキサロ酢酸、クエン酸、ケトグルタル酸などやそれらの塩においても前記と同様の効果を得ることができる。
これらの有機酸もしくは有機酸塩のなかで最も好適なものは、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、安息香酸である。
なお、これらの有機酸もしくは有機酸塩の添加量は、酵素溶液濃度500〜2500U/mlに対し、試薬溶液濃度として0.0005〜100mM範囲が適当である。
このような実施の形態1のバイオセンサによれば、試薬層5中に、グルコースに対する基質特異性の優れたFAD−GDHと、少なくともカルボキシル基を有する有機酸もしくは有機酸塩とを含ませるようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ブランク電流値を抑えることができ、また、血液中に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができるため、グルコースに対する基質特異性及び保存安定性を高めることができ、高精度の測定を行うことができる。
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2によるバイオセンサについて説明する。
本実施の形態2によるバイオセンサは、図1で示した試薬層5が、FAD−GDH、電子伝達体、および、分子内に少なくとも一つのアミノ基もしくはカルボニル基を有する有機酸または有機酸塩を含むことを特徴とする。なお、他の構成要素は、上記実施の形態1によるバイオセンサと同様であるため説明を省略する。
以下、添加剤について説明する。
本実施の形態2では、試薬層5に添加する添加剤として、分子内に少なくとも一つのアミノ基もしくはカルボニル基を有する有機酸、または有機酸塩を用いた。
分子内に少なくとも一つのアミノ基、もしくはカルボニル基を有する有機酸、または有機酸塩は、試薬層5の表面状態を極めて平滑、且つ均質に形成することができる。
特に、試薬層5中に電子伝達体として用いられるフェリシアン化カリウムなどの無機塩を含む場合には、試薬溶液の乾燥過程において試薬層が結晶化しやすいが、試薬層5中に、分子内に少なくとも一つのアミノ基、あるいはカルボニル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩が含まれることにより、当該無機塩の結晶の成長を阻害することができる。
そして、結晶の成長を阻害された無機塩は、微少な粒子状態で試薬層5中に存在するため、酵素分子と密に、均一に接触することが可能となり、酵素分子との電子伝達効率が良好な試薬層状態が実現できる。また、試薬層の溶解性を高めることができるため、センサの感度、ならびに直線性を飛躍的に高めることが可能となる。
なお、分子内に少なくとも一つのアミノ基、あるいはカルボニル基を有する有機酸、もしくは有機酸塩としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリンなどや、それらの塩、あるいはサルコシン、ベタイン、タウリンなどのアミノ酸、もしくはそれらの置換体あるいは誘導体及びその塩が挙げられる。また、これらのアミノ酸もしくは置換体、あるいは誘導体、及びその塩の中でも、グリシン、セリン、プロリン、トレオニン、リシン、タウリンは、特に結晶化阻害の効果が高く好適である。
なお、これらのアミノ酸、もしくはそれらの置換体あるいは誘導体及びその塩の添加量は、酵素溶液濃度500〜2500U/mlに対し、試薬溶液濃度として10〜100mMが適当である。
このような実施の形態2のバイオセンサによれば、試薬層5中に、グルコースに対する基質特異性の優れたFAD−GDHと、少なくともアミノ基もしくはカルボニル基を有する有機酸、あるいは有機酸塩とを含ませるようにしたので、試薬層を緻密かつ均質に形成することができるとともに、センサのグルコース濃度に対する応答性を飛躍的に高めることができ、高精度の測定を行うことができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3によるバイオセンサについて説明する。
本実施の形態3によるバイオセンサは、図1で示した試薬層5が、FAD−GDH、電子伝達体、及び糖アルコールを含むことを特徴とする。なお、他の構成要素は、上記実施の形態1によるバイオセンサと同様であるため説明を省略する。
以下、添加剤について説明する。
本実施の形態3では、試薬層5に添加する添加剤として、糖アルコールを用いた。
糖アルコールは、酸化型の電子伝達体と、試薬中に含まれる酵素蛋白に存在する反応性に富んだ一部の官能基が接触して、電子伝達体が酸化型から還元型に変性する(還元される)ことを抑制する働きがある。
そのため、試薬層5中に、糖アルコールを添加することで、熱や水分の介在下において、試薬層5に含まれるFAD−GDHと電子伝達体との還元反応が生じることにより発生するノイズ電流を抑制することができるため、バイオセンサの性能が悪化することを防ぐことができる。また、血液中、特には血球に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができるため、直線性が良好で、かつ、センサ個々のバラツキを抑制することができる。
なお、糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、還元パラチノース、アラビニトール、グリセロール、リビトール、ガラクチトール、セドヘプチトール、ペルセイトール、ボレミトール、スチラシトール、ポリガリトール、イジトール、タリトール、アリトール、イシリトール、還元澱粉糖化物、イシリトールなどの鎖状の多価アルコールや、環式糖アルコールがあげられる。また、これらの糖アルコールの立体異性体、置換体、または誘導体であっても、同様の効果を得ることができる。なお、これらの糖アルコールの中でも、マルチトール、ラクチトールは、比較的材料単価が安く、容易に入手もでき、また、ノイズ電流を抑制する効果が飛躍的に高いため、最も好適な材料であると言える。
なお、これら糖アルコールの添加量は、酵素溶液濃度500〜2500U/mlに対し、試薬溶液濃度として0.1〜50mMが適当である。
このような実施の形態3のバイオセンサによれば、試薬層5中に、グルコースに対する基質特異性の優れたFAD−GDHと、糖アルコールとを含ませるようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ブランク電流値を抑えることができ、また、血液中に存在する様々な夾雑物質との不必要な反応をも併せて抑制することができるため、グルコースに対する基質特異性及び保存安定性を高めることができ、高精度の測定を行うことができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4によるバイオセンサについて説明する。
本実施の形態4によるバイオセンサは、図1で示した試薬層5が、FAD−GDH、電子伝達体、及び可溶化蛋白質を含むことを特徴とする。なお、他の構成要素は、上記実施の形態1によるバイオセンサと同様であるため説明を省略する。
以下、添加剤について説明する。
本実施の形態4では、試薬層5に添加する添加剤として、可溶化蛋白質を用いた。
可溶化蛋白質は、酵素反応等を阻害することなく、薬剤等の運搬作用、浸透圧の維持、電解質バランスの維持など多彩な働きを有する。
そのため、試薬層5中に、可溶化蛋白質を添加することで、酵素反応等を阻害することなく、グルコース電極近傍への供給を制限することができ、ヘマトクリットの影響、および環境温度の影響を低減することができる。
なお、可溶化蛋白質としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、卵アルブミン、ゼラチン、コラーゲン等があげられる。
なお、これら可溶化蛋白質の添加量は、酵素溶液濃度500〜2500U/mlに対し、0.01〜1.00wt%が適当である。
このような実施の形態4のバイオセンサによれば、試薬層5中に、グルコースに対する基質特異性の優れたFAD−GDHと、可溶化蛋白質とを含ませるようにしたので、酵素反応等を阻害することなく、ヘマトクリットの影響、および環境温度の影響を緩和することができ、保存安定性、かつグルコースに対する基質特異性を高め、高精度の測定を行うことができる。
なお、上記実施の形態1から4では、上記試薬層5中に添加する添加剤として、分子内に少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸もしくは有機酸塩、分子内に少なくとも一つのアミノ基もしくはカルボニル基を有する有機酸あるいは有機酸塩、糖アルコール、可溶化蛋白質をそれぞれ添加した例を説明したが、さらにはそれらを組み合わせることも可能である。
また、上記実施の形態1から4において、試薬中に含まれる電子伝達体としては、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノンおよびその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセンおよびその誘導体などを用いることができる。
また、上記実施の形態1から4では、試薬層5が、電極上に設けられるものとして説明をしたが、具体的には、電極上の全面、もしくは一部に、試薬層5を配置することができ、また、それ以外にも、バイオセンサの性能を悪化させることのない範囲内、すなわち、試薬層中の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が設けられるよう、試薬層5を配置してもよい。
また、上記実施の形態1から4では、3電極方式のバイオセンサについて示したが、2電極方式のバイオセンサを作製しても良い。この2電極方式のバイオセンサの構成例を図2に示す。
図2に示す2電極方式のバイオセンサは、絶縁性基板101と、試薬層105と、スペーサ106と、カバー108とを有する。各構成要素の材料は、図1と同様のものが考えられる。
このようなバイオセンサの作製方法について説明する。
絶縁性の基板101上に、電気伝導層をスパッタリング蒸着法やスクリーン印刷法などにより形成後、レーザなどを用いてスリットを設けることにより作用極102、および対極103を形成する。この電極上に、FAD−GDH、電子伝達体、および添加剤を含む試薬層105を形成する。そして、試薬層105及び電極102、103上に、切り欠き部106aを有するスペーサ106とカバー108とを貼り合わせることにより、試料液が供給されるキャビティ107が形成される。
試料液は、キャビティ107の入り口から毛細管現象によりキャビティ7内に供給され、試薬層5の位置に到達すると、試料液中の特定成分が、試薬層105に含まれる試薬と反応する。この反応により生じる電流の変化量を、作用極102、対極103のそれぞれのリード部110、111を通じて接続された外部の測定装置により読み取り、試料液中の特定成分を定量する。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁基板101上に、スクリーン印刷により作用極102と、対極103と、からなる電極層を設ける。その電極層上に、酵素(FAD−GDH:600〜1500U/ml)、電子伝達体(フェリシアン化カリウム)、アミノ酸(タウリン:50〜85mM)、および糖アルコール(マルチトール:1〜3mM)を含んだ試薬層105を形成する。その上に、ポリエチレンテレフタレートからなるスペーサ106と、同じくポリエチレンテレフタレートからなるカバー108とを設ける。このようにして2電極方式の血糖値測定センサを作製した。
上記作製した血糖値測定センサに、試料液として精製水を用いた場合のセンサ応答値(ブランク電流値)を計測する。その結果を、図5(a)に示す。ここでは比較のため、酵素としてPQQ−GDHを用い、試薬層中に、酵素溶液濃度1000〜1500U/mlに対して、0.05〜0.15mMのクエン酸塩、タウリン50〜85mM、マルチトール1〜3mMが添加された従来のバイオセンサのセンサ応答特性を示した。
この図5(a)から分かるように、従来のPQQ−GDHを用いたバイオセンサのブランク電流値は、約0.03μAであるのに対し、本発明のFAD−GDHを用いたバイオセンサのブランク電流値は、0.40μAと高い値を示している。ブランク電流値が高いと、グルコースの正確な定量ができなくなるため,ブランク電流値を抑える必要がある。
そこで、ノイズ電流を抑制する働きのある有機酸を試薬層に添加した。具体的には、FAD−GDH酵素溶液濃度1500U/mlに対し、フタル酸塩の濃度を0.05mM、クエン酸塩の濃度を0.08mMとなるよう調製して添加したところ、図5(b)に示すように、無添加時に比べ、ブランク電流値が小さくなった。また、フタル酸塩の濃度を0.015mM、クエン酸塩の濃度を0.24mMに調製し添加した場合には、ブランク電流値がより小さくなった。
このときのグルコース濃度に対するセンサ応答電流値を、図5(c)に示す。図5(c)に示すように、FAD−GDHに、上述したように調製した有機酸を添加しても、PQQ−GDHとほぼ同程度の、グルコースに対する基質特異性を有していることが分かる。
以上のように、試薬層中に有機酸を添加することで、ブランク電流値が小さく、グルコースに対する基質特異性が高い、高精度の測定が可能なバイオセンサを作製することができる。
(実施例2)
次に、試薬層105にアミノ酸を添加した場合のセンサ応答特性について説明する。
本実施例2のバイオセンサは、上記実施例1と同様の手順により作製した。そして、該バイオセンサの試薬層105に、アミノ酸の一例であるタウリンをさらに添加した。
図6に、試薬層105中にタウリンを0mM、15mM、85mM添加した場合の電流の応答特性を示す。
図6を見て判るように、タウリンの添加量を多くするほど、センサ応答特性は飛躍的に向上していることがわかる。
したがって、試薬層105にタウリンを添加することで、グルコースに対する基質特異性に優れ、高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
(実施例3)
次に、試薬層105に糖アルコールを添加した場合のセンサ応答特性について説明する。
本実施例3のバイオセンサは、上記実施例1と同様の手順により作製した。そして、該バイオセンサの試薬層105に、糖アルコールの一例であるマルチトールあるいはラクチトールをさらに添加した。また、試料液として、グルコース濃度80mg/dlを含む全血を用いた。
図7(a)は、試薬層5中にマルチトールあるいはラクチトールをそれぞれ0mM、5mM、10mM添加した場合の高温高湿環境下(温度40℃、湿度80%)での保存特性を示す。
図7(a)を見て判るように、マルチトールまたはラクチトールを添加した場合の方が、高温高湿度環境による電流値上昇を抑制することができ、センサの保存特性は明らかに向上する。
また、図7(b)は、試薬層105中にマルチトールあるいはラクチトールをそれぞれ0mM、5mM、10mM添加した場合の高温高湿環境下(温度40℃、湿度80%)でのバックグラウンド電流の応答特性を示す。
図7(b)を見て判るように、マルチトールまたはラクチトールを添加することで、高温高湿環境下でのバックグラウンド電流値の上昇を抑制することができ、センサの保存特性が向上する。
図7(c)は、試薬層105中にマルチトールあるいはラクチトールをそれぞれ0mM,5mM,10mM添加した場合の電流の応答特性を示している。
図7(c)を見て判るように、マルチトールまたはラクチトールを添加しても、センサのグルコース濃度に対する応答特性を低下させることなく良好な直線性を維持することができる。
以上のことから、糖アルコールであるマルチトールまたはラクチトールを添加することで、直線性が良好で、保存安定性に優れた、高精度の測定が可能なバイオセンサを実現することができる。
(実施例4)
次に、ヘマトクリットの影響について説明する。
図8(a)は、試料液として、グルコース濃度350mg/dLを含有する全血を用いた場合のセンサ応答特性に対するヘマトクリットの影響を示すグラフである。図8において、縦軸は、ヘマトクリット値45%感度からの乖離を示し、横軸は、ヘマトクリット値を示す。
PQQ−GDHを用いた場合のセンサ応答特性と、FAD−GDHを用いた場合のセンサ応答特性を比較すると、ヘマトクリット値が約25〜75%の範囲では、ヘマトクリットの影響によるセンサ応答特性の差異は見られなかった。ヘマトクリット値が25%以下の低濃度範囲では、ヘマトクリットの影響に顕著な差異が見られ、FAD−GDHを用いた場合の方に特にヘマトクリットの影響が大きいことが認められた。
このように、酵素としてFAD−GDHを用いた場合のセンサ応答特性は、PQQ−GDHを用いた場合に比べ、特に、低ヘマトクリット濃度範囲において、ヘマトクリットの影響を受けやすい。そのため、ヘマトクリットの影響を受けにくい、保存安定性に優れたバイオセンサが望まれる。
そこで、試料層105に、可溶化蛋白質であるBSAを添加した。図8(b)は、試薬層中にBSAを添加した場合のセンサ応答特性に対するヘマトクリットの影響を示す図である。
0.1wt%のBSAを試薬層105に添加したところ、低ヘマトクリット濃度範囲において、PQQ−GDHと同程度にまでヘマトクリットの影響を抑えることができた。
このように、従来のPQQ−GDHを用いたバイオセンサと同程度にまでヘマトクリットの影響を抑え、保存安定性、かつグルコースに対する基質特異性に優れたバイオセンサを作製することができた。
本発明によるバイオセンサは、グルコースに対する基質特異性に優れた高精度の測定が可能なグルコース用酵素センサとして、利用可能である。
1 基板
2 作用極
3 対極
4 検知電極
5 試薬層
6 スペーサ
6a 切り欠き部
7 キャビティ
8 カバー
9 空気孔
10、11、12 リード部
101 基板
102 作用極
103 対極
105 試薬層
106 スペーサ
106a 切り欠き部
107 キャビティ
108 カバー
109 空気孔
110、111 リード部

Claims (8)

  1. 試料液中のグルコースと特異的に反応する試薬を含む試薬層を有し、試料液中のグルコース濃度を計測するバイオセンサであって、
    前記試薬層は、
    電子伝達体と、
    フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素としたグルコースデヒドロゲナーゼと、
    その分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸(アミノ基を有する場合を除く)もしくはその塩、グリシン、セリン、プロリン、トレオニン、リシンおよびタウリンから選ばれるアミノ酸あるいはその塩、糖アルコール、および可溶化蛋白質のうちの少なくとも2つ以上の添加剤と、
    を含む、バイオセンサ。
  2. 請求項1に記載のバイオセンサにおいて、
    前記試料液中の特定成分の濃度を、絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極と対極とからなる電極を用いて計測する、バイオセンサ。
  3. 請求項2に記載のバイオセンサにおいて、
    前記試薬層は、前記電極上に形成される、バイオセンサ。
  4. 請求項2に記載のバイオセンサにおいて、
    前記試薬層は、電子伝達体を含み、当該試薬層の試薬が試料液に溶解して拡散する拡散エリア内に電極が配置されるよう形成される、バイオセンサ。
  5. 請求項1に記載のバイオセンサにおいて、
    前記アミノ酸は、タウリンである、バイオセンサ。
  6. 請求項1に記載のバイオセンサにおいて、
    前記糖アルコールは、鎖状の多価アルコール、もしくは環式糖アルコール、あるいはそれらの置換体もしくは誘導体である、バイオセンサ。
  7. 請求項6に記載のバイオセンサにおいて、
    前記糖アルコールは、マルチトール、ラクチトールのいずれか、または両方である、バイオセンサ。
  8. 請求項1に記載のバイオセンサにおいて、
    前記可溶化蛋白質は、ウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ゼラチン、あるいはコラーゲンである、バイオセンサ。
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