JP5342319B2 - 屋根の断熱遮音構造 - Google Patents
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Description
従来、上記遮音および/または断熱手段としては、屋根材と下地材との間に合成樹脂発泡体シートや繊維シートを介在させる手段、屋根材と下地材とを制振性接着剤によって接着する手段、屋根材と下地材との間にアスファルトシートやゴムアスファルトシート等の弾性シートを介在せしめる手段等が提供されている。
一般に上記スペーサー2は熱可塑性樹脂シートに真空および/または圧空成形によって複数個の凹部を形成した構成を有する。
本発明の構成にあっては、上記スペーサー2の複数個の凹部2Aによって屋根板1と多孔質下地材3との間に空気層が設けられる。上記屋根板1から発生する雨音、風切り音等の騒音(音波)は上記スペーサー2の凹部2A内に侵入するが、上記音波は上記スペーサー2の各凹部2A周壁に反射することによってエネルギーを減衰せしめられる。上記エネルギーが減衰された音波は、上記多孔質下地材3に達し、該多孔質下地材3によって吸収される。
また本発明の構成にあっては、上記スペーサー2の複数個の凹部2Aによって屋根板1と多孔質下地材3との間に設けられた空気層がいわば断熱材となることによって、上記屋根板1と上記多孔質下地材3との間の熱伝導が断たれる。
更に上記多孔質下地材3は含有する空気によって断熱性、吸音性を有する。
したがって本発明の断熱遮音構造は優れた断熱遮音効果を有するので、厚みを薄くすることができ、したがって軽量化も実現できる。
本発明の屋根板1としては、主として鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、銅板、銅合金板等の周知の金属を材料とするが、例えばポリプロピレン板、ポリスチロール板、ポリ塩化ビニル板、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)板、ポリフェニレンエーテル(PPE)板等の硬質プラスチックを材料とするもの、木板、ハードボード、パーチクルボード等の木質板、石膏板、炭酸マグネシウム板、ケイ酸カルシウム板、アルミナ板、陶板等の無機質を材料とするものも本発明の屋根板の範疇に属する。また、これらの表面には防錆や意匠上から塗料が塗布されていてもよい。
本発明のスペーサー2は主として熱可塑性樹脂を材料とするものである。
本発明のスペーサー2に使用される熱可塑性樹脂としては、次に示す熱可塑性プラスチックが使用される。すなわち、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等である。また上記ポリプロピレンには、PEおよび/またはEPRによって変性したポリプロピレン(変性PP)を用いてもよい。また上記熱可塑性樹脂の二種以上を含むポリマーアロイまたはポリマーブレンドを使用してもよい。
あるいは熱可塑性樹脂として、トウモロコシやサトウキビ等の澱粉から得られるポリ乳酸を原料とした生分解性樹脂を使用してもよい。
は圧空成形性を考慮して、PPまたは変性PPであり、特に上記変性PPは望ましい真空および/または圧空成形性を有し、深絞り成形が容易な材料である。
上記変性PPにおいて、PEとしては密度が0.941以上の高密度PE、密度が0.926〜0.940の中密度PE、密度が0.910〜0.925の低密度PE、密度が0.909以下の超低密度PEの何れも使用可能であるが、PPとの混和性が良くかつ伸びの改良効果が大きい低密度PEの使用が好ましい。
上記EPRとしてはエチレンとプロピレンのゴム状共重合体(以下EPMと略す)、エチレン、プロピレン、更にジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等のジエン成分を共重合したエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(以下EPDMと略す)の何れもが使用される。
上記変性PPには、必要に応じ、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂の一種または二種以上が混合されてもよい。
上記変性PPは通常シート状にされるが、該変性PPシートの片面または両面には更にPE、無変性PP、EPR、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂の被膜または該熱可塑性樹脂の発泡体の被膜を形成してもよい。層間密着性、耐熱性の観点から無変性PPは望ましい被膜である。上記被膜は変性PPに特に無機充填材を添加混合した場合、芯材の表面の平滑性が確保されかつ耐薬品性も向上する。
該相溶化剤はポリマーアロイの各成分に親和性を有する化合物からなるので、各成分を仲介してポリマーアロイ中の各成分の混和状態を均一にする。従って各成分の特性が有効に発現し、耐熱性、成形性共に極めて良好な材料となり、真空成形等によって複雑形状の芯材が容易に製造されるようになる。
例えば、PPE、変性PPE、PPS等の芳香族系エンジニアリングプラスチックと、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリマーアロイ(ゴム状物質を含むポリマーアロイも含む)の相溶化剤としては、例えば、PPEとポリプロピレンとを化学結合で結合させたブロックまたはグラフト共重合体、ポリプロピレンとポリスチレンとのブロックまたはグラフト共重合体、PPEとエチレン−ブテン共重合体とのブロックまたはグラフト共重合体、アルケニル芳香族化合物(例えばスチレン)と共役ジエン(例えばブタジエン、イソプレン)とのジブロック共重合体またはトリブロック共重合体を水素添加したポリマー等が使用される。
また上記芳香族系エンジニアリングプラスチックとポリアミド系樹脂からなるポリマーアロイ(ゴム状物質を含むポリマーアロイも含む)の相溶化剤としては、例えば、(a)(i)エチレン性炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合及び;(ii)カルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、カルボン酸エステル、アミン又はヒドロキシル基;の両者を含む化合物;(b)液状ジエン重合体;(c)エポキシ化合物;(d)ポリカルボン酸又はそれらの誘導体;(e)酸化ポリオレフィンワックス;(f)アシル官能基含有化合物;(g)クロルエポキシトリアジン化合物;及び(h)マレイン酸又はフマル酸のトリアルキルアミン塩が例示される。
上記相溶化剤(a)〜(h)の詳細は特開平9−12497号公報に示されており、更に各相溶化剤(a)〜(h)は米国特許第4,315,086号明細書((a)、(b)および(c)に関する文献)、米国特許第4,873,286号明細書((d)に関する文献)、米国特許4,659,760号明細書((e)に関する文献)、米国特許第4,642,358号明細書および米国特許第4,600,741号明細書((f)に関する文献)、米国特許第4,895,945号明細書、米国特許第5,096,979号明細書、米国特許第5,089,566号明細書および5,041,504号明細書((g)に関する文献)、米国特許第4,755,566号明細書((h)に関する文献)で開示される。
上記相溶化剤は、ポリマーアロイに対して通常、0.1〜60質量%添加される。
通常上記熱可塑性樹脂シートの厚みは0.1〜0.8mmであることが好ましい。
図7に示す格子状の枠組みをしたスペーサー23を製造するには、射出成形を行なう他、図8に示すように例えば上記熱可塑性樹脂の短冊状の板23Cの一方の縁から切込み23Dを設け上記板23Cの相互を組合わせ、一方の板23Cの切込み23Dを上向きにし、他方の板23Cの切込み23Dを下向きにして双方の切込み23D、23D相互を嵌め合わせることによって格子状に組み立てる。
本発明の多孔質下地材3としては不織布、繊維編織物等の繊維シートあるいは繊維マット、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、エポキシ樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、尿素樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等の樹脂発泡体のうち通気性を有する樹脂発泡体、上記プラスチックのビーズの焼結体等が使用される。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m3/m2・s)である。なお通気抵抗R(Pa・s/m)は通気度C(m/Pa・s)とC=1/Rの関係にある。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
本発明の屋根の断熱遮音構造にあっては、上記スペーサー2の下側に通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材4を介して上記多孔質下地材3を配置する。
上記紙材4として望ましいものには、適度に叩解されたパルプ繊維を材料とするものがある。望ましい叩解度の範囲はJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲および/またはJIS P 8121−1995の5.ショッパーろ水度試験方法に規定されるショッパーろ水度で15°SR〜30°SRの範囲であり、該繊維の目付量は15〜40g/m2の範囲である。
上記紙材4にはクレープ加工および/またはエンボス加工が施されてもよい。上記紙材4にクレープ加工および/またはエンボス加工が施されていると、紙材4が伸び易くなって成形性が向上する。
望ましいクレープ率は10〜50%、望ましいエンボス加工は突起高さ0.02〜2.00mmでかつ突起数が20〜200個/cm2の範囲である。
上記多孔質下地材3および/または上記紙材4には剛性付与、通気抵抗調節の目的で合成樹脂が塗布または含浸されてもよい。上記合成樹脂としては熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂が使用される。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また多孔質下地材3の熱可塑性を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。
該熱可塑性樹脂は取扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
本発明で使用される樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
上記合成樹脂、特に熱硬化性樹脂の添加は、上記多孔質下地材3の成形形状保持性と剛性とを共に向上せしめる。
上記合成樹脂を多孔質下地材3または上記紙材4に塗布または含浸した後は、常温あるいは加熱乾燥を行なう。
本発明の断熱遮音構造10は基本的には、図9に示すように、上記スペーサー2(21,22,23)と、該スペーサー2(21,22,23)の下側に接着される多孔質下地材3とからなる。
上記通気性接着剤層は、例えば粉末状ホットメルト接着剤の散布層、くもの巣状ホットメルト接着剤層、あるいは溶液状、エマルジョン状のホットメルト接着剤や通常の接着剤を斑点状、縞状等に塗布した不連続接着剤塗布層等である。
屋根板1とスペーサー2(21,22,23)との間に多孔質シート(マット)5を充填する場合には、接着剤は必ずしも必要ではないが、該多孔質シート(マット)5を屋根板および/またはスペーサー2(21,22,23,24)に接着剤を使用して接着してもよい。
図9に示す断熱遮音構造10において、1は例えば軒先、自動車等の屋根板であり、該屋根板1の下側には若干の隙間Sを介してスペーサー2(21,22,23)が配置され、該スペーサー2(21,22,23)の下側には多孔質下地材3が配置されている。
上記多孔質下地材3としては、例えばポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等の樹脂発泡体、繊維マット等が使用される。そしてスペーサー2(21,22,23)の下側には紙材4を接着して試料1とする。
図11に示す断熱遮音構造12にあっては、図9に示す実施例1の断熱遮音構造10において紙材4を省略したものであり、これを比較試料1とした。
図10に示す断熱遮音構造11にあっては、図9に示す実施例1の断熱遮音構造10において、屋根板1とスペーサー2(21,22,23)との間に樹脂発泡体、繊維マット等の多孔質シート(マット)5を充填する。
紙材4として、下記の三種類の紙材4A,4B,4Cを作製した。
即ち、針葉樹パルプ90質量%、広葉樹パルプ10質量%の配合からなるパルプ繊維原料をディスクリファイナーにより叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準ろ水度およびショッパーろ水度がそれぞれ600ml(CSF)、16°SR(4A)と、450ml(CSF)、24°SR(4B)および400ml(CSF)、28°SR(4C)であるパルプ繊維原料を製造した。各パルプ繊維を使用して、各々の目付量が18g/m2になるように抄紙して紙材4A,紙材4B,紙材4Cを作製した。
紙材4として、下記のクレープ紙4D,4Eを作製した。
即ち針葉樹パルプ70質量%、広葉樹パルプ30質量%からなる原料パルプをディスクリファイナーによりカナダ標準ろ水度430ml(CSF)およびショッパーろ水度26°SRになるまで叩解したパルプ繊維原料を抄紙後、得られた原紙を通常のヤンキードライヤー方式により乾燥して、目付量26g/m2でクレープ率が20%(4D)および40%(4E)のクレープ紙である紙材4D,4Eを作製した。
試料として、図9に示す構造、および比較試料1として図11に示す構造のものを選択する。
図9に示す試料1では、屋根板1として厚さ1.0mmの鋼板を使用し、スペーサー2としては図1に示す構造の厚さ0.4mmのポリプロピレンシートの真空成形品を使用し、厚さTは6.0mm、貫通角筒状体2Aであるマス目の一辺の長さLは12.0mm、隣り合うマス目の間隔は10.0mmに設定した。また多孔質下地材3としては、融点が150℃の低融点ポリエステル繊維が30質量%混合されたポリエステル繊維からなり厚さ5.0mm、目付量600g/m2、通気抵抗0.08kPa・s/mの繊維シートを選択した。紙材4としては、実施例3の紙材4Bを選択した。上記多孔質下地材3と紙材4との接着は、粉末状ポリアミド系ホットメルト接着剤(平均粒径:300μm、融点:145℃)を5g/m 2 の塗布量で散布した通気性接着剤層によって行なった。スペーサー2と多孔質下地材3とは、融着により部分的に四隅および中央部を接着させた。
更に比較試料2として屋根板1の下側に融点が150℃の低融点ポリエステル繊維が30質量%混合されたポリエステル繊維からなり厚さ20.0mm、目付量1500g/m2である多孔質マットを配置した構成のものを選択し、比較試料3として比較試料2と同じポリエステル繊維からなり、厚さが12.0mm、目付量1000g/m2である多孔質マットを配置した構成のものを選択し、比較試料4として断熱遮音材を用いず屋根板1のみの構成のものを選択した。
以下の試験方法により、試料1、比較試料1、比較試料2、比較試料3、比較試料4について断熱遮音テストを行なった。
得られた各試料を、一辺500mmの正方形に切り取り、図13に示すように縦横が500mm、高さが200mmのスレート板からなる箱型形状の上部に上記各試料を取付け、上記各試料の屋根板1の上部から赤外線ランプにて80℃の温度に加熱し、箱型形状内部の温度上昇を測定した。なお外気温度は23℃とした。試験結果を表1に示す。
得られた各試料を、一辺500mmの正方形に切り取り、20度の勾配からなる傾斜がつくように台座に取付け、屋根板1の中央部に高さ500mmから1分間に100ccの水滴を落下させ、その際に発生した屋根板1の100mm直下での騒音を騒音計を用いて測定温度23℃で測定した。また水滴を落下させない状態での室内雰囲気の騒音も測定した。試験結果を表2に示す。
2,21,22,23 スペーサー
2A,21A,22A,23A 凹部
3 多孔質下地材
4 紙材
5 多孔質シートまたは多孔質マット
10,11 断熱遮音構造
Claims (3)
- 屋根板の下側に複数個の凹部を設けたスペーサーを配し、該スペーサーの下側に通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材を介して多孔質下地材を配置したことを特徴とする屋根の断熱遮音構造。
- 屋根板と複数個の凹部を設けたスペーサーとの間に多孔質シートまたは多孔質マットを充填し、該スペーサーの下側に通気抵抗が0.06〜3.0kPa・s/mの紙材を介して多孔質下地材を配置したことを特徴とする屋根の断熱遮音構造。
- 上記スペーサーは熱可塑性樹脂シートに真空および/または圧空成形によって複数個の凹部を形成した構成を有する請求項1又は請求項2に記載の屋根の断熱遮音構造。
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