JP5338569B2 - 化合物半導体の製造方法および積層半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents
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しかし、例えば、サファイア基板上にIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させる場合、波長7.5μmの赤外線は、サファイア基板を透過しないものの、III族窒化物半導体層は透過してしまう。このため、III族窒化物半導体層の表面温度が正確に測定できないという問題がある。また、III族窒化物半導体層の表面温度が正確に測定できないと、積層半導体ウェーハの歩留まりが低下するという問題がある。
本発明は、有機金属気相成長法を用いた化合物半導体の製造において、基板上に積層される化合物半導体の層の表面温度を正確に測定することを目的とする。
(1)被形成体の被形成面に化合物半導体の層を形成する化合物半導体の製造方法であって、被形成体及び化合物半導体を透過しない波長領域の赤外光を用いて化合物半導体の温度を測定しつつ、且つ、被形成体の被形成面に化合物半導体の層をエピタキシャル成長させることを特徴とする化合物半導体の製造方法。
(2)赤外光の波長領域が、8μm〜16μmであることを特徴とする前記(1)に記載の化合物半導体の製造方法。
(3)有機金属気相成長法を用いて被形成体の被形成面に化合物半導体の層を形成することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の化合物半導体の製造方法。
(4)保持体に、被形成面が外側を向くように被形成体を載置する工程と、被形成体を載置した保持体を反応容器内に設置する工程と、保持体を設置した反応容器内に化合物半導体の原料ガスを供給する工程と、を有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法。
(5)被形成体を700℃以上1200℃以下に加熱することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法。
(6)化合物半導体が、III族窒化物半導体であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法。
(7)有機金属気相成長法を用いた化合物半導体の製造方法であって、サファイア基板を載置した保持体を反応容器内に設置し、反応容器内に設置した保持体を加熱して、且つ、反応容器内に供給された化合物半導体の原料ガスを反応させて、サファイア基板の表面に化合物半導体をエピタキシャル成長させ、且つ、放射温度計により波長領域8μm〜14μmの赤外光を用いて化合物半導体の表面温度を測定することを特徴とする化合物半導体の製造方法。
(8)化合物半導体が、III族窒化物半導体であることを特徴とする前記(7)に記載の化合物半導体の製造方法。
図1は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置1の断面構成を示す図である。図2は、図1に示すMOCVD装置1のII−II断面図である。
MOCVD装置1は、III族窒化物半導体の結晶をエピタキシャル成長させるための基板110(後述する図4参照)や、さらにその上に、予め任意の組成の化合物半導体層を少なくとも1層形成してなる化合物半導体基板(一例として、後述する化合物半導体基板40も挙げられ、本明細書ではこれらを被形成体ともいう)を任意に選ぶことができる。例えば、化合物半導体基板40を用いる場合には、その結晶成長面が上方を向くように配置し、且つ、エピタキシャル成長を行わせる結晶の原料となる原料ガスを、化合物半導体基板40の上方から供給する、所謂、縦型の構成を有している。
収容部11の底面には、反応室内に供給された原料ガスを反応室の外部に排出するための複数の排気管が貫通形成されている。収容部11の底面中央部には、後述する軸21を通すための貫通孔が形成されている。
図3は、上述したMOCVD装置1で使用される基板保持体30の構成を説明するための図である。図3(a)は、図1および図2に示す基板保持体30を蓋部12側(上方側)からみた図である。図3(b)は、図3(a)のIIIB−IIIB断面を示す図である。図3は、基板保持体30から化合物半導体基板40を取り外した状態を示している。
本実施の形態では、MOCVD装置1を用いて基板110上に予め任意の組成の化合物半導体層を形成した化合物半導体基板40上に、さらにIII族窒化物半導体層を形成する。原料としては、III族の元素を含む有機金属と窒素を含むアンモニアNH3とを使用する。有機金属は主として液体原料であるため、液体状の有機金属に窒素N2および水素H2にてバブリングを行い、得られた窒素N2、水素H2および有機金属を混合させてなる有機金属ガスMOを原料ガスとして供給する。本実施の形態では、供給管13より有機金属ガスMOおよびアンモニアNH3の供給を行う。
n型のドーパントの原料としては、例えば、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)等のシラン化合物;ゲルマンガス(GeH4)、テトラメチルゲルマニウム((CH3)4Ge)、テトラエチルゲルマニウム((C2H5)4Ge)等のゲルマニウム化合物が挙げられる。
p型のドーパントの原料としては、例えば、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)、ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)等の有機マグネシウム化合物が挙げられる。
また、アンモニアに代えて、ヒドラジン(N2H4)を用いることもできる。なお、上述した有機金属MO以外にも、他のIII属元素を含有させた構成とすることができ、必要に応じてGe、Si、Mg、Ca、Zn、Be等のドーパントを含有させることができる。さらに、意図的に添加した元素に限らず、成膜条件等に依存して必然的に含まれる不純物、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含む場合もある。
図4は、MOCVD装置1を用いて製造される積層半導体ウェーハSWの一例の断面図を示している。積層半導体ウェーハSWを構成する化合物半導体としては、特に限定されるものではなく、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体、IV−IV族化合物半導体等が挙げられる。本実施の形態では、III−V族化合物半導体が好ましく、III族窒化物半導体がより好ましい。以下、III族窒化物半導体を有する積層半導体ウェーハSWを例に挙げて説明する。
基板110は、III族窒化物半導体とは異なる材料から構成され、基板110上にIII族窒化物半導体結晶がエピタキシャル成長される。基板110を構成する材料としては、例えば、サファイア、炭化珪素(シリコンカーバイド:SiC)、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、サファイア、炭化珪素が好ましい。本実施の形態では、基板110としてサファイアを用いている。
基板110はIII族窒化物半導体とは異なる材料から構成されるため、バッファ機能を発揮する中間層120を基板110上に設けておくことが好ましい。単結晶構造を有する中間層120を基板110上に成膜した場合、中間層120のバッファ機能が有効に作用し、中間層120上に成膜される下地層130と化合物半導体層100とは、良好な結晶性を持つ結晶膜となる。中間層120は、Alを含有することが好ましく、III族窒化物半導体であるAlNを含むことが特に好ましい。
下地層130に用いる材料としては、Gaを含むIII族窒化物半導体(GaN系化合物半導体)が用いられる。特に、AlGaN、GaNが好ましい。下地層130の膜厚は0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。但し、通常、10μm以下である。
n型半導体層140は、n型コンタクト層140aおよびn型クラッド層140bから構成される。n型コンタクト層140aとしては、下地層130と同様にGaN系化合物半導体が用いられる。下地層130およびn型コンタクト層140aを構成する窒化ガリウム系化合物半導体は同一組成であることが好ましく、これらの合計の膜厚を0.1μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜15μm、さらに好ましくは1μm〜12μmの範囲に設定することが好ましい。
発光層150は、窒化ガリウム系化合物半導体からなる障壁層150aと、インジウムを含有する窒化ガリウム系化合物半導体からなる井戸層150bとが交互に繰り返して積層され、且つ、n型半導体層140側及びp型半導体層160側にそれぞれ障壁層150aが配される順で積層して形成される。本実施の形態において、発光層150は、6層の障壁層150aと5層の井戸層150bとが交互に繰り返して積層され、発光層150の最上層及び最下層に障壁層150aが配され、各障壁層150a間に井戸層150bが配される構成となっている。
p型半導体層160は、p型クラッド層160aおよびp型コンタクト層160bから構成される。p型クラッド層160aとしては、好ましくは、AldGa1−dN(0<d≦0.4)のものが挙げられる。p型クラッド層160aの膜厚は、好ましくは1nm〜400nmであり、より好ましくは5nm〜100nmである。
p型コンタクト層160bとしては、AleGa1−eN(0≦e<0.5)を含んでなる窒化ガリウム系化合物半導体層が挙げられる。p型コンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、10nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm〜200nmである。
発光素子チップLCにおいては、p型半導体層160のp型コンタクト層160b上に透明正極170が積層され、さらにその上に正極ボンディングパッド180が形成されるとともに、n型半導体層140のn型コンタクト層140aに形成された露出領域140cに負極ボンディングパッド190が積層されている。
透明正極170を構成する材料としては、例えば、ITO(In2O3−SnO2)、AZO(ZnO−Al2O3)、IZO(In2O3−ZnO)、GZO(ZnO−Ga2O3)等の従来公知の材料が挙げられる。透明正極170の構造は特に限定されず、従来公知の構造を採用することができる。透明正極170は、p型半導体層160上のほぼ全面を覆うように形成しても良く、格子状や樹形状に形成しても良い。
透明正極170上に形成される電極としての正極ボンディングパッド180は、例えば、従来公知のAu、Al、Ti、V、Cr、Mn、Co、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Ta、Ni、Cu等の材料から構成される。正極ボンディングパッド180の構造は特に限定されず、従来公知の構造を採用することができる。正極ボンディングパッド180の厚さは、例えば100nm〜2000nmの範囲内であり、好ましくは300nm〜1000nmの範囲内である。
負極ボンディングパッド190は、基板110上に成膜された中間層120および下地層130の上にさらに成膜された化合物半導体層100(n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160)において、n型半導体層140のn型コンタクト層140aに接するように形成される。負極ボンディングパッド190を形成する際は、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部を除去し、n型コンタクト層140aの露出領域140cを形成し、この上に負極ボンディングパッド190を形成する。負極ボンディングパッド190の材料としては、正極ボンディングパッド180と同じ組成・構造でもよく、各種組成および構造の負極が周知であり、これら周知の負極を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
化合物半導体基板40を出発材料とする積層半導体ウェーハSWは、MOCVD装置1を用いて以下の手順に従い製造される。
初めに、6枚の基板保持体30の凹部30bに、それぞれ1枚ずつ化合物半導体基板40を載置し、下地層130を外部に露出させる。続いて、6枚の基板保持体30をMOCVD装置1の支持体20に設けられた6個の凹部に設置する。その後、保護部材60が取り付けられた蓋部12を閉じて収容部11と蓋部12とを密着させる。
次に、ガス供給口を介して支持体20の各凹部の底部に向けて窒素N2の供給を開始させ、軸21の回転を開始させる。これに伴い、支持体20は矢印A方向に回転し、支持体20に取り付けられた6個の基板保持体30は矢印B方向に回転する。
また、加熱部50のコイルに対する給電が開始され、加熱部50に流れる電流により、支持体20が電磁誘導加熱され、支持体20に保持される6個の基板保持体30および各基板保持体30に保持される化合物半導体基板40が所定の温度に加熱される。
化合物半導体基板40は、700℃〜1200℃の範囲に加熱される。また、化合物半導体基板40の温度は、それぞれの結晶成長に適した値に調整される。
本実施の形態では、化合物半導体基板40上に積層される化合物半導体層100(n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160)の温度を、放射温度計90aを用いて測定している。
尚、本発明は上記に限定されるものではなく、上記化合物半導体基板40上にn型コンタクト層140aを積層したものを基板として使用することもできる。また、下地層130を形成する際にも、本発明の放射温度計90aを適用することができる。
波長領域が過度に小さい赤外光を用いると、化合物半導体基板40に用いたサファイア製の基板110の吸収と、化合物半導体層100のIII族窒化物半導体の吸収が生じ、化合物半導体層100の温度測定が困難になる傾向がある。また、波長領域が過度に大きい赤外光を用いると、測定感度が低下する傾向がある。
上述したような製膜プロセスが終了すると、支持体20から基板保持体30が取り出され、さらに基板保持体30から積層半導体ウェーハSWが取り外される。そして、積層半導体ウェーハSWのp型半導体層160上に透明正極170を積層し、その上に正極ボンディングパッド180を形成する。また、エッチング等を用いてn型コンタクト層140aに露出領域140cを形成し、この露出領域140cに負極ボンディングパッド190を設ける。その後、基板110の中間層120の形成面とは反対の面を、所定の厚さになるまで研削及び研磨する。そして、基板110の厚さが調整されたウェーハを、例えば350μm角の正方形に切断することにより、発光素子チップLCを得る。
(実施例1,比較例1)
履歴の異なる6枚の基板を用い、基板中央部に成長させる発光層の温度を一致させる成長を、実施例として、開発温度計(開発パイロメータ:波長8μm〜14μm)用いて行った。また、比較例として、従来型放射温度計(従来パイロメータ:波長0.95μm)を用い、基板中央部に成長させる発光層の温度を一致させる成長を行った。
図7は、開発パイロメータを用いた場合の、ウェーハ中央部の発光層成長時の温度と、ウェーハ中央部から作製したLEDチップの発光波長(nm)と、の関係を示すグラフである。
図8は、従来パイロメータを用いた場合の、ウェーハ中央部の発光層成長時の温度と、ウェーハ中央部から作製したLEDチップの発光波長(nm)と、の関係を示すグラフである。
一方、図8に示す結果(比較例)から、従来型放射温度計(従来パイロメータ:波長0.95μm)で温度を合わせた場合(△)、ウェーハ中央部から作製したLEDチップの発光波長(nm)は、最大−最小で10nm程のバラツキとなることが分かる。これは、一般に、発光層におけるInGaN層のIn濃度は、成長温度が高くなると下がり、発光波長が短くなる傾向がある。従来パイロメータで温度を一致させた場合(△)に、発光波長にバラツキが観測された原因としては、個々の基板の反り、ホルダの形状の違いにより、ホルダの温度と基板の表面温度がウェーハ毎に異なることによると考えられる。
開発パイロメータを用いる場合、ウェーハ中央部の温度(化合物半導体温度)を735.5±1℃でコントロールした。従来パイロメータを用いる場合、ウェーハ中央部の温度(実際には、基板保持体30の温度)を740±1℃でコントロールした。ウェーハ単位の波長合格率は、ウェーハ中央部から作成したLED素子の発光波長がウェーハ単位での合格範囲450±3nmに入る割合として求めた。
その結果、開発パイロメータを用いると、ウェーハ単位の波長合格率は98.5%であった。一方、従来パイロメータを用いると、ウェーハ単位の波長合格率は79.8%に留まった。これにより、開発パイロメータを用いることにより、ウェーハ単位の波長合格率が改善されることが分かる。
尚、実験中、予め定めた温度にコントロールされているにも拘わらず、波長が連続して短波長側または長波長側にずれる場合は、原料ガス中のIn濃度を適宜調整した。
Claims (4)
- 被形成体の被形成面に化合物半導体の層を形成する化合物半導体の製造方法であって、
サファイア基板上にAlを含むIII族窒化物半導体からなる中間層とGaを含むIII族窒化物半導体からなる下地層を順に積層した化合物半導体基板からなる前記被形成体の当該サファイア基板及びIII族窒化物半導体からなる前記化合物半導体を透過しない波長領域11μm〜14μmである赤外光を用いて当該化合物半導体の温度を測定しつつ、且つ、有機金属気相成長法を用いて当該被形成体の前記下地層からなる前記被形成面に当該化合物半導体の結晶からなる層をエピタキシャル成長させる
ことを特徴とする化合物半導体の製造方法。 - 保持体に、前記被形成面が外側を向くように前記被形成体を載置する工程と、当該被形成体を載置した当該保持体を反応容器内に設置する工程と、当該保持体を設置した当該反応容器内に前記化合物半導体の原料ガスを供給する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体の製造方法。
- 前記被形成体を700℃以上1200℃以下に加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体の製造方法。
- 有機金属気相成長法を用いた積層半導体ウェーハの製造方法であって、
サファイア基板上にAlを含むIII族窒化物半導体からなる中間層とGaを含むIII族窒化物半導体からなる下地層を順に積層した化合物半導体基板を、当該下地層が外部に露出するように載置した保持体を反応容器内に設置し、
前記反応容器内に設置した前記保持体を加熱して、且つ、当該反応容器内に供給されたIII族窒化物半導体からなる化合物半導体の原料ガスを反応させて、前記化合物半導体基板の前記下地層の表面に当該化合物半導体の結晶をエピタキシャル成長させ、且つ、放射温度計により波長領域11μm〜14μmの赤外光を用いて当該化合物半導体基板上に積層される化合物半導体層の表面温度を測定する
ことを特徴とする積層半導体ウェーハの製造方法。
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