JP5338565B2 - インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、3相負荷への電力供給を制御するインバータ装置に関し、特に、電力供給を制御するスイッチ素子での電力損失を制御する技術に関する。
3相負荷への電力供給を制御するインバータ装置では、3相負荷の各相毎に所定の直流電源に対して互いに直列接続された2個のスイッチ素子が設けられ、前記2個のスイッチ素子の間の電圧がそれぞれ、前記2個のスイッチ素子が対応する前記相に応じて3相負荷に印加される。その際、前記2個のスイッチ素子は、同時に両方がオンにされない。尚、各相毎の2個のスイッチ素子のうち、直流電源の陽極側に接続されたものは上アーム素子と呼ばれ、直流電源の陰極側に接続されたものは下アーム素子と呼ばれる。
この様なインバータ装置の変調方式には、3相変調と2相変調とがある。3相変調では、3相全ての上アーム素子のみをオンにする期間と、3相全ての下アーム素子のみをオンにする期間とが存在し、いずれの期間においてもインバータ装置の3相出力同士が同電位であるという点で等価である変調方式である。また2相変調は、3相のうちの1相の各スイッチ素子のオンオフ状態を固定し、残りの2相の各スイッチ素子のオンオフを制御する変調方式である。
この様な技術に関する先行技術文献として特許文献1がある。
特開2007−74858号公報
この様な変調方式では、特定のスイッチ素子に電力損失(より詳細には導通損失、以下同様)が偏る場合がある。例えば、3相負荷の低周波動作では、特定のスイッチ素子でのみ、大きな電力損失が発生して熱破壊が起こる可能性がある。これを防止するには、スイッチ素子の電力損失許容量を増大する必要があり、コスト増になるという問題がある。
また3相負荷の低周波動作では、各スイッチ素子において、同じオンオフ状態が継続する期間が長くなる。そのため、電力損失の大きなスイッチ素子は、温度が上昇して熱破壊に至る可能性があるという問題がある。これに対し、3相負荷の高周波動作では、各スイッチ素子のオンオフ状態は短時間で周期的に変化するので、電力損失が分散し、特定のスイッチ素子でのみ、温度が上昇することは殆ど無い。
またこの様なインバータ装置が例えば冷媒などを圧縮する圧縮機のモータの制御に使用された場合は、モータの低速回転では、圧縮機の負荷脈動により騒音および振動が発生するため、その負荷脈動に応じて電流を脈動させることで、騒音および振動を抑える制御が行われている。
しかしこの様な制御では、特定相の電流ピークが大きくなる。このため、特定相のスイッチ素子は、他の相のスイッチ素子と比べて電力損失が大きくなって温度が上昇し、熱破壊に至る可能性がある。これを防止するには、特定相のスイッチ素子の電力損失許容量を増大するか、または電流脈動を小さくする必要があるが、前者の場合はコスト増になるという問題があり、後者の場合は制振性が低下するという問題がある。
また各スイッチ素子の特性が異なる場合に、それらの特性の違いによるメリットが十分に発揮されていないという問題がある。例えば、各スイッチ素子の電力損失許容量が同じ場合において、各スイッチ素子の電力損失が電流の大きさに応じて変化する場合は、3相負荷に供給する電流の大きさに応じて、電力損失の小さいスイッチ素子のオン期間が長くなる様に、各スイッチ素子を制御する事が望ましい。また各スイッチ素子の電力損失許容量が異なる場合(例えば、各スイッチ素子が異なる構造のデバイス(MOSFET,IGBTなど)である場合、または各スイッチ素子が異なる材質(Si,SiC,GaNなど)のデバイスである場合、または各スイッチ素子がチップサイズの異なるデバイスである場合)においては、電力損失許容量に対する電力損失の割合が小さいスイッチ素子ほど、スイッチ素子のオン期間が長くなる様に、各スイッチ素子を制御する事が望ましい。これにより、各スイッチ素子の熱破壊を防止できる。
この発明の課題は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、各スイッチ素子の電力損失許容量を増大する事無く、各スイッチ素子の熱破壊を防止できるインバータ装置を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明の第1の態様は、負荷(10)を駆動制御するインバータ装置であって、所定の直流電源(12)の電力を所定の出力方式の電力に変換して前記負荷に供給する複数のスイッチ素子(Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snw)を有するインバータ回路(14)と、前記複数のスイッチ素子をオンオフ制御して前記負荷を駆動制御する制御回路(16)と、を備え、前記各スイッチ素子における一定周期(T)の電力損失(Ppu,Ppv,Ppw,Pnu,Pnv,Pnw)と、そのスイッチ素子の電力損失許容量に反比例する補正係数(kpu,kpv,kpw,knu,knv,knw)の積を電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw,P’nu,P’nv,P’nw)とし、前記制御回路(16)は、前記一定周期において、前記各スイッチ素子の前記電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に、前記各スイッチ素子をオンオフ制御するものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のインバータ装置であって、前記インバータ回路(14)は、前記負荷の各相(U,V,W)毎に前記所定の直流電源(12)に対して互いに直列接続された2個の前記スイッチ素子(Spu,Snu;Spv,Snv;Spw,Snw)を有し、前記各相毎の前記各スイッチ素子の間の電圧をそれぞれ前記各相に印加し、前記2個のスイッチ素子のうち、前記所定の直流電源の陽極側に接続されたもの(Spu,Spv,Spw)を上アーム素子とし、前記所定の直流電源の陰極側に接続されたもの(Snu,Snv,Snw)を下アーム素子とし、前記制御回路(16)は、前記一定周期において、前記各相の前記各スイッチ素子の前記電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に、前記各相の全ての前記下アーム素子のみがオンになる第1期間(t0)と、前記各相の全ての前記上アーム素子のみがオンになる第2期間(t7)との和(tz)を一定に保って前記第1期間と前記第2期間との比を調整するものである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載のインバータ装置であって、前記各スイッチ素子はそれぞれ、トランジスタ(T)と、前記トランジスタの主電極間に逆方向接続されたダイオード(D)とを有し、前記補正係数(kpu,kpv,kpw,knu,knv,knw)は、前記トランジスタに関する第1補正係数(kpu_t,kpv_t,kpw_t,knu_t,knv_t,knw_t)と前記ダイオードに関する第2補正係数(kpu_d,kpv_d,kpw_d,knu_d,knv_d,knw_d)とに分けられ、前記第1補正係数は、前記トランジスタの電力損失(Ppu_t,Ppv_t,Ppw_t,Pnu_t,Pnv_t,Pnw_t)に掛けられ、前記第2補正係数は、前記ダイオードの電力損失(Ppu_d,Ppv_d,Ppw_d,Pnu_d,Pnv_d,Pnw_d)に掛けられるものである。
本発明の第4の態様は、第1または第2の態様に記載のインバータ装置であって、前記補正係数は、前記スイッチ素子の電力損失の絶対最大定格の逆数であるものである。
本発明の第5の態様は、第3の態様に記載のインバータ装置であって、前記第1補正係数は、前記トランジスタの電力損失の絶対最大定格の逆数であり、前記第2補正係数は、前記ダイオードの電力損失の絶対最大定格の逆数であるものである。
本発明の第6の態様は、第2〜第5の態様の何れかに記載のインバータ装置であって、前記制御回路(16)は、(a)前記第1期間(t0)がゼロである場合の全ての前記上アーム素子(Spu,Spv,Spw)の前記電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw)のうちの最大のものを与える第1の相(X)を前記各相(U,V,W)の中から特定すると共に、前記第1期間(t0)が前記和(tz)に等しい場合の全ての前記下アーム素子(Snu,Snv,Snw)の前記電力損失許容度(P’nu,P’nv,P’nw)のうちの最大のものを与える第2の相(Y)を前記各相の中から特定し(S1)、(b)前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と前記第2の相(Y)の前記下アーム素子(Sny)の前記電力損失許容度(P’ny)とが平衡状態になるときの前記第1期間(tb)および前記電力損失許容度(P’b)を求め(S2)、(c)前記第1期間(t0)が前記平衡状態になるときの前記第1期間(tb)に等しい場合の全ての前記スイッチ素子(Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snw)の前記電力損失許許容度(P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nw)の中から最大の電力損失許容度(P’m)を特定し(S3)、(d)前記平衡状態のときの前記電力損失許容度(P’b)と前記最大の電力損失許容度(P’m)とが等しい場合(S5)において、前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)がゼロ以上で前記和(tz)以下である場合(S3)は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)から求まる前記比に調整する(S8)ものである。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載のインバータ装置であって、前記制御回路(16)は、(e)前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)がゼロよりも小さいかまたは前記和よりも大きい場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記第1期間(t0)がゼロの場合の前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と、前記第1期間(t0)が前記和(tz)に等しい場合の前記第2の相(Y)の前記下アーム素子(Sny)の前記電力損失許容度(P’ny)とのうちの小さい方の当該第1期間から求まる前記比に調整する(S7)ものである。
本発明の第8の態様は、第6の態様に記載のインバータ装置であって、前記制御回路(16)は、(f)前記平衡状態のときの前記電力損失許容度(P’b)と前記最大の電力損失許容度(P’m)とが等しくない場合において、前記最大の電力損失許容度(P’m)が前記各上アーム素子(Spu,Spv,Spw)の何れかの前記電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw)である場合は、前記最大の電力損失許容度に対応する相を前記第1の相(X)に設定して、前記(a)以降の処理を行い、他方、前記最大の電力損失許容度(P’m)が前記各下アーム素子(Snu,Snv,Snw)の何れかの前記電力損失許容度(P’nu,P’nv,P’nw)である場合は、前記最大の電力損失許容度に対応する相を前記第2の相(Y)に設定して、前記(b)以降の処理を行う(S6)ものである。
本発明の第9の態様は、第2〜第5の態様の何れかに記載のインバータ装置であって、前記各相(U,V,W)に流れる各電流(Iu,Iv,Iw)を検出する電流検出センサ(17u,17v,17w)を更に備え、前記制御回路(16)は、(a)前記各電流検出センサの検出結果に基づき、前記各相の中から、前記各相に流れる前記電流のうちの電流絶対値の最大のものが流れる第1の相(X)を特定し(U1)、(b)前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)と前記下アーム素子(Snx)の各々の前記電力損失許容度(P’px,P’nx)が平衡状態になるときの前記第1時間(tb)を求め、(c)前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)がゼロ以上で前記和(tz)以下である場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)から求まる前記比に調整する(U4)ものである。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載のインバータ装置であって、(d)前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)がゼロよりも小さいかまたは前記和(tz)よりも大きい場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記第1期間(t0)がゼロの場合の前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と、前記第1期間(t0)が前記和に等しい場合の前記第1の相の前記下アーム素子(Snx)の前記電力損失許容度(P’nx)とのうちの小さい方の当該第1期間から求まる前記比に調整する(U5)ものである。
本発明の第11の態様は、第2〜第10の態様の何れかのインバータ装置であって、前記制御回路は、前記一定期間(T)毎に、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)の比を調整するものである。
本発明の第1の態様によれば、電力損失許容度の大きいスイッチ素子での電力損失を低減でき、スイッチ素子が熱破壊する事を防止できる。これにより、各スイッチ素子の電力損失許容量を増大させる事無く、各スイッチ素子の熱破壊を防止できる。
本発明の第2の態様によれば、第1期間(t0)と第2期間(t7)との和(tz)を一定に保って第1期間と第2期間の比を調整するので、負荷(10)の制御に影響を与えること無く、各スイッチ素子の熱破壊を防止できる。
本発明の第3の態様によれば、トランジスタとダイオードの各々の電力損失許容度を個別に考慮できる。
本発明の第4および第5の態様によれば、既存の特性値である電力損失の絶対最大定格を利用して補正係数を簡単に設定できる。
本発明の第6の態様によれば、簡単な手法で、各相の各スイッチ素子の電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に第1および第2期間の比を求める事ができる。
本発明の第7の態様によれば、平衡状態のときの第1期間がゼロよりも小さいかまたは第1および第2期間の和よりも大きい場合において、簡単な手法で、各相の各スイッチ素子の電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に第1および第2期間の比を求める事ができる。
本発明の第8の態様によれば、各相の各スイッチ素子の電力損失許容度のうちの最大のものを適切に特定できる。
本発明の第9の態様によれば、各相に流れる電流のうちの電流絶対値の最大のものが流れる相のみに着目するので、第5の態様の場合と比べて計算量の少ない手法で、各相の各スイッチ素子の電力損失許容度のうちの最大のものが小さくなる様に第1および第2期間の比を求める事ができる。
本発明の第10の態様によれば、平衡状態のときの第1期間がゼロよりも小さいかまたは第1および第2期間の和よりも大きい場合において、計算量の少ない手法で、各相の各スイッチ素子の電力損失許容度のうちの最大のものが小さくなる様に第1および第2期間の比を求める事ができる。
本発明の第11の態様によれば、一定周期毎に第1および第2期間の比を更新できる。
第1実施形態に係るインバータ装置1の構成概略図である。 各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwのオンオフ状態の組み合わせを示した図である。 空間電圧ベクトル図Sを示した図である。 オンオフパターンP1の一例図である。 tbが0≦tb≦tzを満たす場合の各電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのグラフ化の一例図である。 第1実施形態に係るインバータ装置の動作を説明するフローチャートである。 tbがtb>tzの場合の各電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのグラフ化の一例図である。 t0=0およびtzの場合の各スイッチ素子の電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwの計算式を示したものである。 第2実施形態に係るインバータ装置1Bの構成概略図である。 デバイスDV1,DV2の各々の電流I−電圧Vの特性を示した図である。 デバイスDV3,DV4の各々のオン抵抗R−デバイス温度Kの特性を示した図である。 第2実施形態に係るインバータ装置1Bの動作を説明するフローチャートである。
<第1実施形態>
この実施形態に係るインバータ装置1は、図1の様に、負荷(例えば3相負荷)10と、直流電源12と、直流電源12の直流電力を所定の出力方式の電力(例えば3相交流電力)に変換して3相負荷10の各相U,V,Wに供給するインバータ回路14と、インバータ回路14を制御する制御回路16とを備えている。
3相負荷10は、例えば3相モータであり、その回転位置を検出する位置検出センサ(例えばホールセンサ)Hu,Hv,Hwを備えている。尚、この実施形態では、位置検出センサを用いて3相負荷10の回転位置を検出するが、位置検出センサを用いずに、電流または電圧などの検出値に基づき3相負荷10の回転位置を検出してもよい。
直流電源12は、図1の様に、例えば、交流電源12aと、交流電源12aの交流電力を直流電力に変換する平滑回路12bとを備えている。
平滑回路12bは、ブリッジ整流回路を構成する4個のダイオードD1〜D4と、コイルLと、コンデンサCとを備えている。各ダイオードD1,D2は、陽極線12pと陰極線12nとの間において、互いの通電方向を陽極線12p側に向けて直列接続されている。各ダイオードD3,D4は、陽極線12pと陰極線12nとの間において、互いの通電方向を陽極線12p側に向けて直列接続されている。各ダイオードD1,D2の中間点と各ダイオードD3,D4の中間点との間には、交流電源12aが介装接続されている。コイルLは、陽極線12pにおける上記のブリッジ回路の後段に接続されている。コンデンサCは、コイルLの後段において、陽極線12pと陰極線12nとの間に介装接続されている。
インバータ回路14は、図1の様に、複数(ここでは6個)のスイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwを備えている。各スイッチ素子Spu,Snuは、陽極線12pと陰極線12nとの間において互いに直列接続されており、それらの間の電圧が3相負荷10のU相電極11uに印加されている。各スイッチ素子Spv,Snvは、陽極線12pと陰極12nとの間において互いに直列接続されており、それらの間の直流電圧が3相負荷10のV相電極11vに印加されている。各スイッチ素子Spw,Snwは、陽極線12pと陰極線12nとの間において直列接続されており、それらの間の電圧が3相負荷10のW相電極11wに印加されている。尚、陽極線12pに接続された各スイッチ素子Spu,Spv,Spwは上アーム素子と呼ばれ、陰極線12nに接続された各スイッチ素子Snu,Snv,Snwは下アーム素子と呼ばれる。
各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwはそれぞれ、トランジスタTと、トランジスタTの主電極間に逆方向接続されたダイオードDとを備えている。各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの制御電極Gはそれぞれ、制御回路16に接続されている。スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwとしては、還流ダイオードを備えたIGBT等を使用する事ができる。
このインバータ回路14は、制御回路16により、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの制御電極Gに制御信号が印加されて、それら各スイッチ素子のオンオフ状態が制御される。その際、U相の各スイッチ素子Spu,Snuは、両方がともにオン状態にされることはない。同様に、V相の各スイッチ素子Spv,Snvも、両方がともにオン状態にされることはなく、W相の各スイッチ素子Spw,Snwも、両方がともにオン状態にされることはない。この様にして、直流電源12の直流電力が3相交流電力に変換されて、3相負荷10の各相U,V,Wの電極11u,11v,11wに電流が供給されて、3相負荷10が回転駆動される。
尚、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwのオンオフ状態の組み合わせは、図2の様に、(0,0,0),(0,0,1),(0,1,0),(0,1,1),(1,0,0),(1,0,1),(1,1,0),(1,1,1)の8通りある。以後、これらのベクトルをそれぞれ同順にV0,V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7と表記する。これらのベクトルV0〜V7は電圧ベクトルと呼ばれ、特に各ベクトルV0,V7はゼロ電圧ベクトルと呼ばれる。尚、各括弧内の最左の”0”または”1”は、U相の各スイッチ素子Spu,Snuのオンオフ状態を示し、各括弧内の中央の”0”または”1”は、V相の各スイッチ素子Spv,Snvのオンオフ状態を示し、各括弧内の最右の”0”または”1”は、W相の各スイッチ素子Spw,Snwのオンオフ状態を示す。また”1”は、上アーム素子がオンされ、下アーム素子がオフされた状態を示し、”0”は、下アーム素子がオンされ、上アーム素子がオフされた状態を示す。
尚、図3の様に、各電圧ベクトルV1〜V6をそれらの始点を中心点0に一致させそれらの終点を放射状に外側に向けて配置し、且つ各ゼロ電圧ベクトルV0,V7を中心点0に配置して構成された正6角形の図を空間電圧ベクトル図Sと呼ぶ。尚、空間電圧ベクトル図Sにおいて、各電圧ベクトルV1〜V6のうちの隣り合う2つと、各電圧ベクトルV0,V7とにより構成される正三角形の各領域をそれぞれ領域S1〜S6と呼ぶ。
制御回路16は、3相負荷10が所望の回転速度ωで回転駆動する様にインバータ回路14を制御する。制御回路16は、図1の様に、回転速度検出部16aと、回転速度指令値生成部16bと、電流指令値生成部16cと、電圧指令値生成部16dと、電圧指令ベクトル生成部16eと、オンオフパターン生成部16fと、ゼロ電圧ベクトル調整部16gと、制御信号生成部16hとを備えている。
回転速度検出部16aは、各位置検出センサHu,Hv,Hwにより検出された3相負荷10の回転位置の時間変化に基づき3相モータ10の回転速度ωを検出し、それを電流指令値生成部16cに出力する。
回転速度指令値生成部16bは、3相モータ10を所望の回転速度ωで回転させるための回転速度指令値ω*を生成し、それを電流指令値生成部16cに出力する。
電流指令値生成部16cは、回転速度検出部16aからの回転速度ωが、回転速度指令値生成部100jからの回転速度指令値ω*に近づく様に、電流指令値I*を生成する。具体的には、電流指令値生成部16cは、回転速度ωと回転速度指令値ω*との偏差を比例微分積分演算(PID演算)して電流指令値I*を生成し、それを電圧指令値生成部16dに出力する。
電圧指令値生成部16dは、電流指令値生成部16cからの電流指令値I*に基づき、各相U,V,Wに印加すべき電圧に応じた電圧指令値信号Vu*,Vv*,Vw*を生成し、それを電圧指令ベクトル生成部16eに出力する。
電圧指令ベクトル生成部16eは、電圧指令値信号Vu*,Vv*,Vw*から電圧指令ベクトルV*を生成し、それをオンオフパターン生成部16gに出力する。尚、電圧指令ベクトルV*は、図3の空間電圧ベクトル図Sの領域上で定義されるベクトルである。
オンオフパターン生成部16gは、電圧指令ベクトルV*を用いて、空間ベクトル方式によって、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwのオンオフ状態を規定する一定期間T毎のオンオフパターンP1を生成する。より詳細には、オンオフパターン生成部16gは、空間ベクトル図S上で定義された電圧指令ベクトルV*を、各領域S1〜S6のうちの電圧指令ベクトルV*を含むものを構成する各電圧ベクトル(即ち電圧指令ベクトルV*を挟む2つの電圧ベクトルVi,Vj(i≠j且つi,j=1〜6)およびゼロ電圧ベクトルV0,V7)を用いて、式1の様に展開する(即ち式1を満たす様に、実数である各係数ai,aj,a0,a7を求める)。
Figure 0005338565
そしてオンオフパターン生成部16gは、各電圧ベクトルVi,Vj,V0,V7で規定される各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwのオンオフ状態の実施期間ti,tj,t0,t7をそれぞれti=ai・T,tj=aj・T,t0=a0・T,t7=a7・Tとして、各電圧ベクトルVi,Vj,V0,V7を所定の実施順序で並べたものをオンオフパターンP1とする。
尚、上記の所定の実施順序として、例えば、各電圧ベクトルVi,Vj,V0,V7を、それら各電圧ベクトルの切り換わりの際にU,V,Wが1相ずつオンオフ動作する様に並べても良く、更にそれら各電圧ベクトルの実施順序が一周期Tの前半と後半とで対称的になる様に並べても良い。図4は、電圧指令ベクトルV*が領域S1内にある場合のオンオフパターンP1の一例である。このオンオフパターンP1では、領域S1を構成する各電圧ベクトルV0,V7,V4,V6が、V0,V4,V6,V7,V6,V4,V0の実施順序で一周期Tの前半と後半とで対称的に並べられており、それら各電圧ベクトルV0,V7,V4,V6,V7の実施期間t0,t4,t6,t7が、一周期Tの前半および後半でそれぞれt0/2,t4/2,t6/2,t7/2ずつ配分されている。
ゼロ電圧ベクトル調整部16gは、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度(即ち電力損失許容量に対する電力損失の割合)のうちの最大のものが最も小さくなる様に、オンオフパターン生成部16gで生成されるオンオフパターンP1を補正する。より詳細には、ゼロ電圧ベクトル調整部16gは、オンオフパターンP1に対して、各期間t0,t7の和を一定に保って各期間t0,t7の比を調整する。以下で、オンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法を、電圧指令ベクトルV*が領域S1内にある場合を例にして詳説する。
まずオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法の説明に必要な式を説明する。
<各スイッチ素子の一定期間T内での通電期間>
各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの一定期間(例えばキャリア周期)T内での通電期間tpu,tnu,tpv,tnv,tpw,tnwは、例えば領域S1では、式2の様に与えられる。
Figure 0005338565
尚、式2より、各通電期間tpu,tpv,tpwは、期間t0の減少関数となり、各通電期間tnu,tnv,tnwは、期間t0の増加関数となる事が分かる。
<各スイッチ素子の電力損失>
各相U,V,Wにそれぞれ電流Iu,Iv,Iwが流れた場合の各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの瞬時電力fpu(Iu),fnu(Iu),fpv(Iv),fnv(Iv),fpw(Iw),fnw(Iw)はそれぞれ、式3の様に、そのトランジスタTの瞬時電力fpu_t(Iu),fpv_t(Iv),fpw_t(Iw)と、そのダイオードDの瞬時電力fpu_d(Iu),fpv_d(Iv),fpw_d(Iw)との和で与えられる。
Figure 0005338565
例えば、U相の各スイッチ素子Spu,SnuのトランジスタTおよびダイオードDの各瞬時電力fpu_t(Iu),fpu_d(Iu),fnu_t(Iu),fnu_d(Iu)は、Iu>0の場合(即ちIuがインバータ回路14から3相負荷10へ流れる場合)は、式4の様に与えられ、Iu<0の場合(即ちIuが3相負荷10からインバータ回路14へ流れる場合)は、式5の様に与えられる。
Figure 0005338565
具体的に、トランジスタTがIGBTで且つダイオードDがFRDである場合の各瞬時電力fpu_t(Iu),fpu_d(Iu),fnu_t(Iu),fnu_d(Iu)の一次近似は、式6の様に与えられ、2次近似は、式7の様に与えられる。
Figure 0005338565
尚、式6中のVceは、Iuが流れたときのトランジスタTのコレクタエミッタ間の電圧であり、Vfは、ダイオードDの順電圧である。また式7中のVce(0)は、Iu=0の場合のトランジスタTのコレクタエミッタ間の電圧であり、kceは、Iuが流れたときのトランジスタTのコレクタエミッタ間の電圧の傾きである。
また具体的に、トランジスタTが同期整流MOSFETで且つダイオードDがFRDである場合の各瞬時電力fpu_t(Iu),fpu_d(Iu),fnu_t(Iu),fnu_d(Iu)の一次近似は、式8の様に与えられる。尚ここでは、FRDは、順電圧Vfの理想ダイオードとして近似している。尚、式8中のRonはトランジスタTのオン抵抗である。
Figure 0005338565
尚、各相V,Wの場合の各瞬時電力fpv_t(Iv),fpv_d(Iv),fnv_t(Iv),fnv_d(Iv),fpw_t(Iw),fpw_d(Iw),fnw_t(Iw),fnw_d(Iw)は、U相の場合の各瞬時電力fpu_t(Iu),fpu_d(Iu),fnu_t(Iu),fnu_d(Iu)と同様に与えられるので、それらの具体的な記載は省略する。
尚、上記の瞬時電力の近似式(式6−式8)は、電流の変化に対する近似式であるが、トランジスタTおよびダイオードDの特性は、電流以外にはデバイス温度によっても変化するので、デバイス温度の変化を考慮して近似しても良い。
<各スイッチ素子の一定期間Tでの電力損失>
各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの一定期間Tでの電力損失Ppu,Pnu,Ppv,Pnv,Ppw,Pnwはそれぞれ、式9の様に、そのスイッチ素子の通電期間tpu,tnu,tpv,tnv,tpw,tnwと瞬時電力fpu(Iu),fnu(Iu),fpv(Iv),fnv(Iv),fpw(Iw),fnw(Iw)との積により与えられる。
Figure 0005338565
<各スイッチ素子の電力損失許容度>
各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwはそれぞれ、そのスイッチ素子の電力損失Ppu,Pnu,Ppv,Pnv,Ppw,Pnwにおけるそのスイッチ素子の電力損失許容量に対する割合を示す。従って、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwはそれぞれ、その電力損失許容度が高いほど熱破壊する可能性が高くなり、その電力損失許容度が低いほど熱破壊する可能性は低くなる。
各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwはそれぞれ、式10a〜式10fの各々の右辺第1式の様に、そのスイッチ素子の電力損失Ppu(=fpu(Iu)×tpu),Pnu(=fnu(Iu)×tnu),Ppv(=fpv(Iv)×tpv),Pnv(=fnv(Iv)×tnv),Ppw(=fpw(Iw)×tpw),Pnw(=fnw(Iw)×tnw)に、そのスイッチ素子の電力損失許容量に反比例する補正係数kpu,knu,kpv,knv,kpw,knwを組み込む(例えば掛ける)ことで、与えられる。なお電力損失許容量は、スイッチ素子の接合温度を許容温度以下とする事が可能な電力損失の最大値であり、スイッチ素子の構造(例えばIGBTやMOSFET)、材質(例えばSiやSiCやGaN)、チップサイズ、冷却機構(例えばヒートスプレッダやヒートシンク)、外気温などにより変化する。
Figure 0005338565
ここで、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの瞬時電力許容度f’pu,f’nu,f’pv,f’nv,f’pw,f’nwをそれぞれ、そのスイッチ素子の瞬時電力fpu,fnu,fpv,fnv,fpw,fnwと補正係数kpu,knu,kpv,knv,kpw,knwとの積として定義すると、式10a〜式10fの各々の右辺第1式は、右辺第2式となる。
またスイッチ素子Spuの補正係数kpuを、そのスイッチ素子SpuのトランジスタTに関する補正係数kpu_tとダイオードDに関する補正係数kpu_dとに分けて考える場合は、スイッチ素子Spuの瞬時電力許容度f’puは、そのスイッチ素子SpuのトランジスタTの瞬時電力fpu_tと補正係数kpu_tとの積と、そのスイッチ素子SpuのダイオードDの瞬時電力fpu_dと補正係数kpu_dとの積との和で与えられる(即ちf’pu=fpu_t×kpu_t+fpu_d×kpu_d)。同様に他のスイッチ素子Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの瞬時電力許容度f’nu,f’pv,f’nv,f’pw,f’nwもそれぞれ、そのスイッチ素子のトランジスタTの瞬時電力fnu_t,fpv_t,fnv_t,fpw_t,fnw_tと補正係数knu_t,kpv_t,knv_t,kpw_t,knw_tとの積と、そのスイッチ素子のダイオードDの瞬時電力fnu_d,fpv_d,fnv_d,fpw_d,fnw_dと補正係数knu_d,kpv_d,knv_d,kpw_d,knw_dとの積との和で与えられる。よってこの場合は、式10a〜式10fの各々の右辺第2式は、右辺第3式となる。
この様に、補正係数kpu,knu,kpv,knv,kpw,knwをトランジスタTに関する補正係数kpu_t,knu_t,kpv_t,knv_t,kpw_t,knw_tとダイオードDに関する補正係数kpu_d,knu_d,kpv_d,knv_d,kpw_d,knw_dとに分けた場合は、トランジスタTとダイオードDの各々の電力損失許容度を個別に考慮できる。
尚、スイッチ素子Spuの電力損失Ppuには、スイッチ素子Spuが導通する事で生じる導通損tpu×fpuと、スイッチ素子Spuがスイッチングする事で生じるスイッチング損Epuとがある。上記の説明では、電力損失Ppuは、導通損tpu×fpuのみを想定している。スイッチ素子Spuのスイッチング損Epuに関する電力損失許容度は、スイッチ素子Spuの通電損tpu×fpuに関する電力損失許容度P’puにおいて、導通損tpu×fpuをスイッチ素子Spuのスイッチング損Epuに置換し、且つ導通損tpu×fpu_tをスイッチ素子SpuのトランジスタTのスイッチング損Epu_tに置換し、且つ導通損tpu×fpu_dをスイッチ素子SpuのダイオードDのスイッチング損Epu_dに置換すれば良い。導通損とスイッチング損の両方を想定した場合のスイッチ素子Spuの電力損失許容度P’puは、式11の様に与えれる。
Figure 0005338565
導通損とスイッチング損の両方を想定した場合の他のスイッチ素子Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwも同様に与えられるので、それらの具体的な記載は省略する。
尚、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの補正係数kpu,knu,kpv,knv,kpw,knwはそれぞれ、そのスイッチ素子の電力損失許容量に反比例する値に設定される。同様にトランジスタTの補正係数kpu_t,knu_t,kpv_t,knv_t,kpw_t,knw_tもそれぞれ、そのトランジスタTの電力損失許容量に反比例する値に設定され、ダイオードDの補正係数kpu_d,knu_d,kpv_d,knv_d,kpw_d,knw_dもそれぞれ、そのダイオードDの電力損失許容量に反比例する値に設定される。補正係数kpu,knu,kpv,knv,kpw,knwは、例えば、1/(電力損失の絶対最大定格)または1/(コレクタ損失の絶対最大定格)または(接合部・ケース間の熱抵抗)または1/(接合温度の絶対最大定格−ケース温度の最大値)または(接合部・ケース間の熱抵抗)/(接合温度の絶対最大定格−ケース温度の最大値)または(冷却機構の熱抵抗)に設定されても良い。
この様に各補正係数として、電力損失の絶対最大定格、接合部・ケース間の熱抵抗、接合温度の絶対最大定格などの既存の特性値を使用する場合は、簡単に補正係数を設定できる。
尚、各スイッチ素子の配置を考慮して補正係数を異ならせてもよい。例えば、冷却機構(例えば、ヒートスプレッダやヒートシンク)上にスイッチ素子を複数個並べると、中央のスイッチ素子は他のスイッチ素子よりも冷却され難く、他のスイッチング素子からの熱流束によりケース温度の最大値や見かけ上の熱抵抗が増加する。そのため、中央のスイッチ素子の補正係数を他のスイッチ素子の補正係数よりも大きく設定してもよい。例えば、冷却機構上に配置した際の各スイッチ素子のケース温度の最大値に反比例するように補正係数を設定したり、各スイッチ素子の配置を考慮した見かけ上の熱抵抗に比例するように補正係数を設定してもよい。また例えば冷却風の風上側の方が冷え易い(即ち見かけ上の熱抵抗が低い)ので、冷却風の風上側のスイッチ素子ほど、補正係数を小さく設定してもよい。これにより温度が上昇しやすいスイッチ素子での電力損失を低減でき、スイッチ素子が熱破壊する事を防止できる。
尚、式10a〜式10fから、各通電期間tpu,tpv,tpwは期間t0の減少関数であるので、電力損失許容度P’pu,P’pv,P’pwも期間t0の減少関数である事が分かる。また各通電期間tnu,tnv,tnwは期間t0の増加関数であるので、各電力損失許容度P’nu,P’nv,P’nwも期間t0の増加関数である事が分かる。図5は、各電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwを、期間t0の関数と見なして、0≦t0≦tz(tz:所定の定数(例えばtz=T−ti−tj=t0+t7))の範囲でグラフ化したものである。
<異なる2つのスイッチ素子の電力損失許容度の平衡条件>
X相の上アーム素子Spxの電力損失許容度P’pxとY相の下アーム素子Snyの電力損失P’nyとが平衡条件となるときの期間t0と電力損失許容度P’pxとを計算すると、式12の様になる。尚、X相とY相は各相U,V,Wのうちの1相である。X相とY相は異なる相でも良いし、同じ相でも良い。
Figure 0005338565
またX相の上アーム素子Spxの電力損失許容度P’pxとY相の上アーム素子Spyの電力損失P’pyとが平衡条件となるときの期間t0と電力損失許容度P’pxとを計算すると、式13の様になる。尚、X相は各相U,V,Wのうちの1相であり、Y相はその残りの2相のうちの1相である。
Figure 0005338565
またX相の下アーム素子Snxの電力損失許容度P’nxとY相の下アーム素子Snyの電力損失P’nyとが平衡条件となるときの期間t0と電力損失許容度P’nxとを計算すると、式14の様になる。尚、X相は各相U,V,Wのうちの1相であり、Y相はその残りの2相のうちの1相である。
Figure 0005338565
<オンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法>
このオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法では、オンオフパターンP1において、期間t0が、各期間t0,t7の和tz(=t0+t7)が一定に保たれた状態で、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様な期間t0(このt0をtaと呼ぶ)に調整される。換言すれば、オンオフパターンP1の期間t0が、0≦ta≦tzを満たすtaに調整される。例えば図5では、オンオフパターンP1の期間t0は点Aでのtaに調整される。以下、図6に基づき詳説する。
まずステップS1で、t0=0における全ての上アーム素子Spu,Spv,Spwの電力損失許容度P’pu,P’pv,P’pwのうちの最大のものを与える相Xが、各相U,V,Wの中から特定される。図5では、t0=0では電力損失許容度P’puが最大であるので、X相=U相となる。同様にt0=tzにおける全ての下アーム素子Snu,Snv,Snwの電力損失許容度P’nu,P’nv,P’nwのうちの最大のものを与える相Yが、各相U,V,Wの中から特定される。図5では、t0=tzでは電力損失許容度P’nvが最大であるので、Y相=V相となる。
そしてステップS2で、ステップS1で求めた各相X,Yに対し、式12に基づき、X相上アーム素子Spxの電力損失許容度P’pxとY相下アーム素子Snyの電力損失許容度P’nyとが平衡状態になるときの期間t0(このt0をtbと呼ぶ)および電力損失許容度P’px(=P’ny、この’pxをP’bと呼ぶ)が求められる。図5では、点Bでの電力損失許容度P’および期間t0がそれぞれP’bおよびtbである。
そしてステップS3で、ステップS2で求められたtbが0≦tb≦tzを満たすか否かが判定される。その判定の結果、tbが0≦tb≦tzを満たす場合は、処理がステップS4に進められ、他方、tbが0≦tb≦tzを満たさない場合(即ちtb<0またはtb>tzを満たす場合)は、処理がステップS7に進められる。図5では、tbが0≦tb≦tzを満たすので、処理がステップS4に進められる。
ステップS7では、t0=0でのX相上アーム素子Spxの電力損失許容度P’pxとt0=tzでのY相下アーム素子Snyの電力損失許容度P’nyとのうちの小さい方のt0がtaであると決定される。例えば図7の場合は、t0=0でのP’pu(=P’px)よりもt0=tzでのP’nv(=P’ny)の方が小さいので、ta=tzであると決定される。そしてオンオフパターンP1の期間t0がta(=tz)に調整される(即ち、各区間t0,t7の和tzが一定に保たれた状態で各期間t0,t7の比がt0:t7=ta:tz−taに調整される)。この様にしてオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比が調整される。
尚、図8は、t0=0およびt0=tzでの各上アーム素子Spu,Spv,Spwおよび各下アーム素子の電力損失P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwの一覧表である。
他方、ステップS4では、t0=tbでの全ての電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwが計算され、それらの中の最大のもの(これをP’mと呼ぶ)が特定される。図5では、t0=tbでのP’nwがP’mとなる。そして処理がステップS5に進められる。
ステップS5では、ステップS2で求められたP’bおよびステップS4で特定されたP’mに対し、P’m=P’bが成立するか否かが判定される。その判定の結果、P’m=P’bが成立する場合は、ステップS8で、ステップS2で求められたtbはtaであると決定され、オンオフパターンP1の期間t0がtaに調整される(即ち、各区間t0,t7の和tzが一定に保たれた状態で各期間t0,t7の比がt0:t7=ta:tz−taに調整される)。この様にしてオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比が調整される。他方、その判定の結果、P’m=P’bが成立しない場合は、tbはtaでないと決定され、処理がステップS6に進められる。図5では、P’m=P’bが成立しないので、処理がステップS6に進められる。
ステップS6では、ステップS4で特定されたP’mが、各上アーム素子Spu,Spv,Spwの電力損失許容度P’pu,P’pv,P’pwの何れかであるかそれとも各下アーム素子Snu,Snv,Snwの電力損失許容度P’nu,P’nv,P’nwの何れかであるかが判定される。その判定の結果、P’mが各上アーム素子Spu,Spv,Spwの電圧損失許容度P’pu,P’pv,P’pwの何れかである場合は、P’mに対応する相がX相に設定される。他方、P’mが各下アーム素子Snu,Snv,Snwの電力損失許容度P’nu,P’nv,P’nwの何れかである場合は、P’mに対応する相がY相に設定される。図5では、P’mは下アーム素子Snvの電力損失許容度P’nvであるので、P’mに対応するV相がY相に設定される。そして処理がステップS2に戻される。この様にしてオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比が調整される。
尚、オンオフパターンP1は、0<ta<tzの場合は、3相負荷10を3相変調させるオンオフパターンとなり、ta=0またはtzの場合は、3相負荷10を2相変調させるオンオフパターンとなる。
尚、制御回路16は、一定周期T毎にステップS1〜S8の処理を行うことで、一定周期T毎に、オンオフパターンP1を生成すると共に各期間t0,t7の比を調整する。これにより一定周期T毎に各期間t0,t7の比が更新される。
制御信号生成部16hは、ゼロ電圧ベクトル調整部16gにより調整されたオンオフパターンP1に基づき、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwのオンオフ動作を制御する制御信号を生成して、それら各スイッチ素子の制御電極Gに印加する。これにより、それら各スイッチ素子は、オンオフパターンP1に従ってオンオフ動作され、その結果、それら各スイッチ素子の電力損失許容量度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様に、3相負荷10が回転速度ωで回転駆動される。
このインバータ装置1では、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwを構成する各デバイスの種類に、デバイス構造は異なる(即ち電力損失は異なる)が電力損失許容量は同じである2種類のデバイスDV1,DV2が混在する場合は、ゼロ電圧ベクトル調整部16gによるオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整により、それら2種類のデバイスDV1,DV2のうちの電力損失の小さい方のオン期間が長くなる様に(即ちデバイスDV1,DV2の発熱量(=デバイス温度)が均衡する様に)調整される。例えば各デバイスDV1,DV2がそれぞれ図10の様な電圧V−電流Iの特性を有する場合は、電流Iが点Cでの電流Icよりも小さい範囲Q1では、デバイスDV1の方がデバイスDV2よりも電力損失が小さくなるので、デバイスDV1のオン期間が長くなる様に調整される。他方、電流Iが電流Icよりも大きい範囲Q2では、デバイスDV2の方がデバイスDV1よりも電力損失が小さくなるので、デバイスDV2のオン期間が長くなる様に調整される。尚、点Cは、各デバイスDV1,DV2の当該特性の平衡点である。
また各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwを構成する各デバイスの種類に、電力損失は同じであるがデバイス材質は異なる(即ち許容温度は異なる)2種類のデバイスDV1,DV2が混在する場合は、ゼロ電圧ベクトル調整部16gによるオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整により、それら2種類のデバイスDV1,DV2のうち、許容温度の大きい方のオン期間が長くなる様に調整される。例えばデバイスDV1のデバイス材料がSiで、デバイスDV2のデバイス材料がSiCである場合は、SiCの方が許容温度が大きいので、デバイスDV2のオン期間が長くなる様に調整される。
また各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwを構成する各デバイスの種類に、温度特性の異なる2種類のデバイスDV1,DV2が混在する場合は、ゼロ電圧ベクトル調整部16gによるオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整により、その調整時の温度に応じて、それら2種類のデバイスDV3,DV4のうちの電力損失が小さい方のオン期間が長くなる様に調整される。尚この場合は、各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの瞬時電力fpu_t(Iu),fpu_d(Iu),fnu_t(Iu),fnu_d(Iu),fpv_t(Iv),fpv_d(Iv),fnv_t(Iv),fnv_d(Iv),fpw_t(Iw),fpw_d(Iw),fnw_t(Iw),fnw_d(Iw)は、そのスイッチ素子のデバイス温度を考慮して計算される必要がある。例えば図11の様に各デバイスDV3,DV4のデバイス温度K−オン抵抗Ronの特性を有する場合は、温度Kが点Dでの温度Kdよりも低い範囲Q3では、デバイスDV4の方がデバイスDV3よりもオン抵抗Ronが小さい(即ち電力損失が小さい)ので、デバイスDV4のオン期間が長くなる様に調整される。他方、温度Kが温度Kdよりも高い範囲Q4では、デバイスDV3の方がデバイスDV4よりもオン抵抗Ronが小さい(即ち電力損失が小さい)ので、デバイスDV3のオン期間が長くなる調整される。尚、点Dは、各デバイスDV1,DV2の当該特性の平衡点である。
以上の様に構成されたインバータ装置1によれば、電力損失許容度の大きいスイッチ素子での電力損失を低減でき、スイッチ素子が熱破壊する事を防止できる。これにより、各スイッチ素子の電力損失許容量を増大させる事無く、各スイッチ素子の熱破壊を防止できる。
また一定周期Tにおいて、各相U,V,Wの各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’pv,P’pw,P’nu,P’nv,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様に、各期間t0,t7の和tzを一定に保って各期間t0,t7の比を調整するので、負荷10の制御に影響を与えること無く、各スイッチ素子の熱破壊を防止できる。
また上述のオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法を使用するので、簡単な手法で、各相U,V,Wの中の各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様に各期間t0,t7の比を求める事ができる。
またステップS1→S2→S3→S7の流れでオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整が行われる場合は、tbが0≦tb≦tzを満たさない場合(即ちtb<0またはtb>tzを満たす場合)において、簡単な手法で、各相U,V,Wの各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様に各期間t0,t7の比を求める事ができる。
またステップS5でP’m=P’bの場合は、ステップS6でX相またはY相が変更されるので、各相U,V,Wの各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものを適切に特定できる。
<第2実施形態>
この実施形態は、第1実施形態のオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比の調整方法の変形例である。この実施形態に係るインバータ回路1Bは、図9の様に、第1実施形態において、各相U,V,Wに流れる電流Iu,Iv,Iwを検出する電流検出センサ17u,17v,17wを更に備えたものである。尚、この実施形態の各構成要素のうち、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。
この実施形態のゼロ電圧ベクトル調整部16gBは、図12に従って、オンオフパターンP1の各期間t0,t7の比を調整する。
ステップU1で、例えば一定周期Tの開始時に、ゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、各電流検出センサ17u,17v,17wの検出結果に基づき、各相U,V,Wの中から、それら各相に流れる電流Iu,Iv,Iwのうちの電流絶対値の最大のものが流れる相(それをX相とする)が特定される。
そしてステップU2で、ゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、その特定されたX相の上アーム素子Spxと下アーム素子Snxの各々の電力損失許容度P’px,P’nxが平衡状態になる様な期間t0(このt0をtbと呼ぶ)が求められる。
そしてステップU3で、ゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、その求められたtbが0≦tb≦tzを満たすか否かが判定される。その判定の結果、tbが0≦tb≦tzを満たす場合は、ステップU4で、ゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、tbがta(即ち各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが最も小さくなる様な期間t0)であると決定される。そしてゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、オンオフパターンP1の期間t0がそのtaに調整される(即ち、各区間t0,t7の和tzが一定に保たれた状態で各期間t0,t7の比がt0:t7=ta:tz−taに調整される)。
他方、ステップU3での判定の結果、tbが0≦tb≦tzを満たさない場合(即ちtb<0またはtb>tzを満たす場合)は、ステップU5で、ゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、t0=0でのP’pxとt0=tzでのP’nxとのうちの小さい方のt0がtaであると決定される。そしてゼロ電圧ベクトル調整部16gBにより、オンオフパターンP1の期間t0がtaに調整される。
以上の様に構成されたインバータ装置1Bによれば、各相U,V,Wに流れる電流のうちの電流絶対値の最大のものが流れる相Xのみに着目するので、第1実施形態の場合と比べて計算量の少ない手法で、各相U,V,Wの各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが小さくなる様に各期間t0,t7の比を求める事ができる。
またステップU1→U2→U3→U5の流れでオンオフパターンP1の各期間t0,t7の比が調整される場合は、tbが0≦tb≦tzを満たさない場合(即ちtb<0またはtb>tzを満たす場合)において、計算量の少ない手法で、各相U,V,Wの各スイッチ素子Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snwの電力損失許容度P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nwのうちの最大のものが小さくなる様に各期間t0,t7の比を求める事ができる。
1,1B インバータ装置
10 3相負荷
11u,11v,11w 各相U,V,Wの電極
12 直流電源
12a 交流電源
12b 平滑回路
14 インバータ回路
16 制御回路
17u,17v,17w 電流検出センサ
Hu,Hv,Hw 位置検出センサ
Iu,Iv,Iw 各相U,V,Wに流れる電流
I* 電流指令値
P1 オンオフパターン
P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nw 電力損失許容度
Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snw スイッチ素子
t0〜t7,ti,tj V0〜V7,Vi,Vjの実施期間
U,V,W 3相負荷の各相
Vu*,Vv*,Vw* 電圧指令値
V* 電圧指令ベクトル
V0〜V7 電圧ベクトル
ω 回転速度
ω* 回転速度指令値

Claims (11)

  1. 負荷(10)を駆動制御するインバータ装置であって、
    所定の直流電源(12)の電力を所定の出力方式の電力に変換して前記負荷に供給する複数のスイッチ素子(Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snw)を有するインバータ回路(14)と、
    前記複数のスイッチ素子をオンオフ制御して前記負荷を駆動制御する制御回路(16)と、
    を備え、
    前記各スイッチ素子における一定周期(T)の電力損失(Ppu,Ppv,Ppw,Pnu,Pnv,Pnw)と、そのスイッチ素子の電力損失許容量に反比例する補正係数(kpu,kpv,kpw,knu,knv,knw)の積を電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw,P’nu,P’nv,P’nw)とし、
    前記制御回路(16)は、前記一定周期において、前記各スイッチ素子の前記電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に、前記各スイッチ素子をオンオフ制御することを特徴とするインバータ装置。
  2. 請求項1に記載のインバータ装置であって、
    前記インバータ回路(14)は、前記負荷の各相(U,V,W)毎に前記所定の直流電源(12)に対して互いに直列接続された2個の前記スイッチ素子(Spu,Snu;Spv,Snv;Spw,Snw)を有し、前記各相毎の前記各スイッチ素子の間の電圧をそれぞれ前記各相に印加し、
    前記2個のスイッチ素子のうち、前記所定の直流電源の陽極側に接続されたもの(Spu,Spv,Spw)を上アーム素子とし、前記所定の直流電源の陰極側に接続されたもの(Snu,Snv,Snw)を下アーム素子とし、
    前記制御回路(16)は、前記一定周期において、前記各相の前記各スイッチ素子の前記電力損失許容度のうちの最大のものが最も小さくなる様に、前記各相の全ての前記下アーム素子のみがオンになる第1期間(t0)と、前記各相の全ての前記上アーム素子のみがオンになる第2期間(t7)との和(tz)を一定に保って前記第1期間と前記第2期間との比を調整することを特徴とするインバータ装置。
  3. 請求項1または2に記載のインバータ装置であって、
    前記各スイッチ素子はそれぞれ、トランジスタ(T)と、前記トランジスタの主電極間に逆方向接続されたダイオード(D)とを有し、
    前記補正係数(kpu,kpv,kpw,knu,knv,knw)は、前記トランジスタに関する第1補正係数(kpu_t,kpv_t,kpw_t,knu_t,knv_t,knw_t)と前記ダイオードに関する第2補正係数(kpu_d,kpv_d,kpw_d,knu_d,knv_d,knw_d)とに分けられ、
    前記第1補正係数は、前記トランジスタの電力損失(Ppu_t,Ppv_t,Ppw_t,Pnu_t,Pnv_t,Pnw_t)に掛けられ、
    前記第2補正係数は、前記ダイオードの電力損失(Ppu_d,Ppv_d,Ppw_d,Pnu_d,Pnv_d,Pnw_d)に掛けられることを特徴とするインバータ装置。
  4. 請求項1または2に記載のインバータ装置であって、
    前記補正係数は、前記スイッチ素子の電力損失の絶対最大定格の逆数であることを特徴とするインバータ装置。
  5. 請求項3に記載のインバータ装置であって、
    前記第1補正係数は、前記トランジスタの電力損失の絶対最大定格の逆数であり、
    前記第2補正係数は、前記ダイオードの電力損失の絶対最大定格の逆数であることを特徴とするインバータ装置。
  6. 請求項2〜5の何れかに記載のインバータ装置であって、
    前記制御回路(16)は、
    (a)前記第1期間(t0)がゼロである場合の全ての前記上アーム素子(Spu,Spv,Spw)の前記電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw)のうちの最大のものを与える第1の相(X)を前記各相(U,V,W)の中から特定すると共に、前記第1期間(t0)が前記和(tz)に等しい場合の全ての前記下アーム素子(Snu,Snv,Snw)の前記電力損失許容度(P’nu,P’nv,P’nw)のうちの最大のものを与える第2の相(Y)を前記各相の中から特定し(S1)、
    (b)前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と前記第2の相(Y)の前記下アーム素子(Sny)の前記電力損失許容度(P’ny)とが平衡状態になるときの前記第1期間(tb)および前記電力損失許容度(P’b)を求め(S2)、
    (c)前記第1期間(t0)が前記平衡状態になるときの前記第1期間(tb)に等しい場合の全ての前記スイッチ素子(Spu,Snu,Spv,Snv,Spw,Snw)の前記電力損失許許容度(P’pu,P’nu,P’pv,P’nv,P’pw,P’nw)の中から最大の電力損失許容度(P’m)を特定し(S3)、
    (d)前記平衡状態のときの前記電力損失許容度(P’b)と前記最大の電力損失許容度(P’m)とが等しい場合(S5)において、前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)がゼロ以上で前記和(tz)以下である場合(S3)は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)から求まる前記比に調整する(S8)ことを特徴とするインバータ装置。
  7. 請求項6に記載のインバータ装置であって、
    前記制御回路(16)は、
    (e)前記平衡状態のときの前記第1期間(tb)がゼロよりも小さいかまたは前記和よりも大きい場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記第1期間(t0)がゼロの場合の前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と、前記第1期間(t0)が前記和(tz)に等しい場合の前記第2の相(Y)の前記下アーム素子(Sny)の前記電力損失許容度(P’ny)とのうちの小さい方の当該第1期間から求まる前記比に調整する(S7)ことを特徴とするインバータ装置。
  8. 請求項6に記載のインバータ装置であって、
    前記制御回路(16)は、
    (f)前記平衡状態のときの前記電力損失許容度(P’b)と前記最大の電力損失許容度(P’m)とが等しくない場合において、前記最大の電力損失許容度(P’m)が前記各上アーム素子(Spu,Spv,Spw)の何れかの前記電力損失許容度(P’pu,P’pv,P’pw)である場合は、前記最大の電力損失許容度に対応する相を前記第1の相(X)に設定して、前記(a)以降の処理を行い、他方、前記最大の電力損失許容度(P’m)が前記各下アーム素子(Snu,Snv,Snw)の何れかの前記電力損失許容度(P’nu,P’nv,P’nw)である場合は、前記最大の電力損失許容度に対応する相を前記第2の相(Y)に設定して、前記(b)以降の処理を行う(S6)ことを特徴とするインバータ装置。
  9. 請求項2〜5の何れかに記載のインバータ装置であって、
    前記各相(U,V,W)に流れる各電流(Iu,Iv,Iw)を検出する電流検出センサ(17u,17v,17w)を更に備え、
    前記制御回路(16)は、
    (a)前記各電流検出センサの検出結果に基づき、前記各相の中から、前記各相に流れる前記電流のうちの電流絶対値の最大のものが流れる第1の相(X)を特定し(U1)、
    (b)前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)と前記下アーム素子(Snx)の各々の前記電力損失許容度(P’px,P’nx)が平衡状態になるときの前記第1時間(tb)を求め、
    (c)前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)がゼロ以上で前記和(tz)以下である場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)から求まる前記比に調整する(U4)ことを特徴とするインバータ装置。
  10. 請求項9に記載のインバータ装置であって、
    (d)前記平衡状態のときの前記第1時間(tb)がゼロよりも小さいかまたは前記和(tz)よりも大きい場合は、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)との前記比を、前記第1期間(t0)がゼロの場合の前記第1の相(X)の前記上アーム素子(Spx)の前記電力損失許容度(P’px)と、前記第1期間(t0)が前記和に等しい場合の前記第1の相の前記下アーム素子(Snx)の前記電力損失許容度(P’nx)とのうちの小さい方の当該第1期間から求まる前記比に調整する(U5)ことを特徴とするインバータ装置。
  11. 請求項2〜10の何れかのインバータ装置であって、
    前記制御回路は、
    前記一定期間(T)毎に、前記第1期間(t0)と前記第2期間(t7)の比を調整することを特徴とするインバータ装置。
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