JP5337732B2 - 木ねじ - Google Patents

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Description

本発明は、断熱材を介して下木材と板材とを連結する外断熱構造用の木ねじに関する。
従来、図8に示すような外断熱構造に用いられる木ねじが知られている(例えば、特許文献1参照)。この外断熱構造は、柱または間柱である下木材10の外側に断熱材20を介して、通気胴縁30を上下方向に配置し、その通気胴縁30と下木材10との間を木ねじで連結するものである。そして、通気胴縁30に外壁材40を釘などによって固定し、通気胴縁30をスペーサとして、空気流通空間50を上下方向に形成する。これによって、断熱材20の外側の結露水を空気流通空間50を流通する外気60により乾燥させるものである。すなわち、外気60を土台70付近の入口から空気流通空間50に導き、その内部を上昇させ、屋根80の内側の出口から排出する。そして空気流通空間50に露出する断熱材20の表面を乾燥させることができる。このような外断熱構造に用いられる木ねじとして、図4に示すものがある。図4に示す木ねじは、軸部の先端に形成されて下木材に締結される主ねじ部と、頭部の首下に形成されて板材に締結される首下ねじ部とを備えている。首下ねじ部のピッチは主ねじ部のピッチに比して大きくされている。
特開2001−295818号公報
ここで、発明者らは検討の結果、図4に示すような木ねじを用いた場合に次のような課題が発生することを見出した。すなわち、首下ねじ部のピッチが主ねじ部のピッチに比べて大きいので、主ねじ部が下木材に入り込む速度V1(すなわち木ねじ全体が下木材にむかう速度)に比べ、首下ねじ部に巻き上げられることによって板材が頭部側へ相対的に移動する速度V2の方が大きくなる。その結果、板材と断熱材との間が広がってしまう場合があることを見出した。このような板材と断熱材との間の広がりは、最終的に頭部を板材に締め込んで木ねじの締結を完了した後における仕上がりに影響を及ぼす場合があり、木ねじの締め付け作業にも影響を及ぼす場合があることを見出した。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、首下ねじ部のピッチを適切なものとすることによって、締結後の外断熱構造の仕上がりをよくすることのできる木ねじを提供することを目的とする。
本発明に係る木ねじは、断熱材を介して下木材と木製の板材とを連結する木ねじであって、基端側に頭部が形成された軸部と、軸部の先端側の領域のみに形成され、連結時に下木材に締結され、下木材を貫通することなく下木材内部に配置される主ねじ部と、軸部における頭部の首下に形成され、連結時に板材に締結される首下ねじ部と、を備え、首下ねじ部のピッチは、主ねじ部のピッチP1より小さく、P1は2.0〜4.0mmであり、全長が105mm以上であって、主ねじ部の長さが25.0〜35.0mmであり、主ねじ部のピッチに対する首下ねじ部のピッチの割合をβとし、首下ねじ部の長さをS2(mm)とした場合、βは式(8)の関係を満たすことを特徴とする。
S2/(S2+6.2)≦β≦S2/(S2+0.4) …(8)
ただし、5.0≦S2≦25.0mm
このような木ねじによれば、首下ねじ部のピッチを主ねじ部のピッチより小さくすることにより、首下ねじ部に巻き上げられることによって板材が頭部側へ相対的に移動する速度が、主ねじ部が下木材に入り込む速度より小さくなる。従って、木ねじの回転に伴って板材が断熱材から広がってしまうことを防止することができる。これによって、締結後の外断熱構造の仕上がりをよくすることができる。
ここで、発明者らは、首下ねじ部のピッチを最適化することによって、断熱材の圧縮が大きくなりすぎることを防止し、外断熱構造の仕上がりを一層よくできることを見出した。また、全長が105mm以上であって、主ねじ部の長さが25.0〜35.0mmであると、木ねじの全長に関わらず必要な推進力を確保しつつも材料コストを低減すると共に施工の手間を削減することができるが、このように主ねじ部の長さを短くした場合であっても、空回りすることなく十分な推進力を得ることができることを見出した。
そこで、本発明に係る木ねじにおいて、主ねじ部のピッチに対する首下ねじ部のピッチの割合をβとし、首下ねじ部の長さをS2とした場合、βは式(8)の関係を満たす。
S2/(S2+6.2)≦β≦S2/(S2+0.4) …(8)
ただし、5.0≦S2≦25.0mm
また、本発明に係る木ねじにおいて、主ねじ部のピッチに対する首下ねじ部のピッチの割合をβとし、首下ねじ部の長さをS2(mm)とした場合、0.7≦β≦0.9であり、5.0≦S2≦25.0mmである。
このような木ねじによれば、首下ねじ部のピッチを最適化することによって、断熱材の圧縮が大きくなりすぎることを抑制できる。更に、主ねじ部の長さを短い寸法にしても、空回りを防止することができる。
また、本発明に係る木ねじにおいて、全長が105mm以上であって、主ねじ部の長さが25.0〜35.0mmである木ねじの全長に関わらず必要な推進力を確保しつつも材料コストを低減すると共に施工の手間を削減することができる。
本発明によれば、主ねじ部の長さを短くした場合であっても、空回りすることなく十分な推進力を得ることができる。
本発明の実施形態に係る木ねじの正面図である。 図2は、外断熱構造に対する木ねじの取り付け状態を示す一部断面図である。 本実施形態に係る木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。 図4は、従来の木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。 図5は、他の実施形態に係る木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。 木ねじの各寸法と総締付量との関係を示す表である。 実施例1,2及び比較例1,2,3に係る条件及び結果を示す表である。 外断熱構造を示す概略構成図である。
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る木ねじ1、及び当該木ねじを使用した外断熱構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る木ねじの正面図である。図2は、外断熱構造に対する木ねじの取り付け状態を示す一部断面図である。
図1に示すように、木ねじ1は、棒状の軸部2と、軸部2の基端側に形成された円錐台状の頭部3を供えている。木ねじ1の全長は105〜300mmである。頭部3の円錐台部の斜面には、複数のフレキ刃3aが放射状に形成されている。このフレキ刃3aの突出量は極めて僅かであり、頭部3が通気胴縁30に回転しながら進入するとき、通気胴縁30を僅かに削り取る機能を有する。頭部3の直径D1は、10〜20mmである。
軸部2の先端側には、螺旋状のねじ山が形成されることによって主ねじ部4が形成される。また、主ねじ部4の先端にはドリル刃先端部5が形成される。主ねじ部4のねじ山の直径は5.0〜8.0mmである。また、主ねじ部4のねじ山には部分的にノッチ6が形成されている。このノッチ6は、ねじ山の一部に凹みを設けたものであり、回転時に下木材10を切削しやすくしたものである。主ねじ部4の長さをS1としたとき、S1は25.0〜35.0mmとすることができる。全長が105mm以上の場合において、25.0〜35.0mmとすることにより、木ねじ1の全長に関わらず必要な推進力を確保しつつも材料コストを低減すると共に施工の手間を削減することができる。主ねじ部4のピッチをP1とした場合、P1は2.0〜4.0mmとすることができる。ピッチP1を2.0mmより小さくした場合や4.0mmより大きくした場合は、主ねじ部4としてはピッチが小さすぎ、あるいは大きすぎることによって、木ねじとしての機能を十分に果たせない。
軸部2の基端側における頭部3の首下には、螺旋状のねじ山が形成されることによって首下ねじ部7が形成されている。首下ねじ部7のねじ山の直径は、4.0〜7.0mmである。首下ねじ部7の長さをS2としたとき、S2は5.0〜25.0mmとすることができる。S2は、締め付け対象となる外断熱構造の通気胴縁30の厚みに対して適宜変更することができる。外断熱構造の分野では、S2が11.0mm以下のものが特に広く用いられている。首下ねじ部7のピッチの詳細な説明については後述する。
図2に示すように、外断熱構造は、柱や間柱などの下木材10と、下木材10の表面を覆う断熱材20と、下木材10との間で断熱材20を挟み込む木製の通気胴縁(板材)30と、通気胴縁30を覆う外壁材40とを備えている。この外断熱構造は、下木材10、断熱材20及び通気胴縁30に木ねじ1が取り付けられ、その後で通気胴縁30の外面が外壁材40で覆われる。木ねじ1の取り付けは、頭部3の上面3bと通気胴縁30の外面30aとが一致する位置で完了する。取り付け完了時には、主ねじ部4は下木材10に締結され、首下ねじ部7は通気胴縁30に締結されている。
断熱材20の厚みは10〜100mmであり、特に20〜80mmのものが広く用いられている。断熱材20としては、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームを用いたものが挙げられる。通気胴縁30の厚みは15〜105mmであり、特に15〜30mmのものが広く用いられている。
次に、図1、図3〜図5を参照して、首下ねじ部7のピッチについて、作用・効果と共に説明する。図3は、本実施形態に係る木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。図4は、従来の木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。図5は、他の実施形態に係る木ねじの首下ねじ部を通気胴縁に締結した様子を示す一部断面図である。
まず、発明者らは検討の結果、図4に示すような首下ねじ部7のピッチP2が主ねじ部4のピッチP1よりも大きい木ねじを用いた場合に、次のような課題が発生することを見出した。すなわち、首下ねじ部7のピッチP2が主ねじ部4のピッチP1に比べて大きいので、主ねじ部7が下木材10に入り込む速度V1(すなわち木ねじ全体が下木材10にむかう速度)に比べ、首下ねじ部7に巻き上げられることによって通気胴縁30が頭部3側へ相対的に移動する速度V2の方が大きくなる。その結果、通気胴縁30は、木ねじ1の回転に伴って、V2とV1の差分の速度V3で、断熱材20から離れてしまう。首下ねじ部7が通気胴縁30に入り切った後(図4の状態)、最終段階において頭部3を締めることで大きな締結力を発生させるが、通気胴縁30と断熱材20とに間に広がりによって十分な締め付けができない可能性がある。このように、通気胴縁30と断熱材20との間の広がりは、締結完了後における仕上がりに影響を及ぼす場合があり、木ねじ1の締め付け作業にも影響を及ぼす場合があった。なお、図4には通気胴縁30と断熱材20との間に大きな隙間が示されているが、これは説明のために記載したものであり、実際は微小な隙間となる。
そこで、発明者らは、鋭意検討の結果、首下ねじ部7のピッチP2を主ねじ部4のピッチP1以下とすることによって、上述の問題を解決できることを見出した。すなわち、首下ねじ部7のピッチP2を主ねじ部4のピッチP1以下とすることにより、首下ねじ部7に巻き上げられることによって通気胴縁30が頭部3側へ相対的に移動する速度V2が、主ねじ部4が下木材10に入り込む速度V1以下となる。従って、木ねじ1の回転に伴って通気胴縁30が断熱材20から広がってしまうことを防止することができる。
ここで、図5に示すように、首下ねじ部7のピッチP2を主ねじ部4のピッチP1に比して大幅に小さくした場合、主ねじ部4が下木材10に入りこむ速度V1に比して、通気胴縁30が首下ねじ部7に巻き上げられる相対速度V2が小さくなる。これによって通気胴縁30がV1とV2の差分の速度V3で下木材10側へ移動しようとする(実際には断熱材20や下木材10からの反発力により、V3で移動することはない)。これによって、通気胴縁30が断熱材20を圧縮する。また、通気胴縁30が断熱材20や下木材10から反発力Fを受けることによって、通気胴縁30を介して木ねじ1全体に進行方向と逆向きに引っ張られる力TFが作用する。以上より、発明者らは、首下ねじ部7のピッチP2の大きさによっては、断熱材20の圧縮が大きくなる可能性があることを見出した。また、主ねじ部4の推進力が引張力TFを下回って木ねじ1の空回りが発生することにより、推進力確保のために主ねじ部4の長さを長くする必要が生じる可能性があることを見出した。
そこで、発明者らは更に鋭意検討を重ねることにより、首下ねじ部7のピッチP2を最適なものとすることにより、木ねじ1の性能を更に高めることができることを見出した。まず、発明者らは、木ねじ1による総締付量αに基づいて首下ねじ部7のピッチP2を定めることができることを見出した。具体的には、図3に示すように、首下ねじ部7が通気胴縁30に完全に入り込み、頭部3を締める直前の段階における総締付量αに基づいて、最適なピッチP2を定める。なお、最適なピッチP2は、主ねじ部7のピッチP1に応じて変動するため、本発明においては、ピッチP1に対するピッチP2の割合を示す係数β(以下の式(2)で示される)の最適な範囲を定めるものとする。このとき、係数βは式(1)の関係を満たすことが好ましい。ただし、首下ねじ部7の長さS2は、上述のように5.0≦S2≦25.0mmである。
S2/(S2+6.2)≦β≦1.0 …(1)
β=P2/P1 …(2)
式(1)の導出について説明する。まず、木ねじ1の一回転あたりの締付量は、式(3)に示すように、主ねじ部4と首下ねじ部7のピッチの差(進行速度の差)と等しくなる。一方、首下ねじ部7の前端部7aが通気胴縁30の外面30aと一致する位置から、首下ねじ部7の後端部7bが通気胴縁30の外面30aと一致する位置までの間の木ねじ1の回転数は、式(4)で得られる。従って、総締付量αは、式(5)によって得られる。
一回転あたりの締付量=P1−P2 …(3)
回転数=S2/P2 …(4)
総締付量α=(P1−P2) × (S2/P2) …(5)
ここで、式(5)を係数βで示すと、総締付量αは、式(6)のようにβと長さS2によって表される。
総締付量α=S2・(1−β)/β …(6)
ここで、発明者らは、下木材10と断熱材20との間の境界部分A1における圧縮量、及び断熱材20と通気胴縁30との間の境界部分A2における圧縮量を考慮すると共に、下木材10や通気胴縁30の材質や乾燥状態、断熱材の材質、その他の要因によらず、最適な総締付量αの範囲として、0(mm)≦α≦6.2(mm)とすることを見出した。この範囲の総締付量とすることにより、材質や乾燥状態などについて通常考えられる条件下において、断熱材20の圧縮量を適切なものとすると共に、主ねじ部4の長さS1を25.0〜35.0mmと短い寸法にした場合であっても空回りを抑制することができる。従って、式(6)をαの数値範囲に代入することにより、式(7)が得られる。この式(7)を変形することによって、上述の式(1)で示す関係が得られる。
0(mm)≦S2・(1−β)/β≦6.2 …(7)
また、頭部3を通気胴縁30に締め込む直前の段階において、通気胴縁30と断熱材20との間に一定の圧縮力を生じさせておく場合、総締付量αの範囲を0.4(mm)≦α≦6.2(mm)としてもよい。この場合、係数βの範囲は式(8)で示すようになる。
S2/(S2+6.2)≦β≦S2/(S2+0.4) …(8)
図6は、式(2)及び式(6)に基づいて、所定の条件における総締付量αと係数βの関係を示す表である。図6においては、外断熱構造の分野で広く用いられる寸法として、主ねじ部4のピッチP1の寸法を2.8mmとし、首下ねじ部7の長さS2を11.0mmとしている。図6に示すように、首下ねじ部7のピッチP2が1.8mm以上、2.7mm以下の場合は、総締付量αが0.4(mm)≦α≦6.2(mm)の範囲内となる。
更に、発明者らは、鋭意検討の結果、0.7≦β≦0.9とすることで、更に圧縮量を適切なものとし、空回り防止の確実性を向上することができることを見出した。この範囲によれば、外断熱構造で広く用いられるS2=11.0mm程度の木ねじにおいて特に最適な特性が得られる。
以上によって、本実施形態に係る木ねじ1によれば、首下ねじ部7のピッチP2を主ねじ部4のピッチP1より小さくすることによって、木ねじ1の回転に伴って通気胴縁30が断熱材20から広がってしまうことを防止することができる。これによって締結完了後における外断熱構造の仕上がりを良くすることができると共に、締め付け作業の効率を向上させることができる。更に、首下ねじ部7のピッチP2を最適化することによって、断熱材20の圧縮が大きくなりすぎることを抑制できる。更に、当該圧縮に伴う引張力TFを最適なものとし、主ねじ部4の長さS1を25.0〜35.0mmと短い寸法にしても、空回りを防止することができる。
次に、実施例について説明する。以下の実施例では、主ねじ部4のピッチP1、主ねじ部4の長さS1、首下ねじ部7の長さS2を一定にし、首下ねじ部7のピッチP2を変化させ、頭部3の上面3bが通気胴縁30の外面30aと一致するまで木ねじを締めた。更に、締結時の状況や締結後の状況を判断することで評価を行った。実施例1,2及び比較例1,2,3に係る条件及び結果を図7に示す。
[実施例1]
実施例1に係る木ねじは、主ねじ部4のピッチP1を2.8mmとし、主ねじ部4の長さS1を30.0mmとし、首下ねじ部7の長さS2を11.0mmとし、首下ねじ部7のピッチP2を2.5mmとした。通気胴縁として、構造試験で一般的に用いられる杉材のものを使用し、外断熱構造における一般的な寸法として厚み18mm、幅45mmのものを使用した。下木材として、105×105mmの杉材のものを使用した。断熱材として、ポリスチレンフォームの断熱材、フェノールフォームの断熱材、ウレタンフォームの断熱材をそれぞれ用いた。断熱材の厚みを一般的に適用される寸法である50mmとした。このとき、式(8)に基づくβの範囲は、0.64≦β≦0.96となる。実施例1に係るβの値は0.89である。すなわち、実施例1は、式(8)を満たしている。また、0.7≦β≦0.9の条件も満たしている。
[実施例2]
実施例2に係る木ねじは、首下ねじ部7のピッチP2を2.0としたこと以外は実施例1と同じである。実施例2に係るβの値は0.71である。すなわち、実施例2は、式(8)を満たしている。また、0.7≦β≦0.9の条件も満たしている。
比較例3]
比較例3に係る木ねじは、首下ねじ部7のピッチP2を1.4としたこと以外は実施例1と同じである。実施例3に係るβの値は0.50である。すなわち、実施例3は、式(8)を満たしていない。また、0.7≦β≦0.9の条件も満たしていない。しかし、ピッチP2はピッチP1より小さいという条件は満たしている。
[比較例1]
比較例1に係る木ねじは、首下ねじ部7のピッチP2を3.6としたこと以外は実施例1と同じである。比較例1に係る木ねじのピッチP2は、ピッチP1よりも大きい。
[比較例2]
比較例2に係る木ねじは、首下ねじ部7のピッチP2を3.1としたこと以外は実施例1と同じである。比較例2に係る木ねじのピッチP2は、ピッチP1よりも大きい。
[評価]
比較例1及び比較例2に係る木ねじにおいては、断熱材20と通気胴縁30との間で広がりが発生しており、がたつきが確認された。比較例3に係る木ねじにおいては、広がりは発生しなかった。しかし、木ねじの空回りが発生した。従って、主ねじ部4の長さS1を大きくすることで推進力を確保する必要が生じた。一方、実施例1及び実施例2では、断熱材20と通気胴縁30との間の広がりが発生せず、空回りも発生しなかった。更に、断熱材20の圧縮状況も良好であった。以上より、首下ねじ部7のピッチP2を主ねじ部4のピッチP1より小さくすることによって、断熱材20と通気胴縁30との間の広がりの発生を防止し、締結後の外断熱構造の仕上がりをよくできることが理解される。また、ピッチP2の最適化によって、空回りを防止することができると共に、断熱材20の圧縮が大きくなりすぎることを防止できることが理解される。なお、実施例及び比較例においては、断熱材の材質を変更して実験を行っているが、断熱材の材質によらず全ての断熱材について図7に示すような同様の結果が得られた。このことから、本発明に係る木ねじが断熱材の材質などによらず効果を奏していることが理解される。
1…木ねじ、2…軸部、3…頭部、4…主ねじ部、7…首下ねじ部、10…下木材、20…断熱材、30…通気胴縁(板材)。

Claims (2)

  1. 断熱材を介して下木材と木製の板材とを連結する木ねじであって、
    基端側に頭部が形成された軸部と、
    前記軸部の先端側の領域のみに形成され、連結時に前記下木材に締結され、前記下木材を貫通することなく前記下木材内部に配置される主ねじ部と、
    前記軸部における前記頭部の首下に形成され、連結時に前記板材に締結される首下ねじ部と、を備え、
    前記首下ねじ部のピッチは、前記主ねじ部のピッチP1より小さく
    P1は2.0〜4.0mmであり、
    全長が105mm以上であって、前記主ねじ部の長さが25.0〜35.0mmであり、
    前記主ねじ部のピッチに対する前記首下ねじ部のピッチの割合をβとし、前記首下ねじ部の長さをS2(mm)とした場合、βは式(8)の関係を満たすことを特徴とする木ねじ。
    S2/(S2+6.2)≦β≦S2/(S2+0.4) …(8)
    ただし、5.0≦S2≦25.0mm
  2. 断熱材を介して下木材と木製の板材とを連結する木ねじであって、
    基端側に頭部が形成された軸部と、
    前記軸部の先端側の領域のみに形成され、連結時に前記下木材に締結され、前記下木材を貫通することなく前記下木材内部に配置される主ねじ部と、
    前記軸部における前記頭部の首下に形成され、連結時に前記板材に締結される首下ねじ部と、を備え、
    前記首下ねじ部のピッチは、前記主ねじ部のピッチP1より小さく
    P1は2.0〜4.0mmであり、
    全長が105mm以上であって、前記主ねじ部の長さが25.0〜35.0mmであり、
    前記主ねじ部のピッチに対する前記首下ねじ部のピッチの割合をβとし、前記首下ねじ部の長さをS2(mm)とした場合、0.7≦β≦0.9であり、5.0≦S2≦25.0mmであることを特徴とする木ねじ。
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