JP5337274B2 - 園芸用バリカン - Google Patents
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Description
園芸用バリカンでは、太い枝や金網等の切断不能な異物を噛み込むことによって、シャーブレードがロックされてしまうことがある。シャーブレードが異物によってロックされた場合、利用者は園芸作業を中断して、シャーブレードから異物を取り除く必要がある。このとき、シャーブレードが異物を深く噛み込んでいるために、利用者は異物をなかなか取り除くことができないことも多い。また、シャーブレードから異物を取り除く際に、シャーブレードが損傷を受けることも多い。
この点に関して、特許文献1には、モータを逆方向へ運転する時間について、制限時間を設けることが提案されている。しかしながら、そのような制限時間を設けるだけで、上述の問題を解決することは難しい。例えば、制限時間を短く設定すれば、シャーブレードが再ロックを防止する以前に、シャーブレードに現に生じているロックを解消することすらできなくなる。その一方において、制限時間を長くしていくと、シャーブレードに生じているロックを解消することはできるが、シャーブレードが再ロックを起こす可能性が高くなってしまう。
本発明は、上記の問題を解決する。本発明は、上述したようなシャーブレードの再ロックが防止される園芸用バリカンを実現する。
この構成によると、シャーブレードのロックが解消されたタイミングで、モータの逆方向への運転を速やかに停止することができる。それにより、シャーブレードの再ロックを効果的に防止することができる。
この構成によると、モータを逆方向へ運転する期間の初期では、モータへの印加電圧を比較的に高くすることによって、シャーブレードに生じているロックをより確実に解消することができる。そして、モータを逆方向へ運転する期間の終期では、モータへの印加電圧を比較的に低くすることによって、シャーブレードの再ロックをより確実に防止することができる。
この構成によると、シャーブレードをロックさせた異物に応じて、シャーブレードのロックを解除する際のモータへの印加電圧を調整することができる。即ち、計測された負荷が比較的に大きい場合、シャーブレードをロックさせた異物は、比較的に固いと推測することができる。この場合、モータへの印加電圧を比較的に高くすることによって、シャーブレードのロックを解消することができる。逆に、計測された負荷が比較的に小さい場合、シャーブレードをロックさせた異物は、比較的に柔らかいと推測することができる。この場合、モータへの印加電圧を比較的に低くしても、シャーブレードのロックを解消することができる。モータへの印加電圧を適切に調節することによって、シャーブレードの再ロックを効果的に防止することができる。
シャーブレードがロックする際に、計測される負荷は急激に増大する。このときの増加率は、シャーブレードをロックさせた異物の固さに応じて変化する。そのことから、計測された負荷の増加率を利用すると、シャーブレードをロックさせた異物の固さに応じて、モータへの印加電圧をより適切に調節することができる。
(特徴1)
園芸用バリカンは、一対のシャーブレードと、少なくとも一方のシャーブレードを往復運動させるモータと、モータを制御する制御手段を備えている。この制御手段は、モータを正方向と逆方向の両方向に運転することができる。さらに、この制御手段は、逆方向への運転時におけるモータへの印加電圧を、正方向への運転時におけるモータへの印加電圧よりも、低くすることができる。
この園芸用バリカンでは、シャーブレードが異物によってロックされた場合、モータを逆方向に運転することによって、シャーブレードのロックを解消することができる。モータを逆方向に運転する際には、モータへの印加電圧が低く制限されているので、同一又は他の異物によって、シャーブレードが再ロックされるといったことが防止される。
ここで、モータの回転方向の切り替えは、利用者の操作に応じて行われてもよいし、後述するように、制御回路によって自動的に行われてもよい。
(特徴2)
園芸用バリカンは、一対のシャーブレードがロックしたことを検知するロック検知手段をさらに備えることが好ましい。この場合、制御手段は、一対のシャーブレードのロックが検出された時に、モータの運転を停止することが好ましい。
この構成によると、シャーブレードが異物を深く噛むことによって、シャーブレードが固くロックされるといったことが防止される。従って、逆方向への運転時におけるモータへの印加電圧を小さく抑えることができ、シャーブレードの再ロックを効果的に防止することができる。
(特徴3)
制御手段は、シャーブレードのロックが検出された時に、モータの運転を停止するだけでなく、モータの回転方向を逆方向へ自動的に切り替えることも好ましい。さらに、制御手段は、モータの回転方向を逆方向へ切り替えた後に、モータの再運転を自動的に開始することも好ましい。
これらの構成によると、利用者がスイッチ類を操作することなく、モータの回転方向が自動的に切り替えられ、さらには、モータの逆方向への再運転が自動的に開始される。利用者は、面倒な操作を行うことなく、シャーブレードのロックを解消することができる。また、園芸用バリカンに、モータの回転方向を切り替えるためのスイッチ類を設ける必要がない。
(特徴4)
生垣バリカンは、一対のシャーブレードと、回転することによって一対のシャーブレードを相対的に往復運動させるクランク部材と、クランク部材を回転させるモータを備えている。
(特徴5)
生垣バリカンは、モータに通電されているモータ電流を検出する電流検出回路と、電流検出回路によって検出された電流値に基づいて、シャーブレードがロックしたことを検知するロック検知回路を備えている。ここで、ロック検知回路は、電流検出回路によって検出された電流値が、予め設定された制限値以上であるときに、シャーブレードがロックしたと判定する。ここで、電流検出回路は、モータに対して直列に接続されたシャント抵抗を用いて構成されている。
本体12は、ハウジング30を備えている。ハウジング30には、切断片の飛来を防止するためのチップガード20、利用者が把持するフロントグリップ18及びメイングリップ14が設けられている。メイングリップ14には、生垣バリカン10を起動させるトリガスイッチ16が設けられている。
図2に示すように、上側シャーブレード52aと下側シャーブレード52bは、板状の部材であり、重なって配置されている。上側シャーブレード52aには、複数の刃先58aが形成されている。上側シャーブレード52aの基端部54aには、嵌合孔56aが形成されている。嵌合孔56aは長円形状を有しており、その長径は、上側シャーブレード52aが往復運動する方向に対して垂直に伸びている。同様に、下側シャーブレード52bにも、複数の刃先58bが形成されている。下側シャーブレード52bの基端部54bにも、長円形状を有する嵌合孔56bが形成されている。嵌合孔56bの長径は、下側シャーブレード52bが往復運動する方向に対して垂直に伸びている。
クランク部材60は、一対のシャーブレード52の嵌合孔56a、56bに配設されている。クランク部材60は、上側偏心カム66aと、下側偏心カム66bと、中心シャフト64を備えている。クランク部材60は、ハウジング30内で、中心シャフト64を中心に回転可能に支持されている。上側偏心カム66aと下側偏心カム66bは、同一の直径を有する円板状の部材である。
モータ70がクランク部材60を回転させると、上側偏心カム66aと下側偏心カム66bは、互いに180°の位相差を持って偏心回転する。それにより、一対のシャーブレード52が、180°の位相差を持って往復運動する。即ち、上側シャーブレード52aが前進する間、下側シャーブレード52bは後退し、上側シャーブレード52aが後退する間、下側シャーブレード52bは前進する。一対のシャーブレード52が相対的に往復運動すると、それらの刃先58a、58bが接近と離反を繰り返すことによって、生垣の枝葉がせん断される。
図3に示すように、生垣バリカン10は、直流電源94と、モータ駆動回路80と、ゲート駆動回路86と、制御回路98を備えている。
直流電源94は、外部から供給される交流電力を直流電力に変換する。直流電源94は、モータ駆動回路80を介してモータ70に接続されている。直流電源94からの直流電力は、モータ駆動回路80を介してモータ70に供給される。
エンコーダ72は、モータ70に設けられており、モータ70の回転角を計測する。エンコーダ72は、制御回路98に接続されており、エンコーダ72によって検出されたモータ70の回転角は、制御回路98へ入力される。
シャント抵抗90は、モータ70及び直流電源94に対して、直列に接続されている。シャント抵抗90は、モータ70に通電されている電流に応じて、その出力電圧を変化させる。ここで、モータ70の電流は、一対のシャーブレード52に加えられている負荷に応じて変化する。従って、シャント抵抗90の出力電圧は、一対のシャーブレード52に加えられている負荷に対応している。シャント抵抗90の出力電圧は、ロック検出回路92へ入力される。
ロック検出回路92は、シャント抵抗90の出力電圧に基づいて、一対のシャーブレード52がロック(動作不能)されているのか否かを判定する。詳しくは、ロック検出回路92は、シャント抵抗90の出力電圧が所定の閾値以上であれば、一対のシャーブレード52がロックされたと判定する。ロック検出回路92は、制御回路98に接続されており、ロック検出回路92による判定結果は、制御回路98へ入力される。
利用者がトリガスイッチ16をオン操作するまで、制御回路98は待機状態を維持する(ステップS10)。利用者がトリガスイッチ16をオン操作すると、制御回路98は、ゲート駆動回路86に動作指令を出力し、モータ70の運転を開始する(ステップS20)。このとき、制御回路98は、モータ70の回転方向を正方向に設定し、モータ70への印加電圧を最大に設定する。即ち、制御回路98は、モータ70を正方向に最大出力で運転する。モータ70が正方向に運転されることで、一対のシャーブレード52が往復運動を開始する。利用者は、生垣バリカン10によって、生垣の剪定を開始することができる。
一対のシャーブレード52のロックが検出されると、制御回路98はモータ70の運転を直ちに中止する(ステップS40)。このとき、ゲート駆動回路86は、第1スイッチング素子81と第2スイッチング素子82をオフし、第3スイッチング素子83と第4スイッチング素子84をオンする。それにより、モータ70の両端子70a、70bを電気的に短絡させ、モータ70を強く制動する。モータ70が短絡制動によって速やかに停止することから、一対のシャーブレード52が枝や金網を深く噛み込むことが防止される。
ここで、図5に示すように、制御回路98は、モータ70を逆方向に運転する場合(グラフA)に、モータ70を正方向に運転する場合(グラフB)よりも、モータ70への印加電圧を低く設定する。モータ70への印加電圧を低く設定すると、モータ70の回転速度(単位時間あたりの回転数)や出力トルクは比較的に小さくなる。従って、逆方向に動作する一対のシャーブレード52が、同一又は他の異物を再び噛み込むことによって、再ロックされることが防止される。
なお、逆方向への運転時におけるモータ70への印加電圧は、正方向への運転時におけるモータ70への印加電圧に対して、例えば30〜70パーセントの値に設定することができる。ただし、モータ70への印加電圧を低下させる程度は、特に限定されず、実験等に基づいて適宜設定することができる。
本実施例の生垣バリカン10では、モータ70を逆方向へ運転する場合、モータ70への印加電圧を低くする。即ち、モータ70を逆方向へ運転する場合は、モータ70の回転速度や出力トルクが制限される。それにより、逆方向へ動作する一対のシャーブレード52が、同一又は他の枝や金網によって再ロックされることが防止される。
一対のシャーブレード52がロックする時、一対のシャーブレード52に加えられる負荷は急激に増大する。このときの増加率は、一対のシャーブレード52が噛み込んだ枝や金網の固さに応じて変化する。即ち、噛み込んだ枝や金網が固いときほど、計測される負荷の増大率は大きくなる。従って、計測された負荷の増加率が大きいときほど、逆方向への運転時にモータ70への印加電圧を高くすれば、固い枝や金網を噛み込んだときでも、一対のシャーブレード52のロックを確実に防止することができる。
実施例2の生垣バリカン10においても、一対のシャーブレード52のロックが検出されると(ステップS30)、モータ70の運転が停止される(ステップS40)。ここまでの処理については、実施例1の生垣バリカン10に等しい。しかしながら、実施例2の生垣バリカン10では、モータ70の逆方向への運転が、自動的に開始されることはない。図8に示すように、本実施例の生垣バリカン10では、トリガスイッチ16がオフ操作された時点で(ステップS42)、モータ70の回転方向が逆方向に切り替えられる(ステップS50)。そして、トリガスイッチ16が再びオン操作された時点で(ステップS52)、モータ70の逆方向への運転が開始される。
実施例3の生垣バリカン10においても、一対のシャーブレード52のロックが検出されると(ステップS30)、モータ70の運転が停止される(ステップS40)。ここまでの処理については、実施例1、2の生垣バリカン10に等しい。しかしながら、実施例3の生垣バリカン10では、モータ70の逆方向への運転が、自動的に開始されることはない。さらに、実施例3の生垣バリカン10では、トリガスイッチ16がオフ操作されても(ステップS42)、モータ70の回転方向が自動的に切り替えられることはない。図10に示すように、実施例3の生垣バリカン10では、トリガスイッチ16がオフ操作された後(ステップS42)、切替スイッチ102が操作された時点で(ステップS44)、モータ70の回転方向が逆方向へ切り替えられる(ステップS50)。そして、トリガスイッチ16が再びオン操作された時点で(ステップS52)、モータ70の逆方向への運転が開始される。
例えば、本明細書で説明した生垣バリカン10の技術的特徴は、芝生バリカン等の他の種類の園芸用バリカンにも好適に適用することができる。
また、本明細書で説明した生垣バリカン10は、一対のシャーブレード52がスライドするように(直線的に)往復運動するタイプの園芸用バリカンであるが、生垣バリカン10の技術的特徴は、一対のシャーブレードが揺動するように往復運動するタイプの園芸用バリカンにも好適に適用することができる。
16:トリガスイッチ
50:ブレードアセンブリ
52a:上側シャーブレード
52b:下側シャーブレード
60:クランク部材
70:モータ
72:エンコーダ
80:モータ駆動回路
81、82、83、84:スイッチング素子
86:ゲート駆動回路
90:シャント抵抗
92:ロック検出回路
94:直流電源
98:制御回路
102:切替スイッチ
Claims (6)
- 一対のシャーブレードと、
少なくとも一方のシャーブレードを往復運動させるモータと、
利用者によって操作されるモータの起動スイッチと、
起動スイッチに加えられた操作に応じてモータを制御する制御手段と、
一対のシャーブレードがロックしたことを検知するロック検知手段を備え、
制御手段は、モータを正方向と逆方向の両方向に運転可能であり、一対のシャーブレードのロックが検出された時にモータの運転を停止するとともに、その状態で起動スイッチが再度オン操作された時に限って、モータを逆方向へ運転することを特徴とする園芸用バリカン。 - モータの回転角を検出する回転角検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、モータの逆方向への運転を開始してから、モータが所定の回転角だけ回転した時点で、モータの運転を停止することを特徴とする請求項1に記載の園芸用バリカン。 - 前記制御手段は、逆方向への運転時におけるモータへの印加電圧を、経時的に低下させることを特徴とする請求項1又は2に記載の園芸用バリカン。
- 一対のシャーブレードに加えられている負荷を計測する負荷計測手段をさらに備え、
前記制御手段は、正方向への運転時に計測された負荷が大きいときほど、その後の逆方向への運転時におけるモータへの印加電圧を高くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の園芸用バリカン。 - 前記制御手段は、正方向への運転時に計測された負荷の増加率が大きいときほど、その後の逆方向への運転時におけるモータへの印加電圧を高くすることを特徴とする請求項4に記載の園芸用バリカン。
- 前記制御手段は、モータの運転を停止する際に、モータを短絡制動することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の園芸用バリカン。
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