以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、ここでは、本発明に係る実施形態を4種類に分けて例示するが、これらを組み合わせて実施することももちろん可能である。また、これらの実施形態においては、互いに共通する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略することとする。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム1の全体構成を概略的に示す図である。同図に示すように、この移動通信システム1は、移動通信端末10aおよび10bと、移動パケット通信網90とを備える。移動通信端末10aおよび10bは、移動パケット通信網90を介して相互に無線通信を行う通信端末である。移動通信端末10aおよび10bは、ここでは携帯電話機であるとする。移動パケット通信網90は、所定の通信事業者(いわゆるキャリア)による管理の下、移動通信端末10aおよび10bにパケット通信サービスを提供するネットワークである。なお、移動通信端末10a、10bを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「移動通信端末10」という。また、実際のシステムにおいては、移動通信端末10は、図示したよりも多く存在し得る。これらの移動通信端末10のユーザは、それぞれ、上述した通信事業者と移動パケット通信網90の利用契約をあらかじめ締結しているものとする。
次に、図2を参照して移動パケット通信網90の構成を説明する。同図に示すように、移動パケット通信網90は、基地局91a、91b、91c、91d、91eおよび91fと、加入者交換局92a、92bおよび92cと、関門交換局93と、サービス制御局94と、メールサーバ95とを備える。なお、基地局91a〜91fを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「基地局91」といい、交換局92a〜92cを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「加入者交換局92」という。また、実際のシステムにおいては、基地局91、加入者交換局92および関門交換局93は、図示したよりも多く存在し得る。
基地局91は、所定の範囲の無線通信エリアを形成し、当該エリアに在圏する移動通信端末10と無線通信を行う。加入者交換局92は、所定の基地局91と通信を行うとともに、いわゆる交換処理を行う。なお、1の加入者交換局92には複数の基地局91が属しており、これらの基地局91と通信を行うように構成されている。関門交換局93は、加入者交換局92、サービス制御局94およびメールサーバ95と通信を行うとともに、外部ネットワーク2(インターネット等)との相互通信を実現する。サービス制御局94は、移動通信端末10のユーザに関する情報(以下「加入者情報」という。)と、移動通信端末10の在圏状況を示す情報(以下「在圏情報」という。)とを記憶する位置情報データベースDB1を備え、いわゆる位置登録を実現する。また、サービス制御局94は、移動通信端末10からの問い合わせに応じて、所定の移動通信端末10の在圏情報を通知する機能を有する。メールサーバ95は、電子メールの送受信を行うサーバ装置であり、移動通信端末10から送信された電子メールを外部ネットワーク2または関門交換局93に送信し、外部ネットワーク2または関門交換局93から受信した電子メールを関門交換局93に送信する。
ここで、位置情報データベースDB1に記憶されるデータについて説明する。図3は、位置情報データベースDB1に記憶されるデータを示す図である。同図に示すように、位置情報データベースDB1には、「加入者識別情報」と「在圏情報」とが対応付けられて記憶されている。加入者識別番号は、移動通信端末10の各々のユーザを一意的に表す情報であり、在圏情報は、それぞれの移動通信端末10が在圏している位置を所定の範囲(エリア)で表す情報である。本実施形態においては、加入者識別番号として電子メールアドレスを用い、在圏情報として加入者交換局92を一意的に特定する情報(以下「交換局ID」という。)を用いている。なお、説明の便宜上、ここでは、交換局IDを加入者交換局92の符号の末尾に付したアルファベットで表記している。すなわち、同図において、「a」という交換局IDは加入者交換局92aに対応し、「b」という交換局IDは加入者交換局92bに対応する、ということである。図2を参照すると、加入者交換局92aは基地局91aおよび91bと通信を行うように構成されているから、「a」という交換局IDにより表される在圏情報は、基地局91aと91bの無線通信エリアを足し合わせたエリアを表すこととなる。なお、位置情報データベースDB1には、加入者識別情報以外の加入者情報も記憶されているが、その説明は省略する。
続いて、図4のブロック図を参照して移動通信端末10の構成を説明する。同図に示すように、移動通信端末10は、制御部11と、無線通信部16と、操作部17と、表示部18と、GPS(Global Positioning System)受信部19とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14およびEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)15を備え、CPU12がRAM14をワークエリアとして用いてROM13やEEPROM15に記憶されたプログラムを実行し、これにより移動通信端末10の各部の動作を制御する。なお、EEPROM15は、後述するデータやプログラムの他に、いわゆるアドレス帳として電話番号や電子メールアドレスを記憶している。無線通信部16はアンテナ161を備え、移動パケット通信網90とのデータの送受信を無線で行う。操作部17はボタン等の操作子を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部11に供給する。表示部18は液晶ディスプレイや液晶駆動回路を備えた表示装置であり、制御部11から供給される表示データに応じた画像を表示する。GPS受信部19はアンテナ191を備え、NAVSTAR(NAVigation Satellite Timing And Ranging)衛星(いわゆるGPS衛星)から送信されている電波を受信する。
ROM13は、あらかじめいくつかのプログラムを記憶している。以下ではこれを「プリインストールプログラム」という。具体的には、プリインストールプログラムは、マルチタスクオペレーティングシステム(以下「マルチタスクOS」という。)、Java(登録商標)プラットフォームおよびネイティブアプリケーションの各プログラムである。これらのプログラムについて概説すると、まず、マルチタスクOSは、TSS(Time-Sharing System)による複数タスクの擬似的な並列実行を実現するために必要な仮想メモリ空間の割り当てなどの各種機能をサポートしたオペレーティングシステムである。Javaプラットフォームは、マルチタスクOSを搭載した携帯機器において後述するJava実行環境114を実現するためのコンフィギュレーションであるCDC(Connected Device Configuration)にしたがって記述されたプログラム群である。ネイティブアプリケーションは、通話や測位、電子メールの送受信などといった移動通信端末10の基本的なサービスを実現するプログラムであり、測位サービスの提供を受けるためのアプリケーション(後述する測位アプリ112)や電子メール送受信サービスの提供を受けるためのアプリケーション(後述するメーラ113)を含む。
EEPROM15は、Javaアプリケーションが記憶されるJavaアプリケーション格納領域を有する。Javaアプリケーションは、Java実行環境下における処理の手順自体を記述した実体プログラムとその実体プログラムの実行に伴って利用される画像ファイルや音声ファイルとを結合したJAR(Java Archive)ファイルと、そのJARファイルのインストールや起動、各種の属性を記述したADF(Application Descriptor File)とを有している。このJavaアプリケーションは、コンテンツプロバイダまたは通信事業者により作成されて外部ネットワーク2のサーバ装置などに格納され、移動通信端末10からの要求に応じてそれらのサーバ装置から適宜ダウンロードされるようになっている。
図5は、ROM13およびEEPROM15に記憶された各種プログラムの実行により移動通信端末10の制御部11に実現される各部の論理的構成を示す図である。同図に示すように、各種プログラムを実行する移動通信端末10には、測位アプリ112、メーラ113およびJava実行環境114がOS111上に実現され、また、EEPROM15には第1ストレージ115と第2ストレージ116とが確保される。測位アプリ112およびメーラ113は、ROM13のネイティブアプリケーションにより実現されるものである。測位アプリ112は、GPS受信部19が受信した電波に基づいて自機の位置を特定する機能を実現し、メーラ113は、電子メールの送受信などの機能を実現する。また、測位アプリ112およびメーラ113が実現する機能の詳細については、さらに後述する。
Java実行環境114は、ROM13のJavaプラットフォームにより実現される。Java実行環境114は、クラスライブラリ117、JVM(Java Virtual Machine)118およびJAM(Java Application Manager)119からなる。クラスライブラリ117は、特定の機能を有するプログラムモジュール(クラス)群を1つのファイルに結合したものである。JVM118は、上述のCDCのために最適化されたJava実行環境であり、Javaアプリケーションとして提供されるバイトコードを解釈して実行する機能を有する。JAM119は、Javaアプリケーションのダウンロードやインストール、起動・終了などを管理する機能を有する。
第1ストレージ115は、JAM119の管理の下にダウンロードされるJavaアプリケーション(JarファイルとADF)を格納する領域である。第2ストレージ116は、Javaアプリケーションの実行の際に生成されたデータをその終了後に格納しておくための領域であり、インストールされたJavaアプリケーション毎に個別の格納領域が割り当てられるようになっている。そして、あるJavaアプリケーションに割り当てられた格納領域のデータは、そのJavaアプリケーションが実行されている間のみ書き換え可能となっており、別のJavaアプリケーションが書き換えを行い得ないようになっている。
ここで、測位アプリ112およびメーラ113により実現される機能について説明する。測位アプリ112は、複数のNAVSTAR衛星から受信した電波に基づき、移動通信端末10の位置を表す情報を算出する機能を有する。このとき算出される情報のことを、以下では「GPS位置情報」という。本実施形態においては、GPS位置情報は、緯度および経度によって表される情報であるとする。NAVSTAR衛星が送信する電波には、時刻を表す信号と自衛星の位置を示す信号とが含まれており、移動通信端末10は、複数のNAVSTAR衛星からこの電波を受信することにより、自機の位置を特定することが可能となっている。なお、NAVSTAR衛星から受信した電波に基づいて自機の位置を特定する方法は周知であるため、ここではその説明を省略する。
続いて、図6は、メーラ113により実現される機能を示す機能ブロック図である。同図に示すように、メーラ113が実現する機能は、文字入力機能113aと、データ送信機能113bと、データ受信機能113cとに大別される。文字入力機能113aは、電子メールの宛先、件名およびメール本文として記述される文字列を確定する機能である。文字入力機能113aは、より詳細には、ユーザにより入力された文字を文字列として表示する機能と、その文字列に対応する変換後の文字列(以下「変換文字列」という。)を表示する機能と、ユーザにいずれか1つの変換文字列を選択させ、文字データとして確定する機能とに分かれる。また、データ送信機能113bは、文字入力機能113aにより確定された文字データに基づいて所定の形式の電子メールデータを生成し、これを移動パケット通信網90に送信する機能である。そして、データ受信機能113cは、移動パケット通信網90から電子メールデータを受信し、そこに含まれる文字データを表示する機能である。なお、データ送信機能113bおよびデータ受信機能113cは、周知の電子メールの送受信機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
文字入力機能113aは、辞書テーブルTB1と、位置属性テーブルTB2と、文字列属性テーブルTB3とを参照することにより実現される。これらのテーブルは、ROM13またはEEPROM15に記憶されており、その内容は、例えば以下のようになっている。
図7は、辞書テーブルTB1の内容を示す図である。辞書テーブルTB1は、変換後の文字とそのよみがなとを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「文字列」と「よみがな」の2列のフィールドにより構成されるレコード(行)の集合体である。「文字列」のフィールドには、1または複数の文字を組み合わせることにより構成された熟語や定型文などの文字列を示す値(データ)が記憶される。また、「よみがな」のフィールドには、当該レコードが表す文字列に対応するよみがなを示す値が記憶される。同図においては、いずれのフィールドも表意性のある文字で表されているが、実際に記憶されている値は、文字コード等の所定のコード情報により表される値である。
なお、「文字列」のフィールドが表す文字と「よみがな」のフィールドが表す文字とでは、その表示態様の少なくとも一部が異なっている。また、「よみがな」の値は、「文字列」のフィールドが表す文字の実際の読みと必ずしも一致していなくてもよい。例えば、「Good morning」という値を有する「文字列」のフィールドに「おはよう」という「よみがな」を対応付けてもよい。また、ここにおける文字列とは、いわゆる絵文字(所定の文字コードに割り当てられた画像)や顔文字(人間の顔などを模した文字や記号の列)であってもよい。
図8は、位置属性テーブルTB2の内容を示す図である。位置属性テーブルTB2は、位置とその位置に関する属性とを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「位置情報」と「属性」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「位置情報」のフィールドには、所定の位置を範囲(エリア)で表す値が記憶される。また、「属性」のフィールドには、位置情報が表すエリアに対応する属性を表す値が記憶される。本実施形態においては、「位置情報」の値は、緯度および経度を用いて表されるとする。また、本実施形態においては、「属性」の値は3種類であり、それぞれが「都市部(1)」、「海岸部(2)」または「山間部(3)」を表すとする。
ここで、位置属性テーブルTB2のレコードが表す意味について、具体的な例を用いて説明する。例えば、図8に示した位置属性テーブルTB2の第1行のレコードは、「位置情報」の値が「N35°40’、E139°44’」であり、「属性」の値が「1」である。すなわち、このレコードは、緯度が北緯35度40分0秒から北緯35度40分59秒であり、かつ、経度が東経139度44分0秒から東経139度44分59秒である四辺形状のエリアに、「都市部」という属性が関連付けられていることを表している。これはつまり、このエリアが都市部であるということを意味している。
図9は、文字列属性テーブルTB3の内容を示す図である。文字列属性テーブルTB3は、文字列と、その文字列に割り当てられた場所に関する属性とを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「文字列」と「属性」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「文字列」のフィールドには、辞書テーブルTB1の「文字列」のフィールドと同様の値が記憶される。なお、この文字列属性テーブルTB3には、辞書テーブルTB1に記憶されている文字列の一部または全部が記憶されている。また、「属性」のフィールドには、位置属性テーブルTB2の「属性」のフィールドと同様の値が記憶される。すなわち、本実施形態においては、「属性」の値は「1(都市部)」、「2(海岸部)」、「3(山間部)」の3種類である。
ここで、文字列属性テーブルTB3のレコードが表す意味について、具体的な例を示して説明する。例えば、図9に示した文字列属性テーブルTB3の第1行のレコードは、「文字列」の値が「会議(かいぎ)」であり、「属性」の値が「1」である。すなわち、このレコードは、「会議」という文字列には「都市部」という属性が対応付けられていることを表している。これはつまり、この文字列が都市、すなわち仕事や生活の場に関連するものであることを意味している。また、図9に示した文字列属性テーブルTB3の第3行のレコードは、「文字列」の値が「海岸(かいがん)」であり、「属性」の値が「2」である。すなわち、このレコードは、「海岸」という文字列には「海岸部」という属性が対応付けられていることを表している。これはつまり、この文字列が海岸、すなわち海やその周辺に関連するものであることを意味している。
続いて、操作部17の構成について、特に電子メールを送信する際に用いられるものを中心に説明する。図10は、操作部17の外観構成を示す図である。同図に示すように、操作部17は、メールボタンBmと、ダイヤルボタンB1〜B0と、上選択ボタンBuと、下選択ボタンBdと、確定ボタンBfと、送信ボタンBsとを備える。以下、それぞれのボタンに割り当てられた機能について説明する。
メールボタンBmは、ユーザが電子メールの作成を行うときに押下するボタンである。メールボタンBmが押下されると、制御部11はメーラ113を起動させる。ダイヤルボタンB1〜B0は、ユーザが文字を入力するときに押下するボタンである。ダイヤルボタンB1〜B0は、それぞれ、あ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行またはわ行(わ、を、ん)に対応している。ダイヤルボタンB1〜B0が押下されると、制御部11は、それぞれのボタンとその押下回数に応じた文字を表示部18に表示させる。例えば、ダイヤルボタンB1が1回押下されると、表示部18には「あ」が表示され、ダイヤルボタンB2が3回押下されると、表示部18には「く」が表示される。上選択ボタンBuおよび下選択ボタンBdは、ユーザが選択対象を移動させるときに押下するボタンである。上選択ボタンBuが押下されると、制御部11は選択対象を上方向に移動させるように表示を制御し、下選択ボタンBdが押下されると、制御部11は選択対象を下方向に移動させるように表示を制御する。確定ボタンBfは、ユーザが選択対象を確定させるときに押下するボタンである。確定ボタンBfが押下されると、制御部11は、そのときの選択対象に応じてその後の処理の内容を特定する。送信ボタンBsは、ユーザが電子メールの内容を確定させて送信ときに押下するボタンである。送信ボタンBsが押下されると、制御部11は、ユーザが入力した内容に基づいて電子メールデータを生成し、送信する。
移動通信システム1の構成は以上の通りである。続いて、この移動通信システム1を用いて移動通信端末10が電子メールを送信する場合の動作について、本発明に特徴的な部分を中心に説明する。つまり、以下の説明において中心となるのは、上述した文字入力機能113aおよびデータ送信機能113bに関する部分である。なお、以下の説明においては、電子メールを送信する際の一般的な処理については、その説明を適宜省略する。
まず、移動通信端末10は、メーラ113の起動に先立って、GPS位置情報を算出し、これを記憶する処理を行う。この処理は、移動通信端末10の制御部11が測位アプリ112を実行することにより実現される。制御部11は、ユーザの要求によらずに、いわゆるバックグラウンドでこの処理を行う。このとき算出されるGPS位置情報は、緯度と経度により表される情報であり、制御部11によってRAM14またはEEPROM15の所定の記憶領域に記憶される。なお、この処理は、所定の時間間隔で実行されてもよいし、移動通信端末10が属する無線通信エリアが他の基地局91の無線通信エリアに切り替わる毎に実行されてもよい。
続いて、ユーザがメールボタンBmを押下し、移動通信端末10の制御部11がメーラ113を起動させたときに実行される処理について、図11のフローチャートに沿って説明する。メーラ113が起動されると、はじめに制御部11は、自機の位置を表すGPS位置情報を所定の記憶領域から読み出す(ステップSa1)。このとき、制御部11のCPU12は、RAM14またはEEPROM15の所定の記憶領域からGPS位置情報を取得する。続いて、制御部11は、読み出したGPS位置情報と位置属性テーブルTB2とに基づいて、自機の位置に割り当てられた属性を特定する(ステップSa2)。ステップSa2における具体的な動作は、以下の通りである。
ステップSa2において、制御部11は、位置属性テーブルTB2の「位置情報」の値とGPS位置情報とを比較し、自機の位置を含む「位置情報」の値を有するレコードを特定する。そして、制御部11は、このとき特定したレコードの「属性」の値を参照し、この値が表す属性を自機の位置に割り当てられた属性として特定する。例えば、位置属性テーブルTB2が図8に示した内容であるとすると、取得したGPS位置情報が「北緯35度40分12秒、東経139度44分37秒」である場合には、制御部11は、自機の位置に割り当てられた属性が「都市部」であると特定する。
次に、制御部11は、「宛先」、「件名」および「本文」のいずれを入力するかをユーザに選択させるための画面を表示部18に表示させる(ステップSa3)。このとき表示部18に表示される画面のことを、以下では「入力選択画面」という。図12は、入力選択画面の一例を示す図である。この画面においては、「宛先」、「件名」および「本文」の項目が選択可能となっており、選択対象の項目が反転表示(すなわち白抜き表示)される。ユーザは、図10に示す上選択ボタンBuまたは下選択ボタンBdを押下して選択対象を移動させ、所望の項目において図10に示す確定ボタンBfを押下することにより、入力する項目を選択する。ユーザが入力する項目を選択するまでの間、制御部11は、操作部17から操作信号の供給を受け付けるとともに、その操作信号に応じて表示部18に表示内容を変化させながら確定ボタンBfが押下されるのを待つ。
図11の説明に戻る。確定ボタンBfが押下されたことを表す操作信号を受け付けたら、制御部11は、ユーザが選択した項目を判断する(ステップSa4)。制御部11は、この判断結果に応じて異なる処理を行うが、「件名」が選択された場合と「本文」が選択された場合とではほぼ同様の処理を行うため、ここではこれらをまとめて説明する。なお、ユーザにより「宛先」が選択された場合(ステップSa4:NO)、制御部11は、ユーザに宛先(すなわち電子メールアドレス)を選択させるための画面を表示部18に表示させる(ステップSa18)。このとき表示される画面は、例えば、アドレス帳として記憶された電子メールアドレスの一覧を表示する画面などである。
ユーザにより「件名」または「本文」が選択された場合(ステップSa4:YES)、制御部11は、「件名」または「本文」を入力するための画面を表示部18に表示させる(ステップSa5)。このとき表示部18が表示する画面のことを、以下では「文字列入力画面」という。図13は、文字列入力画面の一例を示す図であり、「本文」を入力するための画面である。同図に示すように、文字列入力画面は、入力文字列表示領域A1と、変換候補表示領域A2とを有する。入力文字列表示領域A1は、ユーザが入力した文字のうちの未確定の文字を文字列として表示する領域である。変換候補表示領域A2は、入力文字列表示領域A1に表示されている文字列に対応する複数の変換文字列(以下「変換候補」という。)をリストにして表示する領域である。
再び図11の説明に戻る。文字列入力画面を表示させたら、制御部11は、ユーザが文字列を入力するのを待つ。すなわち、制御部11は、ユーザが文字を入力したか否かを判断する(ステップSa6)。具体的には、制御部11は、ダイヤルボタンB1〜B0に対応する操作信号が供給されたか否かを判断する。そして、操作信号を取得することによりユーザが文字を入力したと判断したら(ステップSa6:YES)、制御部11は取得した操作信号に応じた文字列を入力文字列表示領域A1に表示させる(ステップSa7)。このとき、制御部11は、この文字列を表示させるための表示データを表示部18に供給する。
このとき、制御部11は、辞書テーブルTB1の内容を参照し、入力文字列表示領域A1に表示された文字列と「よみがな」の値の先頭部分とが一致するレコードが存在するか否かを判断する(ステップSa8)。ここにおいて、条件に合致するレコードが存在しない場合(ステップSa8:NO)、制御部11は変換候補が存在しないと判断し、変換候補表示領域A2に変換文字列を表示させない(ステップSa19)。
一方、条件に合致するレコードが存在する場合(ステップSa8:YES)、制御部11は、条件に合致するレコードが複数存在するか否かをさらに判断する(ステップSa9)。そして、条件に合致するレコードが1つのみであれば(ステップSa9:NO)、制御部11は、そのレコードの「文字列」のフィールドの値を変換文字列として変換候補表示領域A2に表示させる(ステップSa20)。
条件に合致するレコードが複数存在する場合(ステップSa9:YES)、制御部11は、変換候補をどのような順序で表示させるかを決定する処理を行う。具体的には、まず、制御部11は、文字列属性テーブルTB3を参照することにより、上述の複数のレコードが表す文字列(すなわち変換文字列)に対応する属性を特定する(ステップSa10)。このとき、制御部11は、上述の複数のレコードの各々の「文字列」の値と同一の値を有するレコードを文字列属性テーブルTB3から特定し、そのレコードの「属性」の値を参照することにより変換文字列の属性を特定する。続いて、制御部11は、ステップSa2において特定した自機の位置の属性とステップSa10において特定した各変換文字列の属性とに基づいて、変換候補である変換文字列について表示の優先度を決定する(ステップSa11)。
ここで、優先度の決定方法について説明する。制御部11は、自機の位置の属性と一致する属性を有する変換文字列に対して、他の変換文字列よりも高い優先度を付与する。なお、自機の位置の属性と異なる属性を有する変換文字列に付与される優先度は任意であり、周知の方法を適宜用いてよい。例えば、制御部11は、過去に変換文字列として確定された頻度を各文字列について記憶しておき、頻度が高い文字列ほど優先度を高くするようにしてもよい。同様に、自機の位置の属性と一致する属性を有する変換文字列が複数存在する場合にも、過去により多く確定された変換文字列の優先度がより高くなるようにしてもよい。
このようにして変換文字列の優先度を決定したら、制御部11は、決定した優先度に基づいた順序で変換文字列を変換候補表示領域A2に表示させる(ステップSa12)。このとき、制御部11は、優先度の高いものほど少ない操作で選択できるように変換文字列を表示させる。
変換文字列を表示した後、すなわちステップSa12またはSa20における表示の後、制御部11は、ユーザによりいずれかの変換文字列が選択されたか否かを判断する(ステップSa13)。具体的には、制御部11は、確定ボタンBfに対応する制御信号が供給されたか否かを判断する。そして、ユーザによりいずれかの変換文字列が選択された場合(ステップSa13:YES)、制御部11は、選択された変換文字列を文字データの一部として確定する。
ユーザにより選択された変換文字列を確定させた場合(ステップSa13)または宛先を選択させるための画面を表示させた場合(ステップSa20)、制御部11は、ユーザが入力した項目(宛先、件名または本文)の内容が確定したか否かを判断する(ステップSa14)。そして、ユーザが入力した項目の内容が確定したと判断された場合(ステップSa14:YES)、制御部11は、入力項目の全ての内容が確定したか否かを判断する(ステップSa15)。これらの判断は、例えば、ユーザが確定ボタンBfを押下したか否かによって行う。
なお、変換文字列が選択されていない場合(ステップSa13:NO)またはユーザが入力した項目の内容が未確定である場合(ステップSa14:NO)、制御部11は、ユーザが再び文字列を入力するのを待ち(ステップSa6)、このステップ以降の処理を繰り返す。また、入力項目の全ての内容が確定していない場合(ステップSa15:NO)、制御部11は、再び入力選択画面を表示させ(ステップSa3)、このステップ以降の処理を繰り返す。
入力項目の全ての内容が確定したと判断された場合(ステップSa15:YES)、制御部11は、ユーザにより電子メールの送信が指示されたか否かを判断する(ステップSa16)。具体的には、制御部11は、送信ボタンBsに対応する制御信号が供給されたか否かを判断する。そして、電子メールの送信が指示された場合(ステップSa16:YES)、制御部11は、ユーザが入力した内容に基づいて電子メールデータを生成し、これを送信する(ステップS17)。
移動通信端末10が電子メールを送信するまでの処理は、以上の通りである。続いて、上述した処理を実行することによって表示部18により表示される画面について、具体的な例を挙げて説明する。ここでは、ユーザが「かい」という文字列を入力した場合を例に説明する。なお、以下の説明においては、辞書テーブルTB1、位置属性テーブルTB2および文字列属性テーブルTB3としては、それぞれ、図7〜図9に示されたものを用いるとする。
まず、取得したGPS位置情報が「北緯35度40分12秒、東経139度44分37秒」である場合について説明する。図8の位置属性テーブルTB2によれば、このGPS位置情報に割り当てられた属性は「都市部」であるから、制御部11は、この属性が関連付けられている変換文字列を優先的に表示させる。図7の辞書テーブルTB1および図9の文字列属性テーブルTB3によれば、よみがなの先頭部分が「かい」であり、かつ、「都市部」という属性が関連付けられている文字列は「会議(かいぎ)」と「会社(かいしゃ)」である。よって、制御部11は、これらの文字列を他の文字列よりも優先的に表示させる。具体的には、例えば、変換候補表示領域A2に変換候補が表示される場合において、最上位の変換候補が最初に選択対象(反転表示)となるような態様であるときには、制御部11は、図14に示すように、「都市部」という属性が関連付けられている「会議」や「会社」といった文字列を、その他の文字列よりも上位に表示させる。
これに対して、取得したGPS位置情報が「北緯35度37分43秒、東経139度47分4秒」である場合、このGPS位置情報に割り当てられた属性は「海岸部」である。そのため、制御部11は、図15に示すように、「海岸部」という属性が関連付けられている「海岸」や「海水浴」といった文字列を、その他の文字列よりも上位に表示させる。変換候補がこのように表示されることにより、ユーザは、所持する移動通信端末10の位置(すなわち自己の位置)との関連性がより高い変換文字列を、より少ない操作で選択・確定することが可能となる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。上述の第1実施形態が自機の位置に応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものであるのに対して、本実施形態は、電子メールの送信先である通信端末の位置に応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものである。以下では、この本実施形態の特徴に係る部分を中心に説明する。
本実施形態の全体構成は、図1に示した移動通信システム1と同様である。ただし、移動通信端末が記憶するデータ等は、上述した第1実施形態と異なる。そこで、本実施形態では、移動通信端末の符号を「移動通信端末20a」および「移動通信端末20b」とし、上述した第1実施形態の移動通信端末10(10aおよび10b)と区別する。そして、移動通信端末20a、20bを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「移動通信端末20」という。なお、移動パケット通信網90の構成は第1実施形態と同様であり、図2に示した通りである。
本実施形態においては、移動通信端末20は、位置登録において用いられる在圏情報を利用して電子メールの送信先の通信端末の位置を特定する。それゆえ、移動通信端末20は、位置とその位置に関する属性とを関連付ける方法が上述した第1実施形態とは異なっている。
本実施形態の移動通信端末20は、図8に示した位置属性テーブルTB2に代えて、図16に示す位置属性テーブルTB2aを記憶している。同図に示すように、位置属性テーブルTB2aは、「位置情報」と「属性」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「位置情報」のフィールドには、加入者交換局92の交換局IDに相当する値が記憶される。また、「属性」のフィールドには、位置情報が表す位置(エリア)に対応する属性を表す値が記憶される。つまり、位置属性テーブルTB2aは、「位置情報」が表す対象が交換局IDである点において位置属性テーブルTB2と異なる。なお、位置属性テーブルTB2aの「属性」の値は、位置属性テーブルTB2と同様の3種類である。
ここで、位置属性テーブルTB2aのレコードが表す意味について、具体的な例を用いて説明する。上述したように、「位置情報」のフィールドに記憶される値は、交換局IDに相当する値である。この交換局IDは、対応する加入者交換局92に属している基地局91の無線通信エリアを表している。例えば、図16に示した位置属性テーブルTB2aの第1行のレコードは、「位置情報」の値が「a」であり、「属性」の値が「1」である。それゆえ、このレコードは、基地局91aおよび91bにより形成される無線通信エリアに「都市部」という属性が関連付けられていることを意味している。同様に、位置属性テーブルTB2aの第2行のレコードは、基地局91cおよび91dにより形成される無線通信エリアに「海岸部」という属性が関連付けられていることを意味し、第3行のレコードは、基地局91eおよび91fにより形成される無線通信エリアに「山間部」という属性が関連付けられていることを意味している。
移動通信端末20の構成は以上の通りである。続いて、移動通信端末20の制御部11がメーラ113を起動させたときに実行される処理について、図17のフローチャートに沿って説明する。なお、同図においては、図11のフローチャートを参照して説明した処理と同様の処理を行うステップについては、図11のフローチャートに示したステップと同一の符号を用いている。これらのステップについては、その具体的な説明を省略する。また、本実施形態においては、電子メールの送信先は、移動パケット通信網90によるパケット通信サービスを利用する移動通信端末20であることを前提とする。
メーラ113が起動されると、はじめに制御部11は、ユーザに宛先(すなわち電子メールアドレス)を選択させるための画面を表示部18に表示させる(ステップSb1)。本実施形態において、宛先を最初に選択させるのは、件名や本文に対応する文字列の入力の前に送信先の電子メールアドレスを特定するためである。このとき表示される画面は、例えば、アドレス帳として記憶された電子メールアドレスの一覧を表示する画面などである。宛先を最初に選択させるための画面を表示させたら、制御部11は、ユーザが電子メールアドレスを入力するのを待つ。すなわち、制御部11は、ユーザが電子メールアドレスを入力したか否かを判断する(ステップSb2)。
電子メールアドレスが入力されたら、制御部11は、送信先の移動通信端末20の在圏情報を取得する(ステップSb3)。具体的には、制御部11は、入力された電子メールアドレスを、基地局91等を介してサービス制御局94に送信する。サービス制御局94は、この電子メールアドレスを受信すると、この電子メールアドレス(すなわち加入者識別情報)に対応付けられて記憶されている交換局ID(すなわち在圏情報)を位置情報データベースDB1から読み出し、これを電子メールアドレスの送信元の移動通信端末20に通知するようになっている。
このようにして、在圏情報、すなわち送信先の移動通信端末20が在圏する位置を表す情報を取得したら、制御部11は、送信先の移動通信端末20の位置の属性を特定する(ステップSb4)。制御部11は、位置属性テーブルTB2aを参照することにより、取得した在圏情報に関連付けられた属性を特定する。例えば、位置属性テーブルTB2aが図16に示した内容であるとすると、取得した在圏情報が「a」である場合には、制御部11は、自機の位置に関連付けられた属性が「都市部」であると特定する。
続いて、制御部11は、「件名」および「本文」のいずれを入力するかをユーザに選択させるための画面を表示部18に表示させる(ステップSb5)。このとき表示される画面は、図12の入力選択画面と異なり、「件名」および「本文」の項目のみが選択可能となっている。これは、宛先の内容は既に確定しているからである。
その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて文字列の表示等を行うが、変換文字列の表示の優先度の決定(ステップSb6)は、第1実施形態と異なる方法で行う。ステップSb6において、制御部11は、ステップSb4において特定した送信先の移動通信端末20の位置の属性とステップSa10において特定した各変換文字列の属性とに基づいて、変換候補である変換文字列について優先度を決定する。制御部11は、送信先の移動通信端末20の位置の属性と一致する属性を有する変換文字列に対して、他の変換文字列よりも高い優先度を付与する。その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて電子メールデータの送信等を行う。
このような処理を実行したときの作用について、移動通信端末20aから移動通信端末20bに宛てて電子メールを送信する場合を例に説明する。なお、ここにおいて、移動通信端末20bの電子メールアドレスは「def@****.jp」であるとし、位置情報データベースDB1、辞書テーブルTB1、文字列属性テーブルTB3および位置属性テーブルTB2aの内容は、それぞれ、図3、図7、図9および図16に示した通りであるとする。例えば、ユーザが移動通信端末20bを宛先として入力し、その後、「かい」という文字列を入力したとすると、移動通信端末20aの制御部11は、在圏情報として「b」という交換局IDを取得するから、位置属性テーブルTB2aの内容に基づき、移動通信端末20bが在圏するエリアを「海岸部」として特定する。そのため、このとき制御部11は、「海岸部」という属性が割り当てられている「海岸」や「海水浴」といった変換文字列を、その他の変換文字列よりも上位に表示させる。つまり、このとき表示される画面は、図15のようになる。
このような処理を実行することにより、移動通信端末20は、送信先の移動通信端末20の位置に関連付けられた属性を有する変換文字列を、他の変換文字列よりも優先的に表示することが可能となる。これにより、ユーザは、送信先の移動通信端末20の位置(すなわち通信相手の位置)との関連性がより高い変換文字列を、より少ない操作で選択・確定することが可能となる。
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。上述した第1および第2実施形態が、移動通信端末の位置に応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものであるのに対して、本実施形態は、電子メールを送信する時間に応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものである。以下では、この本実施形態の特徴に係る部分を中心に説明する。
本実施形態の全体構成は、図1に示した移動通信システム1と同様である。ただし、移動通信端末の構成や記憶するデータ等は、上述した第1実施形態と異なる。そこで、本実施形態では、移動通信端末の符号を「移動通信端末30」とし、上述した第1実施形態の移動通信端末10と区別する。なお、移動パケット通信網90の構成は第1実施形態と同様であり、図2に示した通りである。
図18は、移動通信端末30の構成を示すブロック図である。移動通信端末30は、制御部11と、無線通信部16と、操作部17と、表示部18と、GPS受信部19と、タイマ31とを備える。タイマ31は発振回路を備えており、制御部11からの要求に応じて、その要求時の時刻を表す時間情報を供給する。時間情報は、例えば「01.23.45(1時23分45秒)」というように、時、分および秒により表される情報である。なお、制御部11、無線通信部16、操作部17、表示部18およびGPS受信部19の構成は、移動通信端末10と同様である。
また、本実施形態の移動通信端末30は、図8に示した位置属性テーブルTB2に代えて、図19に示す時間帯属性テーブルTB4を記憶している。時間帯属性テーブルTB4は、時間とその時間に割り当てられた属性とを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「時間帯情報」と「属性」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「時間帯情報」のフィールドには、1日を所定の範囲で区切った時間帯を表す値が記憶される。また、「属性」のフィールドには、時間帯情報が表す時間帯に対応する属性を表す値が記憶される。本実施形態においては、「時間帯情報」の値は、時、分および秒を用いて表されるとする。また、本実施形態においては、「属性」の値は3種類であり、それぞれが「朝(1)」、「昼(2)」または「夜(3)」を表すとする。
ここで、時間帯属性テーブルTB4のレコードが表す意味について、具体的な例を用いて説明する。例えば、図19に示した時間帯属性テーブルTB4の第1行のレコードは、「時間帯情報」の値が「0.00.00-4.59.59」であり、「属性」の値が「3」である。すなわち、このレコードは、0時0分0秒から4時59分59秒の時間帯に「夜」という属性が関連付けられていることを表している。これはつまり、この時間帯を夜とみなすことを意味している。また、第2行以降のレコードについても同様に、5時0分0秒から11時59分59秒までを朝、12時0分0秒から17時59分59秒までを昼、18時0分0秒から23時59分59秒までを夜とみなすことを意味している。
また、本実施形態の移動通信端末30は、図9に示した文字列属性テーブルTB3に代えて、図20に示す文字列属性テーブルTB3aを記憶している。文字列属性テーブルTB3aは、文字列とその文字列に割り当てられた属性とを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「文字列」と「属性」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「文字列」のフィールドには、辞書テーブルTB1の「文字列」のフィールドと同様の値が記憶される。なお、この文字列属性テーブルTB3aには、辞書テーブルTB1に記憶されている文字列の一部または全部が記憶されている。また、「属性」のフィールドには、時間帯属性テーブルTB4の「属性」のフィールドと同様の値が記憶される。すなわち、本実施形態においては、「属性」の値は「1(朝)」、「2(昼)」、「3(夜)」の3種類である。つまり、図20に示した文字列属性テーブルTB3aの第1行および第2行のレコードは、「お早うございます」という文字列には「朝」という属性が割り当てられており、「お休みなさい」という文字列には「夜」という属性が割り当てられていることをそれぞれ表している。
移動通信端末30の構成は以上の通りである。続いて、移動通信端末30の制御部11がメーラ113を起動させたときに実行される処理について、図21のフローチャートに沿って説明する。なお、同図においては、図11のフローチャートを参照して説明した処理と同様の処理を行うステップについては、図11のフローチャートに示したステップと同一の符号を用いている。これらのステップについては、その具体的な説明を省略する。
メーラ113が起動されると、はじめに制御部11は、タイマ31から時間情報を取得する(ステップSc1)。このとき取得された時間情報が表す時刻のことを、以下では「現在時刻」という。続いて、制御部11は、取得した時間情報と時間帯属性テーブルTB4とに基づいて、現在時刻に割り当てられた属性を特定する(ステップSc2)。ステップSc2における具体的な動作は、以下の通りである。
ステップSc2において、制御部11は、時間帯属性テーブルTB4の「時間帯情報」の値と時間情報とを比較し、「時間帯情報」の値が現在時刻を含むレコードを特定する。そして、制御部11は、このとき特定したレコードの「属性」の値を参照し、この値が表す属性を現在時刻に割り当てられた属性として特定する。例えば、時間帯属性テーブルTB4が図20に示した内容であるとすると、取得した時間情報が「9.00.00(9時0分0秒)」である場合には、制御部11は、現在時刻に割り当てられた属性が「朝」であると特定する。
その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて文字列の表示等を行うが、変換文字列の表示の優先度の決定(ステップSc3)は、第1実施形態と異なる方法で行う。ステップSc3において、制御部11は、ステップSc2において特定した現在時刻の属性とステップSa10において特定した各変換文字列の属性とに基づいて、変換候補である変換文字列について優先度を決定する。制御部11は、送信先の移動通信端末20の位置の属性と一致する属性を有する変換文字列に対して、他の変換文字列よりも高い優先度を付与する。その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて電子メールデータの送信等を行う。
このような処理を実行したときの作用について説明する。なお、ここにおいて、位置情報データベースDB1、辞書テーブルTB1、時間帯属性テーブルTB4および文字列属性テーブルTB3aの内容は、それぞれ、図3、図7、図19および図20に示した通りであるとする。例えば、現在時刻が10時台である場合に、ユーザが「お」という文字列を入力したとすると、移動通信端末30の制御部11は、時間帯属性テーブルTB4の内容に基づき、現在時刻を「朝」という時間帯として特定する。そのため、このとき制御部11は、図22に示すように、「朝」という属性が割り当てられている「お早うございます」という変換文字列を、「夜」という属性が割り当てられている「お休みなさい」という変換文字列よりも上位に表示させる。
このような処理を実行することにより、移動通信端末30は、現在時刻に関連付けられた属性を有する変換文字列を他の変換文字列よりも優先的に表示することが可能となる。これにより、ユーザは、現在時刻(すなわち電子メールを送信する時刻)との関連性がより高い変換文字列を、より少ない操作で選択・確定することが可能となる。
[第4実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態を説明する。上述した第1および第2実施形態が、移動通信端末の位置に応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものであるのに対して、本実施形態は、自機の近傍に存在する移動通信端末応じて変換候補の表示順序を異ならせることを特徴とするものである。以下では、この本実施形態の特徴に係る部分を中心に説明する。
本実施形態の全体構成は、図1に示した移動通信システム1と同様である。ただし、移動通信端末の構成や記憶するデータ等は、上述した第1実施形態と異なる。そこで、本実施形態では、移動通信端末の符号を「移動通信端末40a」および「移動通信端末40b」とし、上述した第1実施形態の移動通信端末10(10aおよび10b)と区別する。そして、移動通信端末40a、40bを特に区別する必要がない場合には、これらを総称して「移動通信端末40」という。なお、移動パケット通信網90の構成は第1実施形態と同様であり、図2に示した通りである。
図23は、移動通信端末40の構成を示すブロック図である。移動通信端末40は、制御部11と、無線通信部16と、操作部17と、表示部18と、GPS受信部19と、近距離無線通信部41とを備える。なお、制御部11、無線通信部16、操作部17、表示部18およびGPS受信部19の構成は、移動通信端末10と同様である。近距離無線通信部41はアンテナ411を備えており、自機の近傍の所定の範囲内に存在する移動通信端末40と無線通信を行う。近距離無線通信部41の通信方式は任意であるが、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した方式を用いることができる。この方式を用いた場合、半径10m程度の範囲内で端末間の通信を行うことが可能である。
制御部11は、近距離無線通信部41を介して、他の移動通信端末40を識別可能な情報を取得できるように構成されている。このとき取得される情報のことを、以下では「端末識別情報」という。端末識別情報は、例えばあらかじめ定められた適当な文字列であってもよいし、電話番号や電子メールアドレスであってもよいが、説明の便宜上、本実施形態においては、移動通信端末40の符号の末尾に付したアルファベットを用いる。
本実施形態の移動通信端末40は、図9に示した文字列属性テーブルTB3に代えて、図24に示す文字列条件テーブルTB5を記憶している。文字列条件テーブルTB5は、文字列とその文字列に割り当てられた所定の条件とを関連付けて記憶するテーブルであり、同図に示すように、「文字列」と「条件情報」の2列のフィールドにより構成されるレコードの集合体である。「文字列」のフィールドには、辞書テーブルTB1の「文字列」のフィールドと同様の値が記憶される。なお、この文字列属性テーブルTB3には、辞書テーブルTB1に記憶されている文字列の一部または全部が記憶されている。
また、「条件情報」のフィールドには、表示の優先度を決定する所定の条件を表す値が記憶されている。この所定の条件とは、端末識別情報や自機の近傍に存在する移動通信端末40の数などである。例えば、図24に示した文字列条件テーブルTB5の第1行のレコードの「条件情報」の値は、取得した端末識別情報が「b」であることを表している。これは、上述した「所定の条件」が、「端末識別情報が『b』である移動通信端末40(すなわち移動通信端末40b)が自機の近傍に存在していること」であることを意味している。また、図24に示した文字列条件テーブルTB5の第4行のレコードの「条件情報」の値は、取得した端末識別情報の総数が所定数(ここでは「5」)以上であることを表している。これは、上述した「所定の条件」が、「自機の近傍に5機以上の移動通信端末40が存在していること」であることを意味している。なお、「条件情報」のフィールドは、その全てに有意の値が記憶されている必要はなく、条件を設定する必要があるレコードのみに値が記憶されていればよい。
移動通信端末40の構成は以上の通りである。続いて、移動通信端末40の制御部11がメーラ113を起動させたときに実行される処理について、図25のフローチャートに沿って説明する。なお、同図においては、図11のフローチャートを参照して説明した処理と同様の処理を行うステップについては、図11のフローチャートに示したステップと同一の符号を用いている。これらのステップについては、その具体的な説明を省略する。
メーラ113が起動されると、はじめに制御部11は、近距離無線通信部41を介して端末識別情報を取得する(ステップSd1)。そして、制御部11は、取得した端末識別情報に基づいて、自機の近傍に存在する移動通信端末40とその数を特定する(ステップSd2)。その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて文字列の表示等を行う(ステップSa3〜Sa9)。
入力文字列表示領域A1に表示された文字列と「よみがな」の値の先頭部分とが一致するレコードが複数存在する場合(ステップSa9:YES)、制御部11は、文字列条件テーブルTB5を参照することにより、上述の複数のレコードが表す文字列(すなわち変換文字列)に対応する条件情報を特定する(ステップSd3)。そして、制御部11は、特定した条件情報に基づいて、変換候補である変換文字列について表示の優先度を決定する(ステップSd4)。
ここで、優先度の決定方法について説明する。制御部11は、ステップSd3において特定した条件情報と、ステップSd2において特定された自機の近傍に存在する移動通信端末40とその数とを参照し、条件が満たされた変換文字列が存在するか否かを判断する。そして、条件を満たす変換文字列が存在する場合には、制御部11は、その変換文字列に対して他の変換文字列よりも低い優先度を付与する。その後、制御部11は、上述した第1実施形態と同様の要領にて電子メールデータの送信等を行う。
このような処理を実行したときの作用について説明する。なお、ここにおいて、動作の主体は移動通信端末40aであるとし、辞書テーブルTB1および文字列条件テーブルTB5の内容は、それぞれ、図3および図24に示した通りであるとする。例えば、自機の近傍に移動通信端末40bが存在している場合に、ユーザが「ばか」という文字列を入力したとすると、移動通信端末40aの制御部11は、文字列条件テーブルTB5の内容に基づき、「馬鹿」という変換文字列の優先度を他の「化かす」や「バカンス」といった変換文字列の優先度よりも低くする。そのため、このとき制御部11は、図26に示すように、「化かす」や「バカンス」といった変換文字列を「馬鹿」という変換文字列よりも上位に表示させる(例1)。
また、例えば、自機の近傍に5機以上の移動通信端末40が存在している場合に、ユーザが「はな」という文字列を入力したとすると、移動通信端末40aの制御部11は、文字列条件テーブルTB5の内容に基づき、「花子ちゃん」という変換文字列の優先度を他の「花」や「鼻」といった変換文字列の優先度よりも低くする。そのため、このとき制御部11は、図27に示すように、「花」や「鼻」といった変換文字列を「花子ちゃん」という変換文字列よりも上位に表示させる(例2)。
このような処理を実行することにより、移動通信端末40は、自機の近傍に存在する移動通信端末40、すなわちユーザの周囲にいる他のユーザの存在に応じて特定の変換文字列を表示しにくくしたり、あるいは表示させやすくしたりすることが可能となる。例えば、親が子供に持たせる移動通信端末40に対して、表示や入力が不適切な表現(例えば、乱暴な言葉や低劣な言葉など)についてあらかじめ例1のような要領で条件情報を設定しておくことで、親が子供の近くにいるときには、子供が上述の不適切な表現を選択しにくくすることが可能となる。この場合、さらには、所定の条件を満たす変換文字列を表示させないようにすることにより、子供の移動通信端末40に不適切な表現が表示されないようにし、子供が不適切な表現を目にする機会を減少させることも可能である。
また、例えば、他人に見られたくない表現(例えば、個人のプライバシーに関する言葉や業務上の秘密に関する言葉など)についてあらかじめ例2のような要領で条件情報を設定しておくことで、不特定多数の他のユーザが文字列入力画面を見得る状況にある場合には、他人に見られたくない表現を表示しにくくすることが可能となる。これにより、ユーザが秘密にしたい事項が他人に露見することを抑制することが可能となる。
[変形例]
以上においては、4種類の実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の態様にて実施することも可能である。本発明においては、例えば、上述した実施形態に対して以下のような変形を適用することができる。なお、これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
上述した第1実施形態においては、自機の位置情報としてGPS位置情報を用い、上述した第2実施形態においては、送信先の位置情報として在圏情報を用いるとしたが、自機の位置情報として在圏情報を用いたり、送信先の位置情報としてGPS位置情報を用いたりしてもよい。また、上述した実施形態においては、在圏情報は複数の基地局91の無線通信エリアを足し合わせたエリアを表す情報であるとしたが、在圏情報を単一の基地局91の無線通信エリアにより構成してもよい。このようにすれば、在圏情報の精度をより高めることが可能となる。
また、上述した第2実施形態においては、送信先の位置情報として在圏情報を取得し、これに関連付けられた属性を参照することにより変換文字列の表示の優先度を決定するとしたが、在圏情報に代えて、上述した属性を位置情報として取得するような構成としてもよい。例えば、サービス制御局に在圏情報と属性の関連付けを記憶させ、サービス制御局がこの属性を表す情報を移動通信端末に送信する構成としてもよい。
また、上述した第3実施形態においては、時間情報が時刻を表す情報であり、この時間情報に対して「朝」、「昼」および「夜」という属性を関連付けるとしたが、属性の区切りをより短い期間としたり、あるいはより長い期間としてもよい。例えば、時間情報を月日をも表す情報とし、この時間情報に対して「春」、「夏」、「秋」および「冬」という属性を関連付けるようにしてもよい。このようにすれば、季節との関連性が高い変換文字列を優先的に表示させることが可能となる。また、例えば、就業時間中には業務との関連性が高い変換文字列を優先的に表示させたり、あるいは、休日には娯楽との関連性が高い変換文字列を優先的に表示させたりしてもよい。
また、上述した実施形態においては、電子メッセージの一例として電子メールを示して説明したが、ユーザが作成する電子メッセージは電子メールに限られず、例えば、いわゆるSMS(Short Message Service)であってもよい。また、送信先の存在を必要としない実施形態(すなわち、第2実施形態以外)については、電子メッセージにおける文字入力のみならず、その他の種々の文字入力に適用可能である。
なお、種々の文字入力に用いることができるようにするためには、表示の優先度を決定する処理に必要な機能を単一のプログラムとして構成し、いわゆるライブラリの形態にて提供するのが望ましい。また、このようなプログラムを、CD−ROM等の記録媒体に記録して提供したり、所定のサーバ装置からインターネットや移動パケット通信網を介して提供したりすることも可能である。
また、上述した実施形態においては、位置や時間帯といった属性を表す情報を、辞書テーブルTB1とは別個に設ける構成としたが、例えば、辞書テーブルを複数設け、それぞれの辞書テーブルに属性を関連付ける構成にしてもよい。要するに、本発明においては、上述した辞書テーブルTB1に相当するデータ(「文字列」および「変換文字列」)と属性に対応する情報とが何らかの関連付けを有して記憶されていれば足り、その具体的な記憶の態様は特に限定されないということである。なお、複数の辞書テーブルのそれぞれに属性を関連付ける構成とした場合には、入力された文字列に対応する変換文字列の表示に際して、特定された属性に関連付けられた辞書テーブルのみを用いてもよいし、当該辞書テーブルに記憶された変換文字列を優先的に用いつつ、その他の辞書テーブルに記憶された変換文字列を併せて用いるような制御を行ってもよい。
また、上述した実施形態においては、文字入力を行う移動通信端末として携帯電話機を例示したが、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistants)やノート型のパーソナルコンピュータを用いてもよい。また、移動通信端末のみならず、サーバ装置やデスクトップ型のパーソナルコンピュータのような据え置き型の通信端末を用いてもよい。
また、上述した実施形態においては、変換文字列を優先的に表示させる場合の表示態様として、他の変換文字列よりも上位に表示させる例を示したが、変換文字列を優先的に表示させる場合の表示態様は、このような例に限定されない。例えば、変換候補が1つずつ表示されるような場合であれば、優先度の高い変換文字列が他の変換文字列よりも先に表示されるような態様であってもよい。要するに、優先度の高い変換文字列ほど少ない操作で選択・確定することが可能な表示態様であれば、いかなる態様であってもよい。
また、上述した実施形態においては、いわゆる推測変換における変換候補の表示動作を説明したが、入力した文字列と完全に一致する変換候補のみを表示させるかな漢字変換に本発明を適用することも、もちろん可能である。
1…移動通信システム、2…外部ネットワーク、10、10a、10b、20、20a、20b、30、40、40a、40b…移動通信端末、11…制御部、12…CPU、13…ROM、14…RAM、15…EEPROM、16…無線通信部、17…操作部、18…表示部、19…GPS受信部、31…タイマ、41…近距離無線通信部、90…移動パケット通信網、91、91a、91b、91c、91d、91e、91f…基地局、92、92a、92b、92c…加入者交換局、93…関門交換局、94…サービス制御局、95…メールサーバ