以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図2は、第1実施形態の電力線搬送通信装置における停電検出動作を説明するための図である。図2(A)は、一対の第1および第3端子T1、T3から入力される電力の電圧波形を示す図であり、図2(B)は、図1に示す停電検出部におけるポイントAおよびポイントBの出力電圧波形を示す図である。図2の横軸は、時間であり、その縦軸は、電圧である。
まず、第1実施形態における電力線搬送通信装置の構成について説明する。図1において、電力線搬送通信装置(以下、「PLC装置」と略記する。)Saは、主に電力を供給するための配線(電力線)を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能をさらに備える装置である。このPLC装置Saは、例えば、電力線搬送通信用停電検出部(以下、「PLC用停電検出部」と略記する。)1aと、電力線搬送通信部(以下、「PLC部」と略記する。)2と、電源部3とを備えて構成される。
PLC部2は、電力線を用いて電力線搬送通信(PLC)を行うための装置である。PLC部2は、PLC用停電検出部1aに接続され、これによってPLC用停電検出部1aを介して電力線に接続される。PLC部2は、例えば、送受信回路21と、電力線搬送通信モデム回路(以下、「PLCモデム回路」と略記する。)22とを備えて構成される。
送受信回路21は、PLC用停電検出部1aを介して電力線に接続され、受信回路(不図示)と送信回路(不図示)とを備えて構成される。送受信回路21の前記受信回路は、例えば、PLCの周波数帯域を透過するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力を増幅してPLCモデム回路22へ出力する増幅回路とを備えて構成され、送受信回路21の前記送信回路は、例えば、PLCモデム回路22に接続され、PLCの周波数帯域を透過するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力を増幅して出力する増幅回路とを備えて構成される。バンドパスフィルタによってPLCにとって不要な周波数帯域のノイズが除去または抑制され、増幅回路によって所定レベルに信号が増幅される。PLCモデム回路22は、送受信回路21に接続され、送受信回路21の前記受信回路から入力されたPLCの通信信号から受信データを復調するとともに、送信データをPLCの通信信号に変調して送受信回路21の前記送信回路へ出力する回路である。これら受信データおよび送信データは、自機で処理すべきデータであってもよく、また、このPLC装置Saに接続される図略の上位の装置で処理すべきデータであってもよい。
電源部3は、例えば当該PLC装置Saにおいて電力を必要とする各部へ、より具体的には本実施形態では例えばPLC部2へ、電力供給を行うための装置である。電源部3は、PLC用停電検出部1aに接続され、これによってPLC用停電検出部1aを介して電力線に接続される。電源部3は、例えば、商用電源の交流を直流に整流する整流回路31と、整流回路31の出力を平滑する平滑回路32と、平滑回路32の出力を所定の電圧レベルに昇圧または降圧する定電圧回路33とを備えて構成される。整流回路31は、例えば、半波整流回路または全波整流回路を備えて構成される。平滑回路32は、例えば、平滑コンデンサを備えて構成される。定電圧回路33は、例えば、DC−DCコンバータを備えて構成される。
PLC用停電検出部1aは、電力線に接続され、電力線の停電を検出するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12aとを備えて構成される。
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
一対の第1ないし第4端子T1〜T4は、当該PLC用停電検出部1aと電力線や他の装置とを電気的に接続するための端子である。第1端子(第A端子)T1は、PLCの通信信号を電力線との間で入出力すべく電力線に接続するための端子であり、例えば、栓刃を備えて構成される。第2端子T2は、PLCの通信信号をPLC部2との間で入出力すべくPLC部2に接続するための端子である。第3端子(第B端子)T3は、電力線から商用電源の電力供給を受けるべく電力線に接続するための端子であり、例えば、栓刃を備えて構成される。第4端子T4は、他の装置へ商用電力を供給すべく他の装置に接続するための端子である。第4端子T4は、例えば、コンセントの受け刃であってもよい。
例えば、図1に示すように、単相三線式で商用電源の電力が供給される電力線にPLC装置Saが接続される場合では、一対の第1端子T11と第1端子T12とは、単相三線式の電圧線L2と電圧線L1とにそれぞれ接続するための端子として機能し、そして、一対の第3端子T31と第3端子T32とは、単相三線式の中性線Nと電圧線L1とにそれぞれ接続するための端子として機能している。また、第2端子T2は、PLC部2に接続するための端子として機能し、そして、第4端子T4は、電源部3に接続するための端子として機能している。
ここで、注目すべきは、一対の第1端子(第A端子)T1の一方と一対の第3端子(第B端子)T3の一方とは、接続または兼用されていることである。図1に示す例では、一対の第1端子T1の一方T12と一対の第3端子T3の一方T32とが兼用されている。なお、図示しないが第1端子T12と第3端子T32とは、別体に構成され、例えば、配線(リード線)や配線パターン等の電路等で接続されてもよい。
一対の第1および第2電路VL1、VL2は、端子間を電気的に接続するためのものであり、例えば、配線(リード線)や配線パターン等である。一対の第1電路VL11および第1電路VL12は、その一方端が一対の第1端子T11および第1端子T12にそれぞれ接続され、その他方端が第2端子T21および第2端子T22にそれぞれ接続される。このように一対の第1端子T1と一対の第2端子T2とは、一対の第1電路VL1によって接続される。また、一対の第2電路VL21および第2電路VL22は、その一方端が一対の第3端子T31および第3端子T32にそれぞれ接続され、その他方端が第4端子T41および第4端子T42にそれぞれ接続される。このように一対の第3端子T3と一対の第4端子T4とは、一対の第2電路VL2によって接続される。
PLC部2は、図1に示す例では、一対の第2端子T2に接続され、一対の第2端子T2を介して一対の第1電路VL1に接続されているが、PLC部2は、一対の第2端子T2を介することなく、一対の第1電路VL1に直接的に接続されてもよい。このような場合では、PLC用停電検出部1aは、一対の第2端子T2を備える必要がない。後述の第2ないし第6実施形態においても同様である。
また、電源部3は、図1に示す例では、一対の第4端子T4に接続され、一対の第4端子T4を介して一対の第2電路VL2に接続されているが、電源部3は、一対の第4端子T4を介することなく、一対の第2電路VL2に直接的に接続されてもよい。このような場合では、PLC用停電検出部1aは、一対の第4端子T4を備える必要がない。後述の第2ないし第6実施形態においても同様である。
結合部11は、一対の第1端子T1と一対の第2端子T2との間に接続される。図1に示す例では、結合部11は、一対の第1端子T1と一対の第2端子T2との間に接続される一対の第1電路VL1における所定位置に介挿されている。結合部11は、一対の第1端子T1を介して接続される電力線を伝送するPLCの通信信号をこの一対の第1端子T1を介して取り出すとともに、前記電力線を通電する電力に重畳するようにこの一対の第1端子T1を介して前記電力線へPLCの通信信号を出力する回路である。結合部11は、例えば、商用電源の商用周波数に対して充分に高インピーダンスを持つ結合コンデンサC2と、1次巻き線が結合コンデンサC2と直列に接続され、PLCの通信信号成分を1次側から2次側へ伝達することができる結合トランスTcとを備えて構成される。結合コンデンサC2と結合トランスTcとの直列接続回路は、一対の第1端子T1間(第1端子T11と第1端子T12間)に接続され、結合トランスTcの2次巻き線は、一対の第2端子T2間(第2端子T21と第2端子T22間)に接続される。図1に示す例では、結合コンデンサC2と結合トランスTcとの直列接続回路は、一対の第1端子T1に接続されている側における一対の第1電路VL1間(第1電路VL11と第1電路VL12間)に接続され、結合トランスTcの2次巻き線は、一対の第2端子T2に接続されている側における一対の第1電路VL1間に接続されている。結合トランスTcによってPLCの通信信号成分は、結合部11の入力側(第1端子T1側)と出力側(第2端子T2側)とで電気的に接続される一方、商用電源の周波数成分は、結合部11の入力側と出力側とで電気的に絶縁される。なお、結合部11の入力側と出力側とで電気的な絶縁が必要ではない場合には、結合トランスTcに代え、インダクタが用いられてもよい。この例では、本実施形態の結合部11は、結合コンデンサC2と結合トランスTcの1次巻き線との直列接続回路によって構成されるフィルタ回路、あるいは、結合コンデンサC2とインダクタとの直列接続回路によって構成されるフィルタ回路を備えている。このフィルタ回路は、商用電源の電力を略カットすべく、商用電源の電力を搬送する周波数を含む周波数帯域を略遮断するとともに、PLCの通信信号成分を透過すべく、PLCの通信信号を搬送する周波数を含む周波数帯域を透過する回路である。このように本実施形態の結合部11は、フィルタ回路を備えて構成されているため、低コスト化および省スペースを図ることができる。
停電検出部12aは、一対の第3端子T3に接続され、第3端子T3における停電を検出する回路である。停電検出部12aは、例えば、図1に示すように、第1ないし第4抵抗素子R1〜R4と、第1フォトカプラPC1と、トランジスタTrと、第1コンデンサC1と、第1検出部I1とを備えて構成される。
第1フォトカプラPC1は、その入力側が第1抵抗素子R1を介して一対の第3端子T3に接続され(図1に示す例では一対の第2電路VL2に接続され)、その出力側が第2抵抗素子R2を介して電源Vに接続されている。より具体的には、第1フォトカプラPC1は、第1発光ダイオードD1と、第1フォトトランジスタPTr1とを備えて構成されている。第1抵抗素子R1と第1発光ダイオードD1との直列接続回路は、第1発光ダイオードD1のアノードが第1抵抗素子R1を介して第3端子T31に接続されるとともに、第1発光ダイオードD1のカソードが第3端子T32に接続されることによって、第3端子T31と第3端子T32との間に接続されている。図1に示す例では、第1抵抗素子R1と第1発光ダイオードD1との直列接続回路は、第1発光ダイオードD1のアノードが第1抵抗素子R1を介して第2電路VL22に接続されるとともに、第1発光ダイオードD1のカソードが第2電路VL22に接続されることによって、第2電路VL21と第2電路VL22との間に接続されている。第1フォトトランジスタPTr1は、そのコレクタが第2抵抗素子R2を介して所定の電源Vに接続され、そのエミッタが接地される。そして、第1フォトトランジスタPTr1のコレクタは、トランジスタTrの制御端子であるベースに接続されている。
トランジスタTrは、そのコレクタが第3抵抗素子R3を介して所定の電源V’に接続され、そのエミッタが接地される。そして、トランジスタTrのコレクタは、第4抵抗素子R4を介して第1検出部I1に接続されている。
第1コンデンサC1は、第4抵抗素子R4と第1検出部I1との間に接続されている。すなわち、第1コンデンサC1は、第1検出部I1に接続されるとともに第4抵抗素子R4を介してトランジスタTrのコレクタに接続されており、第1フォトカプラPC1の出力に基づいて充電される。
第1検出部I1は、例えば、集積回路(IC)によって構成され、第1コンデンサC1の端子間電圧(両端電圧)に基づいて第3端子T3における停電(図1に示す例では第2電路VL2における停電)を検出する回路である。より具体的には、後述するように、停電していない場合では第1コンデンサC1の端子間電圧が所定の範囲(非停電範囲)内の値を取ることから、第1検出部I1は、第1コンデンサC1の端子間電圧が、予め設定された上限検出閾値Th1と下限検出閾値Th2との間における非停電範囲内の値であるか否かを判断し、第1コンデンサC1の端子間電圧が前記非停電範囲を逸脱した場合に、停電と判断し、その旨を表す停電検出信号を出力する。すなわち、第1検出部I1は、第1コンデンサC1の端子間電圧が上限検出閾値Th1を上回った場合に停電と判断するとともに、第1コンデンサC1の端子間電圧が下限検出閾値Th2を下回った場合に停電と判断し、停電検出信号を出力する。
上限検出閾値Th1は、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る上限値あるいは前記上限値にマージンを考慮した値に設定される。そして、下限検出閾値Th2は、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る下限値あるいは前記下限値にマージンを考慮した値に設定される。
なお、電源部3は、インピーダンスアッパ回路(不図示)を介して一対の第3端子T3(一対の第2電路VL2)に接続されてもよい。インピーダンスアッパ回路は、そのインピーダンスが商用電源の商用周波数(例えば50Hzや60Hz)に対して低いとともにPLCに利用される周波数に対して高い特性を持つ回路である。商用電源の商用周波数に対して低いインピーダンス特性とは、インピーダンスによる損失(ロス)が少ないという意味である。PLCに利用される周波数に対して高いインピーダンス特性とは、本PLC装置Saを電力線に接続した場合に、電力線を伝送するPLCの通信信号の伝送距離に与える影響が少ないという意味である。PLCに利用される周波数は、低速PLCの周波数帯における周波数や、高速PLCの周波数帯における周波数である。インピーダンスアッパ回路は、例えば、一対の入力端子と一対の出力端子との間に設けられる一対のインダクタ(コイル)を備えて構成される。一対のインダクタは、商用周波数に対して低いとともにPLCに利用される周波数に対して高いインピーダンス特性を持つ。
次に、第1実施形態におけるPLC装置Saの動作について説明する。このような構成のPLC装置Saが電力線に第1および第3端子T1、T3を介して接続され、例えば、図略の起動スイッチがオンされると、PLC装置Saは、その動作を開始する。
例えば、商用電源の電力が単相三線式で供給される場合では、一対の第3端子T31および第3端子T32は、図1に示すように、単相三線式の中性線Nおよび電圧線L1にそれぞれ接続され、電源部3は、一対の第3端子T3を介してN−L1の単相100Vで商用電源の電力供給を受け、交流を所定電圧の直流に変換して駆動電力をPLC部2へ供給する。そして、一対の第1端子T11および第1端子T12は、図1に示すように、単相三線式の電圧線L2および電圧線L1にそれぞれ接続され、PLC部2は、電源部3から供給された駆動電力によって動作し、一対の第1端子T1を介して接続されるL1−L2の単相200Vの電力線を用いたPLCが可能となる。このようにPLC部2と電源部3とは、異なる相の電力線に接続される。L1−L2の単相200Vの電力線は、一般に、エアコンディショナやIHI調理器等の限られた家庭電化製品しか接続されないので、例えばN−L1の単相100Vの電力線やN−L2の単相100Vの電力線に較べてノイズが少なく比較的良好にPLCを行うことができる。なお、PLC部2は、N−L1またはN−L2に接続され、N−L1の単相100Vの電力線またはN−L2の単相100Vの電力線を用いてPLCを行ってもよい。
そして、停電していない場合では、PLC装置SaのPLC用停電検出部1aにおける停電検出部12aには、一対の第3端子T3を介してN−L1の商用電源の電力が入力される。すなわち、図2(A)に実線で示すように、大略、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の正弦波に応じた第1電圧波形で、停電検出部12aには、商用電源の電力が入力される。
ここで、本実施形態では、結合部11がフィルタ回路で構成されているため、図1に破線で示す電流経路で、一対の第1端子T1の他方T11および一対の第3端子T3の他方T31を介して、N−L2の商用電源の電力に起因する電流が、前記フィルタ回路を介して僅かながら停電検出部12aに流れ込み、前記第1電圧波形には、この電流による電圧も重畳されている。すなわち、第1端子T11から第1電路VL11、結合部11(結合トランスTcおよび結合コンデンサC2)、第1電路VL12、第2電路VL22(第1端子T12=第3端子T32)、第1抵抗素子R1および第1フォトカプラPC1(第1発光ダイオードD1)を介して第2電路VL21(第3端子T31)に至る電流経路である。
すなわち、N−L1の商用電源の電圧波形をN−L1電圧波形とし、N−L2の商用電源の電圧波形をN−L2電圧波形とすると、第1電圧波形は、N−L1電圧波形に結合部11による僅かな電圧レベルのN−L2電圧波形を重畳した波形であり、略N−L1電圧波形となる。
なお、上述したように、一対の第1端子(第A端子)T1の一方T12と一対の第3端子(第B端子)T3の一方T32とは、接続または兼用されており、この一対の第1端子T1の他方T11は、一対の第3端子T3と接続または兼用されている前記一方T12に対する他方側であり、この一対の第3端子T1の他方T31は、一対の第1端子T1と接続または兼用されている一方T32に対する他方側である。
この第1電圧波形の電力が停電検出部12aに入力されると、第1フォトカプラPC1の第1発光ダイオードD1は、その正の半周期における所定の電圧レベル以上になると発光し、第1フォトトランジスタPTr1は、この発光を受光し、そのコレクタ(ポイントA)から、図2(B)の上段に示すように、前記正の半周期における所定の電圧レベル以上になる時間範囲に対応するパルス幅で第1パルスP1を出力する。なお、第1電圧波形において、負の半周期および正の半周期における前記所定の電圧レベル未満では、第1フォトカプラPC1(第1フォトトランジスタPTr1)は、出力しない(電圧レベル0の出力)。このように第1フォトカプラPC1(第1フォトトランジスタPTr1)は、停電していない場合では、周期的な第1パルスP1を出力する。
この第1パルスP1によってトランジスタTrは、オンし、第1コンデンサC1は、充電される。したがって、第1コンデンサC1(ポイントB)は、第1電圧波形の正の半周期における所定の電圧レベル以上になる時間範囲に対応する時間範囲では充電され、図2(B)の下段に示すように、その端子間電圧は、上昇する。一方、第1コンデンサC1(ポイントB)は、その負の半周期および正の半周期における前記所定の電圧レベル未満である時間範囲に対応する範囲では放電され、図2(B)の下段に示すように、その端子間電圧は、降下する。第1コンデンサC1は、停電していない場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返す。したがって、第1コンデンサC1の端子間電圧は、停電していない場合では、所定の範囲(非停電範囲)内の値となる。
第1検出部I1は、この第1コンデンサC1の端子間電圧を監視(モニタ)しており、停電していない場合では、第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲内の値であることから、停電検出信号を出力しない。
一方、N−L1の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12aでは、一対の第3端子T3を介してN−L1の商用電源の電力入力が停止される。この場合において、結合部11は、フィルタ回路を備えて構成されているので、上述したように、第1端子T11および第3端子T31を介してN−L2の商用電源の電力に起因する電力が、図1に破線で示す前記電流経路で結合部11のフィルタ回路を介して僅かながら停電検出部12aに流れ込んでいる。このため、N−L1の商用電源が停電している場合では、N−L2の商用電源の電力に起因する電流が顕在化し、N−L2電圧波形で、停電検出部12aには、N−L2の商用電源の電力に起因する電流が流れる。
ここで、単相三線式では、電圧線L1には中性線Nを基準に100Vの商用電源の電力が流れ、電圧線L2には中性線Nを基準に100Vの商用電源の電力が流れ、L1−L2間は、200Vの商用電源の電力が流れている。したがって、N−L1の商用電源とN−L2の商用電源とは、図2(A)に示すように、その位相が180度ずれている。このため、N−L1の商用電源が停電(片相停電)する場合では、第1電圧波形とN−L2電圧波形とは、その位相が180度ずれている。
このN−L2電圧波形の電力が停電検出部12aに入力されると、停電検出部12aは、上述した、第1電圧波形の電力が停電検出部12aに入力される場合と同様に動作し、図2(B)の上段に示すように、N−L2電圧波形の正の半周期における前記所定の電圧レベル以上において、第1フォトカプラPC1は、第2パルスP2を出力し、この第2パルスP2に応じてトランジスタTrがオンし、第1コンデンサC1は、充電されることになる。
ここで、N−L2電圧波形は、上述したように、第1電圧波形に対しその位相が180度ずれているので、第1電圧波形の位相に対するN−L1の商用電源が停電するタイミングに応じて、N−L2電圧波形による第1コンデンサC1の充放電動作が異なり、第1コンデンサC1における端子間電圧の昇降動作が異なることになる。すなわち、図2(B)に示すように、第1電圧波形によって第1コンデンサC1が充電中にN−L1の商用電源が停電すると、N−L2電圧波形によって第1コンデンサC1がさらに充電され、第1コンデンサC1の端子間電圧が上昇することになる。この結果、第1コンデンサC1の端子間電圧は、非停電範囲を逸脱することになる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第1検出部I1は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲を逸脱、この場合では上限検出閾値Th1を上回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。一方、図示しないが、第1電圧波形によって第1コンデンサC1が放電中にN−L1の商用電源が停電すると、N−L2電圧波形によって第1コンデンサC1がさらに放電され、第1コンデンサC1の端子間電圧が降下することになる。この結果、第1コンデンサC1の端子間電圧は、非停電範囲を逸脱することになる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第1検出部I1は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲を逸脱、この場合では下限検出閾値Th2を下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
以上説明したように、PLC装置SaおよびPLC用停電検出部1aは、第3端子T3に接続される電力線を流れる電力が停電した場合に、結合部11がフィルタ回路であって第1端子(第A端子)T1の一方T12と第3端子(第B端子)T3の一方T32とが兼用されているので、第1端子(第A端子)T1の他方T11および第3端子(第B端子)T3の他方T31に接続される電力線を流れる電力が一対の第3端子T3に流れ込み、停電検出部12aがこの第3端子T3に流れ込んだ前記電力を検出することによって、第3端子T3に接続される電力線を流れる電力の停電を検出することができる。したがって、このような構成のPLC装置SaおよびPLC用停電検出部1aは、結合部11にフィルタ回路が用いられている場合でも、停電をより適切に検出することができる。
また、第1実施形態では、PLC用停電検出部1aが第1フォトカプラPC1を備えて構成されている。このため、その入力側と出力側とを電気的に絶縁することができる。したがって、例えば点検等の際に、PLC用停電検出装置1aおよびPLC装置Saの内部にユーザが触れたとしても感電の危険性が低減される。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
第1実施形態にかかるPLC装置Saは、停電、特に第3端子T3における停電を検出したが、第2実施形態にかかるPLC装置Sbaは、さらに、第1端子T1における停電を検出するものである。
図3は、第2実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図4は、第2実施形態の電力線搬送通信装置における停電検出動作を説明するための図である。図4(A)は、一対の第1および第3端子T1、T3から入力される電力の電圧波形を示す図であり、図4(B)は、図3に示す停電検出部におけるポイントAおよびポイントBの出力電圧波形を示す図である。図4の横軸は、時間であり、その縦軸は、電圧である。
図3において、第2実施形態にかかるPLC装置Sbaは、電力線を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能をさらに備える装置であり、例えば、PLC用停電検出部1baと、PLC部2と、電源部3とを備えて構成される。第2実施形態にかかるPLC装置Sbaは、第1実施形態にかかるPLC装置Saと較べてPLC用停電検出部1aの代わりにPLC用停電検出部1baを備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC装置Saと同様である。PLC装置Sbaに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
PLC用停電検出部1baは、電力線に接続され、電力線の停電を検出するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12baとを備えて構成される。第2実施形態にかかるPLC用停電検出部1baは、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aに較べて停電検出部12aの代わりに停電検出部12baを備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aと同様である。PLC用停電検出部1baに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
停電検出部12baは、一対の第1端子T1の他方T11と一対の第3端子T3の他方T31とに接続されるとともに一対の第3端子T3に接続され、第1および第3端子T1、T3における停電を検出する回路である。停電検出部12baは、例えば、図3に示すように、第1ないし第6抵抗素子R1〜R6と、第1および第2フォトカプラPC1、PC2と、オア回路ORと、トランジスタTrと、第1コンデンサC1と、第2検出部I2baとを備えて構成される。
この図3に示す第2実施形態の停電検出部12baと図1に示す第1実施形態の停電検出部12aと比較すると分かるように、第2実施形態の停電検出部12baは、第1実施形態の停電検出部12aに対し、第1実施形態の停電検出部12aにおける第1フォトカプラPC1の出力(第1フォトトランジスタPTr1のコレクタ)とトランジスタTrのベースとの間にオア回路ORがさらに介挿され、このオア回路ORの他方入力に、入力側が第5抵抗素子R5を介して一対の第1端子T1の他方T11と一対の第3端子T3の他方T31とに接続されるとともに出力側が第6抵抗素子R6を介して電源Vに接続される第2フォトカプラPC2の出力が接続されて構成されている。なお、オア回路ORの一方入力には、入力側が第1抵抗素子R1を介して一対の第3端子T3に接続されるとともに出力側が第2抵抗素子R2を介して電源Vに接続される第1フォトカプラPC1の出力(第1フォトトランジスタPTr1のコレクタ)が接続されている。
第2フォトカプラPC2は、より具体的には、第2発光ダイオードD2と、第2フォトトランジスタPTr2とを備えて構成されている。第5抵抗素子R5と第2発光ダイオードD2との直列接続回路は、第2発光ダイオードD1のアノードが第3端子T31に接続されるとともに、第2発光ダイオードD2のカソードが第5抵抗素子R5を介して第1端子T11に接続されることによって、第1端子T1の他方T11と第3端子T3の他方T31との間に接続されている。図3に示す例では、第5抵抗素子R5と第2発光ダイオードD2との直列接続回路は、第2発光ダイオードD2のアノードが第1電路VL11に接続されるとともに、第2発光ダイオードD2のカソードが第5抵抗素子R5を介して第2電路VL21に接続されることによって、第1電路VL11と第2電路VL21との間に接続されている。第2フォトトランジスタPTr2は、そのコレクタが第6抵抗素子R6を介して所定の電源Vに接続され、そのエミッタが接地される。そして、第2フォトトランジスタPTr2のコレクタは、オア回路ORの他方入力に接続されている。
そして、オア回路ORは、その出力がトランジスタTrのベースに接続されており、第1フォトカプラPC1の出力(第1フォトトランジスタPTr1のコレクタ)と第2フォトカプラPC2の出力(第2フォトトランジスタPTr2のコレクタ)との論理和を演算し、その演算結果をトランジスタTrのベースへ出力する。
第2検出部I2baは、例えば、集積回路によって構成され、この第2検出部I2baに接続される第1コンデンサC1の端子間電圧に基づいて第1および第3端子T1、T3の少なくとも一方の停電を検出する回路である。なお、第2検出部I2baは、第4抵抗素子R4を介してトランジスタTrのコレクタにも接続されている。より具体的には、停電していない場合では第1コンデンサC1の端子間電圧が所定の電圧レベル以上の値を取ることから、第2検出部I2baは、第1コンデンサC1の端子間電圧が、予め設定された下限検出閾値Th3を下回った場合に停電と判断し、停電検出信号を出力する。下限検出閾値Th3は、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る下限値あるいは前記下限値にマージンを考慮した値に設定される。
ここで、請求項との対応関係を説明すると、第1停電検出部は、その一例として、第1フォトカプラPC1と、第1コンデンサC1と、第1検出部としての第2検出部I2baとを備えて構成され、第2停電検出部は、その一例として、第2フォトカプラPC2と、第2コンデンサとしての第1コンデンサC1と、第2検出部I2baとを備えて構成される。このように第1コンデンサC1および第2検出部I2baは、第1停電検出部および第2停電検出部として用いられている。
次に、第2実施形態におけるPLC装置Sbaの動作について説明する。このような構成のPLC装置Sbaが例えば単相三線式の電力線に第1および第3端子T1、T3を介して接続され、例えば、図略の起動スイッチがオンされると、PLC装置Sbaは、その動作を開始する。
そして、停電していない場合では、PLC装置SbaのPLC用停電検出部1baにおける停電検出部12baには、一対の第3端子T3を介してN−L1の商用電源の電力が入力されるとともに、第1端子T11および第3端子T31を介してN−L2の商用電源の電力が入力される。
すなわち、図4(A)に実線で示すように、第1フォトカプラPC1には、第1実施形態で説明したように、第1電圧波形で商用電源の電力が入力され、前記パルス幅で第1パルスP1が出力される。したがって、第1電圧波形の電力が停電検出部12baに入力されると、第1実施形態で説明したように、停電検出部12baは、図4(B)の上段に示すように、第1電圧波形の正の半周期における前記所定の電圧レベル以上において、第1フォトカプラPC1は、前記パルス幅で第1パルスP1を出力し、この第1パルスP1に応じてオア回路ORを介してトランジスタTrがオンし、第1コンデンサC1は、前記パルス幅に応じた時間で充電されることになる。
一方、図4(A)に破線で示すように、第2フォトカプラPC2には、大略、商用周波数(50Hzまたは60Hz)の正弦波に応じた第2電圧波形で、商用電源の電力が入力され、第3パルスP3が出力される。ここで、本実施形態では、結合部11がフィルタ回路で構成されているため、一対の第3端子T3を介してN−L1の商用電源の電力に起因する電流が、前記フィルタ回路を介して僅かながら第2フォトカプラPC2に流れ込み、前記第2電圧波形には、この電流による電圧も重畳されている。より具体的には、第3端子T32(=第1端子T12)から第2電路VL22、第1電路VL12、結合部11(結合トランスTcおよび結合コンデンサC2)、第1電路VL11、第5抵抗素子R5、第2フォトカプラPC2(第2発光ダイオード)、第2電路VL21を介して第3端子T31に至る電流経路である。すなわち、第2電圧波形は、N−L2電圧波形に結合部11による僅かな電圧レベルのN−L1電圧波形を重畳した波形であり、略N−L2波形となる。第2電圧波形の電力が停電検出部12baに入力されると、上述した、第1電圧波形の電力が停電検出部12aに入力される場合と同様に動作し、停電検出部12baは、図4(B)の上段に示すように、第3電圧波形の正の半周期における前記所定の電圧レベル以上において、第2フォトカプラPC2は、前記パルス幅で第3パルスP3を出力し、この第3パルスP3に応じてオア回路ORを介してトランジスタTrがオンし、第1コンデンサC1は、前記パルス幅に応じた時間で充電されることになる。
ここで、上述したように、N−L1の商用電源とN−L2の商用電源とは、図4(A)に示すように、その位相が180度ずれている。このため、第1電圧波形(=略N−L1電圧波形)と第2電圧波形(=略N−L2電圧波形)とは、その位相が180度ずれている。したがって、オア回路ORの出力(ポイントA)は、図4(B)の上段に示すように、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では前記パルス幅の第1パルスP1を出力し、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では前記パルス幅の第3パルスP3を出力する。このため、第1コンデンサC1(ポイントB)は、図4(B)の下段に示すように、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では第1パルスP1によって前記パルス幅に応じた時間で充電され、その端子間電圧が上昇し、その残余の時間では放電し、その端子間電圧が降下し、そして、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では第3パルスP3によって前記パルス幅に応じた時間で充電され、その端子間電圧が上昇し、その残余の時間では放電し、その端子間電圧が降下する。第1コンデンサC1は、停電していない場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返す。すなわち、第1コンデンサC1は、充電および放電を商用電源の周期の半周期で周期的に繰り返している。したがって、第1コンデンサC1の端子間電圧は、第1および第3パルスP1、P3によって商用電源の周期の半周期ごとに充電され、停電していない場合では、所定の電圧レベル以上の値となる。
第2検出部I2baは、この第1コンデンサC1の端子間電圧を監視しており、停電していない場合では、第1コンデンサC1の端子間電圧が前記所定の電圧レベル以上の値であることから、停電検出信号を出力しない。
一方、N−L1の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12baでは、第1実施形態で説明したように、N−L1の単相100Vの商用電源の電力入力が停止され、第1フォトカプラPC1には、N−L2電圧波形で結合部11によるN−L2の商用電源の電力に起因する電流が入力される。このN−L2電圧波形は、第1実施形態で説明したように、第1電圧波形と180度ずれているため、停電していない場合に生成されていた第1パルスP1が第1フォトカプラPC1で生成されない。このため、オア回路ORの出力(ポイントA)は、図4(B)の上段に示すように、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では前記第1パルスP1に対応する出力がなく、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では前記第3パルスP3に対応して出力することになる。このため、第1コンデンサC1(ポイントB)は、図4(B)の下段に示すように、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では充電されることなく放電され、その端子間電圧が降下し、そして、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では第3パルスP3に対応した前記出力によって第3パルスP3の前記パルス幅に応じた時間で充電され、その端子間電圧が上昇し、その残余の時間では放電し、その端子間電圧が降下する。第1コンデンサC1は、N−L1の商用電源が停電(片相停電)した場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、停電していない場合に較べて放電時間が長いため、やがて、第1コンデンサC1の端子間電圧は、所定の電圧レベルを下回った値となる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第2検出部I2baは、この第1コンデンサC1の端子間電圧が前記所定の電圧レベルを下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
なお、この場合において、第1フォトカプラPC1は、第1実施形態の説明から分かるように、第2フォトカプラPC2が出力する第3パルスPと同じタイミングでかつ同じパルス幅で第3パルスP3と同様のパルスを出力している。
また、N−L2の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12baでは、N−L2の商用電源の電力入力が停止され、第2フォトカプラPC2には、N−L1電圧波形で結合部11によるN−L1の商用電源の電力に起因する電力が入力される。したがって、停電していない場合に生成されていた第3パルスP3が第2フォトカプラPC2で生成されない。このため、オア回路ORの出力(ポイントA)は、図示しないが、N−L2の商用電源における正の半周期(N−L1の商用電源における負の半周期)では第3パルスP3に対応する出力がなく、N−L2の商用電源における負の半周期(N−L1の商用電源における正の半周期)では第1パルスP1に対応して出力することになる。このため、第1コンデンサC1(ポイントB)は、図示しないが、N−L2の商用電源における正の半周期(N−L1の商用電源における負の半周期)では充電されることなく放電され、その端子間電圧が降下し、そして、N−L2の商用電源における負の半周期(N−L1の商用電源における正の半周期)では第1パルスP1に対応した前記出力によって第1パルスP1の前記パルス幅に応じた時間で充電され、その端子間電圧が上昇し、その残余の時間では放電し、その端子間電圧が降下する。第1コンデンサC1は、N−L2の商用電源が停電(片相停電)した場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、停電していない場合に較べて放電時間が長いため、やがて、第1コンデンサC1の端子間電圧は、所定の電圧レベルを下回った値となる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第2検出部I2baは、この第1コンデンサC1の端子間電圧が前記所定の電圧レベルを下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
また、N−L1の商用電源およびN−L2の商用電源が停電(全相停電)すると、停電検出部12baでは、N−L1の商用電源の電力入力およびN−L2の商用電源の電力入力が停止され、第1および第2フォトカプラPC1、PC2で第1および第3パルスP1、P3共に生成されず、第1コンデンサC1は、放電され、その端子間電圧は、降下し、やがて、所定の電圧レベルを下回った値となる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第2検出部I2baは、この第1コンデンサC1の端子間電圧が前記所定の電圧レベルを下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
以上説明したように、PLC装置SbaおよびPLC用停電検出部1baは、第3端子T3における停電を検出することができ、加えて、第1端子T1における停電も検出することができる。
また、第2実施形態では、PLC用停電検出部1baが第1および第2フォトカプラPC1、PC2を備えて構成されている。このため、その入力側と出力側とを電気的に絶縁することができる。したがって、例えば点検等の際に、PLC用停電検出装置1bおよびPLC装置Sbaの内部にユーザが触れたとしても感電の危険性が低減される。
次に、別の実施形態について説明する。
(第3実施形態)
第1および第2実施形態では、第1コンデンサC1の端子間電圧を検出することによって停電を検出したが、第3実施形態では、第1および第2フォトカプラPC1、PC2の出力から直接的に停電を検出するものである。
図5は、第3実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図6は、第3実施形態の電力線搬送通信装置における停電検出動作を説明するための図である。図6(A)は、一対の第1および第3端子T1、T3から入力される電力の電圧波形を示す図であり、図6(B)は、図5に示す停電検出部におけるポイントAおよびポイントBの出力電圧波形を示す図である。図6の横軸は、時間であり、その縦軸は、電圧である。
図5において、第3実施形態にかかるPLC装置Sbbは、電力線を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能をさらに備える装置であり、例えば、PLC用停電検出部1bbと、PLC部2と、電源部3とを備えて構成される。第3実施形態にかかるPLC装置Sbbは、第2実施形態にかかるPLC装置Sbaと較べてPLC用停電検出部1baの代わりにPLC用停電検出部1bbを備える点を除き、第2実施形態にかかるPLC装置Sbaと同様である。PLC装置Sbbに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
PLC用停電検出部1bbは、電力線に接続され、電力線の停電を検出するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12bbとを備えて構成される。第3実施形態にかかるPLC用停電検出部1bbは、第2実施形態にかかるPLC用停電検出部1baに較べて停電検出部12baの代わりに停電検出部12bbを備える点を除き、第2実施形態にかかるPLC用停電検出部1baと同様である。PLC用停電検出部1bbに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
停電検出部12bbは、一対の第1端子T1の他方T11と一対の第3端子T3の他方T31とに接続されるとともに一対の第3端子T3に接続され、第1および第3端子T1、T3における停電を検出する回路である。停電検出部12bbは、例えば、図5に示すように、第1、第2、第5および第6抵抗素子R1、R2、R5、R6と、第1および第2フォトカプラPC1、PC2と、第2検出部I2bbとを備えて構成される。
この図5に示す第3実施形態の停電検出部12bbと図3に示す第2実施形態の停電検出部12baと比較すると分かるように、第3実施形態の停電検出部12bbは、第2実施形態の停電検出部12baに対し、第3および第4抵抗素子R3、R4、オア回路OR、トランジスタTrおよび第1コンデンサC1を備えず、そして、第2検出部I2baの代わりに第2検出部I2bbが用いられている。
第2検出部I2bbは、例えば、集積回路によって構成され、その入力が第1および第2フォトカプラPC1、PC2の各出力(第1および第2フォトトランジスタPTr1、PTr2の各コレクタ)に接続されており、第1および第2フォトカプラPC1、PC2の出力に基づいて一対の第1および第3端子T1、T3の少なくとも一方の停電を検出する回路である。
次に、第3実施形態における電力線搬送通信装置の動作について説明する。このような構成のPLC装置Sbbが例えば単相三線式の電力線に第1および第3端子T1、T3を介して接続され、例えば、図略の起動スイッチがオンされると、PLC装置Sbbは、その動作を開始する。
そして、停電していない場合では、第1および第2フォトカプラPC1、PC2が第2実施形態と同様に動作し、図6(A)に実線で示すように、第1フォトカプラPC1には、第1実施形態で説明したように、第1電圧波形で商用電源の電力が入力され、第1フォトカプラPC1の出力(ポイントA)から、図6(B)の上段に示すように、第1電圧波形の正の半周期における前記所定の電圧レベル以上において、前記パルス幅で第1パルスP1が出力される。そして、図6(A)に破線で示すように、第2フォトカプラPC2には、第2実施形態で説明したように、第2電圧波形で、商用電源の電力が入力され、第2フォトカプラPC2の出力(ポイントB)から、図6(B)の下段に示すように、第2電圧波形の正の半周期における前記所定の電圧レベル以上において、前記パルス幅で第3パルスP3が出力される。すなわち、図6(B)に示すように、第1フォトカプラPC1の出力(ポイントA)から、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では第1パルスP1が出力され、第2フォトカプラPC2の出力(ポイントB)から、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では第3パルスP3が出力される。
第2検出部I2bbは、この第1および第2フォトカプラPC1、PC2の出力を監視しており、第1フォトカプラPC1から商用電源の周期に応じた周期で第1パルスP1が出力され、第2フォトカプラPC2から商用電源の周期に応じた周期で第3パルスP3が出力されている場合には、停電していないと判断し、停電検出信号を出力しない。
一方、N−L1の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12bbでは、N−L1の商用電源の電力入力が停止され、第2実施形態で説明したように、第1フォトカプラPC1には、N−L2電圧波形で結合部11によるN−L2の商用電源の電力に起因する電流が入力される。このN−L2電圧波形は、第1電圧波形と180度ずれているため、停電していない場合に生成されていた第1パルスP1が第1フォトカプラPC1で生成されない。このため、第1フォトカプラPC1の出力(ポイントA)は、図6(B)の上段に示すように、N−L1の商用電源における正の半周期(N−L2の商用電源における負の半周期)では前記第1パルスP1の出力がなく、N−L1の商用電源における負の半周期(N−L2の商用電源における正の半周期)では前記パルス幅の第2パルスP2を出力することになる。このため、この第1および第2フォトカプラPC1、PC2の出力を監視している第2検出部I2bbは、第1フォトカプラPC1から出力されるパルスの位相のずれを検出し、停電検出信号を出力する。
また、N−L2の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12bbでは、N−L2の商用電源の電力入力が停止され、第2実施形態で説明したように、第2フォトカプラPC2には、N−L1電圧波形で結合部11によるN−L1の商用電源の電力に起因する電流が入力される。このN−L1電圧波形は、第2電圧波形と180度ずれているため、停電していない場合に生成されていた第3パルスP3が第2フォトカプラPC2で生成されない。このため、第2フォトカプラPC2の出力(ポイントB)は、図示しないが、N−L2の商用電源における正の半周期(N−L1の商用電源における負の半周期)では前記第3パルスP3の出力がなく、N−L2の商用電源における負の半周期(N−L1間の商用電源における正の半周期)では第4パルスP4を出力することになる。この第4パルスP4は、第1フォトカプラPC1が出力する第1パルスP1と同じタイミングでかつ同じパルス幅で第1パルスP1と同様のパルスである。このため、この第1および第2フォトカプラPC1、PC2の出力を監視している第2検出部I2bbは、第2フォトカプラPC2から出力されるパルスの位相のずれを検出し、停電検出信号を出力する。
また、N−L1の商用電源およびN−L2の商用電源が停電(全相停電)すると、停電検出部12bbでは、N−L1の商用電源の電力入力およびN−L2の商用電源の電力入力が停止され、第1および第3パルスP1、P3共に生成されず、第2検出部I2bbは、商用電源の周期に応じた時間以上の所定時間、第1および第2フォトカプラPC1、PC2からパルスが検出されないことを検出し、停電検出信号を出力する。
以上説明したように、PLC装置SbbおよびPLC用停電検出部1bbは、第3端子T3における停電を検出することができ、加えて、第1端子T1における停電も検出することができる。
また、第3実施形態では、PLC用停電検出部1bbが第1および第2フォトカプラPC1、PC2を備えて構成されている。このため、その入力側と出力側とを電気的に絶縁することができる。したがって、例えば点検等の際に、PLC用停電検出装置1cおよびPLC装置Sbbの内部にユーザが触れたとしても感電の危険性が低減される。
次に、別の実施形態について説明する。
(第4実施形態)
第1実施形態にかかるPLC装置Saは、第1フォトカプラPC1の出力に基づいて第1コンデンサC1を充電したが、第4実施形態にかかるPLC装置Scは、抵抗分圧回路の分圧出力に基づいて第1コンデンサC1を充電するものである。
図7は、第4実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図8は、第4実施形態の電力線搬送通信装置における停電検出動作を説明するための図である。図8(A)は、一対の第1および第3端子T1、T3から入力される電力の電圧波形を示す図であり、図8(B)は、図7に示す停電検出部におけるポイントAおよびポイントBの出力電圧波形を示す図である。図8の横軸は、時間であり、その縦軸は、電圧である。
図7において、第4実施形態にかかるPLC装置Scは、電力線を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能をさらに備える装置であり、例えば、PLC用停電検出部1cと、PLC部2と、電源部3とを備えて構成される。第4実施形態にかかるPLC装置Scは、第1実施形態にかかるPLC装置Saと較べてPLC用停電検出部1aの代わりにPLC用停電検出部1cを備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC装置Saと同様である。PLC装置Scに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
PLC用停電検出部1cは、電力線に接続され、電力線の停電を検出するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12cとを備えて構成される。第4実施形態にかかるPLC用停電検出部1cは、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aに較べて停電検出部12aの代わりに停電検出部12cを備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aと同様である。PLC用停電検出部1cに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
停電検出部12cは、一対の第3端子T3に接続され、第3端子T3における停電を検出する回路である。停電検出部12cは、例えば、図7に示すように、第7および第8抵抗素子R7、R8と、増幅回路AMP1と、ダイオードD3と、第1コンデンサC1と、第3検出部I3とを備えて構成される。
この図7に示す第4実施形態の停電検出部12cと図1に示す第1実施形態の停電検出部12aと比較すると分かるように、第4実施形態の停電検出部12cは、第1実施形態の停電検出部12aに対し、第1実施形態の停電検出部12aにおける第1フォトカプラPC1、第1ないし第4抵抗素子R1〜R4およびトランジスタTrから構成される回路の代わりに、第7および第8抵抗素子R7、R8、増幅回路AMP1およびダイオードD3から構成される回路が用いられ、第1検出部I1の代わりに第3検出部I3が用いられている。
すなわち、第7および第8抵抗素子R7、R8は、直列に接続され、第1抵抗分圧回路を構成し、この第1抵抗分圧回路は、一対の第3端子T3(第3端子T31と第3端子T32との間)に接続される。第7抵抗素子R7の抵抗値は、第8抵抗素子R8の抵抗値以上に設定される。第8抵抗素子R8の端子間電圧が第1抵抗分圧回路の分圧出力とされる。増幅回路AMP1の入力は、第8抵抗素子R8の両端に接続され、その出力は、ダイオードD3のアノードに接続される。ダイオードD3のカソードは、第3検出部I3の入力に接続される。第1コンデンサC1は、ダイオードD3のカソードと第3検出部I3との間に接続されている。すなわち、第1コンデンサC1は、第3検出部I3に接続されるとともにダイオードD3および増幅回路AMP1を介して第1抵抗分圧回路に接続されている。
第3検出部I3は、例えば、集積回路によって構成され、第1検出部I1と同様に、第1コンデンサC1の端子間電圧に基づいて第3端子T3における停電を検出する回路である。より具体的には、後述するように、停電していない場合では第1コンデンサC1の端子間電圧が所定の範囲(非停電範囲)内の値を取ることから、第3検出部I3は、第1コンデンサC1の端子間電圧が、予め設定された上限検出閾値Th4と下限検出閾値Th5との間における非停電範囲内の値であるか否かを判断し、第1コンデンサC1の端子間電圧が前記非停電範囲を逸脱した場合に、停電と判断し、その旨を表す停電検出信号を出力する。
上限検出閾値Th4は、上限検出閾値Th1と同様に、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る上限値あるいは前記上限値にマージンを考慮した値に設定される。そして、下限検出閾値Th5は、上限検出閾値Th2と同様に、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る下限値あるいは前記下限値にマージンを考慮した値に設定される。
次に、第4実施形態における電力線搬送通信装置の動作について説明する。このような構成のPLC装置Scが例えば単相三線式の電力線に第1および第3端子T1、T3を介して接続され、例えば、図略の起動スイッチがオンされると、PLC装置Scは、その動作を開始する。
停電していない場合では、PLC装置ScのPLC用停電検出部1cにおける停電検出部12cには、一対の第3端子T3によってN−L1の商用電源の電力が入力される。
すなわち、図8(A)に実線で示すように、第1抵抗分圧回路には、第1実施形態の第1フォトカプラPC1と同様に第1実施形態で説明したように、大略、商用周波数の正弦波に応じた第1電圧波形で、一対の第3端子T3から商用電源の電力が入力され、第1抵抗分圧回路の分圧比で分圧された第1電圧波形と略相似形の電圧波形が第1抵抗分圧回路から出力される。第1抵抗分圧回路の分圧比は、第7抵抗素子R7の抵抗値と第8抵抗素子R8の抵抗値との比である。第1抵抗分圧回路の分圧出力は、増幅回路AMP1に出力され、所定の増幅率で増幅される。この増幅された第1抵抗分圧回路の分圧出力は、ダイオードD3に入力され、半波整流され、第1コンデンサC1を充電する。このため、ダイオードD3の出力(ポイントA)では、図8(B)の上段に示すように、第1電圧波形の正の半周期では電圧が正弦波であって第1電圧波形の負の半周期では電圧が0となる電圧波形が出力され、第1コンデンサC1(ポイント)は、図8(B)の下段に示すように、第1電圧波形の正の半周期では充電され、その端子間電圧が上昇し、第1電圧波形の負の半周期では放電され、その端子間電圧が降下する。第1コンデンサC1は、停電していない場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返す。したがって、第1コンデンサC1の端子間電圧は、停電していない場合では、所定の範囲(非停電範囲)内の値となる。
第3検出部I3は、この第1コンデンサC1の端子間電圧を監視(モニタ)しており、停電していない場合では、第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲内の値であることから、停電検出信号を出力しない。
一方、N−L1の商用電源が停電(片相停電)すると、停電検出部12cでは、第1実施形態で説明したように、N−L1の商用電源の電力入力が停止され、停電検出部12cには、N−L2電圧波形で結合部11によるN−L2の商用電源の電力に起因する電流が入力される。このN−L2電圧波形の電力が停電検出部12cに入力されると、停電検出部12cでは、上述した、第1電圧波形の電力が停電検出部12cに入力される場合と同様に動作し、図8(B)の上段に示すように、N−L2電圧波形の正の半周期において、ダイオードD3は、半波整流した電力波形を出力し、第1コンデンサC1は、充電されることになる。
ここで、N−L2電圧波形は、上述したように、第1電圧波形に対しその位相が180度ずれているので、第1実施形態と同様に、第1電圧波形の位相に対するN−L1の商用電源が停電するタイミングに応じて、N−L2電圧波形による第1コンデンサC1の充放電動作が異なり、第1コンデンサC1における端子間電圧の昇降動作が異なることになる。すなわち、図8(B)に示すように、第1電圧波形によって第1コンデンサC1が充電中にN−L1の商用電源が停電すると、N−L2電圧波形によって第1コンデンサC1がさらに充電され、第1コンデンサC1の端子間電圧が上昇することになる。この結果、第1コンデンサC1の端子間電圧は、非停電範囲を逸脱することになる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第3検出部I3は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲を逸脱、この場合では上限検出閾値Th4を上回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。一方、図示しないが、第1電圧波形によって第1コンデンサC1が放電中にN−L1の商用電源が停電すると、N−L2電圧波形によって第1コンデンサC1がさらに放電され、第1コンデンサC1の端子間電圧が降下することになる。この結果、第1コンデンサC1の端子間電圧は、非停電範囲を逸脱することになる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第3検出部I3は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲を逸脱、この場合では下限検出閾値Th5を下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
以上説明したように、PLC装置ScおよびPLC用停電検出部1cは、第3端子T3における停電を検出することができる。
また、第4実施形態では、PLC用停電検出部1cが第7および第8抵抗素子R7、R8の第1抵抗分圧回路を備えて構成され、第3端子(第B端子)T3に流れ込んだ、第1端子(第A端子)T1の電力を第1抵抗分圧回路によって取り出すので、より低コスト化を図ることができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第5実施形態)
第4実施形態にかかるPLC装置Scは、停電、特に第3端子T3における停電を検出したが、第5実施形態にかかるPLC装置Sdは、さらに、第1端子T1における停電を検出するものである。
図9は、第5実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図10は、第5実施形態の電力線搬送通信装置における停電検出動作を説明するための図である。図10(A)は、一対の第1および第3端子T1、T3から入力される電力の電圧波形を示す図であり、図10(B)は、図9に示す停電検出部におけるポイントAおよびポイントBの出力電圧波形を示す図である。図10の横軸は、時間であり、その縦軸は、電圧である。
図9において、第5実施形態にかかるPLC装置Sdは、電力線を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能をさらに備える装置であり、例えば、PLC用停電検出部1dと、PLC部2と、電源部3とを備えて構成される。第5実施形態にかかるPLC装置Sdは、第4実施形態にかかるPLC装置Scと較べてPLC用停電検出部1cの代わりにPLC用停電検出部1dを備える点を除き、第4実施形態にかかるPLC装置Scと同様である。PLC装置Sdに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
PLC用停電検出部1dは、電力線に接続され、電力線の停電を検出するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12dとを備えて構成される。第5実施形態にかかるPLC用停電検出部1dは、第4実施形態にかかるPLC用停電検出部1cに較べて停電検出部12cの代わりに停電検出部12dを備える点を除き、第4実施形態にかかるPLC用停電検出部1cと同様である。PLC用停電検出部1dに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
停電検出部12dは、一対の第1端子T1の他方T11と一対の第3端子T3の他方T31とに接続されるとともに一対の第3端子T3に接続され、第1および第3端子T1、T3における停電を検出する回路である。停電検出部12dは、例えば、図9に示すように、第7ないし第10抵抗素子R7〜R10と、増幅回路AMP2と、ダイオードD3と、第1コンデンサC1と、第4検出部I4とを備えて構成される。
この図9に示す第5実施形態の停電検出部12dと図7に示す第4実施形態の停電検出部12cと比較すると分かるように、第5実施形態の停電検出部12dは、第4実施形態の停電検出部12cに対し、第9および第10抵抗素子R9、R10をさらに備え、増幅回路AMP1および第3検出部I3の代わりに増幅回路AMP2および第4検出部I4がそれぞれ用いられている。
第9および第10抵抗素子R9、R10は、直列に接続され、第2抵抗分圧回路を構成し、この第2抵抗分圧回路は、一対の第1端子T1の他方T11と一対の第3端子T3の他方T31との間に接続される。第10抵抗素子R10の端子間電圧が第2抵抗分圧回路の分圧出力とされる。第9抵抗素子R9の抵抗値は、第10抵抗素子R10の抵抗値以上に設定される。増幅回路AMP2の入力は、第1抵抗分圧回路の出力および第2抵抗分圧回路の出力に接続され、その出力は、ダイオードD3のアノードに接続される。より具体的には、増幅回路AMP2の入力の一方は、第7抵抗素子R7と第8抵抗素子R8との接続点に接続され、増幅回路AMP2の入力の他方は、第9抵抗素子R9と第10抵抗素子R10との接続点に接続される。ダイオードD3のカソードは、第4検出部I4の入力に接続される。第1コンデンサC1は、ダイオードD3のカソードと第4検出部I4との間に接続されている。すなわち、第1コンデンサC1は、第4検出部I4に接続されるとともにダイオードD3および増幅回路AMP2を介して第1および第2抵抗分圧回路に接続されている。
第4検出部I4は、例えば、集積回路によって構成され、第3検出部I3と同様に、第1コンデンサC1の端子間電圧に基づいて第1および第3端子T1、T3の少なくとも一方の停電を検出する回路である。より具体的には、後述するように、停電していない場合では第1コンデンサC1の端子間電圧が所定の範囲(非停電範囲)内の値を取ることから、第4検出部I4は、第1コンデンサC1の端子間電圧が、予め設定された上限検出閾値Th6と下限検出閾値Th7との間における非停電範囲内の値であるか否かを判断し、第1コンデンサC1の端子間電圧が前記非停電範囲を逸脱した場合に、停電と判断し、その旨を表す停電検出信号を出力する。すなわち、第4検出部I4は、第1コンデンサC1の端子間電圧が上限検出閾値Th6を上回った場合に停電と判断するとともに、第1コンデンサC1の端子間電圧が下限検出閾値Th7を下回った場合に停電と判断し、停電検出信号を出力する。
上限検出閾値Th6は、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る上限値あるいは前記上限値にマージンを考慮した値に設定される。そして、下限検出閾値Th7は、停電していない場合における第1コンデンサC1の端子間電圧が取り得る下限値あるいは前記下限値にマージンを考慮した値に設定される。
ここで、請求項との対応関係を説明すると、第1停電検出部は、その一例として、第7および第8抵抗素子R7、R8の第1抵抗分圧回路と、第3コンデンサとしての第1コンデンサC1と、第3検出部としての第4検出部I4とを備えて構成され、第2停電検出部は、その一例として、第9および第10抵抗素子R9、R10の第2抵抗分圧回路と、第4コンデンサとしての第1コンデンサC1と、第4検出部I4とを備えて構成される。このように第1コンデンサC1および第4検出部I4は、第1停電検出部および第2停電検出部として用いられている。
次に、第5実施形態における電力線搬送通信装置の動作について説明する。このような構成のPLC装置Sdが例えば単相三線式の電力線に第1および第3端子T1、T3を介して接続され、例えば、図略の起動スイッチがオンされると、PLC装置Sdは、その動作を開始する。
停電していない場合では、PLC装置SdのPLC用停電検出部1dにおける停電検出部12dには、一対の第3端子T3によってN−L1の商用電源の電力が入力されるとともに、第1端子T11および第3端子T31によってN−L2の商用電源の電力が入力される。
すなわち、図10(A)に実線で示すように、第1抵抗分圧回路には、第3実施形態で説明したように、第1電圧波形で一対の第3端子T3から商用電源の電力が入力され、第1抵抗分圧回路で分圧され、増幅回路AMP2に入力される。一方、図10(A)に破線で示すように、第2抵抗分圧回路には、第2電圧波形で第1端子T11および第3端子T31から商用電源の電力が入力され、第2抵抗分圧回路で分圧され、増幅回路AMP2に入力される。ここで、上述したように、N−L1の商用電源とN−L2の商用電源とは、その位相が180度ずれており、第1および第3端子T1、T3が中線線N、電圧線L1および電圧線L2に上述のように接続されており、増幅回路AMP2が第1および第2抵抗分圧回路に上述のように接続されている。このため、ダイオードD3の出力(ポイントA)では、図10(B)の上段に示すように、第1電圧波形の正の半周期では電圧が正弦波であって第1電圧波形の負の半周期では電圧が0となる電圧波形が出力され、第1コンデンサC1(ポイント)は、図10(B)の下段に示すように、第1電圧波形の正の半周期では充電され、その端子間電圧が上昇し、第1電圧波形の負の半周期では放電され、その端子間電圧が降下する。第1コンデンサC1は、停電していない場合では、このような充電および放電を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返し、その端子間電圧は、このような上昇および降下を商用電源の周期に応じて周期的に繰り返す。したがって、第1コンデンサC1の端子間電圧は、停電していない場合では、所定の範囲(非停電範囲)内の値となる。
一方、N−L1の商用電源が停電あるいはN−L2の商用電源が停電すると、停電検出部12dでは、第4実施形態と同様に、商用電源の停電のタイミングに応じて、第1コンデンサC1の充放電動作が異なり、第1コンデンサC1の端子間電圧は、非停電範囲を逸脱することになる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第4検出部I4は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が非停電範囲の逸脱を検出し、停電検出信号を出力する。
また、N−L1の商用電源およびN−L2の商用電源が停電すると、停電検出部12dでは、N−L1間の商用電源の電力入力およびN−L2間の商用電源の電力入力が停止され、第1コンデンサC1は、放電され、その端子間電圧は、降下し、やがて、下限検出閾値Th7を下回った値となる。このため、第1コンデンサC1の端子間電圧を監視している第4検出部I4は、この第1コンデンサC1の端子間電圧が下限検出閾値Th7を下回ったことを検出し、停電検出信号を出力する。
以上説明したように、PLC装置SdおよびPLC用停電検出部1dは、第3端子T3における停電を検出することができ、加えて、第1端子T1における停電も検出することができる。
また、第5実施形態では、PLC用停電検出部1dが第7ないし第10抵抗素子R7〜R10の第1および第2抵抗分圧回路を備えて構成されているので、より低コスト化を図ることができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第6実施形態)
第6実施形態にかかるPLC装置Seは、第1実施形態にかかるPLC装置Saまたは第4実施形態にかかるPLC装置Scに対し、停電を検出した場合に、前記停電が第1端子T1における停電あるか、第3端子T3における停電あるかの別を判別する機能をさらに備えたものである。
図11は、第6実施形態における電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図11において、第6実施形態にかかるPLC装置Seは、電力線を用いて通信を行う装置であって、前記電力線の停電を検出する停電検出機能および前記停電の箇所を判別する停電箇所判別機能をさらに備える装置であり、例えば、PLC用停電検出部1eと、PLC部2と、電源部3とを備えて構成される。第6実施形態にかかるPLC装置Seは、第1実施形態にかかるPLC装置Saまたは第4実施形態にかかるPLC装置Scと較べてPLC用停電検出部1aまたはPLC用停電検出部1cの代わりにPLC用停電検出部1eを備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC装置Saまたは第4実施形態にかかるPLC装置Scと同様である。PLC装置Seに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
PLC用停電検出部1eは、電力線に接続され、電力線の停電を検出し、さらにこの検出した停電の箇所を判別するための装置であり、例えば、一対の第1ないし第4端子T1(T11、T12)、T2(T21、T22)、T3(T31、T32)、T4(T41、T42)と、一対の第1および第2電路VL1(VL11、VL12)、VL2(VL21、VL22)と、結合部11と、停電検出部12eと、電流監視検出部13とを備えて構成される。第6実施形態にかかるPLC用停電検出部1eは、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aまたは第4実施形態にかかるPLC用停電検出部1cに較べて停電検出部12aまたは停電検出部12cの代わりに停電検出部12eを備え、さらに電流監視検出部13を備える点を除き、第1実施形態にかかるPLC用停電検出部1aまたは第4実施形態にかかるPLC用停電検出部1cと同様である。PLC用停電検出部1eに関し、この同様な点の説明を省略し、以下、異なる点を説明する。
電流監視検出部13は、一対の第1端子T1におけるいずれかに接続され、第1端子T1における通電を監視して第1端子T1における通電の有無を検出する回路である。図1に示す例では、電流監視検出部13は、第1端子T1の他方T11に接続される。より具体的には、電流監視検出部13は、例えば、変流器(CT、current transformer、カレントトランス)を備えて構成され、第1端子T11に接続される第1電路VL11に配置される。電流監視検出部13は、検出結果を停電検出部12eへ出力する。
停電検出部12eは、一対の第3端子T3に接続され、第3端子T3における停電を検出するとともに、停電を検出した場合に、電流監視検出部13の検出結果および自己12eの検出結果に基づいて前記停電が第1端子T1における停電および第3端子T3における停電のいずれかであるかを判別する回路である。停電検出部12eは、例えば、図11に示すように、検出回路121と、第5検出部I5とを備えて構成される。
検出回路121は、例えば、図1に示す第1実施形態の停電検出部12aにおける第1ないし第4抵抗素子R1〜R4、第1フォトカプラPC1、トランジスタTrおよび第1コンデンサC1から成る回路、または、図7に示す第4実施形態の停電検出部12cにおける第7および第8抵抗素子R7、R8、増幅回路AMP1、ダイオードD3および第1コンデンサC1から成る回路であり、第1実施形態または第4実施形態で説明したように動作し、第1コンデンサC1を充放電する。
第5検出部I5は、例えば、集積回路によって構成され、第1検出部I1または第3検出部I3と同様に、第1コンデンサC1の端子間電圧に基づいて停電を検出する回路であり、加えて、電流監視検出部13の検出結果およびこの自己の検出結果に基づいて第1端子T1における停電および第3端子T3における停電のいずれかであるかを判別する。より具体的には、第5検出部I5は、第1コンデンサC1の端子間電圧に基づいて停電を検出した際に、電流監視検出部13の検出結果が通電なしの場合では第1端子T1における停電であると判別し、そして、電流監視検出部13の検出結果が通電有りの場合では第3端子T3における停電であると判別する。
なお、停電していない場合やN−L1の商用電源が停電した場合における検出回路121の動作は、第1実施形態における動作または第3実施形態における動作と同様であるので、その説明を省略する。
このように第6実施形態にかかるPLC装置SeおよびPLC用停電検出部1eは、電流監視検出部13をさらに備えるので、停電検出部12eが停電を検出した場合に、電流監視検出部13の検出結果を参照することで、前記停電が第1端子T1における停電あるか、第3端子T3における停電あるかをより確実に判別することができる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。