JP5334778B2 - 火災警報器の試験設備 - Google Patents
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また、連動制御手段が、煙発生手段と映像記憶手段とを連動制御することで、映像表示手段の表示内容、及び煙発生手段の煙の煙量を関連づけることができ、ユーザ等に対して、実際の火災状況に近い状況下にいるかのような臨場感を一層与えることができる。
また、連動制御手段が、映像表示手段で表示された火炎の大きさに対応した煙量の煙を発生させるように、煙発生手段を制御するので、実際の火災状況に近い状況下での火炎の大きさに対応する煙の発生状況を、正確に再現することができる。
また、連動制御手段が、火災警報器の出力の大きさに対応した火炎の大きさに関する映像を表示するように、映像記憶手段を制御するので、実際の火災状況に近い状況下での火災警報器の出力の大きさに対応する火炎状況を、正確に再現することができる。
次に、火災警報器の試験設備の各実施の形態の具体的内容について説明する。
まず、実施の形態1について説明する。この形態は、煙発生手段と映像記憶手段とを連動制御する形態である。
まず、火災警報器の試験設備1の構成を説明する。図1は火災警報器の試験設備1の全体斜視図(一部を破断して示す)、図2は図1の水平面による横断面図、図3は図1のX方向に沿った断面による縦断面図である。これら図1から図3に示すように、火災警報器の試験設備1は、試験室10と付室20を備えて構成されている。なお、以下の説明では、図1に示す方向のうち、X方向を前後方向(試験室10から付室20に至る方向を前方、付室20から試験室10に至る方向を後方)、Y方向を左右方向(付室20から試験室10を見た場合の右手側を右側、付室20から試験室10を見た場合の左手側を左側)、Z方向を上下方向(鉛直上方を上方、鉛直下方を下方)とする。
試験室10は、煙を発生させて後述する煙感知器50に導入することで当該煙感知器50を作動させる試験空間を形成するものである。この試験室10は、一般住宅内における煙発生から煙感知に至るまでの煙の自然な流動過程を再現可能な構造、形状、及び大きさで形成されることが好ましい。例えば、構造面に関しては、煙の自然な流動経路を再現できるように外部からの風を遮蔽すべく、試験室10は、前後左右の壁11〜14と、天井15と、試験設備1が設置された設置面Gとによって試験空間を囲繞するように構成されている。ただし、外気を導入することにより所望の試験環境を構築できるように、各壁11〜14の任意の位置に開口を形成してもよい(排気口12a、12bや開口部26については後述する)。また例えば、形状面や大きさ面に関しては、一般住宅の各階の内部空間を再現すべく、試験室10は、高さが2mから4m程度で、平面形状の1辺が1.5mから3m程度であって、全体として略直方体に構成されている。
付室20は、試験室10の内部を観察するための観察空間を形成するものであり、試験室10の前方に隣接して設置されている。この付室20は、試験空間における煙発生から煙感知に至るまでの煙の自然な流動過程を容易に観察可能な構造、形状、及び大きさで形成されることが好ましい。例えば、構造面に関しては、付室20から試験室10に対する余分な気流の流入を遮蔽すべく、付室20は、前方及び左右の壁21〜23と、後方の壁24(試験室10の前方の壁11と共通)と、天井25と、付室20が設置された設置面G(試験室10の設置面Gと共通)とによって観察空間を囲繞するように構成されており、前方の壁21には観察者の出入り口28が設けられている。このように付室20を設けたことで、外気が直接的に試験室10に流入する可能性が低減され、試験室10の内部の気流に与える影響が低減される。ただし、外気を導入することにより所望の観察環境を構築できるように、各壁21〜24の任意の位置に開口を形成してもよい(開口部26については後述する)。また例えば、形状面や大きさ面に関しては、少なくとも一人の観察者が立つことが可能なように、付室20は、高さが1.8mから2m程度で、平面形状の1辺が1m程度であって、全体として略直方体に構成されている。ただし、複数の観察者が同時に観察可能なように、この形状や大きさを変更可能としてもよく、例えば、試験室10と同一の形状及び大きさとしてもよい。なお、付室20の各壁21〜24、天井25、あるいは支持材を構成する素材としては、試験室10と同じ素材を用いることができる。
なお、付室20は必ずしも設ける必要はなく、試験室10の周囲のどこからでも移動して見られるようにする場合は付室20を取り除いても良い。
図4は煙火炎出力装置30を示す斜視図である。図5は、図4の縦断面図である。これら図4及び図5に示すように、煙火炎出力装置30は、筐体30aの内部に図示しない各種の部品等を収容して構成されている。この筐体30aは、仕切り板30bによって煙発生収容部30cと映像表示収容部30dとに区分けして構成されている。煙発生収容部30cは、後述する煙発生部31を収容するものであり、壁12側に配置されている。この煙発生収容部30cの上面には、後述する煙発生部31によって発生された煙を放出するための開口部30eが設けられている。映像表示収容部30dは、後述する映像記憶部32及び映像表示部33を収容するものであり、壁11側に配置されている。この映像表示収容部30dの壁11側側面には、後述する映像表示部33の表示画面のみを外部に露出させるための開口部30fが設けられている。
図1から3において、煙感知器50(アナログ式煙感知器又はデジタル式煙感知器)は、煙を感知して警報を出力する煙感知手段である。煙感知器50の作動原理や具体的構造は任意であり、例えば、散乱光式の煙感知器50を用いることができる。また、煙感知器50から出力される信号の出力形式は任意であり、例えば、散乱光式の煙感知器50を用いることができる。この煙感知器50は、試験室10の壁11〜14又は天井15において、煙火炎出力装置30から発生された煙が流入する位置(試験室10の内部における上方位置であって、ここでは、煙火炎出力装置30の鉛直上方の近傍位置)に一つ又は複数配置されている。この煙感知器50は、図示しない信号線を介して制御盤80に接続されており、煙の感知量が所定の閾値を超えた場合には、煙感知信号を制御盤80に出力する。
ガス検知器60(アナログ式ガス検知器又はデジタル式ガス検知器)は、特定種類のガス(ここでは一酸化炭素)を検知して警報を出力する検知手段である。このガス検知器60の作動原理や具体的構造は任意であり、例えば半導体式や電気化学式のガス検知器60を用いることができる。このガス検知器60は、試験室10の壁11〜14又は天井15において、煙火炎出力装置30から発生された一酸化炭素が流入する位置に一つ又は複数配置されている。このガス検知器60は、図示しない信号線を介して制御盤80に接続されており、ガスの検知量が所定の閾値を超えた場合には、ガス検知信号を制御盤80に出力する。このガス検知器60を付室20内にも配置して、付室20に有毒ガスが流入して観察者が危険状態になったことを検出して警報を行い、観察者の退避を促してもよい。この場合において、付室20のガス検知器60が作動したときは、電気ヒータ31bを停止するように、制御盤80にて電気ヒータ31bを制御しても良い。
気流形成機構70は、煙火炎出力装置30から煙感知器50に至る気流を形成する気流形成手段である。具体的には、気流形成機構70は、排気ダクト71と排気ファン72から構成されている。排気ダクト71は、中空管体であって、その一端は、上方排気ダクト71aと、後方排気ダクト71bに分岐されている。上方排気ダクト71aは、主として煙の気流を形成するための排気を行うものであり、試験室10の天井15における位置であって、煙火炎出力装置30の鉛直上方の近傍位置に形成された排気口12aに接続されている。後方排気ダクト71bは、主として煙の量を調整するための排気を行うものであり、試験室10の後方の壁12における位置に形成された排気口12bに接続されている。また、上方排気ダクト71aにはダンパ71a1、後方排気ダクト71bにはダンパ71b1がそれぞれ設けられており、これらダンパ71a1、71b1によって、上方排気ダクト71aと後方排気ダクト71bによる排気量が個別的に制御される。一方、排気ダクト71の他端は、試験室10の外部において排気ファン72に接続されている。この排気ファン72は、試験室10の空気を、排気口12a及び排気ダクト71を順次介して排気する。上述したダンパ71a1、71b1は、図示しない信号線を介して制御盤80に接続されており、この制御盤80からの制御信号によって駆動される。
制御盤80は、火災警報器の試験設備1の電気的制御を行う制御手段である。この制御盤80のブロック図を図6に示す。この制御盤80は、制御部81、記憶部82、及び入出力端子83を備えて構成されている。制御部81は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びこのCPU上で実行させる各種のプログラムから構成されている。この制御部81は、機能概念的に、連動制御部81aを備える。この連動制御部81aは、煙火炎出力装置30の煙発生部31と映像記憶部32とを連動制御する連動制御手段である。記憶部82は、制御盤80による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。この記憶部82には、制御テーブル82aが格納されている。この制御テーブル82aの具体的構成例については後述する。入出力端子83は、入力及び出力を行うためのインターフェースであって、上述のように、図示しない信号線を介して、シャッター27、電気ヒータ31b、温度センサ31c、映像記憶部32、煙感知器50、ガス検知器60、排気ファン72、及びダンパ71a1、71b1に接続されている。
次に、制御盤80の連動制御部81aにより実行される試験制御処理について説明する。図8は、試験制御処理のフローチャートである。なお、以下の説明においては、ステップを「S」と略記する。作業者が加熱用トレー31aに木材チップを所定量載せた後、図示しない入力手段を介して、試験において再現したい火災状況種別及び試験時間を制御盤80に入力する(ここでは、作業者が、火災状況種別:居間の火災、試験時間:5分を入力したものとする)と共に、試験制御の開始を指示する。
このように本実施の形態によれば、映像表示部33が、煙感知器50の作動試験中に、映像記憶部32に記憶された映像情報に基づいて、火災の映像を表示することができるので、観察者に対して、実際の火災発生状況に近い状況下にいるかのような臨場感を与えることができる。また、映像記憶部32に記憶される映像情報を任意に設定することで、映像表示部33が、様々な種類の火災や様々な状況下での火災の映像を表示することができるので、観察者のニーズに応じた火災の映像を表示しながら、煙感知器50の作動試験を行うことができる。
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、煙発生手段と、映像記憶手段と、火災警報器とを連動制御する形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
実施の形態2に係る火災警報器の試験設備1は、図1に示した実施の形態1の火災警報器の試験設備1とほぼ同様に構成でき、記憶部82の制御テーブル82aの構成と、制御部81の後述する制御内容のみが異なるため、その構成の説明は省略する。
次に、制御盤80の連動制御部81aにより実行される試験制御処理について説明する。図10は、試験制御処理のフローチャートである。ただし、この試験制御処理におけるSB1、SB5、SB10は、図8に示した試験制御処理のSA1、SA4、SA8とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。なお、作業者が加熱用トレー31aに木材チップを所定量載せた後、図示しない入力手段を介して、試験において再現したい火災状況種別を制御盤80に入力する(ここでは、作業者が、火災状況種別:居間の火災を入力したものとする)と共に、試験制御の開始を指示する。なお、火災状況種別が入力された後に、詳細状況及び煙濃度(ここでは、詳細状況:火災時、及び煙濃度:0〜5%/m)は、制御部81によって自動的に入力されるものとする。
また、連動制御部81aが、煙発生部31と、映像記憶部32と、煙感知器50とを連動制御するので、映像表示部33の表示内容、煙発生部31の煙の煙量、及び煙感知器50の出力の大きさを関係づけることができるので、観察者に対して、実際の火災状況に近い状況下にいるかのような臨場感を一層与えることができる。
以上、各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。さらに、本発明によって、上述していない課題を解決したり、上述していない効果を奏することもある。
図11は、映像表示部33の変形例の斜視図である。各実施の形態では、映像表示部33は、図4及び図5に示すように、煙火炎出力装置30の映像表示収容部30dに収容すると説明したが、これに限らず、例えば、図11に示すように、ガスコンロ90の上に映像表示部33を設置してもよい。これにより、鍋の中の天ぷら油が過熱されて出火する等の映像を映像表示部33によって表示することで、実際の火災発生状況下に近い状況下であることを観察者に一層理解してもらいながら、煙感知器50の作動試験を行うことができる。
各実施の形態では、煙発生部31の原理や構造は、電気ヒータ31bによって木材チップ(木片)を加熱することによって煙を発生させると説明したが、例えば、舞台用の擬似煙発生装置によってドライアイスを気化することによって煙を発生させてもよい。
実施の形態2では、映像記憶部32は、制御テーブル82aに記載の項目「火災状況種別」に対応するデータ、項目「詳細状況」に対応するデータ、及び項目「煙濃度」に対応するデータの各組み合わせ毎に予め実験等によって求められた映像情報であって、これら各変化を特定するため映像情報を映像記憶部32に記憶していると説明したが、他の映像情報を記憶させてもよい。例えば、映像記憶部32は、火災発生から消火までノンストップで撮影された連続的な映像に関する映像情報を記憶してもよい。このような映像情報を用いる場合には、制御テーブル82aの構成は、例えば、項目「映像ID」に対応するデータに代えて、項目「再生時間」に対応するデータを、他の各項目に対応するデータと、相互に対応付けて構成される。ここで、項目「再生時間」に対応するデータは、映像記憶部32に記憶されている映像情報に関する映像の再生時間(例えば、「0〜1分間」と、「1〜3分間」と、「3〜5分間」との3種類)を特定するための再生時間情報である。これにより、連動制御部81aは、煙感知器50から煙濃度を取得し、記憶部82の制御テーブル82aを参照して、当該取得した煙濃度に対応する再生時間情報を取得し、当該取得された再生時間情報の再生時間に対応する映像情報の映像の一部を映像表示部33へ出力するように映像記憶部32を制御することができる。
10 試験室
11〜14、21〜24 壁
12a、12b 排気口
15、25 天井
G 設置面
20 付室
26、30e、30f 開口部
27 シャッター
28 出入り口
30 煙火炎出力装置
30a 筐体
30b 仕切り板
30c 煙発生収容部
30d 映像表示収容部
31 煙発生部
31a 加熱用トレー
31b 電気ヒータ
31c 温度センサ
31d 煙導管
32 映像記憶部
33 映像表示部
50 煙感知器
60 ガス検知器
70 気流形成機構
71 排気ダクト
71a 上方排気ダクト
71b 後方排気ダクト
71a1、71b1 ダンパ
72 排気ファン
80 制御盤
81 制御部
81a 連動制御部
82 記憶部
82a 制御テーブル
83 入出力端子
90 ガスコンロ
Claims (2)
- 擬似火災煙を生成して火災警報器の作動試験を行うための火災警報器の試験設備であって、
前記火災警報器の試験空間を構成する試験室と、
前記試験室の内部に配置され、煙を発生する煙発生手段と、
火災の映像に関する映像情報を記憶する映像記憶手段と、
前記試験室の内部に配置され、前記映像記憶手段にて記憶された映像情報に基づいて、火災の映像を表示する映像表示手段と、
前記煙発生手段と前記映像記憶手段とを連動制御する連動制御手段とを備え、
前記映像記憶手段は、火炎の大きさが異なる連続的な又は複数の断続的な火災の映像を記憶し、
前記連動制御手段は、前記映像表示手段で表示された火炎の大きさに対応した煙量の煙を発生させるように、前記煙発生手段を制御する、
火災警報器の試験設備。 - 前記連動制御手段は、前記煙発生手段と、前記映像記憶手段と、前記火災警報器とを連動制御するものであり、
前記連動制御手段は、前記火災警報器の出力の大きさに対応した火炎の大きさに関する映像を表示するように、前記映像記憶手段を制御する、
請求項1に記載の火災警報器の試験設備。
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