JP5334030B2 - ハイドロキシアパタイトの製造方法及びハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体の製造方法 - Google Patents
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また、基板上に金属のパターンを蒸着とマスクあるいはレジストパターンを利用して作製し、これを陰極として液中に分散させたアパタイト粒子を泳動電着させることで、アパタイトのパターンを作製することも試みられている(非特許文献3及び非特許文献4参照)が、基板の導電性が要求される。
また、レーザーを使ったアパタイト生成に関しても、薄膜作製に関しての特許出願はあるが(特許文献4及び特許文献5参照)、パターン生成についての出願例は見当たらない。
1)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm2未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させることを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法
2)基体に非接触のマスクを通して、レーザー光を基体に照射し、基体上にハイドロキシアパタイト生成核のパターンを形成することを特徴とする上記1記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
3)カルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中で、基体上にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることを特徴とする上記1又は2記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
4)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体をカルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中に浸漬し、該基体表面にハイドロキシアパタイトを形成させることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
6)針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造からなる上記1〜5のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法、を提供する。
7)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体を過飽和に存在するカルシウムイオンとリン酸イオン、及び蛋白質が存在する液相中に浸漬し、該基体表面に蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合層を形成することを特徴とする上記1〜6のいずれか一項に記載の蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合体の製造方法
8)針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造を備え、針状ハイドロキシアパタイトに、蛋白質が埋め込まれた構造有する上記7記載のハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体のパターン製造方法、を提供する。
レーザー光のエネルギーの下限値は、ハイドロキシアパタイト生成核が析出できるエネルギーを有すれば良いので、特に制限はない。好ましい条件としては0.5mW/mm2以上である。これにより、効率的にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることができるからである。したがって、レーザー光のエネルギーの照射は、0.5mW/mm2以上、1W/mm2未満の範囲で行うことが、より望ましいと言える。しかし、上記の通り、下限値に、特に制限を設ける必要がないのは、理解されるべきことである。
以上によって効率良く、安定したハイドロキシアパタイト生成核を生じさせることができる。特に、レーザー光の照射により、ハイドロキシアパタイト生成をパターン化することができるという点も、本願発明の大きな特徴の一つである。
すなわち、本願発明のレーザー光のエネルギーは、1W/mm2未満、さらには100mW/mm2以下においても、基体上にハイドロキシアパタイト生成核を効率良く析出させることができる。
集光した強いエネルギーの照射ではリン酸基や水酸基をもつアパタイトの生成には不適であり、本願発明とは全く異なるものであることは、理解されるべきことである。
マスクは、基体に直接接触していないので、基体からマスクを強制的に除去することを必要としない。すなわち、従来のように、基体を強力で有毒な化学薬品を使用する必要がない。したがって、耐薬品性の低い材料も基体として用いることができる。また、安全性が求められる生体材料などへの応用も可能である。
このリン酸カルシウム過飽和溶液は、溶液調製完了後、7日以内に自発核形成によるリン酸カルシウムの析出を誘起するような不安定な溶液(例えば、擬似体液の5倍のイオン濃度を有する水溶液)であってもいいし、8日以上リン酸カルシウムの析出を誘起しない安定な溶液(例えば、Hank’s溶液、擬似体液)であってもいい。これらのリン酸カルシウム過飽和溶液は、種々の公知の方法で調整することができる。
このハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体は、細胞培養に著しい効果を有する。これは、本願発明の大きな特徴である。蛋白質の選択は任意であるが、上皮細胞と器官の接合に大きく関係するラミニン蛋白質を用いることができる。
このようなレーザー技術を使ったパターニング技術により、例えば、細胞との親和性などの生体適合性を場所によって調節することができる。
レーザー光は集光せず、金属製のマスク(φ=5 mm)をレーザー光の光路上に置くことによりパターニングを行った。レーザー照射により、EVOH 基板上にナノスケールのアパタイト前駆体が、レーザーマスクパターン形状を投影した領域内に形成された(図1参照)。
また、レーザー光非照射領域では、どちらの溶液中でも、核生成やアパタイト層の成長は起こらず、EVOH表面に認められる機械研磨の跡が多数認められた。
アパタイト層表面でもラミニン−アパタイト複合層表面でも黒い点で示される接着細胞の数がEVOHのみの部分と比べ大きくなり、しかもラミニン−アパタイト複合層表面の方がアパタイト表面よりも多数の細胞が接着していることがわかる。
図8は、実際に作ったアパタイトパターンの走査型顕微鏡写真である。パターン生成が接触マスクを使わずにも可能であることを示している。
Claims (7)
- カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm2未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させることを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法。
- カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、非接触のマスクを通して、1W/mm2未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト生成核のパターンを形成することを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法。
- カルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中で、レーザー光を照射し、基体上にハイドロキシアパタイト前駆体及び/又は生成核を析出させることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
- カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体をカルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中に浸漬し、該基体表面にハイドロキシアパタイトを成長させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
- 針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
- カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm2未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体を過飽和に存在するカルシウムイオンとリン酸イオン及び蛋白質が存在する液相中に浸漬し、該基体表面に蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合層を形成することを特徴とする蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合体の製造方法。
- 針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造を備え、針状ハイドロキシアパタイトに、蛋白質が埋め込まれた構造を有する請求項6に記載の蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合体の製造方法。
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