JP5333605B2 - 電気デバイス用Si合金負極活物質 - Google Patents

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Description

本発明は、電気デバイス用Si合金負極活物質、および該電気デバイス用Si合金負極活物質を用いた電気デバイスに関する。本発明の電気デバイス用Si合金負極活物質及びこれを用いた電気デバイスは、例えば、二次電池やキャパシタ等として電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車等の車両のモータ等の駆動用電源や補助電源に用いられる。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの電気デバイスの開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
従来、リチウムイオン二次電池の負極には充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素・黒鉛系材料が用いられてきた。しかし、炭素・黒鉛系の負極材料ではリチウムイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電がなされるため、最大リチウム導入化合物であるLiCから得られる理論容量372mAh/g以上の充放電容量が得られないという欠点がある。このため、炭素・黒鉛系負極材料で車両用途の実用化レベルを満足する容量、エネルギー密度を得るのは困難である。
これに対し、負極にLiと合金化する材料を用いた電池は、従来の炭素・黒鉛系負極材料と比較しエネルギー密度が向上するため、車両用途における負極材料として期待されている。例えば、Si材料は、充放電において下記の反応式(1)のように1molあたり4.4molのリチウムイオンを吸蔵放出し、Li22Si(=Li4.4Si)においては理論容量2100mAh/gである。さらに、Si重量当りで算出した場合、3200mAh/g(実施例1のサンプル19参照)もの初期容量を有する。
しかしながら、負極にLiと合金化する材料を用いたリチウムイオン二次電池は、充放電時の負極での膨張収縮が大きい。例えば、Liイオンを吸蔵した場合の体積膨張は、黒鉛材料では約1.2倍であるのに対し、Si材料ではSiとLiが合金化する際、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化(約4倍)を起すため、電極のサイクル寿命を低下させる問題があった。また、Si負極活物質の場合、容量とサイクル耐久性はトレードオフの関係であり、高容量を示しつつ高サイクル耐久性を向上させることが困難であるといった問題があった。
こうした問題を解決すべく、式;SiAlを有するアモルファス合金を含む、リチウムイオン二次電池用の負極活物質が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、式中x、y、zは原子パーセント値を表し、x+y+z=100、x≧55、y<22、z>0、Mは、Mn、Mo、Nb、W、Ta、Fe、Cu、Ti、V、Cr、Ni、Co、Zr及びYの少なくとも1種からなる金属である。かかる特許文献1に記載の発明では、段落「0018」に金属Mの含有量を最小限にすることで、高容量の他に、良好なサイクル寿命を示すことが記載されている。
特表2009−517850号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の式;SiAlを有するアモルファス合金を有する負極を用いたリチウムイオン二次電池の場合、良好なサイクル特性を示すことができるとされているものの、初期容量が十分とはいえなかった。またサイクル特性も十分なものとはいえなかった。
そこで、本発明の目的は、高いサイクル特性を維持しつつ、かつ初期容量も高くバランスよい特性を示すLiイオン二次電池等の電気デバイス用の負極活物質(単に負極活物質ともいう)を提供することにある。
本発明者らは、負極活物質材料として、3元系のSi−Ti−Zn系の合金のうち、Si−Ti−Znの組成比が特定の組成範囲に含まれる合金を適用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、かかる知見に基づき本発明に至ったものである。
即ち本発明の目的は、組成式SiTiZnを有する合金を含む電気デバイス用の負極活物質により達成できる。ここで、上記組成式SiTiZnにおいて、式中x、y、及びzは質量パーセント値を表し、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x<100であり、(3)0<y<62であり、(4)0<z<62である。
本発明の電気デバイス用の負極活物質によれば、SiとLiとが合金化する際、上記組成式を有する合金が第1添加元素Tiを上記範囲内で含むことにより、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させるという作用が得られる。さらに、SiとLiとが合金化する際、上記組成式を有する合金が第2添加元素Znを上記範囲内で含むことにより、前記第1添加元素濃度が増加しても電極としての容量が減少しないという作用が得られる。こうした複合的な作用の結果として、上記組成式を有する合金を含む負極活物質では、初期容量も高く、高容量・高サイクル耐久性を有するという有用な効果が得られる。
本発明に係る電気デバイスの代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係る電気デバイスの代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 実施例1で行った各サンプル(サンプル番号1〜25)を用いた電池の1サイクル目の放電容量(mAhg)を、容量の大きさにより色分けして(濃淡をつけて)プロットしたSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図である。 実施例1で行った各サンプル(サンプル番号1〜25)を用いた電池の50サイクル目での放電容量維持率(%)を、放電容量維持率の大きさにより色分けして(濃淡をつけて)プロットしたSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図である。 図3のSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図に実施例1のSi−Ti−Zn合金サンプルの組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。図中、Si+Ti+Zn(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、(2)0.38≦Si(wt%/100)<1.00であり、(3)0<Ti(wt%/100)<0.62であり、(4)0<Zn(wt%/100)<0.62である。 図3のSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図に実施例1のSi−Ti−Zn合金サンプルのうち、好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。図中、Si+Ti+Zn(いずれの単位もwt%/100である。)=1.00であり、(2)0.38≦Si(wt%/100)<1.00であり、(3)0<Ti(wt%/100)≦0.42であり、(4)0<Zn(wt%/100)≦0.39である。 図4のSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図に実施例1のSi−Ti−Zn合金サンプルのうち、より好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。図中、Si+Ti+Zn(いずれの単位もwt%/100である)=1.00であり、(2)0.38≦Si(wt%/100)≦0.72であり、(3)0.08≦Ti(wt%/100)≦0.42であり、(4)0.12≦Zn(wt%/100)≦0.39である。 図4のSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図に実施例1のSi−Ti−Zn合金サンプルのうち、特に好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。図中、Si+Ti+Zn(いずれの単位もwt%/100である)=1.00であり、(2)0.38≦Si(wt%/100)≦0.61であり、(3)0.19≦Ti(wt%/100)≦0.42であり、(4)0.12≦Zn(wt%/100)≦0.35である。 図4のSi−Ti−Zn系の3元系合金の組成図に実施例1のSi−Ti−Zn合金サンプルのうち、とりわけ好ましい組成範囲を色分けして(濃淡をつけて)囲った図面である。図中、Si+Ti+Zn(いずれの単位もwt%/100である)=1.00であり、(2)0.47≦Si(wt%/100)≦0.53であり、(3)0.19≦Ti(wt%/100)≦0.21であり、(4)0.26≦Zn(wt%/100)≦0.35である。 実施例2で行った、pure Si、Si−Ti系の2元系合金、Si−Ti−Zn系の3元系合金の各サンプルを用いた電池での1サイクル目(初期サイクル)の放電過程でのdQ/dV曲線を表す図面である。
以下、図面を参照しながら、本発明の電気デバイス用の負極活物質およびこれを用いてなる電気デバイスの実施形態を説明する。但し、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
以下、本発明の電気デバイス用の負極活物質が適用され得る電気デバイスの基本的な構成を、図面を用いて説明する。本実施形態では、電気デバイスとしてリチウムイオン二次電池を例示して説明する。
まず、本発明に係る電気デバイス用の負極活物質の代表的な一実施形態であるリチウムイオン二次電池用の負極活物質およびこれを用いてなる負極並びにリチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる。そのため本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いてなる負極並びにリチウムイオン二次電池では、車両の駆動電源用や補助電源用として優れている。その結果、車両の駆動電源用等のリチウムイオン二次電池として好適に利用できる。このほかにも、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
すなわち、本実施形態の対象となるリチウムイオン二次電池は、以下に説明する本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いてなる非双極型(内部並列接続タイプ)リチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明する。但し、本実施形態のリチウムイオン二次電池の技術的範囲が、これらに制限されるべきものではない。
<電池の全体構造>
図1は、本発明の電気デバイスの代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態の積層型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された正極と、電解質層17と、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図1に示す積層型電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層の正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層の負極集電体が位置するようにし、該最外層の負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体12は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板25および負極集電板27がそれぞれ取り付けられ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出される構造を有している。正極集電板25および負極集電板27は、それぞれ必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
上記で説明したリチウムイオン二次電池は、負極活物質の組成に特徴を有する。以下、当該負極活物質を含めた電池の主要な構成部材について説明する。
(活物質層)
活物質層13または15は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
(正極活物質層)
正極活物質層13は、正極活物質を含む。
[正極活物質]
正極活物質としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物、固溶体系、3元系、NiMn系、NiCo系、スピネルMn系などが挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni、Mn、Co)O、Li(Li、Ni、Mn、Co)O、LiFePO及びこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等が挙げられる。固溶体系としては、xLiMO・(1−x)LiNO(0<x<1、Mは平均酸化状態が3+、Nは平均酸化状態が4+である1種類以上の遷移金属)、LiRO−LiMn(R=Ni、Mn、Co、Fe等の遷移金属元素)等が挙げられる。3元系としては、ニッケル・コバルト・マンガン系(複合)正極材等が挙げられる。スピネルMn系としてはLiMn等が挙げられる。NiMn系としては、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。NiCo系としては、Li(NiCo)O等が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。活物質それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
正極活物質層13に含まれる正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。なお、本明細書中において、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察される活物質粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。他の構成成分の粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
正極(正極活物質層)は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ法、蒸着法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法および溶射法のいずれかの方法によっても形成することができる。
(負極活物質層)
負極活物質層15は、本実施形態の組成式SiTiZnを有する合金を含む負極活物質を有するものである。本実施形態の負極活物質を用いることで、高容量・高サイクル耐久性を有する良好なリチウムイオン二次電池用負極となる。また、本実施形態の負極活物質を用いてなるリチウムイオン二次電池用負極を用いることで、高容量でサイクル耐久性に優れる良好な電池特性を有するリチウムイオン二次電池となる。
[負極活物質]
本実施形態では、負極活物質として、組成式SiTiZn(式中x、y、及びzは質量パーセント値を表し、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x<100であり、(3)0<y<62であり、(4)0<z<62である。)を有する合金を含むことを特徴とする。本実施形態では、Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる第1添加元素Tiと、該第1添加元素濃度が増加しても電極としての容量が減少しない第2添加元素種Znを選定し、これら添加元素種と高容量元素Siを適切な組成比としてなるものである。ここでLi合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制するのは、Si材料ではSiとLiが合金化する際、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化(約4倍)を起すため、粒子自体が壊れてしまい活物質としての機能が失われるためである。そのためアモルファス−結晶の相転移を抑制することで、粒子自体の崩壊を抑制し活物質としての機能(高容量)を保持することができ、サイクル寿命も向上させることができるものである。かかる第1及び第2添加元素を選定し、これら添加元素種と高容量元素Siを適切な組成比とすることにより、高容量で高サイクル耐久性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Ti−Zn合金の組成比が図5の太い実線で囲われた範囲内(三角形の内側)の場合には、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性(特に、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上)を実現できるSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、5参照のこと)。
本実施形態の負極活物質として、好ましくは、組成式SiTiZnにおいて、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x<100であり、(3)0<y≦42であり、(4)0<z≦39であることを特徴とする。このように第1添加元素であるTiと第2添加元素のZn、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Ti−Zn合金の組成比が図6の太い実線で囲われた範囲内(図6の5角形の内側=図5の三角形の底部の2つの頂点のカドを落とした形状の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)を実現できる。特に、この場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化を実現できた組成範囲を選択した(=図6の太い実線で囲われた5角形とした)ものである。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を実現できる。これにより優れたSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、6参照のこと)。
本実施形態の負極活物質として、より好ましくは、組成式SiTiZnにおいて、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x≦72であり、(3)8≦y≦42であり、(4)12≦z≦39であることを特徴とする。本実施形態では、第1添加元素であるTiと第2添加元素のZn、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、より良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Ti−Zn合金の組成比が図7の太い実線で囲われた範囲内(六角形の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)を実現できる。更に更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を実現できる。特に、この場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化と高サイクル耐久性をバランスよく実現できた組成範囲のみ選択した(=図7の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。これにより、より優れたSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、7参照のこと)。
本実施形態の負極活物質として、特に好ましくは、組成式SiTiZnにおいて、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x≦61であり、(3)19≦y≦42であり、(4)12<z≦35であることを特徴とする。本実施形態では、第1添加元素であるTiと第2添加元素のZn、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、特に良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Ti−Zn合金の組成比が図8の太い実線で囲われた範囲内(小さい六角形の内側)の場合にも、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れた高サイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目でのより高い放電容量維持率90%以上を実現できる。即ち、この場合には、実施例1のサンプル1〜12のうち、高容量化とより一層高いサイクル耐久性を非常にバランスよく実現できた組成範囲を選択した(=図8の太い実線で囲われた小さな六角形とした)ものである。これにより、高性能なSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、8参照のこと)。
本実施形態の負極活物質として、中でも好ましくは、組成式SiTiZnにおいて、(1)x+y+z=100であり、(2)47≦x≦53であり、(3)19≦y≦21であり、(4)26≦z≦35であることを特徴とする。本実施形態では、第1添加元素であるTiと第2添加元素のZn、更に高容量元素Siの組成比が上記に規定する適切な範囲である場合に、最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できる。具体的にはSi−Ti−Zn合金の組成比が図9の太い実線で囲われた範囲内(小さい四角形の内側)の場合には、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較してもより高い高容量(初期容量1129mAh/g以上)を実現できる。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性の悪いSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較した場合には格段に優れた高サイクル耐久性を実現できる。具体的には、50サイクル目でのより一層高い放電容量維持率96%以上を実現できる。即ち、この場合には、実施例1のサンプル1〜12のうち、より一層の高容量化とより一層高いサイクル耐久性を最もバランスよく実現できた組成範囲(ベストモード)のみを選択した(=図9の太い実線で囲われた小さな四角形とした)ものである。これにより極めて高性能なSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図3、4、9参照のこと)。
詳しくは、負極活物質は、製造された状態(未充電状態)において、上記した適切な組成比を有する組成式SiTiZnで表される3元系のアモルファス合金である。そして、本実施形態の負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池では、充放電により、SiとLiが合金化する際にも、アモルファス状態から結晶状態へ転移し大きな体積変化を起すのを抑制し得る顕著な特性を有するものである。これは、SiTiZnで表される3元系合金でのSiへの添加金属元素のいずれか一方を含まない2元系合金(y=0のSi−Zn合金やz=0のSi−Ti系合金)では、高いサイクル特性、特に50サイクル目の高放電容量維持率の維持が困難である。そのため、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる(実施例1のサンプル1〜12とサンプル13〜25とを対比参照のこと。)。また特許文献1のSiAlで表される他の3元系や4元系の合金でも、やはり高いサイクル特性、特に50サイクル目の高放電容量維持率の維持が困難であるため、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる。即ち、特許文献1の3元系や4元系の合金では、初期容量(1サイクル目の放電容量)は、既存のカーボン系負極活物質(理論容量372mAh/g)に比して格段に高容量であり、Sn系負極活物質(理論容量600〜700mAh/g程度)と比較しても高容量となっている。しかしながら、サイクル特性が、600〜700mAh/g程度と高容量化し得るSn系負極活物質の50サイクル目の放電容量維持率(60%程度)と比較した場合に非常に悪く十分なものとはいえなかった。即ち、トレードオフの関係にある高容量化とサイクル耐久性とのバランスが悪く実用化し得ないものであった。具体的には、特許文献1の実施例1のSi62Al18Fe16Zrの4元系合金では、図2から初期容量は1150mAh/g程度と高容量であるが、僅か5〜6サイクル後の循環容量で既に1090mAh/g程度しかないことが図示されている。即ち、特許文献1の実施例1では、5〜6サイクル目の放電容量維持率が既に95%程度まで大幅に低下しており、1サイクルごとに放電容量維持率が概ね1%づつ低下していることが図示されている。このことから50サイクル目では、放電容量維持率がほぼ50%低下する(=放電容量維持率がほぼ50%まで低下してしまう)ことが推測される。同様に実施例2のSi55Al29.3Fe15.7の3元系合金では、図4から初期容量が1430mAh/g程度と高容量であるが、僅か5〜6サイクル後の循環容量が既に1300mAh/g程度にまで大きく低下していることが図示されている。即ち、特許文献1の実施例2では、5〜6サイクル目の放電容量維持率が既に90%程度まで急激に低下しており、1サイクルごとに放電容量維持率が概ね2%づつ低下していることが図示されている。このことから50サイクル目では、放電容量維持率がほぼ100%低下する(=放電容量維持率がほぼ0%まで低下してしまう)ことが推測される。実施例3のSi60Al20Fe12Tiの4元系合金及び実施例4のSi62Al16Fe14Tiの4元系合金では、初期容量の記載はないが、表2から僅か5〜6サイクル後の循環容量で既に700〜1200mAh/gの低い値になっていることが示されている。特許文献1の実施例3の5〜6サイクル目の放電容量維持率は実施例1〜2と同程度以下であり、50サイクル目の放電容量維持率も概ね50%〜100%低下する(=放電容量維持率がほぼ50%〜0%まで低下してしまう)ことが推測される)。なお、特許文献1の合金組成は原子比で記載されているため、本実施形態と同様に、質量比に換算すると、実施例ではFeが20質量%程度入っており、第一添加元素となっている合金組成が開示されていると言える。
そのためこれら2元系合金や特許文献1記載の3元系や4元系合金を用いた電池では、車両用途のようにサイクル耐久性が強く求められる分野では実用化レベルを満足するサイクル特性が十分に得られない等、その信頼性・安全性に課題があり、実用化が困難である。一方、本実施形態のSiTiZnで表される3元系合金を用いた負極活物質では、高いサイクル特性として50サイクル目の高い放電容量維持率を有する(図4参照)。さらに初期容量(1サイクル目の放電容量)も既存のカーボン系負極活物質より格段に高く、また既存のSn系負極活物質と比べても同等以上と高く(図3参照)、バランスよい特性を示す負極活物質を提供できる。即ち、既存のカーボン系やSn系負極活物質や特許文献1記載の3元系や4元系合金ではトレードオフの関係にあり実現できていなかった高容量化とサイクル耐久性の両特性を高次元でバランスよく成立し得る合金を用いた負極活物質を見出したものである。詳しくは、非常に多種多様な組合せが存在する1又は2以上の添加元素種よりなる群から、Ti、Znの2種を選択し、更にこれら添加元素種と高容量元素Siとを特定の組成比(組成範囲)を選択することで、所期の目的が達成し得ることを見出したものである。その結果、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン二次電池を提供できる点で優れている。
以下、負極活物質につき詳しく説明する。
(1)合金の合計の質量%値について
上記組成式SiTiZnを有する合金の合計の質量%値である、式中(1)のx+y+z=100である(ここで、x、y、及びzは質量%値を表す)。即ち、Si−Ti−Zn系の3元系の合金からなるものでなければならない。言い換えれば、2元系の合金、他の組成の3元系の合金、或いは別の金属を添加した4元系以上の合金は含まれないものと言える。但し、製造上、不可避的に混入する極微量な不純物の金属元素等(本実施形態の作用効果に影響しない程度の極微量の金属元素等)については、含まれていてもよい。なお、本実施形態の負極活物質層15には、少なくとも1種の組成式SiTiZnを有する合金が含まれていればよく、2種以上の組成の異なる当該合金を併用して用いてもよい。
(2)合金中のSiの質量%値について
上記組成式SiTiZnを有する合金中のSiの質量%値である、式中(2)のxの範囲は、38≦x<100であり、好ましくは38≦x≦72であり、より好ましくは38≦x≦61であり、特に好ましくは47≦x≦53である(表1、図5〜図9参照)。これは、合金中の高容量元素Siの質量パーセント値(x値)の数値が高いほど高容量化でき、38≦x<100の範囲であれば、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量(690mAh/g以上)を実現できるためである。同様に、既存のSn系負極活物質と同等以上の高容量の合金を得ることができるためである(図5及び6参照)。さらに38≦x<100の範囲であれば、50サイクル目の放電容量維持率(サイクル耐久性)にも優れるためである(表1、図4〜6参照)。一方、組成式SiTiZnで表される3元系の合金に比して高容量元素Siへの添加金属元素(Ti、Zn)のいずれか一方を含まない2元系の合金(y=0のSi−Zn合金やz=0のSi−Ti系合金)では、高いサイクル特性を維持することができない。特に、50サイクル目の高い放電容量維持率を十分に維持することができず(表1のサンプル13〜24及び図4参照)、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる。また、x=100の場合(Siへの添加金属元素Ti、Znを全く含まないpure Siの場合)、高容量化とサイクル耐久性はトレードオフの関係であり、高容量を示しつつ高サイクル耐久性を向上させることはできないことがわかる。即ち、高容量元素であるSiのみであるため、最も高容量である反面、充放電に伴いSiの膨脹収縮現象により、負極活物質としての劣化が顕著であり、最も悪く格段に低い放電容量維持率(僅か47%)しか得られないことがわかる(表1のサンプル19及び図4参照)。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)として好ましくは、高いサイクル特性(特に、50サイクル目の高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、38≦x≦72の範囲が望ましい。加えて後述する第1添加元素であるTiと第2添加元素のZnの組成比が適切である場合に、良好な特性(既存の合金系負極活物質ではトレードオフの関係にあった高容量化とサイクル耐久性の双方に優れた特性)を有するSi合金負極活物質を提供ができる(表1及び図7の実施例1のサンプル1〜12参照のこと)。即ち、合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)の数値が高いほど高容量化できる反面、サイクル耐久性が低下する傾向にあるが、38≦x≦72の範囲内であれば、高容量化(690mAh/g以上)と共に高い放電容量維持率(87%以上)を維持できる点で好ましい(表1の実施例1のサンプル1〜12及び図7参照)。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)としてより好ましくは、より高いサイクル特性(より高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、38≦x≦61の範囲がより望ましいと言える。加えて後述する第1添加元素であるTiと第2添加元素のZnの比がより適切である場合に、より良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図8の太い実線で囲われた内部参照)。即ち、より好ましい範囲の38≦x≦61であれば、高容量化(690mAh/g以上)と共に、50サイクル目のより高い放電容量維持率(90%以上)を維持できる点でより優れている(表1及び図8の太い実線で囲われた内部参照)。
合金中の高容量元素Siの質量%値(x値)として特に好ましくは、特に高いサイクル特性(特に高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、47≦x≦53の範囲が特に望ましいと言える。加えて後述する第1添加元素であるTiと第2添加元素のZnの比がより適切である場合に、最も良好な特性を有する高性能なSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図9の太い実線で囲われた内部参照)。即ち、特に好ましい範囲の47≦x≦53であれば、高容量化(1129mAh/g以上)と共に、50サイクル目の特に高い放電容量維持率(95%以上)を維持できる点で特に優れている(表1及び図9の太い実線で囲われた内部参照)。
ここで、x≧38、特にx≧47の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有するSi材料(x値)と第1添加元素Ti(y値)と第2添加元素Zn(z値)の含有比率(バランス)が最適な範囲(図5〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、最も良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、x≦72、特にx≦61、中でもx≦53の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料と第1添加元素であるTiと第2添加元素のZnの含有比率(バランス)が最適な範囲(図5〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、サイクル寿命を大幅に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率87%以上、特に90%以上、中でも96%以上を実現できる。但し、xが上記の最適な範囲(38≦x≦72、特に38≦x≦61、中でも47≦x≦53)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態では高容量Si材料への第1添加元素Tiと第2添加元素Znという相互補完関係にある組み合わせを、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素の組み合わせによる過度の実験を通じて(一通りの組み合わせのみを)選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更に高容量Si材料の含有量を上記に示す最適な範囲とするとで、高容量化と共に、50サイクル目の放電容量維持率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第1添加元素Tiと、このTiと相互補完関係にある第2添加元素Znとの最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量を示しつつ電極の高いサイクル耐久性を向上させることができる点でも優れている(表1及び図5〜図9参照)。
(3)合金中のTiの質量%値について
上記組成式SiTiZnを有する合金中のTiの質量%値である、式中(3)のyの範囲は、0<y<62であり、好ましくは0<y≦42であり、より好ましくは8≦y≦42であり、特に好ましくは19≦y≦42、中でも好ましくは19≦y≦21である。これは、合金中の第1添加元素Tiの質量パーセント値(y値)の数値が0<y<62の範囲であれば、Tiの持つ特性(更にZnとの相乗特性により、高容量Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制することができる。その結果、サイクル寿命(サイクル耐久性)、特に50サイクル目での高い放電容量維持率(87%以上)に優れた効果を発現することができる(表1、図5参照)。また、高容量Si材料の含有量x値の数値を一定以上(38≦x<100)に保持し得ることができ、既存のカーボン系負極活物質では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できる。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)の合金を得ることができる(表1及び図5参照)。一方、組成式SiTiZnで表される3元系の合金に対して高容量元素Siへの添加金属元素(Ti、Zn)のいずれか一方を含まない2元系の合金(特に、y=0のSi−Zn合金)では、本実施形態に比して高いサイクル特性を維持することができない。特に、50サイクル目の高い放電容量維持率を十分に維持することができず(表1のサンプル13〜25及び図4参照)、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる。また、y≧62の場合、Tiは活物質としての働きはなく、TiとLiとの合金化が困難であり、活物質でないTi含有量が62質量%を超える場合には、負極活物質としての特性を十分に発現することができず、高い容量もサイクル耐久性も発現させることが極めて困難である。
合金中の第1添加元素Tiの質量%値(y値)として好ましくは、高いサイクル特性(特に、50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、0<y≦42の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有する第1添加元素Tiの含有比率が適切である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図6の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。即ち、合金中の第1添加元素Tiの質量%値(y値)の数値が、好ましい範囲の0<y≦42であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有効に発現させることができ、50サイクル目での高い放電容量維持率(87%以上)を維持できる点で好ましい(表1及び図6参照)。この場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化を実現できた組成範囲(特にTi含有量に関しては0<y≦42)を選択した(図6の太い実線で囲われた五角形とした)ものである。上記組成範囲、特にTi含有量に関しては0<y≦42を選択することで、Sn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性(放電容量維持率87%以上)を実現したSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図6参照)。
合金中の第1添加元素Tiの質量%値(y値)としてより好ましくは、高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、8≦y≦42の範囲が望ましいと言える。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有する第1添加元素Tiの含有比率が適切である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図7参照)。即ち、より好ましい範囲の8≦y≦42であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を有効に発現させることができ、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を維持できる(表1及び図7参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を実現できた組成範囲(特にTi含有量に関しては8≦y≦42)を選択した(図7の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にTi含有量に関しては8≦y≦42を選択することで、高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性(高い放電容量維持率)を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第1添加元素Tiの質量%値(y値)として特に好ましくは、より高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性を非常にバランスよく示す負極活物質を提供する観点から19≦y≦42の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有する第1添加元素Tiの含有比率がより適切である場合に、さらに良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図8参照)。即ち、特に好ましい範囲の19≦y≦42であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果をより有効に発現させることができ、50サイクル目での高い放電容量維持率90%以上を維持できる(表1及び図8参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12のなかでも、高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率90%以上を実現できた組成範囲(特にTi含有量に関しては19≦y≦42)を選択した(図8の太い実線で囲われた小さな六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にTi含有量に関し19≦y≦42を選択することで高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性(より高い放電容量維持率)を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第1添加元素Tiの質量%値(y値)として中でも好ましくは、より高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性を最もバランスよく示す負極活物質を提供する観点から19≦y≦21の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる作用効果を有する第1添加元素Tiの含有比率が最も適切である場合に、最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができる(表1及び図9参照)。即ち、特に好ましい範囲の19≦y≦21であれば、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果をより有効に発現させることができ、50サイクル目での高い放電容量維持率96%以上を維持できる(表1及び図9参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12のなかでも、より一層の高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率96%以上を実現できた組成範囲(特にTi含有量に関しては19≦y≦21)を選択した(図9の太い実線で囲われた小さな四角形とした)ものである。上記組成範囲、特にTi含有量に関し19≦y≦21を選択することで高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性(より高い放電容量維持率)を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
ここで、y≧8、特にy≧19の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料と第1添加元素Ti(更には残る第2添加元素Zn)との含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、Tiの持つ特性(更にはZnとの相乗特性)である、Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制し、サイクル寿命(特に放電容量維持率)を格段に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率87%以上、特に90%以上、中でも96%以上を実現できる。その結果、負極活物質(負極)としても、最も良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、y≦42、特にy≦21の場合には、3200mAh/g程度のもの初期容量を有する高容量Si材料と第1添加元素であるTi(更には第2添加元素のZn)との含有比率(バランス)が最適な範囲(図6〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、サイクル寿命を大幅に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率87%以上、特に90%以上、中でも96%以上を実現できる。但し、yが上記の最適な範囲(8≦y≦42、特に19≦y≦42、中でも19≦y≦21)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態では高容量Si材料への第1添加元素のTi(更には第2添加元素のZnという相互補完関係にある組合せ)を、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素の組み合わせによる過度の実験を通じて(一通りの組み合わせのみを)選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更にTiの含有量を上記に示す最適な範囲とするとで、50サイクル目の放電容量維持率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第1添加元素Ti(更にはTiと相互補完関係にある第2添加元素Zn)の最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量を示しつつ電極の高いサイクル耐久性を向上させることができる点でも優れている(表1及び図5〜図9参照)。
(4)合金中のZnの質量%値について
上記組成式SiTiZnを有する合金中のZnの質量%値である、式中(4)のzの範囲は、0<z<62であり、好ましくは0<z≦39であり、より好ましくは12≦z≦39であり、特に好ましくは12≦z≦35であり、中でも好ましくは26≦z≦35である。これは、合金中の第1添加元素濃度が増加しても電極としての容量が減少しない第2添加元素種Znの質量%値(z値)の数値が0<z<62の範囲であれば、Tiの持つ特性とZnとの相乗特性により、高容量Si材料のアモルファス−結晶の相転移を効果的に抑制することができる。その結果、サイクル寿命(サイクル耐久性)、特に50サイクル目での高い放電容量維持率(87%以上)に優れた効果を発現することができる(表1、図5参照)。また、高容量Si材料の含有量x値の数値を一定以上(38≦x<100)に保持し得ることができ、既存のカーボン系負極活物質に比して格段に高容量化でき、Sn系負極活物質と同等以上の高容量の合金を得ることができる(図5参照)。一方、組成式SiTiZnで表される3元系の合金のSiへの添加金属元素(Ti、Zn)のいずれか一方を含まない2元系の合金(特に、z=0のSi−Ti合金)では、本実施形態に比して高いサイクル特性を維持することができない。特に、50サイクル目の高い放電容量維持率を十分に維持することができず(表1のサンプル13〜25及び図4参照)、サイクル特性が急激に低下(劣化)するという大きな問題が生じる。また、z≧62の場合、Znは活物質としての働きはなく、ZnとLiとの合金化が困難であり、負極活物質としての特性を十分に発現することができず、高い容量もサイクル耐久性も発現させることが極めて困難である。
合金中の第2添加元素Znの質量%値(z値)として好ましくは、高いサイクル特性(特に、50サイクル目の高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点からは、0<z≦39の範囲が望ましい。Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる第1添加元素Tiと、その第1添加元素濃度が増加しても負極活物質(負極)としての容量が減少しない第2添加元素Znの選定が本実施形態においては極めて重要かつ有用である。かかる第1及び第2添加元素により、特許文献1等の従来公知の3元系合金や4元系以上の合金、更にSi−Ti系合金やSi−Zn系合金等の2元系合金との顕著な作用効果の差異が見られることがわかったものである。かかる第2添加元素Zn(更にはZnと相互補完関係にある第1添加元素Ti)の含有比率が適切である場合に、良好な特性を有するSi合金負極活物質となる(表1及び図6の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。即ち、合金中の第2添加元素Znの質量%値(z値)の数値が、好ましい範囲の0<y≦39であれば、第1添加元素Tiとの相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を有効に発現できる。その結果、50サイクル目での高い放電容量維持率(87%以上)を維持できる(表1及び図6参照)。この場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化を実現できた組成範囲(特にZn含有量に関しては0<y≦39)を選択した(図6の太い実線で囲われた五角形とした)ものである。上記組成範囲、特にZn含有量に関しては0<y≦39を選択することで、第1添加元素Tiとの相乗効果(相互補完特性)により、Sn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現できる。その結果、50サイクル目での放電容量維持率87%以上を実現したSi合金負極活物質を提供できる(表1及び図6の太い実線で囲まれた組成範囲参照)。
合金中の第2添加元素Znの質量%値(z値)としてより好ましくは、第1添加元素Tiとの相乗効果(相互補完特性)により高いサイクル特性を維持しつつ初期容量も高い特性をバランスよく示す負極活物質を提供する観点から、12≦z≦39の範囲が望ましい。Li合金化の際、Tiとの相乗効果(相互補完特性)によりアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を奏し得る第2添加元素Znの含有比率が適切である場合に良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供することができるためである。即ち、より好ましい範囲の12≦z≦39であれば、第1添加元素との相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を有効に発現させることができる。その結果、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を維持できる(表1及び図7参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12で具体的に高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上を実現できた組成範囲(特にZn含有量に関しては12≦z≦39)を選択した(図7の太い実線で囲われた六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にZn含有量に関しては12≦z≦39を選択することで、Tiとの相乗特性により高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第2添加元素Znの質量%値(z値)として特に好ましくは、より高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性を非常にバランスよく示す負極活物質を提供する観点から12≦z≦35の範囲が望ましい。Li合金化の際、Tiとの相乗効果(相互補完特性)によりアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を奏し得る第2添加元素Znの含有比率がより適切である場合にさらに良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できるためである。即ち、特に好ましい範囲の12≦z≦35であれば、Tiとの相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果をより有効に発現させることができる。その結果、50サイクル目でのより高い放電容量維持率90%以上を維持できる(表1及び図8参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12のなかでも、高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率90%以上を実現できた組成範囲(特にZn含有量に関しては12≦z≦35)を選択した(図8の太い実線で囲われた小さな六角形とした)ものである。上記組成範囲、特にZn含有量に関し12≦z≦35を選択することで、Tiとの相乗特性により高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
合金中の第2添加元素Znの質量%値(z値)として中でも好ましくは、より高いサイクル特性(50サイクル目での高い放電容量維持率)を維持しつつ、初期容量も高い特性を最もバランスよく示す負極活物質を提供する観点から26≦z≦35の範囲が望ましい。Li合金化の際、Tiとの相乗効果(相互補完特性)によりアモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果を奏し得る第2添加元素Znの含有比率が最も適切である場合に最も良好な特性を有するSi合金負極活物質を提供できるためである。即ち、特に好ましい範囲の26≦z≦35であれば、Tiとの相乗効果(相互補完特性)により、合金化する際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる効果をより有効に発現させることができる。その結果、50サイクル目でのより一層高い放電容量維持率96%以上を維持できる(表1及び図9参照)。特にこの場合には、実施例1のサンプル1〜12のなかでも、より一層の高容量化及び50サイクル目での高い放電容量維持率96%以上を実現できた組成範囲(特にZn含有量に関しては26≦z≦35)を選択した(図9の太い実線で囲われた四角形とした)ものである。上記組成範囲、特にZn含有量に関し26≦z≦35を選択することで、Tiとの相乗特性により高容量化と共にSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現したSi合金負極活物質を提供できる。
ここで、z≧12、特にz≧26の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料及び第1添加元素Tiと、更なる第2添加元素Znとの含有比率(バランス)が最適な範囲(図7〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、Znの持つ特性(Tiとの相乗効果;相互補完特性)である、アモルファス−結晶の相転移を抑制し得るTi濃度が増加しても負極活物質(負極)としての容量の減少を効果的に抑制し、サイクル寿命(特に放電容量維持率)を格段に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率87%以上、特に90%以上、中でも96%以上を実現できる。その結果、負極活物質(負極)としても、最も良好な特性を発現することができ、車両用途レベルでの高容量化を長期間にわたって安定且つ安全に維持することができる点で優れている。一方、z≦39、特にz≦35の場合には、3200mAh/gもの初期容量を有する高容量Si材料及び第1添加元素Tiと、第2添加元素Znとの含有比率(バランス)が最適な範囲(図6〜図9の太い実線で囲われた範囲参照)となり得る。そのため、SiとLiとの合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を格段に抑制し、更にサイクル寿命(特に50サイクル目の放電容量維持率)を大幅に向上させることができる。即ち、50サイクル目の放電容量維持率が87%以上、特に90%以上、中でも96%以上を実現できる。但し、zが上記の最適な範囲(12≦z≦39、特に12≦z≦35、中でも26≦z≦35)を外れる場合であっても、上記した本実施形態の作用効果を有効に発現することができる範囲であれば、本発明の技術範囲(権利範囲)に含まれることはいうまでもない。
また、上記した特許文献1の実施例では、僅か5〜6サイクル程度で既にかなりの容量低下によるサイクル特性の劣化現象を示すことが開示されている。即ち、特許文献1の実施例では5〜6サイクル目の放電容量維持率で既に90〜95%にまで低下しており、50サイクル目の放電容量維持率はほぼ50〜0%にまで低下することになる。一方、本実施形態では高容量Si材料への第1添加元素Tiと第2添加元素Znという相互補完関係にある組み合わせを、いわば幾多の試行錯誤、加えて多種多様な添加(金属ないし非金属)元素種の組み合わせによる過度の実験を通じて(一通りの組み合わせのみを)選定し得たものである。そして、その組み合わせにおいて、更にZnの含有量を上記に示す最適な範囲とするとで、50サイクル目の放電容量維持率の減少を大幅に低減できる点でも優れている。即ち、SiとLiが合金化する際、第2添加元素Zn(更にはZnと相互補完関係にある第1添加元素Ti)の最適範囲による格別顕著な相乗作用(効果)により、アモルファス状態から結晶状態へ転移を抑制し、大きな体積変化を防止できる。さらに、高容量を示しつつ電極の高いサイクル耐久性を向上させることができる点でも優れている。
(5)組成式SiTiZnを有する合金の製造方法
上記組成式SiTiZnを有する合金の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の各種の製造を利用して製造することができる。即ち、作製方法による合金状態・特性の違いはほとんどないので、ありとあらゆる作製方法が適用できる。
具体的には、(i)組成式SiTiZnを有する合金の薄膜形態の製造方法としては、例えば、多元PVD法(スパッタ法(実施例で採用した方法)、抵抗加熱法、レーザーアブレーション法)、多元CVD法(化学気相成長法)等を利用することができる。
また、(ii)組成式SiTiZnを有する合金の粒子形態の製造方法としては、例えば、メカニカルアロイ法、アークプラズマ溶融法等を利用することができる。
上記(i)の合金薄膜の製造方法では、集電体上に直接上記合金薄膜を形成(成膜)して負極(電極)とすることができる。そのため、工程の簡略化・簡素化が図れる点で優れている。更には合金(負極活物質)以外のバインダや導電助剤などの他の負極活物質層(負極)を構成する成分を用いる必要がなく、合金(負極活物質)=薄膜電極のみでよい。そのため、車両用途の実用化レベルを満足する高容量及び高エネルギー密度化が図れる点
で優れている。また、活物質の電気化学特性を調べるのに適している。
上記(i)の合金薄膜の製造方法として、例えば、多元DCマグネトロンスパッタ装置として、独立制御の3元DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、基板(集電体)表面に種々の合金組成及び厚さのSiTiZn合金薄膜を自在に形成することができる。例えば、ターゲット1:Si、ターゲット2:Ti、ターゲット3:Znとし、スパッタ時間は固定し、DC電源のパワーをそれぞれ変化させることで種々の合金サンプルを得ることができる(具体的には、実施例1のサンプル1〜25参照のこと)。例えば、DC電源のパワーをそれぞれSi:185W、Ti:50W、Zn:50Wなどのようにそれぞれ変化させることで種々の組成式を有する3元系の合金サンプルを得ることができる。ただし、スパッタ条件はスパッタ装置ごとに違うため、スパッタ条件についても、スパッタ装置ごとに適宜、予備実験などを通じて好適な範囲を把握しておくのが望ましい。具体的には、実施例1に示すスパッタ装置におけるスパッタ条件、ターゲット仕様、電極サンプル仕様を参照のこと。例えば、実施例1に示すスパッタ装置におけるスパッタ条件、ターゲット仕様、電極サンプル仕様としてスパッタ時間を固定した場合のDC電源のパワーの好適な範囲としては、左記の通りである。即ち、DC電源のパワーの好適な範囲としては、Si:185W、Ti:50〜200W、Zn:30〜90Wの範囲である。かかる範囲であれば、アモルファス状態の上記組成式SiTiZnを有する合金を薄膜の形態に製造することができる。但し、これらの値は、あくまで実施例1に示すスパッタ装置におけるスパッタ条件、ターゲット仕様、電極サンプル仕様のもとでの好適な範囲(参照値)であり、上記したようにスパッタ装置ごとに異なる。そのため、スパッタ条件、ターゲット仕様、電極サンプル仕様等については、スパッタ装置ごとに適宜、予備実験などを通じて好適な範囲を把握しておくのが望ましい。
一方、上記(ii)の粒子の形態に製造する方法では、該粒子にバインダ、導電助剤、粘度調整溶剤を加えてスラリーを調整し、該スラリーを用いてスラリー電極を形成することができる。そのため、上記(i)に比して量産化(大量生産)し易く、実際の電池用電極として実用化しやすい点で優れている。なお、バインダ、導電助剤の影響が大きいので、活物質の特性を見るには、上記(i)の方が適していると言える。
(6)粒子の形態の合金の平均粒子径
なお、上記(5)(ii)の粒子の形態の合金を用いる場合、該合金の平均粒子径は、既存の負極活物質層15に含まれる負極活物質の平均粒子径と同程度であればよく、特に制限されない。高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmの範囲であればよい。ただし、上記範囲に何ら制限されるものではなく、本実施形態の作用効果を有効に発現できるものであれば、上記範囲を外れていてもよいことは言うまでもない。
(正極及び負極活物質層13、15に共通する要件)
以下に、正極及び負極活物質層13、15に共通する要件につき、説明する。
正極活物質層13および上記(5)(ii)の粒子の形態の合金を用いる場合の負極活物質層15は、バインダを含む。
活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。
活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
また、上記導電助剤とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電助剤とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電助剤とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)を用いることができる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および上記(5)(ii)の粒子の形態の合金を用いる場合の負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
各活物質層(集電体片面の活物質層)の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮し、通常1〜500μm程度、好ましくは2〜100μmである。
(集電体)
集電体11、12は導電性材料から構成される。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。集電体の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。集電体の形状についても特に制限されない。図1に示す積層型電池10では、集電箔のほか、網目形状(エキスパンドグリッド等)等を用いることができる。なお、負極活物質をスパッタ法等により薄膜合金を負極集電体12上に直接形成する場合には、集電箔を用いるのが望ましい。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
(電解質層)
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質(電解液)が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
ゲル電解質中の上記液体電解質(電解液)の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本実施形態では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質や真性ポリマー電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータ(不織布を含む)の具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜や多孔質の平板、更には不織布が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(集電板およびリード)
電池外部に電流を取り出す目的で、集電板を用いてもよい。集電板は集電体やリードに電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
集電板を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極集電板と負極集電板とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(電池外装材)
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
なお、上記のリチウムイオン二次電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<リチウムイオン二次電池の外観構成>
図2は、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図2に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板58、負極集電板59が引き出されている。発電要素57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素57は、正極集電板58および負極集電板59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、図1に示すリチウムイオン二次電池(積層型電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素57は、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン二次電池は、積層型の扁平な形状のもの(ラミネートセル)に制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のもの(コインセル)や角柱型形状(角型セル)のもの、こうした円筒型形状のものを変形させて長方形状の扁平な形状にしたようなもの、更にシリンダー状セルであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型や角柱型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図2に示す正極集電板58、負極集電板59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電板58と負極集電板59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板58と負極集電板59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図2に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、集電板に変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いてなる負極並びにリチウムイオン二次電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、好適に利用することができる。即ち、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態では、電気デバイスとして、リチウムイオン電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには一次電池にも適用できる。また電池だけではなくキャパシタにも適用できる。
本発明を、以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
(実施例1;サンプル1〜25)
1.評価用セルの作製
(1)評価用電極の作製
評価用電極にはスパッタ法により得られた種々の合金組成の薄膜合金を用いた。
詳しくは、スパッタ装置には、独立制御の3元DCマグネトロンスパッタ装置(大和機器工業株式会社製、コンビナトリアルスパッタコーティング装置:ガン−サンプル間距離:約100mm)を用いた。該スパッタ装置を用いて下記に示すスパッタ条件、ターゲット仕様、電極サンプル仕様にて種々の合金組成の薄膜合金(サンプル1〜25)を得た。
(i)詳しくは、スパッタ条件は下記条件にて行った。
1)ベース圧力:〜7×10−6Pa
2)スパッタガス種:Ar(99.9999%以上)
3)スパッタガス導入量:10sccm
4)スパッタ圧力:30mTorr
5)DC電源:Si(185W)、Ti(50〜200W)、Zn(30〜90W)
6)プレスパッタ時間:1min.
7)スパッタ時間:10min.
8)基板加熱:室温。
(ii)ターゲット仕様(製造元;株式会社高純度化学研究所)は以下の通りとした。
1)Siターゲット(4N):直径2インチ、厚さ3mm+無酸素銅バッキングプレート、厚さ2mm
2)Tiターゲット(5N):直径2インチ、厚さ5mm
3)Znターゲット(4N):直径2インチ、厚さ5mm。
(iii)電極サンプル仕様は以下の通りとした。
1)基板(集電体):Ni箔(厚さ20μm)
2)スパッタ膜厚:Siは常に100nmで添加元素(Ti、Zn)の分はスパッタパワーごとに適宜変化させた。詳しくは、添加元素(Ti、Zn)濃度の増加に伴い、添加元素濃度の分が厚くなるようにスパッタパワーごとにDC電源をそれぞれ変化させて行った。
3)合金の組成比(質量%):下記表1を参照のこと。
即ちSiターゲット、Tiターゲット及びZnターゲットを使用し、スパッタ時間は固定し、DC電源のパワーを上記の範囲でそれぞれ変化させることで、Ni基板上にアモルファス状態の合金薄膜を成膜し、評価用電極として種々の合金サンプル1〜25を得た。ここで、サンプル作製の1例を示せば、サンプル5では、DC電源2(Siターゲット):185W、DC電源1(Tiターゲット):150W、DC電源3(Znターゲット):60Wとすることで、下記表1に示す合金組成の薄膜合金が得られた。
得られた合金サンプル1〜25の分析は、下記の分析法、分析装置を用いて行った。
1)組成分析:SEM・EDX分析(JEOL社)、EPMA分析(JEOL社)
2)膜厚測定(スパッタレート算出のため):膜厚計(東京インスツルメンツ)
3)膜状態分析:ラマン分光測定(ブルカー社)。
(2)評価用セル(CR2032型コインセル)の作製
上記(1)で得られた評価用電極を使用し、下記コインセル仕様にて評価用セルを作成した。
(i)コインセル仕様は以下の通りとした。
1)対極:Li箔(直径15mm、厚さ200μm、本城金属株式会社製)
なお、対極には、正極スラリー電極(例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、Li(Ni、Mn、Co)O、Li(Li、Ni、Mn、Co)O、LiRO−LiMn(R=Ni、Mn、Co等の遷移金属元素)でも可能である。
2)コインセル:CR2032型
3)セパレータ:セルガード2400(セルガード社製)
4)電解液:1M LiPF/EC+DEC(1:1(体積比))
5)評価用電極:上記(1)で作製した合金サンプル1〜25(表1参照)。
即ち評価用電極をLi箔(対極)、セパレータおよび電解液と組み合わせることによって、評価用セル(CR2032型コインセル)を構築した。
2.充放電試験条件・評価方法
(1)充放電試験条件
(i)評価用セルの充放電試験条件は以下の通りとした。
1)充放電試験機:HJ0501SM8A(北斗電工株式会社製)
2)充放電条件[充電過程]0.1mA、2V→10mV(定電流・定電圧モード)
[放電過程]0.1mA、10mV→2V(定電流モード)
3)恒温槽:PFU−3K(エスペック株式会社製)
4)評価温度:300K(27℃)。
評価用セルは、充放電試験機を使用して、上記評価温度に設定された恒温槽中にて、充電過程(評価用電極へのLi挿入過程を言う)では、定電流・定電圧モードとし、0.1mAにて2Vから10mVまで充電した。その後、放電過程(評価用電極からのLi脱離過程を言う)では、定電流モードとし、0.1mA、10mVから2Vまで放電した。以上の充放電サイクルを1サイクルとして、同じ充放電条件にて、初期サイクル(1サイクル)〜50サイクルまで充放電試験をおこなった。
(2)評価方法
充放電容量は、合金重量当りで算出した。
長期サイクルの場合、電解液の劣化モードもサイクル特性に含まれる(逆に、高性能電解液を用いるとサイクル特性が良くなる)ことから、合金由来の成分が顕著な50サイクル目のデータを用いた。得られた結果を下記表1に示す。
(1)表中の「放電容量(mAh/g)」は、pure Si又は合金重量当りのものであり、Si−Ti−Zn合金(Si−Zn合金、pure SiまたはSi−Ti合金)へLiが反応する時の容量を示す。なお、明細書中で「初期容量」と表記しているものが、初期サイクル(1サイクル目)の「放電容量(mAh/g)」に相当するものである。
(2)表中の50サイクル目の「放電容量維持率(%)」は、「初期容量からどれだけ容量を維持しているか」の指標を表す。放電容量維持率(%)の計算式は下記の通りである。
[計算式]→50サイクル目の放電容量/最大放電容量×100
なお初期サイクル〜10サイクル、通常は5〜10サイクルの間で最大放電容量を示す。
表1の結果から、サンプル1〜12の電池では、初期容量(1サイクル目の放電容量)が、既存のカーボン系負極活物質(炭素・黒鉛系負極材料)では実現不可能な格段に高い高容量化を実現できることが確認できた。同様に既存のSn系合金負極活物質と比較しても同様以上の高容量(初期容量690mAh/g以上)を実現できることが確認できた。更に高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性についても、高容量であるがサイクル耐久性に劣る既存のSn系負極活物質や特許文献1に記載の多元系合金負極活物質と比較しても格段に優れたサイクル耐久性を実現できることが確認できた。具体的には、50サイクル目での高い放電容量維持率87%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは96%以上という格段に優れたサイクル耐久性を実現できることが確認できた。このことから、サンプル1〜12の電池では、サンプル13〜25の電池に比して50サイクル目の放電容量維持率が高く、高い初期容量の低下を抑えて高容量をより効率良く維持できていることがわかった。
本実施例の結果から、Li合金化の際、アモルファス−結晶の相転移を抑制しサイクル寿命を向上させる第1添加元素Tiと、その第1添加元素濃度が増加しても電極としての容量が減少しない第2添加元素種Znの選定が極めて有用かつ有効であることがわかった。かかる第1及び第2添加元素の選定により、高容量・高サイクル耐久性を有するSi合金系負極活物質を提供できる。その結果、高容量でサイクル耐久性がよいリチウムイオン二次電池を提供できることがわかった。なお、サンプル13〜25の参照電池では高容量化は実現できるが、当該高容量化とトレードオフの関係にあるサイクル耐久性については放電容量維持率が47〜85%と十分でないことがわかった。このことから参照電池では、サイクル耐久性の低下(劣化)が十分に抑制できないことがわかった。即ち、サンプル13〜25のSi金属又は2元系合金では、トレードオフの関係にある高容量化とサイクル耐久性をバランスよく発現できるものは得られないことが確認できた。
(実施例2)
サンプル4、19、22の評価用電極を用いた評価用セル(CR2032型コインセル)につき、実施例1と同様の充放電条件で初期サイクルを実施した。初期サイクルの放電過程での電圧(V)に対するdQ/dV曲線を図10に示す。
図10から、dQ/dVの解釈として、低電位(0.4V以下)の領域での下に凸のピーク本数が減少し、曲線が滑らかになっていることから、Si以外に元素(Ti、Zn)を添加することでLi−Si合金の結晶化を抑制していることが確認できた。ここで、Qは電池容量(放電容量)を示す。
詳しくは、サンプル19(pure Siの金属薄膜)の0.4V近傍での下に凸の急峻なピークが電解液の分解による変化を示している。そして、0.35V、0.2V及び0.05V近傍での下に凸の緩やかなピークが、それぞれアモルファス状態から結晶化状態に変化していることを示している。
一方、Si以外に元素(Ti、Zn)を添加したサンプル4(Si−Ti−Znの3元系合金薄膜)とサンプル22(Si−Tiの2元系合金薄膜)では、それぞれ2.5Vと5V近傍に、電解液の分解による変化を示す下に凸の急峻なピークが確認できた。但し、それ以外にアモルファス状態から結晶化状態に変化していることを示すような、下に凸の緩やかなピークはなく、Li−Si合金の結晶化を抑制できていることが確認できた。特に上記サンプル20からSi以外の添加元素としてTiのみでもLi−Si合金の結晶化を抑制できていることが確認できた。但し、上記表1より上記サンプル22のSi−Tiの2元系合金薄膜では、50サイクル後の放電容量維持率(%)の低下(劣化)までは抑制できないことも確認できた。
以上の実験結果から、本実施例の3元系合金が高いサイクル特性、特に、50サイクル目での高い放電容量維持率を維持しつつ、かつ1サイクル目の放電容量も高くバランスよい特性を示すメカニズム(作用機序)につき以下のように推測(推定)することができる。
1.実施例2にもあるように、三元系合金のdQ/dV曲線を見ると、低電位領域(〜0.6V)でのピークが合金でないpure−Siのものと比べて少なく、滑らかである。これは、電解液の分解を抑制し、さらにLi−Si合金の結晶相への相転移を抑制することを意味していると思われる(図10参照)。
2.電解液の分解については、この分解によってサイクル数が進むにつれて、全てのサンプル1〜25で放電容量の減少がおきることがわかる(表1参照)。しかしながら、放電容量維持率で比較した場合、三元系合金の放電容量維持率は、サンプル19の合金でないpure−Siと比べて格段に高い放電容量維持率を実現できていることがわかる。更に既存の高容量のSn系負極活物質や特許文献1記載の多元系合金負極活物質、更には参照用の二元系合金負極活物質と比べても高い放電容量維持率を実現できていることがわかる。その結果、放電容量維持率が高い状態を実現することで、サイクル特性が向上する傾向があることがわかる(表1の50サイクル目の放電容量維持率を参照のこと)。
3.Li−Si合金の結晶相への相転移については、この相転移が起きると活物質の体積変化が大きくなる。それらによって、活物質自身の破壊、電極の破壊と連鎖が始まることになる。実施例2の図10のdQ/dV曲線をみると、本実施形態のサンプル4では、相転移に起因したピークが少なく、滑らかになっていることから、相転移を抑制できると判断できる。
10、50 リチウムイオン二次電池(積層型電池)、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
25、58 正極集電板、
27、59 負極集電板、
29、52 電池外装材(ラミネートフィルム)。

Claims (8)

  1. 組成式SiTiZn(式中x、y、及びzは質量パーセント値を表し、(1)x+y+z=100であり、(2)38≦x<100であり、(3)0<y<62であり、(4)0<z<62である。)を有する合金を含む電気デバイス用の負極活物質。
  2. (1)x+y+z=100であり、(2)38≦x<100であり、(3)0<y≦42であり、(4)0<z≦39であることを特徴とする請求項1に記載の電気デバイス用の負極活物質。
  3. (1)x+y+z=100であり、(2)38≦x≦72であり、(3)8≦y≦42であり、(4)12≦z≦39であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気デバイス用の負極活物質。
  4. (1)x+y+z=100であり、(2)38≦x≦61であり、(3)19≦y≦42であり、(4)12≦z≦35であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気デバイス用の負極活物質。
  5. (1)x+y+z=100であり、(2)47≦x≦53であり、(3)19≦y≦21であり、(4)26≦z≦35であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気デバイス用の負極活物質。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の負極活物質を用いてなることを特徴とする電気デバイス用の負極。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の負極活物質、または請求項6に記載の負極を用いてなることを特徴とする電気デバイス。
  8. リチウムイオン二次電池である、請求項7に記載の電気デバイス。
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