JP5332742B2 - パーキングロック機構 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のパーキングロック機構に関する。
従来、パーキングロック機構として、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術によれば、パーキングロックの解除時において左右一対の車輪にそれぞれ設けられたパーキングロック機構のうち、解除が早かった側、或いは遅かった側の車輪に対して液圧ブレーキを作動させることより、予期しない車両挙動を抑制している。
特許第3956962号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明にあっては、パーキングロックの解除時に液圧ブレーキを作動させる構成となっているため、この液圧ブレーキの作動を実現するための複雑な機械構造、油圧回路、及び制御が車輪毎に必要になり、製造・開発コストが高くなるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、予期しない車両挙動を安価に抑制できるパーキングロック機構を提供することを目的とする。
この発明では、複数のパーキングロック機構のうちの少なくとも1つのパーキングロック機構が解除できない場合には、フェイルと判定するフェイル判定手段と、フェイル判定手段によりフェイルと判定された場合には、解除可能な他のパーキングロック機構を締結状態とする再締結手段と、を備え、フェイル判定手段は、パーキングロック機構に解除指令がなされてから所定時間内に、パーキングロックギヤと噛合い部材との噛合い解除が検出されなかった場合に、フェイルと判定し、上記所定時間は路面勾配の条件を考慮して予め設定されている
よって、複数のパーキングロック機構のうちの少なくとも1つのパーキングロック機構が解除できない場合には、解除可能な他のパーキングロック機構が再締結されるため、予期しない車両挙動を安価に抑制できる。
実施例1の電気自動車の全体構成図である。 実施例1のモータコントローラとACTコントローラのシステム構成図である。 実施例1の駆動モータ及びパーキングロック機構の断面図(断面線は省略)である。 図3のA3−A3線における実施例1のパーキングロック機構の解除時を説明する図である。 実施例1のパーキングロック機構の締結時を説明する図である。 実施例1のパーキングロック機構の解除動作を説明するフローチャート図である。 実施例1の作用を説明する図であり、車両の停車状態を説明する図である。 実施例1の作用を説明する図であり、パーキングロック機構の再締結を説明する図である。 実施例2のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例3のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例4のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例5のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例7のパーキングロック機構の解除動作を説明するフローチャート図である。 実施例8のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例8の電気自動車の全体構成図である。 実施例8のパーキングロック機構のフェイル判定に用いる車輪の組み合わせを説明する図である。 実施例9のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。 実施例10のパーキングロック機構の解除動作を説明するフローチャート図である。 実施例10の作用を説明する図であり、パーキングロック機構の再締結を説明する図である。 実施例11のパーキングロック機構の解除動作を説明するタイムチャート図である。
以下、実施例1を説明する。先ず、全体構成を説明する。図1に示すように、実施例1の車両のパーキングロック機構が採用された電気自動車1は、車輪2と、駆動モータ3と、バッテリ4と、モータコントローラ5と、パーキングロック機構6と、パーキングロックアクチュエータ11と、ACTコントローラ7等が備えられている。
車輪2は、車両前方側の左右の前輪8と、車両後方側の左右の後輪9で構成されている。前輪8は、操舵機構SLを介したステアリングホイールSWによって操舵可能に構成されている。左右の後輪9には、それぞれ駆動モータ3が設置されると共に、これら各駆動モータ3にはバッテリ4に充電された電力がインバータ4aを介して供給される。即ち、左右の後輪9は独立して回転駆動可能に構成されている。バッテリ4は、公知の電気自動車と同様に、繰り返し充放電が可能なニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、またはリチウムイオン電池等の二次電池が採用されている。また、通常、バッテリ4は複数のバッテリモジュールで構成され、各モジュールは接続配線で互いに電気的に直列または並列に接続されている。
次に、モータコントローラ5について説明する。図2に示すように、モータコントローラ5は、CPU5a、ROM5b、RAM5c、及びI/Oインタフェース5d等が備えられている。また、モータコントローラ5には、車速センサ、アクセルペダルセンサ、フットブレーキペダルセンサ、ポジションセンサ、加速度センサ、舵角センサ、及び傾斜角センサ等の車両の運転状態を検出する各種センサ5eの出力が入力される。なお、車速センサでは車速度が検出される。アクセルペダルセンサではアクセルペダルの踏み込み量が検出される。フットブレーキペダルセンサではフットブレーキの踏み込み量が検出される。ポジションセンサではセレクトレバーのポジションが検出される。加速度センサでは車両の加速度が検出される。舵角センサでは前輪8の操舵角度が検出される。傾斜角センサでは車両の傾斜角度が検出される。そして、モータコントローラ5は、これらの各種センサ5eの出力に基づき、ROM5bに書き込まれた制御プログラムをCPU5aで実行することにより、各インバータ4aからそれぞれ対応する駆動モータ3に出力される交流電圧値を制御し、各駆動モータ3からそれぞれ対応する後輪9に伝達される駆動力を調整する。
次に、駆動モータ3について説明する。なお、駆動モータ3は左右の後輪9に左右対称に構成されているため、左右の後輪9の駆動モータ3には同じ符号を付して説明する。図3に示すように、駆動モータ3はステータ31と、ロータ32と、ロータ軸33等が備えられている。ステータ31は、円筒状のケース34の内側に収容されている。このステータ31の内側には、ロータ32が回転自在に配置されている。ロータ32には、その軸心を通るように、ロータ軸33が挿通されている。このロータ軸33の一端は、ケース34に設けられた軸受け部35によって支持されている。また、ロータ軸33の他端は、ケース34に配置された減速装置36に支持されている。減速装置36はプラネタリギヤ等から構成されており、減速装置36の出力軸37が後輪9と連結されている。また、駆動モータ3のロータ軸33には、パーキングロック機構6と、回転検出器38が設置されている。
次に、パーキングロック機構6について説明する。図4に示すように、パーキングロック機構6は、パーキングロックギヤ61、パーキングポール62、及びパーキングロッド63等が備えられている。パーキングロックギヤ61は、歯車形状であって、駆動モータ3のロータ軸33に対して同心に配置されている。このパーキングロックギヤ61の歯61a同士間に形成される歯溝61bは、パーキングポール62の凸部62aが噛み合うように構成されている。パーキングポール62は、その先端に歯溝61bと噛合する凸部62aが形成されている。また、パーキングポール62の後端は、ポールシャフト64を介して駆動モータ3のケース34に回転自在に支持されている。このポールシャフト64には、パーキングロックギヤ61の歯溝61bとパーキングポール62の凸部62aとの噛合が解除される方向にバネ荷重が作用するようにトーションスプリング65が設けられている。さらに、図示を簡略化するが、パーキングポール62には凸部62aと歯溝61bとの噛合が解除されたことを検出可能なパーキングロック位置センサ64aが設けられている。なお、パーキングロック位置センサ64aの構成は適宜設定できるが、例えば、パーキングポール62とポールシャフト64の相対回転位置を測定して凸部62aと歯溝61bの噛合を検出する。或いは、凸部62aと歯溝61bとの噛合が解除される際にパーキングポール62に直接当接して押下されるスイッチ等を設けても良い。さらに、パーキングロックギヤ61には凸部62aと歯溝61bとの噛み合いが外れるときのこもりトルクを検出するトルクセンサ64bが設けられている。パーキングロッド63には、先端側ロッド63a、基端側ロッド63b、カム63c、及びコイルスプリング63dが備えられている。先端側ロッド63aは、基端側ロッド63bよりも大径となっている。先端側ロッド63aは、駆動モータ3のケース34に固定されたサポート10に対して摺動自在に支持されている。なお、サポート10の横断面形状は先端側ロッド63aの下半分外周を囲繞するように略凹部型断面に形成されている。一方、基端側ロッド63bには、パーキングポール62を駆動するためのカム63cが配置されている。カム63cは、基端側ロッド63bに摺動自在に設けられており、後方からコイルスプリング63dのバネ荷重を受けて、先端側ロッド63aと基端側ロッド63bとの間に形成される段差63eに当接されている。また、基端側ロッド63bは、その基端端においてパーキングロックアクチュエータ11に連結されている。パーキングロックアクチュエータ11は、油圧式または油圧式等のアクチュエータであって、パーキングロッド63をパーキングポール62と近接・離間する方向(図4中矢印方向)に移動可能に設けられている。パーキングロックアクチュエータ11の作動はACTコントローラ7により制御される。
次に、ACTコントローラ7について説明する。図2に示すように、ACTコントローラ7は、CPU7a、ROM7b、RAM7c、及びI/Oインタフェース7d等が備えられている。また、ACTコントローラ7は、モータコントローラ5と電気的に接続され、各種センサ5eの出力が入力される。さらに、ACTコントローラ7には、パーキングロック位置センサ64a、トルクセンサ64b、及び図示しないインヒビターSW等からの各種センサ7eの出力が入力される。そして、ACTコントローラ7は、これら各種センサ5e,7eの出力に基づき、ROM7bに書き込まれたパーキングロック締結・解除制御プログラムをCPU7aで実行することで、パーキングロックアクチュエータ11の作動を制御する。また、この際、ACTコントローラ7は、フェイル判定部7f、再締結部7g、パーキングロック位置判定部7hとして機能を有する。さらに、ACTコントローラ7にはフラグFLG1が備えられている。フラグFLG1は、例えばパーキングロック機構6が正常で、且つ、フットブレーキペダルが踏まれている等、パーキングロック機構6の解除の実行を許可する場合にONとなり、パーキングロック機構6に異常が発生し、且つ、フットブレーキペダルが踏まれていない等、パーキングロック機構6の解除の実行を禁止する場合にOFFとなるものである。
その他、図3に示した回転検出器38は、パーキングロック機構6のパーキングロックギヤ61の回転角度を検出するものである。そのため、回転検出器38の回転検出ロータ38aは、パーキングロックギヤ61に対して位置決めされてロータ軸33に設けられる。そして、回転検出器38によって検出されたパーキングロックギヤ61の回転角度は、各種センサ5eの1つとしてACTコントローラ7に出力される。
次に、実施例1の作用を説明する。
[パーキングロック機構の締結動作について]
次に、パーキングロック機構6の締結動作について説明する。ドライバによりセレクトレバーがPレンジにセレクト操作されると、ポジションセンサからPレンジに対応する出力がACTコントローラ7に出力される。これに対し、ACTコントローラ7は、左右のパーキングロック機構6に締結の指令信号を出力する。これにより、パーキングロックアクチュエータ11が作動してパーキングロッド63をパーキングポール62側(前進側)へ移動させる。そうすると、カム63cがサポート10に乗り上げて、パーキングポール62の先端を下側から上側に向けて押し上げると同時に、パーキングポール62がポールシャフト64を中心に回転する。そして、図5に示すように、パーキングポール62の凸部62aが、歯溝61bの歯底面に当接する場合には、凸部62aが歯溝61bに噛合するので、パーキングロック機構6が締結状態となる。この結果、駆動モータ3のロータ軸33の回転、即ち、後輪9の回転が規制され、車両の停止状態が維持される。また、凸部62aが歯先面61cに当接する場合には、カム63cがコイルスプリング63dのバネ荷重に抗して基端側ロッド63bを後退側に向けて摺動し、パーキングロッド63のストロークに対する逃げを確保する。これにより、パーキングポール62の凸部62aが歯先面61cに無理に押し付けられることがなくなり、パーキングロック機構6の故障が防止される。即ち、凸部62aが歯先面61cに当接する場合は、パーキングロックギヤ61が僅かに回転して凸部62aと歯溝61bが噛合することで、パーキングロック機構6が締結状態となる。この結果、駆動モータ3のロータ軸33の回転、即ち、後輪9の回転が規制され、車両の停止状態が維持される。車両がある程度の速度以上で走行しておりパーキングロックギヤが高速回転している場合も、カム63cがコイルスプリング63dのバネ荷重に抗して基端側ロッド63bを後方側に向けて摺動するので、パーキングロック機構6の故障が防止される。
[パーキングロック機構の解除動作について]
次に、パーキングロック機構6の解除動作について説明する。ドライバによりセレクトレバーがPレンジから他のレンジにセレクト操作されると、ポジションセンサからPレンジ以外に対応する出力がACTコントローラ7に出力される。これに対し、ACTコントローラ7は、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力する。これにより、パーキングロックアクチュエータ11は、図5で説明したパーキングロック機構6の締結状態からパーキングロッド63を元位置に復帰させて凸部62aと歯溝61bの噛合を解除することにより、図4で説明したパーキングロック機構6を解除状態に移行させる。この結果、後輪9の回転が解除され、車両が移動可能となる。なお、パーキングロック機構6が締結状態から解除状態へ移行したかどうかは、その旨がパーキングロック位置センサ64aを介してACTコントローラ7に出力され、パーキングロック位置判定部7hで判定される。
このように、実施例1の電気自動車1では、左右の後輪9にそれぞれパーキングロック機構6が設置され、各パーキングロック機構6は機械的に共用する部分がなく、独立して構成されている。ここで、左右のパーキングロック機構6の解除時において、何らかの不具合により左右のパーキングロック機構6を同時に解除できない虞があり、この場合、片方の後輪9が僅かに回転してしまう等の十分なパーキング効果を得られない虞がある。そこで、実施例1では、ACTコントローラ7がパーキングロック機構6の解除制御を図6に示すフローチャートに基づいて行うようになっている。
[パーキングロック機構の解除制御について]
図6に示すように、先ず、ステップS1では、ACTコントローラ7が、Pレンジから他のレンジへのセレクト操作が行われたかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS2に移行し、NOの場合には処理を終了する。ステップS2では、ACTコントローラ7が、FLG1がONかどうかを判定し、YESの場合にはステップS3に移行し、NOの場合には処理を終了する。ステップS3では、ACTコントローラ7が、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力してステップS4に移行する。ステップS4では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)が、左右のパーキングロック機構6が締結状態から解除状態に移行できたかどうかを判定し、YESの場合には処理を終了し、NOの場合にはステップS5に移行する。
ステップS5では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)が、右のパーキングロック機構6が解除されているかどうかを判定し、YESの場合にはステップS6に移行し、NOの場合にはステップS7に移行する。ステップS6では、ACTコントローラ7(再締結部7g)が、右のパーキングロック機構6を締結状態にして再締結した後、処理を終了する。ステップS7では、ACTコントローラ7(再締結部7g)が、左のパーキングロック機構を締結状態にして再締結した後、処理を終了する。
[予期しない車両の挙動防止について]
ここで、例えば、図7に示すような傾斜勾配の大きい(例えば傾斜勾配率30%等)の坂道や低μ路において停車中の電気自動車1が発進を行う場合を想定する。この際、図8(a)に示すように、Pレンジにセレクト操作されて停車中であるため、左右のパーキングロック機構6は締結(ロック)状態となっている。この状態からドライバによりフットブレーキが踏まれてPレンジからDレンジへのセレクト操作が行われると、ACTコントローラ7は、FLG1がONかどうかを判定した後、パーキングロック機構6に異常が無い場合には、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力する(図6のステップS1→ステップS2→ステップS3)。これにより左右のパーキングロック機構6が締結状態から解除状態に移行しようとする。しかしながら、この際、図8(b)に示すように、左右一方のパーキングロック機構6(図8中ではのパーキングロック機構6)のみが何らかの不具合により締結状態から解除状態へ移行できない場合には、予期しない車両挙動が発生する虞がある。そこで、実施例1では、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後に、左右のパーキングロック機構6が同時に解除されているかどうかを判定するようにしている(図6のステップS4)。そして、右のパーキングロック機構6が解除されず、左のパーキングロック機構6のみが解除された場合には、フェイルと判定して左のパーキングロック機構6が再締結される(ステップS4→ステップS5→ステップS)。これにより、図8(c)に示すように、左右のパーキングロック機構6が再び締結状態となるため、停車状態を維持でき、予期しない車両挙動が発生を防止できる。同様に、のパーキングロック機構6を解除できず、のパーキングロック機構6のみが解除された場合には、フェイルと判定してのパーキングロック機構6が再締結される(ステップS4→ステップS5→ステップS)。これにより、左右のパーキングロック機構6が共に締結状態となるため、停車状態を維持でき、予期しない車両挙動の発生を防止できる。
このように、実施例1では、一方のパーキングロック機構6が何らかの不具合によりパーキングロック締結状態から解除状態に移行できない場合には、フェイルと判定して他方のパーキングロック機構6を再締結することで、一方のパーキングロック機構6のみが解除された場合における予期しない車両挙動を抑制できる。また、路面が坂道や低μ路の場合には、車両挙動が特に大きくなり易いため、大きな効果を得ることができる。なお、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後に、左右のパーキングロック機構6が正常に解除された場合には処理を終了するため、その後、ドライバはフットブレーキを離してアクセルを踏むことにより発進できる。さらに、実施例1では、FLG1のON・OFF状態の判定(図6のステップS2)によりフットブレーキが踏まれているかどうか、及びパーキングロック機構6の正常・異常を判定することで、より安全なパーキングロック機構6の解除を実現できる。フットブレーキは、Pレンジから他のレンジへセレクト操作する間にドライバによって解除される虞もあり、予期しない車両挙動を確実に抑制できるとは限らないからである。
[製造・開発コストについて]
実施例1の車両のパーキングロック機構では、車両挙動を抑制するために液圧ブレーキを用いないため、従来の発明に比べて、複雑な機械構造、油圧回路、及び制御を追加する必要がなく、製造・開発コストを低く抑えることができる。また、パーキングロック機構6が解除できたかどうかを判定して、フェイルと判断した場合には、解除可能な他のパーキングロック機構6を再締結するという簡単な制御でもって、車両挙動を抑制できる。
以上説明したように、実施例1にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(1)複数のパーキングロック機構6と、複数のパーキングロック機構6のうちの少なくとも1つのパーキングロック機構6が解除できない場合には、フェイルと判定するフェイル判定手段(フェイル判定部7f)と、フェイル判定手段(フェイル判定部7f)によりフェイルと判断した場合には、解除可能な他のパーキングロック機構6を締結状態とする再締結手段(再締結部7g)と、を備えることとした。これにより、予期しない車両挙動を安価に抑制できる。
次に、実施例2を説明する。実施例2において、実施例1と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例2の発明では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)がパーキングロック機構6に解除指令がなされてからパーキングロック機構6が所定時間内に締結状態から解除状態へ移行できなかった場合にフェイルと判定するようにしている。
例えば、図9に示すように、ACTコントローラ7により左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号が出力された時点をt1、左右のパーキングロック機構6が締結状態から解除状態に移行を開始した時点をt2、t1から所定時間経過後の時点をt3とした場合、一方のパーキングロック機構6(図9の左輪に相当)が時点t3を超えて解除された、或いは解除されなかった場合にはフェイルと判定される。このように、左右のパーキングロック機構6が解除するまでの時間に上限を定めることで予期しない車両挙動を許容範囲内に抑制できる。なお、所定時間は路面の勾配等の最悪条件を考慮して事前実験等により適宜設定できるが、例えば1s前後の値が設定される。
以上説明したように、実施例2にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(2)フェイル判定手段(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6に解除指令がなされてから所定時間(時点t3)内に締結状態から解除状態へ移行できなかった場合にフェイルと判定することとした。これにより、パーキングロック機構6の解除に要する時間に上限を定めることで予期しない車両挙動を許容範囲内に抑制できる。
次に、実施例3を説明する。実施例3において、実施例1または2と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例3の発明では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、左右のパーキングロック機構6のうち、解除に要する時間の推定値が最も長いものを実施例2で説明した所定時間、即ちフェイル判定時間としている。具体的には、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力する前に、車両状況(例えばパーキングロックギヤ61へのこもりトルク等)から左右のパーキングロック機構6が解除できるまでの時間をそれぞれ推定し、これらの時間のうちの長いものを所定時間、即ちフェイル判定時間(時点t3)として設定する。
例えば、図10に示すように、右のパーキングロック機構6が解除できるまでに要する推定時間を500ms、左のパーキングロック機構6が解除できるまでに要する推定時間を700msであると推定された場合には、フェイル判定時間(時点t3)を700msに設定する。これにより実施例2で設定された所定時間を待たずにフェイル判定をでき、フェイル判定までの時間を短縮できる。
以上説明したように、実施例3にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(3)フェイル判定手段(フェイル判定部7f)は、左右のパーキングロック機構6のうち、解除に要する時間の推定値が最も長いものを所定時間(時点t3)とすることとした。これにより、車両状況に応じてフェイル判定を行えるため、フェイル判定までの時間を短縮できる。
次に、実施例4を説明する。実施例4において、実施例1〜3と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例4の発明では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6が所定時間範囲で締結状態から解除状態へ移動できなかった場合にフェイルと判断するようにしている。
例えば、図11に示すように、所定時間範囲L1を500ms〜1sの間に設定すると、一方のパーキングロック機構6(図11の左輪に相当)の解除が500ms以下であればセンサ系の故障の虞があるとしてフェイルと判定する。また、他方のパーキングロック機構6(図11の右輪に相当)の解除が1s以上であればアクチュエータ系やセンサ系の故障の虞があるとしてフェイルと判定する。即ち、左右のパーキングロック機構6が500ms〜1sの間で解除された場合にのみ正常と判定する。なお、所定時間範囲は左右のパーキングロック機構6において解除タイミングにばらつきが生じても、車両挙動が許容できる時間範囲、また、ドライバのPレンジ解除操作から実際に解除されるまでの時間に大きな差異を生じさせない時間範囲となるように予め設定する。或いは、実施例2で説明した予め定められた所定時間、または実施例3で説明した推定時間(時点t3)からの前後所定範囲に設定しても良い。このように、左右のパーキングロック機構6が所定時間以下で解除された場合はフェイル、所定時間以上で解除された場合もフェイルと判定する。所定時間範囲を定めることで、ドライバのPレンジ解除操作から実際に解除されるまでの時間に大きな差異を与えることがなく、また、左右のパーキングロック機構6に解除タイミングの差が大きくなりすぎないようにフェイル判定することで、違和感無く、予期しない車両挙動を抑制できる。
以上説明したように、実施例4にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(4)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、所定時間範囲L1で締結状態から解除状態へ移動できなかった場合にフェイルと判断することとした。これにより、ドライバのPレンジ解除操作から実際に解除されるまでの時間に大きな差異を与えることがなく、また、左右のパーキングロック機構6に解除タイミングの差が大きくなりすぎないようにフェイル判定することで、違和感無く、予期しない車両挙動を抑制できる。
以下、実施例5を説明する。実施例5において、実施例1〜4と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例5の発明では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、所定のパーキングロック機構6が解除された時間から所定時間以上経っても他のパーキングロック機構6が解除されない場合にフェイルと判断するようにしている。
例えば、図12に示すように、一方のパーキングロック機構6(図12の左輪に相当)が解除された時点t4から他方のパーキングロック機構6(図12の右輪に相当)が許容ずれ時間L2(例えば100ms)を超えても解除されないときにフェイルと判定する。ただし、最初に解除された一方のパーキングロック機構6(図12の左輪に相当)が実施例4で説明した所定時間範囲内で解除されない場合にはフェイルと判定する。
以上説明したように、実施例5にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(5)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、所定のパーキングロック機構6が解除された時間から所定時間L2以上経っても他のパーキングロック機構6が解除されない場合にフェイルと判断することとした。これにより、最初に解除された時間からフェイル判定までの時間が大きくなりすぎないようにフェイル判定することで予期しない車両挙動を抑制できる。
次に、実施例6を説明する。実施例6において、実施例1〜5と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例6の発明では、ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6へのこもりトルクの大きさに応じて実施例2〜5で設定される所定時間、所定時間範囲を決めるようにしている。具体的には、ロータ軸33に掛かるトルク反力を測定可能な歪ゲージ等のトルクセンサ64bにより検知される圧力、歪と、パーキングロック機構6の解除に要する時間との関係を実験等により予め導くことで、パーキングロックギヤ61のこもりトルクを推定する。これにより、精度の高いこもりトルクを推定でき、より正確なフェイル判定ができる。即ち、パーキングロック機構6の解除に要する時間の推定に最も影響を与えるパーキングロックギヤ61のこもりトルクによって与えられる変位、応力量の計測値からパーキングロック機構6の解除に必要な時間を推定してフェイル判定をするので、より正確なフェイル判定ができる。なお、トルクセンサ64bは、パーキングポール62やサポート10に歪ゲージ等のセンサを設けても良い。この場合、広いスペースにセンサを設置できることから計測を容易に行うことができる。また、パーキングロック機構6の解除時のパーキングポール62の動作をトーションスプリング65の代わりに専用のアクチュエータで行うこととし、このアクチュエータに掛かるトルク反力によりこもりトルクを推定するようにしても良い。
以上説明したように、実施例6にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(6)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6へのこもりトルクの大きさに応じて所定時間(所定時間範囲共)を決めることとした。これにより、より正確なフェイル判定ができる。
(7)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6の締結時のパーキングロックギヤ61の反力の大きさに応じて所定時間(所定時間範囲共)を決めることとした。これにより、パーキングロックギヤ61に掛かっているトルクを推定できるので、精度の高いこもりトルク推定ができる。
(8)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6の締結時のパーキングポール62またはサポート10の歪み量に応じて所定時間(所定時間範囲共)を決めることとした。これにより、広いスペースにこれらのセンサを設置できることから計測を容易にできる。
次に、実施例7を説明する。実施例7において、実施例1〜6と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例7の発明では、実施例において推定された時間が予めまたは他の方法により設定された所定時間よりも長い場合にフェイルと判断するようにしている。
具体的には、図13に示すように、先ず、ステップS1では、ACTコントローラ7が、Pレンジから他のレンジへのセレクト操作が行われたかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS2に移行し、NOの場合には処理を終了する。ステップS2では、ACTコントローラ7が、FLG1がONかどうかを判定し、YESの場合にはステップS31に移行し、NOの場合には処理を終了する。ステップS31では、ACTコントローラ7が、実施例6で説明したパーキングロック機構6が解除に要する時間を推定してステップS32に移行する。ステップS32では、ステップS31で推定された時間が予め定められた所定時間、或いは車両の傾斜度等に応じて定められた所定時間以下であるかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS33に移行し、NOの場合には処理を終了する。ステップS33では左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力して処理を終了する。従って、パーキングロック機構6に解除の指令信号を出力する前にフェイル判定をすることができ、車両挙動を抑制できる。
以上説明したように、実施例7にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(9)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、決められた所定時間が、予めまたは他の方法により設定された所定時間よりも長い場合にフェイルと判断することとした。これにより、パーキングロック機構6を作動させる前に予め定めた所定時間、または車両の傾斜等に応じて定められた時間でパーキングロック機構6の解除開始前にフェイル判定することで、車両挙動の変化を抑制できる。
次に、実施例8を説明する。実施例8において、実施例1〜7と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例8の発明では、ACTコントローラ7は、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後、左右の後輪9の回転位置または回転角度を検出し、これらの回転位置または回転角度の間に所定値以上の差が発生した場合には、フェイルと判断するようにしている。具体的には、ACTコントローラ7が左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後、左右の後輪9の回転位置または回転角度から移動量を測定する。なお、左右の後輪9の移動量は回転検出ロータ38aを介して回転検出器38で検出する。或いは、ABS等の車速センサを用いることもできる。そして、左右の後輪9のうち、移動量が大きい後輪9(図14(a)の左輪に相当)の回転角度がa1、移動量が最も小さい後輪9(図14(b)の右輪9に相当)の回転角度がb1であるときに、これら両者の差(絶対値、|a1−b1|)が所定値以上であるかどうかを判定し、所定値以上の場合にはフェイルと判定し、所定値よりも小さい場合には正常と判断する。このように、実際の後輪9の移動量から車両挙動を推定することにより予期しない車両挙動を抑制できる。
或いは、図15に示すように、左右の後輪9と左右の前輪8にパーキングロック機構6(インバータ4a、駆動モータ3共)をそれぞれ設置し、全ての車輪2が独立して駆動可能で、且つ、パーキングロック機構6による締結・解除ができるように構成する。なお、図15において操舵機構SLとステアリングSWは図示の都合により省略する。そして、前述と同様に各車輪2のうちの最も車輪の回転位置または回転角度の差が大きくなる車輪2の組み合わせでフェイルかどうかを判定するようにしている。即ち、図16(a)〜(f)に示すように、6通りの前後左右の車輪2(ハッチングで図示)の組み合わせでフェイル判定を行う。或いは、6通りのうちのいずれかの組み合わせを選択してフェイル判定を行う。従って、各車輪2の回転位置または回転角度は、車両の傾斜角度、傾斜路に対する車両の角度(重心位置)、路面状況(水溜まりや凍結路等の低μ路)等に応じて微妙に異なる場合もあるため、左右の後輪9のみでフェイル判定する場合に比べてより詳細な判定が可能となる。なお、各車輪2下の路面状況が異なることに起因して、図16(c)、(d)に示すように、左右同じ側の車輪2同士で上記差が発生する可能性がある。また、図16(e)、(f)に示すように、車両が回動するような挙動(図16(e)、(f)の矢印で図示)に対しては、左右の後輪9の組み合わせよりも対角上に配置された車輪2の組み合わせの方が上記差がより大きくなる場合があるため、特に有効となる。
以上説明したように、実施例8にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(10)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、車両の左右の後輪9の回転位置または回転角度を検出し、左右の後輪9の回転位置または回転角度の間に所定値以上の差が発生した場合には、フェイルと判断することとした。これにより、実際の左右の後輪9の移動量から車両挙動を推定することにより、予期しない車両挙動を抑制できる。
(11)ACTコントローラ7(フェイル判定部7f)は、左右の後輪9ののうちの最も車輪2の回転位置または回転角度の差が大きくなる車輪の組み合わせでフェイルかどうかを判断することとした。これにより、左右の後輪9の移動量の最大と最小の値の差からフェイル判定することで、予期しない車両挙動を最小限に抑制できる。
次に、実施例9を説明する。実施例9において、実施例1〜8と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例9の発明では、ACTコントローラ7は、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後、左右のパーキングロック機構6が締結状態から解除状態へ移行中において、一方のパーキングロック機構6がパーキングロックアクチュエータ11や各種センサ系等の故障により所定時間に解除できないと検出或いは推定された場合、フェイルと判定し、解除状態へ移行中の他方のパーキングロック機構6の解除を中断して再締結するようにしている。
例えば、図17に示すように、ACTコントローラ7は、左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後、一方のパーキングロック機構6(図17の右輪に相当)が所定時間に解除できないと検出或いは推定された場合には、フェイルと判定し、解除状態へ移行中の他方のパーキングロック機構6(図17の右輪に相当)の解除を中断して再締結する。このように、パーキングロック機構6の解除前にフェイルと判定された場合に、正常な車輪のパーキングロック機構6の解除動作を解除前に中断することで、車両挙動を抑制できる。
以上説明したように、実施例9にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(12)再締結手段(再締結部7g)は、パーキングロック機構6に解除指令がなされてからパーキングロック機構6が解除される前に、フェイル判定手段(フェイル判定部7f)によりパーキングロック機構6が解除できないと判断された場合には、解除可能なパーキングロック機構6解除動作を中断して、締結動作を行うこととした。これにより、パーキングロック機構6の解除完了前にフェイル判定を行うことで、車両挙動の変化を抑制できる。
次に、実施例10を説明する。実施例10において、実施例1〜9と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例10の発明では、実施例8の図15で説明した場合と同様に、左右の後輪9と左右の前輪8にパーキングロック機構6(インバータ4a、駆動モータ3共)がそれぞれ設置され、全ての車輪2が独立して駆動可能で、且つ、パーキングロック機構6による締結・解除ができるように構成されている。そして、図18に示すように、ACTコントローラ7は、実施例1と同様に、ステップS2でFLG1がONであるかどうかを判定した後、YESの場合には、ステップS40に移行する。ステップS40では、ACTコントローラ7が実施例6と同様に各車輪2のパーキングロック機構6が解除に要する時間を推定し、左右の車輪2でこの推定時間が長い方(こもりトルクの大きい方)を判定した後、ステップS41に移行する。ステップS41では、ACTコントローラ7が各車輪2のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した後、ステップS42に移行する。ステップS42では、ACTコントローラ7が、ステップS40で推定された推定時間が長いパーキングロック機構6が予め定められた所定時間以下で締結しているかどうかを判定し、YESの場合にはステップS43に移行し、NOの場合にはステップS44に移行する。ステップS43では、ACTコントローラ7が、ステップS40で推定された推定時間が長いパーキングロック機構6が予め定められた所定時間に解除されたかを判定し、YESの場合には処理を終了し、NOの場合にはステップS44に移行する。ステップS44では、ACTコントローラ7が解除できないパーキングロック機構6を特定してステップS45に移行する。ステップ45では、再締結すべきパーキングロック機構6を判定して再締結を行った後、処理を終了する。ここで、再締結すべきパーキングロック機構6の選定方法の例1としては、転舵輪、転舵角、ホイールベース、トレッド幅等の車両諸元から回転検出器38(レゾルバ)等によるパーキングロックギヤ61の山谷位置を用いて車両挙動を最も抑制できるパーキングロック機構6とする。即ち、同じ車輪2の転がり量でも車両挙動への影響が小さい車輪2を判断してパーキングロック機構6を動作させることにより、予期しない車両挙動を最小限に抑えることができる。
或いは、再締結すべきパーキングロック機構6の選定方法の例2としては、ステップ45で解除できないパーキングロック機構6を回転中心としてヨー方向の動きを抑制する位置にあるパーキングロック機構6を動作させることで車両挙動を最小限に抑えることができる。即ち、4つのパーキングロック機構6の全てを動作させるのではなく、車両の予期しない動きを最も抑制できる位置に配置されているパーキングロック機構6を動作させることにより、効率的にフェイルセーフを行うことができる。
或いは、再締結すべきパーキングロック機構6の選定方法の例3としては、解除できないパーキングロック機構6から距離が遠い車輪2、対角上にあるパーキングロック機構6を再締結することで車両挙動を抑制する。例えば、図19(a)に示す全ての車輪4のパーキングロック機構6を締結状態から解除状態に移行させる際に、図19(b)に示すように、右の後輪9のパーキングロック機構6が解除できない場合には、図19(c)に示すように、左の前輪8のパーキングロック機構6を再締結させる。
以上説明したように、実施例10にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(13)再締結手段(再締結部7g)は、パーキングロック機構6のフェイル時に車両挙動が発生した際に、該車両挙動が最も小さくなる位置にあるパーキングロック機構6を作動させることとした。これにより、同じ車輪2の転がり量でも車両挙動を抑える効果が高い車輪2を判断してパーキングロック機構9を作動させることにより予期しない車両挙動を最小限に抑制できる。
(14)再締結手段(再締結部7g)は、解除できなかったパーキングロック機構6を回転中心としてヨー方向の車両の動きを抑制する位置にあるパーキングロック機構6を作動させることとした。これにより、全てのパーキングロック機構6を作動させるのではなく、車両の予期しない動きを抑制できる位置に配置されているパーキングロック機構6を作動させることにより、効果的にフェイルセーフを行える。
(15)再締結手段(再締結部7g)は、解除できなかったパーキングロック機構6に対して、最も遠い位置にあるパーキングロック機構6を作動させることとした。これにより、車両挙動を小さくできる。
次に、実施例11を説明する。実施例11において、実施例1〜10と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。実施例11の発明では、実施例1〜10で説明した所定時間の設定、即ち、フェイル判定に用いる計測開始時点を、ACTコントローラ7が左右のパーキングロック機構6に解除の指令信号を出力した時点(t1)ではなく、左右のパーキングロック機構6のパーキングロックアクチュエータ11が実際に作動を開始した時点(t2=0)としている(図20参照)。これにより、Pレンジから他のレンジへセレクト操作されてから実際にパーキングロックアクチュエータ11が作動するまでのばらつきを排除でき、車両状況に依らずフェイル判定をより正確にできる。
以上説明したように、実施例11にあっては、下記の作用効果を得ることができる。
(16)フェイル判定手段(フェイル判定部7f)は、パーキングロック機構6のパーキングロックアクチュエータ11が動き出した時点からの時間に基づいてフェイル判定することとした。これにより、ドライバの操作からパーキングロックアクチュエータ11の作動までのばらつきを排除でき、フェイル判定をより正確にできる。
以上、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、車輪、駆動モータ、及びパーキングロック機構等の設置数、設置位置、及び具体的な機械的構造及び機械的動作はこの実施例に限定されるものではなく、適宜設定できる。また、パーキングロック機構が3つ以上ある場合に再締結させる解除可能なパーキングロック機構の選択方法についても適宜設定できる。さらに、車輪2の内側に駆動モータ3を収容した所謂インホイールモータを採用しても良い。
6 パーキングロック機構
7f フェイル判定部
7g 再締結部

Claims (12)

  1. パーキングロックギヤと、前記パーキングロックギヤに噛合う噛合い部材とを有する複数のパーキングロック機構と、
    前記パーキングロックギヤと前記噛合い部材との噛合いが解除されたことを検出可能なパーキングロック位置センサと、
    前記複数のパーキングロック機構のうちの少なくとも1つのパーキングロック機構が解除できない場合には、フェイルと判定するフェイル判定手段と、
    前記フェイル判定手段によりフェイルと判定された場合には、解除可能な他のパーキングロック機構を締結状態とする再締結手段と、を備え
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構に解除指令がなされてから所定時間内に、前記パーキングロック位置センサにより前記パーキングロックギヤと前記噛合い部材との噛合い解除が検出されなかった場合に、フェイルと判定し、
    前記所定時間は路面勾配の条件を考慮して予め設定されていることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  2. 請求項1記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記複数のパーキングロック機構のうち、解除に要する時間の推定値が最も長いものを前記所定時間とすることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  3. 請求項1または2に記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構に解除指令がなされてからの前記所定時間内に代えて、前記所定時間からの所定時間範囲で、前記パーキングロック位置センサにより前記パーキングロックギヤと前記噛合い部材との噛合い解除が検出されなかった場合に、フェイルと判定することを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構へのこもりトルクの大きさに応じて前記所定時間を決めることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  5. 請求項〜4のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構の締結時の前記パーキングロックギヤの反力の大きさに応じて前記所定時間を決めることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  6. 請求項〜5のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構の締結時の前記噛合い部材またはサポートの歪み量に応じて前記所定時間を決めることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  7. 請求項〜6のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記決められた所定時間が、予めまたは他の方法により設定された前記所定時間よりも長い場合にフェイルと判定することを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  8. 請求項1〜7のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記再締結手段は、前記パーキングロック機構に解除指令がなされてから前記パーキングロック機構が解除される前に、前記フェイル判定手段によりフェイルと判定された場合には、前記解除可能な他のパーキングロック機構の解除動作を中断して、締結動作を行うことを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  9. 請求項〜8のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記再締結手段は、前記パーキングロック機構のフェイル時に車両挙動が発生した際に、該車両挙動が最も小さくなる位置にあるパーキングロック機構を作動させることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  10. 請求項1〜8のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記再締結手段は、前記解除できなかったパーキングロック機構を回転中心としてヨー方向の車両の動きを抑制する位置にある前記パーキングロック機構を作動させることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  11. 請求項1〜8のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記再締結手段は、前記解除できなかったパーキングロック機構に対して、最も遠い位置にある前記パーキングロック機構を作動させることを特徴とする車両のパーキングロック機構。
  12. 請求項1〜11のうちのいずれかに記載の車両のパーキングロック機構において、
    前記フェイル判定手段は、前記パーキングロック機構のパーキングロックアクチュエータが動き出した時点からの時間に基づいてフェイルかどうかを判定することを特徴とする車両のパーキングロック機構。
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