以下、本発明によるコジェネレーションシステムの一実施形態について説明する。図1はこのコジェネレーションシステムの概要を示す概要図である。このコジェネレーションシステムは、負荷装置21に電力を供給する発電装置10と、発電装置10の廃熱を回収した湯水を貯湯する貯湯槽30と、発電量指示値に応じた発電量となるように発電装置10を制御する運転制御装置40とを備えている。
発電装置10は、燃料電池発電装置であり、直流電力を発生する発電器11と、発電器11から供給された直流電力を交流電力に変換して出力する変換器(例えばインバータ)12とを備えている。なお、発電装置10としては、燃料電池発電装置の他に、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービンなどの原動機とこの原動機によって駆動される発電機から構成されたものでもよい。
発電器11は、改質装置、一酸化炭素低減装置(以下CO低減装置という)および燃料電池から構成されている。改質装置は、燃料供給装置13から供給される燃料を水供給装置14から供給される水で水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを生成してCO低減装置に導出するものである。CO低減装置は、改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減して燃料電池に導出するものである。燃料電池は、燃料極に供給された改質ガス中の水素および空気極に供給された酸化剤ガスである空気を用いて発電するものである。
燃料供給装置13と発電器11の間には、発電器11に投入される燃料量を検出する燃料投入量検出手段である流量計13aが設けられており、流量計13aは検出した燃料投入量を運転制御装置40に送信するようになっている。なお、燃料電池発電装置の場合の燃料投入量は、改質装置に供給される燃料の投入量を指す。
変換器12は、電力使用場所20に設置されている複数の負荷装置21に送電線15を介してそれぞれ接続されており、変換器12から出力される交流電力は必要に応じて各負荷装置21に供給されている。変換器12には、発電装置10から出力される発電出力量を検出する発電出力量検出手段である電力計10aが設けられており、電力計10aは検出した発電出力量を運転制御装置40に送信するようになっている。
負荷装置21は、電灯、アイロン、テレビ、洗濯機、電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫などの電気器具である。なお、変換器12と電力使用場所20とを接続する送電線15には電力会社の系統電源16も接続されており(系統連系)、発電装置10の発電量より負荷装置21の総電力消費量が上回った場合、その不足電力を系統電源16から受電して補うようになっている。電力計22は、負荷装置21にて消費された電力消費量を検出する電力消費量検出手段であり、電力使用場所20で使用される全ての負荷装置21の合計電力消費量を検出して、運転制御装置40に送信するようになっている。
また、発電器11には、発電器11の廃熱を回収して発電器11を冷却する熱媒体が循環する冷却回路31が接続されている。冷却回路31上には、熱交換器32およびラジエータ37が配設されている。ラジエータ37は、冷却回路31を循環する熱媒体を冷却する冷却手段であり、運転制御装置40の指令によってオン・オフ制御されており、オン状態のときには熱媒体を冷却し、オフ状態のときには冷却しないものである。
一方、後述する貯湯槽30には、貯湯槽30内の湯水(貯湯水)を加熱するための湯水循環回路33が接続されている。湯水循環回路33上には、熱交換器32が配設されている。熱交換器32は、冷却回路31を循環する熱媒体と湯水循環回路33を循環する湯水との間で熱交換が行われるものである。これにより、発電器11の発電中に図示しないポンプが駆動されて、冷却回路31を熱媒体が循環し、湯水循環回路33を湯水が循環すると、発電器11の廃熱が熱媒体および熱交換器32を通って湯水に回収されて湯水が加熱されるようになっている。発電器11の廃熱とは、例えば、燃料電池発電装置の場合、燃料電池スタックの廃熱や改質装置の廃熱などをいい、エンジン発電装置の場合、エンジンの廃熱などが挙げられる。しかし、それに限定せず発電機それ自体の熱など回収可能な廃熱なら何でも利用できる。
貯湯槽30は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温水が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温水が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽30に貯留されている高温の温水が貯湯槽30の柱状容器の上部から導出され、その導出された分を補給するように水供給装置14からの水道水などの水(低温の水)が貯湯槽30の柱状容器の下部から導入されるようになっている。このような貯湯槽30は、発電装置10の近くに設置されている。
貯湯槽30の内部には残湯量検出センサである温度センサ群34が設けられている。温度センサ群34は複数(本実施形態においては10個)の温度センサ34−1,34−2,34−3,・・・,34−10から構成されており、上下方向(鉛直方向)に沿って等間隔(貯湯槽30内の上下方向高さの九分の一の距離)にて配設されている。温度センサ34−1は貯湯槽30の内部上面位置に配置されている。各温度センサ34−1,34−2,34−3,・・・,34−10はその位置の貯湯槽30内の液体(温水または水)の温度をそれぞれ検出するものである。この温度センサ群34による各位置での湯温の検出結果に基づいて貯湯槽30内の残湯量が導出されるようになっている。残湯量は、貯湯槽30内に蓄えられた熱量を表している。
貯湯槽30と水供給装置14の間には貯湯槽30に供給される水(例えば水道水)の温度を検出する温度センサ38が設けられている。温度センサ38の検出結果(水道水温度)は運転制御装置40に送信されるようになっている。また、貯湯槽30の近傍には、貯湯槽30周辺の気温を検出する温度センサ39が設けられている。温度センサ39の検出結果(気温)は運転制御装置40に送信されるようになっている。
貯湯槽30には、給湯管35が接続されている。給湯管35には、貯湯槽30側から順番に流量センサ36、補助加熱装置であるガス湯沸かし器(図示省略)および温度センサ(図示省略)が配設されている。流量センサ36は、貯湯槽30から供給されている湯水消費量(給湯量)を検出するものである。流量センサ36の検出信号は運転制御装置40に送信されるようになっている。また、図示していないが、給湯管35にはガス湯沸かし器と温度センサとの間に水供給装置14からの水道水が合流するようになっている。これにより、貯湯槽30からの湯水を降温している。ガス湯沸かし器は、給湯管35を通過する貯湯槽30からの湯水を加熱して給湯するようになっている。温度センサはガス湯沸かし器を通過した後、もしくは水供給装置14からの水道水が合流した後の湯水の温度を検出するものであり、その検出信号は運転制御装置40に送信されるようになっている。すなわち、温度センサで検出した湯水の温度が設定された給湯温度となるように、ガス湯沸かし器で加熱、もしくは水供給装置14からの水道水で降温している。
給湯管35には、貯湯槽30に貯留している湯水を給湯として利用する湯水使用場所25に設置されている複数の湯利用機器26aが接続されている。この湯利用機器26aとしては、浴槽、シャワ、キッチン(キッチンの蛇口)、洗面所(洗面所の蛇口)などがある。また、給湯管35には、貯湯槽30の湯水を熱源として利用する湯水使用場所25に設置されている熱利用機器26bが接続されている。この熱利用機器26bとしては、浴室暖房、床暖房、浴槽の湯の追い炊き機構などがある。なお、熱利用機器26bは貯湯槽30の湯水を直接利用する場合や貯湯槽30の湯水を間接的に利用する場合がある。湯利用機器26aおよび熱利用機器26bは湯水使用装置である。
運転制御装置40は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図2〜図8のフローチャートに対応したプログラムを実行して、発電装置10の運転計画を導出して更新記憶し、該更新記憶した運転計画に従って運転するとともに発電量指示値に応じた発電量となるように発電装置10を連続発電制御もしくは発電停止制御している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは上記プログラムを記憶するものである。
次に、上述したコジェネレーションシステムの第1の作動形態について図2〜図8を参照して説明する。運転制御装置40は、図示しない主電源が投入されると、ステップ100にてプログラムを起動しプログラムをステップ102に進める。運転制御装置40は、図2に示すステップ102〜112の処理によって運転計画を一日のうち第1所定時間T1毎に導出して更新記憶する。また、運転制御装置40は、更新記憶した運転計画に従って図8に示すステップ702〜708の処理によって発電装置を運転する。すなわち、運転計画にしたがって発電装置10の運転(発電)を停止したり連続発電したりする。
第1所定時間T1は、24時間(1日)より小さい時間に設定されており、本実施形態では30分である。この第1所定時間T1は、運転制御装置40が運転計画を導出するのに必要十分な時間、かつ湯水量の消費パターンにしたがっていない予定外の湯水の使用に対して貯湯槽30による熱回収が対応できる時間となるように設定されている。
運転制御装置40が運転計画を導出するのに必要十分な時間は、運転制御装置40の演算能力にもよるが、5分以上、10分以上、20分以上あればよい。湯水量の消費パターンにしたがっていない予定外の湯水の使用に対して貯湯槽30による熱回収に対応できる時間は、予定外の使用状況にもよるが、40分以下、50分以下、60分以下であることが好ましい。したがって、運転制御装置40が運転計画を導出するのに必要十分な時間と、予定外の湯水の使用に対して貯湯槽30による熱回収に対応できる時間との各組合せにより、第1所定時間T1の好ましい範囲とすることができる。
運転制御装置40は、ステップ102において、図3に示す電力消費パターン作成ルーチンに沿ってプログラムを実行し、一日分の電力消費パターンを作成して更新記憶する。この電力消費パターンは、一定期間(例えば1週間)の過去の電力消費データから電力消費パターンを予測したものである。
運転制御装置40は、電力消費パターンを作成するための行列Eo_tempを初期化する(ステップ202)。運転制御装置40は、行列Eo_tempの各要素に7日分の各時間帯の電力消費量を代入する。代入した結果の一例を図9に示している。なお、本システムを設置当初においては、家族構成、地域などの条件から予め作成された平均的な消費モデルパターンの数値を代入する。また、少なくとも1週間運転した後は、実際に測定した電力消費量から作成され更新記憶された前回の電力消費パターンの数値を代入する。
行列Eo_tempにおいては、図9に示すように、列が何日前のデータであることを示し、行が一日のうちの時間帯を示している。1行1列の要素は、1日前の0:00に計測した電力消費量すなわち2日前の23:30から1日前の0:00までに計測した電力消費量の平均値であり、例えば図9では300Wである。2行1列の要素は、1日前の0:30に計測した電力消費量すなわち1日前の0:00から0:30までに計測した電力消費量の平均値であり、例えば図9では400Wである。1行2列の要素は、2日前の0:00に計測した電力消費量すなわち3日前の23:30から2日前の0:00までに計測した電力消費量の平均値であり、例えば図9では250Wである。なお、1日前のデータのなかには、本日のデータと前日のデータが混在している。同様に2日前のデータのなかには、前日のデータと前前日のデータが混在している。
運転制御装置40は、電力計22によって電力消費量を制御周期毎に計測し(ステップ204)、計測した電力消費量をフィルタ処理する(ステップ206)。運転制御装置40は、ステップ206において、電力消費量を計測する度にその計測したデータおよび記憶されている過去数件分(本実施形態においては29件分)のデータに基づいて下記数1によってフィルタ処理を実行している。上記制御周期は後述する第2所定時間T2と同一であり、本実施形態では1分である。
なお、u[k]およびy[k]は現時点でのデータ、例えば時刻kの入力データおよび出力値(処理値)であり、zは遅れ演算子である。
運転制御装置40は、電力消費量の計測開始時点から30分経過するまでの間、ステップ208で「NO」と判定し続け、上記電力消費量の計測とそのフィルタ処理を繰り返し実行して、その30分間の電力消費量をフィルタ処理して平均値を算出する。
そして、運転制御装置40は、電力消費量の計測開始時点から30分経過した時点にて、ステップ208で「YES」と判定し、現在の時刻を読み込む(ステップ210)。例えば、現在の時刻が0:00であり、それまで30分間(23:00〜0:00)のフィルタ処理値が500Wであるとする。
運転制御装置40は、行列Eo_tempにおいて、7日前の同時刻(電力消費量を計測しフィルタ処理が完了した時刻)のデータを消去するとともに、同時刻(同行)の残っているデータを一つずつ右に移動させる(ステップ212)。例えば、今回の時刻は0:00であるので、図10に示すように、7日前の0:00のデータである1行7列の要素の440Wを消去する。そして、1日前の0:00のデータである1行1列の要素の300Wを1行2列に移動させ、2日前の0:00のデータである1行2列の要素の250Wを1行3列に移動させ、その他の1行3列から1行6列までの各要素も同様に移動させる。
そして、運転制御装置40は、図10に示すように、上述のように導出したフィルタ処理値(例えば500W)を行列Eo_tempの空いている1行1列に追加する(ステップ214)。運転制御装置40は、このように作成された行列Eo_tempの各行のデータを平均化することにより電力消費予測値すなわち電力消費パターンを導出して更新記憶する(ステップ216)。導出された電力消費予測値の一例を図11に示す。0:00の電力消費量は340Wであり、0:30の電力消費量は420Wであり、・・・、23:30の電力消費量は900Wである。この電力消費パターンの一例を図12に示す。
次に、運転制御装置40は、ステップ104において、図4に示す湯水消費パターン作成ルーチンに沿ってプログラムを実行し、一日分の湯水消費パターンを作成して更新記憶する。この湯水消費パターンは、一定期間(例えば1週間)の過去の湯水消費データから湯水消費パターンを予測したものである。
すなわち、運転制御装置40は、上述したステップ202〜216の処理と同様に、ステップ302〜316の処理によって湯水消費パターンを作成する。具体的には、運転制御装置40は、湯水消費パターンを作成するための行列Qout_tempを初期化する(ステップ302)。行列Qout_tempは、行列Eo_tempと同様に列が何日前のデータであることを示し、行が一日のうちの時間帯を示している。
運転制御装置40は、流量センサ36によって湯水消費量を制御周期毎に計測し(ステップ304)、計測した湯水消費量をフィルタ処理する(ステップ306)。運転制御装置40は、湯水消費量の計測開始時点から30分経過するまでの間、ステップ308で「NO」と判定し続け、上記湯水消費量の計測とそのフィルタ処理を繰り返し実行して、その30分間の湯水消費量をフィルタ処理して平均値を算出する。
そして、運転制御装置40は、湯水消費量の計測開始時点から30分経過した時点にて、ステップ308で「YES」と判定し、現在の時刻を読み込む(ステップ310)。運転制御装置40は、行列Qout_tempにおいて、7日前の同時刻のデータを消去するとともに、同時刻(同行)の残っているデータを一つずつ右に移動させる(ステップ312)。そして、運転制御装置40は、ステップ306で導出したフィルタ処理値を行列Qout_tempの空いている1行1列に追加する(ステップ314)。運転制御装置40は、このように作成された行列Qout_tempの各行のデータを平均化することにより湯水消費予測値すなわち湯水消費パターンを導出して更新記憶する(ステップ316)。この湯水消費パターンの一例を図13に示す。
次に、運転制御装置40は、ステップ106において、図5に示す気温変動パターン作成ルーチンに沿ってプログラムを実行し、一日分の気温変動パターンを作成して更新記憶する。この気温変動パターンは、一定期間(例えば1週間)の過去の気温変動データから気温変動パターンを予測したものである。
すなわち、運転制御装置40は、上述したステップ202〜216の処理と同様に、ステップ402〜416の処理によって気温変動パターンを作成する。具体的には、運転制御装置40は、気温変動パターンを作成するための行列Tair_tempを初期化する(ステップ402)。行列Tair_tempは、行列Eo_tempと同様に列が何日前のデータであることを示し、行が一日のうちの時間帯を示している。
運転制御装置40は、温度センサ39によって気温変動値を制御周期毎に計測し(ステップ404)、計測した気温変動値をフィルタ処理する(ステップ406)。運転制御装置40は、気温変動値の計測開始時点から30分経過するまでの間、ステップ408で「NO」と判定し続け、上記気温変動値の計測とそのフィルタ処理を繰り返し実行して、その30分間の気温変動値をフィルタ処理して平均値を算出する。
そして、運転制御装置40は、気温変動値の計測開始時点から30分経過した時点にて、ステップ408で「YES」と判定し、現在の時刻を読み込む(ステップ410)。運転制御装置40は、行列Tair_tempにおいて、7日前の同時刻のデータを消去するとともに、同時刻(同行)の残っているデータを一つずつ右に移動させる(ステップ412)。そして、運転制御装置40は、ステップ406で導出したフィルタ処理値を行列Tair_tempの空いている1行1列に追加する(ステップ414)。運転制御装置40は、このように作成された行列Tair_tempの各行のデータを平均化することにより気温変動予測値すなわち気温変動パターンを導出して更新記憶する(ステップ416)。この気温変動パターンの一例を図14に示す。
次に、運転制御装置40は、ステップ108において、図6に示す貯湯槽残湯量推定ルーチンに沿ってプログラムを実行し、現在時刻の貯湯槽30の残湯量を導出して記憶する。具体的には、運転制御装置40は、温度センサ38によって貯湯槽30に補給される水(例えば水道水)の温度を計測する(ステップ502)。運転制御装置40は、各温度センサ34−1〜34−10によって貯湯槽30内の各位置の湯水の温度を計測する(ステップ504)。そして、運転制御装置40は、補給される水の温度および貯湯槽30内の各位置の温度を下記数2に代入して貯湯槽30の残湯量を導出する(ステップ506)。
ここで、Qは貯湯槽30に蓄えられている熱量[J]であり、Cpは水の比熱(4.189×10−3[J/(kg・K)])であり、Vは貯湯槽30の容積(本実施形態では150l=150kg)であり、Twは水道水の温度[℃]であり、Tiは貯湯槽30内のi番目の温度センサ34の温度[℃]である。
次に、運転制御装置40は、ステップ110において、図7に示す運転計画導出・更新記憶ルーチンに沿ってプログラムを実行し、発電装置10の運転計画を導出して(立てて)、その運転計画を更新記憶する。
運転制御装置40は、上記ステップ102で作成して記憶されている電力消費パターン(図12に示すパターン)、上記ステップ104で作成して記憶されている湯水消費パターン(図13に示すパターン)、および上記ステップ106で作成して記憶されている気温変動パターン(図14に示すパターン)を読み込み(ステップ602)、上記ステップ108で導出した貯湯槽残湯量を読み込む(ステップ604)。そして、運転制御装置40は、ステップ606〜618の処理によりそれら読み込んだ最新の情報を使用して最適な運転計画を立てる。
運転制御装置40は、発電を停止する(発電停止を開始する)停止時刻と発電を開始する(発電停止を終了する)開始時刻を変更して発電停止時間帯を設定する(ステップ606)。例えば、1日(0:00〜24:00)の中で30分刻みで停止時刻と開始時刻を変更させる。これにより、発電停止時間帯、すなわち発電停止時刻と発電開始時刻の全組み合わせは、0:00〜0:00(停止しない)、0:00〜0:30、0:00〜1:00、・・・、0:00〜24:00、0:30〜1:00、・・・、0:30〜24:00、・・・、23:00〜23:30、・・・、23:00〜24:00、および23:30〜24:00となり、1177通り(=49C2+1)設定することができる。
運転制御装置40は、このすべての組み合わせの一つずつについて省エネ効果指標値を導出する(ステップ608〜614)。まず、運転制御装置40は、ステップ606で設定した発電停止時間帯、ステップ602で読み込んだ電力消費パターン、および下記数3から、電力消費パターンの設定時間単位(本実施形態では24時間)で各時刻の廃熱回収量を導出する(ステップ608)。例えば、一回目の計算では、一つ目の組み合わせ0:00〜0:00についての廃熱回収量を導出する。なお、発電停止時間帯が4:00から17:00までである運転計画が最適な運転計画として導出された場合、廃熱回収量の予測値は図15に示すように導出される。
ここで、Qin[k]はk時刻(時間)での廃熱回収量[J]であり、Eoは電力消費量[W]であり、tdは予測の間隔(本実施形態では30分)である。a1は廃熱回収特性[W/W]であり、a2は廃熱回収特性[W]であり、いずれの値も実機を使用して得た実験データから算出されるものである。なお、廃熱回収特性a1の単位のうち分母は電気のワットを示し分子は熱のワットを示している。
上記数3によれば、毎時正時と30分の廃熱回収量を導出することができる。また、それらの時間が設定された発電停止時間帯でなければ、数3の上の式を使用して廃熱回収量を導出することができる。設定された発電停止時間帯であれば、数3の下の式を使用して廃熱回収量を導出することができる。すなわち、発電していないので、廃熱回収量は0である。
なお、電力消費パターンの電力消費量が発電器11の最大発電量を超えない場合、上記数3において電力消費量Eoをそのまま使用することができるが、超える場合、上記数3において電力消費量Eoの代わりに発電器11の最大発電量を使用する。
運転制御装置40は、ステップ606で設定した発電停止時間帯による運転計画で貯湯槽30の残湯量の推移を導出(予測)する(ステップ610)。運転制御装置40は、ステップ602で読み込んだ湯水消費パターンQoutおよび気温変動パターンTair、ステップ604で読み込んだ貯湯槽残湯量Qo、およびステップ608で導出した廃熱回収量Qinを下記数4に代入して放熱を考慮した貯湯槽30の残湯量の推移を導出する。例えば、一回目の計算では、一つ目の組み合わせ0:00〜0:00についての貯湯槽30の残湯量の推移を導出する。なお、発電停止時間帯が4:00から17:00までである運転計画が最適な運転計画として導出された場合、貯湯槽残湯量の予測値は図16に示すように導出される。
ここで、Q[k]は貯湯槽30の残湯量[J]の推移予測値である。この推移予測値は、湯水消費パターンに対応する時間(本実施形態では24時間)を単位として導出される。また、Qin[k]はk時刻(時間)での廃熱回収量[J]であり、Qout[k]はk時刻(時間)での湯水消費量[J]であり、Qfullは最大貯湯槽熱量[J]であり、Cpは水の比熱(4.189×10−3[J/(kg・K)])であり、Vは貯湯槽30の容積(本実施形態では150l=150kg)であり、Tmaxは廃熱回収最高温度[℃](例えば70℃)であり、Twは水道水の温度[℃]であり、αoは実験で求める放熱定数であり、Tair[k]はk時刻(時間)での気温[℃]であり、Qoは現時刻の貯湯槽残湯量[J]である。
運転制御装置40は、ステップ606で設定した発電停止時間帯による運転計画で省エネ効果指標値である評価関数値Jを導出する(ステップ612)。運転制御装置40は、ステップ610で導出した貯湯槽30の残湯量の推移予測値Q[k]、ステップ602で読み込んだ電力消費量Eo、および下記数5から、評価関数値Jを導出する。この評価関数値Jは各時刻の省エネ効果を1日分加算した値である。例えば、一回目の計算では、一つ目の組み合わせ0:00〜0:00についての1日分の総省エネ効果を導出する。
ここで、J1[k]はk時刻の発電による省エネ効果であり、J2[k]はk時刻の燃料投入による増エネ効果であり、J3[k]はk時刻の貯湯槽30の湯使用による省エネ効果である。b1は発電による省エネ効果換算値[J/W]であり、b2は発電による省エネ効果換算値[J]であり、c1は燃料投入による増エネ効果換算値[J/W]であり、c2は燃料投入による増エネ効果換算値[J]であり、いずれの値も実機を使用して得た実験データから算出されるものである。d1は貯湯槽30の湯使用による省エネ効果換算値[J/J]であり、d2は貯湯槽30の湯使用による省エネ効果換算値[J]であり、いずれの値も実機を使用して得た実験データから算出されるものである。QFCは貯湯槽30の湯使用量[J]である。
そして、運転制御装置40は、ステップ606で設定した発電停止時間帯とステップ612で導出した省エネ効果指標値とを関連付けて記憶装置に記憶する(ステップ614)。
運転制御装置40は、上述した発電停止時間帯の全て、すなわち発電停止時刻と発電開始時刻のすべての組み合わせ(以下、発電時間帯のすべての組み合わせという。)について上述したステップ606〜614の処理を繰り返し実施する(ステップ616で「NO」と判定し続ける)。すべての組み合わせについて発電停止時間帯と省エネ効果指標値との関連付けが終了すると、運転制御装置40は、ステップ616で「YES」と判定し、プログラムをステップ618に進める。
運転制御装置40は、ステップ618において、それまで記憶した発電停止時間帯と省エネ効果指標値との関連付けのなかから、省エネ効果指標値が最大となるものを選択する。記憶している発電停止時間帯と省エネ効果指標値との関連付けを3次元グラフで表したものを図17に示す。図17において、横軸が発電の停止時刻を示し、縦軸が発電の開始時刻を示している。両軸とも0:00から24:00まで30分刻みで示してある。省エネ効果指標値は、等高線で示している。等高線L1で示す範囲が省エネ効果指標値が最も大きい範囲である。等高線L1から外側にいくにしたがって省エネ効果指標値が小さくなっている。
この図17から明らかなように、停止時刻が3:00〜5:00で、開始時刻が16:00〜18:00である場合、省エネ効果指標値が最大となる。運転制御装置40は、そのなかでも最も省エネ効果指標値が大きい値となる停止時刻4:00と開始時刻17:00との組み合わせからなる発電停止時間帯を有する運転計画を最適な運転計画として導出する。そして、運転制御装置40は、その導出した運転計画を更新記憶する(ステップ620)。
そして、運転制御装置40は、ステップ110にて、運転計画を導出して更新記憶した後、第1所定時間T1が経過するのを待って次回の運転計画の導出、更新記憶の処理を開始する。
また、運転制御装置40は、上述した運転計画の導出、更新記憶の処理とは別に、発電器11が発電可能な状態となると、図8に示すように、発電停止運転と連続発電運転とを切り替えて発電装置10の運転を制御している。運転制御装置40は、ステップ702〜708の処理を第2所定時間T2毎(例えば60秒毎)に繰り返し実行している。第2所定時間T2は比較的短時間な値に設定されるものであり、上述した第1所定時間より十分小さい値である。
具体的には、運転制御装置40は、ステップ702において、現在の時刻が上記導出された最新の発電停止時間帯であるか否かを判定する。運転制御装置40は、現在時刻がその発電停止時間帯であれば、ステップ702にて「YES」と判定しプログラムをステップ704に進める。運転制御装置40は、ステップ704において、発電装置10の発電停止運転を実施する。すなわち、運転制御装置40は、発電量指示値を0に設定し、発電装置10の発電を停止する。
一方、現在時刻が発電停止時間帯でない場合には、ステップ702にて「NO」と判定しプログラムをステップ706に進める。運転制御装置40は、ステップ706において、発電装置10の連続発電運転を実施する。すなわち、運転制御装置40は、電力計22によって電力消費量を第2所定時間T2(制御周期)毎に計測し、計測した電力消費量をフィルタ処理する。このフィルタ処理は、電力消費量を計測する度にその計測したデータおよび記憶されている過去数件分(本実施形態においては6件分)のデータに基づいて上記数1と同様の下記数6によってフィルタ処理を実行している。
ここで、y[k]はk時刻(時間)でのフィルタ処理値であり、u[k]はk時刻(時間)での電力消費量[J]であり、zは遅れ演算子であり、nはフィルタ次数(本実施形態においては5)である。
運転制御装置40は、このフィルタ処理値を発電量指示値に設定し、その発電量指示値を発電器11に指示する。これにより、発電装置10は、急激に変化する電力消費量に追従することなく、発電量の振動を抑制することができるため効率のよい発電が可能となる。
上述した制御によれば、図18に示すように電力消費量が変化する場合において、4:00から17:00までの間は発電が停止されるので発電量は0である。0:00から4:00まで間と17:00から24:00までの間は電力消費量に追従して発電されている。この運転計画によれば、省エネ効果を最大限得ることができる。図18においては、実線で電力消費量を示し、点線で発電量を示している。
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、運転制御装置40が、負荷装置21で消費される電力量の消費パターン、湯水使用装置26a,26bで消費される湯水量の消費パターン、貯湯槽30周辺の気温の変動パターンおよび貯湯槽30内の残湯量の予測値に基づいて発電装置10の運転計画を1日のうち所定時間毎(30分毎)に導出して更新記憶し(ステップ110)、該更新記憶した運転計画に従って運転するとともに発電量指示値に応じた発電量となるように発電装置10を連続発電制御もしくは発電停止制御する(ステップ702〜708)。これにより、貯湯槽30での放熱を考慮した運転計画を立てることができるので、湯水を使用しない時間には貯湯槽30に湯水を溜めることがなくなる。したがって、放熱ロス分だけ省エネ効果の高い発電装置10の運転ができるコジェネレーションシステムを提供することができる。また、従来と比べて頻繁に運転計画を立てることができるので、予期しない湯水の消費があった場合でも、その消費に対応した運転を実施することができる。したがって、予期しない湯水の消費による湯切れの発生を防止することができるので、湯切れを防止しつつ省エネ効果がよい発電装置の運転ができるコジェネレーションシステムを提供することができる。
また、運転制御装置40は、電力量の消費パターン、湯水量の消費パターン、貯湯槽30周辺の気温の変動パターンおよび残湯量の予測値を所定時間毎(30分毎)に導出して更新記憶する(ステップ102〜108)ので、それら導出した結果に基づいて発電装置10の運転計画を正確かつ確実に導出することができる。
また、運転制御装置40は、貯湯槽30内に取り付けられた温度センサ34−1〜34−10からの温度検出信号に基づいて貯湯槽30内の残湯量を予測するので、最新の貯湯槽30内の残湯量の予測値を正確かつ確実に求めることができる。
また、運転制御装置40は、電力量の消費パターン、湯水量の消費パターン、気温の変動パターン、貯湯槽30による廃熱回収量の予測値および現在の残湯量に基づいて貯湯槽30の放熱を考慮した残湯量の推移を導出し、該残湯量の推移に基づいて発電量指示値に応じた発電量となるように発電装置10の発電停止時間を導出するので、省エネ効果を指標とする評価関数を最小化する発電停止時間を求めることができる。
また、運転制御装置40は、電力消費量の計測値をフィルタ処理し、該フィルタ処理値を発電量指示値として発電装置10を連続発電制御するので、急峻な電力消費量に追従することなく、発電量の振動を抑えることができるため効率の良い発電が可能となる。
また、運転制御装置40は、発電装置10の発電停止時間に発電停止指示値を出力して発電装置10を発電停止制御するので、発電装置10の発電停止を確実に制御することができる。
なお、上述した実施形態においては、電力量の消費パターン、湯水量の消費パターン、気温の変動パターンおよび残湯量の予測値を24時間より大きい時間(例えば2日)を単位として作成するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、省エネルギ効果の指標としてエネルギ量を上げたが、他の指標(例えばCO2削減量、家庭の光熱費)を採用するようにしてもよい。
また、発電装置10としては、発電器11が交流電力を発生して交換器12を介さずに直接出力するものもある。
次に、上述したコジェネレーションシステムの第2の作動形態について図19および図20を参照して説明する。第2の作動形態の全体を示す図19のように、第1の作動形態の全体を示す図2と対比してステップ107が新たに加わっている以外は同一である。すなわち、運転制御装置40は、ステップ107において、図20に示す湯水消費パターンのばらつきおよび確率導出ルーチンに沿ってプログラムを実行し、過去の湯水消費データ、および該湯水消費データから導出した湯水消費パターンに基づいて湯水消費パターンの取り得るばらつきおよび該ばらつきの確率を導出する。
運転制御装置40は、ステップ802において、ステップ316で作成し記憶した記憶装置から湯水消費パターン(図21に示す7日間の湯水消費量の平均値であるfa(0))を取得する。そして、運転制御装置40は、ステップ804において、過去7日分の湯水消費データを記憶装置から取得する。この7日分の湯水消費データはステップ104で湯水消費パターンを作成するために使用されたデータである。図22において、1日前〜7日前の各データがfb(1)〜fb(7)で示されている。1日前のデータfb(1)は細い濃い実線で示され、2日前のデータfb(2)は細い濃い破線で示され、3日前のデータfb(3)は細い濃い1点破線で示され、4日前のデータfb(4)は太い濃い実線で示され、5日前のデータfb(5)は太い濃い破線で示され、6日前のデータfb(6)は太い濃い1点破線で示され、7日前のデータfb(7)は細い薄い実線で示されている。
運転制御装置40は、ステップ806において、図21に示す湯水消費パターンfa(0)を時間軸方向に任意量だけシフトさせて作成した複数の湯水消費シフトデータを湯水消費パターンの取り得るばらつきとして取得する。すなわち、湯水消費パターンfa(0)を時間軸方向にそれぞれ−60分、−30分、0分、+30分、+60分だけシフトさせて、図23に示すように複数の湯水消費シフトデータfa(−2)、fa(−1)、fa(0)、fa(+1)、fa(+2)を作成する。なお、本実施形態においては、シフトさせる任意量を第1所定時間T1と同じ30分に設定したが、生活パターンすなわち湯水消費パターンのばらつきとよい相関のある時間であれば30分でなく40分でも50分でもよい。
具体的には、ステップ806の処理を1番目からn番目(本実施形態ではn=5)まで繰り返し実施して、5つの湯水消費シフトデータfa(−2)、fa(−1)、fa(0)、fa(+1)、fa(+2)をそれぞれ作成する。例えば、1番目〜5番目の湯水消費シフトデータがfa(−2)、fa(−1)、fa(0)、fa(+1)、fa(+2)に対応する。3番目の湯水消費シフトデータは、図21に示す湯水消費パターンである。
運転制御装置40は、ステップ808において、ステップ806で導出した全ての湯水消費データを記憶装置に記憶する。運転制御装置40は、ステップ810において、先に導出した複数の湯水消費シフトデータごとに過去の湯水消費データとの相関関係指標値である相関係数を導出する。具体的には、運転制御装置40は、過去7日分の湯水消費データfb(1)〜fb(7)とk番目の湯水消費シフトデータを使用して下記数7から相関係数rk[i]を導出する。
ここで、rk[i]は、k番目の湯水消費シフトデータとi日前の湯水消費データの相関係数である。Hprekはk番目の湯水消費シフトデータであり、Hiはi日前の湯水消費データである。Hprek ̄は下記数8に示すようにk番目の湯水消費シフトデータの平均値であり、Hi ̄は下記数9に示すようにi日前の湯水消費データの平均値である。なお、Hprek、Hiや下記rの上に ̄を付す代わりにHprek、Hiや下記rの右横に ̄を付すことで、数8、数9などでそれぞれ示すHprek、Hiや下記rの平均値を示している。
このように導出された1番目の湯水消費シフトデータと過去7日分の湯水消費データとの相関係数の導出結果は、
r1=[0.32 0.64 0.24 0.40 0.08 0.18 0.75]
となる。1日前の湯水消費データから7日前の湯水消費データまでの相関係数が左から順番に並べられる。値の小さいものが相関が弱く、値の大きいものが相関が強いので、この場合には5日前のデータが相関が最も弱く、7日前のデータが相関が最も強い。
なお、本実施形態においては、相関関係指標値として相関係数を使用したが、湯水消費シフトデータと過去の湯水消費データとの相関関係を示す他のパラメータ(例えば、湯水消費シフトデータと過去の湯水消費データとの差の絶対値)を使用してもよい。
運転制御装置40は、ステップ812において、複数の湯水消費シフトデータごとに相関関係指標値である相関係数から相関関係指標値平均値である相関係数平均値を導出する(平均値導出手段)。例えば、先に導出した相関係数と下記数10から導出すればよい。
例えば、1番目の湯水消費シフトデータの相関関数平均値は数10から、
(0.32+0.64+0.24+0.40+0.08+0.18+0.75)/7=0.37
となる。そして、運転制御装置40は、ステップ814において、導出した1番目からn番目までの相関係数平均値をまとめて記憶装置に記憶する。具体的には、1番目から5番目までの相関関数平均値r ̄を以下のように左から順に並べて記憶する。
r ̄=[0.37 0.54 0.85 0.69 0.39]
そして、上記ステップ806から814の処理を湯水消費シフトデータ毎に繰り返し実施し(ステップ816で「NO」)、1番目から5番目までの湯水消費シフトデータについて上記ステップ806から814の処理を終了すると(ステップ816で「YES」)、運転制御装置40は、ステップ818において、相関関係指標値平均値を正規化しばらつきの確率として導出する。
具体的には、運転制御装置40は、ステップ818において、1番目から5番目までの相関係数平均値r ̄と下記数11とから1番目から5番目までの各湯水消費シフトデータの確率を導出する。
例えば、本実施形態においては、正規化した相関関数は下記数12に示すように導出される。
上記数12から明らかなように、第1番目から第5番目までの湯水消費シフトデータの各確率は、それぞれ0.13,0.19,0.30,0.24,0.14である。
次に、運転制御装置40は、第1の実施形態と同様に、ステップ108で貯湯槽30の残湯量を導出して記憶する。そして、運転制御装置40は、図7に示すステップ606にて設定した発電停止時間帯の全組み合わせの一つずつについて上述した湯水消費シフトデータ毎の省エネ効果指標値を導出する。すなわち、運転制御装置40は、記憶装置からk番目の湯水消費シフトデータを一つ読み込み、図7に示すステップ608〜614を処理する。そして、運転制御装置40は、それらの処理を全湯水消費シフトデータについて繰り返し実施する。
例えば、発電停止時間帯が1:30〜17:00である場合、第1番目の湯水消費シフトデータに対する省エネ効果指標値は24182(J)であり、第2番目の湯水消費シフトデータに対する省エネ効果指標値は28615(J)であり、第3番目の湯水消費シフトデータに対する省エネ効果指標値は30946(J)であり、第4番目の湯水消費シフトデータに対する省エネ効果指標値は33319(J)であり、第5番目の湯水消費シフトデータに対する省エネ効果指標値は36149(J)である。そして、運転制御装置40は、これら湯水消費シフトデータ毎の省エネ効果指標値と、先に設定した発電停止時間帯とを関連付けて記憶装置に記憶する。
運転制御装置40は、先に設定した発電停止時間帯について湯水消費シフトデータ毎に上述した処理を繰り返し実施する。すべての湯水消費シフトデータについて発電停止時間帯と省エネ効果指標値との関連付けが終了すると、運転制御装置40は、湯水消費シフトデータ毎の省エネ効果指標値と、湯水消費シフトデータの各確率とから下記数13を使用して発電停止時間毎の期待値である省エネ期待値Jを導出する。
ここで、A・BTはベクトルAとベクトルBTの内積を示し、BTはベクトルBの転置を示す。
例えば、発電停止時間帯が1:30〜17:00である場合、評価関数J0[k]は下記のように示される。
J0[k]=[24182 28615 30946 33319 36149]
また、第1番目から第5番目までの湯水消費シフトデータの確率は、上記数12と同様に示される。したがって、省エネ期待値Jは、下記数14のように導出される。
そして、運転制御装置40は、設定した発電停止時間帯と導出した省エネ期待値Jとを関連付けて記憶装置に記憶する。運転制御装置40は、上述した発電停止時間帯のすべての組み合わせについて上述した処理を繰り返し実施する。すべての組み合わせについて発電停止時間帯と省エネ期待値との関連付けが終了すると、運転制御装置40は、プログラムを図7に示すステップ616以降に進める。
上述した制御によっても、図18に示すように電力消費量が変化する場合において、4:00から17:00までの間は発電が停止されるので発電量は0である。0:00から4:00まで間と17:00から24:00までの間は電力消費量に追従して発電されている。この運転計画によれば、省エネ効果を最大限得ることができる。
上述した説明から明らかなように、第2の作動形態においては、運転制御装置40において、運転計画導出手段(ステップ110)が、湯水使用装置26a,26bで消費される湯水量の消費予測パターンである湯水消費パターンの取り得るばらつき毎の省エネルギ効果指標値、および湯水消費パターンの取り得るばらつきの確率から導出される省エネルギ効果指標値の期待値に基づいて発電装置10の最適な運転計画を導出し、運転計画記憶手段(ステップ110)が、運転計画導出手段によって導出された運転計画を更新記憶し、運転制御手段(ステップ702〜708)が、該更新記憶した運転計画に従って運転するとともに発電量指示値に応じた発電量となるように発電装置を制御する。これにより、生活パターン(湯水消費パターン)がばらつき不規則に湯水を消費する場合においても、湯水量の消費予測パターンに対するばらつきを考慮した最適な運転計画を立て、ばらつきによく対応した運転を実施することができる。したがって、湯切れや湯余りの発生を抑制し省エネ効果がよい運転を実施することができる。
また、運転制御装置40において、ばらつきおよび確率導出手段(ステップ107)が、過去の湯水消費データ、および該湯水消費データから導出した湯水消費パターンに基づいて湯水消費パターンの取り得るばらつきおよび該ばらつきの確率を導出する。これにより、湯水消費パターンの取り得るばらつきおよび該ばらつきの確率を正確かつ確実に導出し、ひいては発電装置の最適な運転計画を正確かつ確実に導出することができる。
また、ばらつきおよび確率導出手段(ステップ107)において、湯水消費パターン取得手段(ステップ802)が、湯水消費パターンを取得し、湯水消費データ取得手段(ステップ804)が、過去の湯水消費データを取得し、湯水消費シフトデータ取得手段(ステップ806)が、湯水消費パターンを時間軸方向に任意量だけシフトさせて作成した複数の湯水消費シフトデータを湯水消費パターンの取り得るばらつきとして取得し、相関関係指標値導出手段(ステップ810)が、複数の湯水消費シフトデータごとに過去の湯水消費データとの相関関係指標値を導出し、平均値導出手段(ステップ812)が、複数の湯水消費シフトデータごとに相関関係指標値から相関関係指標値平均値を導出し、正規化手段(ステップ814)が、相関関係指標値平均値を正規化しばらつきの確率として導出する。これにより、湯水消費パターンの取り得るばらつきおよび該ばらつきの確率を容易に導出することができる。
また、相関関係指標値は相関係数であるので、湯水消費パターンの取り得るばらつきの確率を容易かつ確実に導出することができる。
また、運転計画導出手段(ステップ110)において、省エネ効果指標値導出手段(ステップ608〜612)が、新たに湯水消費シフトデータを読み込み、任意に設定した発電停止時間帯毎に、該発電停止時間帯に発電装置を停止した場合の省エネルギ効果指標値を湯水消費パターンの取り得るばらつき毎に導出し、省エネ効果指標値記憶手段(ステップ614)が、導出した省エネ効果指標値を発電停止時間帯と関連付けて記憶する。そして、新たに期待値導出手段が、省エネ効果指標値と湯水消費パターンの取り得るばらつきの確率とから発電停止時間帯における期待値を導出し、新たに期待値記憶手段が、導出した期待値を発電停止時間帯と関連付けて記憶する。そして、運転計画決定手段(ステップ618)が、記憶した期待値のなかで最大となるものの発電停止時間帯に発電装置の運転を停止する運転計画を最適な運転計画として決定する。これにより、湯水消費パターンの取り得るばらつき毎の省エネルギ効果指標値を容易かつ確実に導出し、ひいては最適な運転計画を容易かつ確実に導出することができる。
また、省エネ効果指標値導出手段(ステップ612)は、負荷装置で消費される電力の消費予測パターンである電力消費パターン、貯湯槽の残湯量、および湯水消費パターンの取り得るばらつきに基づいて省エネルギ効果指標値を導出するので、湯水消費パターンの取り得るばらつき毎の省エネルギ効果指標値を正確かつ確実に導出することができる。
なお、気温変動パターンは貯湯槽30の近傍に設けた温度センサ39からの検出信号により求めるようにしたが、例えば貯湯槽30が設置されている地域、地方の気温を通信等により読み込んで求めるようにしても良い。また、気象庁から提供される気温の推移を表す気温予想データを通信等により取り込んで気温変動パターンとして使用しても良い。
10…発電装置、10a…電力計、11…発電器、12…変換器、13…燃料供給装置、13a…流量計、14…水供給装置、15…送電線、16…系統電源、21…負荷装置、26a…湯利用機器、26b…熱利用機器、30…貯湯槽、34…温度センサ群、36…流量センサ、40…運転制御装置。