JP5331966B2 - シメンおよびリモネンの合成方法 - Google Patents

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本発明は、有機溶媒や触媒を用いることなく、α-ピネンを原料として用いシメンおよびリモネンを合成する方法に関する。より具体的には、高温高圧水中(亜臨界水中ないし超臨界水中)で、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用い効率よく、短時間でシメンおよびリモネンを合成反応させる方法に関する。
シメンまたはp-シメンは、モノテルペンの1種でベンゼン環のパラ位にメチル基とイソプロピル基が入った構造をもつ芳香族炭化水素に分類される化合物で、植物の精油に含まれている。またリモネンは、同じくモノテルペンの1種であり天然にはd体、l体、d/l体の三種類が存在する。
シメンまたはp-シメンは、製薬産業での殺菌剤の生産や、殺虫剤などの農薬や、調味料、さらには伝熱媒体として利用される重要な中間体である。またリモネン特にd-リモネンは、90%を上回る含有率を有するとされるオレンジおよびレモンの皮油の主成分となっているものであり、オレンジジュース工業では年に50,000トンの量が副産物として生成している。工業的には製薬および香料産業において、例えばカルベオール、カルボンおよびペリリルアルコールなどの重要な出発化合物になっている。また近年スチレンモノマーと構造が似ていることからスチロール樹脂(ポリスチレン)を溶解する性質があり、特にd-体は発泡スチロールの安全な溶剤としても注目されている。
従来シメンまたはp-シメンは、多くの石油化学工場でAlCl3やBF3やH2SO4を含む塩化水素系触媒を用い、トルエンとプロペンまたは2-プロパノールのフリーデル・クラフツアルキル化反応で生産されている([化1])。また、α-ピネンを原料としてヨウ素や三塩化リンを用いてp-シメンを合成する方法、又は多段階の反応工程を経てリモネンを合成する方法も知られている([化2])。
しかし、これらの合成プロセスにおいては酸を用いることによる安全性や腐食の問題、または触媒の処理において多くの問題が生じている。さらに生成物と触媒が混合してしまうため生成物と触媒を分離することが困難であり、この工程で多くのエネルギーを消費してしまう。また、生成物を取り出す際には、アルカリを加えて中和を行い、さらに溶媒を留去するか水蒸気蒸留する必要があり、分離工程でのコスト増加につながっている。また、炭化水素系、エーテル系、含塩素系有機溶媒など各種有機溶媒には揮発性のものが多く、大部分は大気中に放出され、エネルギー・資源の浪費となっているばかりでなく、対流圏オゾンの発生及びスモッグの原因という環境負荷を与えてきた。さらに、原料のトルエンは通常原油からの接触改質などによって製造されるが、原油の埋蔵量減少が危惧されている今日、化石資源由来ではなく植物資源由来の原料からの合成法が不可欠となりつつある。
また、α-ピネンを原料として用いる合成反応も各種触媒を必要とし、さらに高温での幾段階での反応工程、酸やアルカリなどを多量に必要とするものである。
ところで、α-ピネンは、主に松やヒノキや楠木などの松柏類の精油中に多量に含まれる物質で、資源として天然に多く存在する物質である。また製紙工場の廃液としても多く破棄されており、植物資源由来の原料として有効活用が求められている。
一方、超臨界状態またはこれに近い亜臨界状態にある高温高圧水環境では、水は、常温常圧の有機溶媒に相当する低い誘電率を示し、更に高いイオン積も有することから、有機物に対して高い溶解性を示すことが知られている。また、高いH+やOH-濃度の反応場を形成できるため、従来有機溶媒中で酸・塩基触媒を用いて行なわれてきた有機合成反応を、多量の有機溶媒や酸・塩基触媒を用いることなく進行させ得る可能性が示唆され、代表的な求電子置換反応であるフリーデル・クラフツアルキル化及びアシル化について無触媒で進行することが報告されている(非特許文献1)。
また、このような高温高圧水中での有機合成に関して、テルペンアルコールの合成反応法が報告されている(特許文献1)が、ここでは、ヘミテルペンアルコールからモノテルペンアルコールを合成するとしているだけである。さらに、α-ピネンを原料として用いる合成反応として、モノテルペンアルコールの合成に関し、α-ピネンからの半合成法(特許文献2)が知られており、これによれば3段階の製造プロセスを用いる必要があり該多段プロセスでは多くの触媒を使用し、触媒を含めた高ランニングコストとなり、また製造プロセスが煩雑で、合成物の価格が高コストになる一因となっている。
K.Chandler等 AIChE J., 1998,44,2080 特開2005-47805号公報 米国特許4,018,842号明細書(1977)
本発明は、植物資源由来のα-ピネンを原料として用いたシメンおよびリモネンの合成反応を、有機溶媒や酸・塩基触媒を用いることなく、効率よく、短時間のうちに環境負荷を与えないで化学合成できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、超臨界状態ないし亜臨界状態の高温高圧水環境において、触媒無添加で、α-ピネンを原料として用いシメンおよびリモネンの合成反応が瞬時に進行することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、シメンおよびリモネンの合成反応が、高温高圧水環境において、短時間のうちに1段階で自発的に進行することを見出したものである。この手法は、有機溶媒や酸・塩基触媒を用いることがないので、低環境負荷のプロセスであることに加え、生成物が水相と分離して取得できるため、分離取得工程の簡略化が達成できるメリットもある。
本発明者らは、シメンおよびリモネンの合成反応として植物資源由来のα-ピネンを原料として選択して検討をしたところ、水のみを溶媒とし、かつ触媒の添加なしに合成反応が短時間のうちに1段階で進行し、シメンおよびリモネンが合成されることが明らかとなった。
この反応は、上述のようなシメンおよびリモネンを合成する上で基本となる反応であり、α-ピネンの架橋部分が開環し瞬時にリモネンが生成し、その後生成したリモネンが脱水素反応を起こすことでベンゼン骨格を有するシメンを生成する経路をたどるものである。また、得られたシメンおよびリモネンは、不純物を多く含む製紙工場の廃液から合成反応を利用して得られるにもかかわらず、単体として容易に分離可能なものである。
すなわち、本発明は、次に関するものである。
(1)高温高圧水中、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用いシメンおよびリモネンを合成することを特徴とするシメンおよびリモネンの合成方法。
(2)α-ピネンが製紙廃液中に含まれるものである上記(1)記載の合成方法。
(3)温度150℃以上、圧力0.4MPa以上で反応させることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかに記載の合成方法。
本発明の合成方法は、有害な有機溶媒や酸・塩基触媒を用いないので、環境調和型の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
本発明は、高温高圧水(HTW)中、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用いα-ピネンの架橋部分が開環しリモネンが生成し、その後生成したリモネンが脱水素反応を起こすことでベンゼン骨格を有するシメンを生成するというシメンおよびリモネンを短時間のうちに1段階で合成することを特徴とするものである([化3])。また本発明において原料となるα-ピネンは主に松やヒノキや楠木などの松柏類の精油に多量に含まれる物質で、資源として天然に多く存在する物質である。この物質は製紙工場の廃液として多く廃棄されているものであり、従来から有効活用が求められているものである。
高温高圧水は、常温常圧の有機溶媒に相当する低い誘電率を示すが、本発明者らは、温度150℃以上、圧力0.4MPa以上の高温高圧水環境でシメンおよびリモネンの合成が短時間のうちに進行することを見出した。
本発明で高温高圧水中、無触媒において、シメンおよびリモネンの合成反応が短時間のうちに1段階で自発的に進行されることが明らかになった。このことは、原料のα-ピネンが製紙工場の廃液中に多く含まれ、廃液処理に苦慮していた製紙工業においても簡単な手段でもって廃液を有効な資源へと活用できるものである。このバイオマス資源であるα-ピネンの有効活用の面からも、原料として安価であり、かつ生成物として製薬、香料産業などで多量に使用される中間体原料としてのシメンおよびリモネンが簡単に生成・分離できる合成反応が確立できるものである。
また、本発明においては高温高圧水中での反応条件を制御することにより、原料であるα-ピネンから生成するシメンおよびリモネンの量を調整することができることが明らかになった。例えばシメンを大量に得たいときには高温で反応時間を長くすればよく、リモネンを大量に得たいときには高温で反応時間を短くすればよいことが分かった。さらにシメンの生成には、微量な酸素の存在下ですなわち高温高圧水と酸素の共存下で反応することにより、よりシメンの生成が促進されることが分かってきた。モノテルペン系のシメンとリモネンの生成量を高温高圧水中での反応条件を制御することにより簡単にできることは、有害な有機溶媒や酸・塩基触媒を用いない環境調和型の製造方法のなかでもさらに自由度の大きい製造方法を提供することができるものである。
なお、ここで高温高圧水とは、水の超臨界状態ないし亜臨界状態をいい、水の超臨界状態とは、水の臨界点(臨界温度Tc=374度、臨界圧力Pc=22.1MPa)を超えて、液体と気体の境界線がなくなった状態のことをいう。また、亜臨界状態とは、温度が150℃以上374℃未満、圧力が0.4MPa以上22.1MPa未満の状態で、液体と気体が併存した状態のことをいう。
反応溶媒に使用する水としては、水道水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられるが、反応収率を向上させるためには、イオン交換水、純水、超純水を使用することが好ましく、イオン交換水、純水、超純水を脱気した状態で使用することがより好ましい。
加熱してから所定時間経過後、回分式反応管を、氷浴または冷水浴等に浸すことにより急冷して反応を停止させる。氷浴の水温については特に制限はないが、例えば、0℃〜10℃である。冷水浴の水温については特に制限はないが、例えば、10℃〜25℃である。なお、ここで反応時間は、金属溶融塩浴に回分式反応管を投入した時点から氷浴または冷水浴に投入した時点までとする。つまり、反応時間には昇温時間も含まれる。昇温時間は、昇温過程での副反応の抑制等の点からできるだけ短い方が好ましく、通常は1分以内〜3分以内に反応温度まで到達することがより好ましい。
反応温度は、150℃以上であれば特に制限はないが、250℃以上であることが好ましく、水の臨界温度である374℃以上であることがより好ましい。反応温度が高いほど反応時間が短くなるため好ましいが、回分式反応管等の耐熱温度、安全性の問題等を考慮して反応温度を決めればよい。反応温度は、安全性の点から600℃以下であることが好ましく、500℃以下であることがより好ましく、450℃以下であることがさらに好ましい。
圧力は、0.4MPa以上であれば特に制限はないが、4MPa以上であることが好ましく、水の臨界圧力である22.1MPa以上であることがより好ましい。反応圧力が高いほど反応時間が短くなるため好ましいが、回分式反応管等の耐圧性、安全性の問題等を考慮して反応圧力を決めればよい。
反応時間は、反応温度と圧力との組合せにより決まることが多いため、反応温度と圧力(ここでは、使用する水の量)を調整することにより、所望の反応時間に制御することができる。したがって、反応時間については制限ないが、例えば、1分〜20時間の間で設定することができる。上述したように、反応温度及び圧力が高いほど反応時間が短くなるため好ましい。また、副反応が起こる反応では反応時間を短くすることにより、副反応を抑制することができ、生成物の純度を向上することができるため好ましい。また、反応時間を短くすることで製造効率を向上させることができる。反応条件としては、温度150℃以上、圧力0.4 MPa以上で任意に設定することができるが、例えば、反応温度250℃〜450℃、反応圧力4MPa〜50MPa、反応時間1〜60分などで任意に条件を設定することができる。
[実施例]
以下には、α-ピネンを原料として用いシメンおよびリモネンを合成する反応について本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
<反応手順>
実験に用いた回分式反応管は、SUS316製、内容積10cm3、最高使用条件は、温度537 ℃、圧力35MPaである。
反応管にα-ピネン約0.23〜0.30gと超純水約3.2〜3.6gとを1:100のモル比になるように仕込み、密閉した後、所定温度に設定した金属溶融塩浴に投入することで反応を開始させた。温度は250〜400℃、圧力は4〜30MPa、反応時間は1〜30分(昇温時間約1分を含む)に設定した。
所定時間経過後、金属溶融塩浴から反応管を引き上げ、冷水浴で急冷し、反応を停止させた。有機相と水相に液液分離した回収液にジエチルエーテルを加え、有機化合物をエーテル相に抽出して採取し、生成物を下記分析手段により分析した。
<分析手段>
分析には、定性にGC-MS、定量にGC-FIDを用いた。
(1)ガスクロマトグラフィー(GC)
島津製作所製ガスクロマトグラフGC-2010、水素炎イオン検出器(FID)により生成物の定性、定量分析を行なった。GC分析において、注入量は、島津製作所製オートインジェクターAOC-20iを使用し、0.5 μLの一定量に制御した。気化室と検出器の温度はそれぞれ250 ℃、260 ℃に設定した。カラム恒温槽内は40℃で15分間保持し,40〜70℃の温度範囲で10 ℃/minの速度で昇温させ,70℃で5分間保持し,70〜190℃の温度範囲で20 ℃/minの温度で昇温させ,190℃で3分間保持した。また、線速度を20 cm/sec、スプリット比を100:1として分析を行なった。カラムにはJ&W(Agilent Technologies)社製HP-INNOWax (長さ30 m, 内径0.250 mm, 膜厚0.25 μm)を用いた。
(2)GC/MS
島津製作所社製GC(GC-2010)/MS(GCMS-QP2010)により生成物の定性を行った。注入量は0.1μL、気化室の温度を250 ℃に設定し、カラム恒温槽内はカラム恒温槽内は40 ℃で15分間保持し,40〜70 ℃の温度範囲で10 ℃/minの速度で昇温させ,70 ℃で5分間保持し,70〜250 ℃の温度範囲で20 ℃/minの温度で昇温させ,250 ℃で10分間保持した。また、線速度を28 cm/sec、スプリット比を100:1として分析を行った。カラムにはJ&W(Agilent Technologies)社製HP-INNOWax (長さ30 m, 内径0.250 mm, 膜厚0.25 μm)を用いた。
反応管に超純水3.574 g、α-ピネン0.2705 gを仕込み、温度400 ℃で1〜30分反応させた。なお反応管内の空気はアルゴンガスなどの不活性ガスで置換することなくそのままで反応させた。また本条件は純水換算で圧力30 MPaに相当する。
反応生成物のうち1min経過後の生成物と10min経過後の生成物をMS分析した結果を図1、図2に示す。図1は生成物(1min)のMSスペクトルで、下段はリモネンの標準物質、上段は反応生成物である。図2は生成物(10min)のMSスペクトルで、下段はシメンの標準物質、上段は反応生成物である。この結果からリモネン及びシメンの生成を確認できた。
実施例1において、反応時間を変化させてシメンおよびリモネンを生成させた。その反応時間毎の生成物をGC-FIDで定量した結果を収率として表1に示す。
反応時間1minの時点で原料の転化率はほぼ100%であり、表1によれば、GC-FIDで定量したリモネンおよびシメンおいて、リモネンの収率は反応時間1minで最大48.0%となった後、時間の経過とともに減少し、3minで15.3%、30minでほぼ0%となった。一方、シメンの収率は時間の経過とともに増加し、30minで17%弱となった。
この結果から、温度400 ℃、圧力30 MPa、反応時間1分以上の高温高圧水中での反応によりα-ピネンの開環反応が即座に容易に進行し、α-ピネンの架橋部分が高温高圧水によって開環しリモネンを生成し、その後、生成したリモネンが脱水素反応を起こすことでベンゼン骨格を有するシメンを生成するという経路をたどっていることが分かった。
実施例1において、α-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する反応に関して、反応管内に原料を仕込み後、反応管内の空気を不活性ガス(アルゴンガス)で置換し、次の反応時間でシメンおよびリモネンを生成させた。その生成をGC-FIDで定量した結果を収率として表2に示す。反応時間0.5〜1minの時点で原料の転化率はほぼ100%である。
実施例3において、α-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する反応に関して、最適条件を検討するために、温度と圧力を温度300℃、圧力9MPaと変更し、次の反応時間でシメンおよびリモネンを生成させた。その生成をGC-FIDで確認した結果を収率として表3に示す。
実施例3において、α-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する反応に関して、最適条件を検討するために、温度と圧力を温度250℃、圧力4MPaと変更し、次の反応時間で反応させた。その生成をGC-FIDで定量した結果を収率として表4に示す。シメンは生成が確認されなかったため示していない。
実施例3から実施例5によれば、高温高圧水の条件、特に反応温度と反応圧力によって、α-ピネンからシメンおよびリモネンが生成される合成反応が異なることが分かる。実施例5の反応温度が250℃の場合にはシメンは生成されず、実施例4の300℃の場合には反応時間30minでリモネンが80.7%の収率で得られ、シメンが5.5%得られている。さらに実施例3の400℃の場合には瞬時にリモネンが69.7%の収率で得られるものの、5min経過してもシメンは得られていない。
一方、実施例2では、反応時間1minの時点で原料の転化率はほぼ100%であり、リモネンの収率は反応時間1minで最大48.0%となった後、時間の経過とともに減少し、3minで15.3%、30minでほぼ0%となったのに対して、シメンの収率は時間の経過とともに増加し、30minで17%弱得られた。実施例3では、反応時間0.5〜1minの時点で原料の転化率はほぼ100%であり、リモネンの収率は反応時間1minで最大69.7%となっているのに対して、シメンは得られなかった。このことは、実施例2、実施例3とも温度400℃、圧力30MPaの条件であるものの、実施例3では反応管内に原料を仕込み後、反応管内の空気を不活性ガス(アルゴンガス)で置換したのちに反応させたものであり、シメンの反応には、微量での酸素の存在により反応が促進していることを推測させるものである。
これらのことによれば、シメンとリモネンの収量を反応条件に応じて最適割合得られるよう制御できることがわかる。例えば、シメンを大量に得たいときには微量の酸素の添加した状態で高温400℃で反応時間を30minと長くし、リモネンを大量に得たいときには高温400℃で反応時間を1minと短くすればよいことが分かる。
以上のとおり、本発明によって、高温高圧水中、触媒無添加において、α-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する合成反応が短時間のうちに進行することを見出した。この合成反応は、植物由来で資源量の豊富で、特に製紙工業の廃液に存在するα-ピネンから医薬品や調味料などの中間体として利用されているシメンやリモネンが合成できたもので、製紙工場の廃液利用および安価な製造、環境調和型のグリーンケミストリとしての適用の可能性がある。
標準物質リモネンと生成物のGC/MS。 標準物質シメンと生成物のGC/MS。

Claims (3)

  1. 温度150℃以上、圧力0.4MPa以上である高温高圧水中、不活性ガス置換、触媒無添加において、α−ピネンを原料として用いリモネンを合成することを特徴とするリモネンの合成方法。
  2. 温度150℃以上、圧力0.4MPa以上である高温高圧水と酸素の共存下中、触媒無添加において、α−ピネンを原料として用いシメンを合成することを特徴とするシメンの合成方法。
  3. α−ピネンが製紙廃液中に含まれるものである請求項1または2に記載の合成方法。
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