JP5331600B2 - エンジン冷却回路の制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、冷却水を循環させるための冷却回路からバイパス流路を分岐形成し、バイパス流路の分岐部分の何れか一方にサーモスタットを設けたものが記載されている。このような技術に適用されるサーモスタットは、冷却水が低温であるときにラジエータ側の通路を閉鎖するように形成されている。このような構成により、ラジエータを迂回するように冷却水を流通させて、冷却水の温度を迅速に上昇させることができるようになっている。
一方、サーモスタットには、例えばエア抜き孔を備えたもののように、ラジエータ側の流路を完全には閉鎖しない構造のものがある。このようなサーモスタットを用いれば、上記のような開閉動作の繰り返しがある程度は解消される場合もある。
つまり、冷却水温が適温となるまでの間は、エンジン側の冷却水の流れがラジエータ側から完全に分離されていることが望ましい一方、冷却水温がある程度上昇したときには、完全に分離されていないことが望ましく、このような制御を正確に実施することが困難であるという課題がある。なお、一般的なサーモスタットでは、流路を開き始めてから全開状態となるまでの作動温度範囲が10度前後と狭くなっていることも、冷却水の温度制御性を阻害する要因となっている。
ここでは、冷態始動時におけるエンジン側の高温の冷却水とラジエータ側の低温の冷却水とがそれらの温度差に応じて緩慢に混合される。
つまり、該第一温度及び該第二温度の温度差が大きいほど、該第一制御弁が閉鎖され、ラジエータ側からエンジン側へと流入する冷却水量が減少する。
また、該エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段をさらに備え、該制御手段が、該エンジン回転数検出手段で検出された該エンジン回転数が高いほど、該第一制御弁を閉鎖することが好ましい。
また、エンジンの暖機時に、一度温まった冷却水の急激な温度低下を抑制することができ、エンジン及びラジエータの熱膨張や熱収縮を防止することができる。また、たとえ冷却水が温まったとしても、第一温度及び第二温度の温度差が大きければ、ラジエータからエンジンへ流入する冷めた冷却水の量が少ないため、暖機時間の遅延を防止することができる。
また、エンジンの始動時から第二温度が所定暖機温度に達するまでの間は第一制御弁が閉鎖されるため、ウォータージャケット内の冷却水を素早く昇温させることができ、エンジンの暖機性を高めることができる。
また、本発明のエンジン冷却回路の制御装置(請求項2)によれば、第一温度と第二温度との温度差が小さいほどバイパス流路の開度が絞られるため、ラジエータ内の冷却水の昇温を促すことができ、暖機時間の遅延を防止することができる。
また、本発明のエンジン冷却回路の制御装置(請求項4)によれば、エンジン回転数が所定値未満である状態(例えば、エンジンが停止している状態)で第一制御弁を開放することにより、回路内のエア抜きをすることができる。
[1.構成]
本発明は、図1に模式的に示す油圧ショベルのエンジン冷却回路に適用されている。このエンジン冷却回路には、エンジン1,ラジエータ2及びエンジン冷却水(以下、単に冷却水とも呼ぶ)を循環させるためのウォーターポンプ3が設けられている。
エンジン1によって駆動されるウォーターポンプ3は、環状に形成された冷却回路内に冷却水を圧送している。図1中に黒矢印で示すように、エンジン1からラジエータ2側へ送出された冷却水は、ラジエータ2で冷やされた後、再びエンジン1へと還流する。
また、本冷却回路には、ラジエータ2に対して並列に接続されたバイパス流路5が設けられている。バイパス流路5は本冷却回路におけるラジエータ2の上流側から分岐形成され、ラジエータ2を迂回してその下流側に接続された流路である。つまり、バイパス流路5は、ラジエータ2を介さずに第一流路4aと第二流路4bとを直接接続する流路である。
三方弁6は、バイパス流路5側及び第二流路4bのラジエータ2側から流入される冷却水の流入配分を制御して、第二流路4bのエンジン1側へと流出させるバタフライ弁である。例えば、バイパス流路5側の開度を全閉にすると第二流路4bのラジエータ側の開度が全開となり、バイパス流路5側の開度を全開にすると第二流路4bのラジエータ側の開度が全閉となるように、内部のバタフライ弁体が形成されている。
コントローラ9(制御手段)は、マイクロコンピュータで構成された電子制御装置であり、周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスとして提供されている。このコントローラ9は、エンジン回転数センサ1aで検出されたエンジン回転数Neと各温度センサ7,8で検出された第一温度T1及び第二温度T2とに基づいて三方弁6の開度を制御するものであり、以下に示す三種類の制御を実施する。
[制御2]エンジン1及びラジエータ2の温度差が大きくならないように、
三方弁6のラジエータ2側流路開度を調整する制御
[制御3]エンジン1の停止時に三方弁6のラジエータ2側流路を開放する制御
上記の制御1は、ウォータージャケット内の冷却水温度を迅速に上昇させるための制御である。本実施形態では、エンジン1の始動時から第二温度T2が所定暖機温度TB(例えば、70〜90℃)に達するまでの間、コントローラ9によって三方弁6のラジエータ2側流路を閉鎖する制御が実施される。三方弁6のラジエータ2側流路を閉鎖することにより、冷却水はラジエータ2を迂回してバイパス流路5のみを流通し、エンジン1へと戻ってくることになる。
上記の制御2は、制御1によって昇温されたエンジン1側の冷却水と昇温されないままとなっているラジエータ2側の冷却水とを緩慢に混合するための制御、すなわち冷却水の温度分布を穏やかに均質にするための制御である。本実施形態では、第二温度T2が所定暖機温度TBに達した時点から、第一温度T1及び第二温度T2が一致するまでの間、コントローラ9によって三方弁6のラジエータ2側の開度を調節する制御が実施される。また、コントローラ9には、上記の制御2を実施するための流量設定部9a,補正部9b,開度設定部9c及び開度制御部9dが備えられている。
一般に、ウォーターポンプ3による冷却水の送給量はエンジン回転数Neに比例する。そこで本発明では、冷却水の温度変動が過剰にならないように、エンジン回転数Neが高いほど補正流量Qcを小さくして、三方弁6におけるラジエータ2側の開度を絞り方向に制御するようになっている。
開度制御部9dは、三方弁6におけるラジエータ2側の開度を開度設定部9cで設定された弁開度に制御するものである。三方弁6はバタフライ弁であるため、ラジエータ2側の開度制御により、バイパス流路5側の開度も同時に制御されることになる。
エンジン1を始動させると、第一温度T1,第二温度T2及びエンジン回転数Neがコントローラ9へ入力される。コントローラ9ではまず、第二温度T2が所定暖機温度TB未満であるか否かが判定される。
ここでT2<TBである場合には、三方弁6のラジエータ2側流路が閉鎖され、冷却水がラジエータ2を迂回してバイパス流路5のみを流通する。これにより、ウォータージャケット内の冷却水を素早く昇温させることができ、エンジン1の暖機性を高めることができる。
また、補正部9bでは流量Qrが補正され、すなわちエンジン回転数Neに応じた補正流量Qcが算出される。ここでは、エンジン回転数Neが高いほど補正流量Qcが小さく設定され、ラジエータ2側からの冷却水流入量がさらに少なくされることになる。そして、開度設定部9cにおいて、補正部9bで算出された補正流量Qcに基づいて三方弁6におけるラジエータ2側の開度が設定され、開度制御部9dによって制御される。
したがって、エンジンの暖機時に、エンジン1側の高温の冷却水がラジエータ2側の低温の冷却水によって急激に冷やされるようなことを防止でき、エンジン1及びラジエータ2の熱膨張や熱収縮を抑制することができる。また、第一温度T1及び第二温度T2の温度差ΔTが大きければ、ラジエータ2からエンジン1へ流入する冷却水の量が少ないため、暖機時間の遅延を防止することができる。
また、三方弁6におけるラジエータ2側の開度が、エンジン回転数Neに応じて補正されるため、正確に冷却水の温度変化の時間勾配を制御することができる。例えば、温度差ΔTが同一であるときには、エンジン回転数Neに関わらず、低温の冷却水と高温の冷却水との混合による冷却水温の変動量を同一にすることができる。
このように、本実施形態のエンジン冷却回路の制御装置によれば、第一温度T1及び第二温度T2に応じて三方弁6の開度を制御することにより、ラジエータ2側から流入する冷却水とバイパス流路5を介して流入する冷却水との流入配分を制御することができ、正確に冷却水の温度を制御して、冷却水の温度変動を安定化させつつ、暖機時間を短縮することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、バイパス流路5及び第二流路4bの接続部に三方弁6を備えた冷却回路を示したが、三方弁6の配設位置をバイパス流路5及び第一流路4aの接続部としてもよい。三方弁6の配設位置に関わらずラジエータ2側の開度を制御することにより、上述の実施形態と同一の効果を奏するものとなる。
なお、上述の実施形態における温度差ΔTと流量Qrとの関係や、エンジン回転数Neを用いた補正流量Qcの算定方法,補正流量Qcと三方弁6におけるラジエータ側の開度との関係等については、任意にその設定内容を変更してもよい。これらの設定内容は、本発明を適用する冷却回路の形状や特性,三方弁6のバルブ特性等に応じて適宜定められる。
1a エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
2 ラジエータ
3 ウォーターポンプ
4 流路
4a 第一流路
4b 第二流路
5 バイパス流路
6 三方弁(第一制御弁,第二制御弁)
6a 第一可変絞り弁(第一制御弁)
6b 第二可変絞り弁(第二制御弁)
7 第一温度センサ(第一温度検出手段)
8 第二温度センサ(第二温度検出手段)
9 コントローラ(制御手段)
9a 流量設定部
9b 補正部
9c 開度設定部
9d 開度制御部
Claims (4)
- 作業機械に搭載されたエンジン及びラジエータ間に冷却水を循環させる冷却回路と、
該冷却回路において該ラジエータと並列に接続されたバイパス流路と、
該ラジエータにおける該冷却水の第一温度を検出する第一温度検出手段と、
該エンジンにおける該冷却水の第二温度を検出する第二温度検出手段と、
該冷却回路上に介装され、該ラジエータからの該冷却水の還流量を制御する第一制御弁と、
該バイパス流路上に介装され、該バイパス流路を流通する該冷却水の流量を制御する第二制御弁と、
該第一温度検出手段で検出された該第一温度及び該第二温度検出手段で検出された該第二温度に基づいて、該第一制御弁及び該第二制御弁の開度を制御するとともに、該第一温度及び該第二温度の差が小さいほど、該第一制御弁を開放する制御手段と、を備え、
該制御手段が、該エンジンの始動時から該第二温度が所定暖機温度に達するまでの間は該第一制御弁を閉鎖する
ことを特徴とする、エンジン冷却回路の制御装置。 - 該制御手段が、該第一温度及び該第二温度の差が小さいほど、該第一制御弁を開放するとともに該第二制御弁を閉鎖する
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン冷却回路の制御装置。 - 該エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段をさらに備え、
該制御手段が、該エンジン回転数検出手段で検出された該エンジン回転数が高いほど、該第一制御弁を閉鎖する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン冷却回路の制御装置。 - 該制御手段が、該エンジン回転数検出手段で検出された該エンジン回転数が所定値未満である場合に、該第一制御弁を開放する
ことを特徴とする、請求項3記載のエンジン冷却回路の制御装置。
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