JP5328976B2 - 侵入物識別装置 - Google Patents

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Description

本発明は、警戒領域内に侵入物が侵入したことを、電波を用いて識別する侵入物識別装置に関する。
近年、治安の悪化に伴い、セキュリティ意識が急速に高まってきている。特に物理セキュリティは、空港又は発電所などの大規模な施設だけでなく、一般企業、商業施設又は公共施設などの様々な施設に導入されている。従来の物理セキュリティでは、施設のゲートにおける入退室管理が主流であったが、最近では施設の敷地全体を対象とした監視が主流になりつつある。警備を必要とする所定の監視領域に侵入する侵入者を検知する従来のシステムとして、特許文献1記載の侵入検知システム及び特許文献2記載の対象物検出装置が知られている。
特許文献1記載の侵入検知システムは、検知領域に設置された複数のアンテナと、この複数のアンテナのうちのいずれか1つのアンテナから信号を送出させる送信器と、残りの他の前記アンテナが受信した前記信号を検出する受信器と、この受信器で検出された信号に生じる変化量を検出する計算器と、この変化量を基にして前記検知領域への侵入の有無を判断する判定器とを備えて構成されたことを特徴としている。ここで、判定器は、計算器で検出された信号に生じる振幅変化及び位相変化のうちの少なくとも一方が所定値以上の場合に検知領域への侵入があったと判断する。
また、特許文献2記載の対象物検出装置は、送信ケーブルと、受信ケーブルと、該送信ケーブルに接続し該送信ケーブルに高周波電流を送出する送信部と、該受信ケーブルに接続した受信部とを備え、該送信ケーブルから送出されている電磁波を該受信ケーブルにて受信すると共に、該受信ケーブルにて受信する電磁波の強さの変化に基づいて対象物の有無を検出する対象物検出装置において、該送信部には該送信ケーブルに発生する定在波を変化させる手段が設けられていることを特徴としている。具体的には、特許文献2記載の対象物検出装置は、受信部により受信電流強度の減少量が所定のしきい値を越えたことが検出されたときに、埋設された受信ケーブルの上を侵入者が通過したと判断する。
特開平5−2690号公報。 特許第3110112号公報。
Emanuel Parzen, "On Estimation of a Probability Density Function and Mode", Annals of Mathematical Statistics, Vol. 33, No. 3, pp. 1065-1076, 1962. 甘利俊一ほか、「パターン認識と学習の統計学」、41頁〜43頁、岩波書店、2003年4月1日発行。
しかしながら、特許文献1に係る侵入検知システム及び特許文献2に係る対象物検出装置によれば、風雨などの自然現象によって引き起こされる電波変動時にも、侵入者の侵入を知らせる警報を誤って発することがあった。例えば、特許文献1では、風雨時に受信器で検出された信号に生じる変化量が予め設定された所定のしきい値よりも大きいときには、誤発報してしまうという課題があった。また、特許文献2においても、風雨時の受信電流強度の減少量が所定のしきい値を越えたときには、誤発報してしまうという課題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、風雨などの自然現象よって環境が変化しても、侵入物が侵入したことを、従来技術に比較して正確に識別できる侵入物識別装置を提供することにある。
本発明に係る侵入物識別装置は、所定の送信信号を発生して、送信アンテナ装置を用いて無線送信する送信手段と、上記送信された送信信号を、上記送信アンテナ装置に対向して設けられた受信アンテナ装置を用いて無線受信し、上記無線受信した受信信号を、上記送信信号を用いて直交検波して複素復調信号に復調する受信手段とを備えた侵入物識別装置において、上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入していない定常状態における複素復調信号を用いて、入力される複素復調信号の複素平面上の位置を正規化して正規化複素復調信号を発生する正規化手段と、上記正規化複素復調信号の複数次元の特徴量を算出する複数次元特徴抽出手段と、上記算出された複数次元の特徴量に基づいて、上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入したか否かを、上記複数次元の特徴量の各軸により形成されかつ上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入したか否かを識別するための境界である所定の識別面を用いて識別し、当該識別結果を示す識別信号を出力する識別手段とを備えた侵入物識別装置である。ここで、上記送信アンテナ装置は、3個以上の複数の送信アンテナを備え、上記受信アンテナ装置は、3個以上の複数の受信アンテナを備え、上記送信手段は、上記送信信号を上記複数の送信アンテナを用いて無線送信し、上記受信手段は、上記複数の送信アンテナから送信された送信信号を上記複数の受信アンテナを用いてそれぞれ無線受信し、上記無線受信した各受信信号を複数の複素復調信号に復調し、上記侵入物識別装置は、上記複数の複素復調信号をそれぞれ入力する複数の上記正規化手段と、上記複数の正規化手段のうちの所定の複数の正規化手段からの複数の上記正規化複素復調信号を入力する複数の上記複数次元特徴抽出手段と、上記複数の複数次元特徴抽出手段からの上記複数次元の特徴量をそれぞれ入力する複数の上記識別手段とを備え、上記各複数次元特徴抽出手段は、上記入力された複数の正規化複素復調信号のうちの所定の1つの正規化複素復調信号に基づいて、当該所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間に侵入物が侵入したときに変化する第1の特徴量を算出する第1の特徴抽出手段と、上記所定の1つの正規化複素復調信号に基づいて、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間の空間が風雨にさらされたときに変化する第2の特徴量を算出する第2の特徴抽出手段と、上記入力された複数の正規化複素復調信号に基づいて、上記複数の送信アンテナと上記複数の受信アンテナとの間の空間のうち、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間の空間において、上記侵入物の近傍において他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときに変化する第3の特徴量を算出する第3の特徴抽出手段とを備え、上記各識別手段は、上記算出された第1乃至第3の特徴量に基づいて、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間に侵入物が侵入したか否かを識別することを特徴とする。
本発明に係る侵入物識別装置によれば、送信アンテナ装置と受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入していない定常状態における複素復調信号を用いて、入力される複素復調信号の複素平面上の位置を正規化して正規化複素復調信号を発生する正規化手段と、正規化された複素復調信号の複数次元の特徴量を抽出する複数次元特徴抽出手段とを備えたので、従来技術に係るしきい値処理を用いる侵入物識別装置に比較して、誤発報を低減して、正確に侵入物が侵入したことを識別できる。
本発明の実施の形態に係る侵入物識別装置1の構成を示すブロック図である。 図1の侵入物識別回路9の構成を示すブロック図である。 図1の侵入物識別装置1と、人101と、雨102とを示すブロック図である。 図1の送信アンテナ4−m(m=1,2,…,M)と受信アンテナ6−mとの間に人101が侵入したときに、ローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号を複素平面上に示すグラフである。 図1の送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間の空間が風雨にさらされたときに、ローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号を複素平面上に示すグラフである。 図2の侵入物識別回路9において算出される特徴量f1−n(n=2,3,…,M−1)を示す式(3)の角速度θn(j)と正規化複素復調信号dan(j)との関係を示すグラフである。 上記式(3)の関数Ψ(θn(j)−θn(j−1))を示すグラフである。 図2の識別器96−nにおいて用いられる3次元の特徴空間における識別面Pnを示すグラフである。
実施の形態.
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る侵入物識別装置1の構成を示すブロック図であり、図2は、図1の侵入物識別回路9の構成を示すブロック図である。また、図3は、図1の侵入物識別装置1と、人101と、雨102とを示すブロック図である。図1において、侵入物識別装置1は、PN(Pseudo Noise(擬似雑音))符号発生器2と、無線送信回路3と、送信アレーアンテナ4と、受信アレーアンテナ6と、終端器5及び7と、無線受信回路8と、侵入物識別回路9と、警報装置10とを備えて構成される。さらに、無線送信回路3は、信号発生器31と乗算器32とを備えて構成され、無線受信回路8は、3個以上の複数M個の復調回路87−1〜87−Mを備えて構成される。ここで、各復調回路87−m(m=1,2,…,M)は、遅延器82−mと、乗算器83−mと、帯域通過フィルタ84−mと、直交検波器85−mと、低域通過フィルタ(Lowpass Filter(LPF))86−mとを備えて構成される。
詳細後述するように、本実施の形態に係る侵入物識別装置1は、
(a)所定の送信信号を発生し、上記送信信号をPN符号を用いてスペクトル拡散し、M個の送信アンテナ4−1〜4−Mを備えた送信アレーアンテナ4を用いて無線送信する無線送信回路3と、
(b)送信された送信信号を、M個の受信アンテナ6−1〜6−Mを備えた受信アレーアンテナ6を用いて受信し、PN符号を互いに異なる複数の遅延時間だけ遅延させて複数の遅延PN符号を発生し、上記無線受信した受信信号を上記複数の遅延PN符号を用いて逆拡散して複数の逆拡散受信信号を発生し、上記各逆拡散受信信号を上記送信信号を用いて直交検波して複数の複素復調信号に復調する無線受信回路8と、
(c)無線受信回路8からの複数の複素復調信号をそれぞれ入力し、非風雨時であって、かつ、人101(侵入物である。)の非侵入時である定常状態における複素復調信号を基準信号として用いて、入力された複素復調信号の複素平面上の位置を正規化して正規化複素復調信号を発生する正規化器97−1〜97−Mと、
(d)正規化器97−1〜97−Mのうちの各3個の正規化器からの3個の正規化複素復調信号を入力して、当該入力された3個の正規化複素復調信号に基づいて、3次元の特徴量を抽出する複数次元特徴抽出器98−2〜98−M−1と、
(e)複数次元特徴抽出器98−2〜98−M−1からの複数次元の特徴量をそれぞれ入力し、抽出された特徴量に基づいて人101が侵入したか否かを所定の識別面Pmを用いて識別し、識別結果を示す識別信号S96−2〜S96−M−1を出力する識別器96−2〜96−M−1とを備えたことを特徴としている。
さらに、各複数次元特徴抽出器98−n(n=2,3,…,M−1)は、
(a)正規化器97−nから入力される正規化複素復調信号に基づいて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときに変化する特徴量f1−nを算出する定速運動特徴抽出器93−nと、
(b)正規化器97−nから入力される正規化複素復調信号に基づいて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたときに変化する特徴量f2−nを算出する非定速運動特徴抽出器94−nと、
(c)正規化器97−n−1,n,n+1から入力される3個の正規化複素復調信号に基づいて、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との空間のうち、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間において、他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときに変化する特徴量f3−nを算出する孤立運動特徴抽出器95−nとを備えたことを特徴としている。
図1において、送信アレーアンテナ4は、所定の間隔で設けられかつM個の送信アンテナ4−1〜4−Mとしてそれぞれ機能するM個のスリットを有する漏洩同軸ケーブル(LCX(Leaky Coaxial Cable))である。また、受信アレーアンテナ6は、所定の間隔で設けられかつM個の受信アンテナ6−1〜6−Mとしてそれぞれ機能するM個のスリットを有する漏洩同軸ケーブルである。さらに、終端器5は、送信アレーアンテナ4によって放射されずに残った電波を吸収し、終端器7は受信アレーアンテナ6によって受信された電波のうち、無線受信回路8と反対側に進行する電波を吸収する。送信アレーアンテナ4及び受信アレーアンテナ6の各漏洩同軸ケーブルは、各送信アンテナ4−mが各受信アンテナ6−mにそれぞれ対向するように互いに所定の間隔を有して、所定の警戒領域を囲むように、実質的に平行に敷設される。詳細後述するように、2本の漏洩同軸ケーブル間には電界が形成されており、当該電界の変動に基づいて、2本の漏洩同軸ケーブルを横切って警戒領域に侵入した侵入物(本実施の形態では、図3の人101である。)を識別する。なお、本実施形態において、「人101の侵入時」とは、人101が送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との間に侵入したときを表し、「風雨時」とは、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との間の空間が風雨にさらされているときを表す。
ここで、送信アンテナ4−1〜4−Mの間隔及び受信アンテナ6−1〜6−Mの間隔は、送信アレーアンテナ4から放射される電波の波長の半分以上、好ましくは数倍以上に設定される。さらに、送信アレーアンテナ4及び受信アレーアンテナ6の各漏洩同軸ケーブル間の間隔は、各対向する送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間で無線信号を送受信できるように設定される。
図1において、PN符号発生器2は、所定のPN符号を発生して乗算器32及び遅延器82−1〜82−Mに出力する。また、信号発生器31は、所定の周波数成分を含む送信信号を発生して乗算器32及び直交検波器85−1〜85−Mに出力する。乗算器32は、信号発生器31からの送信信号に対してPN符号を乗算することにより、送信信号をスペクトル拡散し、スペクトル拡散後の送信信号を送信アレーアンテナ4を用いて電波として放射する。すなわち、乗算器32は、PN符号に従って信号発生器31からの送信信号を変調する。送信アレーアンテナ4によって放射された電波は、受信アレーアンテナ6によって受信信号として受信され、乗算器83−1〜83−Mに出力される。
図1において、各遅延器82−m(m=1,2,…,M)は、入力されるPN符号を、当該PN符号がPN符号発生器2から出力されてから、乗算器32と、送信アンテナ4−mと、受信アンテナ6−mとを介して乗算器83−mに出力されるまでの所定の伝搬遅延時間だけ遅延させて、遅延後のPN符号(以下、遅延PN符号という。)を乗算器83−mに出力する。さらに、各乗算器83−mは、入力される受信信号に対して入力される遅延PN符号を乗算することにより受信信号を逆拡散して逆拡散受信信号を発生し、帯域通過フィルタ84−mを介して直交検波器85−mに出力する。さらに、各直交検波器8−mは、信号発生器31からの送信信号を用いて、帯域通過フィルタ84−mからの逆拡散受信信号を、同相成分と直交成分とを有する複素復調信号に直交検波して、低域通過フィルタ86−mを介して侵入物識別回路9に出力する。ここで、各帯域通過フィルタ84−mの通過帯域は、信号発生器31からの送信信号の周波数成分を通過させるように設定され、各低域通過フィルタ86−mの通過帯域は、入力される複素復調信号に含まれる高調波成分とノイズとを除去するように設定される。
ここで、各受信アンテナ6−m(m=1,2,…,M)は、対向する送信アンテナ4−mと、その周辺の送信アンテナから放射された各電波を重畳した受信信号を受信する。さらに、この受信信号に対して、乗算器83−mにより、遅延器82−mからの遅延PN符号信号を乗算する。このため、直交検波器85−m及びローパスフィルタ86−mを介して出力される複素復調信号は、実質的に、送信アンテナ4−mからの送信信号のみを受信アンテナ6−mにより受信したときの受信信号を復調した複素復調信号と等しい。
図4は、図1の送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間に人101が侵入したときに、ローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号を複素平面上に示すグラフであり、図5は、図1の送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間の空間が風雨にさらされたときに、ローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号を複素平面上に示すグラフである。一般に、送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間に人101が侵入しておらず、かつ、送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間の空間が風雨にさらされていないとき(以下、定常状態という。)は、複素復調信号は、複素平面の原点近傍に集中する。また、図3に示すように、送信アンテナ4−mと受信アンテナ6−mとの間に人101が侵入すると、送信アレーアンテナ4からの電波は、人101によって反射及び散乱された後に受信アレーアンテナ6によって受信される。このとき、図4に示すように、送信アンテナ4−m及び受信アンテナ6−mに対応するローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号は、複素平面上で原点の回りを一定の角速度で円運動(以下、正則運動ともいう。)するという特徴を有する。さらに、図3に示すように、風雨時には、雨102によって、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との間の電界が乱れる。このとき、図5に示すように、ローパスフィルタ86−mから出力される複素復調信号は、定常状態での複素復調信号及び図4の人101の侵入時の複素復調信号に比較して、振幅の変動及び位相の変動が大きい(以下、非正則運動を行う、ともいう。)という特徴を有する。
図2において、侵入物識別回路9は、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器という。)90−1〜90−Mと、正規化器97−1〜97−Mと、複数次元特徴抽出器98−2〜98−M−1と、識別器96−2〜96−M−1とを備えて構成される。また、各正規化器97−mは、定常状態推定更新回路91−mと、正規化処理回路92−mとを備えて構成され、各複数次元特徴抽出器98−n(n=2,3,…,M−1)は、定速運動特徴抽出器93−nと、非定速運動特徴抽出器94−nと、孤立運動特徴抽出器95−nとを備えて構成される。各低域通過フィルタ86−mから出力された複素復調信号は、A/D変換器90−mによって所定のサンプリング周波数でデジタルの複素復調信号dm(k)に変換された後に(kは、サンプリングタイミングを表す整数である。)、定常状態推定更新回路91−m及び正規化処理回路92−mに出力される。なお、各A/D変換器90−mにおけるサンプリング周波数は、例えば、16Hzに設定される。
図2において、各定常状態推定更新回路91−m(m=1,2,…,M)は、サンプリングタイミングk毎に、連続する2つのサンプリングタイミングk及びk−1における2つの複素復調信号dm(k)及びdm(k−1)の各同相成分の差及び各直交成分の差を算出することにより、複素復調信号の複素平面上での軌跡を表す差分ベクトルを算出する。そして、各定常状態推定更新回路91−mは、算出された差分ベクトルの大きさが所定のしきい値よりも小さいときに、定常状態であると判断し、以下の式を用いて、サンプリングタイミングkにおける、定常状態における複素復調信号の複素平面上での軌跡の重心位置pm(k)を算出して、正規化処理回路92−mに出力する。
Figure 0005328976
ここで、Lは、重心位置pm(k)(m=1,2,…,M)を推定するために用いるサンプリング数である。また、各定常状態推定更新回路91−mは、上述した算出された差分ベクトルの大きさが所定のしきい値以上であるときは、非定常状態であると判断し、定常状態での複素復調信号の複素平面上での軌跡の重心位置pm(k)を更新せずに、1つ前のサンプリングタイミングk−1における重心位置pm(k−1)に設定する。各正規化処理回路92−mは、サンプリングタイミングk毎に、定常状態における複素復調信号複素平面上での軌跡の重心位置pm(k)を基準位置として用いて、入力される複素復調信号dm(k)の複素平面上における位置の正規化処理を行う。各正規化処理回路92−mから出力される、サンプリングタイミングkにおける正規化処理後の複素復調信号(以下、正規化複素復調信号という。)dam(k)は、以下の式で表される。
Figure 0005328976
図2において、各サンプリングタイミングkにおいて、各複数次元特徴抽出器98−n(n=2,3,…,M−1)には、3個の正規化処理回路92−n−1,92−n,92−n+1からの正規化複素復調信号dan−1(k),dan(k),dan+1(k)が出力される。
図2において、各定速運動特徴抽出器93−n(n=2,3,…,M−1)は、正規化処理回路92−nからの正規化複素復調信号dan(k)に基づいて、以下の式を用いて、特徴量f1−nを算出する。
Figure 0005328976
ここで、jは、サンプリングタイミングを表す整数である。図6は、上記式(3)の角速度θn(j)と正規化複素復調信号dan(j)との関係を示すグラフである。図6に示すように、角速度θn(j)は、サンプリングタイミングjにおける正規化複素復調信号dan(j)と、サンプリングタイミングj−1における正規化複素復調信号dan(j−1)との間の角度である。また、図7は、式(3)の関数Ψ(θn(j)−θn(j−1))を示すグラフである。図7に示すように、関数Ψは、サンプリングタイミングj及びj−1における各角速度θn(j)及びθn(j−1)の差の大きさが0に近いほど大きい値を有するように選択される。関数Ψは、例えば、ガウス関数などの釣鐘型の関数であればよい。さらに、式(3)において、Qは、特徴量f1−nを算出するために用いる正規化複素復調信号dan(j)の総サンプル数であり、人101が送信アレーアンテナ4及び受信アレーアンテナ6を横切るために必要とされる時間に対応する値に設定される。図4を参照して説明したように、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したとき、正規化複素復調信号dan(j)は、原点の回りを一定の角速度で円を描いて滑らかに変化する「正則運動」を行うという特徴を有する。このため、特徴量f1−nは、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときに最大値を有するように変化する。また、特徴量f1−nは、風雨時及び定常状態では、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときよりも小さい値を有する。
図2において、各非定速運動特徴抽出器94−n(n=2,3,…,M−1)は、正規化処理回路92−nからの正規化複素復調信号dan(k)に基づいて、以下の式を用いて、特徴量f2−nを算出する。
Figure 0005328976
図5を参照して説明したように、送信アンテナ4−n(n=2,3,…,M−1)と受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたときの複素復調信号は、定常状態での複素復調信号及び送信アンテナ4−2と受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときの複素復調信号に比較して、振幅の変化量が大きいという特徴を有する。従って、特徴量f2−nは、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたときに最大値を有するように変化する。また、特徴量f2−nは、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したとき及び定常状態では、風雨時よりも小さい値を有する。
図2において、各孤立特徴抽出器95−n(n=2,3,…,M−1)は、正規化処理回路92−n−1,92−n及び92−n+1からの、サンプリングタイミングkにおける正規化複素復調信号dan−1(k),dan(k)及びdan+1(k)に基づいて、以下の式を用いて、特徴量f3−nを算出する。
Figure 0005328976
受信アンテナ6−n(n=2,3,…,M−1)によって受信された電波の強度の大きさと、両隣の受信アンテナ6−n−1及び6−n+1によって受信された電波の強度の大きさとの差が大きくなると、特徴量f3−nの値は大きくなる。一般に、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との間に人101が侵入すると、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との空間内のうち、人101の近傍の空間において他の空間よりも孤立した強電界領域が現れ、受信アレーアンテナ6を構成する受信アンテナ6−1〜6−Mのうち、人101に最も近い1つの受信アンテナに対応する正規化複素復調信号の振幅が、他の受信アンテナに対応する正規化複素復調信号の振幅よりも大きくなる。このため、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したとき、受信アンテナ6−nに対応する特徴量f3−nは、全ての特徴量f3−2〜f3−M−1のうちで最大値を有する。また、特徴量f3−nは、風雨時及び定常状態では、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときよりも小さい値を有する。
図2において、各識別器96−n(n=2,3,…,M−1)は、複数次元特徴抽出器98−nにより算出された3次元の特徴量f1−n,f2−n及びf3−nに基づいて、PKDE(Parzen Kernel Density Estimation:パルツェンカーネル密度推定)アルゴリズム(非特許文献1及び2参照。)を用いて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したか否かを識別する。ここで、PKDEアルゴリズムは、確率密度に基づく識別アルゴリズムであり、学習サンプルデータから各判別事象の確率密度を推定し、確率的に最適な識別面(識別境界ともいう。)Pnを推定し、当該識別面Pnを用いて識別対象のサンプルデータがどの判別事象のサンプルデータであるかを識別する。具体的には、本実施の形態において、侵入物識別装置1の運用前に、各識別器96−nにおいて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときの特徴量f1−n,f2−n及びf3−nと、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたときの特徴量f1−n,f2−n及びf3−nとを取得する。さらに、取得された各特徴量を特徴空間における学習サンプルデータとして用いて、パルツェンカーネル密度推定法によって、3次元の特徴空間において、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したという事象と、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたという事象とを識別するための識別面Pnを推定する。そして、侵入物識別装置1の運用中には、各識別器96−nは、推定された識別面Pnを用いて、複数次元特徴抽出器98−nにより算出された特徴量f1−n,f2−n及びf3−nに基づいて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したか否かを識別する。
図8は、図2の識別器96−nにおいて用いられる3次元の特徴空間における識別面Pnを示すグラフである。図8に示すように、識別面Pnは、3次元の特徴量f1−n,f2−n,f3−nの各軸によって形成され、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したという事象と、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたという事象とを識別するための境界に対応する曲面である。
図2において、各識別器96−n(n=2,3,…,M−1)は、識別結果を示す識別信号S96−nを警報装置10に出力する。さらに、警報装置10は、スピーカ及びディスプレイ装置を備え、人101の侵入を示す少なくとも1つの識別信号S96−nに応答して、スピーカから所定の警報音を出力し、かつディスプレイ装置上に所定の警告表示を行う。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各A/D変換器90−m(m=1,2,…,M)からの複素復調信号に対して正規化処理を行った後に、正規化処理後の複素復調信号damに基づいて、特徴量f1−n,f2−n及びf3−n(n=2,3,…,M−1)を算出するので、正規化処理を行わない場合に比較して、環境変動などによる複素復調信号damの複素平面上での位置のバラツキの影響を受けずに、人101の侵入の識別精度を向上できる。さらに、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときに変化する特徴量f1−nに加えて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間が風雨にさらされたときに変化する特徴量f2−nと、送信アレーアンテナ4と受信アレーアンテナ6との間の空間のうち、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間の空間において、他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときに変化する特徴量f3−nとを用いて、警戒領域内への人101の侵入を識別するので、従来技術に係るしきい値処理を用いる侵入物識別装置に比較して、風雨時の誤発報を低減して、正確に侵入物が侵入したことを識別できる。
なお、上記実施の形態において、侵入物識別装置1は警戒領域内に人101が侵入したことを識別したが、本発明はこれに限られず、犬及び猫などの小動物である侵入物が警戒領域内に侵入したことを識別してもよい。
また、車両の移動速度は人101の移動速度よりも一定であり、車両の体積は人101の体積より大きいので、送信アンテナ4−n(n=2,3,…,M−1)及び受信アンテナ6−n近傍を車両が通過したときは、送信アンテナ4−nと受信アンテナとの間に人101が侵入したときに比較して特徴量f1−nの値は大きくなり、特徴量f2−nは小さくなる。このため、各識別器96−nにおいて、車両の通過を識別するための識別面をさらに推定して用いることにより、人101の識別精度をさらに向上できる。
さらに、各複数次元特徴抽出器98−n(n=2,3,…,M−1)は3次元の特徴量f1−n,f2−n及びfn−3を算出したが、本発明はこれに限らず、2次元以上の複数次元の特徴量を算出すればよい。このとき、好ましくは、上記複数次元の特徴量は、送信アンテナ4−nと受信アンテナとの間に人101が侵入したときに変化する特徴量f1−nを含む。なお、2次元の特徴量を算出して用いる場合、各識別器96−nにおいて用いられる識別面Pnは、2次元の特徴量の各軸によって形成され、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したという事象と、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入していないという事象とを識別するための境界に対応する曲線であり、3次元の特徴量を算出する場合、各識別器96−nにおいて用いられる識別面Pnは、3次元の特徴量の各軸によって形成され、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したという事象と、それ以外の少なくとも1つの事象とを識別するための境界に対応する曲面である。
またさらに、各識別器96−n(n=2,3,…,M−1)からの識別信号S96−nに含まれる識別結果が誤りであった場合には、3次元の特徴量f1−n,f2−n及びfn−3に基づいて識別面Pnを修正するための追加の学習を行ってもよい。これにより、侵入物識別装置1の運用中に識別精度を向上させることができる。
また、各定常状態推定更新回路91−m(m=1,2,…,M)による、定常状態のサンプリングタイミングkにおける各複素復調信号dm(k)の複素平面上での軌跡の重心位置pm(k)の算出方法は、式(1)に示したものに限らない。各定常状態推定更新回路91−mは、人101の非侵入時である定常状態における複素復調信号dm(k)を基準信号として用いて、複素復調信号dm(k)の複素平面上での位置を正規化すればよい。例えば、各定常状態推定更新回路91−mは、定常状態であるか否かを判定せずに、以下の式を用いてサンプリングタイミングkにおける重心位置pm(k)を推定してもよい。
Figure 0005328976
ここで、εは、0より大きく1より小さい定数であって、好ましくは、0.01に設定される。式(6)を用いることにより、サンプリングタイミングkにおける重心位置pm(k)を算出するためのメモリの使用量を低減できる。また、式(1)を用いる場合には、風雨が継続しているときには、比較的長期間にわたって重心位置pm(k)が更新されないが、式(6)を用いることにより、連続的な風雨などによって、複素復調信号damの波形が不安定な状態が継続したときにも、重心位置pm(k)を更新できる。
さらに、各定速運動特徴抽出器93−nによる特徴量f1−n(n=2,3,…,M−1)の算出方法は、上述した式(3)に限らず、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間に人101が侵入したときと、しなかったときとで異なるように変化する特徴量であればよい。例えば、特徴量f1−nを算出するための関数は、正規化複素復調信号danの振幅が所定値以上の一定の値を有し、位相の変化率(複素平面上での角速度)が一定の値を有するときに最大値を有するように設定される。
またさらに、各非定速運動特徴抽出器94−nによる特徴量f2−n(n=2,3,…,M−1)の算出方法は、上述した式(4)に限らず、送信アンテナ4−nと受信アンテナとの間の空間が風雨にさらされたときと、さらされなかったときとで異なるように変化するに変化する特徴量であればよい。例えば、特徴量f2−nを算出するための関数は、正規化複素復調信号damの複素平面上での回転方向が反転したとき、及び、角速度が所定値より大きくなったとき、及び振幅の変化率が大きくなったときに、大きい値を有するように設定される。
またさらに、各孤立運動特徴抽出器95−nによる特徴量f3−n(n=2,3,…,M−1)の算出方法は、上述した式(5)に限らず、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間において、他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときに変化する特徴量であればよい。例えば、特徴量f3−nを算出するための関数は、受信アンテナ6−nに対応する正規化複素復調信号danと、受信アンテナ6−nからの距離が所定値以内の各受信アンテナに対応する正規化複素復調信号との相関が高いほど大きい値を有し、受信アンテナ6−nに対応する正規化複素復調信号danと、受信アンテナ6−nからの距離が所定値より大きい受信アンテナに対応する正規化複素復調信号との相関が高いほど小さい値を有するように設定される。すなわち、孤立運動特徴抽出器95−nは、正規化複素復調信号danを含む複数の正規化複素復調信号に基づいて、送信アンテナ4−nと受信アンテナ6−nとの間において、他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときと、存在しないときとで異なるように変化する特徴量を算出すればよい。
また、侵入物識別装置1は、M個の正規化器97−1〜97−Mと、M−2個の識別器96−2〜96−M−1と、M−2個の複数次元特徴抽出器98−2〜98−M−1とを備えて構成されたが、本発明はこれに限らず、例えば、図2の1個の正規化器97−2と、1個の複数次元特徴抽出器98−2と、1個の識別器96−2とを備えて構成されてもよい。この場合、送信アレーアンテナ4に代えて、単体の送信アンテナを用い、受信アレーアンテナに代えて、単体の受信アンテナを用いる。そして、乗算器32は、信号発生器31によって発生された送信信号を、単体の送信アンテナを用いて電波として放射する。さらに、単体の送信アンテナによって放射された電波は、単体の受信アンテナによって受信信号として受信されて、直交検波器85−2に出力される。直交検波器84−2は、信号発生器31からの送信信号を用いて、受信信号を、同相成分と直交成分とを有する複素復調信号に直交検波して、低域通過フィルタ86−2と、A/D変換器90−2と、正規化器97−2とを介して特徴抽出器96−2に出力する。
この場合、特徴抽出器96−2は、送信アンテナ4−2と受信アンテナ6−2との間に人101が侵入したときに変化する第1の特徴量f1−2と、送信アンテナ4−2と受信アンテナ6−2との間の空間が風雨にさらされたときに変化する第2の特徴量f2−2とを算出して、識別器96−2に出力する。さらに、識別器96−2は、2次元の特徴量f1−2及びf2−2に基づいて、2次元の識別面P2を用いて、送信アンテナ4−2と受信アンテナ6−2との間に人101が侵入したか否かを判別する。
さらに、上記実施形態において、図1の無線送信回路3は、信号発生器31によって発生された送信信号をPN符号を用いてスペクトル拡散し、M個の送信アンテナ4−1〜4−Mを備えた送信アレーアンテナ4を用いて無線送信したが、本発明はこれに限られない。無線送信回路3は、信号発生器31によって発生された送信信号に従って、所定の搬送波信号を所定の変調方式で変調して、上記送信アンテナ4−1〜4−Mを用いて無線送信してもよい。このとき、無線受信回路8は、送信アンテナ4−1〜4−Mから送信された送信信号を、受信アンテナ6−1〜6−Mを用いてそれぞれ無線受信し、上記無線受信した各受信信号を、無線送信回路3で用いられた変調方式に対応する復調方式を用いて複数の複素復調信号に復調して、侵入物識別回路9に出力する。
以上説明したように、本発明に係る侵入物識別装置によれば、送信アンテナ装置と受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入していない定常状態における複素復調信号を用いて、入力される複素復調信号の複素平面上の位置を正規化して正規化複素復調信号を発生する正規化手段と、正規化された複素復調信号の複数次元の特徴量を抽出する複数次元特徴抽出手段とを備えたので、従来技術に係るしきい値処理を用いる侵入物識別装置に比較して、誤発報を低減して、正確に侵入物が侵入したことを識別できる。
1 侵入物識別装置、2 PN符号発生器、3 無線送信回路、4 送信アレーアンテナ、5 終端器、6 受信アレーアンテナ、7 終端器、8 無線受信回路、9 侵入物識別回路、10 警報装置、4−1〜4−M 送信アンテナ、6−1〜6−M 受信アンテナ、31 信号発生器、32 乗算器、82−1〜82−M 遅延器、83−1〜83−M 乗算器、84−1〜84−M 帯域通過フィルタ、85−1〜85−M 直交検波器、86−1〜86−M 低域通過フィルタ、87−1〜87−M 復調回路、90−1〜90−M A/D変換器、91−1〜91−M 定常状態推定更新回路、92−1〜92−M 正規化処理回路、93−2〜93−M−1 定速運動特徴抽出器、94−2〜94−M−1 非定速運動特徴抽出器、95−2〜95−M−1 孤立運動特徴抽出器、96−2〜96−M−1 識別器、97−1〜97−M 正規化器、98−2〜98−M−1 複数次元特徴抽出器、101 人、102 雨。

Claims (3)

  1. 所定の送信信号を発生して、送信アンテナ装置を用いて無線送信する送信手段と、
    上記送信された送信信号を、上記送信アンテナ装置に対向して設けられた受信アンテナ装置を用いて無線受信し、上記無線受信した受信信号を、上記送信信号を用いて直交検波して複素復調信号に復調する受信手段とを備えた侵入物識別装置において、
    上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入していない定常状態における複素復調信号を用いて、入力される複素復調信号の複素平面上の位置を正規化して正規化複素復調信号を発生する正規化手段と、
    上記正規化複素復調信号の複数次元の特徴量を算出する複数次元特徴抽出手段と、
    上記算出された複数次元の特徴量に基づいて、上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入したか否かを、上記複数次元の特徴量の各軸により形成されかつ上記送信アンテナ装置と上記受信アンテナ装置との間に侵入物が侵入したか否かを識別するための境界である所定の識別面を用いて識別し、当該識別結果を示す識別信号を出力する識別手段とを備えた侵入物識別装置であって、
    上記送信アンテナ装置は、3個以上の複数の送信アンテナを備え、
    上記受信アンテナ装置は、3個以上の複数の受信アンテナを備え、
    上記送信手段は、上記送信信号を上記複数の送信アンテナを用いて無線送信し、
    上記受信手段は、上記複数の送信アンテナから送信された送信信号を上記複数の受信アンテナを用いてそれぞれ無線受信し、上記無線受信した各受信信号を複数の複素復調信号に復調し、
    上記侵入物識別装置は、
    上記複数の複素復調信号をそれぞれ入力する複数の上記正規化手段と、
    上記複数の正規化手段のうちの所定の複数の正規化手段からの複数の上記正規化複素復調信号を入力する複数の上記複数次元特徴抽出手段と、
    上記複数の複数次元特徴抽出手段からの上記複数次元の特徴量をそれぞれ入力する複数の上記識別手段とを備え、
    上記各複数次元特徴抽出手段は、
    上記入力された複数の正規化複素復調信号のうちの所定の1つの正規化複素復調信号に基づいて、当該所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間に侵入物が侵入したときに変化する第1の特徴量を算出する第1の特徴抽出手段と、
    上記所定の1つの正規化複素復調信号に基づいて、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間の空間が風雨にさらされたときに変化する第2の特徴量を算出する第2の特徴抽出手段と、
    上記入力された複数の正規化複素復調信号に基づいて、上記複数の送信アンテナと上記複数の受信アンテナとの間の空間のうち、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間の空間において、上記侵入物の近傍において他の空間よりも空間的に孤立した強電界領域が存在するときに変化する第3の特徴量を算出する第3の特徴抽出手段とを備え、
    上記各識別手段は、上記算出された第1乃至第3の特徴量に基づいて、上記所定の1つの正規化複素復調信号に対応する送信アンテナと受信アンテナとの間に侵入物が侵入したか否かを識別することを特徴とする侵入物識別装置。
  2. 上記送信手段は、上記送信信号を擬似雑音符号を用いてスペクトル拡散して上記複数の送信アンテナを用いて無線送信し、
    上記受信手段は、上記擬似雑音符号を互いに異なる複数の遅延時間だけ遅延させて複数の遅延擬似雑音符号を発生し、上記無線受信した各受信信号を上記複数の遅延擬似雑音符号を用いてそれぞれ逆拡散して複数の逆拡散受信信号を発生し、上記各逆拡散受信信号を上記送信信号を用いて直交検波して上記複数の複素復調信号に復調することを特徴とする請求項記載の侵入物識別装置。
  3. 上記送信アンテナ装置は第1の漏洩同軸ケーブルであり、
    上記受信アンテナ装置は第2の漏洩同軸ケーブルであることを特徴とする請求項又は記載の侵入物識別装置。
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