JP5327855B2 - パーフルオロポリエーテル化合物、これを含有する潤滑剤ならびに磁気ディスク - Google Patents

パーフルオロポリエーテル化合物、これを含有する潤滑剤ならびに磁気ディスク Download PDF

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本発明は、芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、これを含有する潤滑剤、ならびにこれを用いた磁気ディスクに関する。
磁気ディスクの記録密度の増大に伴い、記録媒体である磁気ディスクと情報の記録・再生を行うヘッドとの距離は殆ど接触するまで狭くなっている。磁気ディスク表面にはヘッドとの接触・摺動の際の摩耗抑制や、ディスク表面の汚染防止等の目的で、炭素保護膜や潤滑剤被膜が設けられている。
炭素保護膜は、一般にスパッタ法やCVD法で製膜される。ディスクの表面保護は、炭素保護膜と、この上層に位置する潤滑剤被膜の両者で担うことになるため、炭素保護膜と潤滑剤との相互作用が重要である。
潤滑剤としては一般に官能基を有するパーフルオロポリエーテルが用いられている。官能基としては、水酸基やアミノ基、さらにはシクロホスファゼン基などがある。具体的には、分子末端に水酸基を有する潤滑剤としてSolvay Solexis製のFomblin ZTETRAOL、さらには分子の一方の末端に水酸基、他方の末端にシクロホスファゼン基を有する松村石油研究所製のPHOSFAROL A20Hなどがある。さらに、分子末端に加えて分子鎖中にも水酸基を有する潤滑剤も提案されている(特許文献1参照)。
Fomblin ZTETRAOLは、分子両末端に位置する水酸基によりディスクへの良好な吸着性を示し、ディスクが高速回転しても飛散せず、潤滑剤被膜を維持することができる。また、PHOSFAROL A20Hは、ディスクへの吸着に寄与する水酸基が分子の片末端に、さらにルイス酸によるパーフルオロポリエーテル主鎖の切断を抑制するシクロホスファゼン基が他方の末端に存在するため、ヘッドの部材中のAlによる化合物の分解も抑制し、ディスク上で潤滑剤被膜を維持することができる(例えば、特許文献2参照)。
さらに、特許文献1では、ヘッドとディスクのスペーシングに対する潤滑剤の膜厚の影響について記されている。スペーシングを低減するには潤滑剤一分子分の膜厚を低減することが有効であり、分子末端に加えて分子鎖中にも水酸基を有する潤滑剤が、潤滑剤一分子分の膜厚を低減できると提案されている。この技術により潤滑剤一分子分の膜厚を低く維持した上で、潤滑剤の高分子量化が可能となり、潤滑剤の蒸発も防止できる。
しかし、潤滑剤が有する水酸基は、炭素保護膜上の水酸基との水素結合や、ダングリングボンド(未結合手)と共有結合を形成するため(例えば、非特許文献1)、分子中に多数の水酸基を有する化合物からなる潤滑剤被膜は、炭素保護膜に固着した被膜となる。潤滑剤被膜の固着化は、相反する特性である流動性の低下につながるため、ヘッドとディスクの接触確率が高くなる低スペーシング条件において、摺動耐久性が大きく不足する可能性がある。
特開2006−70173 米国特許第6608009号
IEEE Transactions on Magnetics,vol.37,No.2,March 2001
本発明の課題は、ヘッドとディスクのスペーシングの低減化に貢献でき、かつディスク表面で良好な流動性を示すことにより摺動耐久性を発現する化合物を提供することにある。
本発明は以下の発明に係る。
1.式(1)で表される化合物。
[HO−(CH−R−CHO−A−O)−CH−R−CH−O−CH−R (1)
式中nは0〜6の整数であり、Aは−CHCH(OH)CH−で表される基である。RはC6−p、C5−q−O−C5−r、C108−pの芳香族基である。pは3〜6の整数である。q、rはそれぞれ0以上の整数であり、p=q+rである。Rは、−CFO(CFCFO)(CFO)CF−又は−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。x、yは、それぞれ0〜30の実数である。zは1〜30の実数である。
2.式(1)の化合物を含有する潤滑剤。
3.支持体上に少なくとも記録層、保護層を形成し、その表面に潤滑層を有する磁気ディスクにおいて、該潤滑層が式(1)で表される化合物を含有する磁気ディスク。
本発明の芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物は、一分子あたりの膜厚低減と流動性という2つの課題を同時に解決する潤滑剤である。また、本発明の化合物を潤滑剤として用いた磁気ディスクは、ヘッドとディスクのスペーシングを低減でき、かつヘッドとディスクの接触摺動においても優れた耐久性を有する。
本発明の磁気ディスクの構成を示す断面模式図である。
本発明の式(1)で表されるパーフルオロポリエーテルは、芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物である。
式(1)で表される本発明の芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物は、例えば以下の方法により合成される。
アルゴン雰囲気下、HOCH−R−CHOHで表される両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルを、t−ブタノールおよびt−ブトキシカリウムとともに加熱攪拌する。反応温度は60〜80℃、好ましくは65〜70℃である。ここにエピハロヒドリン化合物、例えばエピブロモヒドリンを滴下し、3〜8時間、好ましくは4〜6時間、加熱攪拌を継続する。その後、例えば水洗、カラムクロマトグラフィーにより分画し、中間体化合物が得られる。これをアルゴン雰囲気下、金属ナトリウムとともに加熱攪拌する。反応温度は50〜100℃、好ましくは60〜80℃である。反応時間は10〜70時間、好ましくは20〜50時間である。パーフルオロポリエーテルに対して金属ナトリウムを0.7〜1当量使用するのが好ましい。つづいて、これにX −Yで表されるハロゲン原子をp個有する芳香族化合物を加える。反応温度は50〜100℃、好ましくは60〜80℃である。反応時間は20〜50時間、好ましくは30〜40時間である。パーフルオロポリエーテルに対してハロゲン原子をp個有する芳香族化合物を0.2〜0.8当量使用するのが好ましい。反応は溶剤中で行ってもよい。その後、例えば水洗、カラムクロマトグラフィーにより分画し、目的とする化合物がフラクションとして得られる。
HOCH−R−CHOHで表される両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルとしては、例えば、HOCH−CFO(CFCFO)(CFO)CF−CHOHや、HOCH−CFCFO(CFCFCFO)CF
−CHOHを例示できる。ここでx、yは、それぞれ0〜30の実数であり、好ましくは0〜25、より好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜15である。zは1〜30の実数であり、好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15である。いずれも分子量分布を持つ化合物である。
−Yで表されるハロゲン原子を有する芳香族化合物において、Xは、例え Cl、CHBr、CHIを例示できる。Xの付加位置は、オルト、メタ、パラのいずれでも良い。ここでpは3〜6の実数である。Yは、例えば−C6−p、−C5−q−O−C5−r−(ここでp=q+r)、−C108−pを例示できる。
式(1)で表される本発明の芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を潤滑剤として使用する場合には、n=0〜6が好ましく、より好ましくはn=0〜3であり、さらに好ましくはn=0〜2である。
本発明の化合物を磁気ディスク表面に塗布するには、化合物を溶剤に希釈して塗布する方法が好ましい。溶剤としては、例えば3M製PF−5060、PF−5080、HFE−7100,HFE−7200、DuPont製Vertrel−XF等が挙げられる。希釈後の化合物の濃度は1wt%以下、好ましくは0.001〜0.1wt%である。
本発明の化合物を単独使用する以外にも、例えば松村石油研究所製のPHOSFAROLA20Hや、Solvay Solexis製のFomblin ZdolやZtetraol、Zdol TX、AM、ダイキン工業製のDemnum、Dupont製のKrytoxなどと任意の比率で混合して使用することもできる。
本発明の化合物は、磁気ディスク装置内の磁気ディスクとヘッドの低スペーシング化を実現し、さらに摺動耐久性を向上させるための潤滑剤としての用途が挙げられる。また、本発明の化合物は、分子末端の水酸基による炭素保護膜に存在する極性部位との相互作用、加えて分子鎖中の芳香族基による炭素保護膜に存在する炭素の不飽和結合との相互作用を形成することを特徴とする。従って、磁気ディスク以外にも炭素保護膜を有する磁気ヘッドや、光磁気記録装置、磁気テープ等や、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、プラスチックなどの有機材料の表面保護膜、さらにはSi、SiC、SiOなどの無機材料の表面保護膜としても応用できる。
本発明の磁気ディスクは、まず支持体1上に少なくとも1層以上の記録層2、その上に保護層3、更にその上に本発明の化合物を含有する潤滑層4を最外層として有する構成である。図1に本発明の磁気ディスク断面の模式図を示す。
支持体としてはアルミニウム合金、ガラス等のセラミックス、ポリカーボネート等が挙げられる。
磁気ディスクの記録層である磁性層の構成材料としては鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体を形成可能な元素を中心として、これにクロム、白金、タンタル等を加えた合金、又はそれらの酸化物が挙げられる。これらはメッキ法、或いはスパッタ法等で形成される。
保護層の材料はカーボン、SiC、SiO等が挙げられる。これらはスパッタ法、或いはCVD法で形成される。
現在、流通している潤滑層の厚さは30Å以下であるため、粘性が20℃で100mPa・s程度以上の潤滑剤をそのまま塗布したのでは膜厚が大きくなりすぎる恐れがある。そこで塗布の際は溶剤に溶解したものを用いる。本発明の化合物を潤滑剤として単独で使用する場合も、他の潤滑剤と混合して使用する場合も、溶剤に溶解した方が必要な膜厚に制御しやすい。但し、濃度は塗布方法・条件、混合割合等により異なる。本発明の潤滑剤の膜厚は、5〜15Åが好ましい。
下地層に対する潤滑剤の吸着を促進させるために、熱処理や紫外線処理を行うことができる。熱処理温度は、60〜150℃、好ましくは80〜150℃である。紫外線処理では、185nmと254nmの波長を主波長とする紫外線を用いるのが好ましい。
本発明の磁気ディスクは、ディスクを格納し、情報の記録・再生・消去を行うためのヘッドやディスクを回転するためのモーター等が装備されている磁気ディスクドライブとそのドライブを制御するための制御系からなる磁気ディスク装置に応用できる。磁気ディスク装置の記録方式としては、面内磁気記録、垂直磁気記録、熱アシスト磁気記録等が挙げられる。ディスクリートトラック型磁気ディスクやビットパターンド型磁気ディスクにも適用できる。
本発明の磁気ディスク、およびそれを応用した磁気ディスク装置の用途としては電子計算機、ワードプロセッサー等の外部メモリーが挙げられる。またナビゲーションシステム、ゲーム、携帯電話、PHS等の各種機器、及びビルの防犯、発電所等の管理・制御システムの内部・外部記録装置等にも適用可能である。
以下、参考例、実施例および試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。なお、19F−NMRは溶媒;なし、基準物質:主成分または微量不純物として含まれるOCF2 2CF2Oを−129.7ppmとして、H−NMRは溶媒:なし、基準物質:DOの条件で測定した。
参考例1
HO−(CH−R−CHO−CHCH(OH)CH−O)−CH−R−CH−OH(中間体1、2、3)の合成
ここで、Rは−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。中間体1はn=1、中間体2はn=2、中間体3はn=3である。
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(42g)を、t−ブタノール(18g)およびt−ブトキシカリウム(5.4g)とともに70℃で攪拌する。エピブロモヒドリン(3.3g)を滴下し、4〜6時間攪拌を継続する。その後、水洗、超臨界抽出により5分画し、第2分画品として中間体1(15g)、第3分画品として中間体2(26g)、第4分画品として中間体3(17g)を得た。
参考例2
HO−(CH−R−CHO−CHCH(OH)CH−O)−CH−R−CH−OH(中間体4、5、6)の合成
ここで、Rは−CFO(CFCFO)(CFO)CF−である。中間体4はn=1、中間体5はn=2、中間体6はn=3である。
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFO(CFCFO)(CFO)CF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(42g)を、t−ブタノール(18g)およびt−ブトキシカリウム(5.4g)とともに70℃で攪拌する。エピブロモヒドリン(3.3g)を滴下し、4〜6時間攪拌を継続する。その後、水洗、超臨界抽出により5分画し、第2分画品として中間体4(17g)、第3分画品として中間体5(24g)、第4分画品として中間体6(13g)を得た。
実施例1
[HO−CH−R−CHO−CHCH(OH)CH−O−CH−R−CH−O−CH−R(化合物1)の合成
ここで、Rは下記式(a)で表される基であり、Rは−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、参考例1で得られた中間体1(15g)を、金属ナトリウム(0.15g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,3,5−トリスブロモメチルベンゼン(0.8g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で35時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより3分画し、第2分画品として化合物1(5g)を得た。
化合物1は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.7g/cmであった。NMRを用いて行った化合物1の同定結果を示す。
化合物1
19F−NMR
δ=−86.4ppm
〔18F,−C CFCHOCHCH(OH)CHOCHCF O−,−C CFCHOH〕,
δ=−86.2ppm
〔6F,(−C CFCHOCH−C〕,
δ=−83.7ppm
〔134F,−C CF O−〕,
δ=−129.7ppm
〔67F,−CF CFO−〕,
δ=−127.5ppm
〔6F,−CF CHOH〕,
δ=−124.3ppm
〔12F,−CF CHOCHCH(OH)CHOCH CFO−〕,
δ=−123.6ppm
〔6F,(−CF CHOCH−C〕,
z=5.6
H−NMR
δ=3.85ppm
〔6H,(−CFCF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔6H,−CFCF OH〕,
δ=4.50ppm
〔24H,−CFCF OC CH(OH)C OC CFCFO−〕,
δ=4.63ppm
〔6H,(−CFCFCHOC −C〕,
δ=7.37ppm
〔3H,(−CFCFCHOCH−C 〕,
実施例2
(HO−CH−R−CH−O−CH−R(化合物2)の合成
ここで、Rは下記式(a)で表される基であり、Rは−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(50g)を、金属ナトリウム(0.5g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,3,5−トリスブロモメチルベンゼン(2.7g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で48時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより3分画し、第2分画品として化合物2(17g)を得た。
化合物2は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.6g/cmであった。NMRを用いて行った化合物2の同定結果を示す。
化合物2
19F−NMR
δ=−86.4ppm
〔6F,−C CFCHOH〕,
δ=−86.2ppm
〔6F,(−C CFCHOCH−C〕,
δ=−83.7ppm
〔126F,−C CF O−〕,
δ=−129.7ppm
〔63F,−CF CFO−〕,
δ=−127.5ppm
〔6F,−CF CHOH〕,
δ=−123.6ppm
〔6F,(−CF CHOCH−C〕,
z=10.5
H−NMR
δ=3.85ppm
〔6H,(−CFCF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔6H,−CFCF OH〕,
δ=4.63ppm
〔6H,(−CFCFCHOC −C〕,
δ=7.37ppm
〔3H,(−CFCFCHOCH−C 〕,
実施例3
(HO−CH−R−CH−O−CH−R(化合物3)の合成
ここで、Rは下記式(b)で表される基であり、Rは−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(50g)を、金属ナトリウム(0.9g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,2,3,4,5,6−ヘキサキスブロモメチルベンゼン(6.4g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で48時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物3(13g)を得た。
化合物3は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.6g/cmであった。NMRを用いて行った化合物3の同定結果を示す。
化合物3
19F−NMR
δ=−86.4ppm
〔12F,−C CFCHOH〕,
δ=−86.2ppm
〔12F,(−C CFCHOCH−C〕,
δ=−83.7ppm
〔144F,−C CF O−〕,
δ=−129.7ppm
〔72F,−CF CFO−〕,
δ=−127.5ppm
〔12F,−CF CHOH〕,
δ=−123.6ppm
〔12F,(−CF CHOCH−C〕,
z=6.0
H−NMR
δ=3.85ppm
〔12H,(−CFCF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔12H,−CFCF OH〕,
δ=4.63ppm
〔12H,(−CFCFCHOC −C〕,
実施例4
[HO−CH−R−CHO−CHCH(OH)CH−O−CH−R−CH−O−CH−R(化合物4)の合成
ここで、Rは下記式(a)で表される基であり、Rは−CFO(CFCFO)(CFO)CF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、参考例2で得られた中間体4(15g)を、金属ナトリウム(0.15g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,3,5−トリスブロモメチルベンゼン(0.8g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で35時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより3分画し、第2分画品として化合物4(5g)を得た。
化合物4は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.7g/cmであった。NMRを用いて行った化合物4の同定結果を示す。
化合物4
19F−NMR
δ=−52.1ppm、−53.7ppm、−55.4ppm
〔64F,−OC O−〕,
δ=−77.9ppm、−79.9ppm
〔6F,(−C CHOCH−C〕,
δ=−78.2,−80.2ppm
〔12F,−C CHOCHCH(OH)CHOCH O−〕,
δ=−81.3ppm、−83.3ppm
〔6F,−C CHOH〕,
δ=−89.1ppm、−90.7ppm
〔137F,−OC O−〕
x=5.7 y=5.3
H−NMR
δ=3.85ppm
〔6H,(−CF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔6H,−CF OH〕,
δ=4.50ppm
〔24H,−CF OC CH(OH)C OC CFO−〕,
δ=4.63ppm
〔6H,(−CFCHOC −C〕,
δ=7.37ppm
〔3H,(−CFCHOCH−C 〕,
実施例5
(HO−CH−R−CH−O−CH−R(化合物5)の合成
ここで、Rは下記式(a)で表される基であり、Rは−CFO(CFCFO)(CFO)CF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFO(CFCFO)(CFO)CF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(50g)を、金属ナトリウム(0.5g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,3,5−トリスブロモメチルベンゼン(2.7g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で48時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより3分画し、第2分画品として化合物5(14g)を得た。
化合物5は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.7g/cmであった。NMRを用いて行った化合物5の同定結果を示す。
化合物5
19F−NMR
δ=−52.1ppm、−53.7ppm、−55.4ppm
〔56F,−OC O−〕,
δ=−77.9ppm、−79.9ppm
〔12F,(−C CHOCH−C〕,
δ=−81.3ppm、−83.3ppm
〔6F,−C CHOH〕,
δ=−89.1ppm、−90.7ppm
〔122F,−OC O−〕
x=10.2 y=9.3
H−NMR
δ=3.85ppm
〔6H,(−CF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔6H,−CF OH〕,
δ=4.63ppm
〔6H,(−CFCHOC −C〕,
δ=7.37ppm
〔3H,(−CFCHOCH−C 〕,
実施例6
(HO−CH−R−CH−O−CH−R(化合物6)の合成
ここで、Rは下記式(b)で表される基であり、Rは−CFO(CFCFO)(CFO)CF−である。
Figure 0005327855
アルゴン雰囲気下、HOCH−CFO(CFCFO)(CFO)CF−CHOHで表されるパーフルオロポリエーテル(50g)を、金属ナトリウム(0.9g)とともに80℃で24時間攪拌する。つづいて、これに1,2,3,4,5,6−ヘキサキスブロモメチルベンゼン(6.4g)と3M製HFE7300を滴下し、80℃で48時間攪拌する。その後、水洗、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物6(10g)を得た。
化合物6は、無色透明液体であり、20℃での密度は、1.7g/cmであった。NMRを用いて行った化合物6の同定結果を示す。
化合物6
19F−NMR
δ=−52.1ppm、−53.7ppm、−55.4ppm
〔65F,−OC O−〕,
δ=−77.9ppm、−79.9ppm
〔12F,(−C CHOCH−C〕,
δ=−81.3ppm、−83.3ppm
〔12F,−C CHOH〕,
δ=−89.1ppm、−90.7ppm
〔134F,−OC O−〕
x=5.6 y=5.2
H−NMR
δ=3.85ppm
〔12H,(−CF OCH−C〕,
δ=4.18ppm
〔12H,−CF OH〕,
δ=4.63ppm
〔12H,(−CFCHOC −C〕,
実施例7
単分子膜厚および拡散係数の測定
磁気ディスク上に塗布された潤滑剤の単分子膜厚(一分子あたりの膜厚)および拡散係数は、非特許文献2にも記載されているように、ディスク上での潤滑剤の拡散挙動をエリプソメーターで観察する際に確認される。単分子膜厚は、潤滑剤被膜のテラス部位の膜厚として得られる。拡散係数は、T時間後の潤滑剤の移動距離(L)を用いて、下記式から算出される。
Journal of Tribology,October 2004,vol.126,page751
拡散係数(mm/s)=L/T
具体的には、実施例1〜3で合成した化合物1〜3を、それぞれDuPont製Vertrel−XFに溶解する。この溶液の化合物1、3の濃度はいずれも0.1重量%である。直径2.5インチの磁気ディスクの一部分(約1/4)をこの溶液に浸漬し、速度4mm/sで引き上げることにより、潤滑層として化合物1〜3が塗布された部分と塗布されていない部分からなるディスクを作製した。塗布された部分の平均膜厚は、32Åであった。
上記のディスクを作製後すぐに、エリプソメーターに装着し、50℃の温度条件下にて一定時間毎に塗布部と非塗布部の境界付近における膜厚の変化を測定し、形成するテラス部位の膜厚として潤滑剤の単分子膜厚を得た。さらに潤滑層の移動距離から拡散係数を得た。また、比較のために、分子鎖中と分子末端に水酸基を有する化合物7を使用した。
HO−(CH−R−CHO−E−O)−CH−R−CH−OH (化合物7)
Eは−CH−CH(OH)−CH−で表される基である。Rは、−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。sは5、tは6.0である。
化合物1〜3、7の数平均分子量と単分子膜厚、および拡散係数を表1に記す。これらの結果から、本発明の芳香族基と水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物は、分子末端と分子鎖中に水酸基を有する化合物7に比べて、同等の単分子膜厚を示しつつ、かつ高い拡散係数を示すことが確認された。
Figure 0005327855
実施例8
磁気ディスクの作製
実施例1で得られた化合物1をDuPont製Vertrel−XFに溶解する。この溶液の化合物1の濃度は0.1重量%である。直径2.5インチの磁気ディスクをこの溶液に1分間浸漬し、速度2mm/sで引き上げた。その後150℃で10分間乾燥し、塗布された化合物の膜厚をFT−IRで測定したところ、20Åであった。これより、一分子あたりの膜厚を低減できる分子末端と分子鎖中に水酸基を有する化合物と同程度の単分子膜厚を示し、かつ高い拡散係数を示す本発明の化合物を有する磁気ディスクを作製できることが確認された。
本発明は、芳香族基と水酸基を有する新規なパーフルオロポリエーテル化合物、これを含有する潤滑剤、ならびにこれを用いた磁気ディスクを提供することができる。
1 支持体
2 記録層
3 保護層
4 潤滑層

Claims (6)

  1. 式(1)で表される化合物。
    [HO−(CH−R−CHO−A−O)−CH−R−CH−O−CH−R (1)
    式中nは0〜6の整数であり、Aは−CHCH(OH)CH−で表される基である。RはC6−p、C5−q−O−C5−r、C108−pの芳香族基である。pは3〜6の整数である。q、rはそれぞれ0以上の整数であり、p=q+rである。Rは、−CFO(CFCFO)(CFO)CF−又は−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。x、yは、それぞれ0〜30の実数である。zは1〜30の実数である。
  2. x、yが、それぞれ0〜20であり、zが1〜20である請求項1に記載の化合物。
  3. 式(1)の化合物を含有する潤滑剤。
    [HO−(CH−R−CHO−A−O)−CH−R−CH−O−CH−R (1)
    式中nは0〜6の整数であり、Aは−CHCH(OH)CH−で表される基である。RはC6−p、C5−q−O−C5−r、C108−pの芳香族基である。pは3〜6の整数である。q、rはそれぞれ0以上の整数であり、p=q+rである。Rは、−CFO(CFCFO)(CFO)CF−又は−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。x、yは、それぞれ0〜30の実数である。zは1〜30の実数である。
  4. x、yが、それぞれ0〜20であり、zが1〜20である請求項3に記載の潤滑剤。
  5. 支持体上に少なくとも記録層、保護層を形成し、その表面に潤滑層を有する磁気ディスクにおいて、該潤滑層が下記式(1)で表される化合物を含有する磁気ディスク。
    [HO−(CH−R−CHO−A−O)−CH−R−CH−O−CH−R (1)
    式中nは0〜6の整数であり、Aは−CHCH(OH)CH−で表される基である。RはC6−p、C5−q−O−C5−r、C108−pの芳香族基である。pは3〜6の整数である。q、rはそれぞれ0以上の整数であり、p=q+rである。Rは、−CFO(CFCFO)(CFO)CF−又は−CFCFO(CFCFCFO)CFCF−である。x、yは、それぞれ0〜30の実数である。zは1〜30の実数である。
  6. x、yが、それぞれ0〜20であり、zが1〜20である請求項5に記載の磁気ディスク。
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