JP5324999B2 - 生体光計測装置及び生体光計測方法 - Google Patents

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Description

この発明は、生体光計測装置及び生体光計測方法に関する。
生体光計測装置は、所定の波長の光を生体に照射し、生体を透過した光の光量の変化を計測することにより、生体内部の血液循環、血行動態、ヘモグロビン変化等の情報を得るものであり、特に、複数の光照射部と受光部とを配置して、比較的広い範囲の血流情報をトポグラフィとして得るようにした生体光計測装置は、脳の機能の研究や臨床への応用が進んでいる。
特許文献1には、光測定層において、深さ方向について区別して測定を行うために、送光光が異なる波長を含み、この異なる波長に応じて被検体上の送光点と受光点の距離を異ならせるようにしたものが提案されている。
特許文献2には、散乱吸収体測定において、測定対象である散乱吸収体中に測定対象領域と非測定対象領域とが存在する場合に、非測定対象領域Meを伝搬する部分光路長が光路によらず一定であるとして、測定対象領域のみの吸収係数変化量を算出することで、非測定対象領域の影響を除外するようにしたものが提案されている。
特許文献3には、皮膚血流等による不要な情報を除去することができる光計測装置を提供することを目的とし、送光プローブが配置される位置と受光プローブが配置される位置とを被検体表面に沿って最短距離で結んだ線の中点が、同一の位置となるようにして、送光プローブと受光プローブとの間の距離を変化させて測定することにより、中点から異なる深さ付近である被検体の部位の測定情報を取得するようにしたものが提案されている。
一方、特許文献4には、発光部に対する受光部の位置を可変として、異なる深さからの情報を一つの測定装置で得ることができるようにした光学的測定装置が開示されている。
また、特許文献5には、小型・低価格の非侵襲的骨密度計測装置の提供を目的として、皮膚及び骨で反射・散乱した光を、1列に並べられたフォトダイオードにより検出するものが提案されている。特許文献5によれば、遠いフォトダイオードでは、皮膚からの反射・散乱光の影響を受けず、より深部にある骨の密度特性を反映した反射・散乱光が検出される。発光ダイオードから遠いフォトダイオードから得られた反射・散乱光強度の空間分布を解析することで骨密度情報のみを抽出することができる、とされている。
特許文献6には、被検体を透過した光を検出して得られた光信号を処理した信号の微分値から、ノイズ成分を含む信号を特定し、その信号を含む区間データを加算平均処理から除外することで、計測結果からノイズ成分を自動的に除去するようにしたものが開示されている。
特開平10−82732号公報 特開2003−202287号公報 特開2008−64675号公報 特開平11−295218号公報 特開2007−7267号公報 特開2003−10188号公報
予防医学の観点から、簡易、安価でもかつ、信頼性の高い脳血流計測装置の必要性が今後高まると予想される。また、脳等の生体光情報は、医療だけでなく、ゲームなどの分野にも応用が期待される。
脳血流の状態等を知るために現在広く使用されている主な生体光計測装置は、所定の波長の光を放射する半導体レーザと、この半導体レーザが発生する光を複数の異なる周波数で変調するための変調器を備えた多数の光モジュールとを備え、各光モジュールの出力光はそれぞれ光ファイバを介して被検体の所定の計測領域、例えば頭部の複数箇所から照射される。このような多数の光モジュールを備えた装置は、高精度の生体光情報の測定を目的としており、大型で高価である。そのため、このような生体光計測装置を用いて、例えば、個人が手軽に自宅で自分や肉親などの生体光情報を取得し、利用することは難しい。
このような用途には、簡易型の測定装置で、なおかつ、安定した信号計測が出来ることが重要である。
特許文献1〜6で提案されている装置は、この2つの要求を同時に十分に満たすものとはなっていない。
ここで、簡易型の生体光計測装置に要求される課題について、図を用いて説明する。
図14は、一対の光照射部(光源)と受光部(検出部)とを備えた生体光計測装置を示している。光源では光の出力の揺らぎ、検出部では、皮膚血流変化が、各々、測定時の雑音の要因となる。このような雑音の影響を低減するために、図15に示すように、第1の検出器に加えて、第2の検出器を設けたものが、例えば特許文献1で提案されている。光源からの距離の短い第2の検出器は脳の浅い部分、距離の長い第1の検出器は深い部分の信号を検出できる。これにより、深部と浅部との信号(情報成分)を分離し、大脳皮質、つまり深部のデータ(情報成分)のみを抽出することで、皮膚血流等による不要な情報を除去できる。
図15の構成では、検出器1で、「光源出力の揺らぎ」+「皮膚血流変化」+「脳信号」を検出し、検出器2で「光源出力の揺らぎ」+「皮膚血流変化」を検出し、検出器1と検出器2の検出値の差から、「脳信号」のみを抽出する。
しかしながら、例えば、生体光計測で計測するヘモグロビン変化量は数%のオーダーであるのに対し、皮膚血流変化等や体動等によって生じる光信号の変化量は50%以上に達し、このように大きな比率の雑音が本来計測すべき光信号に重畳されて計測される。換言すると、深部の「脳信号」のレベルは、「光源出力の揺らぎ」や浅部の「皮膚血流変化」に比べてその信号レベルがかなり小さい。また、雑音、すなわち、「光源出力の揺らぎ」や「皮膚血流変化」は被検者毎に、あるいは測定部位ごとに異なる。そのため、図15の構成のように、単に、検出器2を追加しただけでは、深部の「脳信号」のみを正確に抽出することは困難である。
本発明の目的は、簡単な装置構成で、「脳信号」のみを精度良く抽出することのできる生体光計測装置及び生体光計測方法を提供することにある。
本発明は、予め、被検者毎に、雑音成分の振幅を最適化する所定数を取得し、この所定数を第二検出信号に乗算し、当該乗算された第二検出信号と第一検出信号から脳活動変化を算出することを1つの特徴とする。すなわち、本発明の生体光計測装置は、光源と、該光源からの光を被検体に照射して当該被検体からの光を受光する検出器と、当該検出された信号を元に脳機能を計測する演算装置と、被験者にタスクを提示するタスク提示部とを有する生体光計測装置であって、前記光源及び前記検出器は、所定距離離れた位置に配置され第一の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器と、前記所定距離よりも短い位置に配置され第二の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器とを備え、前記被験者によって実行される正式なタスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一の検出経路から得られる第一検出信号と前記第二の検出経路から得られる第二検出信号を各々検出する信号計測機能と、前記被験者に対する予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、前記被験者に最適な計測位置において、前記予備のタスクを繰り返し行った時に、最も多い回数の有意差が認められたものを探索し、そのときの係数αを当該被験者に固有の最適な修正係数αとして算出し、記録する機能と、前記正式なタスクに応答した前記第一検出信号と前記第二検出信号及び前記最適な修正係数αから、振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動の変化の算出を行う機能とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、簡単な装置構成で、「脳信号」のみを精度良く抽出することのできる生体光計測装置及び生体光計測方法を提供することが出来る。
本発明の第一の実施例になる生体光計測装置の全体的なシステム構成を示す機能ブロック図である。 第一の実施例におけるプローブの構成例を示す機能ブロック図である。 第一の実施例におけるプローブの構成、及び被検者の頭部への装着状態を説明する縦断面図である。 本発明におけるプローブの構成例、及び第一検出信号、第二検出信号の定義を示す、正面図である。 第一の実施例になる生体光計測装置による生体光計測の処理動作を示す、フローチャートである。 第一の実施例における、プローブの装着状態を示す図である。 タスクに同期した脳活動変化の状態を説明する図である。 第一の実施例における、プローブによる第一検出信号と第二検出信号の波形の例を示す図である。 図3のステップ324における、最適な修正係数αの導出の手順の一例を示す図である。 図3のステップ324における、最適な修正係数αの探索結果の一例を示す図である。 被検者に最適な修正係数αの範囲を求めた結果を示す図である。 図3のステップ334における、最適な修正係数αを用いて深部の「脳信号」のみを正確に抽出する処理を示す図である。 第一の実施例において、被検者が既存のデータを使用して生体光計測を行う場合の処理動作を示す、フローチャートである。 本発明の第二の実施例として、予め各被検者に共通する最適な修正係数αの範囲を求めた結果を示す図である。 本発明の第二の実施例になる生体光計測装置による生体光計測の処理動作を示す、フローチャートである。 本発明の第三の実施例として、タスクに同期した脳活動変化の有意検定をする方式を説明する図である。 本発明の第五の実施例として、最適な修正係数αの決め方の他の例を示す図である。 本発明の第八の実施例として、安静時のSD1cmとSD3cmの信号の相関を示す図である。 本発明の第九の実施例になる生体光計測装置の全体的なシステム構成を示す機能ブロック図である。 一対の光照射部(光源)と受光部(検出部)とを備えた、生体光計測装置の測定原理を示す図である。 第1の検出器に加えて、第2の検出器を設けた、従来の生体光計測装置の例を示す図である。
以下、本発明の生体光計測装置を、所定の領域におけるヘモグロビン量変化を画像として表示する光トポグラフィ装置に適用した実施形態に基づき説明する。この光トポグラフィ装置は、被検体に脳活動を伴う運動・言語などの課題(以下、タスクという)を課した場合の脳内ヘモグロビン変化(酸素化ヘモグロビン濃度変化、脱酸素化ヘモグロビン濃度変化、全ヘモグロビン濃度変化)を計測し、計測位置毎の変化として表示する機能を有している。
図1〜図8により、本発明の第一の実施例を説明する。
まず、図1Aは、本発明が適用される光トポグラフィ装置の全体構成を示す図である。図1Bは、第一の実施例のプローブの構成例を示す機能ブロック図である。図2A、図2Bは、第一の実施例のプローブの構成、及び被検者の頭部への装着状態を説明する図である。
この装置は、制御装置100と、被検体300の頭部などに装着されるプローブ200と、カメラ付モニタ兼タスク呈示部400とを備えている。制御装置100は、プローブ200により被検体300に照射し、検出した光信号を処理して、ヘモグロビン変化量等の情報を数値やトポグラフィとしてカメラ付モニタ兼タスク呈示部400に表示する。プローブ200は、被検体300の頭部などに装着・固定するための紐や面ファスナーなどを備えている。
制御装置100は、プローブ200から送られるデジタル信号を一時的に記憶するメモリ(図示略)と、このメモリに格納されたコンピュータプログラムにより、このデジタル信号を用いてヘモグロビン濃度変化等の種々の演算、解析を行う演算処理部と、この演算処理部における演算結果を格納する記憶装置220と、演算結果、例えばヘモグロビン変化量を等高線状の線図や着色された画像としてカメラ付モニタ兼タスク呈示部400に表示するための画像、信号処理機能と、演算処理部に計測に必要な条件や被検体情報などの種々の情報をインプットするための上記カメラ付モニタ兼タスク呈示部400及びその他の入力装置(図示略)を備えている。
制御装置100の演算処理部は、コンピュータプログラムを用いて実現される機能として、例えば、被験者にタスクを提示するタスク提示機能(111)と、脳機能の正式な計測の前にキャリブレーションを行い被験者固有の最適な修正係数αを求める機能(112〜113)と、プローブ200で検出された信号を元に脳機能を計測する脳機能演算処理機能(114)とを備えている。
プローブ200は、の所定の領域に光を照射するとともに当該領域を透過した光を複数の検出位置毎に検出し、位置情報を含む生体情報を光信号として取り出す光照射・検出機能を備えている。すなわち、所定波長の光、具体的には近赤外光を発生する光照射部と、被検体300を透過した光を検出し、電気信号に変換する光検出部と、光照射部201、第1光検出部202、及び第2光検出部203と、これらの検出部からの電気信号を増幅しA/D変換するA/D変換器242を備えている。
カメラ付モニタ兼タスク呈示部400は、演算処理装置、メモリ、入出力装置、及び記憶装置を有するコンピュータ、および通信機能等を備えている。入出力装置はキーボード401やGUI機能を有するモニタ画面402、及びカメラ403を有し、これらにより被検者に対する指示やタスクの提示、被検者からの応答などの情報が入出力され、制御装置100との間で送受される。コンピュータは、画像処理機能も備えており、カメラ403で撮影された被検体300の画像のデータを処理して制御装置100に送ったり、制御装置100から送られてきた画像情報をモニタ画面に表示したりする機能も備えている。なお、制御装置100とカメラ付モニタ兼タスク呈示部400は、一体のものであってもよく、これらは、汎用のパーソナルコンピュータ等上で実現することが可能である。
制御装置100とプローブ200は、共に発振器と無線送受信部を備えており、信号が無線でやり取りされる。すなわち、制御装置100は、無線送受信部121、122と発振器123とを備えた無線送受信部120を具備し、プローブ200も無線送受信部221、222と発振器223とを備えた無線送受信部220を具備している。制御装置100及びプローブ200の各無線送受信部は、ミキサ、増幅器、送受信アンテナ124等を備えている。また、受信系回路部は、増幅器、ミキサ、送受信アンテナ224等を備えている。発振器より発生した高周波信号は、送信用のミキサと受信用のミキサのローカル信号として利用される。入力信号とミキシング処理され変調された高周波信号は送信用の増幅器を経由してアンテナより送出される。一方、受信信号はアンテナにより受信され、受信用の低雑音増幅器を経由して受信用のミキサに入力される。そしてローカル信号とミキシング処理され、復調された受信信号が得られる。プローブ200に送出される計測用の信号のタイミングと、対応するタスク呈示用信号のタイミング間の同期は、例えば発振器123の出力を用いて制御することができる。
このように、プローブ200では、制御装置100からの無線通信を受けて、光照射・検出部で、光駆動信号および受光信号を制御して計測を行い、光照射・検出部100で得られた生体光計測のデータをAD変換し、制御装置100に送信して、処理する。
プローブ200に配置される検出器には、図2Aに示したように、光源201から所定距離離れた位置に配置される第一検出器202と、この第一検出器よりも光源201の近傍に配置される第二検出器203とを少なくとも備えている。
プローブ200は、生体に光を照射する1つまたは複数の光照射部(LED)201と、照射光が生体で透過あるいは反射され、これを検出する1つまたは複数の光検出部(フォトトランジタ202、203)がある。計測対象として、501は脳の極浅い部分、例えば頭部の皮膚や骨などの部分を示し、502は脳の浅い部分、例えば脳脊髄液の部分を示し、503は脳の深い部分、例えば大脳皮質の部分を示している。
このように、プローブ200は、1組の光源201に対して距離の異なる少なくとも2組の検出器を備えている。プローブの光源201、第一検出器202、第二検出器203の構造については、たとえば、図2Bの(a)に示したように、各検出器、または光源の位置を自由に移動できる構造の場合としても良い。この場合、列状に配置された凹凸20nなどによって特定の単位、例えば5mm毎に、光源や検出器の位置を移動できるのが望ましい。このような可動式の光源や検出器の位置決めには、ねじやマグネットなどを用いればよい。
また、検出と照射は逆の関係に構成しても、同様の効果が得られる。たとえば、図2Bの(b)に示したように、2組の位置可変な光照射部201、205と、位置が固定されたあるいは可変の1つの光検出部202の組み合わせでもよい。
なお、図2Bの(a)、(b)のいずれの場合でも、光照射部と光検出部間の距離の長い、換言すると脳の深部を測定する第1の検出経路260の信号(情報成分)と、距離の短い、換言すると脳の浅い部分を測定する第2の検出経路270の信号(情報成分)を分離するものであり、いずれの方式にも本発明は適用可能である。
プローブ200の光照射部で照射される光駆動信号は、制御装置100内の無線送受信部の変調器において、ある特定の周波数、またはある種の符号に基くデジタルの振幅変調信号として発生され、プローブ200に送信される。プローブ200において光駆動信号はアナログの振幅変調信号に変換され、1つの光源駆動回路230に伝えられる。光源駆動回路230では、アナログの振幅変調信号を光駆動信号に変換し、任意の数(本実施例では図1Bのように2組)の光照射部201(LED)a,201bへ、マルチプレクサ232によって各々タイミングをずらして伝える。光照射では、2組の強度変調された光駆動信号に基づき光を発生させ、生体300に順次照射する。光検出部(フォトトランジタ)202a,202b,203a,203bでは、生体を透過または反射した強度変調光がアナログの振幅変調信号として出力される。このアナログの振幅変調信号は、各光検出部に対応したA/D変換器242においてデジタルの振幅変調信号に変換される。このデジタルの振幅変調信号は、パラレル/シリアル変換器244によって1つにまとめられ、無線送受信部220を経て制御装置100へのデジタル信号として送られる。このようにして、プローブ200と制御装置100との間の光源駆動側および光検出側の信号のやり取りを無線により行うことができる。無線通信の代わりに、通信ケーブルを介して通信を行っても良い。
なお、本実施例では、説明を簡単にするために、以下、図2Bの(a)に示したような、1つの光照射部と2組の光検出部の組み合わせにより、第1の検出経路260の信号(情報成分)と、距離の短い、換言すると脳の浅い部分を測定する第2の検出経路270の信号(情報成分)を分離する例について説明する。
制御装置100の脳機能演算処理機能(114)は、被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動変化を第1の検出経路260の信号(情報成分)から得られる第一検出信号と第2の検出経路270から得られる第二検出信号との差分から当該脳活動変化の算出を行う。制御装置100は、プローブ200を装着した被験者に対する予備のタスク提示により、第一検出信号、第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、この被験者に固有の最適な修正係数αを算出し、この被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動変化を第一検出信号及び第二検出器として算出し、該第一検出信号もしくは第二検出器信号に前記最適な修正係数αを乗算し、該修正係数αが乗算され振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動変化の算出を行う。
次に、本実施例の光トポグラフィ装置の動作及び信号処理部が行う処理の概要について説明する。
被検体300の頭部(例えば、前頭部)にプローブ200を装着した状態で、制御装置100は、被検体300に間歇的なタスクを課すとともに、プローブ200の光照射部より光を照射し、その光が被検体300を透過した光を光検出部で検出する。この透過光は、生体中の特定色素、例えばヘモグロビンによって一部吸収され、ヘモグロビン濃度を反映した光量となる。そしてタスクを課した状態と、タスクを課していない状態とでは、脳内血流に変化を生じることに対応してヘモグロビン量が変動する。
このようなヘモグロビン量の変動に対応する光量の変動は、各検出位置毎に、光検出部において電気信号に変換され、各計測位置の信号として信号処理部に入力される。信号処理部に入力された信号は制御装置100の記憶装置120に格納された後、演算処理部においてヘモグロビン濃度に対応する信号(ヘモグロビン信号)に変換される。
このヘモグロビン濃度やヘモグロビン量の変化量については、たとえば特許文献6の式(1)〜(3)を用いて演算により求めることができる。
次に、生体光計測装置の全体的な処理を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、初期設定を行う(S300)。ここでは、被検者が初めて生体光計測装置を使用する、あるいは、前回の用途とは異なる用途で被検者が初めて生体光計測装置を使用する場合を想定する。初期設定に際しては、モニタ400に初期設定画面を表示し、被検者に計測目的や測定したい部位を入力、もしくは選択させる。被検者の計測目的の例としては、例えば、被検者自身の生体光の計測、医療現場での簡易計測、ゲームなどがある。
<被検者の測定位置の決定処理>
次に、モニタ400の画面や音声出力により、被検者が計測目的に応じた位置にプローブを装着するように装置は指示する(S302)。さらに、モニタ400により、被検者に対して、光源・検出間の距離(SD距離)の組み合わせ、または、プローブ装着部位の条件を変えた計測を複数回行うよう指示を出し(S304)、そめ計測の状態をカメラ403で記録させる(S306)。
図4Aは、被験者の前額部の測定を行う場合の、プローブ装着部位を200a〜200dと変えた状態の例を示している。
プローブ装着部位の特定には、たとえば、国際10−20法を用いる。すなわち、被検者の鼻根、耳介、後頭結節(頭の後ろの突出部)を基準点として、それらの間の距離を10%、20%、20%、というように分割し、さらなる基準点を設定していく方法である。まず、この10−20システム基準点の標準脳座標値を参照し、被検者の頭部画像19箇所の基準点に対応する標準座標値を求め、次に、カメラ403で撮像されたプローブ装着部位について、画像処理を行い、対応する座標値を取得し、記憶装置に保持する。
そして、被検者がプローブを装着し、タスクの課されていない状態で、プローブの装着状態を評価し、良好な状態であるか判断を下す。
(A)検出光量が妥当な範囲にあるか、判定する手法はいくつかある。たとえば、次のようなものが挙げられる。
(A1)光源と検出器の距離に応じて、検出光量がどの程度の値であるかについては、研究され、既に公開されたデータもある。このような公開された検出光量のデータを利用して、装着状態の良否を判定する。
(A2)また、2つの照射検出距離での検出光量の比についても、従来研究され既に公開されたデータと比べることで、妥当であるか判断できる。
(A3)第1と第2の検出器のほぼ中間点に補正用の検出器を設置し、これら3点からの信号が規定の関係に納まっているかを調べ、結果を表示するようにしてもよい。
(B)被検者の脈波が妥当な範囲で観測されるか。
これは、たとえば、1Hz付近にピークが見られるかどうかで、判断できる。すなわち、一般に、被検者の通常の状態における脈波は1Hz程度、呼吸は0.3Hz程度、脳活動の信号はタスクに同期し、大凡0.1Hz〜0.02Hz程度のオーダーにあるので、1Hz付近にピークが見られたら、被検者の脈波を検知できる程度にプローブの装着状態が良好であると判定できる。
(C)深呼吸タスクに対して、深呼吸に同期した信号変化が見られるか。
すなわち、被検者に深呼吸を指示し、例えば0.3Hz付近の信号変化が見られたらプローブの装着状態が良好であると判定できる。
判定の信頼度を高めるために、上記(A)〜(C)の少なくとも1つあるいは複数が良好な状態であると判定されたら、プローブの装着状態は良好であると判定するのが望ましい。
次に、被検者に対する測定位置の決定を行う。
この場合、被検者のプローブの装着状態が良好となったら、次に、複数準備された予備タスクから、本タスクに最も適したもの、すなわち、被検者の計測目的に対応した予備タスクを被検者に呈示する(S308)。この予備タスクに対して、光トポグラフィによる計測を行い(S310)、プローブの装着位置を変更した計測を所定回数繰り返す(S312〜S314)。そして、同期した検出信号の変化が見られるかを評価指標とし、最適な計測位置を決定する。
図4Bに、予備タスクと検出信号の例関係の一例を示す。予備タスクは、被検者に課題を呈示するタスク期間とREST区間(無負荷あるいは軽負荷)の両区間が周期的あるいは不定期に繰り返すように構成されている(後で述べる正規タスクも同じ)。この例では、タスク期間にほぼ同期した信号変化が見られる。このような信号変化の同期の高い状態が得られたら、最適な計測位置として決定し、結果をモニタに表示する(S316)。
・すなわち、被検者の測定位置の決定に関する処理プロセスの例を示すと、
・(1)プローブ装着条件、または係数αを決定するための予備タスクを行った時の脳活動の検出結果を評価指標とし、
・(2)計測部位やSD距離を変えて複数回行う。
・(3)評価指標が最も良好であった計測部位やSD距離の条件を提示する。
・(4)あるいは、上記例に加えて、各条件で得られる評価指標をスプライン補完し、最適値を推定してもよい。
(5)そして、最適な計測条件のときのプローブの装着状態の情報を記録し、モニタ400に表示する。
(6)なお、プローブが3つ以上のSD距離を同時に計測可能となっている場合には、最適な2つのSD距離の組み合わせを自動的に探索し、導出する。
(7)具体的な、処理プロセスの他の例として、すべての可能な組み合わせについて装着状態を判断し、最も良好な組み合わせを自動的に選択するようにしても良い。<キャリブレーションによる被験者固有の最適な検出位置、修正係数αの算出>
被検者の測定位置が決まったら、装置は次に、被験者固有の修正係数αの算出などの処理を行う。
図4Cに、光照射・検出部100で得られる第一検出信号と第二検出信号の例を示す。第一検出信号と第二検出信号のレベルには差が有るので、そのままでは精度の高い「脳信号」の情報を得ることが出来ない。そこで、第一検出信号と第二検出信号から、「脳信号」のみを抽出するための、最適な修正係数αを算出する。この処理は、図3のS318〜S326によって実行される。
なお、本発明で用いる修正係数αは、「2つの検出信号1、2に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数」を意味する。修正係数αは、次のα1〜α6のような使用例が想定される。
(信号S)=(検出1)−係数α1・(検出2) (1)
(信号S)=係数α2・ (検出1)−(検出2) (2)
(信号S)=係数α3・ (検出1)−係数α4・(検出2) (3)又は
(信号S)=係数α5・ (検出1±C1)−係数α6・(検出2±C2) (4)
ただし、C1、C2は定数。
上記(1)〜(3)におけるα1〜α4は、実質的に同じ値のものを異なる形式で表現したものである。上記(4)におけるα5〜α6は、上記(1)〜(3)におけるα1〜α4とは若干、値が異なってくる。本発明で用いる修正係数αは、これらを総称したものである。
図3のステップ318では、前の処理で得られた、「被検者の最適なプローブ装着位置」をモニタに表示し、被検者に装着を指示する。そして、修正係数α測定用の簡易タスクをモニタに表示し、被検者にその簡易タスクを実行させ(S320)、タスク呈示に並行して光トポグラフィによる計測を行う(S322)。次に、この計測結果を用いて、被検者の最適な修正係数αの導出を行う(S324〜S328)。
図4Cでも述べたように、最適な修正係数αの導出は、「振幅の最適化の探索」によって実現される。すなわち、
(信号S)=(検出1)−係数α・(検出2)
(信号S)からタスクに同期した脳活動変化の有無を検討する。係数αは0〜10まで0.1ステップで変えて、網羅的に探索する。
図5に、図3のS324における、最適な修正係数αの導出の手順の詳細例を示す。ここでは、上記係数α1を求める例について説明する。α(α1)を、0から2以上の予め設定した適当な値まで、当ピッチで変更しながら、S502〜S508を繰り返す。ここで、S1は計測点1又は2からの信号、S2はS1以外の信号、dは補正後の信号とする。
まず、d=S2−α*S1を求める(S502)。ここでは、dの絶対値を求めるようにしても良い。次に、簡易タスク期間の値と、簡易タスク前の値との差を統計検定する(S504)。例えば、記憶して置いた簡易タスク開始後の10個の信号と、簡易タスク開始前の10個の信号に対し、t検定などの統計検定により、両者に有意な差があるかどうかを判別する。そして、統計検定の結果とαの値を記憶装置に記録する(S506)。統計検定の結果、例えば、有意差の有無を0、1としてまたは、統計値であるp値や有意差の検定結果などを記録する。
図6Aは、図3のステップ324における、最適な修正係数α(α1)の探索結果の一例を示す図である。この例では、α1が2〜3の付近にあるときに、脳活動が正しく検出できた割合が特に高くなっている。
最後に、最良の統計検定の結果を与える時のαを選出する(S508)。すなわち、繰り返し演算により得られた結果列から、最良のもの、例えば、図6Aに示したような、タスクを繰り返し行った時に、最も多い回数の有意差が認められたものなどを探索し、そのときの係数αを選出する。
なお、図6Aは、プローブ装着部位が、被験者の最適な1つの部位にある場合の例を示している。被験者上のプローブ装着部位を上下又は左右に変えて、複数の部位の計測結果から最適な計測位置を求めてもよい。
図6Bは、被検者上の場所、すなわちプローブ装着部位を変えた場合の、最適な修正係数α1の探索結果の例を示している。光源・検出間の距離は固定、すなわち、光源と第一検出器との距離SDshortが8mm、距離光源と第二検出器とのSDlongが32mmである。この例では、被験者の額の上部に相当する位置で、修正係数α1=2とその近傍で、有意水準5%の領域が得られている。
発明者等の研究によれば、数分オーダーの短い時間で、上記最適プローブ装着部位および最適な修正係数α1を得ることができる。
なお、S1やS2の計測結果は、被験者上のプローブ装着部位が頭部のどの領域にあるか、毛根が有るか無いかなど、計測条件にも大きく影響されるので、計測目的に応じて、予め計測条件があまり変動しない領域を選定し、その領域内で複数の部位の計測結果を得るようにするのが望ましい。
また、発明者等の研究によれば、被検者や測定部位によっては、計測を繰り返しても計測結果に有意差が認められない場合も稀にある(S326でNO)。このような場合には、被検者の状況や計測目的に応じた代替演算法を採用して測定を行い、それでも適切な結果が得られない場合はエラーメッセージを出してαの導出処理を終了させる(S328)。
<修正係数αを用いた脳活動状態量の計測>
次に、計測、演算処理により得られた被検者の修正係数αを用いで、その被検者の脳活動状態量の計測を行う。
まず、装置が計測目的に応じて選択された正式タスクをモニタに表示し(S330)、被検者にその正式タスクを実行させ(S320)、正式タスク呈示に並行して光トポグラフィによる計測を行う(S332)。そして、上記修正係数αを用いた脳活動状態量の計測・演算処理を行い、結果を記録する(S334)。
図7に、図3のステップ334における、最適な修正係数α1を用いて深部の「脳信号」のみを正確に抽出する処理の例を示す。ここでは、式(1)の、
(信号S)=(検出1)−係数α1×(検出2)
の関係により、「脳信号」を抽出する処理の例を示している。
先にも述べたように、(検出2)で得られる深部の「脳信号」のレベルは、「光源出力の揺らぎ」や浅部の「皮膚血流変化」に比べてその信号レベルがかなり小さい。また、雑音、すなわち、「光源出力の揺らぎ」や「皮膚血流変化」は被検者毎に、あるいは測定部位ごとに異なる。本発明によれば、被検者毎に、さらには計測目的ごとに最適な修正係数α1を算出することで、(検出2)で得られる深部の「脳信号」を含む信号のレベルと、(検出1)で検出される比較的浅い「脳信号」などを含む信号とを、最適な検出状態において信号レベルを適切に合わせることが出来、深部の「脳信号」のみをかなり正確に抽出することが可能になる。
なお、被検者やその測定部位によっては、計測を繰り返しても計測結果に有意差が認められない場合も稀にある(S338でNO)。このような場合には、被検者の状況や計測目的に応じた他の正式タスクを採用して測定を行い、それでも適切な結果が得られない場合はエラーメッセージを出して脳活動状態量の計測・演算処理を終了させる(S340)。
このようにして、簡単な装置構成で、「脳信号」のみを精度良く抽出するが出来る。
なお、上記実施例に代えて、SD距離を可変にしておいて、個人ごとに最適なSD距離の組み合わせを予め求めてから正式タスクを呈示する装置としても良い。あるいは異なるSD距離の組み合わせで多点計測し、それらの中の最適なSD距離の組み合わせを決定し、正式タスクを呈示するようにしてもよい。
<既知の最適な位置、修正係数αを用いる場合>
第一の実施例において、被検者が以前に行った測定の結果得られた既知のデータを使用して同じ目的、用途で生体光計測装置を使用する場合、すなわち測定位置やタスク(簡易タスク及び正式タスク)が同じであれば、前記したキャリブレーションの一部を省略できる。換言すると、前回の既知の「最適なプローブ位置」及び「修正係数α」のデータを利用することができ、キャリブレーションによる被験者固有の最適な検出位置や、修正係数αの算出の処理は不要となる。
このように、被検者が既知の自己の測定に関するデータを使用して生体光計測を行う場合の処理動作を、図8に示す。
まず、装置はモニタ400に初期設定画面を表示し、被検者に計測目的や測定したい部位を入力、もしくは選択させる(S300)。その結果に基き、装置は被検者の既存のデータを記憶装置から取得し(S301)、プローブの装着部位などをモニタに表示する(S303)。計測目的が同じ場合、プローブの装着部位、SD距離は以前のものと同じの条件とするのが良い。ただし、前回の測定データに基くプローブの装着状態に関しては、計測のたびにカメラ403で撮影しチェックする必要がある(S304〜S313、S315)。その後のキャリブレーション処理(図3のS308〜S316)は不要である。なお、測定目的が異なる場合は、タスクも異なる場合が多いので、上記キャリブレーション処理(図3のS308〜S316)は省略できない。その後の、「脳信号」のみを抽出するための、最適な修正係数αの算出処理やこの修正係数αを用いた脳活動状態量の計測の処理は、図3の場合と同じである。
本実施例によれば、被検者が最初に計測を行う場合、及び、以前に行った測定の結果得られた計測結果を利用して計測を行う場合のいずれであっても、簡単な装置構成で、「脳信号」のみを精度良く抽出することができる。
発明者等の研究によれば、被検者のプローブ装着部位を変えた場合の最適な修正係数αの探索結果は、個々人で多少の差があるものの、測定部位が同じであれば、どの被検者でもほぼ同じような結果が得られている。本発明の第二の実施例は、このような予め多数の計測によって得られた各被検者に共通する汎用的な最適修正係数αのデータをデータベース化しておきこのデータを用いて、計測をより簡易、迅速に行えるようにしたものである。
図9Aは、本発明の第二の実施例として、予め各被検者に共通する汎用的な最適修正係数αの範囲を求めた結果の例を示す図である。すなわち、測定目的を同じくする被験者における頭の特定の位置で、光源と第一検出器との距離SDshortは8mmに固定し、光源と第二検出器とのSDlongの距離を、16mmから48mmまで変えた場合の、多数の被検者の測定データを処理した一例を示している。この例では、光源と第二検出器とのSDlongの距離が16mmから32mmの領域において、修正係数α1の1.7〜2.4付近で、有意水準5%の領域が得られている。従って、予め測定目的ごとに多数の被検者のデータを取得して有意水準5%の領域を抽出し、それをデータベース化しておき、測定目的が同じ場合、有意水準5%の領域に相当する被験者の位置、及び光源と第一、第二検出器との距離を設定し、脳活動状態量の計測を行うようにすれば良い。
図9Bは、第二の実施例になる生体光計測装置による生体光計測の処理動作を示す、フローチャートである。
まず、装置はモニタ400に初期設定画面を表示し、被検者に計測目的や測定したい部位を入力、もしくは選択させる(S300)。その結果に基き、装置は距離や修正係数αに関して既存の汎用データを記憶装置から取得し(S305)、プローブの装着部位などをモニタに表示する(S307)。プローブの装着状態に関しては、計測のたびにカメラ403で撮影しチェックする必要がある(S304〜S314)。その後のキャリブレーション処理(図3のS308〜S316)は不要である。ただし、被検者に対する「汎用の修正係数αを採用できるか」の確認が必要であり、簡易タスクを呈示し(S319)、この簡易タスクに対して、光トポグラフィによる計測を行い(S321)、測定結果に基いて汎用の修正係数αを採用できるかの確認を行う(S323、S325)。その後の、「脳信号」のみを抽出するための、最適な修正係数αの算出処理や修正係数αを用いた脳活動状態量の計測の処理は、図3の場合と同じである。なお、被検者やその測定部位によっては、汎用のデータでは計測結果に有意差が認められない場合もある(S338でNO)。このような場合には、被検者の状況や計測目的に応じた他の正式タスクを採用して測定を行い、それでも適切な結果が得られない場合はエラーメッセージを出して脳活動状態量の計測・演算処理を終了させる(S340)。
本実施例によれば、汎用のデータを使用することで、簡単な装置構成で、迅速に「脳信号」のみを比較的精度良く抽出することができる。
次に、本発明の第三の実施例として、タスクに同期した脳活動変化の有意検定をする方式を説明する。発明者等の研究によれば、脳活動に関し、タスク中の信号とタスク前のRest信号の変化には、相関性が認められる。そこで、タスク中の信号とタスク前の信号の変化を脳活動として検出してもよい。一例として、前記実施例と同じプローブによる(検出1)、(検出2)で得られた、タスク中の信号とタスク前のRest状態の信号には、図10に示したような相関が見られる。
タスク VS タスク直前のRest (5)
すなわち、前に述べた最適係数αを求めるのではなく、式(5)により、タスク中の信号とタスク前の信号の変化(比)自体を脳活動として検出する。測定の目的によっては、このように計測を行い、モニタ400に結果を表示するようにしてもよい。
あるいはまた、前記した実施例の図3や図8S326、あるいは図9BのS325で、NOとなった被検者や測定部位に対しては、S328で、タスク中の信号とタスク前の信号の変化(比)自体を脳活動として表示する方式に切り替えてもよい。
発明者等の研究によれば、以上述べた計測による最適な修正係数αの求め方以外にも、比較的有効な最適な修正係数αの決め方がある。
たとえば、
(a)得られた時系列信号に対し、バンドパスフィルタで脈、呼吸、脳活動の帯域の各信号を抽出してから、最適係数を導出する。前記したように、被検者の通常の状態における脈波は1Hz程度、呼吸は0.3Hz程度、タスクに同期した脳活動の信号は0.1Hz〜0.02Hz程度のオーダーにある。そこで、上記周波数帯域の異なる3種類のバンドパスフィルタを用いて、前記各実施例で得られた(検出1)、(検出2)の時系列信号を周波数帯域ごとに分離し、脳活動の信号の帯域に相当する信号のみを利用して、修正係数αを求めるようにするようにしてもよい。
(b)拡散方程式でモデルシュミレーションにより求めた最適な係数αを用いる。
すなわち、被検者として年齢、性別などに応じた標準的なモデルを設定し、モデルシュミレーションにより測定部位にごとの最適な係数αを求めてデータベースを作成し、被検者の測定目的に応じた最適のモデルのデータを取得し、第二の実施例の、S305の予め各被検者に共通する汎用的な最適修正係数αの代わりに用いて、脳活動の情報を得るようにしてもよい。
図11は、本発明の第五の実施例として、最適な修正係数αの決め方の他の例を示す図である。
独立成分解析で各成分のSDに応じた係数の傾きから、雑音成分を選別する。深いところ(脳)の成分はSD距離依存性が強いと考えられるので、図11の独立成分Cのように傾きが大きければ脳活動信号、図11の独立成分A,Bのように小さければ雑音信号(皮膚などが関与)と考えられる。
そこで、上記独立成分Cのように傾きが大きい信号を用いて、前記各実施例で得られた(検出1)、(検出2)の時系列信号を周波数帯域ごとに分離し、脳活動の信号の帯域に相当する信号のみを利用して、修正係数αを求めるようにするようにしてもよい。
なお、発明者等の研究によれば、上記した本発明の2つの検出を持つ計測装置による測定法では、最適な修正係数αを得ることの出来ない被検者も存在する。このような、最適な係数αが存在しない被検者の場合、短いSDの検出器を用いないようにしてもよい。
このような被検者に対しては、たとえば、差分演算を行なわず、換言すると脳の深部を測定する第1の検出経路260の信号(情報成分)のみを用いるほうが正しく脳活動を検出できる場合があると考えられる。
例えば、側頭部では毛根があり、皮膚血流の影響は、額部と比べて、少ない可能性がある。このような計測条件のときは、差分演算を行わないほうが正しく脳活動を検出できる場合があると考えられる。そこで、前記した図3や図8のS326、あるいは図9BのS325で、NOとなった被検者や測定部位に対しては、S328で、脳の深部を測定する第1の検出経路260の信号(情報成分)のみを利用して計測を行って、適切なデータが得られないか試行することが考えられる。
上記したように、本発明の前記各実施例によれば、簡単な装置構成で、「脳信号」のみを精度良く抽出することができる。この「脳信号」の「絶対値」を脳活動変化の様子として直接モニタに表示してもよい。
たとえば、前記式(1)の、(信号S)=(検出1)−係数α1×(検出2)
の関係により、「脳信号」を抽出する処理し、この「脳信号」の「絶対値」を直接モニタに表示する。雑音の影響は低減しているので、たとえばこの「脳信号」から得られる「信号の減少」は、脳活勤の低下に関係しているとみなしてもよい。
発明者の研究によれば、安静時には、脳血流と頭皮血流に比較的高い相関があるデータが得られている。そこで、SD=1cmとSD=3cmとの「相関係数」を脳活動として表示する。
図12は、本発明の第八の実施例として、前記実施例と同じプローブによる(検出1)、(検出2)で得られた、安静時のSD=1cmとSD=3cmの信号の相関を示す図である。この例では、被検者に対して、安静状態を指示し、この状態で得られたデータを処理して、脳活動として表示する。
本発明は、SD距離が1種類に固定されているようなタイプや、広く一般に用いられている大型の光トポグラフィ装置に適用してもよい。図13は、本発明の第九の実施例になる生体光計測装置の全体的なシステム構成を示す機能ブロック図である。
光照射・検出部1100と、プローブ200と、ヘモグロビン変化量等の情報を数値やトポグラフィとして表示するための制御装置1300と、カメラ付モニタ兼タスク呈示部400を備えている。プローブ200は、光ファイバ210の先端を所定の配列で支持し、被検体300に接触させる機能を有する。光照射・検出部1100の光検出器1202、1203には、例えばフォトダイオードを用いる。
光照射・検出部1100は、所定波長の光、具体的には近赤外光を発生する光照射部1101と、被検体200を透過した光を検出し、電気信号に変換する光検出部1102と、光照射部1201、第1光検出部1202、及び第2光検出部1203に連結された光ファイバ210と、光検出部1202、1203からの電気信号をロックイン検出するロックインアンプ1103と、ロックインアンプ1103の出力を増幅しA/D変換器するA/D変換器1104とを備えている。A/D変換器1104は、各チャンネルからの信号レベルをそろえるために設けられる。光照射部1102は、光ファイバの数に対応して、複数の周波数で変調された光を発生する。またロックインアンプ1106は、これら複数の変調周波数を参照周波数として、照射位置および波長に対応した変調信号を選択的に検出する。これによって各計測位置(照射光ファイバ先端と検出光ファイバ先端との間の位置)毎の光信号を検出することができる。
制御装置1300は、光照射・検出部1100から送られるデジタル信号を一時的に記憶するメモリと、このデジタル信号を用いてヘモグロビン濃度変化等の種々の演算、解析を行う演算処理部1310と、この演算処理部における演算結果を格納する記憶装置1320と、演算結果、例えばヘモグロビン変化量を等高線状の線図や着色された画像としてモニタ400に表示するための画像、信号処理機能と、演算処理部に計測に必要な条件や被検体情報などの種々の情報をインプットするためのモニタ400を含む入力装置(図示略)とを備えている。
制御装置1300は、第一の実施例と同様に、コンピュータプログラムを用いて実現される機能として、被験者固有の最適な修正係数αを求める機能(1312〜1313)と、光照射・検出部100で検出された信号を元に脳機能を計測する脳機能演算処理機能(1314)と、演算結果、例えばヘモグロビン変化量を等高線状の線図や着色された画像としてモニタ400に表示するための画像、信号処理部1315と、記憶装置1320とを備えている。
プローブ200の基本的な機能は第一の実施例のものと同じである。
制御装置1300の脳機能演算処理機能(1314)は、被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動変化を第一検出器から得られる第一検出信号と第二検出器から得られる第二検出信号との差分から当該脳活動変化の算出を行う。制御装置1300は、プローブ200を装着した被験者に対する予備のタスク提示により、第一検出信号、第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、この被験者に固有の最適な修正係数αを算出し、この被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動変化を第一検出信号と第二検出信号として算出し、該第一検出信号もしくは第二検出器信号に前記最適な修正係数αを乗算し、該修正係数αが乗算され振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動変化の算出を行う。
制御装置1300は、モニタ400や光トポグラフィ装置の光照射・検出部1100と一体のものであってもよく、これらは、汎用のパーソナルコンピュータ等上で実現することが可能である。次に、本実施例の光トポグラフィ装置では、ヘモグロビン量の変動に対応する光量の変動は、各検出位置毎に、光検出部1102において電気信号に変換され、ロックインアンプ1103でロックイン検出されることにより、各計測位置の信号として信号処理部104に入力される。信号処理部1104に入力された信号は制御装置1300の記憶装置1320に格納された後、演算処理部1310においてヘモグロビン濃度に対応する信号(ヘモグロビン信号)に変換される。その他の動作及び信号処理部が行う処理は、基本的には、第一の実施例と同じである。
本実施例では、皮膚血流の影響を確認してから、光トポグラフィで計測することにより、脳活動の計測により得られる結果について皮膚血流の影響を考慮して考察することができる。
以上、本発明の生体光計測装置の一実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、ヘモグロビン値は、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、ヘモグロビン総量のいずれでもよい。さらに生体光計測によって計測可能な物質であれば、ヘモグロビン以外の物質、例えばチトクロームa、a3やミオグロビン等についても同様に適用することができる。
100…制御装置、120…無線送受信部、200…プローブ、201…光照射部、202…第1光検出部、203…第2光検出部、220…記憶装置、242…A/D変換器、300…被検体、400…カメラ付モニタ兼タスク呈示部、401…キーボード、402…モニタ画面、403…カメラ。

Claims (19)

  1. 光源と、該光源からの光を被検体に照射して当該被検体からの光を受光する検出器と、当該検出された信号を元に脳機能を計測する演算装置と、被験者にタスクを提示するタスク提示部とを有する生体光計測装置であって、
    前記光源及び前記検出器は、所定距離離れた位置に配置され第一の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器と、前記所定距離よりも短い位置に配置され第二の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器とを備え、
    前記被験者によって実行される正式なタスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一の検出経路から得られる第一検出信号と前記第二の検出経路から得られる第二検出信号を各々検出する信号計測機能と、
    前記被験者に対する予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、前記被験者に最適な計測位置において、前記予備のタスクを繰り返し行った時に、最も多い回数の有意差が認められたものを探索し、そのときの係数αを当該被験者に固有の最適な修正係数αとして算出し、記録する機能と、
    前記正式なタスクに応答した前記第一検出信号と前記第二検出信号及び前記最適な修正係数αから、振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動の変化の算出を行う機能とを備えている
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記複数の検出器は、前記光源から所定距離離れた位置に配置される第一検出器と、当該第一検出器よりも前記光源近傍に配置される第二検出器とを少なくとも備え、
    前記演算装置は、前記検出器を装着した前記被験者に対する予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、当該被験者に固有の前記最適な修正係数αを算出し、
    前記被験者によって実行される正式タスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一検出器から得られる第一検出信号と前記第二検出器から得られる第二検出信号を検出し、該正式タスク応答の前記第一検出信号と前記第二検出信号に対して前記修正係数αが乗算され振幅の最適化された前記差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動変化の算出を行う
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  3. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    該プローブ上における前記各検出器、または前記光源の位置を移動することにより、前記第一の検出経路若しくは前記第二の検出経路の距離を変更可能である
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  4. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    該プローブ上における前記各検出器、または前記光源の位置を移動することにより、前記第一の検出経路若しくは前記第二の検出経路の距離を変更可能である
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  5. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記被検者に対して、光源・検出間の距離(SD距離)の組み合わせ、または、プローブ装着部位の条件を変えた計測を複数回行う機能と、
    該計測の状態をカメラで記録し、プローブ装着部位を国際10−20法で特定する機能を有する
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  6. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記プローブの装着状態が良好となってから、複数準備された前記予備タスクから、前記被検者の計測目的に対応した予備タスクを被検者に提示し、これに対して、同期した信号変化が見られるかを評価指標とし、前記被験者に最適な計測位置を決定する
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  7. 請求項において、
    前記第一検出信号を検出1、前記第二検出信号を検出2としたとき、
    (信号S)=(検出1)−修正係数α・(検出2)
    の関係から前記脳活動の信号Sを求める
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  8. 請求項1において、
    制御装置と、前記被検体の頭部などに装着されるプローブと、カメラ付モニタ兼タスク呈示部とを備えており、
    前記制御装置は、前記プローブにより前記被検体に照射し、検出した光信号を処理して、ヘモグロビン変化量等の情報を数値やトポグラフィとして、前記カメラ付モニタ兼タスク呈示部に表示する
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  9. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記プローブの装着状態が良好となってから、複数準備された予備タスクから、被検者の計測目的に対応した前記予備タスクを前記被検者に提示し、
    前記光源と前記検出器の距離に応じて、検出光量がどの程度の値であるかについて、予め得られた検出光量のデータを利用して、プローブ装着状態の良否を判定する
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  10. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記プローブの装着状態が良好となってから、複数準備された予備タスクから、被検者の計測目的に対応した予備タスクを被検者に提示し、
    前記被検者の脈波が妥当な範囲で観測されるか否かに基づいて、前記プローブ装着状態の良否を判定す
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  11. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記プローブの装着状態が良好となってから、検出された時系列信号に対し、バンドパスフィルタで脈、呼吸、脳活動に対応する帯域の各信号を周波数帯域ごとに分離し、前記脳活動の信号の帯域に相当する信号のみを利用して、前記修正係数αを求める
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  12. 請求項1において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記複数の検出器は、前記光源から所定距離離れた位置に配置される第一検出器と、当該第一検出器よりも前記光源近傍に配置される第二検出器と、前記第1と前記第2の検出器のほぼ中間点に位置する補正用の第3の検出器を備え、
    前記3点からの検出信号があらかじめ設定された規定の関係にあるとき、前記プローブの装着状態が良好な状態にあると判定し、
    予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、当該被験者に固有の最適な修正係数αを算出し、
    該修正係数αが乗算され振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、該差分の信号に基づき脳活動変化の算出を行う
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  13. 光源と、該光源からの光を被検体に照射して当該被検体からの光を受光する検出器と、当該検出された信号を元に脳機能を計測する演算装置と、被験者にタスクを提示するタスク提示部とを有する生体光計測装置であって、
    前記光源及び前記検出器は、所定距離離れた位置に配置され第一の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器と、前記所定距離よりも短い位置に配置され第二の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器とを備え、
    前記演算装置は、複数の被験者に対しするタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、当該複数の被験者に共通する汎用の最適な修正係数αのデータを有しており、
    前記汎用の最適な修正係数αのデータは、予め、複数の被験者に対する予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、前記各被験者に対し、測定目的毎に同じ測定部位において前記予備のタスクを繰り返し行った時に、最も多い回数の有意差が認められたものを探索し、そのときの係数αを汎用の最適な修正係数αとして算出し、記録してデータベース化したものであり、
    前記被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一の検出経路から得られる第一検出信号と前記第二の検出経路から得られる第二検出信号を各々検出し、
    前記汎用の最適な修正係数α及び前記第一検出信号、前記第二検出信号から、振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、
    該差分の信号に基づき脳活動の変化の算出を行う
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  14. 請求項13において、
    前記複数の検出器は、前記光源から所定距離離れた位置に配置される第一検出器と、当該第一検出器よりも前記光源近傍に配置される第二検出器とを少なくとも備え、
    前記演算装置は、複数の被験者に対しする前記タスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、当該複数の被験者に共通する汎用の最適な修正係数αのデータを記憶装置に保持しており、
    前記被験者によって実行されるタスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一検出器から得られる第一検出信号と前記第二検出器から得られる第二検出信号に基づき当該脳活動変化の算出を行い、
    前記被験者によって実行される前記タスク応答と同期した前記第一検出器から得られる第一検出信号と前記第二検出器から得られる第二検出信号の検出を行い、
    該修正係数αが乗算され振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、
    該差分の信号に基づき脳活動変化の算出を行う
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  15. 請求項13において、
    前記演算装置は、前記修正係数として、当該複数の被験者に共通する有意水準5%の領域のデータを前記汎用の最適な修正係数αのデータとして記憶装置に保持しており、
    前記第一検出信号を検出1、前記第二検出信号を検出2としたとき、
    (信号S)=(検出1)−修正係数α・(検出2)
    の関係から前記脳活動の信号Sを求める
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  16. 請求項15において、
    有意水準5%の領域のデータは、
    前記光源と前記検出1との距離を8mmとし、前記光源と前記検出2との距離を16mmから32mmの領域として、
    前記修正係数αが、1.7〜2.4の範囲である
    ことを特徴とする生体光計測装置。
  17. 光源と、該光源からの光を被検体に照射して当該被検体からの光を受光する検出器と、当該検出された信号を元に脳機能を計測する演算装置と、被験者にタスクを提示するタスク提示部とを有する生体光計測装置を用いた生体光計測方法であって、
    前記光源及び前記検出器は、所定距離離れた位置に配置され第一の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器と、前記所定距離よりも短い位置に配置され第二の検出経路を形成する少なくとも一組の光源及び検出器とを備え、
    前記被験者によって実行される正式なタスク応答と同期した脳活動の変化として、前記第一の検出経路から得られる第一検出信号と前記第二の検出経路から得られる第二検出信号を各々検出し、
    前記被験者に対する予備のタスク提示により、前記第一検出信号、前記第二検出信号に含まれる雑音成分の振幅を最適化する修正係数として、前記被験者に最適な計測位置において、前記予備のタスクを繰り返し行った時に、最も多い回数の有意差が認められたものを探索し、そのときの係数αを当該被験者に固有の最適な修正係数αとして算出し、
    前記正式なタスクに応答した前記第一検出信号と前記第二検出信号及び前記最適な修正係数αから、振幅の最適化された前記第一検出信号と前記第二検出信号との差分の信号を求め、
    該差分の信号に基づき脳活動の変化の算出を行う
    ことを特徴とする生体光計測方法。
  18. 請求項17において、
    1組の前記光源に対して距離の異なる少なくとも2組の前記検出器を有するプローブを備えており、
    前記プローブの装着状態が良好となってから、複数準備された前記予備タスクから、前記被検者の計測目的に対応した前記予備タスクを前記被検者に提示し、これに対して、同期した信号変化が見られるかを評価指標とし、前記被験者に最適な計測位置を決定する
    ことを特徴とする生体光計測方法。
  19. 請求項17において、
    前記最適な修正係数αに基づき、
    (信号S)=(検出1)−修正係数α・(検出2)
    の関係から前記脳活動の信号Sを求める、
    ことを特徴とする生体光計測方法。
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