JP5324656B2 - 渦巻きバネにより駆動する薬剤送達装置 - Google Patents

Description

本発明は、液状の薬剤の用量を送達することが可能な薬剤送達装置に関し、特に、注射薬剤送達装置に関する。

自己投与のために開発された薬剤送達装置は、薬剤の注射を受けるために、病院、クリニックなどに行く必要なくユーザが薬剤を投与できるため、非常に普及している。

開発された自己投与用装置は、たとえば、用途、薬のタイプ、および対象とするユーザによって、異なる度合いの機能性を含む。このような異なる機能には、例を挙げると、自動的な穿通、注射、混合、プライミング、注射部位からの引き抜き、針シールドが含まれていてもよい。

市場の大半の注射装置には、注射針を取り付け可能な一方端部を有し、他方端部にはゴムストッパなどの可動壁が設けられた、細長で、概ね管状の薬剤容器が配置されている。さらに、プランジャーロッドなどの、ストッパに作用する何らかの種類の細長い駆動体を有することが非常に一般的である。また、駆動体は、注射針を介して薬剤を放出するために、プランジャーロッドをストッパに付勢するための圧縮バネ、板バネなどの動力源にしばしば接続されている。

プランジャーロッドの使用は非常に発達しており、動力源によって直線または回転方向に前進する。多くのユーザの一般的な要望は、特に、装置を時々人目のある場所で使用する際に、注意を引き過ぎることがないように、出来る限り装置が小型化されることである。上述のプランジャーロッドの使用の問題点は、装置が、薬剤容器の長さ＋プランジャーロッドの長さよりも少なくとも幾分長くなくてはならないことである。たとえば、用量設定ボタン、注射器から延びる針シールドなどの機能性が注射器に加わる場合、長さの問題はより一層顕著になる。用量が多いか、容器が空になるまで注射器が何度も用量を送達するように設計されており、プランジャーが薬剤容器内をより長く移動しなければならない程、この問題はまたより顕著になる。

この問題を解決するために、いくつかの試みがなされている。このような解決法の一つが文献ＵＳ６，６４１，５６６号に示されており、動力源が薬剤容器に並列に設置されている。ここでは、動力源がプランジャーロッドを介して容器に作用することができるように、プランジャーロッドがホイール（wheel）のまわりを柔軟に屈曲可能に設計されている。しかし、装置が短くなったとしても、必要性から分厚くなり、また、ユーザが保持しにくい形状になってしまう。これは、装置が望まれる程度に個別（as discrete as desired）ではないことを意味している。さらに、今では患者の多くが、概ねペン型の注射器に慣れてしまっているため、その他の形状に進んで合わせようとはしない。

その他の解決法が、ＥＰ１ ６４７ ２９２ Ａ１号に示されているが、作動メカニズムにやや複雑な設計を要する。

したがって、注射器のサイズおよび設計に関して改善の余地がある。

発明の簡単な説明
本発明の目的は、できるだけスリムでコンパクトになる寸法を有し、かつ使用が簡便で頑丈な薬剤注射器を提供することである。

この目的は、独立特許請求項に従う特徴を有する注射器によって達成される。従属特許請求項の主題は、好ましい実施形態により構成される。

発明の主な局面に従うと、医療送達装置であって、ハウジングと；ハウジング中に設置されるように配置された薬剤容器と；容器内で可動なストッパと；ハウジングと、それを通じて薬剤の放出が可能になる容器と、に取り付け可能な薬剤分配手段とを備え；装置はさらに、カバーと、カバー内に配置された渦巻きバネと、ストッパと接する圧力パッドを有する圧力部材と、渦巻きバネ中に延在するガイドロッドと、渦巻きバネの端縁部に接する環状棚部とを備える動力ユニットと；カバーとハウジングとに機械的に接続された作動手段と；作動手段に機械的に接続されたバネロック手段とを備え、バネロック手段は、変形可能なリング型部材を備え、該リング型部材は、渦巻きバネを張力がかかった状態でロックするために環状棚部と接するときに楕円形状を呈するように、環状棚部よりも幾分大きな内径を有する、ことを特徴とする、医療送達装置により特徴付けられる。

発明の他の局面に従うと、作動手段は、カバーに固定して接続され、作動ボタンが押下されるのを避けるために、作動ボタンがハウジングの周方向棚部に接する非作動位置と、作動ボタンの押下を可能にするために、作動ボタンがハウジングの周方向棚部上の切り欠きの正面にある作動位置との間で、ハウジングに対して回転動作が可能である。

発明のさらに他の局面に従うと、作動手段は、カバーが非作動位置から作動位置に回転するときに、変形可能なリング型部材が楕円形状から円形状に変化し、環状棚部がリング型部材を通過できるようにすることにより、渦巻きバネを張力がかかった状態から解放するように、変形可能なリング型部材に動作可能に接続される作動ボタンを備える。

発明のさらに他の局面に従うと、薬剤分配手段は、注射針、ノズル、マウスピースなどである。

本発明には数多くの利点がある。渦巻きバネの使用により、従来の医療送達装置が提供していないいくつかの特徴が提供される。主要な特徴は、従来の装置においては長さを付加してしまうプランジャーロッドを完全になくしてしまうことができることである。したがって、渦巻きバネの使用により、装置をずっと短くすることができ、長さを付加するのは、渦巻きバネを構成するバンドの幅だけである。このような設計のため、渦巻きバネが伸張したときに安定状態に留まる、すなわち、従来の螺旋バネではそうなっていた、座屈やねじれがない。したがって、渦巻きバネは伸張したときに加圧手段および「プランジャーロッド」の両方として作用する。用途によって、適度な加圧、安定性およびストロークを得るために、渦巻きバネを構成するバンドの幅および巻き数ならびに材料の選択を様々な方法で変更してもよい。その点においては、バネが伸張するときの摩擦を最小限にするために、バネを構成するバンドに何らかの種類の潤滑または摩擦低減手段を付与してもよい。

本発明により、バネロック手段について、非常に簡便だが頑丈な設計が、非常に少ない部品により得られる。影響を受けていない状態では幾分楕円形であるリング型部材を用いることによりバネを張力のかかった非伸張状態に保持するために、渦巻きバネの円形状を用いることができる。この楕円形は、バネが伸張することを防止する。リング型部材が手動操作によって作用されて円状になると、渦巻きバネが該部材を通じて拡張可能になる。さらに、本発明は、薬剤送達装置が不意に作動する恐れを低減する、バネロック手段のセイフティロックを含むことが好ましい。

本発明のこれらのおよびその他の局面および利点は、下記の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。

下記の発明の詳細な説明において、添付の図面を参照する。

本発明に従う薬剤送達装置の斜視図である。 図１の薬剤送達装置の分解図である。 図１の装置の断面側面図である。 図１の装置の断面側面図である。

発明の詳細な説明
図面に示す薬剤送達装置は、細長で、概ね管状のハウジング１０を備える。装置がユーザに届けられるとき、ハウジングの前方部分は脱着可能な保護カバー１２により覆われている、図２。ハウジング１０の、図面右側にある前方端部には、注射針、ノズル、マウスピースなどの薬剤分配手段を取り付け可能な、ねじ切りされたネック１４が設けられている。ハウジング内には、薬剤容器１６が設置されている。容器の前方端部は、ハウジングのネック１４中に設置されている。薬剤容器の後方部には、ストッパ１８が配置されている、図３および図４。容器１６は、ハウジング中の開口または窓２０から見ることができる。

薬剤送達装置の後方部には、動力ユニット２２が配置されている。動力ユニット２２は、カバー２４と、カバー内に配置され、多くの巻き数で巻かれた渦巻きバネ２６と、ストッパ１８と接する圧力パッド３０を有する圧力部材２８と、渦巻きバネ中に延在するガイドロッド３４と、渦巻きバネの端縁部に接する環状棚部３２とを備える。渦巻きバネは、下記に記載するような、ある幅を有する。

装置はさらに、カバー（２４）とハウジング（１０）とに機械的に接続された作動手段３６を備える。図の実施形態では、作動手段３６はカバー２４に固定して接続され、作動ボタンが押下されるのを避けるために、作動ボタン３８がハウジングの周方向棚部に接する非作動位置と、作動ボタンの押下を可能にするために、作動ボタンがハウジングの周方向棚部上の切り欠きの正面にある作動位置との間で、ハウジング１０に対して回転動作が可能である。作動手段は、ユーザにより操作可能な作動ボタン３８を備える。作動ボタンはまた、バネロック手段３９に動作可能に接続されており、バネロック手段３９は、変形可能なリング型部材４０を備え、該リング型部材４０は、渦巻きバネを張力がかかった状態でロックするために環状棚部１２と接するときに楕円形状を呈するように、環状棚部３２よりも幾分大きな内径を有する。

作動ボタン３８は、カバー２４が非作動位置から作動位置に回転するときに、変形可能なリング型部材４０が楕円形状から円形状に変化し、環状棚部３２がリング型部材を通過できるようにすることにより、渦巻きバネを張力がかかった状態から解放するように、変形可能なリング型部材４０に動作可能に接続されている。

本発明に従う薬剤送達装置は、以下の通りに機能するように意図されている。患者が薬剤の用量を投与するとき、薬剤容器１６をハウジング中に設置して、カバー部分２４をハウジングに取り付ける。代替として、すでに薬剤容器をハウジング中の定位置に設置した状態で装置をユーザに届けてもよい。

次に、ねじ山または差込み付け具などの適切な締結手段により、薬剤分配手段をハウジング１０のネック１４に取り付ける。装置を薬剤送達の準備ができた状態にするためには、カバーおよびそれにより作動手段を非作動位置から作動位置に回す。この後、装置を注射箇所の注射針の穿通部、またはノズルを用いる場合には口もしくは鼻の中もしくは付近などの薬剤送達部位に位置決めする。次に、作動ボタン３８がユーザにより押下されることにより、変形可能なリング型部材４０が楕円形状から円形状に変化する。この形状の変化により、変形可能なリング型部材４０が圧力部材２８の周方向棚部３２との接触から外れ、圧力部材２８および渦巻きバネ２６が変形可能なリング型部材４０を通って移動し、装置の長手方向に伸張することが可能となり、そこで圧力パッド３０が薬剤容器１６のストッパに作用する。次に、渦巻きバネ２６の加圧により薬剤容器１６の前方端部に向けてストッパ１８が押されることにより、容器中の薬剤の用量が薬剤送達手段を通じて送達部位に放出される。渦巻きバネ２６を構成するバンドの幅により、ストッパ１８に力を加えても、注射段階の間ずっと、座屈またはねじれの恐れなしに十分安定する、図４。

送達操作が完了すると、ユーザは薬剤送達装置を取り外す。装置が注射器の場合、ユーザは針を針さやで覆うことが好ましい。次に、針を取り外して捨てることも可能である。注射器は、次回の使用のために、空の容器を新しく取り替えて、使用済みの動力ユニット２２を新しく取り替えることによって再度使用するか、注射器を単回使用の注射器として設計し注射完了後に捨ててもよい。

薬剤送達装置の手動操作による作動について説明したが、発明の範囲内であれば異なるタイプの自動化作動が可能であることは理解されるべきである。その点においては、渦巻きバネを張力のかかった状態でロックおよび保持することについて、多種多様な設計がなされてもよい。

上記および図面に示した実施形態は、単に発明の非限定的な例としてみなされるべきであり、特許請求項の範囲内であれば様々な方法で変更してもよいことが理解されるべきである。

Claims (3)

1. 医療送達装置であって、
   ハウジング（１０）と；
   前記ハウジング中に設置されるように配置された薬剤容器（１６）と；
   前記容器（１６）内で可動なストッパ（１８）と；
   前記ハウジングと、それを通じて薬剤の放出が可能になる前記容器と、に取り付け可能な薬剤分配手段とを備え、前記薬剤分配手段が注射針であり；
   前記装置はさらに、
   カバー（２４）と、前記カバー内に配置された単一の渦巻きバネ（２６）と、ストッパ（１８）と接する圧力パッド（３０）を有する圧力部材（２８）と、渦巻きバネ中に延在するガイドロッド（３４）と、渦巻きバネの端縁部に接する環状棚部（３２）とを備える動力ユニット（２２）と；
   カバー（２４）とハウジング（１０）とに機械的に接続された作動手段（３６）と；
   前記作動手段に機械的に接続されたバネロック手段（３９）とを備え、前記バネロック手段は、変形可能なリング型部材（４０）を備え、前記リング型部材（４０）は、渦巻きバネを張力がかかった状態でロックするために環状棚部（３２）と接するときに楕円形状を呈するように、環状棚部（３２）よりも幾分大きな内径を有する、ことを特徴とする、医療送達装置。
2. 作動手段（３６）は、カバー（２４）に固定して接続され、作動ボタンが押下されるのを避けるために、作動ボタン（３８）がハウジングの周方向棚部に接する非作動位置と、作動ボタンの押下を可能にするために、作動ボタンがハウジングの周方向棚部上の切り欠きの正面にある作動位置との間で、ハウジング（１０）に対して回転動作が可能である、請求項１に記載の医療送達装置。
3. 作動手段（３６）は、カバー（２４）が非作動位置から作動位置に回転するときに、変形可能なリング型部材（４０）が楕円形状から円形状に変化し、環状棚部（３２）がリング型部材を通過できるようにすることにより、渦巻きバネを張力がかかった状態から解放するように、前記変形可能なリング型部材（４０）に動作可能に接続される作動ボタン（３８）を備える、請求項２に記載の医療送達装置。

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