JPH11128345A - 注射器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】薬液注入速度を常に注入薬液量に応じた同一速
度にすることで、自己注射を行う患者本人や注射に不慣
れな者であっても適正に注射を行うことができる注射器
を提供する。 【解決手段】薬液収納用シリンダ３に移動可能に挿入さ
れるピストン４の、そのシリンダ３に取り付けられる注
射針５に向かう移動量に応じて、薬液２を注射針５を介
して注射部位に注入可能である。そのピストン４に薬液
２の注入量に対応する弾力を作用させる機構が設けら
れ、その弾力によりピストン４は注射針５に向かい移動
可能とされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、医療機器である注
射器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から一般に用いられている注射器に
おいては、シリンダに挿入されたピストンを人の力によ
り押すことで、薬液を注射針を介して注射部位に注入す
ることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の注射器では、患
者本人が自己に注射を行うためにピストンを押す場合、
注射部位によってはピストンが押しにくいため注入速度
が一定にならなかったり、ピストンを押すときに恐怖感
が生じるため、薬液を適正に注入できないという場合が
ある。また、医療従事者等であっても未熟であるため、
ピストンを適正な速度で押すことができない場合があ
る。

【０００４】本発明は、上記問題を解決することのでき
る注射器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、薬液収納用シ
リンダと、そのシリンダに移動可能に挿入されるピスト
ンと、そのシリンダに取り付けられる注射針とを備え、
そのピストンの注射針に向かう移動量に応じた薬液を注
射針を介して注射部位に注入可能な注射器において、そ
のピストンに薬液の注入量に対応する弾力を作用させる
機構が設けられ、その弾力によりピストンは前記注射針
に向かい移動可能とされていることを特徴とする。本発
明の構成によれば、弾力によるピストンの移動により注
射針を介して薬液を注入でき、その弾力は薬液注入量に
対応するので、常に薬液注入速度を薬液注入量に対応し
た同一速度にできる。

【０００６】本発明の注射器において、そのシリンダ
は、内部が薬液収納空間とされると共に一端に前記注射
針が配置されるシリンダ本体と、このシリンダ本体に一
体化されるホルダーとを有し、そのピストンは、そのシ
リンダ本体に挿入されるピストン本体と、このピストン
本体と前記注射針に向かい同行移動可能な押し付け部材
と、この押し付け部材に固定位置変更可能に固定される
受け部材とを有し、その押し付け部材の注射針に向かう
移動を阻止解除可能に阻止するリリース部材が設けら
れ、そのホルダーと受け部材との間に弾性部材が、その
押し付け部材に対する受け部材の固定位置の変更量に応
じて弾性変形可能に設けられ、そのリリース部材による
変位の阻止を解除された押し付け部材は、その弾性部材
の弾力により、その弾性部材の弾性変形量だけピストン
本体と同行して前記注射針に向かい移動可能とされてい
るのが好ましい。この構成によれば、押し付け部材に対
する受け部材の固定位置を変更することで弾性部材を弾
性変形させ、しかる後に、リリース部材による押し付け
部材の移動阻止を解除すると、その弾性部材の弾性変形
量だけ押し付け部材はピストン本体と同行して前記注射
針に向かい移動する。これにより、その受け部材の固定
位置の変更量を薬液注入量に対応させるだけで、ピスト
ンに薬液注入量に対応する弾力を作用させることができ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。

【０００８】図１の（１）〜図４に示す注射器１は、薬
液２の収納用シリンダ３と、そのシリンダ３に移動可能
に挿入されるピストン４と、そのシリンダ３の一端に取
り付けられる細管状の注射針５とを備える。

【０００９】そのシリンダ３は、内部が薬液２の収納空
間とされたシリンダ本体１１と、ホルダー１２とを有す
る。そのシリンダ本体１１の一端開口はゴム製の栓１３
により閉鎖される。

【００１０】そのホルダー１２は、そのシリンダ本体１
１が引抜き可能に挿入される筒状のホルダー本体１２ａ
と、このホルダー本体１２ａの一端にネジ部ａを介して
ねじ合わされるキャップ１２ｂと、そのホルダー本体１
２ａの他端にネジ部ｂを介してねじ合わされる筒状のグ
リップ１２ｃとを有する。そのキャップ１２ｂに上記注
射針５が固定され、そのキャップ１２ｂをグリップ１２
ｃにねじ合わせることで、その注射針は上記ゴム栓１３
を貫通する。

【００１１】そのホルダー本体１２ａにシリンダ本体１
１を挿入し、しかる後にグリップ１２ｃをホルダー本体
１２ａにネジ部ｂを介してねじ合わせることで、そのシ
リンダ本体１１は、ホルダー本体１２ａの一端の内周フ
ランジ１２ａ′とグリップ１２ｃの内周の段差１２ｅと
で挟み込まれる。これにより、そのシリンダ本体１１と
ホルダー１２とは互いに分離可能に一体化される。

【００１２】そのピストン４は、そのシリンダ本体１１
に挿入されるゴム製のピストン本体２１と、このピスト
ン本体２１と前記注射針５に向かい同行移動可能な押し
付け部材２２と、この押し付け部材２２に固定位置変更
可能に固定される受け部材２３とを有する。

【００１３】そのピストン本体２１は、上記シリンダ本
体１１の他端開口を閉鎖する栓を兼用する。これによ
り、そのピストン本体２１とシリンダ本体１１と栓１３
は、図１の（２）に示す薬液カートリッジを構成する。
なお、シリンダ本体１１内には、ピストン本体２１が注
射針５と接するのを防止するスペーサリング１９が挿入
されている。

【００１４】その押し付け部材２２は、ピストン本体２
１の外端面に押し当てられる円板部２２ａと、その円板
部２２ａに一体化されると共に上記グリップ１２ｃにピ
ストン本体２１の移動方向に沿って往復移動可能に挿入
されるロッド部２２ｂとを有する。そのロッド部２２ｂ
の外周は、円柱面に沿う部分と平坦面に沿う部分とを有
し、その円柱面に沿う部分に雄ねじ２２ｄが形成され、
その平坦面に沿う部分にピストン本体２１の移動方向に
沿って並列する凹凸部２２ｅが形成されている。

【００１５】図３、図４に示すように、その押し付け部
材２２の注射針５に向かう移動を阻止解除可能に阻止す
るリリース部材３１が設けられている。すなわち、その
リリース部材３１は円柱状で、一端は上記グリップ１２
ｃ内に外周から挿入され、ピストン本体２１の移動方向
に直交する方向に移動可能とされ、他端はグリップ１２
ｃの外部に露出する。そのグリップ１２ｃ内において、
リリース部材３１に形成された通孔３１ａに押し付け部
材２２のロッド部２２ｂが挿通される。そのリリース部
材３１の通孔３１ａの内周に、ピストン本体２１の移動
方向に沿って並列する凹凸部３１ｅが形成されている。
そのリリース部材３１の凹凸部３１ｅがロッド部２２ｂ
の凹凸部２２ｅに噛み合うことで、押し付け部材２２の
注射針５に向かう移動が阻止される。そのリリース部材
３１に、両凹凸部２２ｅ、３１ｅが互いに噛み合うよう
に弾力を作用させる板バネ３２が、グリップ１２ｃの内
周に取り付けられている。その板バネ３２の弾力に抗し
てリリース部材３１を変位させることで、両凹凸部２２
ｅ、３１ｅの互いの噛み合いが解除され、押し付け部材
２２の注射針５に向かう移動の阻止が解除される。

【００１６】そのグリップ１２ｃの外周にストッパ４１
が、押し付け部材２２の移動方向に沿って往復移動可能
に取り付けられている。そのストッパ４１に形成された
通孔４１ａに上記リリース部材３１が挿通されている。
その通孔４１ａの内周に形成された凸部４１ｂがリリー
ス部材３１の外周に形成された凹部３１ｂに嵌め合わさ
れることで、リリース部材３１を板バネ３２の弾力に抗
して変位させることが阻止され、ストッパ４１を図にお
いて上方に移動させて凹部３１ｂから凸部４１ｂを抜く
ことで、ストッパ４１を変位させることができる。

【００１７】その受け部材２３は筒状で、一端はグリッ
プ１２ｃに挿入され、他端はグリップ１２ｃの他端から
外部に露出する。この受け部材２３の一端内周に形成さ
れる雌ねじ２３ａが、上記押し付け部材２２のロッド部
２２ｂの外周の雄ねじ２２ｄにねじ合わされることで、
受け部材２３は押し付け部材２２に固定され、そのねじ
込み量を変更することで、その固定位置を変更できる。

【００１８】そのホルダー１２と受け部材２３との間に
弾性部材５１として圧縮コイルバネが設けられている。
すなわち、その弾性部材５１は、グリップ１２ｃの内部
において受け部材２３の外周に嵌め合わされ、その受け
部材２３の外周に形成された段差２３ｂとグリップ１２
ｃの内周に形成された段差１２ｄとで挟み込まれてい
る。これにより、その受け部材２３の押し付け部材２２
に対する固定位置の変更量に応じて、その弾性部材５１
を両段差２３ｂ、１２ｄによりピストン本体２１の移動
方向に沿って圧縮して弾性変形させることができる。

【００１９】その受け部材２３の外周には目盛り２３ｆ
がグリップ１２ｃの他端を基準に形成され、その押し付
け部材２２に対する受け部材２３の固定位置の変更量に
応じて、その目盛り２３ｆのグリップ１２ｃの他端に対
する位置が変化する。この目盛り２３ｆは、グリップ１
２ｃの他端における値が、この注射器１による薬液２の
注入量に対応するように形成される。

【００２０】そのグリップ１２ｃの内周に筒状ガイド５
２が固定され、そのガイド５２の一端に形成された位置
決め部５２ａに接することで、そこから受け部材２３が
注射針５に向かい移動するのが阻止される。なお、弾性
部材５１とガイド５２をグリップ１２ｃ内に配置できる
ように、グリップ１２ｃは２部材１２ｃ′、１２ｃ″を
連結することで構成されている。

【００２１】上記構成の注射器１により注射を行うに
は、先ず、受け部材２３を押し付け部材２２に対して回
転させることで、図５、図６に示すように押し付け部材
２２に対する受け部材２３の固定位置を変更し、弾性部
材５１を弾性変形させる。この際、ストッパ４１により
リリース部材３１の変位を阻止する。その弾性部材の弾
性変形量はピストン本体２１の移動量に対応するので、
薬液２の注入量を設定することができる。次に、図７に
示すようにストッパ４１を移動させることでリリース部
材３１の変位を許容する。しかる後に、リリース部材３
１を変位させることで押し付け部材２２の移動阻止を解
除する。これにより、ピストン本体２１に薬液２の注入
量に対応する弾力が作用し、その弾力により押し付け部
材２２は弾性部材５１の弾性変形量だけピストン本体２
１と同行して注射針５に向かい移動する。図８に示すよ
うに、そのピストン本体２１の注射針５に向かう移動量
に応じた薬液２が注射針５を介して送り出され、その送
り出された薬液２が注射部位６０の皮下に注入される。

【００２２】上記構成によれば、弾力によるピストン４
の移動により注射針５を介して薬液２を送り出すことが
でき、その弾力は薬液２の注入量に対応するので、常に
薬液注入速度を薬液２の注入量に対応した同一速度にで
きる。また、受け部材２３の押し付け部材２２に対する
固定位置の変更量を薬液２の注入量に対応させるだけ
で、ピストン４に薬液２の注入量に対応する弾力を作用
させることができる。また、薬液カートリッジを交換す
るだけで新たな薬液２を供給できる。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、薬液注入速度を常に注
入薬液量に応じた同一速度にすることで、自己注射を行
う患者本人や注射に不慣れな者であっても適正に注射を
行うことができる注射器を提供できる。

【００２４】

【本発明の実施態様】そのシリンダ本体とホルダーとは
互いに分離可能とされ、そのピストン本体と押し付け部
材とは互いに分離可能とされ、そのシリンダ本体とピス
トン本体とは薬液カートリッジを構成するのが好まし
い。これにより、薬液カートリッジを交換するだけで新
たな薬液を供給できる注射器に本発明を適用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態における注射器の（１）は側
断面図、（２）は薬液カートリッジの断面図

【図２】本発明の実施形態における注射器の側面図

【図３】本発明の実施形態における注射器の部分側断面
図

【図４】本発明の実施形態における注射器の部分平断面
図

【図５】本発明の実施形態における注射器の弾性部材が
弾性変形した状態での側断面図

【図６】本発明の実施形態における注射器の弾性部材が
弾性変形した状態での側面図

【図７】本発明の実施形態における注射器のリリース部
材の変位阻止を解除した状態での部分側断面図

【図８】本発明の実施形態における注射器の注射状態で
の側断面図

【符号の説明】

１ 注射器 ２ 薬液 ３ シリンダ ４ ピストン ５ 注射針 １１ シリンダ本体 １２ ホルダー ２１ ピストン本体 ２２ 押し付け部材 ２３ 受け部材 ３１ リリース部材 ５１ 弾性部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 薬液収納用シリンダと、 そのシリンダに移動可能に挿入されるピストンと、 そのシリンダに取り付けられる注射針とを備え、 そのピストンの注射針に向かう移動量に応じた薬液を注
   射針を介して注射部位に注入可能な注射器において、 そのピストンに薬液の注入量に対応する弾力を作用させ
   る機構が設けられ、 その弾力によりピストンは前記注射針に向かい移動可能
   とされていることを特徴とする注射器。
2. 【請求項２】 そのシリンダは、内部が薬液収納空間と
   されると共に一端に前記注射針が配置されるシリンダ本
   体と、このシリンダ本体に一体化されるホルダーとを有
   し、 そのピストンは、そのシリンダ本体に挿入されるピスト
   ン本体と、このピストン本体と前記注射針に向かい同行
   移動可能な押し付け部材と、この押し付け部材に固定位
   置変更可能に固定される受け部材とを有し、 その押し付け部材の注射針に向かう移動を阻止解除可能
   に阻止するリリース部材が設けられ、 そのホルダーと受け部材との間に弾性部材が、その押し
   付け部材に対する受け部材の固定位置の変更量に応じて
   弾性変形可能に設けられ、 そのリリース部材による変位の阻止を解除された押し付
   け部材は、その弾性部材の弾力により、その弾性部材の
   弾性変形量だけピストン本体と同行して前記注射針に向
   かい移動可能とされている請求項１に記載の注射器。