JP5320342B2 - パッシブセンサ動作試験用カバーおよびそれを用いたパッシブセンサの動作試験方法 - Google Patents

パッシブセンサ動作試験用カバーおよびそれを用いたパッシブセンサの動作試験方法 Download PDF

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この発明は、天井面に設置される監視システム用のパッシブセンサの動作試験方法およびそれに用いられるパッシブセンサ動作試験用カバーに関するものである。
受動型赤外線センサ(Passive Infrared Sensor:以下、パッシブセンサと称す)は、人体から発せられる遠赤外線エネルギーと人が進入する前の背景の壁や床などから発せられる遠赤外線エネルギーとの温度差を検知するセンサ素子と、天井に取り付けられ、センサ素子が配設される取り付けベースと、センサ素子を覆うように取り付けベースに取り付けられるフルネルレンズと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
一般的な監視システムでは、パッシブセンサが、監視エリヤをもれなく監視できるように天井に所定の間隔で複数設置され、それぞれの出力信号線が監視室の監視装置に接続されている。そして、パッシブセンサの設置位置が、監視装置におけるフロアー図の監視位置のそれぞれに対応している。そこで、パッシブセンサが人の進入を検知すると、検知したパッシブセンサの設置位置に対応するフロアー図の位置が点灯し、監視員が人の進入位置を目視確認できるようになっている。
このような監視システムでは、パッシブセンサの設置位置が監視装置におけるフロアー図の監視位置のそれぞれに対応するように出力信号線が正確に配線されているか否かを確認する必要がある。従来は、多数の作業者が、それぞれ先端にカバーが付けられた棒を持って、天井に多数設置されたパッシブセンサの1つを除いてパッシブセンサをカバーで覆って不動状態とし、カバーで覆われていないパッシブセンサを動作させ、当該パッシブセンサの設置位置に対応するフロアー図の位置が点灯することで、出力信号線が正確に配線されていることを判定していた。
実開平6−18931号公報
従来、パッシブセンサを覆うための道具は、棒の先端にカバーを取り付けたものであり、重量が重く、作業負荷が増大するという課題があった。
また、従来のパッシブセンサの動作試験方法では、作業者が棒の先端に取り付けられたカバーで、対象のパッシブセンサ以外のパッシブセンサを覆う必要があるので、同一監視エリヤに設置されているパッシブセンサの個数が増えるほど、作業員の数が多くなり、作業時間が長くなり、かつ作業負荷が増大するという課題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、ヘリウムガスを用いてカバー部を浮き上がらせるようにし、作業負荷を著しく軽減できるパッシブセンサ動作試験用カバーを得ることを目的とする。
また、本発明は、ヘリウムガスを用いてカバー部を浮き上がらせるようにしたパッシブセンサ動作試験用カバーを用い、作業員の人数および作業負荷を大幅に削減し、作業時間を大幅に短縮できるパッシブセンサの動作試験方法を得ることを目的とする。
本発明に係るパッシブセンサ動作試験用カバーは、監視空間の天井に設置されたパッシブセンサの動作試験用カバーであり、空気より軽いガスが注入/排出可能な袋体に作製され、該ガスが注入されて膨張して発生する浮揚力により、上記パッシブセンサを覆うように上記天井に保持されて該パッシブセンサへの遠赤外線の到達を抑えるカバー部と、一端を上記カバー部に連結され、他端側を引っ張って浮揚力が発生している該カバー部を移動させる紐と、を備える。
本発明によれば、ガスをカバー部に注入して発生する浮揚力によりカバー部が浮揚し、パッシブセンサを覆うように天井に保持される。そこで、作業者は、パッシブセンサを覆っているカバー部からつり下がっている紐を離すことができるので、パッシブセンサが天井に多数設置されている場合でも、作業者の人数を削減でき、作業負荷が軽減される。
この発明の実施の形態1に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを用いたパッシブセンサの動作試験方法を説明する図である。 この発明の実施の形態2に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図である。 この発明の実施の形態3に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図である。 この発明の実施の形態4に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す断面図である。
以下、本発明のパッシブセンサ動作試験用カバーの好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを用いたパッシブセンサの動作試験方法を説明する図である。
図1において、パッシブセンサ動作試験用カバー1は、人体から発せられる熱遠赤外線エネルギーを透過させないプラスチックフィルムを熱圧着などの方法により貼り合わせて椀状の袋体に作製されたカバー部2と、カバー部2の椀状の頂部に形成された紐連結部としての取付耳5に一端を結ばれた紐4と、から構成されている。カバー部2は、空気より軽いガスとしてのヘリウムガスが注入口3より注入されて椀状に膨張し、浮揚力を生じる。そして、注入口3をクリップ(図示せず)で挟んで、ヘリウムガスの抜けが防止される。
ここで、カバー部2は、遠赤外線エネルギーを反射、或いは吸収して透過させないプラスチックフィルムであればよく、例えば、アルミなどの金属膜が蒸着やスパッタリングなどの方法により成膜されたプラスチックフィルム、ポリオレフィン系樹脂に、200〜300℃で加熱処理したハイドロタルサイト類化合物とヒンダードアミン系化合物とを配合してなるポリオレフィン系樹脂フィルムなどを用いることができる。また、カバー部2は、プラスチックフィルムに限定されるものではなく、遠赤外線エネルギーを反射、或いは吸収して透過させない材料であればよく、例えば遠赤外線エネルギーを吸収する部材を練り込んで作製されたゴムなどを用いることができる。
このように構成されたパッシブセンサ動作試験用カバー1を用いたパッシブセンサの動作試験について図2を参照しつつ説明する。
まず、パッシブセンサ10が、監視空間11の天井12に多数設置されており、それぞれ信号線13により監視室(図示せず)に設置された監視装置14に接続されているものとする。
そこで、作業者Mは、監視空間11に入り、ヘリウムガスをカバー部2に注入して膨張させて浮揚させる。ついで、作業者Mは、カバー部2がパッシブセンサ10の真下位置に来るように紐4を持って移動し、手を離す。これにより、カバー部2は、パッシブセンサ10を覆って、ヘリウムガスの浮揚力により天井12に押し当てられる。そして、作業者Mは、この操作を繰り返し、監視空間11の天井12に設置されているパッシブセンサ10の1つを除くパッシブセンサ10をカバー部2で覆う。
ついで、カバー部2で覆われていない試験対象のパッシブセンサ10の下方位置で、作業者Mが動き回り、人の進入を試験対象のパッシブセンサ10に検知させる。人の検知信号が信号線13を介して監視装置14に送られ、監視装置14のフロアー図のパッシブセンサ設置位置の1つが点灯する。そこで、監視室に居る監視員は監視空間11に居る作業者と連絡し合い、どの場所に設置されたパッシブセンサ10の動作試験を行ったかを確認し、信号線13が正常に接続されているか否かを判断する。なお、監視装置14のフロアー図のパッシブセンサ設置位置での点灯がなければ、配線不良、あるいはパッシブセンサ10の不良と判断する。
ついで、監視空間11に居る作業者Mは、つぎの試験対象のパッシブセンサ10を覆っているカバー部2に結ばれている紐4を持って直前の試験対象のパッシブセンサ10の下の位置まで移動する。そこで、作業者Mは、カバー部2をパッシブセンサ10の真下位置に来るように移動して手を離し、カバー部2が、試験対象のパッシブセンサ10を覆って、ヘリウムガスの浮揚力により天井12に押し当てられる。そして、同様に、試験対象のパッシブセンサ10に人の進入を検知させ、信号線13が正常に接続されているか否かを判断する。
この操作を繰り返し行い、監視空間11に設置させている全てのパッシブセンサ10の動作試験を実施する。そして、信号線13が正常に接続されていない場合には、配線をやり直して再度動作試験を行う。また、配線不良、あるいはパッシブセンサ10の不良があれば、配線をし直し、あるいは良品のパッシブセンサ10に取り替えて再度動作試験を行う。
そして、パッシブセンサ10の動作試験が終了すれば、紐4を引っ張ってカバー部2を引き寄せて把持し、クリップを外してヘリウムガスをカバー部2から排出し、その後折り畳んでパッシブセンサ動作試験用カバー1を1つずつ回収する。
このように、この実施の形態1によれば、パッシブセンサ動作試験用カバー1が、プラスチックフィルムを貼り合わせて袋状に作製され、ヘリウムガスを注入されて椀状に膨張して浮揚力を発生するカバー部2と、カバー部2の椀状の頂部に結ばれた紐4と、から構成されているので、軽量であり、かつヘリウムガスの浮揚力によりカバー部2をパッシブセンサ10を覆うように天井12に保持でき、作業負荷が著しく軽減される。
また、監視空間11に設置されているパッシブセンサ10の1つを除く全てのパッシブセンサ10のそれぞれに、カバー部2でパッシブセンサ10を覆うようにパッシブセンサ動作試験用カバー1を取り付け、パッシブセンサ動作試験用カバー1が取り付けられていない試験対象のパッシブセンサ10の動作試験を行うようにしている。このとき、パッシブセンサ動作試験用カバー1は軽量であり、ヘリウムガスの浮揚力によりカバー部2をパッシブセンサ10を覆うように天井12に保持できる。そこで、作業者Mは、パッシブセンサ動作試験用カバー1の紐4を持っている必要がなく、一人で、試験対象のパッシブセンサ10を除く全てのパッシブセンサ10のそれぞれにパッシブセンサ動作試験用カバー1を取り付けることができる。したがって、作業員の人数および作業負荷を大幅に削減し、作業時間を大幅に短縮して、パッシブセンサ10の動作試験を行うことができる。
なお、上記実施の形態1では、ヘリウムガスにより膨張されたカバー部の形状が椀状であるものとしているが、ヘリウムガスにより膨張されたカバー部の形状は、パッシブセンサを覆うことができる形状であればよく、椀状に限定されない。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図である。
図3において、取付耳5が、ヘリウムガスが注入されて膨張したカバー部2Aの開口をほぼ2分する平面上で、かつカバー部2Aの外周壁面に、頂部を含み、互いに離間して複数形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成されたパッシブセンサ動作試験用カバー1Aでは、紐4を結ぶ取付耳5を変えることで、カバー部2Aを浮揚させたときのカバー部2Aの開口の傾斜を変えることができる。
そこで、パッシブセンサ10が設置されている天井12が傾斜面であっても、パッシブセンサ10を覆うようにカバー部2Aを安定して設置することができる。
なお、上記実施の形態2では、取付耳が、ヘリウムガスが注入されて膨張したカバー部の開口をほぼ2分する平面上で、かつカバー部の外周壁面に、互いに離間して複数形成されているものとしているが、取付耳の全てが、カバー部の開口をほぼ2分する平面上に位置する必要はなく、カバー部の頂部を含み、頂部からの距離が異なる複数の位置に形成されていればよい。
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す斜視図である。
図4において、ガイド部6が、ヘリウムガスが注入されて膨張したカバー部2Bの開口をほぼ2分する平面上で、かつカバー部2Bの外周壁面に、カバー部2Bの開口に対して凸状の弧状に延設されている。そして、紐4が、ガイド部6に遊嵌状態に結ばれ、ガイド部6の延在方向に移動可能に連結されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成されたパッシブセンサ動作試験用カバー1Bでは、カバー部2Bがヘリウムガスの浮揚力により天井12に押し当てられたとき、天井12の傾斜状態に拘わらず、紐4はガイド部6の延在方向に移動してガイド部6の鉛直方向の最下位置に位置する。
そこで、パッシブセンサ10が設置されている天井12が傾斜面であっても、パッシブセンサ10を覆うようにカバー部2Bを安定して設置することができる。
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4に係るパッシブセンサ動作試験用カバーを示す断面図である。
図5において、パッシブセンサ動作試験用カバー1Cは、環状の袋体に作製された浮揚部7、および浮揚部7に一体に形成された遮蔽部8を有するカバー部2Cと、遮蔽部8に形成された取付耳5に一端を結ばれた紐4と、から構成されている。カバー部2Cは、人体から発せられる熱遠赤外線エネルギーを透過させないプラスチックフィルムを熱圧着などの方法により貼り合わせて作製されている。浮揚部7は、ヘリウムガスが注入口3より注入されて環状に膨張し、浮揚力を生じる。そして、注入口3をクリップ(図示せず)で挟んで、ヘリウムガスの抜けが防止される。また、遮蔽部8は、浮揚部7がヘリウムガスの浮揚力によりパッシブセンサ10を取り囲むように天井12に押し当てられたときに、浮揚部7と協働してパッシブセンサ10を覆う形状に形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
このように構成されたパッシブセンサ動作試験用カバー1Cでは、ヘリウムガスを注入して浮揚部7を膨張させて浮揚力を発生させ、その浮揚力により浮揚部7をパッシブセンサ10を取り囲むように天井12に保持させることができる。このとき、遮蔽部8が、浮揚部7と共にパッシブセンサ10を覆い、浮揚部7と協働して遠赤外線エネルギーのパッシブセンサ10への到来を抑える。
したがって、この実施の形態4においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
なお、上記各実施の形態では、カバー部の注入口をクリップで挟んでヘリウムガスの漏れを防止するものとしているが、注入口に逆止弁を一体に成形してもよい。
また、カバー部を浮揚させるガスは、水素ガスやヘリウムガスなどの空気より軽いガスであればよく、安全性を考慮すれば、ヘリウムガスを用いることが好ましい。
1,1A,1B,1C パッシブセンサ動作試験用カバー、2,2A,2B,2C カバー部、4 紐、5 取付耳(紐連結部)、6 ガイド部、7 浮揚部、8 遮蔽部、10 パッシブセンサ、11 監視空間、12 天井。

Claims (5)

  1. 監視空間の天井に設置されたパッシブセンサの動作試験用カバーであり、
    空気より軽いガスが注入/排出可能な袋体に作製され、該ガスが注入されて膨張して発生する浮揚力により、上記パッシブセンサを覆うように上記天井に保持されて該パッシブセンサへの遠赤外線の到達を抑えるカバー部と、
    一端を上記カバー部に連結され、他端側を引っ張って浮揚力が発生している該カバー部を移動させる紐と、
    を備えたことを特徴とするパッシブセンサ動作試験用カバー。
  2. 監視空間の天井に設置されたパッシブセンサの動作試験用カバーであり、
    空気より軽いガスが注入/排出可能な環状の袋体に作製され、該ガスが注入されて膨張して発生する浮揚力により、上記パッシブセンサを囲むように上記天井に保持される浮揚部、および該浮揚部に一体に形成され、上記天井に保持された該浮揚部と共に該パッシブセンサを覆う遮蔽部を有し、上記パッシブセンサを覆うように上記天井に保持されて該パッシブセンサへの遠赤外線の到達を抑えるカバー部と、
    一端を上記カバー部に連結され、他端側を引っ張って浮揚力が発生している該カバー部を移動させる紐と、
    を備えたことを特徴とするパッシブセンサ動作試験用カバー。
  3. 紐連結部が、上記カバー部の頂部を含み、頂部からの距離を変えて該カバー部に複数形成され、上記紐が複数の該紐連結部に着脱可能に連結されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパッシブセンサ動作試験用カバー。
  4. ガイド部が、上記カバー部の開口を2分する平面上に、かつ該カバー部の外周に、該カバー部の開口に対して凸状の弧状に延設され、上記紐が上記ガイド部にその延設方向に移動可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパッシブセンサ動作試験用カバー。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパッシブセンサ動作試験用カバーを用いて監視空間の天井に複数設置されたパッシブセンサの動作試験方法であって、
    試験対象の上記パッシブセンサを除く全ての上記パッシブセンサのそれぞれを覆うように上記カバー部を上記天井に保持させて上記パッシブセンサ動作試験用カバーを取り付け、その後試験対象の上記パッシブセンサが検知動作するか否かを試験する工程を、試験対象の上記パッシブセンサを代えて順次行い、全ての上記パッシブセンサの動作試験を行うことを特徴とするパッシブセンサの動作試験方法。
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