JP5317107B2 - 書き換え可能な液晶配向表面と配向記憶の評価法 - Google Patents

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本発明は液晶配向表面ないし液晶配向膜に係わり、より詳細には極めて簡便な方法で作成された微細凹凸構造を有し、その凹凸構造が可変である液晶配向表面ないし液晶配向膜とそれを用いた液晶配向性能の評価法に関する。
一般的に液晶は、流動性と結晶的配向による光学特性を兼備した特徴を示し、電界、磁界、熱などによりその光学異方性が変化する物質である。このような性質を利用し液晶表示装置が構成されている。一般的な液晶表示装置は、スペーサーにより間隔が制御された一対の透明電極基板間に液晶物質が注入された構造を有している。この液晶セルの外側には入射光および透過光の偏向のための偏光板が備わっている。液晶が直接接触する表面は液晶分子を配向させるための処理が施された液晶配向表面であり、表示素子の性能向上のためには適切な配向処理が必須である。
配向表面を形成する方法として、基板上に高分子樹脂などを形成した後、布などで一方向に擦るラビング法が一般的であった。しかしこの方法では、ラビング布と配向表面の機械的接触による汚染粒子や静電気の発生が問題となっている。ラビング法による配向効果は一方向に擦ることで発生する微細な溝に一因があることが分かっている。そのため、従来のリソグラフィー技術による微細な溝構造も液晶配向能を有するが、大面積での配向表面形成技術としては、ラビング法と比較して高価な方法であり現実的には利用されていない。このため非接触の方法として、光配向法が挙げられるが、これは偏光を光重合性の配向表面に照射するものである。またイオンビームを照射する方法も挙げられる。しかしながら、これらの方法では配向表面材料の化学的な設計において、液晶分子との相互作用と共に光化学的な特徴を考慮しなければならず、使用出来る材料が限られてしまう。また、その光やイオンビームの照射装置にはラビングに比べ大きな設備コストもかかる。
液晶配向変化を電場、磁場、光以外で誘起することができれば、省エネルギーな表示装置の作製が可能となる。
一方で、液晶配向の短時間、長時間安定性は、表示装置の制御パラメーターや、信頼性に大きく影響するため重要な性質である。特に、表面への配向方向の定着・記憶の効果は表面記憶効果と呼ばれるが、これは、上記の凹凸構造や光配向による液晶配向の後に時間に依存して現れる2次的な効果であるために、配向の時間安定性に大きく影響する。そのためこの時間依存する配向記憶の時間発展の程度を評価することは液晶材料、配向表面材料、装置の設計において重要な指針となる。
液晶配向表面ないし液晶配向膜については、特許文献1〜9が挙げられ、微小凹凸構造については、特許文献10、非特許文献1〜7が挙げられる。
特開昭50-010152号公報 特開昭50-83051号公報 特開昭51-65960号公報 特開昭51-75543号公報 特開昭61-15129号公報 特開昭51-3659号公報 特開昭53-12346号公報 特開平10-232400号公報 特開平2-259725号公報 特開2003−266570
Bowden, N.; Brittain, S.; Evans, A. G.; Hutchinson, J. W.; Whitesides, G. M. Nature 1998, 393, 146. Bowden, N.; Huck, W. T. S.; Paul, K. E.; Whitesides, G. M. Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 2557. Huck, W. T. S.; Bowden, N.; Onck, P.; Pardoen, T.; Hutchinson, J. W.; Whitesides, G. M. Langmuir 2000, 16, 3497. Ohzono, T.; Shimomura, M. Phys. Rev. B. 2004, 69, 132202. Yoo, P. J.; Lee, H. H. Phys. Rev. Lett. 2003, 91, 154502. Stafford, C. M.; Harrison, C.; Beers, K. L.; Karim, A.; Amis, E. J.; Vanlandingham, M. R.; Kim, H.; Volksen, W.; Miller, R. D.; Simonyi, E. E. Nat. Mat. 2004, 3, 545. J. Fukuda, M. Yoneya, H. Yokoyama, Phys. Rev. Lett. 98, 187803 (2007).
前記のような問題を解決するために、本発明では、容易な方法で作成した液晶配向能を有する微細凹凸構造で、応力状態によってその凹凸構造が変化できる構造を用いて、熱処理を介して液晶配向方向を変化させる液晶配向表面ないし液晶配向膜を提供すること、およびその配向表面ないし配向膜を利用した配向記憶強度の時間発展の評価法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、座屈により形成させた凹凸構造に応力をかけることで凹凸構造を変化させたうえで熱処理を加えることで、接触している液晶配向方向を繰り返し変化させることができることを見出した。さらにこの液晶配向表面ないし液晶配向膜を用いて、配向表面に対する配向記憶効果の時間発展を評価する方法を見出した。
本発明は、以下、書き換え可能な液晶配向表面ないし液晶配向膜と配向記憶の時間発展評価法を提供するものである。
項1. 微細凹凸構造を有する液晶配向表面であって、前記液晶配向表面が座屈表面を有し、液晶配向表面の微細凹凸構造が変化することで液晶配向を変化させることができることを特徴とする液晶配向表面。
項2. 前記液晶配向変化が、座屈表面の微細凹凸構造変化と熱処理の併用により行われることを特徴とする項1に記載の液晶配向表面。
項3. 前記熱処理が、光を集光させることによる部分加熱処理であり、それにより局所的な液晶配向変化が行われることを特徴とする項1または2に記載の液晶配向表面。
項4. 前記液晶配向表面の微細凹凸構造が、50nm以上50μm以下の周期を有する、項1
〜3のいずれかに記載の液晶配向表面。
項5. 項1〜4のいずれかの表面を有する液晶配向膜。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の液晶配向表面または項5に記載の液晶配向膜を用いて構成した、液晶表示素子。
項7.
(1) 項1〜4のいずれかに記載の液晶配向表面または項5に記載の液晶配向膜に液晶材
料を液体状態で適用し、この材料を冷却して前記材料を液晶配向表面の方向に沿った液晶状態にする工程、
(2) 液晶配向表面の配向方向を座屈変形により変化させて液晶の記憶形成過程に摂動を
与える工程、
(3) 配向記憶によるアンカリング強度と液晶状態の経過時間との関係を求める工程
を含む、前記液晶配向表面の材料の配向記憶強度を時間発展的に評価する方法。
電場や磁場印加のための特殊な装置を必要とせず、非常に簡単な力学的操作と熱(光)によって配向方向が変更でき、基板が柔らかいという特性から、インク不要な書き換え可能媒体として利用可能である。表面の材料は塗布可能であればよく、従来の配向表面材料を含む幅広い材料を用いることができるため、適用範囲が広い。また、座屈を利用することにより低コストで液晶配向表面ないし液晶配向膜を形成することができる。また、配向記憶強度の時間発展の評価法は、液晶、配向表面材料に係わらず適用可能であり、電場、磁場などを用いないために簡便な手法である。
本発明における微小周期構造体の製造方法(左)と構造体の光学顕微鏡像(右)を示す模式図である。 本発明における微小周期構造体の模式図(左上)と(1)延伸―(2)アニール―(3)抜延伸―(4)アニールサイクルにおける、液晶滴の顕微鏡写真(偏向板のみ)と対応する凹凸構造の模式図である。延伸は左右一軸方向に行う。部分アニールによるパターン書き込みの例も示す。 本発明における配向記憶によるアンカリング強度の時間発展を評価のプロットである。tp*後にはΔf程度の配向記憶によるアンカリング強度が発生している例である。
前記本発明の構造は、弾性体基板上に形成された座屈構造にポリアミック酸、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリル酸、ポリビニルピリジンなどを塗布することで得られ、応力を加えることで凹凸構造を変化させることができる。その薄膜形成時に一軸に延伸し、その後に開放するか、薄膜形成後に一軸延伸しその後解放することで、表面の座屈に起因する異方的な凹凸構造が形成され、これが液晶配向能を有する。
凹凸構造の形状は周期0.2-200ミクロン、アスペクト比0.02以上のものが挙げられる。均
一性が必要な場合、リターデーションの分布や光散乱を抑えるため、望ましくは低周期、低アスペクトが望まれる。
他の実施形態において、本発明は、前記構造体上に液晶材料を接触させ、液体状態から液晶状態への転移後のある一定時間後に微細凹凸構造を変化させることで、配向記憶が形成されるか否かを評価する方法を提供する。変化後の凹凸形状から配向強度が算出できるため、この方法は定量性を有する。
本発明の液晶配向表面は、基体(支持体)の上に表層を重ねて構成され、表層は基体よりも弾性率の大きな材料を使用する。該液晶配向表面は基体を延伸した状態で表層を積層し、次に基体の延伸状態を解除することで、表層に座屈変形を起こさせ、波形の凹凸を有する表面を形成させる。基体は、一軸延伸、二軸延伸、曲率を利用した延伸、温度差を利用した延伸(周期的に加熱することや、加熱と冷却を一定の間隔で行うことで局所的に延伸
することができる)などの1種又は2種以上の延伸方法を組み合わせて延伸状態にするこ
とができる。このような方法により延伸して基体を延伸状態とし、その表面上に表層を形成し、基体の延伸状態を解除して周期的凹凸構造を形成するので、延伸率は重要な因子で
ある。好ましい基体の延伸率は1.01〜3程度、より好ましくは1.03〜1.8程度、さらに好ましくは1.05〜1.4程度、最も好ましくは1.1〜1.2程度である。延伸率が大きくなりすぎる
と基体と表層が剥離することがある。また、アスペクト比が小さすぎると、液晶材料が十分に配向せず、液晶配向表面として機能しなくなる。延伸は、1軸方向に行っても良く、2軸方向に行ってもよい。基体を1軸延伸すると、表層を積層後延伸を解除した場合に延伸方向に異方的で周期的な凹凸が形成され、2軸延伸した場合には、その方向の異方性が低下した凹凸構造が形成される。高い配向度のためには座屈により凹凸構造を形成するための延伸は、1軸延伸が好ましい。配向度を調節する場合には、1軸延伸率を変化させてアスペクト比を調節するか、2軸延伸を用い凹凸の異方性を変化させることで調節することができる。
本発明において、基体の材料としては、延伸率(延伸時の延伸方向の長さ/非延伸時の延伸方向の長さ)が1.01〜3程度の延伸状態が可能な材料である。このような材料として
は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ジフェニルシロキサンなどのポリシロキサン系ポリマー、シリコーン樹脂/シリコーンゴム、天然ゴムないし合成ゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素化ポリマー(PTFE、PVdFなど)、ポリ塩化ビニル、ポリメチルハイドロゲンシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサン単位のコポリマーなどのホモポリマー或いはコポリマー、さらにはこれらのブレンド、導電性ポリマーとのブレンド、ガラス、ITO(インジウムスズオキシド)などが挙げられる。
基体と表層の透過率は特に限定されないが、光学部材に使用する場合は、 基体と表層
を合わせた部材は透明又は半透明の材料であるのが好ましく、可視・赤外光の透過率は30%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上である。
基体の材料の弾性率は、0.5〜10MPa程度である。
表層の材料の弾性率は、0.5〜100GPa程度である。
基体の材料の弾性率(Ea)と表層の弾性率(Eb)の比(Ea/Eb)は、10-5〜10-1程度、好ましくは10-4〜10-2程度である。
弾性率は、JIS K7171、ASTM D790に準拠した方法により測定できる。
表層の材料としては、基体よりも大きな弾性率を有し、基体の収縮とともに周期的な凹凸構造を形成できる材料であれば特に限定されず、例えば金属、セラミック、カーボン、或いは、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル樹脂などのポリマーが挙げられる。
表層は、単層であるのが好ましいが、2層以上の表層を積層させてもよい。このように
することで、表層の特性や基体との密着性を向上させることができる。
表層の厚みとしては、1〜50000nm程度が挙げられる。
基体の厚みとしては、0.3〜20mm程度が挙げられる。
表層の凹凸構造のアスペクト比は、0.01〜0.3程度、例えば0.03〜0.2程度、好ましくは
0.05〜0.15程度である。
図1に示されるように、本発明の材料は、一軸延伸により形成することができ、一方向に周期性を有する凹凸を備えている。凹凸の周期としては、50nm〜500μm程度、凸部の高さとしては、1nm〜20μm程度である。
基体上への表層の形成は、上記のような十分に薄い表層を形成できるものであれば特に限定されないが、金属であればスパッタ、樹脂であれば塗布(スピンコート、キャストな
ど)、セラミックであれば有機セラミック原料のプラズマ酸化処理(表面部分のみが酸化されてセラミックになる)が例示される。また電子線や紫外線、イオン線照射によっても表
面の変性を促し表層を形成可能である。
凹凸構造へ表層材料を塗布する条件としては、塗布後に凹凸構造が残る程度に薄く塗布薄膜を形成できることがあげられる。繰り返しの配向変化をするためには、配向能を有する異方的な凹凸構造が適当な応力変化範囲において可逆的に生成される必要がある。応力は、1軸圧縮と延伸、多軸圧縮と延伸が可能である。アニーリングは雰囲気全体の加熱で
も、光の局所照射による部分的な加熱も可能であり、後者の場合、240 dpi 程度の分解能での配向状態の書き込みが可能である。
本発明の液晶配向表面を有する液晶配向膜は光学異方性を有し、かつ、書き換え可能であり、液晶配向膜で液晶層を挟むことで、液晶表示装置を形成する。
配向記憶強度の時間発展の評価法においては、まず液晶を表面が接触した状況において、温度を上昇させ液晶を液体相に転移させ、続いて、温度を下げることで液晶相に転移させる。この時点を経過時間t=0とする。このときの凹凸方向を仮に0度方向とする。この相転移後に液晶は微小凹凸構造を感じで配向を始め、数分程度後には安定した状態となる。この期間に、液晶配向が界面に記憶される過程も進行している。そこで、t = tp(秒) > 0の時間に、凹凸方向を適当な角度、例えば90度変化させ、その後液晶配向が落ち着くまで待ち、液晶の平均配向方向を評価する。もしこの数分後の液晶配向方向が凹凸変化の前の配向(0度)を示していれば、tp秒の時点において、凹凸変化後の構造による配向の強さ(
Δf)を上回る強さの凹凸変化前の配向記憶(0度方向)が生成されていることを示す。逆に、数分後の液晶配向方向が凹凸変化後の配向(90度)を示していれば、tp秒の時点においては、凹凸変化前の配向(0度)の記憶は進行しておらず、変化後の凹凸方向を液晶が
認識しているということを示す。また、1分後の液晶配向方向が0−90°の間の値や分布がある場合は、tpの時点では記憶強化過程が起こっている最中であるということが言える。ここで、凹凸構造の形状は三角関数で表わされる滑らかな構造であるので、式で近似すると、xを溝と垂直方向の軸として、Asin(2πx/λ)と表わされ、ここで、Aは凹凸の高低
差の半分の値で、λは凹凸周期である。非特許文献(7)によると、この値と液晶弾性定
数を用いて、以下の式からΔfが算出される。ここで、Δfを改めて定義すると、プレティルト角が無いと仮定した場合において、これは液晶配向方向が凹凸構造と並行になった場合と垂直になった場合の界面近傍での液晶弾性歪エネルギーの差である。その式は、
Δf =1/4 (K1K3)1/2A2(2π/λ)3
である。ここで、K1とK3は液晶のスプレイ、ベンド弾性定数である。よって、凹凸変化させても凹凸変化前の凹凸方向が現れる最小の、tp後には、その記憶強度は、Δf程度であ
ることが示される。したがって、tpを、材料や液晶を変えて図ることで、その記憶生成の相対的な時間を評価することができる。また、凹凸形状を変えることでも、詳細な記憶生成過程が明らかにできる。
評価する凹凸表面に対向する界面(例えば、上部の空気−液晶界面)のアンカリング効果によるトルクがその評価する表面でのアンカリングに及ぼす影響は、液晶の厚みをある程度大きく(例えば100ミクロン以上)することで無視できる程度になる。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
10%延伸状態のポリジメチルシロキサン弾性体シート(厚み約1mm)表面に金を数ナ
ノメーターの厚みでスパッタ蒸着し、延伸を解除することで、約1μmの周期を有する一
方向に揃った周期的凹凸構造体を得る。前記構造体にポリアミック酸のNMP(N-メチルピロリドン)溶液(0.2wt%)を5000回転でスピンコート後、2Paの真空中で80℃6時間加熱し、空冷後に本微細凹凸構造を得る。塗布後の凹凸高低差は約70nmであった。この基板に凹凸の溝方向(90度とする)に直交する方向(0度)に延伸ひずみs=10%をか
けることで、はじめに存在した溝が消え、0度方向をもった凹凸が発生する。この周期も
約1μmで、凹凸高低差は約120nmであった。さらに、延伸ひずみを解除(s=0%)にす
ると、はじめの90度の凹凸構造が回復する。その基板上に、室温ネマチック液晶(透明点35.5℃)である4-cyano-4’-n-pentyl biphenyl (5CB)の液滴を作成する。液晶場によっ
て配向する二色性色素であるDisperse Blue14を観察用プローブとして約0.5wt%で含ませ
ることで、ゲストホスト効果によって、偏光板のみでの配向方向の評価が可能となる。s=0%において、液晶滴を形成し、60℃3分アニーリングした後の液晶配向は溝方向と同じ90度であった。このまま室温で、(1)s=10%まで延伸し、凹凸方向を変化さても、液晶配向は90度のままであった。ここで(2)60℃3分アニーリングを行うと、ネマチック相へ
転移後の液晶配向は0度方向になり、凹凸方向と一致した。さらに、室温で(3)s=0%まで延伸を解除すると、液晶配向は0度方向のままであるが、ここでさらに(4)60℃3分アニーリング後には、液晶配向が90度に変化し、元の状態に戻った。図2に、このサイクル((1)延伸―(2)アニール―(3)抜延伸―(4)アニール)における液晶滴の顕微鏡像と対応する凹凸構造を示す。偏向板の方向は90度方向に設定してあるため、今回のゲストホスト効果では液晶配向方向が90度に近いほど、青く(暗く)観察される。さらにこの挙動は20回以上繰り返すことができた。
実施例2
実施例1で光(540nm, 2.5 mW/mm2)を液晶滴に部分的に照射することで、色素への
光吸収起き、熱振動へのエネルギー散逸が起こることで局所的に温度上昇し、部分的にアニールした結果、1部分のみの液晶配向変化を誘起することができた(図2)。240 dpi
程度の分解能での書き込みが可能であることが示されている。
実施例3
実施例1、実施例2でポリアミック酸の代わりにポリビニルアルコールを用いて動作を確認した。
実施例4
実施例1、実施例2でポリアミック酸の代わりにポリビニルピリジンを用いて動作を確認した。
実施例5
実施例1、実施例2でポリアミック酸の代わりにポリメチルメタクリル酸を用いて動作を確認した。
実施例6
実施例1、実施例2でポリアミック酸の代わりにAL1254 (JSR)を用いて動作を確認した。実施例7
実施例1、実施例3で、(2)のアニール後のネマチックへの相転移の時点から一定時間
後(tp秒)に、(3)の抜延伸操作を瞬時に行い、1分後の平均的な配向方向を求めた結果のプロットを図3に示す。表面材料は、ポリアミック酸とポリビニルアルコールの場合を示している。この結果から、ポリアミック酸のほうがポリビニルアルコールより配向記憶による配向強化速度が大きいことを示している。ポリアミック酸においては7秒程度、ポリ
ビニルアルコールにおいては12秒程度での配向記憶によるΔf程度のアンカリングが全表
面で形成されていることを示す。ここで、A = 35 nm, λ= 1μm,(K1, K3) = (7×10-12,
10×10-12 N)を用いると、Δf =約0.648*10-6 J/m2と求められる。
本発明の液晶配向表面または液晶配向膜は、基体(支持体)に対して応力を加え、或いはその応力を部分的もしくは完全に解除することで液晶の方向を可逆的に変えることができ書き換え可能な表示装置に利用することができる。
また、本発明の評価方法により、液晶配向表面に使用される材料の表面記憶特性を定量的に評価することができるようになり、最適な材料の選択が容易に行えるようになる。

Claims (6)

  1. 微細凹凸構造を有する液晶配向膜であって、前記液晶配向膜が座屈表面を有し、液晶配向膜の微細凹凸構造が変化することで液晶配向を変化させることができ、
    液晶配向膜は、基体の上に表層を重ねて構成され、表層は基体よりも弾性率が大きく、該液晶配向膜は基体を延伸した状態で表層を積層し、次に基体の延伸状態を解除することで、表層に座屈変形を起こさせ、波形の凹凸を有する座屈表面を形成したものであり、
    基体の延伸率は1.01〜3であり、
    基体の材料は、ポリシロキサン系ポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素化ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルハイドロゲンシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサン単位のコポリマーあるいはこれらのブレンド、導電性ポリマーとのブレンド、ガラス、ITOから選ばれ、
    基体の材料の弾性率は、0.5〜10MPaであり、
    表層の材料の弾性率は、0.5〜100GPaであり、
    基体の材料の弾性率(Ea)と表層の弾性率(Eb)の比(Ea/Eb)は、10-5〜10-1であり、
    表層の材料は、金属、セラミック、カーボン、シリコーン樹脂、熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル樹脂から選ばれ、
    表層の厚みは、1〜50000nmであり、
    基体の厚みは、0.3〜20mmであり、
    表層の凹凸構造のアスペクト比は、0.01〜0.3である
    ことを特徴とする液晶配向膜。
  2. 前記液晶配向変化が、座屈表面の微細凹凸構造変化と熱処理の併用により行われることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向膜。
  3. 前記熱処理が、光を集光させることによる部分加熱処理であり、それにより局所的な液晶配向変化が行われることを特徴とする請求項2に記載の液晶配向膜。
  4. 前記液晶配向膜の微細凹凸構造が、50nm以上50μm以下の周期を有する、請求項1〜3の
    いずれかに記載の液晶配向膜。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向膜を用いて構成した、液晶表示素子。
  6. (1) 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向膜に液晶材料を液体状態で適用し、この材料を冷却して前記材料を液晶配向膜の方向に沿った液晶状態にする工程、
    (2) 液晶配向膜の配向方向を座屈変形により変化させて液晶の配向記憶形成過程に摂動を与える工程、
    (3) 液晶の配向記憶形成過程において増加していくアンカリング強度と工程(1)の冷却過
    程によって液晶状態に達した後の経過時間との関係を求める工程
    (ここで、「液晶の配向記憶形成過程」は、工程(1)の冷却過程によって液晶状態に達し
    た後に、時間経過と共に、液晶配向膜界面において、凹凸の溝方向への液晶配向状態のアンカリング強度が増加していく過程を意味し、「液晶の配向記憶形成過程に摂動を与える工程」は、液晶の配向記憶形成過程の途中で、凹凸の溝方向を座屈変形により変化させることにより、新たな凹凸形状による配向を促すことで、初期の配向方向のアンカリング強度の増加を妨げる工程を意味する。)
    を含む、前記液晶配向膜の材料に依存する配向記憶形成過程を時間発展的に評価する方法。
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