以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本願において「上端」、「上方」、「下端」、「下方」等のような上下を示す文言が使用される。本願において、「上」とは、シャフト軸線Z1方向における上側を意味し、換言すれば、シャフト後端側又はゴルフクラブのグリップ側を意味する。また「下」とは、シャフト軸線Z1方向における下側を意味し、換言すれば、ヘッドのソール側を意味する。また、特に説明が無い限り、本願において「軸方向」はシャフト軸線Z1方向を意味し、「周方向」は、この軸方向に対する周方向を意味するものとし、「半径方向」とは、上記軸方向に対して垂直な方向を意味するものとする。
図1は本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ2の一部を示す図であり、図2はゴルフクラブ2の分解図である。ゴルフクラブ2は、ヘッド4とシャフト6とを有する。シャフト6の一端部に、ヘッド4が取り付けられている。図示されないが、シャフト6の他端部にはグリップが取り付けられている。更に、図2が示すように、ゴルフクラブ2は、インナー部材8、キャップ10及びワッシャー12を有する。インナー部材8、キャップ10及びワッシャー12は、ヘッド4とシャフト6とを固着するための部材である。
ヘッド4は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。ヘッド4は、クラウン部14、ソール部16、サイド部18、フェース部20及びホーゼル部22を有する。ヘッド4は、中空である。フェース部20には、フェースライン24が設けられている。ヘッド4は、アイアン型ゴルフクラブヘッドでもよいし、他のあらゆるタイプのヘッドであってもよい。
ホーゼル部22は、ねじ部26とホーゼル孔28とを有する。ねじ部26は、ホーゼル部22の上端部に設けられている。ねじ部26は、雄ねじである。ねじ部26は、ホーゼル部22の外周面に形成されている。ホーゼル部22の上端部は、円筒部27とされている。この円筒部27の外周面に、ねじ部26が設けられている。ホーゼル部22の円筒部27と非円筒部との境界には、段差面29が存在する。
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図であり、図4は、図3のIV-IV線に沿ったゴルフクラブ2の断面図であり、図5は、図3のV-V線に沿ったゴルフクラブ2の断面図である。図6は、図2のVI−VI線に沿った断面図である。図6は、ホーゼル部22単独の断面図である。図7は、図2のVII−VII線に沿った断面図である。図7は、インナー部材8単独の断面図である。図8は、キャップ10の断面図である。図9は、キャップ10を上方から見た図である。なお、理解しやすい図面とする目的で、図3及び図6においては、ねじ部の断面形状が考慮されていない。
図5が示すように、ホーゼル孔28の一部は、円筒部27によって形成されている。即ち、円筒部27の内周面が、ホーゼル孔28の上端部を形成する。更にホーゼル孔28は、シャフト軸線Z1方向に沿って下方に延びている。ヘッド4の内部には、ホーゼル孔28を形成するための孔形成部31が設けられている。シャフト軸線Z1方向に対して垂直な方向の断面において、ホーゼル孔28の断面形状は円形である。
図2が示すように、ホーゼル部22は、その上端面30から下方に向かって延在する欠け部32を有する。欠け部32は、ホーゼル部22が存在しない部分である。欠け部32は、円筒部27にのみ存在する。図6が示すように、欠け部32は、円筒部27の周方向において等間隔で設けられている。欠け部32は、円筒部27の周方向において90度おきに設けられている。欠け部32は、4箇所設けられている。
欠け部32は、シャフト軸線Z1に対して平行に延びている。欠け部32の幅は一定である。即ち、欠け部32の幅(周方向幅)は、シャフト軸線Z1方向のあらゆる位置において同一である。
図4及び図5が示すように、シャフト6は管状とされている。シャフト6は円筒状とされている。シャフト6には、中空部34が存在する。この中空部34は、下方に開放されている。
キャップ10は、円筒状である。キャップ10の内部は中空とされている。図8が示すように、キャップ10は内周面36と外周面38とを有する。キャップ10の外周面38は、円周面である。内周面36には、ねじ部40が形成されている。このねじ部40は、雌ねじである。キャップ10は、ねじ部40よりも内側に延びる内方延在部44を有する。内方延在部44は、ねじ部40よりも上側に配置されている。内方延在部44は、キャップ10の上端部に配置されている。内方延在部44は、環状である。内方延在部44の内径Mは、ねじ部40の内径Nよりも小さい。図5が示すように、キャップ10のねじ部40とホーゼル部22のねじ部26とがねじ結合している。換言すれば、ねじ部40とねじ部26とが螺合している。このように、キャップ10とヘッド4とはねじ機構により結合している。キャップ10の外周面38の断面形状は、非円形であってもよい。例えば、外周面38の断面形状は、その少なくとも一部に直線を有する形状であってもよい。例えば、外周面38の断面形状は、六角形等の多角形であってもよい。外周面38の断面形状が非円形とされることにより、ねじ結合させる際にキャップ10が回しやすくなりうる。
ねじ部40及びねじ部26は、打球時にボールから受ける力により、互いに締め付けられるように構成されている。ヘッド4は右利き用である。右利き用のヘッド4の場合、打球時にボールから受ける力により、ヘッド4は、上方(グリップ側)から見て、シャフト軸線を中心として右回りに回転しようとする。この回転により、ねじ部40とねじ部26とが締め付けられるように構成されている。上方(グリップ側)から見てキャップ10が左回りに回転されると、ねじ部40とねじ部26とが締め付けられる。逆に、上方(グリップ側)から見てキャップ10が右回りに回転されると、ねじ部40とねじ部26との締め付けが緩む。このように、ねじ部40及びねじ部26は、左ねじである。
このように、右利き用のゴルフクラブの場合、ねじ部40及びねじ部26は、左ねじとされるのが好ましい。左ねじとされることにより、打球時の衝撃によるねじ結合の緩みが抑制される。打球時の衝撃によるねじ結合の緩みを抑制する観点から、ゴルフクラブが左利き用である場合、ねじ部40及びねじ部26は、右ねじとされるのが好ましい。
ワッシャー12は、リングである。ワッシャー12の外径は、キャップ10の内径Nと略一致している。ワッシャー12の内径は、シャフト6の先端部での外径と略一致している。ねじ止めの際、インナー部材8とキャップ10との相対回転によりインナー部材8が傷つくことがある。ワッシャー12は、インナー部材8の傷つきを抑制しうる。なおワッシャー12は、無くてもよい。また、ワッシャー12の内径がシャフト6の先端部での外径と略一致していることにより、ワッシャー12と、後述される係合面50との係合がより一層確実とされている。
図4及び図5が示すように、インナー部材8は、シャフト挿入孔46と、底部48と、係合面50とを有する。係合面50は、インナー部材8の上端面である。インナー部材8において、シャフト挿入孔46は上方に開口している。シャフト挿入孔46は、インナー部材8の上端面から底部48にまで延在している。インナー部材8は、全体として一体である。一体とされたインナー部材8は、高強度である。
図4及び図5が示すように、シャフト挿入孔46には、シャフト6が挿入されている。シャフト挿入孔46とシャフト6とは、接着により固着されている。換言すれば、シャフト挿入孔46の内周面とシャフト6の外周面とは接着されている。接着には、接着剤が用いられている。シャフト挿入孔46とシャフト6とは、嵌合により固着されていてもよい。嵌合と接着剤による接着とが併用されてもよい。
係合面50は、直接的又は間接的に、キャップ10の内方延在部44と係合しうる。本実施形態では、係合面50は、ワッシャー12を介して間接的に内方延在部44と係合している。この係合により、インナー部材8がキャップ10に対して軸方向上側に移動することが規制されている。この係合により、ホーゼル孔28からのインナー部材8の抜けが防止される。
なお、図1が示すように、ゴルフクラブ2において、インナー部材8は外部から視認されない。インナー部材8はシャフト6、キャップ10及びヘッド4により隠蔽されている。
インナー部材8の少なくとも一部は、ホーゼル孔28に挿入されている。本実施形態では、インナー部材8の全部がホーゼル孔28に挿入されている。ホーゼル孔28に挿入されることにより、インナー部材8は、ホーゼル孔28により保持されている。インナー部材8とホーゼル孔28とは接着されていない。
シャフト6の先端部は、シャフト挿入孔46に挿入されているとともに、ホーゼル孔28の内部に位置している。換言すれば、シャフト6は、シャフト挿入孔46に挿入されつつホーゼル孔28の内部に配置された部分を有する。この構成により、シャフト6はシャフト挿入孔46により保持されるとともに、ホーゼル孔28によっても支持されている。この構成により、シャフト6の先端部に作用する応力がホーゼル孔28によって受け止められる。よって、シャフト挿入孔46及びシャフト6の変形が抑制される。この結果、シャフト6とシャフト挿入孔46との固着が維持されやすくなり、且つインナー部材8がホーゼル孔28から抜けにくくなる。
更に、インナー部材8は、係合凸部56を有する。係合凸部56は、インナー部材8の上端部に設けられている。係合凸部56は、インナー部材8の外面に設けられている。図7が示すように、係合凸部56は、半径方向外側に突出している。係合凸部56は、欠け部32に配置されている。係合凸部56は、欠け部32に挿入されている。係合凸部56と欠け部32とは、係合している。係合凸部56の形状は、欠け部32の形状と対応している。係合凸部56の配置は、欠け部32の配置と対応している。欠け部32と同様に、係合凸部56は、周方向において等間隔おきに配置されている。係合凸部56と欠け部32との係合により、ヘッド4のホーゼル部22とインナー部材8との相対回転(周方向における相対回転)が規制されている。ホーゼル部22とインナー部材8との相対回転を抑制する観点から、係合凸部56は欠け部32に嵌合しているのがよい。ホーゼル部22とインナー部材8との相対回転を抑制する観点から、係合凸部56と欠け部32とは、周方向において隙間がないように嵌合しているのが好ましい。係合凸部56は、少なくとも1個存在すればよい。欠け部32は、少なくとも1個存在すればよい。
欠け部32及び係合凸部56は、ホーゼル孔28に対するインナー部材8の挿入長さS(図5参照)を規制するストッパーの役割をも果たしている。即ち、係合凸部56の下端57と欠け部32の下端59との係合により(図4参照)、インナー部材8の挿入長さSが規制されている。
図4及び図5が示すように、インナー部材8の底部48と、孔形成部31の底部61との間には、空隙k1が存在する。この空隙k1の存在により、インナー部材8の挿入長さSは、欠け部32の下端59と係合凸部56の下端57との当接のみによって規制されている。
次の(当接a)と(当接b)とが併用されることにより、挿入長さSの規制が達成されてもよい。また、(当接a)は存在せず(当接b)が存在していてもよい。
(当接a)係合凸部56の下端57と欠け部32の下端59との当接。
(当接b)インナー部材8の底部48と孔形成部31の底部61との当接。
ただし、(当接a)と(当接b)とが併用される場合、極めて高い寸法精度が達成されない限り、(当接a)の当接圧力と(当接b)の当接圧力との不均衡が生じやすい。この不均衡により、(当接a)又は(当接b)のいずれか一方のみが採用された場合と比較して、かえってインナー部材8の固定が不十分となる場合がある。また、(当接a)と(当接b)とが併用される場合、当接圧力が両方に分散するため、(当接a)の当接圧力が小さくなる。係合凸部56は、挿入長さSを規制するのみならず、インナー部材8とホーゼル孔28との相対回転を規制する役割をも果たしている。よって、(当接a)の当接圧力が小さくなると、インナー部材8とホーゼル孔28との相対回転を規制する効果も減少することがある。このように、インナー部材8の固定を確実とし、シャフト6のガタツキを抑制する観点から、(当接a)と(当接b)とは併用されないのが好ましく、更には、上記実施形態の如く、(当接a)を有し且つ(当接b)を有さないのがより好ましい。この観点から、上記空隙k1が存在するのが好ましい。
前述したように、インナー部材8は、係合面50を有する。この係合面50は、インナー部材8の中心軸線Z2に対して垂直な平面を構成している。インナー部材8の中心軸線Z2は、シャフト軸線Z1と一致している。
前述したように、本実施形態では、係合面50は、インナー部材8の上端面を構成している。係合面50は、インナー部材8の上端面を構成していなくてもよい。例えばインナー部材8の外面において、インナー部材8の長手方向中間位置に段差面を設け、この段差面が係合面とされてもよい。
シャフト6の下端の端面60は、インナー部材8の底部48に当接している。この当接により、シャフト挿入孔46に対するシャフト6の挿入長さが最大限となり、インナー部材8とシャフト6との当接面積が大きくされうる。これにより、シャフト6とインナー部材8との固着がより一層確実とされている。端面60は、底部48に当接していなくてもよい。
図2が示すように、インナー部材8は、円周面部62と係合部64とを有する。円周面部62は、外面が円周面である部分である。係合部64は、外面に係合凸部56が配置された部分である。円周面部62と係合部64との境界は、係合凸部56の下端57である。係合部64は、円周面部62の上側に位置している。係合部64の上端面は、係合面50である。
係合面50の存在により、インナー部材8の上端面には、円周面部62よりも半径方向外側に延びる外方延在面66が設けられる(図4参照)。外方延在面66は、係合面50の一部である。この外方延在面66は、係合凸部56の上端面である。この外方延在面66により、インナー部材8が内方延在部44と係合しやすくされている。係合凸部56は、係合面50を広くする役割を果たす。係合凸部56により、インナー部材8とキャップ10との係合がより一層確実となる。また、この係合凸部56の存在を可能としているのは、欠け部32である。欠け部32は、係合凸部56が設置されるためのスペースを確保している。
図4及び図5が示すように、キャップ10の内方延在部44が、インナー部材8の係合面50と係合している。この係合は、直接的でもよいし、間接的でもよい。この係合により、インナー部材8がホーゼル孔28に対して上方に移動することが規制されている。この係合により、インナー部材8のホーゼル孔28からの抜けが防止されている。
本実施形態では、内方延在部44と係合面50とが間接的に係合している。即ち、内方延在部44と係合面50とは、ワッシャー12を介して係合している。内方延在部44と係合面50とが直接係合してもよい。内方延在部44の内径M(図8参照)は、シャフト6の下端におけるシャフト外径と略等しくされている。つまり、内径Mは、シャフト6と干渉しない限度において最小限に設定されている。これにより、内方延在部44と係合面50との係合がより一層確実となる。なお、内方延在部44は、環状でなくてもよい。例えば内方延在部44は、突起であってもよい。
キャップ10とホーゼル部22とを相対回転させ、ねじ部40をねじ部26にねじ込んでいくに従い、キャップ10はホーゼル部22に対して下方へと移動する。この移動により、内方延在部44が係合面50に近づく。更にねじ込むと、内方延在部44が直接的又は間接的に係合面50を下方に向かって押圧した状態となる。この押圧により、ホーゼル部22に対するインナー部材8の固定が確実とされうる。図4及び図5が示すように、本実施形態のゴルフクラブ2は、内方延在部44が間接的に係合面50を押圧しうるように構成されている。本実施形態では、内方延在部44がワッシャー12を介して係合面50を押圧している。内方延在部44が直接的に係合面50を押圧してもよい。内方延在部44が係合面50を直接的又は間接的に押圧しうるように、各ねじ部の長さや配置等が適宜設計される。
図5が示すように、上記実施形態では、係合面50とホーゼル端面30との軸方向位置が略一致している。本発明はこのような態様に限定されない。例えば、係合面50の軸方向位置は、ホーゼル端面30の軸方向位置よりも上側であってもよい。例えば、インナー部材8の一部のみがホーゼル孔28に挿入されている場合、係合面50の軸方向位置がホーゼル端面30の軸方向位置よりも上側とされうる。インナー部材8は、ホーゼル孔28挿入されていない部分を有していてもよい。
上記実施形態では、ホーゼル孔28に対するインナー部材8の挿入長さSを規制する挿入長規制機構を有している。前述したように、本実施形態では、この挿入長規制機構は、係合凸部56と欠け部32との係合である。他の挿入長規制機構として、例えば、ホーゼル孔28の底部に設けられインナー部材8の下端面と当接するストッパーが挙げられる。
このような挿入長規制機構により、ホーゼル部22に対するインナー部材8の固定がより一層確実とされうる。即ち、インナー部材8は、上記挿入長規制機構により下側から支持されうるとともに、上記ねじ機構により上方から下方に向かって押圧されうる。よってインナー部材8は、ホーゼル部22とキャップ10とにより挟持された状態となり、ヘッド4に対して固定される。更に、前述したように、空隙k1の存在により、(当接a)は存在し、(当接b)は存在しない。よって、ねじ機構による押圧力が(当接b)に分散することがない。空隙k1の存在により、ホーゼル部22とキャップ10とによる係合凸部56の挟持がより一層確実とされている。係合凸部56の挟持が確実とされることにより、インナー部材8の周方向におけるガタツキが抑制されるとともに、インナー部材8の上下方向におけるガタツキも抑制される。このように、空隙k1の存在により、シャフト6の固定がより一層確実とされている。
前述したように、インナー部材8とシャフト6とは固着されている。よって、インナー部材8がヘッド4に対して固定されれば、シャフト6がヘッド4に対して固定される。また、ねじ機構を緩めることにより、ヘッド4とシャフト6との固定が容易に解除されうる。
ゴルフクラブ2の組立手順として、次の手順1又は手順2が例示される。
[組立手順1]は、以下の工程(1)から(4)である。
(1)キャップ10及びワッシャー12にシャフト6を挿通する。
(2)インナー部材8のシャフト挿入孔46にシャフト6を差し込み、シャフト6とインナー部材8とを接着剤等により接合する。
(3)インナー部材8をホーゼル孔28に差し込む。
(4)キャップ10とホーゼル部22とをねじ止めする。
[組立手順2]は、以下の工程(1)から(4)である。
(1)キャップ10内にワッシャー12及びインナー部材8を配置する。
(2)インナー部材8のシャフト挿入孔46にシャフト6を差し込み、シャフト6とインナー部材8とを接着剤等により接合する。
(3)インナー部材8をホーゼル孔28に差し込む。
(4)キャップ10とホーゼル部22とをねじ止めする。
上記手順1又は手順2により組み立てられた後は、シャフト6の着脱は容易である。即ち、ねじ機構によりシャフト6がヘッド4に対して着脱されうる。組み立てられる前の部品としてシャフト6を販売する場合、上記組立手順1又は手順2において工程(2)まで終了してなる部材が販売されてもよい。
ヘッドの材質は、限定されない。ヘッドの材質として、チタン、チタン合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、ステンレス鋼、マルエージング鋼、マグネシウム合金、アルミニウム合金、鉄等が例示される。複数の材質を組み合わせたヘッドでもよい。鋳造により作製されたヘッド本体と、鍛造又はプレスにより作製されたフェース部とが接合されたヘッドであってもよい。
ヘッドの構造は、限定されない。ヘッドは、全体として一体成形されていてもよいし、複数の部材を接合してなるものであってもよい。ヘッドの製造方法は限定されない。ヘットの製造方法として、ロストワックス精密鋳造等の鋳造、鍛造等が例示される。ヘッドは、キャップとねじ結合しうる突出部分を有している。
シャフトの材質は、限定されない。シャフトの材質として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)や金属が例示される。いわゆるカーボンシャフトやスチールシャフトが好適に用いられうる。また、シャフトの構造は、限定されない。
インナー部材の材質は、限定されない。クラブ重量の増加を抑制する観点から、インナー部材は軽量であるのが好ましい。この観点から、インナー部材の比重は、4.6以下であるのが好ましく、4.5以下であるのがより好ましい。打球の衝撃による破損を抑制する観点から、インナー部材は高強度であるのが好ましい。これらの観点から、好ましいインナー部材の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、樹脂等である。
キャップの材質は、限定されない。打球の衝撃による破損を抑制する観点から、キャップは高強度であるのが好ましい。この観点からは、キャップの材質として、金属が好ましい。クラブ重量の増加を抑制する観点から、キャップは軽量であるのが好ましい。この観点から、キャップの比重は、4.6以下であるのが好ましく、4.5以下であるのがより好ましい。これらの観点を総合的に考慮すると、より好ましいキャップの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、樹脂等である。
ワッシャーの材質は、限定されない。クラブ重量の増加を抑制する観点から、ワッシャーは軽量であるのが好ましい。この観点から、ワッシャーの比重は、4.6以下であるのが好ましく、4.5以下であるのがより好ましい。打球の衝撃による破損を抑制する観点から、ワッシャーは高強度であるのが好ましい。これらの観点から、好ましいワッシャーの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、樹脂等である。
図5において両矢印Aで示されるのは、ホーゼル孔28の深さである。ホーゼル孔28によるインナー部材8の支持を確実とする観点から、深さAは、20mm以上が好ましく、23mm以上がより好ましく、28mm以上が更に好ましい。ホーゼル部の重量を抑え、重心距離が過度に短くなることを抑制する観点から、深さAは、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましく、43mm以下が更に好ましい。
図4において両矢印Bで示されるのは、ホーゼル孔28の孔径である。ホーゼル孔28によるインナー部材8の支持を確実とする観点から、孔径Bは、5.0mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましく、8.0mm以上が更に好ましい。ホーゼル部の重量を抑え、重心距離が過度に短くなることを抑制する観点から、孔径Bは、17.0mm以下が好ましく、15.0mm以下がより好ましく、12.0mm以下が更に好ましい。
図5において両矢印Cで示されるのは、ねじ部26の軸方向長さである。ねじ部を長くしてねじ機構の締結力を高める観点から、長さCは、5.0mm以上が好ましく、7.0mm以上がより好ましく、10.0mm以上が更に好ましい。重心距離が過度に短くなることを抑制するとともに重心が過度に高くなることを抑制する観点から、長さCは、20.0mm以下が好ましく、17.0mm以下がより好ましく、15.0mm以下が更に好ましい。
図7において両矢印Dで示されるのは、係合部64におけるインナー部材8の最大径である。インナー部材8とホーゼル部22との相対回転を抑制しインナー部材8の強度を高める観点から、最大径Dは、7.0mm以上が好ましく、9.0mm以上がより好ましく、10.0mm以上が更に好ましい。インナー部材8の重量が過度に増加すると、インナー部材8を含めたヘッド部分の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。インナー部材8の重量を抑える観点から、最大径Dは、19.0mm以下が好ましく、17.0mm以下がより好ましく、15.0mm以下が更に好ましい。
図4において両矢印Eで示されるのは、インナー部材8における円周面部62の外径である。インナー部材8の強度を向上させる観点から、外径Eは、5.0mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましく、8.0mm以上が更に好ましい。外径Eが大きすぎる場合、ホーゼル孔28の孔径Bが大きくなり、ホーゼル部22が過度に重くなりやすい。ホーゼル部22の重量を抑え、重心距離が過度に短くなることを抑制する観点から、外径Eは、17.0mm以下が好ましく、15.0mm以下がより好ましく、12.0mm以下が更に好ましい。
ホーゼル孔28によるインナー部材8の支持を確実とする観点から、円周面部62の外径Eは、ホーゼル孔28の孔径Bと略同一であるのが好ましい。具体的には、外径E(mm)と孔径B(mm)とは、次の関係式を満たすのが好ましい。
[B−0.20]≦E≦B
図4において両矢印Fで示されるのは、係合凸部56の軸方向長さである。インナー部材8とホーゼル部22との相対回転を抑制するとともに、係合凸部56の強度を高める観点から、長さFは、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。インナー部材8の重量が過度に増加すると、インナー部材8を含めたヘッド部分の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。インナー部材8の重量を抑える観点から、長さFは、20mm以下が好ましく、17mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましい。
図4において両矢印Kで示されるのは、欠け部32の軸方向長さである。インナー部材8とホーゼル部22との相対回転を抑制する観点から、長さKは、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。ホーゼル部22の重量が大きすぎると、ヘッド4の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。ホーゼル部22の重量を抑える観点から、長さKは、20mm以下が好ましく、17mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましい。
係合凸部56の上端面が欠け部32の上端よりも下側であると、係合凸部56が押圧されにくい。換言すれば、係合凸部56の上端面がホーゼル端面30よりも下側であると、係合凸部56が押圧されにくい。この観点から、係合凸部56の軸方向長さFは、欠け部32の軸方向長さK以上であるのが好ましい。
図5において両矢印Gで示されるのは、インナー部材8の軸方向長さである。シャフト6とインナー部材8との接着強度を高めるとともに上記した挿入長さSを長くする観点から、長さGは、20mm以上が好ましく、23mm以上がより好ましく、28mm以上が更に好ましい。インナー部材8の重量が過度に増加すると、インナー部材8を含めたヘッド部分の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。インナー部材8の重量を抑える観点から、長さGは、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましく、43mm以下が更に好ましい。
図9において両矢印Mで示されるのは、キャップ10における内方延在部44の内径である。シャフト6の先端部が過度に細くなることを抑制しシャフト6の強度を高める観点から、内径Mは、5.0mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましく、7.0mm以上が更に好ましい。シャフト6の先端部が過度に太くなることを抑制しシャフト6の先端部が硬くなりすぎないようにする観点から、内径Mは、12.0mm以下が好ましく、11.0mm以下がより好ましく、10.0mm以下が更に好ましい。
シャフト6の挿通を許容させつつ、内方延在部44と係合面50との係合を確実とする観点から、この内径M(mm)とシャフトの先端外径X(mm)とは、次の関係式を満たすのが好ましい。
[M−0.50]≦X≦M
シャフト6の先端部が過度に細くなることを抑制しシャフト6の強度を高める観点から、シャフトの先端外径Xは、5.0mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましく、7.0mm以上が更に好ましい。シャフト6の先端部が過度に太くなることを抑制しシャフト6の先端部が硬くなりすぎないようにする観点から、シャフトの先端外径Xは、12.0mm以下が好ましく、11.0mm以下がより好ましく、10.0mm以下が更に好ましい。
図8において両矢印Nで示されるのは、キャップ10におけるねじ部40の内径(最小内径)である。ねじ機構の締結強度を高める観点から、内径Nは、7.0mm以上が好ましく、9.0mm以上がより好ましく、10.0mm以上が更に好ましい。キャップ10の重量が過度に増加すると、キャップ10を含めたヘッド部分の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。キャップ10の重量を抑える観点から、内径Nは、20.0mm以下が好ましく、18.0mm以下がより好ましく、16.0mm以下が更に好ましい。
図8において両矢印Lで示されるのは、キャップ10におけるねじ部40の軸方向長さである。ねじ機構の締結力を高める観点から、長さLは、5.0mm以上が好ましく、7.0mm以上がより好ましく、10.0mm以上が更に好ましい。キャップ10の重量が過度に増加すると、キャップ10を含めたヘッド部分の重心位置が、過度に高くなったりヒール寄りになったりしやすい。キャップ10の重量を抑える観点から、長さLは、21.0mm以下が好ましく、17.0mm以下がより好ましく、15.0mm以下が更に好ましい。
インナー部材8のシャフト挿入孔46とシャフト6との固着力を高める観点から、シャフト6の先端外径X(mm)と、シャフト挿入孔46の内径Y(mm)とは、次の関係式を満たすのが好ましい。
[Y−0.20]≦X≦Y
図4において両矢印Jで示されているのは、シャフト挿入孔46に対するシャフト6の挿入長さである。インナー部材8とシャフト6との固着力を高める観点から、挿入長さJは25mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、35mm以上が更に好ましい。インナー部材8が過度に重くなることを抑制する観点から、挿入長さJは、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましく、43mm以下が更に好ましい。
図4において両矢印Pで示されているのは、シャフト挿入孔46に固着され且つホーゼル孔28の内部に存在している部分のシャフト長さである。シャフト挿入孔46及びシャフト6がホーゼル孔28に支持されることにより、シャフト挿入孔46内においてシャフト6が変形しにくくなり、シャフト挿入孔46とシャフト6との固着が維持されやすくなる。この観点から、長さPは、25mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、35mm以上が更に好ましい。ホーゼル部22及びインナー部材8が過度に重くなることを抑制する観点から、長さPは、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましく、43mm以下が更に好ましい。
上記の通り、ゴルフクラブ2では、単純な構造で、ヘッドとシャフトとの着脱が自在なゴルフクラブが実現される。ヘッド側のねじ部は、通常のホーゼルを有するヘッドであれば容易に作製されうる。即ち、本発明は、一般的な構造のヘッドに適用可能であり、汎用性が高い。
図10及び図11は、他の実施形態に係るゴルフクラブ70の断面図である。図10は、ゴルフクラブ2における上記図4に対応する断面図であり、図11は、ゴルフクラブ2における上記図5に対応する断面図である。図10と図11との関係は、図4と図5との関係に等しい。前述したゴルフクラブ2と異なり、ゴルフクラブ70は、隣接部材72を有する。図10の拡大部が示すように、隣接部材72は、介在部74と、被覆部76とを有する。介在部74は、環状である。介在部74の内周面は、シャフト6の外周面に接している。被覆部76は、環状である。被覆部76は、上面76aと、下面76bと、傾斜面76cと、内周面76dとを有する。内周面76dは、シャフト6の外周面に接している。内周面76dは、介在部74の内周面とともに、隣接部材72の内周面を構成する。隣接部材72の内周面は、シャフト6を挿入するための貫通孔72aを形成している。
上面76aは半径方向に沿って延びている。下面76bは半径方向に沿って延びている。傾斜面76cは、上面76aと下面76bとの間に延びている。傾斜面76cは円錐面である。上面76aに近づくほど傾斜面76cの外径は小さくなる。下面76bの外径は、キャップ78の上面(上端面)78aの外径に等しい。被覆部76の外形は、いわゆるフェラルと同様である。
ゴルフクラブ70は、キャップ78を有する。隣接部材72の有無及びキャップの形態を除き、ゴルフクラブ70は、前述されたゴルフクラブ2と同じである。ゴルフクラブ70におけるヘッド4、シャフト6、インナー部材8、ワッシャー12は、ゴルフクラブ2のそれらと同じである。ゴルフクラブ2と同じ部分については、以下において説明が適宜省略される。図10及び図11において、ゴルフクラブ2と同じ部分については、図4及び図5と同じ符号が用いられる。
キャップ78は、円筒状である。キャップ78の内部は中空とされている。キャップ78は、内周面80と外周面82とを有する。外周面82は、円周面である。内周面80には、ねじ部84が形成されている。このねじ部84は、雌ねじである。
キャップ78は、ねじ部84よりも内側に延びる内方延在部86を有する。内方延在部86は、ねじ部84よりも上側に配置されている。内方延在部86は、キャップ78の上端部に配置されている。内方延在部86は、環状である。内方延在部86の内径M1(図示省略)は、ねじ部84の内径N(図示省略)よりも小さい。図11が示すように、キャップ78のねじ部84とホーゼル部22のねじ部26とがねじ結合している。換言すれば、ねじ部84とねじ部26とが螺合している。このように、キャップ78とヘッド4とはねじ機構により結合している。キャップ78の外周面82の断面形状は、非円形であってもよい。例えば、外周面82の断面形状は、その少なくとも一部に直線を有する形状であってもよい。例えば、外周面82の断面形状は、六角形等の多角形であってもよい。外周面82の断面形状が非円形とされることにより、ねじ結合させる際にキャップ78が回しやすくなりうる。
本実施形態に係るキャップ78と前述したキャップ10との相違は、内方延在部86の内径にある。キャップ78における内方延在部86の内径M1は、キャップ10における内方延在部44の内径Mよりも大きい。内方延在部の内径を除き、キャップ78とキャップ10とは同じである。
介在部74は、内方延在部86とシャフト6との間に位置する。即ち介在部74は、内方延在部86の内周面86aとシャフト6の外面との間に位置する。被覆部76は、キャップ78の上面78aの少なくとも一部を覆っている。被覆部76は、上面78aの全体を覆っている。被覆部76と介在部74とは一体である。被覆部76と介在部74とは一体成形されている。この一体成形により、隣接部材72の強度及び耐久性は高い。
インナー部材8の係合面50は、ワッシャー12を介して間接的に内方延在部86と係合している。この係合により、インナー部材8がキャップ78に対して軸方向上側に移動することが規制されている。この係合により、ホーゼル孔28からのインナー部材8の抜けが防止される。
内方延在部86の内径M1は、介在部74の存在を許容しつつ係合面50と係合するように調整されている。内方延在部86の内径M1は、内周面86aと対向する位置におけるシャフト6の外径よりも大きい。内方延在部86の内径M1は、係合面50の外径よりも小さい。内方延在部86の内径M1は、ワッシャー12の外径よりも小さい。
本実施形態では、内方延在部86と係合面50とが間接的に係合している。即ち、内方延在部86と係合面50とは、ワッシャー12を介して係合している。内方延在部86と係合面50とが直接係合してもよい。なお、内方延在部86は、環状でなくてもよい。例えば内方延在部86は、突起であってもよい。
キャップ78とホーゼル部22とを相対回転させ、ねじ部84をねじ部26にねじ込んでいくに従い、キャップ78はホーゼル部22に対して下方へと移動する。この移動により、内方延在部86が係合面50に近づく。更にねじ込むと、内方延在部86が直接的又は間接的に係合面50を下方に向かって押圧した状態となる。この押圧により、ホーゼル部22に対するインナー部材8の固定が確実とされうる。図10及び図11が示すように、本実施形態のゴルフクラブ70は、内方延在部86が間接的に係合面50を押圧しうるように構成されている。本実施形態では、内方延在部86がワッシャー12を介して係合面50を押圧している。内方延在部86が直接的に係合面50を押圧してもよい。内方延在部86が係合面50を直接的又は間接的に押圧しうるように、各ねじ部の長さや配置等が適宜設計される。
前述したように、インナー部材8とシャフト6とは固着されている。よって、インナー部材8がヘッド4に対して固定されれば、シャフト6がヘッド4に対して固定される。また、ねじ機構を緩めることにより、ヘッド4とシャフト6との固定が容易に解除されうる。
隣接部材72は、キャップ78に固定されていてもよい。例えば隣接部材72とキャップ78とが接着されていてもよい。ゴルフクラブ70を組み立てる前に予め隣接部材72をキャップ78に固定しておく場合、ゴルフクラブ70の組み立てが容易となりうる。隣接部材72は、キャップ78に固定されていなくてもよい。
隣接部材72は、シャフト6に固定されていてもよい。例えば隣接部材72の貫通孔72aにシャフト6を圧入することにより、隣接部材72がシャフト6に対して固定されてもよい。この場合、貫通孔72aの直径は、この貫通孔72aに挿入される位置におけるシャフト6の外径Ds(図示省略)と同じとされるか、又はこのシャフト6の外径Dsよりも若干小さくされる。隣接部材72がシャフト6に接着されていてもよい。隣接部材72は、シャフト6に固定されていなくてもよい。隣接部材72は、シャフト6又はキャップ78のいずれかに固定されていればよい。
図10において両矢印Q1で示されているのは、介在部74の半径方向厚さである。この厚さQ1は、半径方向に沿って測定される。強度の観点から、厚さQ1は、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1.0mm以上が更に好ましい。後述される長さQ4を大きくしてキャップ78の強度を高める観点から、厚さQ1は、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
図10において両矢印Q2で示されているのは、被覆部76の最大長さである。この長さQ2は、軸方向に沿って測定される。強度の観点から、長さQ2は、2.0mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3.0mm以上が更に好ましい。被覆部76の軽量化の観点から、長さQ2は、10mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下が更に好ましい。
図10において両矢印Q3で示されているのは、内方延在部86の軸方向厚さである。この厚さQ3は、軸方向に沿って測定される。内方延在部86の強度の観点から、厚さQ3は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.5mm以上が更に好ましい。キャップ78の軽量化の観点から、厚さQ3は、4.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
図10において両矢印Q4で示されているのは、内方延在部86の半径方向長さである。この長さQ4は、半径方向に沿って測定される。内方延在部86の強度の観点から、長さQ4は、2.0mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、4.0mm以上が更に好ましい。キャップ78の軽量化の観点から、長さQ4は、8.0mm以下が好ましく、7.0mm以下がより好ましく、6.0mm以下が更に好ましい。
ゴルフクラブ70の組立手順として、次の手順3、手順4及び手順5が例示される。
[組立手順3]は、以下の工程(1a)から(6a)である。
(1a)隣接部材72にシャフト6を挿通しつつ、隣接部材72とシャフト6との間に接着剤を塗布する。
(2a)キャップ78及びワッシャー12にシャフト6を挿通する。
(3a)インナー部材8のシャフト挿入孔46にシャフト6を差し込み、シャフト6とインナー部材8とを接着剤等により接合する。
(4a)インナー部材8をホーゼル孔28に差し込む。
(5a)キャップ78とホーゼル部22とをねじ止めする。
(6a)上記工程(1a)で塗布された接着剤を硬化させる。
[組立手順4]は、以下の工程(1b)から(5b)である。
(1b)隣接部材72にシャフト6を圧入する。
(2b)キャップ78及びワッシャー12にシャフト6を挿通する。
(3b)インナー部材8のシャフト挿入孔46にシャフト6を差し込み、シャフト6とインナー部材8とを接着剤等により接合する。
(4b)インナー部材8をホーゼル孔28に差し込む。
(5b)キャップ78とホーゼル部22とをねじ止めする。
[組立手順5]は、以下の工程(1c)から(5c)である。
(1c)隣接部材72とキャップ78とを接着剤により接着する。
(2c)隣接部材72が接着されたキャップ78及びワッシャー12にシャフト6を挿通する。
(3c)インナー部材8のシャフト挿入孔46にシャフト6を差し込み、シャフト6とインナー部材8とを接着剤等により接合する。
(4c)インナー部材8をホーゼル孔28に差し込む。
(5c)キャップ78とホーゼル部22とをねじ止めする。
これらの手順3から5の他に、上記組立手順2に準じた組立手順も採用されうる。
組立手順4の場合、圧入により隣接部材72がシャフト6に固定されるが、この固定位置は、最終的に組み立てられた状態における隣接部材72の位置に一致させなければならない。この位置合わせには高い精度が要求される。組み立ての容易性の観点から、シャフト6は、隣接部材72の貫通孔に圧入されていないのが好ましい。組み立ての容易性の観点から、隣接部材72はキャップ78又はシャフト6に接着されているのが好ましい。組立手順5は、工程(2c)以降において隣接部材72とキャップ78とを一体的に扱うことを可能とする。この観点から、隣接部材72はキャップ78に接着されているのが更に好ましい。
打球による衝撃力により、キャップの上面おいて応力集中が生じうる。隣接部材72は、この応力集中を緩和しうる。図4の実施形態(ゴルフクラブ2)では、内方延在部44の内周面がシャフト6の外面に当接している。これに対して、図10の実施形態(ゴルフクラブ70)では、内方延在部86とシャフト6との間に介在部74が存在している。この介在部74により、キャップ78の上面78aのエッジとシャフト6との当接が防止されるため、応力集中が緩和されうる。この応力集中の緩和により、シャフト6の耐久性が高まる。
キャップ78は、ヘッド4に螺合されている。よってヘッド4とキャップ78との一体性は高い。よって、シャフト6が曲げられた場合であっても、キャップ78は、ヘッド4に強く拘束される。即ちキャップ78は、シャフト6の曲がりに追従して動きにくい。これに対して、ヘッド4と隣接部材72との一体性は低い。隣接部材72は、シャフト6の曲がりに追従して動きやすい。よって隣接部材72の存在により、応力集中が緩和されうる。更に、被覆部76の存在により、隣接部材72の貫通孔72aの長さが長くなる。これにより、隣接部材72は、シャフト6の動きに追従して動きやすい。よって被覆部76の存在により、応力集中がより一層緩和されうる。
前述の通り、隣接部材72では、被覆部76が存在する。介在部74に加えて被覆部76が存在することにより、隣接部材72とシャフト6との接触面積が大きくされうる。接触面積の拡大により、応力集中がより一層緩和されうる。
隣接部材72の材質が選択されることにより、応力集中の緩和効果が向上しうる。応力集中の緩和効果を高める観点から、隣接部材72の材質は、非金属であるのが好ましい。加工性及び柔軟性の観点から、隣接部材72の基材として、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ABS樹脂及びポリプロピレンが好ましく、酢酸セルロースがより好ましい。
強度の観点から、隣接部材72の材質のヤング率Ygは、0.1GPa以上が好ましく、1.0GPa以上がより好ましく、3.0GPa以上が更に好ましい。応力集中を緩和する観点から、ヤング率Ygは、20GPa以下が好ましく、19GPa以下がより好ましく、15GPa以下が更に好ましい。
ヤング率Ygの測定方法が図12で示される。試験片S1は、JIS Z2204の金属材料曲げ試験片に準拠した3号試験片とされる。試験片S1の断面形状は長方形とされる。この試験片S1の寸法は、幅Wが20mmとされ、厚さTが3.0mmとされる。試験片S1の長さは、150mmとされる。スパンL1が30mmとされた2つの支持体P1、P2の上に、試験片S1が載置される。試験片S1は水平に載置される。試験片S1は、断面の長方形における長辺が水平となるように載置される。支持点p1及びp2を二等分する位置にF(N)の荷重fを作用させて、たわみ量H1(mm)が測定される。荷重fは、100Nである。荷重fは、圧子A1により付与される。試験装置として、インテスコ社製の「インテスコ(ロードセル2トン)」が用いられる。測定は、JIS Z2248に準拠してなされる。ヤング率Yg(GPa)は次の式により計算される。
Yg=[(L13×F)/(4×W×T3×H1)]×10−3