JP5316390B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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そこで、請求項1に記載の発明によると、内燃機関の無噴射減速運転時に噴射指令手段からの噴射指令信号により燃料噴射弁が燃料噴射を実行することにより生じる内燃機関の回転数の変動量に基づいて燃料噴射弁の実噴射量を噴射量推定手段が推定し、噴射量推定手段が推定する実噴射量と噴射指令手段が燃料噴射弁に指令する指令噴射量との差に基づいて補正手段が噴射量補正値を算出する。そして、噴射時期設定手段は、無噴射減速運転時において噴射指令手段が燃料噴射弁に指令する学習用噴射の噴射時期を、回転数の変動量が極力大きくなるように適合される適合時期で噴射するよりも回転数の変動量が小さい時期を少なくとも含んで設定する。
このように、無噴射減速運転時において低下中の内燃機関の回転数に応じて噴射時期を設定することにより、無噴射減速運転時の高速回転時よりも低速回転時に発生する振動および燃焼音が小さくなる噴射時期に学習用噴射を実行できる。
噴射時期を遅角させると回転数の変動量が小さくなり、学習用噴射により発生する振動および燃焼音も小さくなる。したがって、内燃機関の回転により発生する振動および音が高速回転側よりも小さくなる低速回転側において、噴射時期を高速回転側よりも遅角させることにより、学習用噴射により発生する振動および燃焼音が車両搭乗者に感知されにくくなる。
また、請求項8に記載の発明によると、走行状態判定手段は、内燃機関の回転数が所定回転数以下の低速回転のとき、回転数の変動量を低減すると判定する。
このように、請求項7から9に記載の発明において、車両に搭載された音を発生する装置がオフ状態のとき、あるいは内燃機関の回転数が所定回転数以下の低速回転のとき、あるいは窓が全閉のときには、車内の静寂度が高くなる。この場合、回転数の変動量を低減するように噴射時期を設定することにより、学習用噴射により発生する振動および燃焼音を搭乗者に感知されにくくすることができる。
これにより、緩やかな加減速運転が実行されてきている場合には、回転数の変動量を低減する噴射時期に学習用噴射を実行すると判断する。一方、急激な加減速運転が実行されてきている場合には、回転数の変動量が大きくなる噴射時期に学習用噴射を実行してもよいと判断する。
本実施形態による燃料噴射システムを図1に示す。
(燃料噴射システム10)
燃料噴射システム10は、例えば、自動車用の4気筒のディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」ともいう。)2に燃料を噴射するためのものである。燃料噴射システム10は、燃料供給ポンプ14と、コモンレール20と、燃料噴射弁30と、電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)40とを備えている。
ECU40は、燃料噴射弁30に噴射を指令する噴射指令信号のパルス幅と噴射量との相関を示す噴射特性マップを、コモンレール圧の所定の圧力範囲毎にROMまたはフラッシュメモリに記憶している。そして、ECU40は、エンジン回転数およびアクセル開度に基づいて燃料噴射弁30の噴射量が決定されると、圧力センサ22が検出したコモンレール圧に応じて該当する圧力範囲の噴射特性マップを参照し、決定された噴射量を燃料噴射弁30に指令する噴射指令信号のパルス幅を噴射特性マップから取得する。
ECU40は、以下に示す噴射量学習条件が成立していると、燃料噴射弁30に学習用の単発の燃料噴射を指令する。噴射量学習条件が成立している場合、単発の学習用噴射が所定回数実行される。
(1)エンジン2の運転状態が、アクセル開度が0になってエンジン2が減速運転になり、燃料噴射弁30からの噴射量が0になっている無噴射減速運転状態である。
(2)吸気温、水温が所定範囲内。
(3)エンジン回転数の変動が所定範囲内。
(4)前回実行した学習用噴射からの走行距離が所定距離に達した。
(1)車両に搭載されているオーディオ等の音響装置がオフ状態である。
(2)作動音を発生する車両搭載装置としてエアコン等がオフ状態である。
(3)窓が全閉である。
(4)エンジン回転数が所定回転数以下の低速回転である。
(5)エンジン2の加速運転および減速運転の運転履歴に基づいて、運転者が緩やかな加減速運転をする。
また、無噴射減速運転時には、時間経過とともにエンジン回転数が低下するので、例えば、図3の点線212に示すように、従来のように適合時期である10°CA進角側で学習用噴射を実行しても、エンジン回転数の低下ととともに噴射間隔が広がり、振動および燃焼音は低減する。
Qavrg=Σ{ka×Qa(i)+kb×Qb(j)+kc×Qc(k)}/(ka×na+kb×nb+kc×nc) ・・・(1)
式(1)に示すパラメータおよび項は以下の意味を表している。
(a)ka、kb、kc:期間Ta、Tb、Tcにおいて推定された実噴射量の重み係数。例えば、噴射時期が適合時期から離れるほど重み係数は小さくなり、ka=100、kb=10、kc=1に設定される。
(b)na、nb、nc:期間Ta、Tb、Tcにおいて実行された噴射回数。
(c)Qa(i)、Qb(j)、Qc(k):期間Ta、Tb、Tcにおいて噴射毎に推定された実噴射量。
(d)式(1)の分子:期間Ta、Tb、Tcにおいて推定された各実噴射量Qa(i)、Qb(j)、Qc(k)に重み係数ka、kb、kcを乗算したものを、それぞれi=1〜na、j=1〜nb、k=1〜ncの範囲で合計したもの。
図5に、噴射量学習ルーチンのフローチャートを示す。図5の噴射量学習ルーチンは常時実行される。図5において、「S」はステップを表している。
問題になる走行状態ではない場合(S402:No)、S406においてECU40は、回転数の変動量が極力大きくなるように適合された適合時期、例えばTDCよりも10°CA進角側を学習用噴射の噴射時期とする通常の学習用噴射を実行する。そして、学習用噴射により発生した回転数変動からトルクを算出し、トルクから実噴射量を推定すると、S408に処理を移行する。
尚、学習用噴射の噴射回数が所定回数に達する前にS400の噴射量学習条件が成立しなくなる場合には、それまでの学習結果を記憶しておき、次に噴射量学習条件が成立すると、記憶していた学習結果に基づいて噴射量学習を継続する。
また、図5のS400〜S406の処理が本発明の噴射指令手段が実行する機能に相当し、図5のS402の処理が本発明の走行状態判定手段が実行する機能に相当し、図5のS404およびS406の処理が本発明の噴射量推定手段および噴射時期設定手段が実行する機能に相当し、S410の処理が本発明の補正手段が実行する機能に相当し、S404においてコモンレール圧を目標コモンレール圧から減圧する場合には、その処理が本発明の噴射圧力制御手段が実行する機能に相当する。
上記実施形態では、回転数の変動量が極力大きくなるように適合した適合時期とともに、適合時期とは異なる噴射時期を少なくとも含む複数の噴射時期で学習用噴射を実行した。これに対し、無噴射減速運転時において、適合時期とは異なる噴射時期だけで学習用噴射を実行してもよい。また、適合時期とは異なる噴射時期だけで学習用噴射を実行する場合、1種類の噴射時期で学習用噴射を実行してもよい。
Claims (12)
- 内燃機関の無噴射減速運転時に学習用噴射を燃料噴射弁に指令する噴射指令手段と、
前記噴射指令手段からの噴射指令により前記燃料噴射弁が学習用噴射を実行することにより生じる前記内燃機関の回転数の変動量に基づいて前記燃料噴射弁から実際に噴射された実噴射量を推定する噴射量推定手段と、
前記噴射量推定手段が推定する前記実噴射量と前記噴射指令手段が前記燃料噴射弁に指令する指令噴射量との差に基づいて噴射量補正値を算出する補正手段と、
前記無噴射減速運転時において前記噴射指令手段が前記燃料噴射弁に指令する学習用噴射の噴射時期を、前記回転数の変動量が極力大きくなるように適合される適合時期よりも前記回転数の変動量が小さい時期を少なくとも含んで設定する噴射時期設定手段と、
を備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。 - 車両の走行状態に基づいて、学習用噴射により発生する前記回転数の変動量を低減するか否かを判定する走行状態判定手段を備え、
前記噴射時期設定手段は、前記回転数の変動量を低減する走行状態であると前記走行状態判定手段が判定すると、前記回転数の変動量を低減する走行状態ではないと前記走行状態判定手段が判定するときに設定する噴射時期と異なる時期を少なくとも含んで学習用噴射の噴射時期を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。 - 内燃機関の無噴射減速運転時に学習用噴射を燃料噴射弁に指令する噴射指令手段と、
前記噴射指令手段からの噴射指令により前記燃料噴射弁が学習用噴射を実行することにより生じる前記内燃機関の回転数の変動量に基づいて前記燃料噴射弁から実際に噴射された実噴射量を推定する噴射量推定手段と、
前記噴射量推定手段が推定する前記実噴射量と前記噴射指令手段が前記燃料噴射弁に指令する指令噴射量との差に基づいて噴射量補正値を算出する補正手段と、
前記無噴射減速運転時において前記噴射指令手段が前記燃料噴射弁に指令する学習用噴射の噴射時期を複数の異なる時期に設定する噴射時期設定手段と、
車両の走行状態に基づいて、学習用噴射により発生する前記回転数の変動量を低減するか否かを判定する走行状態判定手段と、
を備え、
前記噴射時期設定手段は、前記回転数の変動量を低減する走行状態であると前記走行状態判定手段が判定すると、前記回転数の変動量を低減する走行状態ではないと前記走行状態判定手段が判定するときに設定する噴射時期と異なる時期を少なくとも含んで学習用噴射の噴射時期を設定する、
ことを特徴とする燃料噴射制御装置。 - 前記噴射時期設定手段は、前記無噴射減速運転時において低下中の前記内燃機関の回転数に応じて噴射時期を設定することを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記無噴射減速運転時において、前記噴射時期設定手段は前記内燃機関の低速回転側の噴射時期を高速回転側よりも遅角させることを特徴とする請求項3または4に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記補正手段は、前記噴射量推定手段が推定した前記実噴射量に噴射時期に応じて重み付けを行い、重み付けした前記実噴射量の加重平均と前記指令噴射量との差に基づいて前記噴射量補正値を算出することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記走行状態判定手段は、車両搭載の音響装置および作動音を発生する車両搭載装置がオフ状態のとき、前記回転数の変動量を低減すると判定することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記走行状態判定手段は、前記内燃機関の回転数が所定回転数以下の低速回転のとき、前記回転数の変動量を低減すると判定することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記走行状態判定手段は、窓が全閉のとき、前記回転数の変動量を低減すると判定することを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記走行状態判定手段は、前記内燃機関の加速運転および減速運転の運転履歴に基づいて前記回転数の変動量を低減すると判定することを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射量推定手段は、前記燃料噴射弁が学習用噴射を実行することにより生じる前記内燃機関の回転数の変動量から前記内燃機関の出力トルクを算出し、噴射時期に応じて設定される前記出力トルクと前記実噴射量との特性に基づいて前記実噴射量を推定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記無噴射減速運転時に、前記内燃機関の運転状態に基づいて設定される目標噴射圧力よりも前記燃料噴射弁の噴射圧力を減圧する噴射圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
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